説明

射出成形機ホッパー

組立式ホッパー、電熱送風システム(14)及び温度制御システムを含む射出成形機ホッパーであり、組立式ホッパーは2つ又は2つ以上のサブホッパーからなり、各サブホッパーに独立なサブ供給口(1)、サブ排出口(7)、及び独立に制御可能な分岐送風口(8)が設けられ、サブホッパー全体のサブ排出口(7)は、サブ排出口(7)の下方に設けられる恒温チャンバー(9)に連通され、恒温チャンバー(9)の下部に主排出口(5)及び主送風口(6)が設けられ、恒温チャンバー(9)及び各サブホッパーは、独立な温度制御システムを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は射出成形機ホッパーに係り、特に複数種類の原料に対して単独な乾燥焼戻焼戻を同時に行うことが可能な一体多室プラスチック成形ホッパーに係る。
【背景技術】
【0002】
プラスチック製品の射出成形過程において、通常、原材料の含水量は5‰を超えてはいけないと要求されるため、射出成形前に原材料に対して乾燥焼戻処理を行う必要があり、一般的な工程は原材料に対して90〜2000℃で1〜6時間の乾燥焼戻処理を行う。従来の射出成形ホッパーは恒温槽の前に専用焼戻乾燥装置を設け、乾燥焼戻を完成した後、原材料を恒温槽に送り、この過程において、大量の熱量が発散されるとともに、運送過程においても原材料の二次汚染が生じやすく、人力物力を消耗するほかに、製品の品質にも大きく影響する。また、多層複合プラスチック製品の射出成形過程において、異なる原材料の乾燥焼戻過程は、異なる温度と時間を用いるため、複数の専用焼戻乾燥装置を用いて複数の異なる原材料を処理する必要があり、上述した問題は特に深刻である。公開日が2009年7月29日、公開番号がCN101491935Aの中国特許出願では射出成形機において各ホッパー温度同期制御システム及び方法を公開し、射出成形機において各段ホッパー温度同期システム及びその制御方法を提供した。該システムはホッパー各段位置に位置する複数の電熱器及び対応する装着位置を有する温度センサーを含み、各温度センサーは信号線により温度設定モジュールに接続され、温度設定モジュール、温度同期制御モジュール及びPID制御モジュールは信号線により順次に接続され、PID制御モジュールは信号線により前記各電熱器に接続される。本発明は射出成形機の各段ホッパーの温度設置が一致せず、又は散熱状況が一致しない場合に、各段温度が同時に設定値に達するように素早く制御を行う。各段ホッパー温度設定値と実際値との間の誤差をリアルタイムに検出した後、各段の制御出力を得て各段の加熱器の動作を制御し、各段の温度の正確な制御を実現することで、射出成形機各段ホッパー温度が同期に、素早く設定温度に達するようになる。該方法は単一のホッパーに対して段階的に温度を制御する構想を提供し、温度制御の精度を上げることはできるが、射出成形過程において、原材料の転送工程のエネルギー消耗が大きく、作業員の労働強度が高く、及び原材料の二次汚染による製品品質への影響の技術問題を解決できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、従来の射出成形生産過程において原材料の転送工程のエネルギー消耗が大きく、作業員の労働強度が高く、及び原材料二次汚染による製品品質への影響の技術問題を解決するために、エネルギー消耗が小さく、時間と人力を節約し、且つ二次汚染が生じず、製品品質のよい一体多室プラスチック成形ホッパーを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上述した技術目的を達成するために、以下のような具体的な技術的手段を用いる。一体多室プラスチック成形ホッパーであって、組立式ホッパー、電熱送風システム及び温度制御システムを含み、前記組立式ホッパーは2つ又は2つ以上のサブホッパーからなり、各サブホッパーに独立なサブ供給口、サブ排出口、及び独立に開閉制御可能な分岐送風口が設けられ、サブホッパー全体のサブ排出口は、サブ排出口の下方に設けられる恒温チャンバーに連通され、恒温チャンバーの下部に主排出口及び主送風口が設けられ、恒温チャンバー及び各サブホッパーは独立な温度制御システムを有する。従来技術において単独な、別個設置された原材料乾燥焼戻装置を、サブホッパーの形式で射出成形機ホッパーの上部に集中設置し、各サブホッパーに独立なサブ供給口、サブ排出口、及び独立に開閉制御可能な分岐送風口が設けられ、射出成形機ホッパーの下部を恒温チャンバーとして使用し、恒温チャンバーの下部に主排出口及び主送風口が設けられ、恒温チャンバー及び各サブホッパーは独立な温度制御システムを有し、したがって、複数種類の原材料を、各サブホッパー内において異なる温度及び時間で独立に乾燥焼戻を行うことができ、全部の乾燥焼戻を完成した後、サブ排出口を開ければ、サブホッパー内の原材料は恒温チャンバーに直接に入り、恒温チャンバーで混合及び調温処理を行った後、射出成形の操作を行うことができる。複数種類の原材料の乾燥焼戻は同一な大容器内で完成するため、別体構造で存在する運転熱量損失が大きく、作業員の労働強度が高い問題を回避する他に、運転過程において生じかねない二次汚染問題が存在せず、製品の品質を確保する。説明すべきなのは、サブホッパーの数量は通常、乾燥焼戻しようとする原材料の種類数に一致する。加えて、補助材料をサブホッパー内において加熱することもでき、この場合、サブホッパーの数量は原材料の種類数より多くてもよい。サブホッパーの体積に関し、原材料又は補助材料の数によりサブホッパーの大きさを確定してもよい、即ちサブホッパーは同じ大きさの構造を用いてもよく、大きさにばらつきのある構造でもよい。
