説明

射出成形機の表示装置

【課題】1成形サイクルの並列工程時間の測定、複数の工程に跨る時間の測定、任意の工程の終了から開始までの時間測定等から、サイクル時間短縮に役立つ射出成形機の表示装置を提供する。
【解決手段】射出成形機は、任意のタイミングからの経過時間を工程毎に記憶する手段、第1軸を前記任意のタイミングからの経過時間と第2軸を各工程の動作および停止状態としてグラフ表示する手段、各工程毎の開始時刻と終了時刻を抽出する手段、カーソルを前記第1軸に沿って該開始時刻または終了時刻に対応した位置に移動させる手段301〜312を有し、前記任意のタイミングからの経過時間を画面上に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は射出成形機に取り付けられる表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形機は、主に、型閉じ工程、射出・保圧工程、計量工程、冷却工程、型開き工程、エジェクト工程(突き出し工程)を製品成形の1サイクルの中で実行する。射出成形機は表示器を備えており、該表示器に、自動運転のための運転条件の設定・確認のための各種運転条件設定モ画面や、自動運転中の実測データを表示する各種実測データ表示画面などを表示するようになっている。また、前記各工程の一部を他の工程の一部と並列実行させることで1サイクルの時間を短縮し、射出成形機による製品成形の生産性を向上させることが行われている。射出成形機のユーザは、前記1サイクルの中の各工程の時間を分析して、成形工程の安定性を評価したり、成形サイクルの短縮化の検討を行っている。
【0003】
特許文献1には、射出成形時の型開閉、射出、計量、冷却等の各工程の動作順序や、並列処理を行った場合の各工程の重なり具合を確認する手段として、横軸を時間、縦軸に前記各工程の動作状態を並べたグラフを表示器に表示する技術が開示されている。前記各工程をグラフ表示することは成形サイクルの動作状態を把握する上で視認性の点で優れている。しかし、この技術は、各工程の並列処理時間の測定、複数の工程に跨る時間の測定、あるいは任意の工程が終了してから別の工程が開始するまでの時間測定など成形中の各工程の時間を様々な角度から分析し、サイクル時間の短縮方法の検討に役立てるための十分な機能を備えていない。
【0004】
特許文献2には、前記各工程の一部を並列実行させることにより1成形サイクルの短縮化が可能な射出成形機において、並列実行させる実行時間を計測し前記各工程の並列処理時間を表示器に表示する技術が開示されているが、任意の時間測定は出来ないため成形中の各工程の時間を様々な角度から分析し、サイクル時間の短縮方法の検討に役立てるための十分な機能を備えていない。
【0005】
特許文献3には、射出・保圧行程中の物理量の変化を表示するグラフ上でカーソルを移動させると共に、グラフで読み取った時間あるいは物理データを表示器に画面表示する技術が開示されているが、成形中の各工程の時間を様々な角度から分析し、サイクル時間の短縮方法の検討に役立てるための十分な機能を備えていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平2−55117号公報
【特許文献2】特開2006−15527号公報
【特許文献3】特開平6−238729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
1成形サイクルのサイクル時間を短縮するためには並列処理の時間のみならず、複数の工程に跨って時間を測定したり、任意の工程が終了してから別の工程が開始するまでの時間を測定する場合がある。前記特許文献1に開示される表示技術のように、単純に各工程の動作状態を表示するだけでは、並列処理時間を正確に把握することは不可能である。引用文献2に開示される表示技術では並列処理時間は把握できるものの、複数の工程に跨る時間測定や任意の工程が終了してから別の工程が開始するまでの時間を測定することは困難である。また、引用文献3に開示される表示技術では、グラフ上の任意のカーソル位置における時間や物理量をグラフ上から読み取ることが可能であるが、1成形サイクルの並列処理時間や複数の工程にまたがる時間測定、あるいは任意の工程が終了してから別の工程が開始するまでの時間測定はできなかった。
【0008】
そこで本発明の目的は、前記課題を解決し、1成形サイクルの工程の一部を並列実行した際の並列実行される工程の並列実行時間を測定することが可能であり、複数の工程にまたがる実行時間の測定や任意の工程が終了してから別の工程が開始するまでの時間測定が可能な射出成形機の表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願の請求項1に係る発明は、表示装置を備えた射出成形機を制御する制御装置において、射出成形機の成形サイクル中の各工程の動作および停止状態を成形サイクル中の任意のタイミングからの経過時間にしたがって工程毎に記憶する手段と、該記憶された工程毎の動作および停止状態に基づいて第1軸を前記任意のタイミングからの経過時間、第2軸を各工程の動作および停止状態としてグラフ表示する手段と、カーソルを表示する手段と、前記記憶された各工程の動作および停止状態から各工程毎の開始時刻と終了時刻を抽出する手段と、前記カーソルを前記第1軸に沿って該開始時刻または終了時刻に対応した前記第1軸の位置に移動させる手段と、該カーソルが移動した前記開始時刻又は/及び終了時刻に対応した位置における前記任意のタイミングからの経過時間を画面上に表示することを特徴とする射出成形機の表示装置である。
【0010】
請求項2に係る発明は、表示装置を備えた射出成形機を制御する制御装置において、射出成形機の成形サイクル中の各工程の動作開始時刻と終了時刻を成形サイクル中の任意のタイミングからの経過時間にしたがって工程毎に記憶する手段と、該記憶された動作開始時刻と終了時刻に基づいて第1軸を前記任意のタイミングからの経過時間、第2軸を工程毎の動作および停止状態としてグラフ表示する手段と、カーソルを表示する手段と、該カーソルを前記第1軸に沿って前記記憶された開始時刻または終了時刻に対応した前記第1軸上の位置に移動させる手段と、該カーソルが移動した前記開始時刻または終了時刻に対応した位置における前記任意のタイミングからの経過時間を画面上に表示することを特徴とする射出成形機の表示装置である。
【0011】
