説明

射出成形型をバリオサーム温度制御するための方法および装置

消費器(5)、特に射出成形機の成形型の型半部をバリオサーム温度制御するための方法および装置が提供される。この場合、第1の温度を有する液状の温度制御媒体(高温の媒体、T1)と、第2の温度を有する液状の温度制御媒体(低温の媒体、T2)とが、すぐに投入され得る状態で用意されて、交互に消費器(5)に通してポンプ輸送される。本発明は、高温の温度制御媒体をも、低温の温度制御媒体をも、直接に消費器(5)の外側に、または消費器(5)内に用意しておき、この場所で互いに接触させることにより特徴付けられる。加熱から冷却への切換時および冷却から加熱への切換時に、消費器(5)では直ちに所用の温度制御媒体が、消費器の温度制御通路内に導入される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消費器、特に射出成形機の成形型の型半部をバリオサーム温度制御するための方法および装置に関する。
【0002】
公知先行技術に基づき、射出成形時に成形型を1回の製造サイクル内で加熱しかつ冷却することが知られている。これによって、一方では射出段階における成形型の高い温度を、他方では冷却段階における成形型の低い温度を得ようとしている。1回のサイクル内で成形型の加熱と冷却とをこのように交番させることは、「バリオサーム温度制御(variotherme. Temperierung)」とも呼ばれる。ギースアウフ(J.Giessauf)著の論文「Variotherme Temperierung- Methoden und Einsatzmoeglichkeiten」(ENGEL Austria GmbH, VDI Fachtagung ,,Spritzgiessen 2008- Innovation und Produktivitaet'' 2008年1月29日−30日、Baden-Baden、ドイツ連邦共和国)において、バリオサーム温度制御のための種々の方法およびその使用可能性が紹介されている。上記論文の図3には、水を用いたバリオサーム温度制御のための回路図が図示されている。この回路図から判るように、互いに異なる温度を有する2つの循環路が設けられている。高温の水と低温の水とが、適当な弁を介して交互に金型に通されて案内される。
【0003】
実際の使用時では、このようなバリオサーム温度制御は適当な交番温度制御装置(Wechseltemperiergeraete)によって実施される。ジングル・テンペリーアテヒニク社(Firma Single Temperiertechnik)の2008年6月11日付けの出版物から公知である文献に(,,Heiss macht schoen''-Hochwertige Oberflaechen durch variotherme Werkzeugtemperierung)は、2循環路システムを備えた交番温度制御装置が記載されている。この文献の図5から判るように、固有の温度制御装置の他に、温度制御したい型に高温の水と低温の水とを交互に供給し得るようにするために、弁ステーションが設けられている。型の充填段階(図5の上側の図)では、型が高温の水によってのみ通流され、冷却段階では、型が低温の水によってのみ通流される(図5の下側の図)。この場合、弁ステーションに設けられた複数の管路および弁ステーションから型内の接続部に通じた複数の接続管路が、高温の水と低温の水とによって交互に通流される。加熱(上側の図)から冷却(下側の図)への切換時では、まず、所定の弁位置がとられる。この弁位置では、低温の水が、弁ステーションに設けられた管路および型内に存在する温かい水を押し退け、いわばこれらの場所から追い出し、この場合、押しのけられた温かい水は、温かい水のための貯え容器内へ戻される。弁ステーションに設けられた管路および型から温かい水が除去され、これらの管路および型が低温の水しか有しなくなると、弁位置を再び変えて、図5の下側の図に示されているような位置をとることができる。すなわち、この位置では、低温の水だけが、弁ブロックに設けられた管路や、型への供給管路および型からの導出管路や、型自体を通って流れる。冷却から加熱への切換時では、逆の過程が行われる。
【0004】
前で挙げたような形式のバリオサーム温度制御は、さらに米国特許出願公開第2004/0188886号明細書に基づき公知である。
【0005】
この公知の温度制御装置において不都合となるのは、弁ブロックに設けられた管路も、型への供給管路および型からの導出管路も、高温の水と低温の水とによって常に交互に通流されることである。すなわち、低温の水もしくは高温の水は実際の消費個所、つまり型に到達する前に、低温の水はまず高温の管路を通流し、そして逆に高温の水はまず低温の管路を通流する。したがって、型において所望される温度を達成するためには、温度制御装置を、加熱のためには必要とされる温度よりも高い温度に調節し、冷却のためには必要とされる温度よりも低い温度に調節することが必要となる。このことは一方ではエネルギ収支に不都合な影響を与える。他方において、このことは、型のバリオサーム温度制御の際の精密な温度経過の調節および維持を困難にする。さらに、加熱から冷却への切換時および冷却から加熱への切換時には、ある程度の時間遅延が生ぜしめられる。なぜならば、必要となる温度制御媒体はまず、まだ先行した温度制御サイクルからの異なる温度を有する弁ブロック内の管路や供給管路を通流しなければならないからである。
【0006】
上記公知先行技術に鑑み、本発明の根底を成す課題は、改善されたエネルギ収支を有し、しかも一層短いサイクル時間で運転され得るような、射出成形型またはその他の消費器をバリオサーム温度制御するための方法および装置を提供することである。
