説明

射出成形方法、射出成形金型

【課題】無駄になる樹脂量の増加を防ぎつつ、ウェルドラインなど外観不良の発生を抑制する。
【解決手段】意匠成形面14及び非意匠成形面15に沿ったゲート13の幅方向をキャビティ10の幅方向とし、且つゲート13の射出方向をキャビティ10の奥行き方向とし、非意匠成形面15には、キャビティ10の幅方向における両端とゲート13との夫々の間に、側面16からキャビティ10の奥行き方向に沿って延びる長穴17を形成し、この長穴17に嵌合し、非意匠成形面15の位置まで退避した退避位置と、意匠成形面14に向かって突出する突出位置との間で進退可能な可動壁18を形成し、キャビティ10に対して溶融樹脂の射出を行う際、可動壁18を突出位置まで突出させておくことで溶融樹脂の幅方向への流動を一旦堰き止めてから、可動壁18を退避位置へと退避させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形方法、射出成形金型に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特に面積の大きな板状の部品をサイドゲートで射出成形する場合、充填過程の初期段階では、溶融樹脂が弧を描くようにゲートから成長してゆく。しかしながら、溶融樹脂がゲート幅方向の両端に差し掛かると、このゲート幅方向の両端側に先行流動が生じ、ここを基点にウェルドラインやエア巻き込みといった外観不良を生じる可能性がある。特許文献1に記載された従来技術では、ゲートサイズを幅方向に大きくすることでウェルドラインの発生を抑制することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−038535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された従来技術のように、ゲートサイズを幅方向に大きくすると、無駄になる樹脂量が増加してしまう。
本発明の課題は、無駄になる樹脂量の増加を防ぎつつ、ウェルドラインなど外観不良の発生を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、
板状の樹脂成形品の表側に意匠面を成形するための意匠成形面と、前記樹脂成形品の裏側に非意匠面を成形するための非意匠成形面と、を対向させたキャビティを形成し、前記意匠成形面と前記非意匠成形面とを繋ぐ側面に、前記キャビティに対して溶融樹脂の射出を行うゲートを設け、前記意匠成形面及び前記非意匠成形面に沿った前記ゲートの幅方向を前記キャビティの幅方向とし、且つ前記ゲートの射出方向を前記キャビティの奥行き方向とし、前記非意匠成形面には、前記キャビティの幅方向における両端と前記ゲートとの夫々の間に、前記側面から前記キャビティの奥行き方向に沿って延びる長穴を形成し、前記長穴に嵌合し、前記非意匠成形面の位置まで退避した退避位置と、前記意匠成形面に向かって突出する突出位置との間で進退可能な可動壁を形成し、前記キャビティに対して前記溶融樹脂の射出を行う際、前記可動壁を前記突出位置まで突出させておくことで前記溶融樹脂の幅方向への流動を一旦堰き止めてから、前記可動壁を前記退避位置へと退避させることを特徴とする。
【0006】
このように、射出過程の初期には、可動壁を突出位置まで突出させておき、溶融樹脂の幅方向の流動を一旦堰き止めることで、その分、溶融樹脂が射出方向へと流動し、この射出方向への成長が促進される。その後、可動壁を退避位置へと退避させると、堰き止められていた溶融樹脂は、幅方向にも流動し始め、今度は射出方向への成長よりも、この幅方向への均一な成長が促進される。結果として、幅方向の両端に先行流動が生じることが抑制される。したがって、ゲートサイズを幅方向に大きくして対応していた従来技術と比べて、無駄になる樹脂量の増加を防ぎつつ、ウェルドラインなど概観不良の発生を抑制することができる。
【0007】
本発明の他の形態は、
前記可動壁を前記突出位置まで突出させる際、前記意匠成形面と前記可動壁の上端との間に、予め定められた微小隙間を設けることを特徴とする。
