説明

射出成形装置及びインサート成形装置

【課題】成形品にバリが残らないようにし、合成樹脂の分離面も光沢があって肌荒れが無いように成形する。
【解決手段】可動金型26の熱媒体通路36内に熱い蒸気を供給することにより、更に溶融した合成樹脂Jがゲートカット部材17の先端部を加熱しながら、ゲート13A及びゲートカット部材17上方の案内通路27を介して可動金型26と固定金型6とで形成されるキャビティS内に射出する。従って、合成樹脂の分離面部位は固まらない状態が維持されているので、ゲートカット部材17が上昇することにより、キャビティS内及びゲート13A内へと押し込まれた合成樹脂とキャビティS内及びゲート13A内に押し込まれる前からあった合成樹脂とが綺麗に融合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定金型と可動金型を閉じた状態でゲートを介してキャビティ内に溶融した合成樹脂を射出して成形する射出成形装置、及び固定金型と可動金型とを型開きしている状態下で熱可塑性合成樹脂製のインサート物をキャビティ内にセットした後、前記固定金型と可動金型とを閉じ、ゲートを介して前記キャビティ内に溶融した合成樹脂を射出して一体品にするインサート成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の射出成形装置は、例えば特許文献1などに開示されているように、溶融した合成樹脂を射出する前に成形品の表面側を成形する表面側キャビティ形成面を加熱し、転写性の向上を図る技術が提案されている。また、例えば特許文献2などに、ゲートカットシャッターを上昇させて、前記ゲート内の合成樹脂とキャビティ内の合成樹脂とを分離する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−254924号公報
【特許文献2】特開平11−330112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前者の技術によれば、合成樹脂の熱が可動金型に伝わって、ゲートカット部材を上昇させて前記ゲート内の合成樹脂とキャビティ内の合成樹脂とを分離するときには、この分離部位の合成樹脂は温度が低められるので、合成樹脂の分離面は光沢が無く、肌荒れ状態となるという問題があった。また、後者の技術によれば、ゲートカット部材上面をゲートを形成する固定金型へ接触させるようにプレスして合成樹脂を分離するものであるから、プレス仕切れなかった場合に成形品にバリが残るような事態を招く虞がある。
【0005】
そこで本発明は、上記の点に鑑み、成形品にバリが残らないようにし、転写性が良好で、合成樹脂の分離面も光沢があって肌荒れが無く、この分離面とその他の分離されない面との境が極力わからないように成形することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このため第1の発明は、固定金型と可動金型とを閉じた状態でゲートを介してキャビティ内に溶融した合成樹脂を射出して成形する射出成形装置において、
前記キャビティ内の合成樹脂とキャビティ外の合成樹脂とを分離するゲートカット部材の移動用の案内通路の開口端部をこのキャビティの底面又は上面に臨むように配設すると共に、
前記ゲートカット部材を前記合成樹脂の軟化点温度以上に加熱する加熱手段を設けたことを特徴とする。
【0007】
第2の発明は、固定金型と可動金型とを閉じた状態でゲートを介してキャビティ内に溶融した合成樹脂を射出して成形する射出成形装置において、
前記キャビティ内の合成樹脂とキャビティ外の合成樹脂とを分離するゲートカット部材の移動用の案内通路の開口端部をこのキャビティの底面又は上面に臨むように配設すると共に、
前記合成樹脂が前記ゲートカット部材と接触した状態で又は接触しながら前記ゲートを介して前記キャビティ内に射出されるように、このゲートカット部材を配設したことを特徴とする。
【0008】
第3の発明は、固定金型と可動金型とを閉じた状態でゲートを介してキャビティ内に溶融した合成樹脂を射出して成形する射出成形装置において、
前記キャビティ内の合成樹脂とキャビティ外の合成樹脂とを分離するゲートカット部材の移動用の案内通路の開口端部をこのキャビティの底面又は上面に臨むように配設すると共に、
前記ゲートの開口端部を移動動作前の前記ゲートカット部材より前記キャビティの近くに位置する前記案内通路に連通口を介して連通させたことを特徴とする。
【0009】
第4の発明は、固定金型と可動金型とを閉じた状態でゲートを介してキャビティ内に溶融した合成樹脂を射出して成形する射出成形装置において、
前記キャビティ内の合成樹脂とキャビティ外の合成樹脂とを分離するゲートカット部材の移動用の案内通路の開口端部をこのキャビティの底面又は上面に臨むように配設すると共に、
前記ゲートの開口端部を前記案内通路に連通口を介して連通させ且つこの連通口に面するように移動動作前の前記ゲートカット部材の先端部を配設したことを特徴とする。
【0010】
第5の発明は、固定金型と可動金型とを閉じた状態でゲートを介してキャビティ内に溶融した合成樹脂を射出して成形する射出成形装置において、
前記キャビティ内の合成樹脂とキャビティ外の合成樹脂とを分離するゲートカット部材の移動用の案内通路の開口と前記ゲートの開口とを共通なものとして、このキャビティの上面に臨むように配設したことを特徴とする。
【0011】
第6の発明は、固定金型と可動金型とを型開きしている状態下で熱可塑性合成樹脂製のインサート物をキャビティ内にセットした後、前記固定金型と可動金型とを閉じ、ゲートを介して前記キャビティ内に溶融した合成樹脂を射出して一体品にするインサート成形装置において、
前記キャビティ内の合成樹脂とキャビティ外の合成樹脂とを分離するゲートカット部材の移動用の案内通路の開口端部をこのキャビティの底面又は上面に臨むように配設すると共に、前記キャビティ内の合成樹脂とキャビティ外の合成樹脂とを分離する前に前記ゲートカット部材を前記合成樹脂の軟化点温度以上に加熱する加熱手段を設け、
前記合成樹脂の射出口が前記インサート物の開口部に面するように、前記インサート物を前記キャビティ内に配設して、溶融した合成樹脂を前記インサート物の開口部を通して前記キャビティ内に射出することを特徴とする。
【0012】
第7の発明は、固定金型と可動金型とを型開きしている状態下で熱可塑性合成樹脂製のインサート物をキャビティ内にセットした後、前記固定金型と可動金型とを閉じ、ゲートを介して前記キャビティ内に溶融した合成樹脂を射出して一体品にするインサート成形装置において、
前記キャビティ内の合成樹脂とキャビティ外の合成樹脂とを分離するゲートカット部材の移動用の案内通路の開口端部をこのキャビティの底面又は上面に臨むように配設すると共に、前記合成樹脂が前記ゲートカット部材と接触した状態で又は接触しながら前記ゲートを介して前記キャビティ内に射出されるようにこのゲートカット部材を配設し、
前記合成樹脂の射出口が前記インサート物の開口部に面するように、前記インサート物を前記キャビティ内に配設して、溶融した合成樹脂を前記インサート物の開口部を通して前記キャビティ内に射出することを特徴とする。
【0013】
第8の発明は、固定金型と可動金型とを型開きしている状態下で熱可塑性合成樹脂製のインサート物をキャビティ内にセットした後、前記固定金型と可動金型とを閉じ、ゲートを介して前記キャビティ内に溶融した合成樹脂を射出して一体品にするインサート成形装置において、
前記キャビティ内の合成樹脂とキャビティ外の合成樹脂とを分離するゲートカット部材の移動用の案内通路の開口端部をこのキャビティの底面又は上面の中間位置に臨むように配設すると共に、
前記ゲートの開口端部を移動動作前の前記ゲートカット部材より前記キャビティの近くに位置する前記案内通路に連通口を介して連通させ、
前記案内通路の開口部が前記インサート物の開口部に面するように、前記インサート物を前記キャビティ内に配設して、
前記ゲートと前記ゲートカット部材より前記キャビティの近くに位置する前記案内通路とを通過した溶融した合成樹脂を前記インサート物の開口部を通して前記キャビティ内に射出する
ことを特徴とする。
【0014】
第9の発明は、固定金型と可動金型とを型開きしている状態下で熱可塑性合成樹脂製のインサート物をキャビティ内にセットした後、前記固定金型と可動金型とを閉じ、ゲートを介して前記キャビティ内に溶融した合成樹脂を射出して一体品にするインサート成形装置において、
前記キャビティ内の合成樹脂とキャビティ外の合成樹脂とを分離するゲートカット部材の移動用の案内通路の開口端部をこのキャビティの底面又は上面の中間位置に臨むように配設すると共に、
前記ゲートの開口端部を前記案内通路に連通口を介して連通させ且つこの連通口に面するように移動動作前の前記ゲートカット部材の先端部を配設し、
前記ゲートと前記ゲートカット部材より前記キャビティの近くに位置する前記案内通路を通過した溶融した合成樹脂を前記インサート物の開口部を通して前記キャビティ内に射出する
ことを特徴とする。
【0015】
第10の発明は、固定金型と可動金型とを型開きしている状態下で熱可塑性合成樹脂製のインサート物をキャビティ内にセットした後、前記固定金型と可動金型とを閉じ、ゲートを介して前記キャビティ内に溶融した合成樹脂を射出して一体品にするインサート成形装置において、
前記キャビティ内の合成樹脂とキャビティ外の合成樹脂とを分離するゲートカット部材の移動用の案内通路の開口と前記ゲートの開口とを共通なものとして、このキャビティの上面の中間位置に臨むように配設し
前記ゲートを通過した溶融した合成樹脂を前記インサート物の開口部を通して前記キャビティ内に射出する
ことを特徴とする。
【0016】