請求項3に係る発明は、前記カーソルは該グラフ上の第2軸と平行かつ直線のカーソルであって、該カーソルが移動した工程の前記開始時刻または終了時刻に対応した位置において、動作が継続中の工程の動作状態の表示形態を他の工程の動作状態の表示形態とは異なる形態で表示する手段を有することを特徴とする請求項1または2のいずれか一つに記載の射出成形機の表示装置である。
請求項4に係る発明は、前記カーソルを表示する手段は、第1のカーソルと第2のカーソルとを表示する手段であって、第1のカーソルを工程の開始時刻に対応した位置に移動させ、第2のカーソルを前記工程の終了時刻に対応した位置に移動させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の射出成形機の表示装置である。
【0012】
請求項5に係る発明は、前記カーソルを表示する手段は、第1のカーソルを第1の工程の開始時刻若しくは終了時刻に対応した位置に移動させ、第2のカーソルを前記第1の工程とは異なる第2の工程の開始時刻若しくは終了時刻に対応した位置に移動させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の射出成形機の表示装置である。
請求項6に係る発明は、前記第1のカーソルでの経過時刻と前記第2のカーソルでの経過時刻との差の時間を算出する差時間算出手段と、差時間算出手段により算出された差時間を表示することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の射出成形機の表示装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、1成形サイクルの工程の一部を並列実行した際の並列実行される工程の並列実行時間を測定することが可能となり、また、複数の工程にまたがる実行時間の測定や任意の工程が終了してから別の工程が開始するまでの時間測定が可能な射出成形機の表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】表示装置を備えた射出成形機の概略構成図である。
【図2】第1の動作状態グラフ表示画面である。
【図3】第2の動作状態グラフ表示画面である。
【図4】あらかじめ任意のタイミングからの型閉じ、射出・保圧、計量、冷却などの各工程の動作/停止状態を記憶するためのアルゴリズムを示すフローチャートである。
【図5】動作状態を記憶する記憶手段を説明する図である。
【図6】カーソルを移動させる処理を実行するアルゴリズムを示すフローチャートである(請求項1に対応)。
【図7−1】動作開始時刻および動作終了時刻を記憶する処理を行うアルゴリズムを示すフローチャートである(その1)。
【図7−2】動作開始時刻および動作終了時刻を記憶する処理を行うアルゴリズムを示すフローチャートである(その2)。
【図8】動作開示時刻および動作終了時刻を記憶する記憶手段に記憶される情報を説明する図である(請求項2に対応)。
【図9−1】カーソルを移動させる処理を実行するアルゴリズムを示すフローチャートである(その1)。
【図9−2】カーソルを移動させる処理を実行するアルゴリズムを示すフローチャートである(その2)。
【図10−1】カーソルを移動させる処理を実行するアルゴリズムを示すフローチャートである(その1)。
【図10−2】カーソルを移動させる処理を実行するアルゴリズムを示すフローチャートである(その2)。
【図10−3】カーソルを移動させる処理を実行するアルゴリズムを示すフローチャートである(その3)。
【図11】第1のカーソルと第2のカーソルを同一の画面に表示する実施形態を説明する図であり、第1のカーソルを工程の開始時刻に対応した位置に移動させ、第2のカーソルを前記工程の終了時刻に対応した位置に移動させる場合を説明する図である。
【図12】第1のカーソルと第2のカーソルを同一の画面に表示する実施形態を説明する図であり、第1のカーソルを第1の工程の終了時刻に対応した位置に移動させ、第2のカーソルを第1の工程とは異なる第2の工程の終了時刻に対応した位置に移動させる場合を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
図1は、本発明の一実施形態の射出成形機の要部ブロック図である。射出成形機Mは、機台上(図示省略)に型締部Mc、および射出部Miを備える。射出部Miは樹脂材料(ペレット)を加熱溶融し、当該溶融樹脂を金型40のキャビティ内に射出するものである。型締部Mcは主に金型40の開閉を行うものである。
【0016】
射出部Miを説明する。射出シリンダ1の先端にはノズル部2が取り付けられ、該射出シリンダ1内には、スクリュ3が挿通されている。スクリュ3には、スクリュ3にかかる圧力により樹脂圧力を検出するロードセル等の圧力センサ5が設けられている。スクリュ3は、スクリュ回転用サーボモータM2により、プーリ、ベルト等で構成された伝動手段6を介して回転させられる。又、スクリュ3は、スクリュ前後進用サーボモータM1によって、プーリ、ベルト、ボールねじ/ナット機構等の回転運動を直線運動に変換する機構を含む伝動手段7を介して駆動され、該スクリュ3の軸方向に移動させられる。なお、符号P1は、スクリュ前後進用サーボモータM1の位置、速度を検出することによって、スクリュ3の軸方向の位置、速度を検出する位置・速度検出器であり、符号P2は、サーボモータM2の位置、速度を検出することによって、スクリュ3の回転位置、速度を検出する位置・速度検出器である。又、符号4は、射出シリンダ1に樹脂を供給するホッパである。
【0017】
次に、型締部Mcを説明する。型締部Mcは、可動プラテン30を前後進させる可動プラテン前後進モータM3、リアプラテン31、成形品を金型から押し出すエジェクタピンを突き出すためのエジェクタ前後進モータM4、可動プラテン30、タイバー32、固定プラテン33、トグル機構34、エジェクタ機構35を備える。リアプラテン31と固定プラテン33とは複数のタイバー32で連結されており、可動プラテン30はタイバー32にガイドされるように配置されている。可動プラテン30に可動側金型40a,固定プラテン33に固定側金型の金型40bが取り付けられる。
【0018】
射出成形機の制御装置10は、数値制御用のマイクロプロセッサであるCNCCPU20、プログラマブルマシンコントローラ用のマイクロプロセッサであるPMCCPU17、及びサーボ制御用のマイクロプロセッサであるサーボCPU15を有し、バス26を介して相互の入出力を選択することにより各マイクロプロセッサ間での情報伝達が行えるようになっている。
【0019】