このように、意匠成形面と可動壁の上端との間に微小隙間を設けることで、可動壁を突出位置まで突出させたときに、可動壁の上端によって意匠成形面に損傷を与えることを防止できる。したがって、意匠成形面の傷などが樹脂成形品の意匠面に転写されて概観不良が発生することを防止できる。なお、可動壁の上端と意匠成形面との間の微小隙間が大き過ぎると、溶融樹脂が隙間に侵入してバリを発生させたり、或いは可動壁を乗越えてしまう等の不具合が生じる。したがって、可動壁の上面と意匠成形面との間の微小隙間は、溶融樹脂の侵入又は通過を防げる範囲内に設定する。
【0008】
本発明の他の形態は、
前記キャビティの幅方向における中心から両端までの距離をAとし、前記キャビティの幅方向における中心から前記Aの70〜90%の位置に、前記側面から前記キャビティの奥行き方向に沿って延びる長穴を形成することを特徴とする。
このように、長穴の位置を、キャビティの中心から両端までの距離の70〜90%の範囲に設定することで、幅方向の両端に先行流動が生じることを効果的に抑制することができる。
【0009】
本発明の他の形態は、
板状の樹脂成形品の表側に意匠面を成形するための意匠成形面、及び前記樹脂成形品の裏側に非意匠面を成形するための非意匠成形面を対向させて形成されたキャビティと、前記意匠成形面と前記非意匠成形面とを繋ぐ側面に設けられ、前記キャビティに対して溶融樹脂の射出を行うゲートと、前記意匠成形面及び前記非意匠成形面に沿った前記ゲートの幅方向を前記キャビティの幅方向とし、且つ前記ゲートの射出方向を前記キャビティの奥行き方向とし、前記キャビティの幅方向における両端と前記ゲートとの夫々の間で、前記非意匠成形面に形成され、前記側面から前記キャビティの奥行き方向に沿って延びる長穴と、前記長穴に嵌合し、前記非意匠成形面の位置まで退避した退避位置と、前記意匠成形面に向かって突出する突出位置との間で進退可能な可動壁と、前記キャビティに対して前記溶融樹脂の射出を行う際、前記可動壁を前記突出位置まで突出させておくことで前記溶融樹脂の幅方向への流動を一旦堰き止めてから、前記可動壁を前記退避位置へと退避させる駆動機構と、を備えることを特徴とする。
【0010】
このように、射出過程の初期には、駆動機構を介して可動壁を突出位置まで突出させておき、溶融樹脂の幅方向の流動を一旦堰き止めることで、その分、溶融樹脂が射出方向へと流動し、この射出方向への成長が促進される。その後、駆動機構を介して可動壁を退避位置へと退避させると、堰き止められていた溶融樹脂は、幅方向にも流動し始め、今度は射出方向への成長よりも、この幅方向への均一な成長が促進される。結果として、幅方向の両端に先行流動が生じることが抑制される。したがって、ゲートサイズを幅方向に大きくして対応していた従来技術と比べて、無駄になる樹脂量の増加を防ぎつつ、ウェルドラインなど概観不良の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】金型構造の概略構成図である。
【図2】キャビティの断面図である。
【図3】長穴の配置図である。
【図4】駆動機構の概略構成図である。
【図5】従来技術における溶融樹脂の成長過程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
《第一実施形態》
《構成》
図1は、金型構造の概略構成図である。
図2は、キャビティの断面図である。
キャビティ10は、図示しない固定側金型と可動側金型との間に形成された空間によって構成され、このキャビティ10に溶融樹脂を射出することで、樹脂成形品を成形する。溶融樹脂は、スプル11、ランナ12、及びゲート13を順に介して射出される。
キャビティ10は、略平板状に形成され、樹脂成形品の表側に意匠面を成形するための意匠成形面14と、樹脂成形品の裏側に非意匠成形面を成形するために意匠成形面14に対向する非意匠成形面15と、を備える。
【0013】
