導圧管の詰まり診断システムおよび診断方法
【課題】導圧管の詰まり診断の感度を向上させ、より早い時点で導圧管の詰まりを検知する。
【解決手段】圧力発信器1に測定用ダイアフラム8とは別に非測定用ダイアフラム9を設ける。非測定用ダイアフラム9の圧力変化に対する変形率を測定用ダイアフラム8の圧力変化に対する変形率の10倍程度以上にする。これにより、圧力発信器1の内部の流路系の圧力変化に対する変形率Cが大きくなり、圧力揺動の変化が検知し易くなり、導圧管の詰まり診断の感度が向上する。なお、流体7は非圧縮性流体とする。
【解決手段】圧力発信器1に測定用ダイアフラム8とは別に非測定用ダイアフラム9を設ける。非測定用ダイアフラム9の圧力変化に対する変形率を測定用ダイアフラム8の圧力変化に対する変形率の10倍程度以上にする。これにより、圧力発信器1の内部の流路系の圧力変化に対する変形率Cが大きくなり、圧力揺動の変化が検知し易くなり、導圧管の詰まり診断の感度が向上する。なお、流体7は非圧縮性流体とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、プロセス配管から分岐された導圧管に生じる詰まりを診断する導圧管の詰まり診断システムおよび診断方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、プロセス工業分野では、例えばプロセス変量を検出してプロセスを制御するために、圧力発信器や差圧発信器が使用されている。圧力発信器は圧力伝送器とも、差圧発信器は差圧伝送器とも呼ばれる。圧力発信器は絶対圧やゲージ圧を、差圧発信器は2点間の差圧を測定するものであり、圧力、流量、液位、比重などのプロセス変量測定のために用いられている。一般に、圧力・差圧発信器(以下、総称する時は単に発信器と呼ぶ)を用いてプロセス変量を測定する場合、測定対象の流体が流れるプロセス配管から導圧管と呼ばれる細い管路を介して、測定対象を発信器に導入する。
【0003】
図9に圧力発信器を用いたシステム(圧力測定システム)の概略図を示す。この圧力測定システムにおいて、圧力発信器1は、プロセス配管2から分岐された導圧管3を通して導かれる流体の圧力を検出する。
【0004】
図10に差圧発信器を用いたシステム(差圧測定システム)の概略図を示す。この差圧測定システムにおいて、差圧発信器4は、プロセス配管2から分岐された導圧管3−1,3−2を通して導かれる流体の圧力差を検出する。なお、このシステムにおいて、プロセス配管2には差圧発生機構(オリフィス等)5が設けられており、この差圧発生機構5を挟む前後の位置から導圧管3−1,3−2が分岐されている。
【0005】
このような圧力測定システムや差圧測定システムのシステム構成では、測定対象によっては固形物などが導圧管の内部に付着し、導圧管が詰まることがある。導圧管が完全に詰まると、プロセス変量を正確に測定できなくなるため、プラントへの影響は甚大である。しかし、導圧管が完全に詰まるまでは発信器に圧力が伝わるため、詰まりの影響はプロセス変量の測定値には現れ難い。
【0006】
このような問題に対して、導圧管が不要なリモートシール型の圧力発信器も実用化されている。しかしながら、導圧管を用いてプロセス変量を測定しているプラントは非常に多く、導圧管の詰まり診断機能をオンラインで実現することが求められている。
【0007】
この課題に対して、流体の圧力揺動を利用して導圧管の詰まりを診断する手法や装置が既に提案されている。
【0008】
例えば特許文献1には、圧力信号の最大変動幅(最大値と最小値の差)の減少から導圧管の詰まりが検知できることが示されている。
【0009】
特許文献2,3には、圧力や差圧の揺動の大きさ、及び、それらから計算されるパラメータを用いて導圧管の詰まりを検知・診断する装置・方法が開示されている。
【0010】
特許文献4には、差圧から抽出した揺動の標準偏差やパワースペクトル密度といった、揺動の大きさを反映した統計量や関数から導圧管の状態を診断する装置・手法が開示されている。
【0011】
特許文献5には、圧力揺動の上下動回数など、揺動の速さから詰まりを診断する装置・手法が示されている。なお、この特許文献5に記載された発明は、圧力や差圧の揺動の振幅ではなく、揺動の速さ(周波数)に基づいているという点で他の特許文献1〜4に記載された発明と異なっているが、圧力や差圧の揺動を利用しているという点では共通している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特公平7−11473号公報
【特許文献2】特許第3139597号公報
【特許文献3】特許第3129121号公報
【特許文献4】特表2002−538420号公報
【特許文献5】特開2010−127893号公報
【特許文献6】特表2009−505276号公報
【特許文献7】特許3147275号公報
【特許文献8】特開2007−47012号公報
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】栄野隼一・涌井徹也・橋詰 匠・宮地宣夫・黒森健一・結城義敬:「水ラインでのディジタル式差圧伝送器による導圧管の詰まり検出」,計測自動制御学会産業論文集,第6巻,第13号,103/109 (2007)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、従来の圧力揺動から導圧管の詰まりを検知する手法には、詰まり(閉塞)の度合いが相当に進行しないと検知できない場合があるという問題点があった。例えば、特許文献6の図4〜6では、閉塞の程度と、詰まりを判断する根拠となるパワースペクトルとの関係が示されているが(使用流体は不明)、そこで示されている閉塞の孔の直径は0.0135インチ(0.34[mm])、及び0.005インチ(0.13[mm])と相当に小さいものである。
【0015】
また、非特許文献1には、定格Cv値が0.015のニードルバルブを5%に絞った状態を模擬詰まりとして水を流体として実験を行い、模擬詰まりが検知できたとある。しかし、Cv値0.015の5%というのは、バルブの両端に1[psi](6.895[kPa])の差圧が生じている時に7.5×10-4[ガロン/分]の流量、すなわち2.8[ml/分]しか流体が流れないことを意味する。これは、層流を仮定した場合における、直径0.23[mm],長さ10[mm]の閉塞管路の流量特性に相当するものであり(ハーゲン・ポアズイユの式から求められる)、特許文献6で示された閉塞の程度に近い。
【0016】
以上のように、既存の文献で扱っている詰まりの程度は、詰まりが相当に進んだ状態である。そして、そこまで詰まりが進行しないと検知が難しいということでもある。この問題は圧力揺動から導圧管の詰まりを診断する手法全般に関わるものであり、多少の程度の差はあれ、どのような手法であっても同様な問題が起こりうる。
【0017】
なお、圧力揺動のうち、周波数がより高い成分を利用することで、検知可能な閉塞の度合いを改善させることはできる。しかしながら、一般に圧力揺動は周波数が高くなるほど振幅が減少するため、その利用は困難となる。よって、周波数がより高い成分を利用するだけで問題を解決するのは容易ではない。
【0018】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、導圧管の詰まり診断の感度を向上させ、より早い時点で導圧管の詰まりを検知することが可能な導圧管の詰まり診断システムおよび診断方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