【0005】
好ましくは、サブホッパーの分岐送風口は、分岐送風ラインにより1つの送風システム内に並列接続され、各分岐送風ラインに、サブ空気弁及び分岐加熱装置が設けられ、前記恒温チャンバー上の主送風口は、主送風ラインと分岐送風ラインにより同一な送風システム内に並列接続され、主送風ラインに主空気弁及び主加熱装置が設けられる。システム全体が熱風により加熱されるため、同一な送風システムを用いると、コストを節約でき、また、各サブホッパー及び恒温チャンバーのいずれも空気弁及び加熱装置により加熱温度及び加熱時間を制御できる。
【0006】
好ましくは、サブホッパー上部の収納空間とサブ排出口、分岐送風口との間にサブ格子網が設けられ、恒温チャンバーと主排出口、主送風口との間に主格子網が設けられる。サブホッパー及び恒温チャンバー内に格子網を設置すると、サブホッパー又は恒温チャンバーの底部エリアに一定の空間を形成でき、この空間は、サブホッパー又は恒温チャンバーに入る熱風をサブホッパー又は恒温チャンバー原材料エリアに均一に入れ、原材料の加熱の均一さを確保する。
【0007】
好ましくは、各サブホッパーのサブ供給口にフリップカバーが設けられ、フリップカバーはサブホッパーにヒンジ接続され、フリップカバーに換気口が設けられ、恒温チャンバーの上方にも排気口が設けられる。フリップカバー構造は原材料の投入に便利であり、換気口はサブホッパーの湿気を排出することに用いられる。このため、恒温チャンバーの上方にも排気口を対応させて設置する。
【0008】
好ましくは、恒温チャンバー内に撹拌装置が設けられる。撹拌装置は各サブホッパー内から流出した原材料を迅速に均一混合することが可能であり、恒温チャンバー内の各種原材料の均一さを保証する。
【0009】
好ましくは、サブホッパーとサブホッパー、及びサブホッパーと恒温チャンバーとの間に断熱隔離層が設けられる。断熱隔離層の作用は、保温と、各サブホッパー及び恒温チャンバーの相対的な独立性を保証することであり、それらの間において過度の熱量伝達により各自の温度調節に影響が及ぶことを防止する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の有益な効果は、従来の射出成形生産過程において原材料の転送工程のエネルギー消耗が大きく、作業員の労働強度が高く、及び原材料の二次汚染による製品品質への影響の技術問題を有効に解決し、本発明の構造が簡単で、エネルギー消耗及び労働力コストが低く、効率が高く、製品品質がよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一体多室プラスチック成形ホッパーの構造を説明する図である。
【図2】本発明の一体多室プラスチック成形ホッパーのもう1種の構造を説明する図である。
【図3】図1の平面構造を説明する図である。
【図4】図2の平面構造を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態により、図面を参照しながら本発明の技術的手段の具体的な実施方式について詳しく説明する。
【0013】
実施形態1
図1、図3に示す実施形態1において、一体多室プラスチック成形ホッパーは、組立式ホッパー、電熱送風システム及び温度制御システムを含み、前記組立式ホッパーは3つのサブホッパーからなり、各サブホッパーに、独立なサブ供給口1、サブ排出口7、及び独立に開閉制御可能な分岐送風口8が設けられ、サブホッパー全体のサブ排出口7は、サブ排出口下方に設けられる恒温チャンバー9に連通され、恒温チャンバーの下部に、主排出口5及び主送風口6が設けられ、恒温チャンバー及び各サブホッパーは、独立な温度制御システムを有する。サブホッパーの上部の収納空間2とサブ排出口7、分岐送風口8との間にサブ格子網3が設けられ、恒温チャンバー9と主排出口5、主送風口6との間に主格子網4が設けられる。サブホッパーの分岐送風口8は、分岐送風ラインにより1つの送風システム11内に並列接続され、各分岐送風ラインに、サブ空気弁14及び分岐加熱装置12が設けられ、前記恒温チャンバー上の主送風口6は、主送風ラインと分岐送風ラインにより同一な送風システム内に並列接続され、主送風ラインに主空気弁15及び主加熱装置16が設けられる。各サブホッパーのサブ供給口1にフリップカバーが設けられ、フリップカバーはサブホッパーヒンジに接続され、フリップカバーに換気口10が設けられ、恒温チャンバーの上方にも排気口が設けられる。サブホッパーとサブホッパー、及びサブホッパーと恒温チャンバーとの間に断熱隔離層が設けられる。
