説明

導電性のサイジングしたガラスストランド

本発明はガラス繊維に関係し、このガラス繊維は電流を導電することができる潤滑性組成物で被覆され:ガラス繊維は、少なくとも一つの膜形成剤;可塑剤、界面活性剤、及び分散剤の中から選んだ少なくとも一つの化合物、ガラスにカップリングする剤並びに;導電性粒子を含む。本発明のガラス繊維は特に、圧縮型成型によって導電性部品を製造することが意図されており、前記ガラス繊維はSMC又はBMCの形態で提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電流を導電することができるサイズ剤(size)で被覆したガラスストランドに関係し、このストランドは、複合材料を得るために、ポリマータイプの有機材料を強化することが意図されている。
【0002】
本発明は、前記ストランドを被覆するために使用したサイジング組成物、これらのストランドに由来する複合材料の製造方法、及び結果物である複合材料にも関係する。
【背景技術】
【0003】
通常、ベースストランドにまとめられるフィラメントを形成するために、(このストランドがその後好適な支持体に集められる)、ガラス強化ストランドは、重力下で、液体の高さによる静水圧の効果を介して、溶融ガラスを充填したブッシングの多数のオリフィスから流れ出る溶融ガラスの流れを機械的に細長化(attenuating)することによって製造される。
【0004】
この細長化の間、及びそれらがストランドにまとめられる前に、ガラスフィラメントをサイジング部を通すことによって、ガラスフィラメントはサイジング組成物、概して水性の組成物、で被覆される。
【0005】
このサイズ剤はいくつかの点で必要不可欠である。
【0006】
ストランドを製造する間、(サイズ剤を)潤滑剤として作用させることによって、フィラメントを、ストランドを細長化しそして巻き取るための部材に高速で擦れることに起因する摩耗から、保護する。フィラメントがともに連結されることを確実にすることにより、このサイズ剤もストランドに粘着性をもたらす。最後に、(このサイズ剤は)ストランドを十分に集めさせて、いくつかのベースストランドからロービングを形成するため、特に、「まとめる」ために必要な巻き戻し操作に耐えるようにした、そしてまたこれらの操作の間に生じた帯電が消去されることも可能にする。
【0007】
複合材料を製造する目的で(サイズ剤を)使用している間に、このサイズ剤はストランドの含浸を改善して母材を強化し、そしてガラスと母材の間の接着を促進し、これにより結果として複合材料の機械特性の改善をもたらす。さらに、このサイズ剤はストランドを化学的及び環境的な攻撃から保護し、それによりストランドの耐久力を増加するのに役立つ。ストランドが裁断(chop)されることが要求される用途において、サイズ剤はフィラメントがすそ拡がりになりそして分離することを防止し、そして過剰なサイズ剤とともに、裁断の間に生じる帯電を分散させるのに寄与する。
【0008】
多様な形態のガラスストランド(連続した、裁断した又は粉末にしたストランド、マット、メッシュ、織布、ニット、等)は通常は多様なタイプの母材、例えば熱可塑性又は熱硬化性の有機材料及びセメントのような無機材料、を効果的に強化するために使用される。
【0009】
本発明は、含浸マット又はSMC(シート成型化合物)(これは、熱圧縮型で、又はBMC(バルク成型化合物)技術を使用して成型することを意図した糊(paste)で成型することによって直接形成されることができる)を製造するために、熱硬化性タイプのポリマー母材に組み込まれるストランドの強化に適用可能である。
【0010】
SMCは半仕上げの製品であり、そこではガラスストランドマットが熱硬化性樹脂、特にポリエステルから選択されている熱硬化性樹脂、の糊と結合している。
【0011】
SMCにおいて、ガラスは強化剤として作用しそして機械特性及び成型部品の寸法安定性をもたらす。それ(ガラス)は概してSMCの25〜60質量%を示す。連続的なストランドがいくつかの用途で使用されることもあるが、通常は、ガラスは裁断ストランドの形態である。この糊は熱硬化性樹脂と充填剤を含み、そして随意的に添加剤、例えば開始剤、粘性調整剤及び離型剤を含む。
【0012】
知られているとおり、SMCは、コンベアベルトが支持する膜に第一糊層を付着させ、ロービングからほどいた(unwound)ストランドをロータリー裁断機を用いて樹脂の上部で12〜50mmに裁断し、このストランドが不規則に(等方的に)分配され、そして膜が支持する第二糊層を、この樹脂面がガラスに向くように付着することによって、製造される。この多様な層の組合せは、ガラスストランドに樹脂を含浸させるため及びトラップ空気を除去するために、カレンダー(圧延)装置の一又は二以上のロール間隙(nip)を通過する。
【0013】
SMCは、適当に成型されることが可能となるように、樹脂の粘性を40〜50Pa・sの強制的な値まで増加する目的のために、熟成処理も受けなければならない。
【0014】
SMCで成型すると、中程度の又は長期間の運転で、個々の部品の製造が可能となり、このような運転は、特にSMCが型に直接付着され、その寸法に対して正確に切断することが要求されることがないという事実のおかげで、廉価である。
【0015】
BMCとSMCを区別するものはその形態であり、ここではそれは圧縮成型の型に注入することを意図した糊である。
【0016】
これらの成型技術で製造した部品は特に自動車用の分野(例えばボディ部品又は衝撃保護部品の交換のような)で使用され、これらは現在は金属特に鉄から出来ている。
【0017】