【0007】
この課題は、請求項1の特徴部に記載の特徴を有する方法ならびに請求項12の特徴部に記載の特徴を有する装置によって解決される。有利な実施態様および改良形は、請求項2以下ならびに請求項13以下に記載されている。
【0008】
高温の温度制御媒体も、低温の温度制御媒体も、直接に消費器の外側に、または消費器内部に、いつでも投入され得る状態で用意され、そしてこの場所で互いに接触していることにより、消費器内の温度制御媒体の交換時に、別の温度を有する温度制御媒体が直ちに消費器内に流入する。インタフェースもしくは接触個所において、両温度制御媒体が直接に衝突し合っていてよく、すなわち互いに直接に接触しているか、またはインタフェースもしくは接触個所に逆止弁が設けられ得るので、この場所で温度制御媒体は間接的に互いに接触している。すなわち、上で挙げた公知先行技術の場合のような弁ステーションが不要にされる。したがって、加熱から冷却への切換時および冷却から加熱への切換時では、消費器において直ちに、必要とされる方の所要の温度制御媒体がその温度制御通路内に導入される。このことはシステムの反応時間に好都合に作用して、前で説明した公知先行技術におけるようなエネルギ損失を回避する。温度制御媒体としては、たとえば水またはオイルが挙げられる。しかし、原則的には別の温度制御媒体を使用することもできる。
【0009】
第1第2の両温度制御媒体が、消費器の流入側においても、消費器の流出側においても互いに接触していると有利である。高温の温度制御媒体によって消費器が温度制御される場合、それぞれ流動する高温の温度制御媒体との接触個所において低温の温度制御媒体の静止した柱が生ぜしめられ、この場合、この柱は供給管路と導出管路とに生ぜしめられる。消費器が低温の温度制御媒体によって温度制御される場合には、逆の事例が行われ、すなわち、それぞれ流動する低温の温度制御媒体との接触個所において高温の温度制御媒体の静止した柱が生ぜしめられる。
【0010】
第1の実施態様では、「加熱」から「冷却」への切換時に、消費器内に存在している高温の温度制御媒体が、低温の温度制御媒体を有する循環路内へ持ち込まれ、逆に「冷却」から「加熱」への切換時には、消費器内に存在している低温の温度制御媒体が、高温の温度制御媒体を有する循環路内へ持ち込まれる。低温の温度制御媒体内に持ち込まれる高温の温度制御媒体の量が十分に少ない限りは、低温の温度制御媒体のための温度制御装置によって所望の低い温度を問題なく維持することができる。このことは、逆の事例にも、つまり低温の温度制御媒体が高温の温度制御媒体のための循環路内に持ち込まれる場合にも云える。
【0011】
エネルギ収支を改善するためには、消費器内に存在しかつ消費器から駆出したい温度制御媒体を中間貯え器へ搬送し、サイクル中のあとからの時点で再び適正な温度制御媒体内に持ち込むことができる。高温の温度制御媒体および低温の温度制御媒体は、別個の専用の中間貯え器または2つの分離されたチャンバを備えた1つの中間貯え器内に搬送される。「冷却」から「加熱」への切換の後では、高温の温度制御媒体が中間貯え器から再び高温の温度制御循環路内に戻され、「加熱」から「冷却」への切換の後では、低温の温度制御媒体が中間貯え器から低温の温度制御循環路内に戻される。所属の温度制御循環路への温度制御媒体の戻し、すなわち「高温」から「高温」への戻し、および「低温」から「低温」への戻しは、それぞれ他方の温度制御媒体の、消費器からの駆出と、この温度制御媒体による所属の中間貯え器の充填とに対して平行に行われる。一方の中間貯え器もしくは中間貯え器の一方のチャンバから一方の温度制御媒体が導出される間、他方の中間貯え器もしくは中間貯え器の他方のチャンバは、ちょうど消費器から駆出される他方の温度制御媒体によって充填される。
【0012】
両温度制御媒体のためには、1つの共通の中間貯え器を使用することができる。この場合、中間貯え器は、高温の温度制御媒体のための可変の容積を有する第1のチャンバと、低温の温度制御媒体のための可変の容積を有する第2のチャンバとを有していて、消費器における温度制御媒体の切換時に一方のチャンバ内の容積が減少すると同時に、他方のチャンバ内の容積が増大する。
【0013】
前記方法を実施するための本発明による装置は、高温の温度制御媒体のための第1の温度制御装置と、低温の温度制御媒体のための第2の温度制御装置とを有しており、この場合、第1第2の両温度制御装置を起点として延びる供給管路が、直接に消費器の外側で、または消費器内で合流されていて、この場所で高温の温度制御媒体と低温の温度制御媒体とが、消費器の流入側で互いに接触している。同じく、消費器から導出されて前記温度制御装置に通じている導出管路が設けられており、該導出管路も、直接に消費器の外側で、または消費器内で合流されていて、この場所で高温の温度制御媒体と低温の温度制御媒体とが、消費器の流出側で互いに接触している。高温の温度制御媒体および低温の温度制御媒体の供給管路および/または導出管路の接触個所には、T字形またはY字形の接続部材が設けられていてよく、これらの接続部材を介して供給管路および/または導出管路は流体技術的に互いに接続されている。これらの接続部材は消費器の外側に、たとえば外面に設けられるか、または消費器自体の内部に、つまり内在するように設けられ得る。インタフェースもしくは接触個所では、温度制御媒体が直接に衝突し合ってよく、すなわち直接に互いに接触してよいか、またはインタフェースもしくは接触個所に逆止弁が設けられ得るので、温度制御媒体はこの場所で間接的に互いに接触する。
【0014】