このような目的を達成するために本発明は、プロセス配管から分岐された導圧管と、この導圧管を通して導かれてくる流体の圧力を検出する圧力検出手段とを備え、圧力検出手段によって検出される圧力に基づいて導圧管に生じる詰まりを診断する導圧管の詰まり診断システムにおいて、圧力検出手段の内部の流体の導入路およびこの導入路を流れる流体とを流路系とし、この流路系の圧力変化に対する変形率を大きくする変形率増大手段を備えることを特徴とする。
【0020】
この発明によれば、圧力検出手段の内部の流体の導入路およびこの導入路を流れる流体とを流路系とし、この流路系の圧力変化に対する変形率を大きくすることにより、流体の圧力揺動の高周波成分が減衰し易くなる。このため、圧力揺動の変化を検知し易くなり、導圧管の詰まり診断の感度を向上させ、より早い時点で導圧管の詰まりを検知することが可能となる。
【0021】
本発明において、流体が非圧縮流体である場合、圧力検出手段の内部の流路系における流体に接する面の圧力変化に対する変形率を大きくするとよい。例えば、導入路を通して導入される流体に接するダイアフラムを変形率増大手段として設けることにより、流路系における流体に接する面の圧力変化に対する変形率を大きくすることが考えられる。例えば、圧力の測定に用いるダイアフラム(測定用ダイアフラム)とは別に圧力の測定には関係しないダイアフラム(非測定用ダイアフラム)を設け、この非測定用ダイアフラムの圧力変化に対する変形率を測定用ダイアフラムの圧力変化に対する変形率よりも大きくするすることによって、流路系における流体に接する面の圧力変化に対する変形率を大きくする。この場合、非測定用ダイアフラムの圧力変化に対する変形率を測定用ダイアフラムの圧力変化に対する変形率の10倍程度以上とするとよい。なお、非測定用ダイアフラムを設けるのではなく、測定用ダイアフラムの圧力変化に対する変形率を大きくするようにしてもよい。
【0022】
本発明において、流体が圧縮性流体である場合、圧力検出手段の内部の流路系における流体の圧力変化に対する変形率を大きくするとよい。例えば、導入路を通して導入される流体が満たされる空間を変形率増大手段とし、流路系における流体の圧力変化に対する変形率を大きくすることが考えられる。例えば、測定用ダイアフラムが接液される空間(接液空間)の体積を大きくすることによって、流路系における流体の圧力変化に対する変形率を大きくする。なお、圧力検出手段の内部の流路系に、測定用ダイアフラムの接液空間とは別に、流体が流入する新たな空間を作るようにしてもよい。
【0023】
なお、本発明において、導圧管を通して導かれてくる流体の圧力を検出する圧力検出手段は、圧力発信器だけではなく、差圧発信器も含む広い概念として定義されるものである。すなわち、差圧発信器は2つの導圧管を通して導かれてくる流体の圧力差を検出するが、それぞれの導圧管から引き込まれる流体の圧力を検出してその差を求めているものと言え、圧力発信器と同様、導圧管を通して導かれてくる流体の圧力を検出していることには変わりはない。また、本発明は、導圧管の詰まり診断システムとしてではなく、導圧管の詰まり診断方法としても実現することが可能である。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、圧力検出手段の内部の流体の導入路およびこの導入路を流れる流体とを流路系とし、この流路系の圧力変化に対する変形率を大きくするようにしたので、流体の圧力揺動の高周波成分を減衰し易くし、圧力揺動の変化を検知し易くして、導圧管の詰まり診断の感度を向上させ、より早い時点で導圧管の詰まりを検知することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】正常時の圧力測定システムを示す図である。
【図2】導圧管が詰まった時の圧力測定システムを示す図である。
【図3】導圧管詰まりによるローパスフィルタ効果と関係する要素を説明する図である。
【図4】導圧管詰まりによるローパスフィルタ効果と関係する変形要素(発信器の受圧面、導圧管路内の流体、導圧管の管壁)を説明する図である。
【図5】変形要素を操作することで診断が容易になる理由を説明する図である。
【図6】ローパスフィルタ効果のモデル式を説明する図である。
【図7】本発明に係る導圧管の詰まり診断システムの実施の形態1を示す図である。
【図8】本発明に係る導圧管の詰まり診断システムの実施の形態2を示す図である。
【図9】圧力発信器を用いたシステム(圧力測定システム)の概略図である。
【図10】差圧発信器を用いたシステム(差圧測定システム)の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。まず、実施の形態の説明に入る前に、本発明を想到するまでの経緯および本発明の原理について述べる。
【0027】
〔経緯〕
圧力・差圧の揺動を用いた導圧管の詰まり検知手法として、種々の検知手法が提案されているが、検知の原理こそ異なるものの、利用している物理現象は同じである。それは、導圧管中の詰まり(閉塞)が、管路内の圧力伝播に対するローパスフィルタとして作用するという現象である。
【0028】
以下、図9に示した圧力測定システムを例にとって説明する。なお、図10に示した差圧測定システムでは導圧管が2本になることを除き、本発明に関しては本質的な違いはないので、図9に示した圧力測定システムを代表例として説明する。
【0029】
図1に正常時の圧力測定システムを示す。この場合、導圧管3には詰まりが生じていないので、プロセス配管2内の流体(プロセス流体)の圧力の揺動(上下動)がほぼそのままの形で圧力発信器1に伝達され、圧力発信器1における圧力揺動となる。
【0030】
しかし、図2に示すように、導圧管3に詰まり(閉塞)6が生じると、この詰まり(閉塞)6が圧力伝播に対するローパスフィルタとして働き、圧力発信器1で検出される圧力揺動は、詰まり(閉塞)6が無い場合に比べて減衰したものになる。特に、周波数が高いほど、減衰幅は大きくなる。これを揺動の振幅や周波数の変化から捉えることで、導圧管3の詰まりを診断する。
【0031】
この現象には二つの要素が関わっている(図3参照)。一つ目は当然ながら詰まりの度合いである。詰まりの程度が重いほど高周波が減衰する(別の言い方をすれば、フィルタのカットオフ周波数が低くなる)。
【0032】
もう一つは、詰まり(閉塞)6と圧力発信器1との間の導圧管3内にある流体7、及びその流体7に接している圧力発信器1の受圧面(圧力発信器1の内部のダイアフラム)8や導圧管3の壁面3aなど(以下ではまとめて変形要素と呼ぶ)の、圧力に対する変形率である。この変形率が大きいほど、すなわち、単位圧力変化に対する変形要素の変形量の合計が大きいほど、揺動の高周波成分が減衰し易くなる。
【0033】
発明者はこの事実を利用し、圧力変化に対する変形要素の変形率を意図的に大きくして高周波成分の減衰を更に大きくすることで、導圧管の詰まり診断の感度を向上させ、より早い時点で導圧管の詰まりを検知することが可能となることに想到した。
【0034】
上述した二つの要素のうち、前者(詰まりの度合い)は診断対象そのものなので操作不可であるが、後者(変形要素の変形率)は意図的に操作することが可能である。よって、高周波成分の減衰を大きくする方向に変形要素の変形率を操作すれば、導圧管の詰まり診断の感度を向上させることができる。以下ではまず、発明の原理について直観的な説明を与え、それから詳細を述べる。
【0035】
〔発明の原理〕
詰まり(閉塞)6から見て圧力発信器1がある側(以下,検出端側と呼ぶ)には導圧管3、圧力発信器1の受圧面8、測定対象となる流体7といった変形要素が存在する。これらは管路内の圧力が変化すると多かれ少なかれ変形し、それに合わせて詰まり(閉塞)6から見て検出端側に存在する流体7の量も変化する。
【0036】
すなわち、圧力上昇/圧力下降に対し、図4(a)に示すように圧力発信器1の受圧面8が変形し、また図4(b)に示すように導圧管3内の流体7が変形し、また図4(c)に示すように導圧管3の管壁3aが変形し、それに合わせて詰まり(閉塞)6から見て検出端側に存在する流体7の量も変化する。この変化した分は、詰まり(閉塞)6を経由した流体の流入・流出によって補われる。なお、図4(b)において、3bは導圧管3の固定端である。