サーボCPU15には、位置ループ、速度ループ、電流ループの処理を行うサーボ制御専用の制御プログラムを格納したROM13やデータの一時記憶に用いられるRAM14が接続されている。また、サーボCPU15は、A/D(アナログ/デジタル)変換器16を介して射出成形機本体側に設けられた射出圧等の各種圧力を検出する圧力センサ5からの圧力信号を検出できるように接続されている。更に、サーボCPU15には、該CPU15からの指令に基づいて、射出軸に接続された射出用サーボモータM1,スクリュ回転軸に接続されたスクリュ回転用サーボモータM2を駆動するサーボアンプ12,11が接続され、各サーボモータM1,M2に取り付けられた位置・速度検出器P1,P2からの出力がサーボCPU15に帰還されるようになっている。各サーボモータM1,M2の回転位置は位置・速度検出器P1,P2からの位置のフィードバック信号に基づいてサーボCPU15により算出され、各現在位置記憶レジスタに更新記憶される。
さらに、金型の型締めを行う型締め軸を駆動するサーボモータM3,成形品を金型から取り出すエジェクタ軸用サーボモータM4には、それぞれサーボアンプ9,8が接続されている。各サーボモータM3,M4に取り付けられた位置・速度検出器P3,P4からの出力がサーボCPU15に帰還されるようになっている。各サーボモータM3,M4の回転位置は位置・速度検出器P3,P4からの位置のフィードバック信号に基づいてサーボCPU15により算出され、各現在位置記憶レジスタに更新記憶される。
【0020】
PMCCPU17には射出成形機のシーケンス動作を制御するシーケンスプログラム等を記憶したROM18および演算データの一時記憶等に用いられるRAM19が接続され、CNCCPU20には、射出成形機を全体的に制御する自動運転プログラム、本発明に関係した、各種プログラム等を記憶したROM21および演算データの一時記憶等に用いられるRAM22が接続されている。
【0021】
不揮発性メモリで構成されるデータ保存用RAM23は射出成形作業に関する成形条件と各種設定値,パラメータ,マクロ変数等を記憶する成形データ保存用のメモリである。 LCD(液晶ディスプレイ)/MDI(手動データ入力装置)25はインタフェース(I/F)24を介してバス26に接続され、グラフ表示画面や機能メニューの選択および各種データの入力操作等が行えるようになっており、数値データ入力用のテンキーおよび各種のファンクションキー等が設けられている。なお、表示装置としてはCRTを用いたものでもよい。
【0022】
以上の構成により、PMCCPU17が射出成形機全体のシーケンス動作を制御し、CNCCPU20がROM21の運転プログラムやデータ保存用RAM23に格納された成形条件等に基づいて各軸のサーボモータに対して移動指令の分配を行い、サーボCPU15は各軸に対して分配された移動指令と位置・速度検出器P1,P2,P3,P4で検出された位置および速度のフィードバック信号等に基づいて、従来と同様に位置ループ制御,速度ループ制御さらには電流ループ制御等のサーボ制御を行い、いわゆるディジタルサーボ処理を実行し、サーボモータM1,M2,M3,M4を駆動制御する。
【0023】
上述した構成は従来の電動式射出成形機の制御装置と変わりはなく、従来と異なる点は、ROM21に本発明に係る射出成形機の表示装置に表示動作させるプログラムが格納されている。また、射出成形機Mの動作状態を表す情報を格納するプログラムが格納されている。
【0024】
図2は図1の表示器25に表示される本発明の実施形態に係る第1の動作状態を表示する画面の例である。横軸は第1軸として成形サイクルの各工程の動作状態および停止状態の記憶を開始したタイミングからの経過時間を表す。縦軸は第2軸として各工程の動作状態および停止状態を表示している。カーソルは第2軸と平行にかつ直線の線分として表示画面に表示される。カーソルの色、実線か破線、点滅表示が常時表示かなどは適宜選択できる。
【0025】
射出成形機Mは図2に示されるように、1成形サイクルに金型40を閉じ型締めを行う型閉じ工程(201)、スクリュ3を前進させて溶融樹脂を金型40内に充填し、溶融樹脂が金型40内に充填された後、金型40内の樹脂の圧力を制御する射出・保圧工程(射出工程および保圧工程)(202)、スクリュ3に背圧をかけながら回転させて樹脂を溶融させ、溶融した樹脂を計量する計量工程(203)、金型40内の樹脂を冷却する冷却工程(204)、金型40を開く型開き工程(205)、および金型40内から成形品を突き出して取り出すエジェクト工程(突き出し工程)(206)を含む。射出成形機Mはこの1成形サイクルを繰り返し実行することによって、成形品を製造する。
【0026】
型閉じ工程では、トグル機構34(図1参照)を駆動させることにより、可動プラテン30に取り付けられた可動側金型40aを固定プラテン33に取り付けられた固定側金型40bの方向へ移動させて型締する。
【0027】
表示画面内には、カーソルの左方向への移動を指令するための左ボタン207、カーソルの右方向への移動を指令するための右ボタン208が表示される。また、カーソルの指定された位置(カーソル指定位置209)での基準となるタイミングからの経過時間が表示される。図3の表示画面例では、カーソルは基準のタイミングから2.50秒経過した位置に指定されていることを表している。
【0028】
図3は、第2の動作状態グラフ表示画面である。表示画面内には、カーソルを移動させる位置を設定するカーソル移動ボタンが表示されている。カーソル移動ボタンには、型閉じ開始ボタン301、型閉じ終了ボタン302、射出・保圧開始ボタン303、射出・保圧終了ボタン304、計量開始ボタン305、計量終了ボタン306、冷却開始ボタン307、冷却終了ボタン308、型開き開始ボタン309、型開き終了ボタン310、エジェクト開始ボタン311、エジェクト終了ボタン312が表示されている。
【0029】
射出成形機Mのユーザは、前記各ボタンの中からカーソルを移動させたい位置のボタンを選択し、該ボタンを押すことによりカーソルを移動させることができる。図3の例では、型開き開始ボタン309が押されたことにより、カーソルは型開き開始ボタンで指定されたカーソル位置213(型開き205の開始位置)に移動する。
【0030】
図4は、あらかじめ任意のタイミングからの型閉じ、射出・保圧、計量、冷却などの各工程の動作状態および停止状態を記憶するためのアルゴリズムを示すフローチャートである。この処理はステップSA1〜ステップSA16までの処理が所定制御周期毎(例えば、制御周期毎)に実施される。以下、各ステップに従って説明する。