ゲート13は、意匠成形面14と非意匠成形面15とを繋ぐ側面16に設けられたサイドゲートで構成される。
以下、意匠成形面14と非意匠成形面15に沿ったゲート13の幅方向をキャビティ10の幅方向とし、ゲート13の射出方向をキャビティ10の奥行き方向とし、意匠成形面14と非意匠成形面15との離間方向をキャビティ10の高さ方向として説明する。
【0014】
本実施形態では、例えば幅が440mm程度、奥行きが320mm程度、高さが23mm程度の比較的大型となる平板状の樹脂成形品を想定している。
非意匠成形面15には、キャビティ10の幅方向における両端とゲート13との夫々の間に、側面16からキャビティ10の奥行き方向に沿って延びる矩形の長穴17を形成する。この長穴17に対して摺動可能な状態で嵌合し、非意匠成形面15の位置まで退避した退避位置と、意匠成形面14に向かって突出する突出位置との間で進退可能な可動壁18を形成する。長穴17と可動壁18との嵌め合いは、可動壁18の円滑な摺動が阻害されることがなく、且つ溶融樹脂の侵入によってバリが発生しない程度に設定する。
【0015】
可動壁18を突出位置まで突出させる際には、意匠成形面14と可動壁18の上端との間に、予め定められた微小隙間を設ける。微小隙間は、1/100mm程度とする。
長穴17は、非意匠成形面15に接する入口側が幅狭で、奥側で幅広となる二段形状に形成される。これに応じて、可動壁18は、上端側が幅狭で、下端側で幅広となる二段形状に形成される。したがって、可動壁18が前進する際に、長穴17の段差部に対して可動壁18の段差部が当接するので、可動壁18が突出位置よりも前進することが阻止される。これにより、前述した微小隙間が確保される。
一方、可動壁18を退避位置まで退避させる際には、可動壁18の上端が、非意匠成形面15と面一になるように設定する。
【0016】
ここで、非意匠成形面15における長穴17の配置について説明する。
図3は、長穴の配置図である。
キャビティ10の幅方向における中心から両端までの距離をAとし、キャビティ10の幅方向における中心から上記Aの70〜90%の位置に、側面16からキャビティ10の奥行き方向に沿って延びる長穴17を形成する。
【0017】
次に、可動壁18を突出位置と退避位置との間で進退させる駆動機構について説明する。
図4は、駆動機構の概略構成図である。
可動壁18の下端面21は、非意匠成形面15に対して傾斜しており、ウェッジ部材22の摺接傾斜面23に摺接している。摺接傾斜面23も非意匠成形面15に対して傾斜しており、可動壁18の下端面21とは傾斜方向を反転させた同一傾斜角となる。ウェッジ部材22は、非意匠成形面15と平行な架台24に載置され、図示しないエアシリンダによって架台24上を摺接傾斜面23の傾斜前後方向に沿って非意匠成形面15と平行に進退する。エアシリンダは、図示しない駆動回路を介してコントローラーによって駆動制御される。なお、エアシリンダの代わりに油圧シリンダを用いたり、電動モーターの回転運動を直線運動に変換した直動機構を用いたりしてもよい。
【0018】
したがって、ウェッジ部材22を前進させると、摺接傾斜面23に摺接した可動壁18が上昇し、その上端が意匠成形面14へと近接する突出位置となる。一方、ウェッジ部材22を後退させると、摺接傾斜面23に摺接した可動壁18が下降し、その上端が非意匠成形面15と面一となる退避位置となる。
【0019】
可動壁18は、ゲート13の幅方向における両端側の二箇所に設けられているので、二つの可動壁18を一つのウェッジ部材22で進退させてもよい。この場合、ウェッジ部材22の進退に応じて、二つの可動壁18の進退位置が一致するように、可動壁18の進退方向の長さが設定される。すなわち、摺接傾斜面23の下り側に配置される可動壁18ほど、進退方向の長さが長くされ、摺接傾斜面23の上り側に配置される可動壁18ほど、進退方向の長さが短くされる。
【0020】
次に、可動壁18の動作について説明する。