供給管路および/または導出管路は、いかなる弁をも有していない。温度制御装置の外側においてのみ、または温度制御装置内にのみ、両温度制御循環路の供給側でそれぞれ1つの3方向切換弁が設けられており、該3方向切換弁によって両温度制御循環路において、温度制御運転、つまり温度制御媒体が消費器を通ってポンプ輸送される温度制御運転と、循環運転、つまりこの温度制御媒体がちょうど必要とされなくなり、したがって内部循環路内でのみ循環する循環運転(内部循環もしくはアイドリング運転)との間で切換を行うことができる。
【0015】
本発明の改良形では、2つの中間貯え器が設けられている。すなわち、高温の温度制御媒体のための中間貯え器と、低温の温度制御媒体のための中間貯え器とが設けられている。これらの中間貯え器は、ちょうど消費器から駆出される方の温度制御媒体を収容するために働く。中間貯え器からの温度制御媒体は、規定の時間で再び、同じ温度レベルにある所属の温度制御循環路内に持ち込まれる。すなわち、高温の温度制御媒体は高温の温度制御循環路内に持ち込まれ、低温の温度制御媒体は低温の温度制御循環路内に持ち込まれる。両中間貯え器は各温度制御循環路に適当な形式で接続されていて、この場合、両中間貯え器は、消費器内に存在しかつ消費器から駆出されるべき方の温度制御媒体が一方の中間貯え器内に導入され、それと同時にこれに平行して他方の中間貯え器内に存在する温度制御媒体がこの中間貯え器から導出されて、消費器を温度制御するために使用したい方の所属の温度制御循環路内へ持ち込まれるように運転され得る。すなわち、消費器内に高温の温度制御媒体が存在していて、「冷却」への切換が行われる場合、つまり消費器を通じて低温の温度制御媒体をポンプ輸送したい場合、まず低温の温度制御媒体がその中間貯え器から低温の温度制御媒体の温度制御循環路内に持ち込まれ、消費器もしくは成形型から駆出された高温の温度制御媒体は高温の温度制御媒体のための中間貯え器内に導入される。「冷却」から「加熱」への切換時には、逆の方法が行われる。成形型内に存在する温度制御容量だけが交換されるので、このことは温度制御媒体を用いたバリオサームプロセスのためのできるだけ小さな交換容積となる。その結果、このことから、できるだけ小さな中間貯え器も得られる。
【0016】
高温の温度制御媒体のための中間貯え器および低温の温度制御媒体の中間貯え器は、唯一つの容器内に収納され得る。すなわち、この場合、可変の容積を有する2つのチャンバを備えた唯一つの中間貯え器しか存在していない。両チャンバは摺動可能なピストンによって、またはフレキシブルなダイヤフラムによって互いに分離されていてよい。両チャンバが空気層または空気泡(エアブラダ)によって互いに分離されていると、両チャンバの良好な熱絶縁、つまり良好な断熱を得ることができる。両温度制御媒体の中間貯え器を簡単に交互に所望の温度制御循環路に接続し得るようにするためには、導出管路の接続範囲に3方向切換弁が設けられている。この3方向切換弁は消費器の外部に配置されて、該3方向切換弁の一方の側で消費器の内部に設けられた温度制御循環路に接続されていてよい。しかし、3方向切換弁が消費器の内部に組み込まれていてもよい。
【0017】
以下に、本発明の実施形態を図面につき詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】温度制御循環路の第1実施形態を、運転休止状態で示す回路図である。
【図2】温度制御循環路の第1実施形態を、加熱運転の状態で示す回路図である。
【図3】温度制御循環路の第1実施形態を、冷却運転の状態で示す回路図である。
【図4】温度制御循環路の第2実施形態を、運転休止状態で示す回路図である。
【図5】温度制御循環路の第2実施形態を、加熱運転の状態で示す回路図である。
【図6】温度制御循環路の第2実施形態を、加熱から冷却への切換時における中間段階で示す回路図である。
【図7】温度制御循環路の第2実施形態を、冷却運転の状態で示す回路図である。
【図8】温度制御循環路の第2実施形態を、冷却から加熱への切換時における中間段階で示す回路図である。
【図9】3方向切換弁の概略図である。
【図10】3方向切換弁の切換記号である。
【図11】第1実施形態のピストンを備えた中間貯え器の拡大横断面図である。
【図12】第2実施形態のピストンを備えた中間貯え器の拡大横断面図である。
【図13】低温の温度制御媒体と高温の温度制御媒体との合流部に設けられた逆止弁の1実施形態を示す断面図である。
【0019】
図1に示した本発明によるバリオサーム温度制御循環路の第1実施形態では、高温の水、たとえば150℃の水のための第1の温度制御装置1が設けられている。この第1の温度制御装置1からは、供給管路2が導出されている。この供給管路2は第1の3方向切換弁3を介して、消費器5の流入側に設けられたY字形の接続部材4にまで延びている。消費器5としては、射出成形型の1つの型半部を想定することができる。すなわち、射出成形型の各型半部が専用の温度制御循環路を有している場合、射出成形型の両成形型を互いに異なって温度制御することができる。両型半部を同じ温度経過に従ってバリオサーム式に温度制御したい場合には、両型半部を操作する1つの温度制御循環路を用いて作業することができる。この場合には、消費器5は射出成形型全体である。消費器5の流出側には、第2のY字形の接続部材6が設けられている。この第2のY字形の接続部材6には、高温の水のための導出管路7が接続されている。この導出管路7はT字形の接続部材8を介して第1の温度制御装置1に通じている。3方向切換弁3とT字形の接続部材8との間には、接続管路9が設けられている。低温の水、たとえば30℃の水のためには、第2の温度制御装置10が設けられている。