●[ステップSA1]指標iを零(ゼロ)に初期化し、ステップSA2へ移行する。なお指標iは1成形サイクルの中で取得した動作状態および停止情報の情報を取得した順番を意味する。また、所定周期は設定された既知の値であるので、所定周期と指標iとを乗算することによって、指標iの時に取得した情報の時刻情報を得ることができる。
●[ステップSA2]型閉じレジスタM_CLS(i)、射出レジスタM_INJ(i)、計量レジスタM_MET(i)、冷却レジスタM_COL(i)、型閉じレジスタM_OPN(i)、およびエジェクタレジスタM_EJE(i)の値を零に初期化し、ステップSA3へ移行する。これらのレジスタは1成形サイクルの各工程で動作状態にあるのか停止状態にあるかを表す情報を格納する記憶領域である。このフローチャートでは、各工程で動作状態にあれば「1」を格納し、停止状態にあれば「0」を前記レジスタに格納する。
●[ステップSA3]型閉じ中であるか否か判断し、型閉じ中であればステップSA4へ移行し、型閉じ中でなければステップSA5へ移行する。
●[ステップSA4]型閉じレジスタM_CLS(i)に1を格納し、ステップSA5に移行する。
●[ステップSA5]射出・保圧中か否か判断し、射出・保圧中であればステップSA6へ移行し、射出・保圧中でなければステップSA7へ移行する。
【0031】
●[ステップSA6]射出・保圧レジスタM_INJ(i)に1を格納し、ステップSA7に移行する。
●[ステップSA7]計量中であるか否か判断し、計量中であればステップSA8へ移行し、計量中でなければステップSA9へ移行する。
●[ステップSA8]計量レジスタM_MET(i)に1を格納し、ステップSA9へ移行する。
●[ステップSA9]冷却中であるか否か判断し、冷却中であればステップSA10に移行し、冷却中でなければステップSA11へ移行する。
【0032】
●[ステップSA10]冷却レジスタM_COL(i)に1を格納し、ステップSA11へ移行する。
●[ステップSA11]型開中か否か判断し、型開き中であればステップSA12へ移行し、型開き中でなければステップSA13へ移行する。
●[ステップSA12]型開きレジスタM_OPN(i)に1を格納し、ステップSA13へ移行する。
●[ステップSA13]エジェクト中であるか否か判断し、エジェクト中であればステップSA14へ移行し、エジェクト中でなければステップSA15へ移行する。
●[ステップSA14]M_EJE(i)に1を格納しステップSA15へ移行する。
●[ステップSA15]1サイクル終了か否か判断し、1サイクル終了でなければステップSA16へ移行し、1サイクル終了であれば、この回の成形サイクルにおける動作状態および停止状態の情報を取得する処理を終了する。
●[ステップSA16]指標iを1増加し、ステップSA2に戻り、動作状態および停止状態の情報を取得する処理を継続する。
【0033】
上記のステップSA3,SA5,SA7,SA9,SA11,SA13,SA15における判断は、射出成形機のプロセッサ(CPU)がプログラムに基づいて指令する指令信号や射出成形機に備わった各種センサからの出力信号に基づいて判断される。
例えば、型閉じ開始、射出開始、計量開始、エジェクト開始等は、プログラムで指令されることから、この指令に基づいて、これらの事象が発生したか否か判断することができる。
型閉じ完了、射出・保圧完了、計量完了、エジェクト完了等は、指令された位置までサーボモータなどが駆動したか(サーボモータの場合、指令された位置まで到達し、インポジション信号が発生したか)によってこれらの事象が発生したか否か判断することができる。
また、冷却開始や冷却終了は、設定されたタイマが起動するあるいはタイムアップとなって、設定冷却時間が経過したことをもって、これらの事象が発生したか否か判断することができる。
【0034】
上記のフローチャートによる処理は、成形サイクルの開始から任意の時間を入力して設定するステップを付加してもよい。そして、設定した時間経過を待って、各工程の動作状態と停止状態を記憶するようにしてもよい。このように構成することにより、1成形サイクルの開始と同時に開始することに限定されず、成形サイクルの任意のタイミングからの経過時間に従って、各工程の動作状態および停止状態を記憶することができる。
【0035】
図5は動作状態を記憶する記憶手段を説明する図である。図4に示される成形サイクルにおける各工程の動作状態および停止状態の情報を取得する処理により取得した情報は、記憶手段に図5のように記憶される。記憶手段として具体的には例えばRAM22が用いられる(図1参照)。
【0036】
各指標iに対応させて、型閉じレジスタM_CLS(i)、射出レジスタM_INJ(i)、計量レジスタM_MET(i)、冷却レジスタM_COL(i)、型閉じレジスタM_OPN(i)、エジェクトレジスタM_EJE(i)に1成形サイクルを実行する際に取得された動作状態を表す情報が格納される。前述したように、所定周期と指標iとを乗算することにより、この指標iの時の時刻情報を求めることができる。
【0037】
図6は表示装置の画面上でカーソルを移動させる処理を実行するアルゴリズムを示すフローチャートである以下、各ステップに従って説明する。
●[ステップSB1]カーソルの位置を示すカーソル位置cの値を零とし初期化し、ボタンBの値を零とし初期化し、ステップSB2に移行する。カーソルは指標iと対応させてその位置が特定される(図5参照)。
●[ステップSB2]右ボタンが押されたか否か判断し、押された場合にはステップSB3へ移行し、押されていない場合にはステップSB7へ移行する。
●[ステップSB3]cに1加算し、その結果をcとする。BをRにする。
●[ステップSB4]cはnより大きいか否か判断し、大きい場合にはステップSB5へ移行し、大きくない場合にはステップSB6へ移行する。ここで、nは図5に示される指標iの最大値である。
●[ステップSB5]cをnとし、ステップSB6へ移行する。
【0038】