【0037】
ここで、プロセス側の圧力が変化したために、詰まり(閉塞)6の両端に圧力差が生じたとする。すると、この圧力差を減ずるように、詰まり(閉塞)6内に流れが生じる。この流れであるが、圧力差を解消するために必要な流体の量は、詰まり(閉塞)6から見て検出端側にある変形要素の変形し易さに比例する。
【0038】
なぜならば、それらが圧力変化によって変形し易いということは、検出端側の圧力を変えるために、すなわち、検出端側の圧力をプロセス配管側と等しくするために、より多く変形する必要があるということであり、多くの流体を流入・流出させる必要があるということだからである。
【0039】
一方、詰まり(閉塞)6内は当然ながら流体が流れにくいため、両端の圧力差を解消するのには時間がかかる。そしてこの時間は、圧力差を解消するために必要な流量が多いほど、すなわち、上述した変形要素が変形しやすいほど長くなる。この結果、変形率が大きくなるほど、検出端側の圧力はプロセス配管側の速い圧力変動(周波数が高い圧力変動)に追従できなくなるので、詰まりによるローパスフィルタ効果が大きくなる(図5参照)。詰まり(閉塞)6によるローパスフィルタ効果がより大きくなるということは、圧力揺動の変化を検知し易くなることを意味する。
【0040】
以上のような原理により、詰まり(閉塞)6よりも検出端側にある変形要素の変形率を意図的に大きくしたり、変形し易い部品等を更に追加することで、圧力揺動の変化を検知し易くし、導圧管の詰まり診断の感度を向上させ、より早い時点で導圧管の詰まりを検知することが可能となる。
【0041】
次に、上述したローパスフィルタのモデルを用いて、より理論的な説明を行う(図6参照)。まず、閉塞と変形要素の特性式を求める。以下、詰まり(閉塞)6から見てプロセス配管側の圧力をP1、同じく検出端側の圧力をP2、詰まり(閉塞)6を流れる流量をQで表す。流量は、プロセス配管側から検出端側に流れる向きを正とし、逆に流れた時は負の値で表すものとする。本来ならば、P1からP2までの圧力伝播特性は分布定数系としてモデル化すべきであるが、以下では説明し易いよう、集中定数近似した簡易モデルで説明する。
【0042】
閉塞の特性は次式でモデル化するものとする。以下、Rを流路抵抗と呼ぶ。なお、詰まり(閉塞)6内の流れが層流であれば、次式と同様な式をハーゲン・ポアズイユの式から導出することが可能である。なお、式中のtは時間を表す。
【0043】
【数1】
【0044】
変形要素の圧力に対する変形率については、次式のようにモデル化する。以下では、変形率といえばこのCを指すものとする。
【0045】
【数2】
【0046】
ここで、変形率Cは、その値が大きくなるほど、圧力P2が変化した時の変形要素の変形量が大きくなることを意味する。変形要素が変形することにより、その変形量と同じ量の流体が詰まり(閉塞)6から流入・流出するので、その量は(1)式のQに一致することになる。(1)式と(2)式とを合わせると、以下のような関係が得られる。
【0047】
【数3】
【0048】
この式より、P1からP2までの圧力伝播は、時定数RCのローパスフィルタになっていることがわかる。つまり、Cを大きくすれば時定数RCも大きくなり、フィルタの高周波減衰効果も大きくなる。その結果、圧力揺動の変化を検知し易くなり、導圧管の詰まり診断の感度が向上する。
【0049】
なお、Cを大きくすることで圧力伝播に対するローパスフィルタ効果が高まるが、導圧管が正常の場合にはほとんど影響しない。これは、ローパスフィルタの時定数がRとCの積になっているためで、導圧管が正常でRが十分に小さい時にはローパスフィルタ効果が顕在化しないからである。よって、Cを大きくしても、極端に大きくしない限りは正常時の圧力測定には影響しない。
【0050】
〔実施の形態1:圧力発信器に非測定用ダイアフラムを設ける例(非圧縮性流体向き)〕
実施の形態1では、圧力発信器の内部の流体の導入路およびこの導入路を流れる流体とを流路系とし、この流路系の圧力変化に対する変形率Cを大きくする変形率増大手段として、導入路を通して導かれる流体に接する非測定用ダイアフラムを設ける。
【0051】
なお、この実施の形態1において、変形率増大手段として設ける非測定用ダイアフラムは、その圧力変化に対する変形率を測定用ダイアフラムの圧力変化に対する変形率よりも遙かに大きくする。この非測定用ダイアフラムの変形率については後述する。
【0052】
図7にこの実施の形態1の概略図を示す。この実施の形態1では、圧力発信器1に、測定用ダイアフラム8とは別に、非測定用ダイアフラム9を設けている。なお、測定用ダイアフラム8および非測定用ダイアフラム9が接液される空間(接液空間)には、導圧管3からの流体7が導入路10を通して流れ込む。また、非測定用ダイアフラム9の圧力変化に対する変形率は、測定用ダイアフラム8の圧力変化に対する変形率よりも遙かに大きく(後述)されている。
【0053】
測定用ダイアフラム8は、第1の面に導入路10を通して流れ込む流体7の圧力(流体圧力)を受けるとともに第2の面に基準圧力を受け、流体圧力と基準圧力との差に応じて変形する。圧力発信器1は、この測定用ダイアフラム8の変形量に応じた検出出力を生じ、この検出出力に基づいた測定圧力を示す信号を出力する。
【0054】
非測定用ダイアフラム9は、導入路10を通して流れ込む流体7の圧力(流体圧力)を受けて、測定用ダイアフラム8よりも遙かに大きく変形する。この非測定用ダイアフラム9の変形は測定用ダイアフラム8を用いての圧力の測定には関係しない。
【0055】
このような非測定用ダイアフラム9を設けることで、すなわち流体7に接する非測定用ダイアフラム9の圧力変化に対する変形率を測定用ダイアフラム8よりも遙かに大きくすることで、流路系の圧力変化に対する変形率Cを大きくする効果が得られ、この結果として、圧力揺動の変化が検知し易くなり、導圧管の詰まり診断の感度が向上する。
【0056】
追加する非測定用ダイアフラム9の変形率であるが、十分な効果を得るためには、測定用ダイアフラム8の変形率の10倍程度以上にするのが望ましい。これは詰まり内部の流れが層流だった場合、その流路抵抗が、閉塞部分の直径の4乗、断面積の2乗に反比例することによる(ハーゲン・ポアズイユの式から導かれる)。
【0057】
例えば、(2)式のCが2倍になると、Rが1/2でも同等のローパスフィルタ効果が得られる。しかし、1/2のRに相当するのは、直径では21/4倍(約1.2倍)、断面積では21/2倍(約1.4倍)であり、詰まり診断が容易になるといってもその改善幅はあまり大きくない。逆算すれば、閉塞の直径が2倍でも同程度のローパスフィルタ効果を得るためには、Rが1/16になるわけだから、Cを16倍にする必要がある。
【0058】
以上より、追加する非測定用ダイアフラム9の変形率を測定用ダイアフラム8の10倍程度以上にしないと、大幅な改善は見込めないということになる。
【0059】
この実施の形態1が有効なのは、主に流体7が非圧縮性流体である場合である。流体7が圧縮性流体の場合には、圧力変化による流体自身の体積変化が大きく、一般的にはダイアフラム9の変形量を上回る。このような場合には、後述する実施の形態2の方が有効と言える。この実施の形態1では、導圧管3そのものに手を加えることなく、所望の効果を得られるという利点がある。
【0060】
なお、この実施の形態1では、測定用ダイアフラム8とは別に非測定用ダイアフラム9を設けるようにしたが、測定用ダイアフラム8を通常よりも変形し易い材質や構造とすることで、圧力発信器1の内部の流路系の圧力変化に対する変形率Cを大きくし、同様の効果を得るようにしてもよい。
【0061】