低温の水のための温度制御循環路は、高温の水のための温度制御循環路と同一構造を有している。すなわち、低温の水のための温度制御循環路は、供給管路11と、導出管路12と、3方向切換弁13と、T字形の接続部材14と、該温度制御循環路の直前に挙げた2つの構成要素の間、つまり3方向切換弁13とT字形の接続部材14との間の接続管路15とを備えている。低温の水のための供給管路11および導出管路12は消費器5に設けられた各Y字形の接続部材4;6に接続されている。高温の水および低温の水はこれらの個所において常に互いに接触している。すなわち、流入側では、両温度制御媒体が、いつでも直ちに使用されるように直接に消費器の外側に用意される。択一的には、高温の水と低温の水との間のインタフェースもしくは接触個所を、1つまたは複数の接触個所において逆止弁によって機械的に分離することもできる。これにより、回路手間をかけることなしに、高温の水と低温の水との間の、ある程度の「絡み合い」を回避することができる。このことは、1つまたは複数の逆止弁によって、停止している方の温度制御循環路が、活動している方の温度制御循環路から分離されることを意味する。このような実施形態は、図1においては、逆止弁36,37を表す円形の線36,37によって示されている。このような逆止弁の1実施形態は図13において、図示されている逆止弁100につき詳しく説明する。流入側においてのみ、または流出側においてのみ、または両接触個所において、それぞれ1つの逆止弁が設けられていてよい。戻り側に設けられた3方向切換弁を備えた変化形では、前記分離を3方向切換弁(図4〜図6、符号19参照)が引き受ける。Y字形の接続部材4,6は消費器5の外側の表面に設けられた、対応する開口内にねじ込まれているか、またはその他の手段により固定されていてよい。これらの開口は、いわば、消費器を通って延びる温度制御通路(詳細には図示しない)の始端部および終端部となる。しかし、高温の水と低温の水との接続個所もしくは接触個所は消費器の内部に組み込まれていてもよい。消費器が、たとえば射出成形型の一方の型半部である場合、高温の水と低温の水との接続個所もしくは接触個所は、キャビティの極めて近傍に配置されていてよい。いずれにせよ、その都度必要となる温度制御媒体が、直接に消費器においていつでも使用され得る状態で用意されている。消費器に存在する温度は、適当な温度センサ16によって測定され得る。圧力補償容器17によって、システム内に場合によっては生じる圧力変動を補償することができる。作動中、全ての管路には、等しい流体静力学的な圧力Pが生ぜしめられる。温度制御媒体の循環は、適当なポンプ(図示しない)を用いて行われる。このポンプは一般に市販の温度制御装置に組み込まれた構成要素である。
【0020】
以下に、図2および図3につき、前記装置の運転形式について詳しく説明する。図面中の太い線は、流動中の水を有する管路を表しており、多数の横線を備えた細い線は、静止している水柱を有する管路を表している。太い線の側方に書き込まれている矢印は、流れ方向を示している。説明のために、当該装置が、ちょうど高温の水が消費器5を通ってポンプ輸送されている(図2)状態にあるものと前提する。高温の温度制御循環路内の3方向切換弁3は、接続管路9が遮断されかつ供給管路2が開放される切換位置にある。低温の温度制御循環路内の3方向切換弁13は、供給管路11が遮断されかつ接続管路15が開放される切換位置にある。第1の温度制御装置1から到来した高温の水は、供給管路2とY字形の接続部材4とを通って消費器5に流入する。供給管路11内には、低温の水の静止した水柱が存在している。Y字形の接続部材4では、低温の水が、この低温の水の傍らを通って流れる高温の水と接触している。この高温の水は消費器5を通流して、流出側でY字形の接続部材6において導出管路7に流入する。高温の水はこの導出管路7からT字形の接続部材8を介して第1の温度制御装置1内に流れ戻る。導出管路12内には、やはり低温の水の静止した水柱が存在しているので、流出側においても低温の水が、この低温の水の傍らを通って流れる高温の水と接触している。3方向切換弁13の切換位置に基づき、低温の水はアイドリング運転の形で第2の温度制御装置10を通って、接続管路15と、両管路11,12の、接続管路15と第2の温度制御装置10との間に位置する区分とを通流する。
【0021】
次いで「加熱」から「冷却」への切換を行いたい場合、つまり高温の水の代わりに、低温の水を消費器に通したい場合には、3方向切換弁3,13だけが他方の切換位置へもたらされる。高温の温度循環路の3方向切換弁3は「内部循環モード」に切り換えられる。すなわち、供給管路2が遮断され、接続管路9が開放される。それに対して、3方向切換弁13は「内部循環モード」から「供給モード」もしくは「温度制御運転モード」に切り換えられる。すなわち、供給管路11が開放され、接続管路15が遮断される。これによって、図3に示したような状況が生ぜしめられる。消費器5を通る高温の水の通流は停止され、消費器5を通る低温の水の通流が開始される。供給管路2および導出管路7内には、高温の水の静止した水柱が形成される。低温の水は切換の時点で既に消費器5の外側で待機しているので、時間遅延が生ぜしめられるのではなく、切換の直後に低温の水が消費器5に流入する。まだ消費器5内に存在している高温の水は、導出管路12を介して低温の水のための循環路内へ持ち込まれる。このことは、消費器内に存在する高温の水の量が、低温の水の量に比べて少ない限りは問題とならない。冷却段階の終了後に、すなわち再び「冷却」から「加熱」への切換を行いたい場合には、3方向切換弁3,13が、それぞれ冒頭で挙げた切換位置へ戻され、図2に示したような冒頭で説明した運転状態が生じる。この場合には、消費器5内にまだ存在している低温の水が、導出管路7を介して高温の水のための温度制御循環路内に持ち込まれる。この場合にも、このことは、消費器5内に存在する低温の水の量が高温の水の量に比べて少ない限り問題にならないことが判っている。