しかしながら、自動車の製造業者は、燃料消費を低減するために、できるだけ乗り物の重量を低減することに常に心を奪われている。これを実行するために、ボディの或る金属部品を複合材料でできたより軽量な部品で代用することが想像されてきている。
【0018】
複合材料でできた部品に関して生じる問題はその塗装である。
【0019】
金属部品の塗装操作は電気泳動法によって工業規模で実施される。これは、表面を「滑らかにする」ための一又は二以上の下塗り、及び一又は二以上のペイント塗料を静電気的に付着することに存する。
【0020】
ポリマー材料は電気的に絶縁体であるため、複合材料部品はそれ自体は使用できない。従って、通常の電気泳動塗装ラインでこれらを使用可能とするために、これらを導電性にする必要がある。
【0021】
複合材料を導電性にすることを目的とする解決策が開示されている。
【0022】
米国特許第6 648 593号は、塗料を適用する前に、樹脂及び導電性粒子(ウィスカー形態にある)を含む導電性塗料からできた第一の被覆、及び電流を介入することなく適用した第二の金属被覆を付着することを提案する。
【0023】
この解決策は、現在のプロセスでは実施が困難な別のステップを必要とし、そして結果として追加コストを発生する。
【0024】
国際公開第03/0 511 992号及び米国公開第2003/0 042 468号は、成型プロセスで使用されることを意図した組成物を提案し、これは架橋ポリマー、プレポリマーとコポリマー化し得る少なくとも一つの不飽和モノマー、コポリマー化開始剤及び導電性充填剤、例えばグラファイト、金属−被覆粒子又は金属粒子、を含む。
【0025】
この組成物のプロセス処理が、高いレベルの導電性を得るために必要とされる高導電性充填剤内容物によって、困難にされる。従って、導電性充填剤は母材に直接は組み込まれない。これは大幅に粘性を増加し−ガラスストランドの含浸はより困難となりそして成型のために適用される圧力を増加しなければならない。粘性を低減するために溶媒の量を増やすという解決策は、他の欠点を有し−複合材料の機械的特性が低減し、そして最終製品の表面仕上げの品質を損なう超微粒気泡を生じる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
本発明の目的は、電気泳動処理ができる複合材料でできた成型部品を得るために、SMC製造のために特に安定であり、かつ電流を導電することが可能である強化ストランドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明の対象は、水性のサイジング組成物で被覆したガラスストランドであり、このサイジング組成物は、少なくとも一つの膜形成剤と、可塑剤、界面活性剤及び分散剤から選択した少なくとも一つの化合物と、該ガラスにカップリングするための少なくとも一つのカップリング剤並びに導電性粒子を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明において、「・・・を含むサイジング組成物で被覆したガラスストランド」という表現は、問題の組成物で被覆したガラスストランド、例えばサイジング部に置いてすぐに得られるガラスストランド、を意味するだけでなく、一又は二以上のその後の処理を受けた同じストランドも意味すると理解される。言及されてもよい例は、水分除去の目的の、乾燥処理、及びサイジング組成物の或る構成要素のポリマー化/架橋を導く処理を含む。
【0029】
同様に本発明の背景において、「ストランド」という用語は多数のフィラメントを捻らずにまとめたものに由来するベースストランド、及びこれらのストランドから派生した製品、特にこれらのベースストランドをロービングの形態でまとめたもの、を意味すると理解されるべきである。このようにまとめたものは、同時にいくつかのパッケージからベースストランドを繰り出し、そしてそれから前記ストランドをトウ(フィラメントの束)へとまとめ、このトウが回転支持体に巻きつけられることによって、得られてもよい。それらはまた、ブッシングの下方で直接的にフィラメントを集めそして回転支持体に巻き付けることによって得たロービングをまとめたものと同等であるという肩書き(又は線密度)を伴う「直接」ロービングであってよい。
【0030】
また本発明による、「水性サイジング組成物」という表現は細長化の間にフィラメントに付着することができる組成物を意味すると理解され、この組成物は懸濁又は分散の形態にあり、これは少なくとも70質量%、好ましくは75質量%の水を含みそして、必要に応じて、10質量%未満の、好ましくは5質量%未満の一又は二以上の本質的には有機溶剤であるものを場合により含有し、この本質的に有機溶剤であるものはサイジング組成物の或る構成要素を溶解するのに役立つ。たいていの場合、この組成物は有機溶剤を含まず、特に大気への揮発性有機化合物(VOC)の放出を制限するために含まない。
【0031】
本発明による膜形成剤はいくつかのやり方で作用する:膜形成剤は、導電性粒子をガラスフィラメントに接着させそしてこれらの粒子どうしが連結されること(必要に応じて強化される材料と連結されること)を確実にすることによって、被覆に機械的な粘着性を与える;膜形成剤はフィラメントを結合するのに役立つ;最後に、膜形成剤はあらゆる機械的損傷から及び化学的かつ環境の攻撃からストランドを保護する。
【0032】
膜形成剤は、ポリビニルアセテート(ホモポリマー又はコポリマー、例えばビニルアセテート/エチレンコポリマー)、ポリエステル、エポキシ、ポリアクリル酸(ホモポリマー又はコポリマー)、ポリウレタン、ポリアミド(ホモポリマー又はコポリマー、例えばポリアミド/ポリスチレン又はポリアミド/ポリオキシエチレンブロックコポリマー)、セルロースポリマー及びこれらの化合物の混合物から選択したポリマーである。ポリビニルアセテート、エポキシ及びポリウレタンが好ましい。