〔実施の形態2:測定用ダイアフラムの接液空間の体積を大きくする例(圧縮性流体向き)〕
実施の形態2では、圧力発信器の内部の流体の導入路およびこの導入路を流れる流体とを流路系とし、導入路を通して導入される流体が満たされる測定用ダイアフラムの接液空間の体積を大きくし、流路系の圧力変化に対する変形率Cを大きくする変形率増大手段とする。
【0062】
図8(b)にこの実施の形態2の概略図を示す。この実施の形態2では、測定用ダイアフラム8の接液空間11の体積、すなわち測定用ダイアフラム8の接液面8a,8bが接液される空間11a,11bの体積を、図8(a)に示す従来の測定用ダイアフラム8の接液空間11’(11a’,11b’)よりも遙かに大きくしている。
【0063】
このような接液空間11を設けることによって、すなわち接液空間11の体積を従来よりも遙かに大きくすることによって、圧力発信器1の内部にある流体7の体積が増える。この場合、導圧管3に詰まり(閉塞)6が発生したとすると、詰まり(閉塞)6より奥(検出端側)にある流体7の体積は、この接液空間11の体積を大きくしなかった場合より増大することになる。
【0064】
流体7自身の圧力変化による変形量は流体7の体積に比例するので、この接液空間11の体積を大きくすることで、すなわち流体7の圧力変化に対する変形率を大きくすることで、圧力発信器1の内部の流路系の圧力変化に対する変形率Cを大きくする効果が得られる。この結果として、圧力揺動の変化が検知し易くなり、導圧管の詰まり診断の感度が向上する。
【0065】
この実施の形態2が有効なのは、主に流体7が圧縮性流体である場合である。流体7が非圧縮性流体の場合は、圧力が変化しても流体自身はほとんど変形しないため、効果が無いか、あってもごく小さい。このような場合には、前述した実施の形態1の方が有効と言える。この実施の形態2でも、導圧管3そのものに手を加えることなく、所望の効果を得られるという利点がある。
【0066】
なお、この実施の形態2では、測定用ダイアフラム8の接液空間11の体積を大きくするようにしたが、圧力発信器2の内部の流路系に、測定用ダイアフラム8の接液空間11とは別に、流体7が流入する新たな空間を作るようにしてもよい。
【0067】
以上、実施の形態1,2について説明したが、本発明はこれらの実施の形態のみに限定するものでは無い。例えば、実施の形態1と実施の形態2とを併用したり、上述で説明した以外の構成として変形率増大手段を設けることも考えられる。
【0068】
また、上述した実施の形態1,2では、圧力発信器1を用いた圧力測定システムへの適用例として説明したが、差圧発信器4(図10)を用いた差圧測定システムへも同様にして適用することが可能である。差圧測定システムでは、導圧管3−1を通して導かれてくる流体の圧力と導圧管3−2を通して導かれてくる流体の圧力との差を差圧発信器4で検出するが、実施の形態1,2で示したと同様にして、非測定用ダイアフラムを設けたり、測定用ダイアフラムの接液空間の体積を増大させるようにしたりしてもよい。
【0069】
また、本発明は主に、流体の圧力揺動を利用して導圧管の詰まりを診断する手法を利用することを想定しているが、それだけに限るものではない。すなわち、本発明は、導圧管中の詰まり(閉塞)が管路内の圧力伝播に対するローパスフィルタとして作用するという現象を利用していれば、他の詰まり診断手法であっても有効である。
【0070】
例えば、特許文献7、8では、発信器が接続されているプロセス配管の制御弁(コントロール・バルブ)の操作信号にステップ状の波形を重畳し、その信号に対する圧力や差圧の応答から導圧管の詰まりを診断するという技術が開示されている。
【0071】
これらの技術は、制御弁の操作によって生じた圧力や差圧の変化が発信器に伝播する際に、導圧管路内の詰まりがローパスフィルタとして作用するため、圧力応答波形が変化することを利用している。このような手法においても、本発明を適用すれば、詰まりによる応答変化が大きくなるため、導圧管の詰まり診断の感度を向上させ、より早い時点で導圧管の詰まりを検知することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の導圧管の詰まり診断システムは、プロセス配管から分岐された導圧管に生じる詰まりを診断する導圧管の詰まり診断システムとして、圧力発信器を用いた圧力測定システムや差圧発信器を用いた差圧測定システムに利用することが可能である。
【符号の説明】
【0073】
1…圧力発信器、2…プロセス配管、3,3−1,3−2…導圧管、3a…管壁、3b…固定端、4…差圧発信器、5…差圧発生機構(オリフィス等)、6…詰まり(閉塞)、7…流体、8…測定用ダイアフラム、8a,8b…接液面、9…非測定用ダイアフラム、10…連通管、11(11a,11b)…空間(接液空間)。
【技術分野】
【0001】
この発明は、プロセス配管から分岐された導圧管に生じる詰まりを診断する導圧管の詰まり診断システムおよび診断方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、プロセス工業分野では、例えばプロセス変量を検出してプロセスを制御するために、圧力発信器や差圧発信器が使用されている。圧力発信器は圧力伝送器とも、差圧発信器は差圧伝送器とも呼ばれる。圧力発信器は絶対圧やゲージ圧を、差圧発信器は2点間の差圧を測定するものであり、圧力、流量、液位、比重などのプロセス変量測定のために用いられている。一般に、圧力・差圧発信器(以下、総称する時は単に発信器と呼ぶ)を用いてプロセス変量を測定する場合、測定対象の流体が流れるプロセス配管から導圧管と呼ばれる細い管路を介して、測定対象を発信器に導入する。
【0003】
図9に圧力発信器を用いたシステム(圧力測定システム)の概略図を示す。この圧力測定システムにおいて、圧力発信器1は、プロセス配管2から分岐された導圧管3を通して導かれる流体の圧力を検出する。
【0004】
図10に差圧発信器を用いたシステム(差圧測定システム)の概略図を示す。この差圧測定システムにおいて、差圧発信器4は、プロセス配管2から分岐された導圧管3−1,3−2を通して導かれる流体の圧力差を検出する。なお、このシステムにおいて、プロセス配管2には差圧発生機構(オリフィス等)5が設けられており、この差圧発生機構5を挟む前後の位置から導圧管3−1,3−2が分岐されている。
【0005】
このような圧力測定システムや差圧測定システムのシステム構成では、測定対象によっては固形物などが導圧管の内部に付着し、導圧管が詰まることがある。導圧管が完全に詰まると、プロセス変量を正確に測定できなくなるため、プラントへの影響は甚大である。しかし、導圧管が完全に詰まるまでは発信器に圧力が伝わるため、詰まりの影響はプロセス変量の測定値には現れ難い。
【0006】
このような問題に対して、導圧管が不要なリモートシール型の圧力発信器も実用化されている。しかしながら、導圧管を用いてプロセス変量を測定しているプラントは非常に多く、導圧管の詰まり診断機能をオンラインで実現することが求められている。
【0007】
この課題に対して、流体の圧力揺動を利用して導圧管の詰まりを診断する手法や装置が既に提案されている。
【0008】
例えば特許文献1には、圧力信号の最大変動幅(最大値と最小値の差)の減少から導圧管の詰まりが検知できることが示されている。
【0009】
特許文献2,3には、圧力や差圧の揺動の大きさ、及び、それらから計算されるパラメータを用いて導圧管の詰まりを検知・診断する装置・方法が開示されている。
【0010】
特許文献4には、差圧から抽出した揺動の標準偏差やパワースペクトル密度といった、揺動の大きさを反映した統計量や関数から導圧管の状態を診断する装置・手法が開示されている。
【0011】