第11の発明は、第2、3、4、5、7、8、9、10の発明において、前記ゲートカット部材を加熱する加熱手段を設け、この加熱手段により加熱した後に、前記キャビティ内に溶融した合成樹脂を射出するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、成形品にバリが残らないようにし、転写性が良好で、合成樹脂の分離面も光沢があって肌荒れが無く、この分離面とその他の分離されない面との境が極力わからないように成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1の実施形態の射出成形装置の縦断正面図である。
【図2】合成樹脂の射出前であって、ゲートカット部材が上昇する前の状態の図1の部分拡大図である。
【図3】合成樹脂の射出後であって、ゲートカット部材が上昇する前の状態の図1の部分拡大図である。
【図4】合成樹脂の射出後であって、ゲートカット部材が上昇した状態の図1の部分拡大図である。
【図5】第2の実施形態の射出成形装置の部分拡大図であって、合成樹脂の射出前であって、ゲートカット部材が上昇する前の状態の部分拡大図である。
【図6】第2の実施形態の射出成形装置の部分拡大図であって、合成樹脂の射出後であって、ゲートカット部材が上昇する前の状態の部分拡大図である。
【図7】第2の実施形態の射出成形装置の部分拡大図であって、成樹脂の射出後であって、ゲートカット部材が上昇した状態の部分拡大図である。
【図8】第3の実施形態の射出成形装置の部分拡大図であって、合成樹脂の射出前であって、ゲートカット部材が上昇する前の状態の部分拡大図である。
【図9】第3の実施形態の射出成形装置の部分拡大図であって、合成樹脂の射出後であって、ゲートカット部材が上昇する前の状態の部分拡大図である。
【図10】第3の実施形態の射出成形装置の部分拡大図であって、成樹脂の射出後であって、ゲートカット部材が上昇した状態の部分拡大図である。
【図11】第4の実施形態の射出成形装置の部分拡大図であって、合成樹脂の射出前であって、ゲートカット部材が上昇する前の状態の部分拡大図である。
【図12】第4の実施形態の射出成形装置の部分拡大図であって、合成樹脂の射出後であって、ゲートカット部材が上昇する前の状態の部分拡大図である。
【図13】第4の実施形態の射出成形装置の部分拡大図であって、成樹脂の射出後であって、ゲートカット部材が上昇した状態の部分拡大図である。
【図14】第5の実施形態の射出成形装置の部分拡大図であって、合成樹脂の射出前であって、ゲートカット部材が上昇する前の状態の部分拡大図である。
【図15】第5の実施形態の射出成形装置の部分拡大図であって、合成樹脂の射出後であって、ゲートカット部材が上昇する前の状態の部分拡大図である。
【図16】第5の実施形態の射出成形装置の部分拡大図であって、成樹脂の射出後であって、ゲートカット部材が上昇した状態の部分拡大図である。
【図17】インサート物の斜視図である。
【図18】第6の実施形態の射出成形装置の部分拡大図であって、合成樹脂の射出前であって、ゲートカット部材が上昇する前の状態の部分拡大図である。
【図19】第6の実施形態の射出成形装置の部分拡大図であって、合成樹脂の射出後であって、ゲートカット部材が上昇する前の状態の部分拡大図である。
【図20】第6の実施形態の射出成形装置の部分拡大図であって、成樹脂の射出後であって、ゲートカット部材が上昇した状態の部分拡大図である。
【図21】第7の実施形態の射出成形装置の部分拡大図であって、合成樹脂の射出前であって、ゲートカット部材が上昇する前の状態の部分拡大図である。
【図22】第7の実施形態の射出成形装置の部分拡大図であって、合成樹脂の射出後であって、ゲートカット部材が上昇する前の状態の部分拡大図である。
【図23】第7の実施形態の射出成形装置の部分拡大図であって、成樹脂の射出後であって、ゲートカット部材が上昇した状態の部分拡大図である。
【図24】第8の実施形態の射出成形装置の部分拡大図であって、合成樹脂の射出前であって、ゲートカット部材が上昇する前の状態の部分拡大図である。
【図25】第8の実施形態の射出成形装置の部分拡大図であって、合成樹脂の射出後であって、ゲートカット部材が上昇する前の状態の部分拡大図である。
【図26】第8の実施形態の射出成形装置の部分拡大図であって、成樹脂の射出後であって、ゲートカット部材が上昇した状態の部分拡大図である。
【図27】第9の実施形態の射出成形装置の縦断正面図である。
【図28】合成樹脂の射出前であって、ゲートカット部材が下降する前の状態の図28の部分拡大図である。
【図29】合成樹脂の射出後であって、ゲートカット部材が下降する前の状態の図28の部分拡大図である。
【図30】合成樹脂の射出後であって、ゲートカット部材が下降した状態の図28の部分拡大図である。
【図31】第10の実施形態の射出成形装置の部分拡大図であって、合成樹脂の射出前であって、ゲートカット部材が下降する前の状態の部分拡大図である。
【図32】第10の実施形態の射出成形装置の部分拡大図であって、合成樹脂の射出後であって、ゲートカット部材が下降する前の状態の部分拡大図である。
【図33】第10の実施形態の射出成形装置の部分拡大図であって、成樹脂の射出後であって、ゲートカット部材が下降した状態の部分拡大図である。
【図34】第11の実施形態の射出成形装置の部分拡大図であって、合成樹脂の射出前であって、ゲートカット部材が下降する前の状態の部分拡大図である。
【図35】第12の実施形態の射出成形装置の部分拡大図であって、合成樹脂の射出前であって、ゲートカット部材が上昇する前の状態の部分拡大図である。
【図36】従来の射出成形装置の部分拡大図であって、合成樹脂の射出後であって、ゲートカット部材が上昇する前の状態の部分拡大図である。
【図37】従来の射出成形装置の部分拡大図であって、成樹脂の射出後であって、ゲートカット部材が上昇する前の状態でゲート内の合成樹脂を抜いた状態の部分拡大図である。
【図38】従来の射出成形装置の部分拡大図であって、成樹脂の射出後であって、ゲート内の合成樹脂を抜いた後にゲートカット部材が上昇した状態の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下図1乃至図4に基づき、本発明の射出成形装置の第1の実施の形態について説明する。先ず、図1に基づいて、射出成形装置の全体構成について説明する。1は図示しない固定プラテンにボルトによって取り付けられた固定側組立体であり、この固定側組立体1は固定側第1ベースプレート2と、この固定側第1ベースプレート2にボルトによって固定された固定側第2ベースプレート3と、この固定側第2ベースプレート3にボルトによって固定された固定側第3ベースプレート4と、この固定側第3ベースプレート4の下面に開設された凹部内に配設されてこの固定側第3ベースプレート4にボルトにより固定される固定金型6と、前記固定側第1ベースプレート2の前記固定プラテン寄りに設けられ固定側第1ベースプレート2を固定プラテンに対して位置決めするロケートリング7と、このロケートリング7に隣設して配設されたスプルーブッシュ8等とから成る。
【0020】
そして、前記スプルーブッシュ8の中心には射出ノズルから射出される溶融した合成樹脂を通すための第1スプルー9が形成され、その下端部には第1ランナー10が形成され、この第1ランナー10の出口たる第2スプルー11が形成され、更にこの第2スプルー11の下端部には第2ランナー12が形成され、この第2ランナー12の出口たるゲート13Aが形成される。
【0021】
17はキャビティS内の合成樹脂とキャビティS外の合成樹脂とを分離するゲートカット部材で、このゲートカット部材17は後述する可動側第4ベースプレート24及び可動金型26に開設された案内通路27及び28を介して上下方向に昇降が可能となる。
【0022】
そして、平板状の成形品を作るためのキャビティSは前記固定金型6と可動金型26とで形成され、前記案内通路27の上開口はキャビティSの底面の中間位置において下方からこのキャビティSに連通している。即ち、前記案内通路27の上開口端部(合成樹脂の射出口となる。)をキャビティSの底面中間位置に臨むように配設している。
【0023】
このゲート13Aは、水平方向に延びる直線状のゲート部13A1と、下がってから上昇する曲線状のゲート部13A2とから構成され、このゲート部13A2の端部は連通口14Aを介して前記案内通路27の上部と連通しており、前記ゲートカット部材17の上端部はこの連通口14Aよりわずか下方に位置している。即ち、前記ゲート部13Aの開口端部を移動動作前の前記ゲートカット部材17より前記キャビティSの近くに位置する前記案内通路27に連通口14Aを介して連通させている。
【0024】
従って、結果として、この前記ゲートカット部材17の上方に位置する前記案内通路27は前記連通口14Aを介してゲート13Aと連通しているので、合成樹脂が流れるゲートの一部を構成することとなる。このため、このゲートはキャビティSの底面の中間位置において下方からこのキャビティSに連通することとなり、キャビティSの底面の中間位置において前記案内通路27の上開口を介してキャビティS内に合成樹脂が射出されることとなる。このため、前記案内通路27の上開口は合成樹脂の射出口となる。
【0025】
一方、20は図示しない可動プラテンにボルトによって取り付けられた可動側組立体であり、この可動側組立体20は可動側第1ベースプレート21と、この可動側第1ベースプレート21にボルトによって固定された可動側第2ベースプレート22(エジェクタプレート)と、この可動側第2ベースプレート22を囲むように前記可動側第1ベースプレート21にボルトによって固定された可動側第3ベースプレート23と、この可動側第3ベースプレート23にボルトによって固定された可動側第4ベースプレート24と、この可動側第4ベースプレート24の上面に開設された凹部内に嵌合してこの第4プレート24に固定される可動金型26等から成る。
【0026】
そして、前記可動側第3ベースプレート23に立設されたガイド棒(図示せず)が、固定側第3ベースプレート4に設けられたガイド孔に挿入して、このガイド孔に前記ガイド棒が案内されて可動側組立体20が上下可能となる。