【0033】
可塑剤は膜形成剤のガラス転移温度を低下させ、このことはサイズ(剤)の柔軟性を与えそして乾燥後の収縮を制限する。
【0034】
界面活性剤は導電性粒子の懸濁及び分散を改善し、そして水と他の構成要素の間の相溶性(compatibility)を向上させる。界面活性剤はカチオン性、アニオン性及び非イオン性化合物から選択されていてもよい。
【0035】
サイジング組成物の安定性及び粒子の分散の不均一性の問題を回避するために、カチオン性又は非イオン性界面活性剤を使用することが好ましい。
【0036】
分散剤は導電性粒子を水中に分散させること及びそれらの沈殿を低減させることに役立つ。
【0037】
この可塑剤、界面活性剤及び分散剤は、上述した分野のそれぞれに対して特定の一又は二以上の機能を有する。これらの薬剤の選択及びその使用量は膜形成剤及び導電性粒子によって決まる。
【0038】
これらの薬剤は特に以下から選択されてもよい:
▽有機化合物、特に:
−随意的にハロゲン化した、脂肪族化合物又は芳香族化合物、ポリアルコキシル化した化合物、例えばエトキシル化した/プロポキシル化したアルキルフェノール、(好ましくは1〜30のエチレン酸化物基及び0〜15のプロピレン酸化物基を含む)、エトキシル化した/プロポキシル化したビスフェノール、(好ましくは1〜40のエチレン酸化物基及び0〜20のプロピレン酸化物基を含む)、エトキシル化した/プロポキシル化した脂肪アルコール、(好ましくはそのアルキル鎖が8〜20の炭素原子を含み、そして2〜50のエチレン酸化物基及び20までのプロピレン酸化物基を含む)。これらのポリアルコキシル化した化合物はブロックコポリマーまたはランダムコポリマーであってもよい。
−ポリアルコキシル化した脂肪酸エステル、例えばポリエチレングリコール(好ましくはそのアルキル鎖が8〜20の炭素原子を含み、そして2〜50のエチレン酸化物基及び20までのプロピレン酸化物基を含む)。
−アミン化合物、例えば随意的にアルコキシル化したアミン、アミン酸化物、アルキルアミド、ナトリウム、カリウム若しくはアンモニウムコハク酸エステル塩及びタウリン酸塩(taurate)、糖誘導体、特にソルビタン、及びナトリウム、カリウム若しくはアンモニウムアルキル硫酸塩及びアルキルリン酸塩;並びに
▽無機化合物、例えばシリカ誘導体、これらの化合物は場合によりそれらだけで又は前述の有機化合物との混合物として使用される。
【0039】
導電性の粒子はガラスストランドに導電性を授与し、そしてその性能レベルはストランドに存在する粒子の量によって決まる。本発明による、これら(の粒子)は炭素系の粒子であり、特にグラファイト及び/又はカーボンブラック粒子である。
【0040】
グラファイトの源−天然又は人工−は導電性に感知できるほどの影響を与えない。従って一方又は他方のタイプのグラファイトが、それだけでまたは混合物として、使用されるかどうかは問題ではない。
【0041】
粒子は任意の形状であってよく−例えばそれらは球、フレーク(片)または針であってもよい。しかしながら、異なる形状の粒子を混合したものの導電性が、同量であるが同じ形状である場合と比較して、改善されることが分かっている。二つの形状(二成分混合)又は三つの形状(三成分混合)の粒子を結合させる混合物が有利であることを検証する。
【0042】
好ましくは、この導電性粒子の30〜60%は高いアスペクト比(最大寸法対最小寸法の比によって定義される)を有し、その比は好ましくは5〜20、特に10辺りで変化し、そして都合良く少なくとも15%の粒子がフレーク又は針状である。
【0043】
形状と同様に、粒子の寸法が導電性に関して重要なパラメータである。一般に、それらの最長寸法は250μm、好ましくは100μmを超えない。
【0044】
一般にグラファイトからできている前述の粒子を、電流を導電するカーボンブラック粉末(粒子寸法は1μmを超えず、好ましくは平均寸法が100nm未満である)と結合することが有利である。このカーボンブラック粉末は、その小さな寸法のために、グラファイト粒子間に接点を生じ、それにより導電性をさらに向上させる。
【0045】
カップリング剤はサイズ剤がガラスの表面に付着するのを確実にする。
【0046】
このカップリング剤は、特に酸性媒体(例えば、クエン酸又は酢酸を含む)中の、加水分解型の化合物から選択され、これらの化合物はシラン、(例えばγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ポリ(オキシエチレン/オキシプロピレン)トリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン又はスチリルアミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン)、シロキサン、チタン酸塩、ジルコン酸塩及びこれらの化合物の混合物からなる群に属する。好ましくは、シランが選択される。
【0047】
このサイズ剤の構造に本質的に貢献する前述の構成要素に加えて、一又は二以上の他の構成要素が存在してもよい。
【0048】
従って組成物の粘性を、フィラメントにサイズ剤を適用する条件へ調整するために、粘性調整剤を導入してもよく、一般にこの粘性は5〜80mPa.sであり、そして好ましくは少なくとも7mPa.sである。この粒子があまりに急速に沈殿付着物を形成することはなく、そして粒子が外側に移動することはなく、そしてストランドを巻いたときに粒子がパッケージの表面に位置するように、粒子の分散を安定させることにもこの調整剤は役立つ。