特許文献5には、圧力揺動の上下動回数など、揺動の速さから詰まりを診断する装置・手法が示されている。なお、この特許文献5に記載された発明は、圧力や差圧の揺動の振幅ではなく、揺動の速さ(周波数)に基づいているという点で他の特許文献1〜4に記載された発明と異なっているが、圧力や差圧の揺動を利用しているという点では共通している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特公平7−11473号公報
【特許文献2】特許第3139597号公報
【特許文献3】特許第3129121号公報
【特許文献4】特表2002−538420号公報
【特許文献5】特開2010−127893号公報
【特許文献6】特表2009−505276号公報
【特許文献7】特許3147275号公報
【特許文献8】特開2007−47012号公報
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】栄野隼一・涌井徹也・橋詰 匠・宮地宣夫・黒森健一・結城義敬:「水ラインでのディジタル式差圧伝送器による導圧管の詰まり検出」,計測自動制御学会産業論文集,第6巻,第13号,103/109 (2007)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、従来の圧力揺動から導圧管の詰まりを検知する手法には、詰まり(閉塞)の度合いが相当に進行しないと検知できない場合があるという問題点があった。例えば、特許文献6の図4〜6では、閉塞の程度と、詰まりを判断する根拠となるパワースペクトルとの関係が示されているが(使用流体は不明)、そこで示されている閉塞の孔の直径は0.0135インチ(0.34[mm])、及び0.005インチ(0.13[mm])と相当に小さいものである。
【0015】
また、非特許文献1には、定格Cv値が0.015のニードルバルブを5%に絞った状態を模擬詰まりとして水を流体として実験を行い、模擬詰まりが検知できたとある。しかし、Cv値0.015の5%というのは、バルブの両端に1[psi](6.895[kPa])の差圧が生じている時に7.5×10-4[ガロン/分]の流量、すなわち2.8[ml/分]しか流体が流れないことを意味する。これは、層流を仮定した場合における、直径0.23[mm],長さ10[mm]の閉塞管路の流量特性に相当するものであり(ハーゲン・ポアズイユの式から求められる)、特許文献6で示された閉塞の程度に近い。
【0016】
以上のように、既存の文献で扱っている詰まりの程度は、詰まりが相当に進んだ状態である。そして、そこまで詰まりが進行しないと検知が難しいということでもある。この問題は圧力揺動から導圧管の詰まりを診断する手法全般に関わるものであり、多少の程度の差はあれ、どのような手法であっても同様な問題が起こりうる。
【0017】
なお、圧力揺動のうち、周波数がより高い成分を利用することで、検知可能な閉塞の度合いを改善させることはできる。しかしながら、一般に圧力揺動は周波数が高くなるほど振幅が減少するため、その利用は困難となる。よって、周波数がより高い成分を利用するだけで問題を解決するのは容易ではない。
【0018】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、導圧管の詰まり診断の感度を向上させ、より早い時点で導圧管の詰まりを検知することが可能な導圧管の詰まり診断システムおよび診断方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
このような目的を達成するために本発明は、プロセス配管から分岐された導圧管と、この導圧管を通して導かれてくる流体の圧力を検出する圧力検出手段とを備え、圧力検出手段によって検出される圧力に基づいて導圧管に生じる詰まりを診断する導圧管の詰まり診断システムにおいて、圧力検出手段の内部の流体の導入路およびこの導入路を流れる流体とを流路系とし、この流路系の圧力変化に対する変形率を大きくする変形率増大手段を備えることを特徴とする。
【0020】
この発明によれば、圧力検出手段の内部の流体の導入路およびこの導入路を流れる流体とを流路系とし、この流路系の圧力変化に対する変形率を大きくすることにより、流体の圧力揺動の高周波成分が減衰し易くなる。このため、圧力揺動の変化を検知し易くなり、導圧管の詰まり診断の感度を向上させ、より早い時点で導圧管の詰まりを検知することが可能となる。
【0021】
本発明において、流体が非圧縮流体である場合、圧力検出手段の内部の流路系における流体に接する面の圧力変化に対する変形率を大きくするとよい。例えば、導入路を通して導入される流体に接するダイアフラムを変形率増大手段として設けることにより、流路系における流体に接する面の圧力変化に対する変形率を大きくすることが考えられる。例えば、圧力の測定に用いるダイアフラム(測定用ダイアフラム)とは別に圧力の測定には関係しないダイアフラム(非測定用ダイアフラム)を設け、この非測定用ダイアフラムの圧力変化に対する変形率を測定用ダイアフラムの圧力変化に対する変形率よりも大きくするすることによって、流路系における流体に接する面の圧力変化に対する変形率を大きくする。この場合、非測定用ダイアフラムの圧力変化に対する変形率を測定用ダイアフラムの圧力変化に対する変形率の10倍程度以上とするとよい。なお、非測定用ダイアフラムを設けるのではなく、測定用ダイアフラムの圧力変化に対する変形率を大きくするようにしてもよい。
【0022】
本発明において、流体が圧縮性流体である場合、圧力検出手段の内部の流路系における流体の圧力変化に対する変形率を大きくするとよい。例えば、導入路を通して導入される流体が満たされる空間を変形率増大手段とし、流路系における流体の圧力変化に対する変形率を大きくすることが考えられる。例えば、測定用ダイアフラムが接液される空間(接液空間)の体積を大きくすることによって、流路系における流体の圧力変化に対する変形率を大きくする。なお、圧力検出手段の内部の流路系に、測定用ダイアフラムの接液空間とは別に、流体が流入する新たな空間を作るようにしてもよい。
【0023】
なお、本発明において、導圧管を通して導かれてくる流体の圧力を検出する圧力検出手段は、圧力発信器だけではなく、差圧発信器も含む広い概念として定義されるものである。すなわち、差圧発信器は2つの導圧管を通して導かれてくる流体の圧力差を検出するが、それぞれの導圧管から引き込まれる流体の圧力を検出してその差を求めているものと言え、圧力発信器と同様、導圧管を通して導かれてくる流体の圧力を検出していることには変わりはない。また、本発明は、導圧管の詰まり診断システムとしてではなく、導圧管の詰まり診断方法としても実現することが可能である。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、圧力検出手段の内部の流体の導入路およびこの導入路を流れる流体とを流路系とし、この流路系の圧力変化に対する変形率を大きくするようにしたので、流体の圧力揺動の高周波成分を減衰し易くし、圧力揺動の変化を検知し易くして、導圧管の詰まり診断の感度を向上させ、より早い時点で導圧管の詰まりを検知することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】正常時の圧力測定システムを示す図である。
【図2】導圧管が詰まった時の圧力測定システムを示す図である。
【図3】導圧管詰まりによるローパスフィルタ効果と関係する要素を説明する図である。
【図4】導圧管詰まりによるローパスフィルタ効果と関係する変形要素(発信器の受圧面、導圧管路内の流体、導圧管の管壁)を説明する図である。
【図5】変形要素を操作することで診断が容易になる理由を説明する図である。
【図6】ローパスフィルタ効果のモデル式を説明する図である。
【図7】本発明に係る導圧管の詰まり診断システムの実施の形態1を示す図である。