●[ステップSB6]型閉じレジスタM_CLS(c)に格納されているデータと型閉じレジスタM_CLS(c−1)に格納されているデータとが等しくないか、または、射出レジスタM_INJ(c)に格納されているデータと射出レジスタM_INJ(c−1)に格納されているデータとが等しくないか、または、計量レジスタM_MET(c)に格納されているデータと計量レジスタM_MET(c−1)に格納されているデータとが等しくないか、または、冷却レジスタM_COL(c)に格納されているデータと冷却レジスタM_COL(c−1)に格納されているデータに格納されているデータとが等しくないか、型閉じレジスタM_OPN(c)に格納されているデータと型閉じレジスタM_OPN(c−1)に格納されているデータとが等しくないか、または、エジェクトレジスタM_EJE(c)に格納されているデータとエジェクトレジスタM_EJE(c−1)に格納されているデータとが等しくないか、を判断し、いずれも等しい場合にはステップSB2に戻り処理を継続し、いずれか1つでも等しくない場合にはステップSB12に移行する。
●[ステップSB7]左ボタンが押されたか否か、または、B=Lであるか否か判断し、押された場合、または、B=Lの場合には、ステップSB8へ移行し、そうでない場合には、ステップSB14へ移行する。
●[ステップSB8]c−1をcにし、BをLにし、ステップSB9へ移行する。
●[ステップSB9]cは0より小さいか否か判断し、小さい場合にはステップSB10へ移行し、小さくない場合にはステップSB11へ移行する。
【0039】
●[ステップSB10]cを零とし、ステップSB11へ移行する。
●[ステップSB11]型閉じレジスタM_CLS(c)に格納されているデータと型閉じレジスタM_CLS(c+1)に格納されているデータとが等しくないか、または、射出レジスタM_INJ(c)に格納されているデータと射出レジスタM_INJ(c+1)に格納されているデータとが等しくないか、または、計量レジスタM_MET(c)に格納されているデータと計量レジスタM_MET(c+1)に格納されているデータとが等しくないか、または、冷却レジスタM_COL(c)に格納されているデータと冷却レジスタM_COL(c+1)に格納されているデータに格納されているデータとが等しくないか、型閉じレジスタM_OPN(c)に格納されているデータと型閉じレジスタM_OPN(c+1)に格納されているデータとが等しくないか、または、エジェクトレジスタM_EJE(c)に格納されているデータとエジェクトレジスタM_EJE(c+1)に格納されているデータとが等しくないか、を判断し、いずれも等しい場合にはステップSB2に戻り、いずれか1つでも等しくない場合にはステップSB12に移行する。
●[ステップSB12]Bを零(ゼロ)にし、ステップSB13へ移行する。
●[ステップSB13]カーソルをcの位置に表示し、カーソル指定位置(サンプリング時間Cx)を画面表示し、cに対応する各工程の各レジスタに1が格納されている動作状態のグラフの色を変更し、ステップSB2へ移行する。図2に則して説明すると、カーソル移動ボタンの右ボタン208を押すと、カーソルは右方向(紙面右方向)へ移動する。前回のカーソルが、前回のカーソル位置211にある場合、右ボタン208が押されると、図6のステップSB2でYESと判断される。そうすると、ステップSB3〜ステップSB6の処理がなされる。指標cを増加していき、冷却工程の終了時点を表す値になると(図5参照、1から0への変化点に到達する)、ステップSB6の判断がYESとなり、ステップSB13の処理がなされる。これにより、カーソルは、今回のカーソル位置212に移動する。そして、計量工程の動作状態を表すグラフ203はレジスタM_MET(c)が1であるので、この動作状態のグラフの色を変更する(他の工程の動作状態の色と変更し、ユーザが確認し易くするためである)。なお、グラフの色表示を変更しない形態(例えば、表示色を変えずに網掛けとする形態)としてもよい。
●[ステップSB14]グラフ表示終了か否か判断し、終了でなければステップSB2に戻り処理を継続し、グラフ表示終了であれば、この処理を終了する。
【0040】
図7−1,図7−2は動作開始時刻および動作終了時刻を記憶する処理を行うアルゴリズムを示すフローチャートである。以下、各ステップに従って説明する。なお、図1に示した射出成形機Mの制御装置10は計時機能(タイマ)を有している。
●[ステップSC1]タイマTaを零に初期化し、ステップSC2へ移行する。
●[ステップSC2]タイマTaを計時開始し、ステップSC3へ移行する。
●[ステップSC3]型閉じ開始か否か判断し、型閉じ開始の場合にはステップSC4へ移行し、型閉じ開始でない場合にはステップSC5へ移行する。
●[ステップSC4]レジスタT(0)にTaを格納し、ステップSC2へ戻る。レジスタT(0)は型閉じ開始の時刻情報を格納するレジスタである。
●[ステップSC5]型閉じ終了か否か判断し、型閉じ終了の場合にはステップSC6へ移行し、型閉じ終了でない場合にはステップSC7へ移行する。
【0041】
●[ステップSC6]レジスタT(1)にTaを格納し、ステップSC2へ戻る。レジスタT(1)は型閉じ終了の時刻情報を格納するレジスタである。
●[ステップSC7]射出開始か否か判断し、射出開始の場合にはステップSC8へ移行し、射出開始でない場合にはステップSC9へ移行する。
●[ステップSC8]レジスタT(2)にTaを格納し、ステップSC2へ戻る。レジスタT(2)は射出開始の情報を格納するレジスタである。
●[ステップSC9]保圧終了か否か判断し、保圧終了であればステップSC10へ移行し、保圧終了でない場合にはステップSC11へ移行する。
【0042】
●[ステップSC10]レジスタT(3)にTaを格納し、ステップSC2へ戻る。レジスタT(3)は保圧完了の時刻情報を格納するレジスタである。
●[ステップSC11]計量開始か否か判断し、計量開始の場合にはステップSC12へ移行し、計量開始でない場合にはステップSC13へ移行する。
●[ステップSC12]レジスタT(4)にTaを格納し、ステップSC2に戻る。レジスタT(4)は計量開始の時刻情報を格納するレジスタである。
●[ステップSC13]計量終了か否か判断し、計量終了の場合にはステップSC14へ移行し、計量終了ではない場合ステップSC15へ移行する。
●[ステップSC14]レジスタT(5)にTaを格納し、ステップSC2に戻る。レジスタT(5)は計量終了の時刻情報を格納するレジスタである。
●[ステップSC15]冷却開始か否か判断し、冷却開始の場合にはステップSC16へ移行し、冷却開始ではない場合にはステップSC17へ移行する。
●[ステップSC16]レジスタT(6)にTaを格納する。レジスタT(6)は冷却開始の時刻情報を格納するレジスタである。
●[ステップSC17]冷却終了か否か判断し、冷却終了の場合にはステップSC18に移行し、冷却終了でない場合にはステップSC19に移行する。
●[ステップSC18]レジスタT(7)にTaを格納し、ステップSC2に戻る。レジスタT(7)は冷却終了の時刻情報を格納するレジスタである。