【0027】
そして、前記可動金型26上面と前記固定金型6の下面に形成された凹部とでキャビティSが形成され、このキャビティS内に前記案内通路27の上開口を介して溶融した合成樹脂が射出され、成形品が作製される。
【0028】
30は固定金型6寄りの前記固定側第3ベースプレート4に形成された熱媒体通路で、31は可動金型26寄りの可動側第4ベースプレート24に形成された熱媒体通路で、32は前記可動金型26中間部位に形成された熱媒体通路で、これらの熱媒体通路30、31、32にはキャビティS内に射出される合成樹脂に適した温度に応じて固定金型6、可動側第4ベースプレート24及び可動金型26が所定温度に維持されるように、常時熱媒体が供給される。
【0029】
また、35は前記固定金型6のキャビティSに近い部位にこのキャビティSに沿って形成された熱媒体通路で、36は前記可動金型26の前記ゲートカット部材17の昇降を案内する案内通路27の近くに、具体的には前記案内通路27のゲート部13A2と連通する位置の近くに形成された熱媒体通路であり、必要に応じて1つに限らず、複数設けてもよい。
【0030】
これらの熱媒体通路35、36内に加熱用媒体である、例えば熱い蒸気や、冷却用媒体である、例えば冷却水を流して、前記固定金型6のキャビティ形成面側と可動金型26のゲートカット部材17の周囲(延いては、ゲートカット部材17)とを加熱又は冷却する。従って、熱媒体通路35、36と加熱用媒体とで加熱手段を構成し、熱媒体通路35、36と冷却用媒体とで冷却手段となる。
【0031】
以上の構成により、以下第1の実施形態の射出成形の動作について説明すると、初めに媒体通路30、31、32には常時熱媒体が供給されて、固定金型6、可動側第4ベースプレート24及び可動金型26が所定温度に維持されている。そして、この状態下において、固定金型6の熱媒体通路35及び可動金型26の熱媒体通路36内に熱媒体である熱い蒸気を供給して、固定金型6のキャビティ形成面側と可動金型26のゲートカット部材17の周囲がこのキャビティS内に射出する合成樹脂の種類に応じた所定温度となるように昇温を開始させ、固定側組立体1と可動側組立体20とを型閉めする(図1、図2参照)。
【0032】
このように、昇温を開始した後に型閉めする場合に限らず、昇温の開始と同時に型閉めしたり、型閉めしてから昇温を開始してもよく、以後特別に限定する説明がない場合には、「昇温を開始した後に型閉めする」と表現しても、そのように解釈すべきものである。
【0033】
この場合、固定金型6のキャビティ形成面側及びゲートカット部材17の周囲の温度が射出する合成樹脂の軟化点温度の周辺温度(軟化点温度を含むその前後の温度範囲内)となるように加熱させる。即ち、軟化点温度が低い合成樹脂にあっては、固定金型6のキャビティ形成面側は前記軟化点温度超で且つゲートカット部材17の周囲が前記軟化点温度未満となるように、また軟化点温度が高い合成樹脂にあっては、固定金型6のキャビティ形成面側及びゲートカット部材17の周囲が軟化点温度超となるように、固定金型6のキャビティ形成面側及びゲートカット部材17の周囲を加熱する。
【0034】
具体的に説明すると、軟化点温度が低い合成樹脂にあっては、この軟化点温度を、例えば70℃とすると、固定金型6のキャビティ形成面側は前記軟化点温度超の120℃程度で且つゲートカット部材17の周囲が前記軟化点温度未満の50℃程度となるように加熱する。
【0035】
このように、軟化点温度が低い合成樹脂にあっては、ゲートカット部材17の周囲を前記軟化点温度以上となるように加熱すると、キャビティS内の合成樹脂とキャビティS外の合成樹脂との切断分離の切れが悪く、薄いバリができ易くなるからである。また、軟化点温度が高い合成樹脂にあっては、この軟化点温度を、例えば90℃とすると、固定金型6のキャビティ形成面側及びゲートカット部材17の周囲が軟化点温度超の120℃程度となるように、固定金型6のキャビティ形成面側及びゲートカット部材17の周囲を加熱する。このように、軟化点温度が高い合成樹脂にあっては、ゲートカット部材17の周囲を前記軟化点温度未満となるように加熱すると、前述の切断分離の際に、切断分離面にクラックが発生し易くなるからである。
【0036】
そして、固定金型6のキャビティ形成面側、可動金型26のゲートカット部材17及びこのゲートカット部材17の周囲が軟化点温度の前記周辺温度となると、蒸気の供給を止めて昇温を停止する。そして、射出ノズルをスプルーブッシュ8に通して、溶融した合成樹脂Jを第1スプルー9、第1ランナー10、第2スプルー11、第2ランナー12、ゲート13A及びゲートカット部材17上方の案内通路27を介して前記可動金型26と固定金型6とで形成されるキャビティS内に射出する(図3参照)。
【0037】
前述したように、この溶融した合成樹脂Jが流れてキャビティS内に射出される過程で、連通口14Aよりわずか下方に位置するゲートカット部材17の上端部(先端部)がこの溶融した合成樹脂Jにより加熱されることとなる。言い換えると、この溶融した合成樹脂Jはゲートカット部材17の上端部を加熱しながら、前記案内通路27の上開口を介して前記キャビティS内に射出されることとなる。
【0038】
そして、この溶融した合成樹脂Jを射出した後、この合成樹脂Jの圧縮密度を高めるため、圧縮を開始すると共に射出圧力を維持して保圧する。そして、射出された合成樹脂Jの固化が始まる前の合成樹脂Jの流れが止まる直前で、即ち射出圧力又は保持圧力がピークに達する直前で、ゲートカット部材17を上昇させ、キャビティS内の合成樹脂JとキャビティS外の合成樹脂とを分離する(図4参照)。
【0039】
この場合、ゲートカット部材17は案内通路27、28内を上昇する際に、ゲートカット部材17の上方に位置する案内通路27内の合成樹脂をキャビティS内及びゲート13A内へと押しやりながら、キャビティS内の合成樹脂とキャビティS外の合成樹脂とを分離する。即ち、前記ゲートカット部材17はその上面がキャビティSの底面を形成する位置まで上昇し、言い換えるとキャビティSの下面と同じ面一まで上昇して、キャビティS内の合成樹脂とキャビティS外の合成樹脂とを分離する。
【0040】
この第1の実施形態によれば、前述したように、前記可動金型26の熱媒体通路36内に熱い蒸気を供給することにより、更にゲート13A及び案内通路27内を流れる溶融した合成樹脂Jがゲートカット部材17の上端部を加熱しながら、キャビティS内に射出される。従って、合成樹脂の切断分離面部位は固まらない状態が維持されているので、キャビティS内及びゲート13A内へと押し込まれた合成樹脂とキャビティS内及びゲート13A内に押し込まれる前からあった合成樹脂とが綺麗に融合するから、合成樹脂の分離面は肌荒れが無く、綺麗である。また、特開平11−330112号公報に開示する従来技術のように、ゲートカット部材17上面をゲートを形成する固定金型6へ接触させるようにプレスして合成樹脂を分離するものではないから、プレス仕切れなかった場合に成形品(製品)にバリが残るような事態を極力回避できる。
【0041】
なお、以上のように、本実施形態では、合成樹脂Jの流れが止まる直前で、即ち射出圧力又は保持圧力がピークに達する直前で、ゲートカット部材17を上昇させるようにしたが、合成樹脂Jの流れが止まった直後に、即ち射出圧力又は保持圧力がピークに達した直後に上昇させてもよい。以下に説明する他の実施形態にあっても、特に限定する説明がなければこのように解釈されるべきである。
【0042】
このいずれの場合でも、ゲートカット部材17が上昇してキャビティS内の合成樹脂とキャビティS外の合成樹脂とを分離させると、合成樹脂Jの流れが止まって、今度は逆に合成樹脂JがキャビティSから出ようとする力がゲートカット部材17の上面(ゲートカット部材17の分離面)に加わることとなることによって、特にゲートカット部材17上面は加熱されているので、合成樹脂Jの固化が遅れて合成樹脂Jの分離面部位は固まらない状態が維持されていることと相俟って、転写性が良好で、合成樹脂Jの分離面も光沢があって肌荒れが無く、この分離面とその他の分離されない面との境が極力わからないように成形することができる。
【0043】
そして、ゲートカット部材17の上昇によりキャビティS内の合成樹脂とキャビティS外の合成樹脂とが分離されたら、前記固定金型6の熱媒体通路35及び可動金型26の熱媒体通路36内に前記加熱用媒体に代わりに冷却用媒体である冷却水の供給を開始する。従って、合成樹脂Jの固定金型6のキャビティ形成面側を固化させると共に可動金型26のゲートカット部材17周囲近くのゲート13内の合成樹脂が冷却されて固化することとなる。
【0044】
そして、キャビティS内の合成樹脂Jが固化して、成形品として両金型6、26から取り出せる程度まで冷却を持続し、キャビティSより取り出すのに十分なほど合成樹脂Jが固化したら、熱媒体通路35、36内への冷却水の供給を停止し、その後型開きして、エジェクターピンによる成形品を離型して、次の成形品の生産に備える。
【0045】
次に、図5乃至図7に基づいて、第2の実施の形態について説明するが、以上説明した第1の実施形態と同一の番号・符号は同一の機能を有するものとして説明は省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0046】
即ち、第1の実施形態にあっては、下降状態のゲートカット部材17の上端部は連通口14Aよりわずか下方に位置するように配設したが、この第2の実施形態にあっては、移動動作前の下降状態のゲートカット部材17の上端部が連通口14Aに面するように(臨むように)、即ちゲートカット部材17の上端部が連通口14Aの上下方向の中間位置に位置するように配設する(図5参照)。
【0047】