【図8】本発明に係る導圧管の詰まり診断システムの実施の形態2を示す図である。
【図9】圧力発信器を用いたシステム(圧力測定システム)の概略図である。
【図10】差圧発信器を用いたシステム(差圧測定システム)の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。まず、実施の形態の説明に入る前に、本発明を想到するまでの経緯および本発明の原理について述べる。
【0027】
〔経緯〕
圧力・差圧の揺動を用いた導圧管の詰まり検知手法として、種々の検知手法が提案されているが、検知の原理こそ異なるものの、利用している物理現象は同じである。それは、導圧管中の詰まり(閉塞)が、管路内の圧力伝播に対するローパスフィルタとして作用するという現象である。
【0028】
以下、図9に示した圧力測定システムを例にとって説明する。なお、図10に示した差圧測定システムでは導圧管が2本になることを除き、本発明に関しては本質的な違いはないので、図9に示した圧力測定システムを代表例として説明する。
【0029】
図1に正常時の圧力測定システムを示す。この場合、導圧管3には詰まりが生じていないので、プロセス配管2内の流体(プロセス流体)の圧力の揺動(上下動)がほぼそのままの形で圧力発信器1に伝達され、圧力発信器1における圧力揺動となる。
【0030】
しかし、図2に示すように、導圧管3に詰まり(閉塞)6が生じると、この詰まり(閉塞)6が圧力伝播に対するローパスフィルタとして働き、圧力発信器1で検出される圧力揺動は、詰まり(閉塞)6が無い場合に比べて減衰したものになる。特に、周波数が高いほど、減衰幅は大きくなる。これを揺動の振幅や周波数の変化から捉えることで、導圧管3の詰まりを診断する。
【0031】
この現象には二つの要素が関わっている(図3参照)。一つ目は当然ながら詰まりの度合いである。詰まりの程度が重いほど高周波が減衰する(別の言い方をすれば、フィルタのカットオフ周波数が低くなる)。
【0032】
もう一つは、詰まり(閉塞)6と圧力発信器1との間の導圧管3内にある流体7、及びその流体7に接している圧力発信器1の受圧面(圧力発信器1の内部のダイアフラム)8や導圧管3の壁面3aなど(以下ではまとめて変形要素と呼ぶ)の、圧力に対する変形率である。この変形率が大きいほど、すなわち、単位圧力変化に対する変形要素の変形量の合計が大きいほど、揺動の高周波成分が減衰し易くなる。
【0033】
発明者はこの事実を利用し、圧力変化に対する変形要素の変形率を意図的に大きくして高周波成分の減衰を更に大きくすることで、導圧管の詰まり診断の感度を向上させ、より早い時点で導圧管の詰まりを検知することが可能となることに想到した。
【0034】
上述した二つの要素のうち、前者(詰まりの度合い)は診断対象そのものなので操作不可であるが、後者(変形要素の変形率)は意図的に操作することが可能である。よって、高周波成分の減衰を大きくする方向に変形要素の変形率を操作すれば、導圧管の詰まり診断の感度を向上させることができる。以下ではまず、発明の原理について直観的な説明を与え、それから詳細を述べる。
【0035】
〔発明の原理〕
詰まり(閉塞)6から見て圧力発信器1がある側(以下,検出端側と呼ぶ)には導圧管3、圧力発信器1の受圧面8、測定対象となる流体7といった変形要素が存在する。これらは管路内の圧力が変化すると多かれ少なかれ変形し、それに合わせて詰まり(閉塞)6から見て検出端側に存在する流体7の量も変化する。
【0036】
すなわち、圧力上昇/圧力下降に対し、図4(a)に示すように圧力発信器1の受圧面8が変形し、また図4(b)に示すように導圧管3内の流体7が変形し、また図4(c)に示すように導圧管3の管壁3aが変形し、それに合わせて詰まり(閉塞)6から見て検出端側に存在する流体7の量も変化する。この変化した分は、詰まり(閉塞)6を経由した流体の流入・流出によって補われる。なお、図4(b)において、3bは導圧管3の固定端である。
【0037】
ここで、プロセス側の圧力が変化したために、詰まり(閉塞)6の両端に圧力差が生じたとする。すると、この圧力差を減ずるように、詰まり(閉塞)6内に流れが生じる。この流れであるが、圧力差を解消するために必要な流体の量は、詰まり(閉塞)6から見て検出端側にある変形要素の変形し易さに比例する。
【0038】
なぜならば、それらが圧力変化によって変形し易いということは、検出端側の圧力を変えるために、すなわち、検出端側の圧力をプロセス配管側と等しくするために、より多く変形する必要があるということであり、多くの流体を流入・流出させる必要があるということだからである。
【0039】
一方、詰まり(閉塞)6内は当然ながら流体が流れにくいため、両端の圧力差を解消するのには時間がかかる。そしてこの時間は、圧力差を解消するために必要な流量が多いほど、すなわち、上述した変形要素が変形しやすいほど長くなる。この結果、変形率が大きくなるほど、検出端側の圧力はプロセス配管側の速い圧力変動(周波数が高い圧力変動)に追従できなくなるので、詰まりによるローパスフィルタ効果が大きくなる(図5参照)。詰まり(閉塞)6によるローパスフィルタ効果がより大きくなるということは、圧力揺動の変化を検知し易くなることを意味する。
【0040】
以上のような原理により、詰まり(閉塞)6よりも検出端側にある変形要素の変形率を意図的に大きくしたり、変形し易い部品等を更に追加することで、圧力揺動の変化を検知し易くし、導圧管の詰まり診断の感度を向上させ、より早い時点で導圧管の詰まりを検知することが可能となる。
【0041】
次に、上述したローパスフィルタのモデルを用いて、より理論的な説明を行う(図6参照)。まず、閉塞と変形要素の特性式を求める。以下、詰まり(閉塞)6から見てプロセス配管側の圧力をP1、同じく検出端側の圧力をP2、詰まり(閉塞)6を流れる流量をQで表す。流量は、プロセス配管側から検出端側に流れる向きを正とし、逆に流れた時は負の値で表すものとする。本来ならば、P1からP2までの圧力伝播特性は分布定数系としてモデル化すべきであるが、以下では説明し易いよう、集中定数近似した簡易モデルで説明する。
【0042】
閉塞の特性は次式でモデル化するものとする。以下、Rを流路抵抗と呼ぶ。なお、詰まり(閉塞)6内の流れが層流であれば、次式と同様な式をハーゲン・ポアズイユの式から導出することが可能である。なお、式中のtは時間を表す。
【0043】
【数1】
【0044】
変形要素の圧力に対する変形率については、次式のようにモデル化する。以下では、変形率といえばこのCを指すものとする。
【0045】
【数2】
【0046】
ここで、変形率Cは、その値が大きくなるほど、圧力P2が変化した時の変形要素の変形量が大きくなることを意味する。変形要素が変形することにより、その変形量と同じ量の流体が詰まり(閉塞)6から流入・流出するので、その量は(1)式のQに一致することになる。(1)式と(2)式とを合わせると、以下のような関係が得られる。
【0047】
【数3】
【0048】
この式より、P1からP2までの圧力伝播は、時定数RCのローパスフィルタになっていることがわかる。つまり、Cを大きくすれば時定数RCも大きくなり、フィルタの高周波減衰効果も大きくなる。その結果、圧力揺動の変化を検知し易くなり、導圧管の詰まり診断の感度が向上する。
【0049】
なお、Cを大きくすることで圧力伝播に対するローパスフィルタ効果が高まるが、導圧管が正常の場合にはほとんど影響しない。これは、ローパスフィルタの時定数がRとCの積になっているためで、導圧管が正常でRが十分に小さい時にはローパスフィルタ効果が顕在化しないからである。よって、Cを大きくしても、極端に大きくしない限りは正常時の圧力測定には影響しない。
【0050】
〔実施の形態1:圧力発信器に非測定用ダイアフラムを設ける例(非圧縮性流体向き)〕