【0014】
実施形態2
図2、図4に示す実施形態2において、組立式ホッパーは4つのサブホッパーからなり、そのうち、恒温チャンバー9内に撹拌装置13が設けられ、撹拌装置はサブホッパーの上部に設置されるモータ17に接続され、その他は実施形態1に同一である。
【0015】
一体多室プラスチック成形ホッパーは動作する場合に、複数の原材料又は補助材料をサブホッパーに入れ、異なる原材料の乾燥焼戻要求に応じて対応する分岐送風ライン上のサブ空気弁及び分岐加熱装置を制御し、熱風を分岐送風口から上に向かってサブホッパー内に吹き入れ、異なる原材料に対して異なる温度及び加熱時間の乾燥焼戻処理を行い、乾燥焼戻過程における少量の水蒸気は換気口から溢れ、全部の乾燥焼戻を完成した後、サブ排出口を開け、サブホッパー内の原材料は恒温チャンバーに直接に入り、原材料が恒温チャンバー内に入って混合する場合、撹拌装置を用いてもよく、恒温チャンバーの温度制御は、主送風ライン上の主空気弁及び主加熱装置により行い、熱風を主送風口から上に向かって恒温チャンバー内に吹き入れ、恒温チャンバーが生じた廃ガスは排気口から排出され、原材料は恒温チャンバー内で混合及び調温処理を行った後、射出成形の操作を行うことができる。
【符号の説明】
【0016】
1 サブ供給口
2 収納空間
3 サブ格子網
4 主格子網
5 主排出口
6 主送風口
7 サブ排出口
8 分岐送風口
9 恒温チャンバー
10 換気口
11 送風システム
12 分岐加熱装置
13 撹拌装置
14 サブ空気弁
15 主空気弁
16 主加熱装置
17 モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組立式ホッパー、電熱送風システム及び温度制御システムを含む一体多室プラスチック成形ホッパーであって、
前記組立式ホッパーは2つ又は2つ以上のサブホッパーからなり、各サブホッパーには独立のサブ供給口(1)、サブ排出口(7)、及び独立に開閉制御可能な分岐送風口(8)が設けられ、サブホッパー全体のサブ排出口(7)は、サブ排出口の下方に設けられる恒温チャンバー(9)に連通され、恒温チャンバーの下部に主排出口(5)及び主送風口(6)が設けられ、恒温チャンバー及び各サブホッパーは独立な温度制御システムを有することを特徴とする一体多室プラスチック成形ホッパー。
【請求項2】
前記サブホッパーの分岐送風口(8)は、分岐送風ラインにより1つの送風システム(11)内に並列接続され、各分岐送風ラインに、サブ空気弁(14)及び分岐加熱装置(12)が設けられ、前記恒温チャンバー上の主送風口(6)は、主送風ラインと分岐送風ラインにより同一な送風システム内に並列接続され、主送風ライン上に主空気弁(15)及び主加熱装置(16)が設けられることを特徴とする請求項1に記載の一体多室プラスチック成形ホッパー。
【請求項3】
前記サブホッパー上部の収納空間(2)とサブ排出口(7)、分岐送風口(8)との間にサブ格子網(3)が設けられ、恒温チャンバー(9)と主排出口(5)、主送風口(6)との間に主格子網(4)が設けられることを特徴とする請求項1に記載の一体多室プラスチック成形ホッパー。
【請求項4】
前記各サブホッパーのサブ供給口(1)にフリップカバーが設けられ、フリップカバーはサブホッパーにヒンジ接続され、フリップカバーに換気口(10)が設けられ、恒温チャンバーの上方にも排気口が設けられることを特徴とする請求項1に記載の一体多室プラスチック成形ホッパー。
【請求項5】
前記恒温チャンバー(9)内に撹拌装置(13)が設けられることを特徴とする請求項1に記載の一体多室プラスチック成形ホッパー。
【請求項6】
サブホッパーとサブホッパー、及びサブホッパーと恒温チャンバーとの間に断熱隔離層が設けられることを特徴とする請求項1又は2又は3又は4又は5に記載の一体多室プラスチック成形ホッパー。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2012−521904(P2012−521904A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−502438(P2012−502438)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【国際出願番号】PCT/CN2010/071396
【国際公開番号】WO2010/111936
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(511236084)
【Fターム(参考)】