【0049】
この粘性調整剤は高親水性化合物から選択され、それはいわば大量の水を捕捉することができるものであり、例えばカルボキシメチルセルロース、グアーガム若しくはキサンタンガム、カラギナン、アルギン酸塩、ポリアクリル酸、ポリアミド、ポリエチレングリコール、特に分子量が100,000より大きいこれらのもの、及びこれらの化合物の混合物である。
【0050】
サイズ剤はガラスストランド用の通常の添加剤、すなわち潤滑剤、(例えば鉱物油)、脂肪エステル、(例えばイソプロピルパミテート若しくはステアリン酸ブチル)、アルキルアミン、錯化剤、(例えばEDTA及び没食子酸誘導体)、並びに消泡剤、(例えばシリコーン、ポリオール及び植物油)、も含んでもよい。
【0051】
簡単に製造されることが可能なガラスストランドの製造に貢献する上述した化合物の全てが強化剤として使用可能であり、そしてこれらは複合材料を製造している間に問題なく樹脂に組み込まれ、そしてまた導電特性も有する。
【0052】
一般に、サイズ剤の量は、最終ストランドの質量の2〜7%、好ましくは3.5〜6%に相当する。
【0053】
本発明によるこの導電性ストランドは任意の種類のガラス、例えばE−ガラス、C−ガラス、R−ガラス又はAR−ガラス、及び低ホウ素含有率(6%未満)のガラス、でできていてもよい。E−ガラス及びAR−ガラスが好ましい。
【0054】
ストランドを構成するガラスフィラメントの直径は広く、例えば5〜30μmで、変化してもよい。同様に、使用されるストランドの線密度も広く変化してもよく、例えばまとめたロービングがあり、これのための線密度は意図する用途に応じて68〜4800の範囲にあり、このロービングは線密度が17〜320texで変化するベースストランドから形成されてもよい。
【0055】
本発明の別の対象は、ガラスフィラメントに付着される前の、サイジング組成物そのものである。それは前述の構成要素及び水を含む。
【0056】
このサイジング組成物は以下を含む(質量%):
−2〜10%、好ましくは3〜8.5%、の少なくとも一つの膜形成剤;
−0.2〜8%、好ましくは0.25〜6%、の可塑剤、界面活性剤及び分散剤から選択した少なくとも一つの化合物;
−4〜25%、好ましくは6〜20%、の導電性の粒子;
−0.1〜4%、好ましくは0.15〜2%、の少なくとも一つのカップリング剤;
−0〜4%、好ましくは0〜1.8%、の少なくとも一つの粘性調整剤;並びに
−0〜6%、好ましくは0〜3%、の添加剤。
【0057】
8〜35%、好ましくは12〜25%で変化する固体含有率を得るように、使用される水の量は決定される。
【0058】
サイジング組成物の調製は以下のように実施される:
a)分散剤を含む水中に導電性粒子の分散Dをつくる;
b)エマルジョンEをつくるために、サイズ剤の他の成分、すなわち膜形成剤、可塑剤、界面活性剤、加水分解型の、カップリング剤、及び、必要に応じて、粘性調整剤及び添加剤、を水中に導入する;
c)分散DとエマルジョンEを混合する。
【0059】
導電性粒子の沈殿の危険性を避けるために、都合良く、ステップa)及びc)は十分な攪拌を伴って実施される。
【0060】
粘性調整剤を使用する場合、それはステップb)でまず水溶性溶液の状態で導入され、より簡単に溶解するように必要に応じて約80℃に加熱される。
【0061】
概して、分散Dは20〜25℃の通常の貯蔵条件下で安定している。特に、これは約6ヶ月の期間にわたって大きな障害なく使用可能であり、粒子が沈殿していた場合は使用の前に必要に応じて攪拌される。
【0062】
しかしながら、サイジング組成物は調整後ほぼすぐに、好ましくは前述の貯蔵条件下で約4日をこえない期間内に、使用するべきである。前述のとおり、沈殿した粒子は再分散可能であり、それによってこの組成物の特性が影響をうけることはない。
【0063】
前述のとおり、フィラメントがベースストランドにまとめられる前に、この水性溶液がフィラメントに付着される。この水分は通常、回収後のストランドを乾燥することにより、除去される。
【0064】
本発明のさらに別の対象は複合材料、特にSMC又はBMCであり、そこでは少なくとも一つの熱硬化性ポリマー材料が強化ストランドと結合されており、前記ストランドは部分的にまたは完全に上述したサイジング組成物で被覆したガラスストランドからなる。この複合材料中のガラス含有率は概して5〜60質量%である。
【0065】
第一の実施態様によると、この複合材料はガラス含有率が10〜60質量%、好ましくは20〜45質量%のSMCの形態である。
【0066】
第二の実施態様によると、この複合材料はガラス含有率が5〜20質量%のBMCの形態である。
【0067】
好ましくは、熱硬化性ポリマー材料はフェノール樹脂である。
【0068】
本発明のさらなる対象は本発明によりサイズ(処理)したガラスストランドを、圧縮成型技術を利用して導電性の成型部品を製造するために使用することであり、前記ストランドは特にSMC又はBMCの形態で使用される。
【0069】
既に述べたように、成型部品は電気泳動による塗装を適用する標準的なライン、特に自動車部品の製造用のライン、で塗装可能である。
【0070】
今までは、SMC又はBMCから成型した部品は、特にその表面抵抗率が0.5〜1.5MΩ/□のときに、前述の条件下で塗料で被覆することができると考えられていた。
【0071】
本発明者は「内部」抵抗率、つまり母材中の導電性ファイバーの層によって与えられることがある体積抵抗率、(例えば0.01〜1000MΩ.mのオーダー)、を有する部品も同じ条件下で処理可能であることを発見した。