【0022】
図4に示した本発明の択一的な別の実施形態では、さしあたり同じ温度制御循環路が設けられているので、これらの点については図1に関連した個々の構成要素の説明を参照するものとする。しかし、図1に示した実施形態とは異なり、この場合、流入側ではY字形の接続部材4の代わりに、消費器5内に組み込まれたT字形の接続部材18が設けられており、流出側ではY字形の接続部材6の代わりに、消費器5内に組み込まれた3方向切換弁19が設けられている。さらに、流出側には中間貯え器20が設けられている。この中間貯え器20は高温の水のための第1のチャンバ21と、低温の水のための第2のチャンバ22とを有している。第1のチャンバ21は接続管路23を介して高温の水のための導出管路7に接続されており、第2のチャンバ22は接続管路24を介して低温の水のための導出管路12に接続されている。この場合、これらの接続は、たとえばT字形の接続部材8または14と同様のT字形の接続部材を用いて行われる。第1第2の両チャンバ21,22は、移動可能なピストン25によって熱的および流体的に互いに分離されている。ピストン25の詳細は図11および図12に図示されている。
【0023】
以下に、図5〜図8につき、この装置の運転形式を詳しく説明する。図面中の太い線は、流動中の水を有する管路を表しており、多数の横線を備えた細い線は、静止している水柱を有する管路を表している。上で説明した第1実施形態の場合と同様に、この場合にも、説明のために、当該装置が、ちょうど高温の水が消費器5を通ってポンプ輸送されている状態にあるものと前提する。この状態では、両温度制御装置に設けられた3方向切換弁3,13が、上で図2につき説明した実施態様の場合と同じ切換位置にある。消費器5内の3方向切換弁19は、消費器5が高温の水のための導出管路7に接続されかつ低温の水のための導出管路12が遮断される切換位置に位置している。第1のチャンバ21内の高温の水の容量は最小値をとっており、第2のチャンバ22内の低温の水の容量は最大値をとっている。
【0024】
「加熱」から「冷却」へ切り換えたい場合には、前記3方向切換弁3,13,19が次のように切り換えられる。高温の温度制御循環路の3方向切換弁3が「内部循環モード」に切り換えられる。すなわち、供給管路2が遮断され、接続管路9は開放される。それに対して、3方向切換弁13は「内部循環モード」から「供給モード」もしくは「温度制御運転モード」に切り換えられる。すなわち、供給管路11が開放され、接続管路15は遮断される。3方向切換弁19のこれまでの切換位置は、さしあたり維持される。すなわち、さしあたり消費器5と、高温の水のための導出管路7とが接続される状態が維持される。これによって、図6に示したような状況が生ぜしめられる。低温の水のための温度制御循環路内のポンプの作動によって、低温の水が消費器5に導入され、消費器5内にまだ存在している高温の水は3方向切換弁19と、導出管路7と、接続管路23とを介して中間貯え器20の第1のチャンバ21内に流入する。このときにピストン25は押しのけられ(ピストンから下方へ引き出された矢印参照)、第2のチャンバ22内に存在する低温の水が、接続管路24と導出管路12とを介して、低温の水のための温度制御循環路内に持ち込まれる。この状態は、あとから流入してくる低温の水によって高温の水が全て消費器5から駆出されるまで維持される。この場合、常時、高温の水が第1のチャンバ21内に導入され、そしてこれに対して平行して低温の水が第2のチャンバ22から導出されて、低温の水のための温度制御循環路内に持ち込まれる。この切換段階の終了時に、つまり高温の水が全て消費器5から駆出されたときに、高温の水のための第1のチャンバ21内の容量は最大値をとり、低温の水のための第2のチャンバ22内の容量は最小値をとる。この状態が達成されると、3方向切換弁19は、消費器5が低温の水のための導出管路12に接続される切換位置へもたらされる。この場合、低温の水だけが温度制御循環路内を循環されて、消費器5に通される。当該装置は冷却段階にある。この状況は図7に図示されている。
【0025】
再切換時、つまり次いで「冷却」から「加熱」への切換が行われる場合、上で説明した過程と同様の過程が行われる。すなわち、両温度制御装置に設けられた3方向切換弁3,13は、それぞれ他方の切換位置へもたらされる。低温の水のための温度制御循環路は「内部循環モード」もしくは「アイドリングモード」に調節され、高温の水のための温度制御循環路は「温度制御運転モード」に調節される。3方向切換弁19の位置はさしあたり変えられない。すなわち、消費器5はさしあたり、低温の水のための導出管路12に接続されたままとなる。この状況は図8に図示されている。次いで、上で説明した場合と同様に、高温の水のポンプ輸送時に、消費器5内に存在する低温の水が、消費器5から押しのけられる。各3方向切換弁3,13,19に与えられた弁位置に基づき、低温の水は消費器5から導出管路12と接続管路24とを介して低温の水のための第2のチャンバ22内に押しのけられ、それと同時に高温の水が第1のチャンバ21から流出して、接続管路23を介して高温の水のための温度制御循環路内に持ち込まれる。この状態は、低温の水が全て消費器5から排出されるまで維持される。次いで、第2のチャンバ22はその最大容量に達し、第1のチャンバ21はその最小容量に達する。次いで、3方向切換弁19が切り換えられて、消費器5が高温の水のための導出管路7に接続され、高温の水だけが循環路内を循環される切換位置へもたらされる。この場合、図5に示した初期状況が再び達成されており、次の温度制御サイクルが開始し得る。