また、第1の実施形態にあっては、キャビティS内への溶融した合成樹脂の射出前に、固定金型6の熱媒体通路35及び可動金型26の熱媒体通路36内に熱い蒸気を供給することにより、固定金型6のキャビティ形成面側及びゲートカット部材17の周囲の温度を射出する合成樹脂の軟化点温度の前記周辺温度となるように昇温させたが、この第2の実施形態にあっては、前記熱媒体通路36内には熱い蒸気を供給しない。
【0048】
そして、固定金型6のキャビティ形成面側が前述した合成樹脂の軟化点温度の前記周辺温度となると、蒸気の供給を止めて昇温を停止して、射出ノズルをスプルーブッシュ8に通して、溶融した合成樹脂Jを第1スプルー9、第1ランナー10、第2スプルー11、第2ランナー12、ゲート13A及びゲートカット部材17上方の案内通路27を介して前記可動金型26と固定金型6とで形成されるキャビティS内に射出する(図6参照)。
【0049】
この溶融した合成樹脂Jが流れてキャビティS内に射出される過程で、連通口14Aに面しているゲートカット部材17の上端部がこの溶融した合成樹脂Jにより加熱されることとなる。言い換えると、この溶融した合成樹脂Jはゲートカット部材17の上端部を直接加熱しながら流れて、キャビティS内に射出されることとなる。
【0050】
そして、この溶融した合成樹脂Jを射出した後、この合成樹脂Jの圧縮密度を高めるため、圧縮を開始すると共に射出圧力を維持して保圧する。そして、射出された合成樹脂Jの固化が始まる前の合成樹脂Jの流れが止まる直前で、即ち射出圧力又は保持圧力がピークに達する直前で、ゲートカット部材17を上昇させ、キャビティS内の合成樹脂JとキャビティS外の合成樹脂とを分離する(図7参照)。
【0051】
この場合、ゲートカット部材17は案内通路27、28内を上昇する際に、ゲートカット部材17の上方に位置する案内通路27内の合成樹脂をキャビティS内及びゲート13A内へと押しやりながら、キャビティS内の合成樹脂とキャビティS外の合成樹脂とを分離する。即ち、前記ゲートカット部材17はその上面がキャビティSの底面を形成する位置まで上昇して分離する。
【0052】
この第2の実施形態によれば、前述したように、前記可動金型26の熱媒体通路36内に熱い蒸気を供給しないが、溶融した合成樹脂Jがゲートカット部材17の上端部を加熱しながら、キャビティS内に射出され、ゲートカット部材17の先端部は十分に加熱される。従って、合成樹脂の切断分離面部位は固まらない状態が維持されているので、キャビティS内及びゲート13A内へと押し込まれた合成樹脂とキャビティS内及びゲート13A内に押し込まれる前からあった合成樹脂とが綺麗に融合するから、合成樹脂の切断分離面は肌荒れが無く、綺麗である。
【0053】
そして、ゲートカット部材17の上昇によりキャビティS内の合成樹脂とキャビティS外の合成樹脂とが分離されたら、前記固定金型6の熱媒体通路35及び可動金型26の熱媒体通路36内に冷却用媒体である冷却水の供給を開始する。従って、合成樹脂Jの固定金型6のキャビティ形成面側を固化させると共に可動金型26のゲートカット部材17周囲近くのゲート13内の合成樹脂が冷却されて固化することとなる。
【0054】
そして、成形品としてキャビティSより取り出すのに十分なほど合成樹脂Jが固化したら、固定金型6の熱媒体通路35及び可動金型26の熱媒体通路36内への冷却水の供給を停止し、その後型開きして、エジェクターピンによる成形品を離型して、次の成形品の生産に備える。
【0055】
次に、図8乃至図10に基づいて、第3の実施の形態について説明するが、以上説明した第1の実施形態と同一の番号・符号は同一の機能を有するものとして説明は省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0056】
即ち、第1の実施形態にあっては、前記第2ランナー12の出口たるゲート13Aは、水平方向に延びる直線状のゲート部13A1と、下がってから上昇する曲線状のゲート部13A2とから構成され、このゲート部13A2の端部は連通口14Aを介して前記案内通路27の上部と連通して、前記ゲートカット部材17の上端部(先端部)はこの連通した部分より下方に位置するように配設される。
【0057】
しかし、第3の実施形態にあっては、前記第2ランナー12の出口たるゲート13Bは、垂直方向に延びる直線状のゲート部13B1と、斜め上方へ延びる直線状のゲート部13B2とから構成され、このゲート部13B2の端部は連通口14Bを介して前記案内通路27の上部と連通して、前記ゲートカット部材17の上端部はこの連通した部分よりわずか下方に位置するように配設される(図8参照)。即ち、前記ゲート部13B2の開口端部を移動動作前の前記ゲートカット部材17より前記キャビティSの近くに位置する前記案内通路27に連通口14Bを介して連通させている。
【0058】
この第3の実施形態の射出成形の動作は、第1の実施形態と同じであり、固定金型6の熱媒体通路35及び可動金型26の熱媒体通路36内に熱い蒸気を供給することにより、固定金型6のキャビティ形成面側、可動金型26のゲートカット部材17及びこのゲートカット部材17の周囲が軟化点温度の前記周辺温度となるまで昇温させ、溶融した合成樹脂Jをゲート13B及びゲートカット部材17上方の案内通路27を介してキャビティS内に射出し(図9参照)、その上面がキャビティSの底面を形成する位置まで上昇した前記ゲートカット部材17によりキャビティS内の合成樹脂とキャビティS外の合成樹脂とが分離される(図10参照)が、ここでは説明は省略する。また、この第3の実施形態によっても、第1の実施形態と同様な効果が得られるが、説明は省略する。
【0059】
次に、図11乃至図13に基づいて、第4の実施の形態について説明するが、以上説明した第1又は第3の実施形態と同一の番号・符号は同一の機能を有するものとして説明は省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0060】
即ち、第3の実施形態と同様に、前記第2ランナー12の出口たるゲート13Bは、垂直方向に延びる直線状のゲート部13B1と、斜め上方へ延びる直線状のゲート部13B2とから構成される。
【0061】
しかし、この第3の実施形態では、このゲート部13B2の端部は連通口14Bを介して前記案内通路27の上部と連通して、前記ゲートカット部材17の上端部はこの連通した部分よりわずか下方に位置するように配設されるが、この第4の実施形態にあっては、下降状態のゲートカット部材17の上端部(先端部)が連通口14Bに面するように、即ちゲートカット部材17の上端部が連通口14Bの上下方向の中間位置に位置するように配設する(図11参照)。
【0062】
また、第1及び第3の実施形態にあっては、キャビティS内への溶融した合成樹脂の射出前に、固定金型6の熱媒体通路35及び可動金型26の熱媒体通路36内に熱い蒸気を供給することにより、固定金型6のキャビティ形成面側及びゲートカット部材17の周囲の温度を射出する合成樹脂の軟化点温度の前記周辺温度となるように昇温させたが、この第4の実施形態にあっては、前記熱媒体通路36内には熱い蒸気を供給しない。
【0063】
この第4の実施形態の射出成形の動作は、第2の実施形態と同じであり、固定金型6の熱媒体通路35内に熱い蒸気を供給することにより、固定金型6のキャビティ形成面側が軟化点温度の前記周辺温度となるまで昇温させ、溶融した合成樹脂Jは連通口14Bに面しているゲートカット部材17の上端部を直接加熱しながら流れて、ゲート13B及びゲートカット部材17上方の案内通路27を介してキャビティS内に射出され(図12参照)、その上面がキャビティSの底面を形成する位置まで上昇した前記ゲートカット部材17によりキャビティS内の合成樹脂とキャビティS外の合成樹脂とが分離される(図13参照)が、ここでは説明は省略する。また、この第4の実施形態によっても、第2の実施形態と同様な効果が得られるが、説明は省略する。
【0064】
次に、図14乃至図16に基づいて、第5の実施の形態について説明するが、以上説明した第1の実施形態と同一の番号・符号は同一の機能を有するものとして説明は省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0065】
この第5の実施形態の射出成形装置の全体構成は、第1の実施形態の射出成形装置の全体構成と同じ構造であり、前記第2ランナー12の出口たるゲート13Aは、水平方向に延びる直線状のゲート部13A1と、下がってから上昇する曲線状のゲート部13A2とから構成され、このゲート部13A2の端部は連通口14Aを介して前記案内通路27の上部と連通して、前記ゲートカット部材17の上端部はこの連通した部分よりわずか下方に位置するように配設される。
【0066】
しかし、この第5の実施形態の特徴は、一次成形品であるインサート物をインサートして射出成形で成形して一体品にするインサート成形において、上昇した前記ゲートカット部材17によりキャビティS内の合成樹脂とキャビティS外の合成樹脂とを分離することにある。
【0067】
以下第5の実施形態のインサート成形の動作について説明すると、先ず型開きしている状態下で、熱可塑性合成樹脂製の一次成形品であるインサート物40をキャビティS内にセットした後、型閉めを行なう。このインサート物40は、図17に示すように、外形は、例えば長方形であってキャビティSの前後左右方向の長さとほぼ同一の長さを有し、周縁部ではない中間部位は開口部41が形成されている。従って、このインサート物40の開口部41に前記案内通路27の上開口部が面することとなる。
【0068】
先ず、前記固定金型6、可動側第4ベースプレート24及び可動金型26が所定温度に維持されている状態下において、固定金型6の熱媒体通路35及び可動金型26の熱媒体通路36内に熱媒体である熱い蒸気を供給して、固定金型6のキャビティ形成面側と、可動金型26のゲートカット部材17の周囲を加熱して、このキャビティS内に射出する二次射出成形用の合成樹脂の種類に応じた所定温度に向けて昇温を開始させ、固定側組立体1と可動側組立体20とを型閉めする(図14参照)。