【0072】
結果として、部品が電気泳動性塗装処理をうけることを可能とするために部品全体に導電性粒子が分散するように、このガラスストランドを被覆するサイズ剤が、強化される母材中での高い溶解性を有する必要は必ずしもない。母材中でわずかにのみ溶解するサイズ剤、例えば一又はそれより多いポリウレタンを膜形成剤として含むもの、または不溶性のものですら、結果としてこのような成型部品に対する塗装を適用するのに好適である場合がある。
【0073】
本発明による導電性ガラスストランドの使用はSMC又はBMC成型技術に限定されない。より一般的には、このガラスストランドは複合材料の製造のための任意の技術で使用可能であり、これは都合良く導電を要求するガラスストランドの状態での強化を含む。特に、ガラスストランドはマット状またはベール(覆い)状であってもよく、特にSMC表面被覆又は強化要素として使用可能なものであってもよく、前記ストランドは場合により他の強化ストランド、特にガラスストランド、と結合している。
【0074】
本発明によるストランドは従って熱伝導及び熱分散特性を得ることが望まれる全ての分野、例えば家庭用電気器具及び自動車分野、で使用可能である。これらのストランドはまた電磁シールド用品に使用でき、特に輸送分野で、特に自動車で、建築物の分野で及び電子部品(特にデータ保管のための磁気メディアに関係するもの)の保護を要求する分野で、使用できる。
【実施例】
【0075】
以下に示される例は本発明を限定することなく説明する。
【0076】
これらの例では、以下の方法が使用される:
【0077】
ガラスストランドについて:
→サイズしたガラスストランドの強熱減量をISO1887標準の条件で測定した。この強熱減量は%で表される。
→二つのロービングから払い出されたトウ(フィラメントの束)を200m/分の速度の回転ロールを同時に通過させることによって、フロックを測定した。フロックは3kgの質量のストランドをほどいた後に得た小繊維(fibril)の量によって定義され、そしてそれはmg/100gのストランドで表される。
→ストランドの引張り強さ(tenacity)はISO3341標準の条件下で引張り破断力を計測することにより測定した。引張り強さはN/texで表される;
→線形抵抗率(MΩ/cm)は次の式で計算することによって得られる:
ρ=R/l
ここで ρは抵抗率(MΩ/cm)
Rは抵抗(MΩ)そして
lはファイバーの長さ(cm)であり、
抵抗Rはオーム計を使用して測定し、そしてこの二つの電極間の距離は20cmであった。
【0078】
成型した部分について
→表面抵抗率(MΩ/□)を、NF EN 1149−1標準により測定した。
→「内部」抵抗率(MΩ.m)を、前述のNF EN 1149−1標準により得たプラック(円板試料)に20cm離れた二つの穴を掘って測定した。コネクターとしての役を果たす金属リベット(直径4mm)をそれぞれの穴に挿入し、コネクターはオーム計の電極に繋いだ。内部抵抗率は次の式で計算することによって得られる:
ρ’=R’S/d
ここで ρ’は内部抵抗率(MΩ.m)
R’は抵抗(MΩ)
Sはプラックの面積(m)そして
dはコネクター間の距離である;
→曲げ強度及び曲げ弾性率(MPa)、及びその偏差(deflection)をISO14125−1標準の条件下で測定した;そして
→シャルピー衝撃強さ(kJ/m)をISO179−1 eU93標準の条件下で測定した。
【0079】
例1
調製したサイジング組成物は以下を含む(質量%):
−膜形成剤:
□ポリビニルアセテート(1) 6.92
□分子量50000のポリビニルアセテート(2) 3.46
□エポキシ樹脂(3) 2.40
−可塑剤:ジプロピレングリコールジベンゾエートと
ジエチレングリコールジベンゾエートの混合物(4) 0.25
−カチオン性分散剤(5) 2.22
−消泡剤(6) 0.28
−導電性粒子:
□カーボンブラック粉末(7) 2.37
□カーボンブラック粉末(8)
(平均粒子寸法:50nm) 0.97
□合成グラファイト粉末(9)
(平均粒子寸法:1〜10μm) 7.77
−カップリング剤:
□γ−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン(10) 0.29
□γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(11) 0.19
−潤滑剤:ポリエチレンイミン塩(12) 0.59。
【0080】
この組成物は80℃の水を含む容器にこれらの構成要素を加えることによって調製した。これを勢いよく攪拌し続け、導電性粒子は最後に加えた。
【0081】
組成物は20℃で7mPa.sの粘性を有しそして固体含有率は19.2%であった。
【0082】
サイジング組成物を直径11μmのE−ガラスに付着させ、その後それらを単一のストランドにまとめた。このストランドは巻いてケーク(集合体)にした。
【0083】
このストランドの特性は以下である:
−線密度:202tex;
−強熱減量:4.49%;
−毛羽立ち(fuzz):0.92mg/100gのストランド;
−引張り強さ(tenacity):0.659N/tex;及び
−線抵抗率:0.040MΩ/cm(標準偏差:0.015)。
【0084】
例2
本例は例1の条件下で製造したが、調製したサイジング組成物は以下を含む(質量%)よう一部変更した:
−膜形成剤:
□ポリビニルアセテート(1) 3.48
□分子量50000のポリビニルアセテート(2) 1.73