【0026】
図9には、3方向切換弁3が概略的に図示されており、図10には所属の切換記号が図示されている。3方向切換弁は3つの接続ポートと2つの切換位置とを有する弁(3ポート2位置弁)である。到来する温度制御媒体は接続ポートPに印加され、切換位置に応じて一方の管路(A)か他方の管路(B)へ導通される。実際の使用時において、本発明における3方向切換弁は制御装置によって制御され、たとえば電磁式に切り換えられる。この制御装置は外部の制御装置であってもよいし、あるいは射出成形機自体の制御部であってもよい。
【0027】
図11には、適当な形式で熱的に遮断された、つまり断熱されたハウジング31を備えた中間貯え器20の一部が拡大されて図示されている。ハウジング31内で摺動可能なピストン25が設けられており、このピストン25は2つの開口27,28を備えたハウジング26を有している。シールリング32,33を用いて、ピストン25はハウジング31に対してシールされているので、第1第2の両チャンバ21,22は流体的に互いに分離されている、すなわち両チャンバ21,22の間で流体が導通しないように分離されている。ピストン25の中央には、2つのフレキシブルなダイヤフラム29,30が緊締されており、両ダイヤフラム29,30の間には、圧縮空気クッション34が存在している。開口27,28と圧縮空気クッション34とを介して、両チャンバ21,22の間の圧力補償を行うことができる。ダイヤフラム29,30と圧縮空気クッション34とによって、高温の水と低温の水とは流体的にも熱的にも互いに分離されている。実際の使用時では、ダイヤフラム29,30は一般に、外方へ向かってある程度の湾曲が生ぜしめられかつ空気クッションが凸面状の形状をとるようにプリロード(予荷重)をかけられている。
【0028】
2つのフレキシブルなダイヤフラム29,30を有する図示のシステムの代わりに、ピストン25の内部に圧力補償部として貯えブラダ35を設けることもできる(図12)。
【0029】
低温の水と高温の水とがぶつかり合う個所には、図13に示したような逆止弁100を設けることができる。消費器5の外側には、適当なねじ102,103によって弁ブロック101が固定されている。弁ブロック101の内部には、T字形の通路装置が設けられており、このT字形の通路装置は、外方へ導出された通路104,105,106を備えている。第1の通路104および第2の通路105は高温の温度制御媒体のための供給管路2および低温の温度制御媒体のための供給管路11のための接続部に通じている。それに対して、第3の通路106は消費器5に設けられた接続部に通じている。これらの通路104,105,106の接続個所には、第1の通路104および第2の通路105に対して同軸的に形成された、拡大された細長い孔107が設けられている。この孔107内では、ボール108が、図面で見て左側のストッパ位置Aと右側のストッパ位置Bとの間で往復運動し得るようになっている。高温の水が供給管路2と第2の通路105とを介して供給される第1の運転状態では、ボール108が、図面で見て左側のストッパ位置Aへ押しのけられて、第3の通路106を開放する。すなわち、この運転状態では、消費器5を通じて高温の水をポンプ輸送することができる。低温の水が供給管路11と第1の通路104とを介して供給される第2の運転状態では、ボール108が、図面で見て右側のストッパ位置Bへ押しのけられて、第3の通路106を開放する。すなわち、この運転状態では、消費器5を通じて低温の水をポンプ輸送することができる。
【0030】
本発明は、可塑化されたプラスチック材料が、射出段階では、加熱された成形型のキャビティ内へ射出され、冷却段階では成形型が冷却されて、プラスチック材料が完全に加工成形されて完成したプラスチック製品を形成するような、プラスチック製品の射出成形のために適している。すなわち、成形型は交互に加熱・冷却され、この場合、本発明は特に短いサイクル時間を有する射出成形のために適している。本発明は原則的に、消費器を高温の液体と低温の液体とによって交互に温度制御したいあらゆる技術分野において使用可能である。たとえば、プラスチック材料が1つまたは複数の混合ヘッドを介して成形型内に導入されるようなPUR成形型の型半部も、本発明により温度制御され得る。基本的に、別の消費器、たとえばプレスのバリオサーム温度制御も考えられる。
【符号の説明】
【0031】
1 高温の水のための温度制御装置
2 高温の水のための供給管路
3 高温水循環路内の3方向切換弁
4 Y字形の接続部材
5 消費器
6 Y字形の接続部材
7 高温の水のための導出管路
8 高温水循環路内のT字形の接続部材
9 接続管路
10 低温の水のための温度制御装置
11 低温の水のための供給管路
12 低温の水のための導出管路
13 低温水循環路内の3方向切換弁
14 低温水循環路内のT字形の接続部材
15 接続管路
16 温度センサ
17 圧力補償容器
18 消費器流入部内のT字形の接続部材
19 消費器流出部内の3方向切換弁
20 中間貯え器
21 高温の水のためのチャンバ
22 低温の水のためのチャンバ
23 高温の水のための接続管路
24 低温の水のための接続管路
25 ピストン
26 ピストンのハウジング
27 チャンバ21に通じた開口
28 チャンバ22に通じた開口
29 第1のダイヤフラム
30 第2のダイヤフラム
31 中間貯え器のハウジング
32 第1のシールリング
33 第2のシールリング