キャビティ10に対して溶融樹脂の射出を行う際には、ウェッジ部材22を前進させて可動壁18を突出位置まで突出させておくことで溶融樹脂の幅方向への流動を一旦堰き止める。それから、ウェッジ部材22を後退させて可動壁18を退避位置へと退避させる。その後、充填された溶融樹脂が固化し、樹脂成形品を取り出し、次の成形サイクルを実行するまでは、そのまま退避させておく。なお、樹脂成形品を取り出す際に、可動壁18を突出位置まで突出させることで、イジェクタピンとして機能させてもよい。
以上より、ウェッジ部材22が「駆動機構」に対応する。
【0021】
《作用》
図5は、従来技術における溶融樹脂の成長過程を示す図である。
面積の大きな板状の製品をサイドゲートで射出成形すると、射出過程の初期段階では、溶融樹脂が放射状に綺麗な弧を描くようにゲート13から成長してゆく。しかしながら、溶融樹脂がキャビティ10の幅方向における両端に差し掛かると、この幅方向の両端側に先行流動が生じ、ここを基点にウェルドラインやエア巻き込みといった外観不良を生じる可能性がある。特に、メタリック樹脂などを用いた射出成形では、この現象が顕著になる。
【0022】
従来技術では、ゲートサイズを幅方向に大きくすることでウェルドラインの発生を抑制することが考えられていたが、それでは無駄になる樹脂量が増加することになる。
本実施形態では、キャビティ10に対して溶融樹脂の射出を行う際には、ウェッジ部材22を前進させて可動壁18を突出位置まで突出させておくことで溶融樹脂の幅方向への流動を一旦堰き止める。それから、ウェッジ部材22を後退させて可動壁18を退避位置へと退避させる。
【0023】
このように、射出過程の初期には、可動壁18を突出位置まで突出させておき、溶融樹脂の幅方向の流動を一旦堰き止めることで、その分、溶融樹脂が射出方向(ゲート13の開口方向)へと流動し、この射出方向への成長が促進される。その後、可動壁18を退避位置へと退避させると、堰き止められていた溶融樹脂は、幅方向にも流動し始め、今度は射出方向への成長よりも、この幅方向への均一な成長が促進される。結果として、幅方向の両端に先行流動が生じることが抑制される。したがって、ゲートサイズを幅方向に大きくして対応していた従来技術と比べて、無駄になる樹脂量の増加を防ぎつつ、ウェルドラインなど概観不良の発生を抑制することができる。
【0024】
可動壁18を退避させるタイミングは、ゲート13から放射状に拡散する溶融樹脂が少なくとも可動壁18に到達し、幅方向への勢いが射出方向へと転換されてから行う。具体的なタイミングについては、キャビティ10のサイズ、ゲート13の位置とサイズ、溶融樹脂の粘性、射出圧など、諸元に基づいて設定する必要がある。
可動壁18を突出位置まで突出させる際には、意匠成形面14と可動壁18の上端との間に、予め定められた微小隙間を設ける。
【0025】
このように、意匠成形面14と可動壁18の上端との間に微小隙間を設けることで、可動壁18を突出位置まで突出させたときに、可動壁18の上端によって意匠成形面に損傷を与えることを防止できる。したがって、意匠成形面14の傷などが樹脂成形品の意匠面に転写されて概観不良が発生することを防止できる。
なお、可動壁18の上端と意匠成形面14との間の微小隙間が大き過ぎると、溶融樹脂が隙間に侵入してバリを発生させたり、或いは可動壁18を乗越えてしまう等の不具合が生じる。したがって、可動壁18の上面と意匠成形面14との間の微小隙間は、溶融樹脂の侵入又は通過を防げる範囲内に設定する。
【0026】
キャビティ10の幅方向における中心から両端までの距離をAとし、キャビティ10の幅方向における中心からAの70〜90%の位置に、側面16からキャビティ10の奥行き方向に沿って延びる長穴17を形成している。
このように、長穴17の位置を、キャビティ10の中心から両端までの距離の70〜90%の範囲に設定することで、幅方向の両端に先行流動が生じることを効果的に抑制することができる。したがって、前述した効果を得ることができる。
【0027】
《変形例》