□エポキシ樹脂(3) 1.20
−可塑剤:ジプロピレングリコールジベンゾエートと
ジエチレングリコールジベンゾエートの混合物(4) 0.12
−カチオン性分散剤(5) 2.96
−消泡剤(6) 0.28
−導電性粒子:
□カーボンブラック粉末(8)
(平均粒子寸法:50nm) 4.44
□合成グラファイト粉末(9)
(平均粒子寸法:1〜10μm) 10.36
−カップリング剤:
□γ−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン(10) 0.15
□γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(11) 0.10
−潤滑剤:ポリエチレンイミン塩(12) 0.30。
【0085】
組成物は20℃で15mPa.sの粘性を有しそして固体含有率は19.5%であった。
【0086】
このストランドの特性は以下である:
−線密度:200tex;
−強熱減量:5.80%;
−毛羽立ち(fuzz):0.53mg/100gのストランド;
−引張り強さ(tenacity):0.580N/tex;及び
−線抵抗率:0.015MΩ/cm(標準偏差:0.010)。
【0087】
例3
例1の条件下で、サイジング組成物を調製し、これは以下を含む(質量%):
−膜形成剤:
□ポリビニルアセテート(1) 5.15
□分子量50000のポリビニルアセテート(2) 2.57
□エポキシ樹脂(3) 1.73
−可塑剤:ジプロピレングリコールジベンゾエートと
ジエチレングリコールジベンゾエートの混合物(4) 0.18
−カチオン性分散剤(5) 2.60
−消泡剤(6) 0.18
−導電性粒子:
□カーボンブラック粉末(8)
(平均粒子寸法:50nm) 3.90
□フレーク状発泡合成グラファイト粉末(13)
(粒子寸法:10〜50μm) 2.60
□合成グラファイト粉末(9)
(平均粒子寸法:1〜10μm) 6.50
−カップリング剤:
□γ−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン(10) 0.22
□γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(11) 0.14
−潤滑剤:ポリエチレンイミン塩(12) 0.42。
【0088】
組成物は20℃で12mPa.sの粘性を有しそして固体含有率は20.2%であった。
【0089】
組成物を直径16μmのE−ガラスフィラメントに適用し、これ(フィラメント)を四つの100texのストランドにまとめ、このストランドをブッシングの下方でこの四つの別々のストランドから構成されるケーク状に直接巻いた。ケークを乾燥後、ケークから引き出したストランドをほどいて2400texにまとめたロービングにした(六つの4x100texケーク)。
【0090】
このストランドの特性は以下である:
−線密度:100tex;
−強熱減量:4.40%;
−毛羽立ち(fuzz):0.125mg/100gのストランド;
−線抵抗率:0.017MΩ/cm(標準偏差:0.009)。
【0091】
例4
本例は例3の条件下で製造したが、調製したサイジング組成物は以下を含む(質量%)よう一部変更した:
−膜形成剤:
□ポリビニルアセテート(1) 7.21
□分子量50000のポリビニルアセテート(2) 3.60
□エポキシ樹脂(3) 1.73
−可塑剤:ジプロピレングリコールジベンゾエートと
ジエチレングリコールジベンゾエートの混合物(4) 0.18
−カチオン性分散剤(5) 2.70
−消泡剤(6) 0.18
−導電性粒子:
□カーボンブラック粉末(8)
(平均粒子寸法:50nm) 3.90
□フレーク状発泡合成グラファイト粉末(13)
(粒子寸法:10〜50μm) 2.60
□合成グラファイト粉末(9)
(平均粒子寸法:1〜10μm) 6.50
−カップリング剤:
□γ−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン(10) 0.22
□γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(11) 0.14
−潤滑剤:ポリエチレンイミン塩(12) 0.42。
【0092】
組成物は20℃で14mPa.sの粘性を有しそして固体含有率は21.6%であった。
【0093】
このストランドの特性は以下である:
−線密度:100tex;
−強熱減量:4.0%;
−毛羽立ち(fuzz):0.625mg/100gのストランド;
−線抵抗率:0.034MΩ/cm(標準偏差:0.013)。
【0094】
SMCは以下のやり方でこのストランドから製造した。ポリエチレン膜に連続して、不飽和ポリエステル樹脂糊でできた第一層;裁断したガラスストランド(長さ:25mm);前述した糊でできた第二層;及び第二ポリエチレン膜(第一層と同じ)を付着させた。
【0095】
この糊は以下の組成を(質量部で)有する:
−ポリエステル樹脂(Cray Valley社 M0494) 52
−充填剤:炭酸カルシウム 200
−重合触媒
・Akzo社 Trigonox(登録商標)117 1.1
・Akzo社 Trigonox(登録商標)141 0.1
−ポリ酢酸ビニル(Dow Chemical社
Fast Cure(登録商標)9005) 48
−抑制剤:p−ベンゾキノン 0.06
−湿潤剤/粘性低下剤(Byk Chemie社
Byk(登録商標)996) 1.3
−粘性低下剤(Dow Chemical社 VR3) 2.0
−離型剤:ステアリン酸亜鉛 2.0