34 圧縮空気クッション
35 圧縮空気貯えブラダ
36 逆止弁
37 逆止弁
100 逆止弁
101 弁ブロック
102 固定用ねじ
103 固定用ねじ
104 第1の通路
105 第2の通路
106 第3の通路
107 孔
108 ボール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
消費器(5)、特に射出成形機の成形型の型半部をバリオサーム温度制御するための方法であって、第1の温度を有する液状の温度制御媒体(高温の媒体、T1)と、第2の温度を有する液状の温度制御媒体(低温の媒体、T2)とを用意しておき、交互に消費器(5)に通してポンプ輸送する方法において、高温の温度制御媒体をも、低温の温度制御媒体をも、直接に消費器(5)の外側に、または消費器(5)内に用意しておき、この場所で直接にまたは逆止弁(36,37,100)の介在下に衝突させて、高温の温度制御媒体と低温の温度制御媒体とをこの場所で直接にまたは間接的に互いに接触させることを特徴とする、消費器をバリオサーム温度制御するための方法。
【請求項2】
第1第2の両温度制御媒体を、消費器(5)の流入側においても、消費器(5)の流出側においても衝突させて、この場所で直接にまたは間接的に互いに接触させる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
第1第2の両温度制御媒体を直接に消費器の温度制御通路の流入部において直接にまたは間接的に互いに接触させる、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
消費器(5)を高温の温度制御媒体によって温度制御する際に(加熱)、消費器(5)の外側における接触個所に低温の温度制御媒体の静止した柱を待機させ、この場所で、流動する高温の温度制御媒体と直接にまたは間接的に接触させる、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
消費器(5)を低温の温度制御媒体によって温度制御する際に(冷却)、消費器(5)の外側における接触個所に高温の温度制御媒体の静止した柱を待機させ、この場所で、流動する低温の温度制御媒体と直接にまたは間接的に接触させる、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
消費器(5)の温度制御を高温の温度制御媒体から低温の温度制御媒体へ切り換える際に、消費器(5)内にまだ存在している高温の温度制御媒体を、低温の温度制御媒体を有する循環路内へ持ち込み、消費器(5)の温度制御を低温の温度制御媒体から高温の温度制御媒体へ切り換える際に、消費器(5)内にまだ存在している低温の温度制御媒体を、高温の温度制御媒体を有する循環路内へ持ち込む、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
消費器(5)の温度制御を高温の温度制御媒体から低温の温度制御媒体へ切り換える際に、消費器(5)内にまだ存在している高温の温度制御媒体を、高温の温度制御媒体のための中間貯え器(20,21)内に導入し、消費器(5)の温度制御を低温の温度制御媒体から高温の温度制御媒体へ切り換える際に、消費器(5)内にまだ存在している低温の温度制御媒体を、低温の温度制御媒体のための中間貯え器(20,22)内に導入する、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
「冷却」から「加熱」への切換後に、高温の温度制御媒体を前記中間貯え器(20,21)から高温の温度制御循環路内に戻し、「加熱」から「冷却」への切換後に、低温の温度制御媒体を前記中間貯え器(20,22)から低温の温度制御循環路内に戻す、請求項7記載の方法。
【請求項9】
「冷却」から「加熱」への切換後に、高温の温度制御媒体を前記中間貯え器(20,21)から高温の温度制御循環路内に戻し、これに平行して、消費器(5)内にまだ存在している低温の温度制御媒体を低温の温度制御媒体のための前記中間貯え器(20,22)内に導入する、請求項8記載の方法。
【請求項10】
「加熱」から「冷却」への切換後に、低温の温度制御媒体を前記中間貯え器(20,22)から低温の温度制御循環路内に戻し、これに平行して、消費器(5)内にまだ存在している高温の温度制御媒体を高温の温度制御媒体のための前記中間貯え器(20,21)内に導入する、請求項8または9記載の方法。
【請求項11】
第1第2の両温度制御媒体のために、1つの共通の中間貯え器(20,21,22)を使用し、この場合、該中間貯え器(20)が、高温の温度制御媒体のための可変の容積を有する第1のチャンバ(21)と、低温の温度制御媒体のための可変の容積を有する第2のチャンバ(22)とを有していて、消費器(5)における温度制御媒体の切換時に一方のチャンバ内の容積が減少すると同時に、他方のチャンバ内の容積が増大する、請求項7から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
請求項1から11までのいずれか1項記載の方法を実施するための装置であって、高温の温度制御媒体のための第1の温度制御装置(1)と、低温の温度制御媒体のための第2の温度制御装置(10)とが設けられている形式の装置において、第1第2の両温度制御装置(1,10)を起点として延びる供給管路(2,11)が、直接に消費器(5)の外側で、または消費器(5)内で合流されていて、高温の温度制御媒体と低温の温度制御媒体とが、消費器(5)の流入側で直接にまたは逆止弁(36,100)の介在下に衝突して、この場所で直接にまたは間接的に互いに接触していることを特徴とする、消費器をバリオサーム温度制御するための装置。