実施の形態1では、圧力発信器の内部の流体の導入路およびこの導入路を流れる流体とを流路系とし、この流路系の圧力変化に対する変形率Cを大きくする変形率増大手段として、導入路を通して導かれる流体に接する非測定用ダイアフラムを設ける。
【0051】
なお、この実施の形態1において、変形率増大手段として設ける非測定用ダイアフラムは、その圧力変化に対する変形率を測定用ダイアフラムの圧力変化に対する変形率よりも遙かに大きくする。この非測定用ダイアフラムの変形率については後述する。
【0052】
図7にこの実施の形態1の概略図を示す。この実施の形態1では、圧力発信器1に、測定用ダイアフラム8とは別に、非測定用ダイアフラム9を設けている。なお、測定用ダイアフラム8および非測定用ダイアフラム9が接液される空間(接液空間)には、導圧管3からの流体7が導入路10を通して流れ込む。また、非測定用ダイアフラム9の圧力変化に対する変形率は、測定用ダイアフラム8の圧力変化に対する変形率よりも遙かに大きく(後述)されている。
【0053】
測定用ダイアフラム8は、第1の面に導入路10を通して流れ込む流体7の圧力(流体圧力)を受けるとともに第2の面に基準圧力を受け、流体圧力と基準圧力との差に応じて変形する。圧力発信器1は、この測定用ダイアフラム8の変形量に応じた検出出力を生じ、この検出出力に基づいた測定圧力を示す信号を出力する。
【0054】
非測定用ダイアフラム9は、導入路10を通して流れ込む流体7の圧力(流体圧力)を受けて、測定用ダイアフラム8よりも遙かに大きく変形する。この非測定用ダイアフラム9の変形は測定用ダイアフラム8を用いての圧力の測定には関係しない。
【0055】
このような非測定用ダイアフラム9を設けることで、すなわち流体7に接する非測定用ダイアフラム9の圧力変化に対する変形率を測定用ダイアフラム8よりも遙かに大きくすることで、流路系の圧力変化に対する変形率Cを大きくする効果が得られ、この結果として、圧力揺動の変化が検知し易くなり、導圧管の詰まり診断の感度が向上する。
【0056】
追加する非測定用ダイアフラム9の変形率であるが、十分な効果を得るためには、測定用ダイアフラム8の変形率の10倍程度以上にするのが望ましい。これは詰まり内部の流れが層流だった場合、その流路抵抗が、閉塞部分の直径の4乗、断面積の2乗に反比例することによる(ハーゲン・ポアズイユの式から導かれる)。
【0057】
例えば、(2)式のCが2倍になると、Rが1/2でも同等のローパスフィルタ効果が得られる。しかし、1/2のRに相当するのは、直径では21/4倍(約1.2倍)、断面積では21/2倍(約1.4倍)であり、詰まり診断が容易になるといってもその改善幅はあまり大きくない。逆算すれば、閉塞の直径が2倍でも同程度のローパスフィルタ効果を得るためには、Rが1/16になるわけだから、Cを16倍にする必要がある。
【0058】
以上より、追加する非測定用ダイアフラム9の変形率を測定用ダイアフラム8の10倍程度以上にしないと、大幅な改善は見込めないということになる。
【0059】
この実施の形態1が有効なのは、主に流体7が非圧縮性流体である場合である。流体7が圧縮性流体の場合には、圧力変化による流体自身の体積変化が大きく、一般的にはダイアフラム9の変形量を上回る。このような場合には、後述する実施の形態2の方が有効と言える。この実施の形態1では、導圧管3そのものに手を加えることなく、所望の効果を得られるという利点がある。
【0060】
なお、この実施の形態1では、測定用ダイアフラム8とは別に非測定用ダイアフラム9を設けるようにしたが、測定用ダイアフラム8を通常よりも変形し易い材質や構造とすることで、圧力発信器1の内部の流路系の圧力変化に対する変形率Cを大きくし、同様の効果を得るようにしてもよい。
【0061】
〔実施の形態2:測定用ダイアフラムの接液空間の体積を大きくする例(圧縮性流体向き)〕
実施の形態2では、圧力発信器の内部の流体の導入路およびこの導入路を流れる流体とを流路系とし、導入路を通して導入される流体が満たされる測定用ダイアフラムの接液空間の体積を大きくし、流路系の圧力変化に対する変形率Cを大きくする変形率増大手段とする。
【0062】
図8(b)にこの実施の形態2の概略図を示す。この実施の形態2では、測定用ダイアフラム8の接液空間11の体積、すなわち測定用ダイアフラム8の接液面8a,8bが接液される空間11a,11bの体積を、図8(a)に示す従来の測定用ダイアフラム8の接液空間11’(11a’,11b’)よりも遙かに大きくしている。
【0063】
このような接液空間11を設けることによって、すなわち接液空間11の体積を従来よりも遙かに大きくすることによって、圧力発信器1の内部にある流体7の体積が増える。この場合、導圧管3に詰まり(閉塞)6が発生したとすると、詰まり(閉塞)6より奥(検出端側)にある流体7の体積は、この接液空間11の体積を大きくしなかった場合より増大することになる。
【0064】
流体7自身の圧力変化による変形量は流体7の体積に比例するので、この接液空間11の体積を大きくすることで、すなわち流体7の圧力変化に対する変形率を大きくすることで、圧力発信器1の内部の流路系の圧力変化に対する変形率Cを大きくする効果が得られる。この結果として、圧力揺動の変化が検知し易くなり、導圧管の詰まり診断の感度が向上する。
【0065】
この実施の形態2が有効なのは、主に流体7が圧縮性流体である場合である。流体7が非圧縮性流体の場合は、圧力が変化しても流体自身はほとんど変形しないため、効果が無いか、あってもごく小さい。このような場合には、前述した実施の形態1の方が有効と言える。この実施の形態2でも、導圧管3そのものに手を加えることなく、所望の効果を得られるという利点がある。
【0066】
なお、この実施の形態2では、測定用ダイアフラム8の接液空間11の体積を大きくするようにしたが、圧力発信器2の内部の流路系に、測定用ダイアフラム8の接液空間11とは別に、流体7が流入する新たな空間を作るようにしてもよい。
【0067】
以上、実施の形態1,2について説明したが、本発明はこれらの実施の形態のみに限定するものでは無い。例えば、実施の形態1と実施の形態2とを併用したり、上述で説明した以外の構成として変形率増大手段を設けることも考えられる。
【0068】
また、上述した実施の形態1,2では、圧力発信器1を用いた圧力測定システムへの適用例として説明したが、差圧発信器4(図10)を用いた差圧測定システムへも同様にして適用することが可能である。差圧測定システムでは、導圧管3−1を通して導かれてくる流体の圧力と導圧管3−2を通して導かれてくる流体の圧力との差を差圧発信器4で検出するが、実施の形態1,2で示したと同様にして、非測定用ダイアフラムを設けたり、測定用ダイアフラムの接液空間の体積を増大させるようにしたりしてもよい。
【0069】
また、本発明は主に、流体の圧力揺動を利用して導圧管の詰まりを診断する手法を利用することを想定しているが、それだけに限るものではない。すなわち、本発明は、導圧管中の詰まり(閉塞)が管路内の圧力伝播に対するローパスフィルタとして作用するという現象を利用していれば、他の詰まり診断手法であっても有効である。
【0070】
例えば、特許文献7、8では、発信器が接続されているプロセス配管の制御弁(コントロール・バルブ)の操作信号にステップ状の波形を重畳し、その信号に対する圧力や差圧の応答から導圧管の詰まりを診断するという技術が開示されている。
【0071】
これらの技術は、制御弁の操作によって生じた圧力や差圧の変化が発信器に伝播する際に、導圧管路内の詰まりがローパスフィルタとして作用するため、圧力応答波形が変化することを利用している。このような手法においても、本発明を適用すれば、詰まりによる応答変化が大きくなるため、導圧管の詰まり診断の感度を向上させ、より早い時点で導圧管の詰まりを検知することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の導圧管の詰まり診断システムは、プロセス配管から分岐された導圧管に生じる詰まりを診断する導圧管の詰まり診断システムとして、圧力発信器を用いた圧力測定システムや差圧発信器を用いた差圧測定システムに利用することが可能である。