なお、本実施形態では、ウェッジ構造によって可動壁18を進退させているが、これに限定されるものではなく、例えばカム構造によって可動壁18を進退させてもよい。すなわち、可動壁18の下端を、カム部材のカム面に摺接させ、このカム部材を回転させることで、可動壁18を進退させてもよい。なお、カム面は、カム部材の回転角に応じて回転中心からの距離が変化するように構成する。
その他、本実施形態の主旨を逸脱しない範囲であれば、各部材の数量、形状、位置などは任意に設定することができる。
【符号の説明】
【0028】
10…キャビティ、11…スプル、12…ランナ、13…ゲート、14…意匠成形面、15…非意匠成形面、16…側面、17…長穴、18…可動壁、21…下端面、22…ウェッジ部材、23…摺接傾斜面、24…架台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の樹脂成形品の表側に意匠面を成形するための意匠成形面と、前記樹脂成形品の裏側に非意匠面を成形するための非意匠成形面と、を対向させたキャビティを形成し、
前記意匠成形面と前記非意匠成形面とを繋ぐ側面に、前記キャビティに対して溶融樹脂の射出を行うゲートを設け、
前記意匠成形面及び前記非意匠成形面に沿った前記ゲートの幅方向を前記キャビティの幅方向とし、且つ前記ゲートの射出方向を前記キャビティの奥行き方向とし、
前記非意匠成形面には、前記キャビティの幅方向における両端と前記ゲートとの夫々の間に、前記側面から前記キャビティの奥行き方向に沿って延びる長穴を形成し、
前記長穴に嵌合し、前記非意匠成形面の位置まで退避した退避位置と、前記意匠成形面に向かって突出する突出位置との間で進退可能な可動壁を形成し、
前記キャビティに対して前記溶融樹脂の射出を行う際、前記可動壁を前記突出位置まで突出させておくことで前記溶融樹脂の幅方向への流動を一旦堰き止めてから、前記可動壁を前記退避位置へと退避させることを特徴とする射出成形方法。
【請求項2】
前記可動壁を前記突出位置まで突出させる際、前記意匠成形面と前記可動壁の上端との間に、予め定められた微小隙間を設けることを特徴とする請求項1に記載の射出成形方法。
【請求項3】
前記キャビティの幅方向における中心から両端までの距離をAとし、
前記キャビティの幅方向における中心から前記Aの70〜90%の位置に、前記側面から前記キャビティの奥行き方向に沿って延びる長穴を形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の射出成形方法。
【請求項4】
板状の樹脂成形品の表側に意匠面を成形するための意匠成形面、及び前記樹脂成形品の裏側に非意匠面を成形するための非意匠成形面を対向させて形成されたキャビティと、
前記意匠成形面と前記非意匠成形面とを繋ぐ側面に設けられ、前記キャビティに対して溶融樹脂の射出を行うゲートと、
前記意匠成形面及び前記非意匠成形面に沿った前記ゲートの幅方向を前記キャビティの幅方向とし、且つ前記ゲートの射出方向を前記キャビティの奥行き方向とし、前記キャビティの幅方向における両端と前記ゲートとの夫々の間で、前記非意匠成形面に形成され、前記側面から前記キャビティの奥行き方向に沿って延びる長穴と、
前記長穴に嵌合し、前記非意匠成形面の位置まで退避した退避位置と、前記意匠成形面に向かって突出する突出位置との間で進退可能な可動壁と、
前記キャビティに対して前記溶融樹脂の射出を行う際、前記可動壁を前記突出位置まで突出させておくことで前記溶融樹脂の幅方向への流動を一旦堰き止めてから、前記可動壁を前記退避位置へと退避させる駆動機構と、を備えることを特徴とする射出成形金型。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−206423(P2012−206423A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−74387(P2011−74387)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】