【0069】
この場合、固定金型6のキャビティ形成面側及びゲートカット部材17の周囲の温度を射出する合成樹脂の軟化点温度の周辺温度(軟化点温度を含むその前後の温度範囲内)となるように加熱させる。即ち、軟化点温度が低い合成樹脂にあっては、固定金型6のキャビティ形成面側は前記軟化点温度超で且つゲートカット部材17の周囲が前記軟化点温度未満となるように、また軟化点温度が高い合成樹脂にあっては、固定金型6のキャビティ形成面側及びゲートカット部材17の周囲が軟化点温度超となるように、固定金型6のキャビティ形成面側及びゲートカット部材17の周囲を加熱する。
【0070】
そして、固定金型6のキャビティ形成面側、可動金型26のゲートカット部材17及びこのゲートカット部材17の周囲が前記周辺温度となると、蒸気の供給を止めて昇温を停止する。そして、射出ノズルをスプルーブッシュ8に通して、溶融した合成樹脂Jを第1スプルー9、第1ランナー10、第2スプルー11、第2ランナー12、ゲート13A及びゲートカット部材17上方の案内通路27を介して前記可動金型26と固定金型6とで形成されるキャビティS内に射出する(図15参照)。
【0071】
前述したように、この溶融した合成樹脂Jが流れてキャビティS内に射出される過程で、連通口14Aより下方に位置するゲートカット部材17の上端部(先端部)がこの溶融した合成樹脂Jにより加熱されることとなる。言い換えると、この溶融した合成樹脂Jはゲートカット部材17の先端部を加熱しながら、キャビティS内に射出されることとなる。
【0072】
そして、前記インサート物40の開口部41に前記案内通路27の上開口部が面しているから、溶融した合成樹脂JはキャビティS内に前記インサート物40の開口部41を介して射出されることとなり、徐々に案内通路47の上開口部を中心として外方へと流れ、前記インサート物40の開口部41からインサート物40表面と固定金型6のキャビティS形成面へと進み、キャビティS内に充填されることとなる。そして、この射出された合成樹脂Jの圧縮密度を高めるため、圧縮を開始すると共に射出圧力を維持して保圧する。これにより、二次射出成形用の合成樹脂がインサート物40と接合(融合)され、一体化される。そして、射出された合成樹脂Jの固化が始まる前の合成樹脂Jの流れが止まる直前で、即ち射出圧力又は保持圧力がピークに達する直前で、ゲートカット部材17をその上面がキャビティSの底面を形成する位置まで上昇させ、キャビティS内の合成樹脂JとキャビティS外の合成樹脂とを分離する(図16参照)。
【0073】
この場合、ゲートカット部材17は案内通路27、28内を上昇する際に、ゲートカット部材17の上方に位置する案内通路27内の合成樹脂をキャビティS内及びゲート13A内へと押しやりながら、キャビティS内の合成樹脂とキャビティS外の合成樹脂とを分離させることとなる。
【0074】
この第5の実施形態によれば、前述したように、前記可動金型26の熱媒体通路36内に熱い蒸気を供給することにより、更に溶融した合成樹脂Jがゲートカット部材17の上端部を加熱しながら、キャビティS内に射出される。従って、合成樹脂の切断分離面部位は固まらない状態が維持されているので、キャビティS内及びゲート13A内へと押し込まれた合成樹脂とキャビティS内及びゲート13A内に押し込まれる前からあった合成樹脂とが綺麗に融合するから、合成樹脂の分離面は肌荒れが無く、綺麗である。また、特開平11−330112号公報に開示する従来技術のように、ゲートカット部材17上面をゲートを形成する固定金型6へ接触させるようにプレスして合成樹脂を分離するものではないから、プレス仕切れなかった場合に成形品(製品)にバリが残るような事態を極力回避できる。
【0075】
前記ゲートカット部材17が上昇してキャビティS内の合成樹脂とキャビティS外の合成樹脂とを分離させると、合成樹脂Jの流れが止まって、今度は逆に合成樹脂JがキャビティSから出ようとする力がゲートカット部材17の上面(ゲートカット部材17の分離面)に加わることとなることによって、特にゲートカット部材17上面は加熱されているので、合成樹脂Jの固化が遅れて合成樹脂Jの分離面部位は固まらない状態が維持されていることと相俟って、転写性が良好で、合成樹脂Jの分離面も光沢があって肌荒れが無く、この分離面とその他の分離されない面との境が極力わからないように成形することができる。
【0076】
そして、ゲートカット部材17の上昇によりキャビティS内の合成樹脂とキャビティS外の合成樹脂とが分離されたら、前記固定金型6の熱媒体通路35及び可動金型26の熱媒体通路36内に冷却用媒体である冷却水の供給を開始する。従って、合成樹脂Jの固定金型6のキャビティ形成面側を固化させると共に可動金型26のゲートカット部材17周囲近くのゲート13内の合成樹脂が冷却されて固化することとなる。
【0077】
そして、キャビティS内の合成樹脂Jが固化して、成形品として両金型6、26から取り出せる程度まで冷却を持続し、キャビティSより取り出すのに十分なほど合成樹脂Jが固化したら、固定金型6の熱媒体通路35及び可動金型26の熱媒体通路36内への冷却水の供給を停止し、その後型開きして、エジェクターピンによる成形品を離型して、次の成形品の生産に備える。
【0078】
次に、図18乃至図20に基づいて、第6の実施の形態について説明するが、以上説明した第1及び第2の実施形態と同一の番号・符号は同一の機能を有するものとして説明は省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0079】
この第6の実施形態の射出成形装置の全体構成は、第2の実施形態の射出成形装置の全体構成と同じ構造であり、前記第2ランナー12の出口たるゲート13Aは、水平方向に延びる直線状のゲート部13A1と、下がってから上昇する曲線状のゲート部13A2とから構成され、このゲート部13A2の端部は連通口14Aを介して前記案内通路27の上部と連通している。そして、下降状態のゲートカット部材17の上端部(先端部)が連通口14Aに面するように、即ちゲートカット部材17の先端部が連通口14Aの上下方向の中間位置に位置するように配設する(図18参照)。
【0080】
しかし、この第6の実施形態の特徴は、第5の実施形態と同様に、インサート物をインサートして射出成形で成形して一体品にするインサート成形において、上昇した前記ゲートカット部材17によりキャビティS内の合成樹脂とキャビティS外の合成樹脂とを分離することにある。
【0081】
また、第5の実施形態にあっては、キャビティS内への溶融した合成樹脂の射出前に、固定金型6の熱媒体通路35及び可動金型26の熱媒体通路36内に熱い蒸気を供給することにより、固定金型6のキャビティ形成面側及びゲートカット部材17の周囲の温度を射出する合成樹脂の軟化点温度の周辺温度(軟化点温度を含むその前後の温度範囲内)となるように昇温させたが、この第6の実施形態にあっては、前記熱媒体通路36内には熱い蒸気を供給しない。
【0082】
以下第6の実施形態のインサート成形の動作について説明すると、先ず型開きしている状態下で、熱可塑性合成樹脂製の一次成形品であるインサート物40をキャビティS内にセットした後、型閉めを行なう。
【0083】
そして、固定金型6のキャビティ形成面側が前述した合成樹脂の軟化点温度の周辺温度となると、蒸気の供給を止めて昇温を停止して、射出ノズルをスプルーブッシュ8に通して、二次射出成形用の溶融した合成樹脂Jを第1スプルー9、第1ランナー10、第2スプルー11、第2ランナー12、ゲート13A及びゲートカット部材17上方の案内通路27を介してキャビティS内に射出する(図19参照)。
【0084】
この溶融した合成樹脂Jが流れてキャビティS内に射出される過程で、連通口14Aに面しているゲートカット部材17の上端部(先端部)がこの溶融した合成樹脂Jにより加熱されることとなる。言い換えると、この溶融した合成樹脂Jはゲートカット部材17の先端部を直接加熱しながら流れて、キャビティS内に射出されることとなる。
【0085】
そして、前記インサート物40の開口部41に前記案内通路27の上開口部が面しているから、溶融した合成樹脂JはキャビティS内に前記インサート物40の開口部41を介して射出されることとなり、徐々に案内通路47の上開口部を中心として外方へと流れ、前記インサート物40の開口部41からインサート物40表面と固定金型6のキャビティS形成面へと進み、キャビティS内に充填されることとなる。そして、この射出された合成樹脂Jの圧縮密度を高めるため、圧縮を開始すると共に射出圧力を維持して保圧する。これにより、二次射出成形用の合成樹脂がインサート物40と接合(融合)され、一体化される。そして、射出された合成樹脂Jの固化が始まる前の合成樹脂Jの流れが止まる直前で、即ち射出圧力又は保持圧力がピークに達する直前で、ゲートカット部材17をその上面がキャビティSの底面を形成する位置まで上昇させ、キャビティS内の合成樹脂JとキャビティS外の合成樹脂とを分離する(図20参照)。
【0086】
この場合、ゲートカット部材17は案内通路27、28内を上昇する際に、ゲートカット部材17の上方に位置する案内通路27内の合成樹脂をキャビティS内及びゲート13A内へと押しやりながら、キャビティS内の合成樹脂とキャビティS外の合成樹脂とを分離させることとなる。
【0087】
この第6の実施形態によれば、前述したように、前記可動金型26の熱媒体通路36内に熱い蒸気を供給しないが、溶融した合成樹脂Jがゲートカット部材17の先端部を加熱しながら、キャビティS内に射出されるので、ゲートカット部材17の先端部は十分に加熱される。従って、合成樹脂の切断分離面部位は固まらない状態が維持されているので、キャビティS内及びゲート13A内へと押し込まれた合成樹脂とキャビティS内及びゲート13A内に押し込まれる前からあった合成樹脂とが綺麗に融合するから、合成樹脂の分離面は肌荒れが無く、綺麗である。