【符号の説明】
【0073】
1…圧力発信器、2…プロセス配管、3,3−1,3−2…導圧管、3a…管壁、3b…固定端、4…差圧発信器、5…差圧発生機構(オリフィス等)、6…詰まり(閉塞)、7…流体、8…測定用ダイアフラム、8a,8b…接液面、9…非測定用ダイアフラム、10…連通管、11(11a,11b)…空間(接液空間)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセス配管から分岐された導圧管と、この導圧管を通して導かれてくる流体の圧力を検出する圧力検出手段とを備え、前記圧力検出手段によって検出される圧力に基づいて前記導圧管に生じる詰まりを診断する導圧管の詰まり診断システムにおいて、
前記圧力検出手段の内部の流体の導入路およびこの導入路を流れる流体とを流路系とし、この流路系の圧力変化に対する変形率を大きくする変形率増大手段
を備えることを特徴とする導圧管の詰まり診断システム。
【請求項2】
請求項1に記載された導圧管の詰まり診断システムにおいて、
前記流体は非圧縮性流体であり、
前記変形率増大手段は、
前記流路系における前記流体に接する面の圧力変化に対する変形率を大きくする
ことを特徴とする導圧管の詰まり診断システム。
【請求項3】
請求項1に記載された導圧管の詰まり診断システムにおいて、
前記流体は圧縮性流体であり、
前記変形率増大手段は、
前記流路系における前記流体の圧力変化に対する変形率を大きくする
ことを特徴とする導圧管の詰まり診断システム。
【請求項4】
請求項2に記載された導圧管の詰まり診断システムにおいて、
前記変形率増大手段は、
前記導入路を通して導かれる流体に接するダイアフラムである
ことを特徴とする導圧管の詰まり診断システム。
【請求項5】
請求項3に記載された導圧管の詰まり診断システムにおいて、
前変形率増大手段は、
前記導入路を通して導かれる流体が満たされる空間である
ことを特徴とする導圧管の詰まり診断システム。
【請求項6】
プロセス配管から分岐された導圧管と、この導圧管を通して導かれてくる流体の圧力を検出する圧力検出手段とを備え、前記圧力検出手段によって検出される圧力に基づいて前記導圧管に生じる詰まりを診断する導圧管の詰まり診断方法において、
前記圧力検出手段の内部の流体の導入路およびこの導入路を流れる流体とを流路系とし、この流路系の圧力変化に対する変形率を大きくするようにした
ことを特徴とする導圧管の詰まり診断方法。
【請求項7】
請求項6に記載された導圧管の詰まり診断方法において、
前記流体を非圧縮性流体とし、
前記流路系における前記流体に接する面の圧力変化に対する変形率を大きくするようにした
ことを特徴とする導圧管の詰まり診断方法。
【請求項8】
請求項6に記載された導圧管の詰まり診断方法において、
前記流体を圧縮性流体とし、
前記流路系における前記流体の圧力変化に対する変形率を大きくするようにした
ことを特徴とする導圧管の詰まり診断方法。
【請求項9】
請求項7に記載された導圧管の詰まり診断方法において、
前記導入路を通して導かれる流体に接するダイアフラムを備え、
前記流路系における前記流体に接する面の圧力変化に対する変形率を前記ダイアフラムによって大きくするようにした
ことを特徴とする導圧管の詰まり診断方法。
【請求項10】
請求項8に記載された導圧管の詰まり診断方法において、
前記導入路を通して導かれる流体が満たされる空間を備え、
前記流路系における前記流体の圧力変化に対する変形率を前記空間によって大きくするようにした
ことを特徴とする導圧管の詰まり診断方法。
【請求項1】
プロセス配管から分岐された導圧管と、この導圧管を通して導かれてくる流体の圧力を検出する圧力検出手段とを備え、前記圧力検出手段によって検出される圧力に基づいて前記導圧管に生じる詰まりを診断する導圧管の詰まり診断システムにおいて、
前記圧力検出手段の内部の流体の導入路およびこの導入路を流れる流体とを流路系とし、この流路系の圧力変化に対する変形率を大きくする変形率増大手段
を備えることを特徴とする導圧管の詰まり診断システム。
【請求項2】
請求項1に記載された導圧管の詰まり診断システムにおいて、
前記流体は非圧縮性流体であり、
前記変形率増大手段は、
前記流路系における前記流体に接する面の圧力変化に対する変形率を大きくする
ことを特徴とする導圧管の詰まり診断システム。
【請求項3】
請求項1に記載された導圧管の詰まり診断システムにおいて、
前記流体は圧縮性流体であり、
前記変形率増大手段は、
前記流路系における前記流体の圧力変化に対する変形率を大きくする
ことを特徴とする導圧管の詰まり診断システム。
【請求項4】
請求項2に記載された導圧管の詰まり診断システムにおいて、
前記変形率増大手段は、
前記導入路を通して導かれる流体に接するダイアフラムである
ことを特徴とする導圧管の詰まり診断システム。
【請求項5】
請求項3に記載された導圧管の詰まり診断システムにおいて、
前変形率増大手段は、
前記導入路を通して導かれる流体が満たされる空間である
ことを特徴とする導圧管の詰まり診断システム。
【請求項6】
プロセス配管から分岐された導圧管と、この導圧管を通して導かれてくる流体の圧力を検出する圧力検出手段とを備え、前記圧力検出手段によって検出される圧力に基づいて前記導圧管に生じる詰まりを診断する導圧管の詰まり診断方法において、
前記圧力検出手段の内部の流体の導入路およびこの導入路を流れる流体とを流路系とし、この流路系の圧力変化に対する変形率を大きくするようにした
ことを特徴とする導圧管の詰まり診断方法。
【請求項7】
請求項6に記載された導圧管の詰まり診断方法において、
前記流体を非圧縮性流体とし、
前記流路系における前記流体に接する面の圧力変化に対する変形率を大きくするようにした
ことを特徴とする導圧管の詰まり診断方法。
【請求項8】
請求項6に記載された導圧管の詰まり診断方法において、
前記流体を圧縮性流体とし、
前記流路系における前記流体の圧力変化に対する変形率を大きくするようにした
ことを特徴とする導圧管の詰まり診断方法。
【請求項9】
請求項7に記載された導圧管の詰まり診断方法において、
前記導入路を通して導かれる流体に接するダイアフラムを備え、
前記流路系における前記流体に接する面の圧力変化に対する変形率を前記ダイアフラムによって大きくするようにした
ことを特徴とする導圧管の詰まり診断方法。
【請求項10】
請求項8に記載された導圧管の詰まり診断方法において、
前記導入路を通して導かれる流体が満たされる空間を備え、
前記流路系における前記流体の圧力変化に対する変形率を前記空間によって大きくするようにした
ことを特徴とする導圧管の詰まり診断方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2013−24575(P2013−24575A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156423(P2011−156423)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【出願人】(000006666)アズビル株式会社 (1,808)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【出願人】(000006666)アズビル株式会社 (1,808)
【Fターム(参考)】
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