−増粘剤:酸化マグネシウム 2.4。
【0096】
ガラスストランドはSMC化合物の30質量%に相当する。
【0097】
このSMCを型の寸法より僅かに小さく切断し、そして複数のポリエチレン膜を取り外した後でその型に付着させた。成型操作を145℃、70bar圧力及び負荷率25%で実施した。
【0098】
成型した部品は以下の表に示す電気的及び機械的特性を有した。比較のために、この表は従来型の、非導電性のサイズ剤(対照試料)で被覆したガラスストランドを含むSMC複合材料から同一条件下で成型した部品の特性も示す。
【0099】
【表1】

【0100】
本発明によるストランドから得た成型部品は実質的に対照より良い表面抵抗率を有し、その表面抵抗率は静電塗装用途のために要求される値の範囲内にある。これ(本発明による部品)の3点曲げ機械特性は対照と同等であった。
【0101】
例5
例3の条件下で、サイジング組成物を調製し、これは以下を含む(質量%):
−膜形成剤:
□ポリウレタン(14) 16.80
−分散剤:ポリエーテルリン酸塩(15) 6.68
−消泡剤(6) 0.80
−導電性粒子:
□カーボンブラック粉末(8)
(平均粒子寸法:50nm) 3.90
□フレーク状発泡合成グラファイト粉末(13)
(粒子寸法:10〜50μm) 2.60
□合成グラファイト粉末(9)
(平均粒子寸法:1〜10μm) 6.50
−カップリング剤:
□γ−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン(10) 0.30
□γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(11) 0.40。
【0102】
組成物は20℃で35mPa.sの粘性を有しそして固体含有率は22.4%であった。
【0103】
このストランドは線密度91texであり、強熱減量4.7%であった。
【0104】
1456texにまとめたロービング(四つの4x91texケーク)をケークから引き出したストランドから製造した。
【0105】
まとめたロービングを例4の条件下で使用しSMCを形成した。
【0106】
成型した部品は1x10MΩ/□の表面抵抗率及び1MΩ.mの内部抵抗率を有した。
【0107】
例6
本例は例5の条件下で製造したが、調製したサイジング組成物は以下を含む(質量%)よう一部変更した:
−膜形成剤:
□ポリウレタン(14) 16.80
−分散剤:ポリエーテルリン酸塩(15) 6.68
−消泡剤(6) 0.18
−導電性粒子:
□カーボンブラック粉末(8)
(平均粒子寸法:50nm) 5.20
□フレーク状発泡合成グラファイト粉末(13)
(粒子寸法:10〜50μm) 5.20
□合成グラファイト粉末(9)
(平均粒子寸法:1〜10μm) 2.60
−カップリング剤:
□γ−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン(10) 0.30
□γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(11) 0.40。
【0108】
組成物は20℃で15mPa.sの粘性を有しそして固体含有率は22.4%であった。
【0109】
このストランドは線密度96texであり、強熱減量4.5%であった。
【0110】
SMCを例4と同じ条件下でこのストランドから製造した。
【0111】
成型した部品は1x10MΩ/□の表面抵抗率及び0.1MΩ.mの内部抵抗率を有した。
【0112】
例4〜6の成型部品は、従来型の、非導電性、SMCをベースとする対照よりも低い表面抵抗率値を有した。
【0113】
例5及び6の部品は、対照(内部抵抗率は10MΩ.mより大きい)よりも明らかに低い内部抵抗率を有する。発明者はこの効果はこのガラスストランドサイズ剤中に存在する膜形成剤が母材中で比較的不溶性であるという事実によると考える。従って、この導電性粒子はストランド上に、又はその周辺の環境に残留し、そして部品の表面に移動しない。部品の内部のガラスストランドによって形成された導電性のネットワークが、電気泳動によるその部品の塗装が可能とするのに十分な内部抵抗をもたらす。
【0114】
(1) VINAMUL社により" VINAMUL(登録商標) 8828 "として市販される (固体含有率 : 52 質量%);
(2) VINAMUL社により" VINAMUL(登録商標) 8852 "として市販される (固体含有率 : 55 質量%);
(3) COIM社により" FILCO(登録商標) 310 "として市販される (固体含有率 : 52 質量%);
(4) NOVEON社により" K-FLEX(登録商標) 500 "として市販される (固体含有率 : 100 質量%);
(5) LUBRIZOL ADDITIVES社により" SOLSPERSE(登録商標) 2700 "として市販される (固体含有率 : 100 質量%);
(6) TEGO社により" TEGO(登録商標) Foafex 830 "として市販される (固体含有率 : 100 質量%);
(7) CABOT社により" VULCAN(登録商標) XC 72 "として市販される;
(8) CABOT社により" VULCAN(登録商標) XC 72 R "として市販される;
(9) UCAR社により" SPF 17 "として市販される;
(10) GE SILICONES社により" SILQUEST(登録商標) A-174 "として市販される (固体含有率 : 100 質量%);