【0088】
そして、ゲートカット部材17の上昇によりキャビティS内の合成樹脂とキャビティS外の合成樹脂とが分離されたら、前記固定金型6の熱媒体通路35及び可動金型26の熱媒体通路36内に冷却用媒体である冷却水の供給を開始する。従って、合成樹脂Jの固定金型6のキャビティ形成面側を固化させると共に可動金型26のゲートカット部材17周囲近くのゲート13内の合成樹脂が冷却されて固化することとなる。
【0089】
そして、成形品としてキャビティSより取り出すのに十分なほど合成樹脂Jが固化したら、固定金型6の熱媒体通路35及び可動金型26の熱媒体通路36内への冷却水の供給を停止し、その後型開きして、エジェクターピンによる成形品を離型して、次の成形品の生産に備える。
【0090】
次に、図21乃至図23に基づいて、第7の実施の形態について説明するが、以上説明した第3の実施形態と同一の番号・符号は同一の機能を有するものとして説明は省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0091】
この第7の実施形態の射出成形装置の全体構成は、第3の実施形態の射出成形装置の全体構成と同じ構造であり、ここでは省略する。しかし、この第7の実施形態の特徴は、第5及び第6の実施形態と同様に、インサート物をインサートして射出成形で成形して一体品にするインサート成形において、上昇した前記ゲートカット部材17によりキャビティS内の合成樹脂とキャビティS外の合成樹脂とを分離することにある。
【0092】
この第7の実施形態の射出成形の動作は、第5の実施形態と同じであり、先ず型開きしている状態下で、熱可塑性合成樹脂製のインサート物40をキャビティS内にセットした後、型閉めを行ない、固定金型6の熱媒体通路35及び可動金型26の熱媒体通路36内に熱い蒸気を供給することにより、固定金型6のキャビティ形成面側、可動金型26のゲートカット部材17及びこのゲートカット部材17の周囲が軟化点温度の前記周辺温度となるまで昇温させ、溶融した合成樹脂Jをゲート13B及びゲートカット部材17上方の案内通路27を介してキャビティS内に射出する(図22参照)。
【0093】
この場合、溶融した合成樹脂JはキャビティS内に前記インサート物40の開口部41を介して射出されることとなり、徐々に案内通路47の上開口部を中心として外方へと流れ、前記インサート物40の開口部41からインサート物40表面と固定金型6のキャビティS形成面へと進み、キャビティS内に充填されることとなる。そして、この射出された合成樹脂Jの圧縮密度を高めるため、圧縮を開始すると共に射出圧力を維持して保圧する。これにより、二次射出成形用の合成樹脂がインサート物40と接合(融合)され、一体化される。そして、射出された合成樹脂Jの固化が始まる前の合成樹脂Jの流れが止まる直前で、即ち射出圧力又は保持圧力がピークに達する直前で、ゲートカット部材17をその上面がキャビティSの底面を形成する位置まで上昇させ、キャビティS内の合成樹脂JとキャビティS外の合成樹脂とを分離する(図23参照)。また、この第7の実施形態によっても、第1及び第5の実施形態と同様な効果が得られるが、説明は省略する。
【0094】
次に、図24乃至図26に基づいて、第8の実施の形態について説明するが、以上説明した第4の実施形態と同一の番号・符号は同一の機能を有するものとして説明は省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0095】
この第8の実施形態の射出成形装置の全体構成は、第4の実施形態の射出成形装置の全体構成と同じ構造であり、ここでは省略する。しかし、この第8の実施形態の特徴は、第5乃至第7の実施形態と同様に、インサート物をインサートして射出成形で成形して一体品にするインサート成形において、上昇した前記ゲートカット部材17によりキャビティS内の合成樹脂とキャビティS外の合成樹脂とを分離することにある。
【0096】
この第8の実施形態の射出成形の動作は、第6の実施形態と同じであり、溶融した合成樹脂JがキャビティS内に射出され(図25参照)、その上面がキャビティSの底面を形成する位置まで上昇した前記ゲートカット部材17によりキャビティS内の合成樹脂とキャビティS外の合成樹脂とが分離される(図26参照)が、ここでは説明は省略する。
【0097】
次に、図27乃至図30に基づいて、第9の実施の形態について説明するが、以上第1乃至及び第8の実施形態と同一の番号・符号は同一の機能を有するものとして説明は省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0098】
前記第1スプルー9の下端部には第1ランナー10Aが形成され、この第1ランナー10Aの出口たる第2スプルー11Aが形成され、更にこの第2スプルー11Aの下端部はキャビティSの上面(成形品の意匠面側)の中間位置に臨むように配設される。従って、この第2スプルー11Aは、ゲートでもある。
【0099】
キャビティS内の合成樹脂とキャビティS外の合成樹脂とを分離するゲートカット部材17Aは、固定側第3ベースプレート4及び固定金型6に開設された案内通路28A及び27Aを介して斜め上下方向に昇降が可能となるが、ゲートカット部材17Aの下面はキャビティSの上面と平行な水平面である。
【0100】
そして、前記案内通路27Aの下開口端部をキャビティSの底面中間位置に臨むように配設すると共に前記第2スプルー11AのキャビティSとの連通口にも連通するように配設する。従って、前記案内通路27Aの下開口端部及び前記第2スプルー11Aの下開口部(合成樹脂の射出口)は共にキャビティSの上面の中間位置に臨むように配設され、前記案内通路27A、前記第2スプルー11A及びキャビティSはこのキャビティSの上面の中間位置において連通する。即ち、キャビティSとの連通口は、前記第2スプルー11Aの下開口であると共に前記案内通路27Aの下開口でもある。
【0101】
なお、図28に示すように、このゲートカット部材17Aは下降動作前の状態の上昇した位置にある場合では、前記案内通路27A及び前記第2スプルー11Aを形成する壁の下端と同一の高さレベルである。
【0102】
そして、前記ゲートカット部材17AがキャビティS内の合成樹脂とキャビティS外の合成樹脂とを分離するために下降した際に、固定金型6の前記案内通路27Aの下開口を形成する内側端部には前記ゲートカット部材17Aの周側部が当接するような突部6Aが形成される。即ち、この突部6Aの内側面と前記ゲートカット部材17Aの長手方向(軸線方向)とは平行となるように、この突部6Aは形成され、前記ゲートカット部材17Aが下降した際には、前記キャビティSと前記案内通路27Aの下開口部及び前記第2スプルー11Aの下開口部との連通口は遮断される。
【0103】
この第9の実施形態の射出成形の動作は、第1の実施形態などと同じであり、固定金型6の熱媒体通路35及び固定金型6の熱媒体通路36A内に熱い蒸気を供給することにより、固定金型6のキャビティ形成面側、固定金型6のゲートカット部材17A及びこのゲートカット部材17Aの周囲が軟化点温度の前記周辺温度となるまで昇温させ、溶融した合成樹脂Jを前記第2スプルー11Aを介してキャビティS内に射出する(図29参照)。
【0104】
この溶融した合成樹脂Jが流れてキャビティS内に射出される過程で、ゲートカット部材17Aの下端部はこの溶融した合成樹脂Jにより加熱されることとなる。そして、その下面がキャビティSの上面を形成する位置まで下降した前記ゲートカット部材17AによりキャビティS内の合成樹脂とキャビティS外の合成樹脂とが分離される(図30参照)。
【0105】
この分離の際には、前記ゲートカット部材17Aの周側部が前記突部6Aに当接するように下降して、前記ゲートカット部材17Aの下面はキャビティSの上面(成形品の意匠面)と同じ面一となり、キャビティSの一部を形成することとなり、前記キャビティSと前記案内通路27Aの下開口部及び前記第2スプルー11Aの下開口部との連通口は遮断される。
【0106】
以上のように、キャビティS内の合成樹脂とキャビティS外の合成樹脂とが分離されると、合成樹脂Jの流れが止まって、今度は逆に合成樹脂JがキャビティSから出ようとする力がゲートカット部材17Aの下面(ゲートカット部材17Aの分離面)に加わることとなることによって、特にゲートカット部材17A下面は加熱されているので、合成樹脂Jの固化が遅れて合成樹脂Jの分離面部位は固まらない状態が維持されていることと相俟って、転写性が良好で、合成樹脂Jの分離面も光沢があって肌荒れが無く、この分離面とその他の分離されない面との境が極力わからないように成形することができる。
【0107】
なお、図27乃至図30に示す第9の実施の形態において、分離動作前の状態を図28で示す位置より、僅か下降した位置として、この溶融した合成樹脂Jが前記第2スプルー11A内に一部が入り込んだゲートカット部材17Aの上端部を直接加熱しながら前記第2スプルー11A内を流れて、キャビティS内に射出されるようにしてもよい。
【0108】
また、この第9の実施の形態を前述したようなインサート成形に適用してもよい。この場合、前記第2スプルー11Aの下開口が前記インサート物40の開口部41に面するようにキャビティS内に前記インサート物40を配設し、前記第2スプルー11Aを通過した溶融した合成樹脂Jを前記インサート物40の開口部41を通して前記キャビティS内に射出することは、前述した他のインサート成形の実施形態と同様である。
【0109】
次に、図31乃至図33に基づいて、第10の実施の形態について説明するが、以上第1乃至及び第9の実施形態と同一の番号・符号は同一の機能を有するものとして説明は省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0110】