●[ステップSC19]型開き開始か否か判断し、型開き開始の場合にはステップSC20へ移行し、型開き開始ではない場合にはステップSC21に移行する。
【0043】
●[ステップSC20]レジスタT(8)にTaを格納し、ステップSC2に戻る。レジスタT(8)は型開き開始の時刻情報を格納するレジスタである。
●[ステップSC21]型開き終了か否か判断し、型開き終了の場合にはステップSC20に移行し、型開き終了ではない場合にはステップSC23に移行する。
●[ステップSC22]レジスタT(9)にTaを格納し、ステップSC2に戻る。レジスタT(9)は型開き終了の時刻情報を格納するレジスタである。
●[ステップSC23]エジェクト開始か否か判断し、エジェクト開始の場合にはステップSC24へ移行し、エジェクト開始でない場合にはステップSC25へ移行する。
●[ステップSC24]レジスタT(10)にTaを格納し、ステップSC2に戻る。レジスタT(10)はエジェクト開始の時刻情報を格納するレジスタである。
●[ステップSC25]エジェクト終了か否か判断し、エジェクト終了の場合にはステップSC26へ移行し、エジェクト終了でない場合にはステップSC27へ移行する。
●[ステップSC26]レジスタT(11)にTaを格納し、ステップSC2に戻る。レジスタT(11)はエジェクト終了の時刻情報を格納するレジスタである。
●[ステップSC27]1サイクル終了か否か判断し、終了でない場合にはステップSC2に戻り、1サイクル終了の場合には今回の成形サイクルを終了する。
【0044】
図8は、1成形サイクルにおける各工程の動作開始時刻および動作終了時刻を記憶手段に記憶することを説明する図である。図7−1,図7−2で説明した処理により、型閉じ工程の動作開示時刻はレジスタT(0)に格納される。型閉じ工程の動作終了時刻はレジスタT(1)に格納される。射出・保圧工程の動作開始時刻はレジスタT(2)に格納される。射出・保圧工程の動作終了時刻はレジスタT(3)に格納される。計量工程の動作開始時刻はレジスタT(4)に格納される。計量工程の動作終了時刻はレジスタT(5)に格納される。冷却工程の動作開始時刻はレジスタT(6)に格納される。冷却工程の動作終了時刻はレジスタT(7)に格納される。型開き工程の動作開始時刻はレジスタT(8)に格納される。型開き工程の動作終了時刻はレジスタT(9)に格納される。エジェクト工程の動作開始時刻はレジスタT(10)に格納される。エジェクト工程の動作終了時刻はレジスタT(11)に格納される。
【0045】
図9−1,図9−2はカーソルを移動させる処理を実行するアルゴリズムを示すフローチャートである。このアルゴリズムのフローチャートは図2に示されるカーソルの移動動作を実現するための処理を行う。各ステップに従って説明する。
●[ステップSD1]Tpを零に初期化し、ステップSD2へ移行する。Tpはカーソルの位置を特定する情報である。
●[ステップSD2]kを零に初期化し、ステップSD3へ移行する。
●[ステップSD3]右ボタンが押されたか否か判断し、押された場合にはステップSD4へ移行し、押されていない場合にはステップSD8へ移行する。
●[ステップSD4]kを1加えた値をkとし、ステップSD5へ移行する。
●[ステップSD5]kは11より大きいか否か判断し、kが11より大きい場合にはステップSD6へ移行し、kが11より大きくない場合にはステップSD7へ移行する。
●[ステップSD6]kを11とし、ステップSD7へ移行する。
●[ステップSD7]T(k)はTpより大きいか否か判断し、大きい場合にはステップSD13へ移行し、大きくない場合にはステップSD4へ戻る。T(k)は図8に示されるレジスタに格納されている動作開始時刻あるいは動作終了時刻の情報である。
●[ステップSD8]左ボタンが押されたか否か判断し、左ボタンが押された場合には、ステップSD9へ移行する。
●[ステップSD9]kから1を減算じ、得られた値をkとする。
【0046】
●[ステップSD10]kは零より小さいか否か判断し、零より小さい場合にはステップSD11に移行し、零より小さくない場合ないはステップSD12に移行する。
●[ステップSD11]kの値を零とし、ステップSD12へ移行する。
●[ステップSD12]T(k)はTpより小さいか否か判断し、小さい場合にはステップSD13へ移行し、小さくない場合にはステップSD9へ戻る。
●[ステップSD13]T(k)をTpとし、ステップSD14へ移行する。
●[ステップSD14]カーソルをTpの位置に表示処理し、表示器の表示画面にカーソルを画面表示し、ステップSD15へ移行する。また、カーソル位置を示すTpのデータを表示画面に表示する(図2、図3を参照)。
●[ステップSD15]TpはT(0)より大きく、かつ、T(1)より小さいか否か判断し、その場合(YES)にはステップSD16に移行し、そうでない場合(NO)にはステップSD17へ移行する。
●[ステップSD16]型閉じ工程の動作状態のグラフの色を変更処理し、ステップSD3に戻る。
●[ステップSD17]TpはT(2)より大きく、かつ、T(3)より小さいか否か判断し、その場合(YES)にはステップSD18に移行し、そうでない場合(NO)にはステップSD19へ移行する。
●[ステップSD18]射出・保圧工程の動作状態のグラフの色を変更し、ステップSD3に戻る。
●[ステップSD19]TpはT(4)より大きく、かつ、T(3)より小さいか否か判断し、その場合(YES)にはステップSD20へ移行し、そうでない場合(NO)にはステップSD21に移行する。
【0047】
●[ステップSD20]計量工程の動作状態のグラフの色を変更し、ステップSD3へ戻る。
●[ステップSD21]TpはT(6)より大きく、かつ、T(7)より小さいか否かを判断し、その場合(YES)にはステップSD22へ移行し、そうでない場合(NO)にはステップSD23へ移行する。
●[ステップSD22]冷却工程の動作状態のグラフの色を変更し、ステップSD3へ戻る。
●[ステップSD23]TpはT(8)より大きく、かつ、T(9)より小さいか否かを判断し、その場合(YES)にはステップSD24へ移行し、そうでない場合(NO)にはステップSD25へ移行する。
●[ステップSD24]型開き工程の動作状態のグラフの色を変更し、ステップSD3へ戻る。
●[ステップSD25]TpはT(10)より大きく、かつ、T(11)より小さいか否かを判断し、その場合(YES)にはステップSD26へ移行し、そうでない場合(NO)にはステップSD2に戻る。