【請求項13】
前記第1第2の両温度制御装置(1,10)の外側に、または両温度制御装置(1,10)内に、それぞれ1つの3方向切換弁(3,13)が設けられており、該3方向切換弁(3,13)によって各温度制御媒体が、一方の切換位置では消費器(5)に供給されるようになっていて、他方の切換位置では当該温度制御装置(1,10)を通る内部循環路内に存在している、請求項12記載の装置。
【請求項14】
消費器(5)から導出されて前記温度制御装置(1,10)に通じている導出管路(7,12)が設けられており、該導出管路(7,12)が、直接に消費器(5)の外側で、または消費器(5)内で合流されていて、高温の温度制御媒体と低温の温度制御媒体とが、流出側で直接にまたは逆止弁(37,100)の介在下に衝突して、この場所で直接にまたは間接的に互いに接触している、請求項12または13記載の装置。
【請求項15】
前記温度制御装置(1,10)が交互に運転されるようになっていて、消費器(5)が、高温の温度制御媒体と低温の温度制御媒体とによって交互に通流されるようになっており、高温の温度制御媒体を用いた運転時では、前記供給管路(11)および前記導出管路(12)内にそれぞれ低温の温度制御媒体の静止した柱が存在しており、該柱が、流動する高温の温度制御媒体と直接にまたは間接的に接触しており、低温の温度制御媒体を用いた運転時では、前記供給管路(2)および前記導出管路(7)内にそれぞれ高温の温度制御媒体の静止した柱が存在しており、該柱が、流動する低温の温度制御媒体と直接にまたは間接的に接触している、請求項12から14までのいずれか1項記載の装置。
【請求項16】
高温の温度制御媒体および低温の温度制御媒体のための前記供給管路(2,11)および/または前記導出管路(7,12)が、消費器(5)の外側に、または消費器(5)内に設けられたT字形またはY字形の接続部材(4,6,18)を介して互いに接続されている、請求項12から15までのいずれか1項記載の装置。
【請求項17】
高温の温度制御媒体のための第1の中間貯え器(20,21)と、低温の温度制御媒体のための第2の中間貯え器(20,22)とが設けられており、第1第2の両中間貯え器が、それぞれ前記供給管路(2,11)または前記導出管路(7,12)に接続されている、請求項12から16までのいずれか1項記載の装置。
【請求項18】
前記第1の中間貯え器および前記第2の中間貯え器が、1つの共通の中間貯え器(20)を形成しており、該共通の中間貯え器(20)が、高温の温度制御媒体のための第1のチャンバ(21)と、低温の温度制御媒体のための第2のチャンバ(22)とを有しており、第1のチャンバ(21)が、高温の温度制御媒体のための循環路に接続されており、第2のチャンバ(22)が、低温の温度制御媒体のための循環路に接続されている、請求項17記載の装置。
【請求項19】
前記共通の中間貯え器(20)内に、第1第2の両チャンバ(21,22)を互いに分離する、移動可能なピストン(25)が設けられている、請求項18記載の装置。
【請求項20】
前記ピストン(25)が、ハウジング(26)を有しており、該ハウジング(26)の内部が、1つの貯えブラダ(35)によって、または圧縮空気(34)下にある2つのダイヤフラム(29,30)によって2つの室に分割されており、各室に1つの開口(27,28)が設けられており、該開口(27,28)によって前記室が、前記共通の中間貯え器(20)の、この側に位置する第1および第2のチャンバ(21,22)に流体的に接続されている、請求項19記載の装置。
【請求項21】
前記共通の中間貯え器(20)が、ハウジングを有しており、該ハウジングの内部が、1つの貯えブラダ(35)によって、または圧縮空気(34)下にある2つのダイヤフラム(28,29)によって第1のチャンバ(21)と第2のチャンバ(22)とに分割されている、請求項18記載の装置。
【請求項22】
前記中間貯え器(20)が、前記両導出管路(7,12)に接続されており、前記両導出管路(7,12)の接続個所に3方向切換弁(19)が設けられている、請求項18から20までのいずれか1項記載の装置。
【請求項23】
流入側および/または流出側で、温度制御媒体の合流部もしくは接触個所において逆止弁(36,37,100)が設けられていて、温度制御媒体が、この個所において間接的に互いに接触している、請求項12から22までのいずれか1項記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2012−500739(P2012−500739A)
【公表日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−524343(P2011−524343)
【出願日】平成21年8月24日(2009.8.24)
【国際出願番号】PCT/EP2009/060870
【国際公開番号】WO2010/023177
【国際公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(508050211)クラウスマッファイ テヒノロギース ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (17)
【氏名又は名称原語表記】KraussMaffei Technologies GmbH
【住所又は居所原語表記】Krauss−Maffei Strasse 2, D−80997 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】