キャビティS内の合成樹脂とキャビティS外の合成樹脂とを分離するゲートカット部材17Bは、固定側第3ベースプレート4の案内通路及び固定金型6に開設された案内通路27Bを介して上下方向に昇降が可能となるが、ゲートカット部材17Bの下面はキャビティSの上面と平行な水平面である。この案内通路27BはキャビティSの上面の中間位置に連通している。
【0111】
そして、前記第1スプルー9の下端部には第1ランナー10Aが形成され、この第1ランナー10Aの出口たる第2スプルー11B(ゲートでもある)が形成され、更にこの第2スプルー11Bの下部は曲線状を呈して案内通路27Bに連通口14Cを介して連通させる。即ち、前記第2スプルー11Bの開口端部を移動動作前の前記ゲートカット部材17Bより前記キャビティSの近くに位置する前記案内通路27Bに連通口14Cを介して連通させている。
【0112】
また、上昇状態のゲートカット部材17Bの下端部(先端部)が前記連通口14Cに面するように、即ちゲートカット部材17Bの下端部が連通口14Cの上下方向の中間位置に位置するように配設する(図31参照)。このゲートカット部材17Bの下方に位置する前記案内通路27Bはゲートの一部を構成する。なお、この第10の実施形態では、型閉めに前後して、可動金型26の熱媒体通路36B内に熱媒体である熱い蒸気を供給しない。
【0113】
この第10の実施形態の射出成形の動作は、第1の実施形態などと同じであり、固定金型6の熱媒体通路35内に熱い蒸気を供給することにより、固定金型6のキャビティ形成面側が軟化点温度の前記周辺温度となるまで昇温させ、溶融した合成樹脂Jを前記第2スプルー11Bを介してキャビティS内に射出する(図32参照)。
【0114】
この溶融した合成樹脂Jが流れてキャビティS内に射出される過程で、この溶融した合成樹脂Jはゲートカット部材17Bの下端部に接触しながら射出されるので、ゲートカット部材17Bの下端部は加熱されることとなる。そして、その下面がキャビティSの上面を形成する位置まで下降した前記ゲートカット部材17BによりキャビティS内の合成樹脂とキャビティS外の合成樹脂とが分離される(図32参照)。この分離の際に下降した前記ゲートカット部材17Bの下面はキャビティSの上面(成形品の意匠面)と同じ面一となり、キャビティSの一部を形成することとなる。
【0115】
以上のように、キャビティS内の合成樹脂とキャビティS外の合成樹脂とが分離されると、合成樹脂Jの流れが止まって、今度は逆に合成樹脂JがキャビティSから出ようとする力がゲートカット部材17Bの下面(ゲートカット部材17Bの分離面)に加わることとなることによって、特に溶融した合成樹脂Jはゲートカット部材17Bの下端部に接触しながら射出されてゲートカット部材17Bの下端部は直接加熱されているので、合成樹脂Jの固化が遅れて合成樹脂Jの分離面部位は固まらない状態が維持されていることと相俟って、転写性が良好で、合成樹脂Jの分離面も光沢があって肌荒れが無く、この分離面とその他の分離されない面との境が極力わからないように成形することができる。
【0116】
なお、図31乃至図33に示す第10の実施の形態における分離動作前の状態を、図34に示すような第11の実施形態のように、ゲートカット部材17Bの下端部を前記連通口14Cより僅か上昇した位置としてもよい。なお、この第11の実施形態では、型閉めに前後して、可動金型26の熱媒体通路36内に熱媒体である熱い蒸気を供給する。
【0117】
この第11の実施形態について説明すると、案内通路27B内に入り込んだ溶融した合成樹脂Jはゲートカット部材17Bの下端部に接触した状態で加熱するようにして、前記第2スプルー11Bから案内通路27B内を流れ、キャビティS内に射出される。この射出以後の成形動作及び効果は、第10の実施形態と同様であり、ここでは省略する。
【0118】
また、第10及び第11の実施の形態を前述したようなインサート成形に適用してもよい。この場合、前記第2スプルー11Bの下開口が前記インサート物40の開口部41に面するようにキャビティS内に前記インサート物40を配設し、前記第2スプルー11Bを通過した溶融した合成樹脂Jを前記インサート物40の開口部41を通して前記キャビティS内に射出することは、前述した他のインサート成形の実施形態と同様である。
【0119】
また、以上の第1乃至第11の実施形態は、ゲートカット部材17を案内する案内通路27の開口端部をキャビティSの底面中間位置に臨むように配設したり、ゲートカット部材17A、17Bを案内する案内通路27A、27Bの開口端部をキャビティSの上面(表面)中間位置に臨むように配設したが、これに限らず、キャビティSの底面の周縁部又は上面の周縁部に臨むように設けてもよい。
【0120】
即ち、図35に基づいて、ゲートカット部材17を案内する案内通路27の開口端部をキャビティSの底面の周縁部に臨むように配設した第12の実施形態について説明する。
【0121】
また、下降状態のゲートカット部材17の上端部(先端部)が連通口14Bに面するように、即ちゲートカット部材17の上端部が連通口14Bの上下方向の中間位置に位置するように配設する。なお、この第12の実施形態では、型閉めに前後して、可動金型26の熱媒体通路36内に熱媒体である熱い蒸気を供給しない。
【0122】
この第12の実施形態の射出成形の動作について説明すると、固定金型6の熱媒体通路35内に熱い蒸気を供給することにより、固定金型6のキャビティ形成面側が軟化点温度の前記周辺温度となるまで昇温させ、溶融した合成樹脂Jは連通口14Bに面しているゲートカット部材17の上端部を直接加熱しながら流れて、ゲート13B及びゲートカット部材17上方の案内通路27を介してキャビティS内に射出され、その上面がキャビティSの底面を形成する位置まで上昇した前記ゲートカット部材17によりキャビティS内の合成樹脂とキャビティS外の合成樹脂とが分離される。
【0123】
キャビティS内の合成樹脂とキャビティS外の合成樹脂とが分離されると、合成樹脂Jの流れが止まって、今度は逆に合成樹脂JがキャビティSから出ようとする力がゲートカット部材17の上面(ゲートカット部材17の分離面)に加わることとなることによって、特にゲートカット部材17上面は加熱されているので、合成樹脂Jの固化が遅れて合成樹脂Jの分離面部位は固まらない状態が維持されていることと相俟って、転写性が良好で、合成樹脂Jの分離面も光沢があって肌荒れが無く、この分離面とその他の分離されない面との境が極力わからないように成形することができる。
【0124】
なお、以上の第1乃至第12の実施形態において、第2スプルー11A、11B、ゲート13A、13B、案内通路27、27A、27Aは、丸筒状又は角筒状に形成してもよい。
【0125】
また、以上の第1乃至第12の実施形態において、前記ゲートカット部材をその上面がキャビティSの底面を形成する位置まで上昇させるか、その下面がキャビティSの上面を形成する位置まで上昇させて、キャビティS内の合成樹脂とキャビティS外の合成樹脂とを分離するようにしたが、必ずしもキャビティSの底面又は上面と同じ面一まで上昇又は下降させなくともよい。即ち、ゲートとゲートカット部材との連通口14A、14B、14Cを閉塞する位置まで上昇又は下降させて、必ずしもキャビティSの底面又は上面と同じ面一まで上昇又は下降させなくともよい。
【0126】
更に、以上の第1乃至第12の実施形態において、前記ゲートカット部材17の上方に位置する前記案内通路27や、前記ゲートカット部材17Aの下方に位置する前記案内通路27Aや、前記ゲートカット部材17bの下方に位置する前記案内通路27Bは前記連通口14A、14B、14Cを介してゲート13A、13B、第2スプルー(ゲートでもある)11A、11Bと連通しているので、合成樹脂が流れるゲートの一部を構成することとなる。
【0127】
また、以上の第1、第3、第5、第7、第9及び第11の実施形態にあっては、固定金型6及び可動金型26による型閉めに前後して、可動金型26の熱媒体通路36、36A、36B内に熱媒体である熱い蒸気を供給して、可動金型26のゲートカット部材17、17A、17Bの周囲を加熱するようにし、溶融した合成樹脂Jはゲートカット部材17、17A、17Bの先端部に接触した状態でキャビティS内に射出される。
【0128】
しかし、例えば成形品の容積が小さい、即ちキャビティSの容積が小さい場合などにあっては、前記熱媒体通路36、36A、36B内に、必ずしも加熱媒体である蒸気を供給しなくともよい。前記キャビティSの容積が小さい場合には、溶融した合成樹脂JがキャビティS内に射出される過程で、ゲートカット部材17、17A、17Bの先端部がこの溶融した合成樹脂により十分に加熱されることとなるからである。
【0129】
更に、以上の第2、第4、第6、第8、第10及び第12の実施形態にあっては、固定金型6及び可動金型26による型閉めに前後して、可動金型26の熱媒体通路36、36B内に熱媒体である熱い蒸気を供給しないようにして、溶融した合成樹脂Jはゲートカット部材17、17Bの先端部に接触しながら流れて、ゲートカット部材17、17Bの先端部を加熱しながらキャビティS内に射出される。
【0130】
しかし、成形品の容積が大きい、即ちキャビティSの容積が大きい場合などにあっては、前記熱媒体通路36、36B内に加熱媒体を供給してもよい。前記キャビティSの容積が大きい場合には、溶融した合成樹脂JがキャビティS内に射出される過程で、ゲートカット部材17、17Bの先端部がこの溶融した合成樹脂により十分に加熱されない場合があるからである。
【0131】
従って、いずれの本発明の実施形態において、型閉めに前後して、必要に応じて、可動金型26の熱媒体通路36、36A、36B内に熱媒体である熱い蒸気を供給するか又はしないかを選択すればよい。
【0132】
なお、以上の第1乃至第12の実施形態にあっては、前記ゲートカット部材17、17A、17BによりキャビティS内の合成樹脂とキャビティS外の合成樹脂とを分離した後に、ゲート23A、23B、第2スプルー(ゲートでもある)11A、11B内の合成樹脂を射出成形装置外へ抜くようにした。