●[ステップSD26]エジェクト工程の動作状態のグラフの色を変更し、ステップSD3に戻る。
●[ステップSD27]グラフ表示の終了か否か判断し、終了でなければステップSD3に戻り処理を継続し、終了の場合にはこの処理を終了する。
【0048】
図10−1〜図10−3は、カーソルを移動させる処理を実行するアルゴリズムを示すフローチャートである。以下、各ステップに従って説明する。
●[ステップSE1]型閉じ開始ボタンが押されたか否か判断し、押された場合にはステップSE2に移行し、押されていない場合にはステップSE3へ移行する。
●[ステップSE2]TpにT(0)を代入し、ステップSE25に移行する。
●[ステップSE3]型閉じ終了ボタンが押されたか否か判断し、押された場合にはステップSE4へ移行し、押されていない場合にはステップSE5へ移行する。
●[ステップSE4]TpにT(1)を代入し、ステップSE25に移行する。
●[ステップSE5]射出・保圧開始ボタンが押されたか否か判断し、押された場合にはステップSE6へ移行し、押されていない場合にはステップSE7へ移行する。
●[ステップSE6]TpにT(2)を代入し、ステップSE25に移行する。
●[ステップSE7]射出・保圧終了ボタンが押されたか否か判断し、押された場合にはステップSE8へ移行し、押されていない場合にはステップSE9へ移行する。
●[ステップSE8]TpにT(3)を代入し、ステップSE25へ移行する。
●[ステップSE9]計量開始ボタンが押されたか否か判断し、押された場合にはステップSE10へ移行し、押されていない場合にはステップSE11へ移行する。
【0049】
●[ステップSE10]TpにT(4)を代入し、ステップSE25へ移行する。
●[ステップSE11]計量終了ボタンが押されたか否か判断し、押された場合にはステップSE12へ移行し、押されていない場合にはステップSE13に移行する。
●[ステップSE12]TpにT(5)を代入し、ステップSE25へ移行する。
●[ステップSE13]冷却開始ボタンが押されたか否か判断し、押された場合にはステップSE14へ移行し、押されていない場合にはステップSE15へ移行する。
●[ステップSE14]TpにT(6)を代入し、ステップSE25へ移行する。
●[ステップSE15]冷却終了ボタンが押されたか否か判断し、押された場合にはステップSE16へ移行し、押されていない場合にはステップSE17へ移行する。
●[ステップSE16]TpにT(7)を代入し、ステップSE25へ移行する。
●[ステップSE17]型開き開始ボタンが押されたか否か判断し、押された場合にはステップSE18へ移行し、押されていない場合にはステップSE19へ移行する。
●[ステップSE18]TpにT(8)を代入し、ステップSE25へ移行する。
●[ステップSE19]型開き終了ボタンが押されたか否か判断し、押された場合にはステップSE20へ移行し、押されていない場合にはステップSE21へ移行する。
【0050】
●[ステップSE20]TpにT(9)を代入し、ステップSE25へ移行する。
●[ステップSE21]エジェクト開始ボタンが押されたか否か判断し、押された場合にはステップSE22へ移行し、押されていない場合にはステップSE23へ移行する。
●[ステップSE23]エジェクト終了ボタンが押されたか否か判断し、押された場合にはステップSE24へ移行し、押されていない場合にはステップSE38へ移行する。
●[ステップSE25]カーソルをTpの位置に表示画面に表示し、Tpの値を表示画面に表示し、ステップSE26へ移行する。
●[ステップSE26]TpはT(0)より大きく、かつ、T(1)より小さいか否か判断し、その場合(YES)にはステップSE27に移行し、そうでない場合(NO)にはステップSE28へ移行する。
●[ステップSE27]型閉じ工程の動作状態のグラフの色を変更処理し、ステップSE1に戻る。
●[ステップSE28]TpはT(2)より大きく、かつ、T(3)より小さいか否か判断し、その場合(YES)にはステップSE29に移行し、そうでない場合(NO)にはステップSE30へ移行する。
●[ステップSE29]射出・保圧工程の動作状態のグラフの色を変更し、ステップSE1に戻る。
【0051】
●[ステップSE30]TpはT(4)より大きく、かつ、T(5)より小さいか否か判断し、その場合(YES)にはステップSE31へ移行し、そうでない場合(NO)にはステップSE32に移行する。
●[ステップSE31]計量工程の動作状態のグラフの色を変更し、ステップSE1へ戻る。
●[ステップSE32]TpはT(6)より大きく、かつ、T(7)より小さいか否かを判断し、その場合(YES)にはステップSE33へ移行し、そうでない場合(NO)にはステップSE34へ移行する。
●[ステップSE33]冷却工程の動作状態のグラフの色を変更し、ステップSE1へ戻る。
●[ステップSE34]TpはT(8)より大きく、かつ、T(9)より小さいか否かを判断し、その場合(YES)にはステップSE35へ移行し、そうでない場合(NO)にはステップSE36へ移行する。
●[ステップSE35]型開き工程の動作状態のグラフの色を変更し、ステップSE1へ戻る。
●[ステップSE36]TpはT(10)より大きく、かつ、T(11)より小さいか否かを判断し、その場合(YES)にはステップSE37へ移行し、そうでない場合(NO)にはステップSE1に戻る。
●[ステップSE37]エジェクト工程の動作状態のグラフの色を変更し、ステップSE1に戻る。
●[ステップSE38]グラフ表示の終了か否か判断し、終了でなければステップSE1に戻り処理を継続し、終了の場合にはこの処理を終了する。
【0052】
本発明の実施形態によれば、カーソルを使用してグラフ上の時間を測定するので、ユーザは自由に測定位置を指定することができる。また、本発明の実施形態によれば、カーソルはカーソル移動キーによって、あらかじめ記憶された各工程の開示時刻または終了時刻に正確に移動するため、開始時刻や終了時刻を検索するためにカーソル位置を微調整する手間は不要である。
【0053】
さらに、第2軸と平行かつ直線の線分のカーソルを使用すれば、カーソルは各工程に跨ってグラフ上に表示されるため、カーソルと各工程の動作状態の重なり具合によって並列処理が行われているか否かを容易に確認することができる。なお、重なりがあった場合にはその動作状態の表示形態を他の動作状態の表示形態と異なる方法(例えば、色や網掛けを変えて表示する方法)で表示すればより簡単に並列処理が行われているかどうかを確認することができる。