【0133】
しかし、従来は溶融した合成樹脂JをキャビティS内に射出した後に(図36参照)、ゲート13B内の合成樹脂Jを射出成形装置外へ抜いて(図37)、この後前記ゲートカット部材17を上昇させることによりキャビティS内の合成樹脂とキャビティS外の合成樹脂とを分離していた(図38参照)。
【0134】
このような従来技術にあっては、前記ゲートカット部材17を上昇させる前に、ゲート13B内の合成樹脂Jを射出成形装置外へ抜いていたので、抜く際に連通口14Bに面する合成樹脂Jには膨出部JBが発生することがある。このため、前記ゲートカット部材17の上昇により前記分離がなされると、この膨出部JBが切断されて小片JPとなって、ゲート13B内に残されることとなる。
【0135】
従って、次回の成形動作の際には、固化した前記小片JPは溶融した合成樹脂Jと一緒にキャビティS内に入ることとなり、ときにこの小片JPが成形品の意匠面(表面側)に存在することとなると、この成形品の出来映えが悪くなるので、好ましくなかった。
【0136】
そこで、以上の本発明の第1乃至第12の実施形態にあっては、前記ゲートカット部材17、17A、17BによりキャビティS内の合成樹脂とキャビティS外の合成樹脂とを分離した後に、ゲート23A、23B、第2スプルー11A、11B内の合成樹脂を射出成形装置外へ抜くようにしたので、このような好ましくない事態が発生することが防止できる。
【0137】
以上のように、本発明の実施態様について説明したが、上述の説明に基づいて当業者にとって種々の代替例、修正又は変形が可能であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で前述の種々の代替例、修正又は変形を包含するものである。
【符号の説明】
【0138】
6 固定金型
11、11A、11B 第2スプルー
13A、13B ゲート
14A、14B 連通口
17、17A ゲートカット部材
26 可動金型
27、27A、27A 案内通路
28 案内通路
35 熱媒体通路
36、36A、36B 熱媒体通路
40 インサート物
41 開口部
S キャビティ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定金型と可動金型とを閉じた状態でゲートを介してキャビティ内に溶融した合成樹脂を射出して成形する射出成形装置において、
前記キャビティ内の合成樹脂とキャビティ外の合成樹脂とを分離するゲートカット部材の移動用の案内通路の開口端部をこのキャビティの底面又は上面に臨むように配設すると共に、
前記ゲートカット部材を前記合成樹脂の軟化点温度以上に加熱する加熱手段を設けたことを特徴とする射出成形装置。
【請求項2】
固定金型と可動金型とを閉じた状態でゲートを介してキャビティ内に溶融した合成樹脂を射出して成形する射出成形装置において、
前記キャビティ内の合成樹脂とキャビティ外の合成樹脂とを分離するゲートカット部材の移動用の案内通路の開口端部をこのキャビティの底面又は上面に臨むように配設すると共に、
前記合成樹脂が前記ゲートカット部材と接触した状態で又は接触しながら前記ゲートを介して前記キャビティ内に射出されるように、このゲートカット部材を配設したことを特徴とする射出成形装置。
【請求項3】
固定金型と可動金型とを閉じた状態でゲートを介してキャビティ内に溶融した合成樹脂を射出して成形する射出成形装置において、
前記キャビティ内の合成樹脂とキャビティ外の合成樹脂とを分離するゲートカット部材の移動用の案内通路の開口端部をこのキャビティの底面又は上面に臨むように配設すると共に、
前記ゲートの開口端部を移動動作前の前記ゲートカット部材より前記キャビティの近くに位置する前記案内通路に連通口を介して連通させたことを特徴とする射出成形装置。
【請求項4】
固定金型と可動金型とを閉じた状態でゲートを介してキャビティ内に溶融した合成樹脂を射出して成形する射出成形装置において、
前記キャビティ内の合成樹脂とキャビティ外の合成樹脂とを分離するゲートカット部材の移動用の案内通路の開口端部をこのキャビティの底面又は上面に臨むように配設すると共に、
前記ゲートの開口端部を前記案内通路に連通口を介して連通させ且つこの連通口に面するように移動動作前の前記ゲートカット部材の先端部を配設したことを特徴とする射出成形装置。
【請求項5】
固定金型と可動金型とを閉じた状態でゲートを介してキャビティ内に溶融した合成樹脂を射出して成形する射出成形装置において、
前記キャビティ内の合成樹脂とキャビティ外の合成樹脂とを分離するゲートカット部材の移動用の案内通路の開口と前記ゲートの開口とを共通なものとして、このキャビティの上面に臨むように配設したことを特徴とする射出成形装置。
【請求項6】
固定金型と可動金型とを型開きしている状態下で熱可塑性合成樹脂製のインサート物をキャビティ内にセットした後、前記固定金型と可動金型とを閉じ、ゲートを介して前記キャビティ内に溶融した合成樹脂を射出して一体品にするインサート成形装置において、
前記キャビティ内の合成樹脂とキャビティ外の合成樹脂とを分離するゲートカット部材の移動用の案内通路の開口端部をこのキャビティの底面又は上面に臨むように配設すると共に、前記キャビティ内の合成樹脂とキャビティ外の合成樹脂とを分離する前に前記ゲートカット部材を前記合成樹脂の軟化点温度以上に加熱する加熱手段を設け、
前記合成樹脂の射出口が前記インサート物の開口部に面するように、前記インサート物を前記キャビティ内に配設して、溶融した合成樹脂を前記インサート物の開口部を通して前記キャビティ内に射出することを特徴とするインサート成形装置。
【請求項7】
固定金型と可動金型とを型開きしている状態下で熱可塑性合成樹脂製のインサート物をキャビティ内にセットした後、前記固定金型と可動金型とを閉じ、ゲートを介して前記キャビティ内に溶融した合成樹脂を射出して一体品にするインサート成形装置において、
前記キャビティ内の合成樹脂とキャビティ外の合成樹脂とを分離するゲートカット部材の移動用の案内通路の開口端部をこのキャビティの底面又は上面に臨むように配設すると共に、前記合成樹脂が前記ゲートカット部材と接触した状態で又は接触しながら前記ゲートを介して前記キャビティ内に射出されるようにこのゲートカット部材を配設し、
前記合成樹脂の射出口が前記インサート物の開口部に面するように、前記インサート物を前記キャビティ内に配設して、溶融した合成樹脂を前記インサート物の開口部を通して前記キャビティ内に射出することを特徴とするインサート成形装置。
【請求項8】
固定金型と可動金型とを型開きしている状態下で熱可塑性合成樹脂製のインサート物をキャビティ内にセットした後、前記固定金型と可動金型とを閉じ、ゲートを介して前記キャビティ内に溶融した合成樹脂を射出して一体品にするインサート成形装置において、
前記キャビティ内の合成樹脂とキャビティ外の合成樹脂とを分離するゲートカット部材の移動用の案内通路の開口端部をこのキャビティの底面又は上面の中間位置に臨むように配設すると共に、
前記ゲートの開口端部を移動動作前の前記ゲートカット部材より前記キャビティの近くに位置する前記案内通路に連通口を介して連通させ、
前記案内通路の開口部が前記インサート物の開口部に面するように、前記インサート物を前記キャビティ内に配設して、
前記ゲートと前記ゲートカット部材より前記キャビティの近くに位置する前記案内通路とを通過した溶融した合成樹脂を前記インサート物の開口部を通して前記キャビティ内に射出する
ことを特徴とするインサート成形装置。
【請求項9】
固定金型と可動金型とを型開きしている状態下で熱可塑性合成樹脂製のインサート物をキャビティ内にセットした後、前記固定金型と可動金型とを閉じ、ゲートを介して前記キャビティ内に溶融した合成樹脂を射出して一体品にするインサート成形装置において、
前記キャビティ内の合成樹脂とキャビティ外の合成樹脂とを分離するゲートカット部材の移動用の案内通路の開口端部をこのキャビティの底面又は上面の中間位置に臨むように配設すると共に、
前記ゲートの開口端部を前記案内通路に連通口を介して連通させ且つこの連通口に面するように移動動作前の前記ゲートカット部材の先端部を配設し、
前記ゲートと前記ゲートカット部材より前記キャビティの近くに位置する前記案内通路を通過した溶融した合成樹脂を前記インサート物の開口部を通して前記キャビティ内に射出する
ことを特徴とするインサート成形装置。
【請求項10】
固定金型と可動金型とを型開きしている状態下で熱可塑性合成樹脂製のインサート物をキャビティ内にセットした後、前記固定金型と可動金型とを閉じ、ゲートを介して前記キャビティ内に溶融した合成樹脂を射出して一体品にするインサート成形装置において、
前記キャビティ内の合成樹脂とキャビティ外の合成樹脂とを分離するゲートカット部材の移動用の案内通路の開口と前記ゲートの開口とを共通なものとして、このキャビティの上面の中間位置に臨むように配設し
前記ゲートを通過した溶融した合成樹脂を前記インサート物の開口部を通して前記キャビティ内に射出する
ことを特徴とするインサート成形装置。
【請求項11】
前記ゲートカット部材を加熱する加熱手段を設け、この加熱手段により加熱した後に、前記キャビティ内に溶融した合成樹脂を射出するようにしたことを特徴とする請求項2、3、4、5、7、8、9、10のいずれかに記載の射出成形装置又はインサート成形装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【公開番号】特開2011−245669(P2011−245669A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−119054(P2010−119054)
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【出願人】(300045558)株式会社富士精工 (14)
【Fターム(参考)】