【0054】
上述した本発明の実施形態では表示装置の画面に表示されるカーソルの数は1本として説明した。更にもう1本のカーソルを表示するようにすれば、動作時間の時間測定は簡単に実行できる。
【0055】
図11は、第1のカーソルと第2のカーソルを同一の画面に表示する実施形態を説明する図であり、第1のカーソルを工程の開始時刻に対応した位置に移動させ、第2のカーソルを前記工程の終了時刻に対応した位置に移動させる場合を説明する図である。
【0056】
図12は、第1のカーソルと第2のカーソルを同一の画面に表示する実施形態を説明する図であり、第1のカーソルを第1の工程の終了時刻に対応した位置に移動させ、第2のカーソルを第1の工程とは異なる第2の工程の終了時刻に対応した位置に移動させる場合を説明する図である。なお、第1の工程では開始時刻若しくは終了時刻を選択してよい。また、同様に、第2の工程では開始時刻若しくは終了時刻を選択してよい。
【0057】
2本の独立したカーソルを表示するためには、図6、図9−1,図9−2、図10−1〜図10−3に示される処理を独立して実行し、それぞれのカーソルの位置(時刻)の情報をそれぞれ取得し記憶手段に格納する。そして、それらの情報を用いて、差時間算出手段により時間の差分を算出することにより、動作時間の2点間の時間測定は簡単に行える。
【符号の説明】
【0058】
M 射出成形機
T(0) 型閉じ開始レジスタ
T(1) 型閉じ終了レジスタ
T(2) 射出・保圧開始レジスタ
T(3) 射出・保圧終了レジスタ
T(4) 計量開始レジスタ
T(5) 計量終了レジスタ
T(6) 冷却開始レジスタ
T(7) 冷却終了レジスタ
T(8) 型開き開始レジスタ
T(9) 型開き終了レジスタ
T(10) エジェクト開始レジスタ
T(11) エジェクト終了レジスタ
M_CLS(i) 型閉じレジスタ
M_INJ(i) 射出レジスタ
M_MET(i) 計量レジスタ
M_COL(i) 冷却レジスタ
M_OPN(i) 型開きレジスタ
M_EJE(i) エジェクトレジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置を備えた射出成形機を制御する制御装置において、
射出成形機の成形サイクル中の各工程の動作および停止状態を成形サイクル中の任意のタイミングからの経過時間にしたがって工程毎に記憶する手段と、
該記憶された工程毎の動作および停止状態に基づいて第1軸を前記任意のタイミングからの経過時間、第2軸を各工程の動作および停止状態としてグラフ表示する手段と、
カーソルを表示する手段と、
前記記憶された各工程の動作および停止状態から各工程毎の開始時刻と終了時刻を抽出する手段と、
前記カーソルを前記第1軸に沿って該開始時刻または終了時刻に対応した前記第1軸の位置に移動させる手段と、
該カーソルが移動した前記開始時刻又は/及び終了時刻に対応した位置における前記任意のタイミングからの経過時間を画面上に表示することを特徴とする射出成形機の表示装置。
【請求項2】
表示装置を備えた射出成形機を制御する制御装置において、
射出成形機の成形サイクル中の各工程の動作開始時刻と終了時刻を成形サイクル中の任意のタイミングからの経過時間にしたがって工程毎に記憶する手段と、
該記憶された動作開始時刻と終了時刻に基づいて第1軸を前記任意のタイミングからの経過時間、第2軸を工程毎の動作および停止状態としてグラフ表示する手段と、
カーソルを表示する手段と、
該カーソルを前記第1軸に沿って前記記憶された開始時刻または終了時刻に対応した前記第1軸上の位置に移動させる手段と、
該カーソルが移動した前記開始時刻または終了時刻に対応した位置における前記任意のタイミングからの経過時間を画面上に表示することを特徴とする射出成形機の表示装置。
【請求項3】
前記カーソルは該グラフ上の第2軸と平行かつ直線のカーソルであって、該カーソルが移動した工程の前記開始時刻または終了時刻に対応した位置において、動作が継続中の工程の動作状態の表示形態を他の工程の動作状態の表示形態とは異なる形態で表示する手段を有することを特徴とする請求項1または2のいずれか一つに記載の射出成形機の表示装置。
【請求項4】
前記カーソルを表示する手段は、第1のカーソルと第2のカーソルとを表示する手段であって、第1のカーソルを工程の開始時刻に対応した位置に移動させ、第2のカーソルを前記工程の終了時刻に対応した位置に移動させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の射出成形機の表示装置。
【請求項5】
前記カーソルを表示する手段は、第1のカーソルを第1の工程の開始時刻若しくは終了時刻に対応した位置に移動させ、第2のカーソルを前記第1の工程とは異なる第2の工程の開始時刻若しくは終了時刻に対応した位置に移動させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の射出成形機の表示装置。
【請求項6】
前記第1のカーソルでの経過時刻と前記第2のカーソルでの経過時刻との差の時間を算出する差時間算出手段と、
差時間算出手段により算出された差時間を表示することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の射出成形機の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図8】
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【図9−1】
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【図9−2】
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【図10−1】
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【図10−2】
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【図10−3】
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【図11】
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【図12】
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