(11) GE SILICONES社により" SILQUEST(登録商標) A-1100 "として市販される (固体含有率 : 100 質量%);
(12) COGNIS社により" " EMERY(登録商標) 6760 "として市販される (固体含有率 : 17 質量%);
(13) UCAR社により" GRAFPOWDER(登録商標) TG 407 "として市販される;
(14) BAYER社により" BAYBOND(登録商標) PU401 "として市販される (固体含有率 : 40 質量%);
(15) TEGO CHEMIE社により" TEGO Dispers(登録商標) 651 "として市販される (固体含有率 : 100 質量%)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性のサイジング(sizing)組成物で被覆したガラスストランドであって、該サイジング組成物が、少なくとも一つの膜形成剤、可塑剤、界面活性剤及び分散剤の中から選択した少なくとも一つの化合物、該ガラスにカップリングするための少なくとも一つのカップリング剤並びに導電性粒子を、含んでなるガラスストランド。
【請求項2】
膜形成剤が、ポリビニルアセテート(ホモポリマー又はコポリマー)、ポリエステル、エポキシ、ポリアクリル酸(ホモポリマー又はコポリマー)、ポリウレタン、ポリアミド、セルロースポリマー及びこれらの化合物の混合物から選択したポリマーであることを特徴とする、請求項1に記載されたガラスストランド。
【請求項3】
膜形成剤がポリビニルアセテート、エポキシ又はポリウレタンであることを特徴とする、請求項2に記載されたガラスストランド。
【請求項4】
可塑剤、界面活性剤及び分散剤が、ハロゲン化していてもよい脂肪族化合物若しくは芳香族化合物、ポリアルコキシル化した化合物、ポリアルコキシル化した脂肪酸エステル及びアミン化合物のような有機化合物から、並びに無機化合物から選択されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載されたガラスストランド。
【請求項5】
カップリング剤が、シラン、シロキサン、チタン酸塩、ジルコン酸塩及びこれらの化合物の混合物からなる群に属する加水分解型の化合物から選択されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載されたガラスストランド。
【請求項6】
導電性の粒子が、グラファイト及び/又はカーボンブラックをベースとする粒子であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載されたガラスストランド。
【請求項7】
粒子が、異なる複数の形状、好ましくは二つ又は三つの形状を有する粒子の混合物の形態であることを特徴とする、請求項6に記載されたガラスストランド。
【請求項8】
粒子の30〜60%が5〜20で変化するアスペクト比を有することを特徴とする、請求項6又は7に記載されたガラスストランド。
【請求項9】
最大寸法(dimension)を有する粒子の寸法(size)が250μm、好ましくは100μmを超えないことを特徴とする、請求項6〜8のいずれか1項に記載されたガラスストランド。
【請求項10】
粒子が、1μmを超えない粒子サイズのカーボンブラック粉末及びグラファイト粒子の混合物からなることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載されたガラスストランド。
【請求項11】
分散剤がカチオン性、アニオン性及び非イオン性化合物から選択されていることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載されたガラスストランド。
【請求項12】
組成物が、カルボキシメチルセルロース、グアーガム若しくはキサンタンガム、カラギナン、アルギン酸塩、ポリアクリル酸、ポリアミド、ポリエチレングリコール及びこれらの化合物の混合物から選択した粘性調整剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載されたガラスストランド。
【請求項13】
組成物が、添加剤として、潤滑剤、錯化剤及び消泡剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載されたガラスストランド。
【請求項14】
サイズ剤の量がストランドの3.5〜6質量%に相当することを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項に記載されたガラスストランド。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1項に記載されたガラスストランドを被覆することを意図したサイジング組成物であって、該組成物が質量%で以下:
−2〜10%、好ましくは3〜8.5%、の少なくとも一つの膜形成剤;
−0.2〜8%、好ましくは0.25〜6%、の可塑剤、界面活性剤及び分散剤から選択した少なくとも一つの化合物;
−4〜25%、好ましくは6〜20%、の導電性の粒子;
−0.1〜4%、好ましくは0.15〜2%、の少なくとも一つのカップリング剤;
−0〜4%、好ましくは0〜1.8%、の少なくとも一つの粘性調整剤;並びに
−0〜6%、好ましくは0〜3%、の添加剤、
を含むことを特徴とする、サイジング組成物。
【請求項16】
組成物の固体含有率が8〜35%、好ましくは12〜25%、で変化することを特徴とする、請求項15に記載された組成物。
【請求項17】
請求項15又は16のいずれかに記載された組成物を調製する方法であって、以下のステップ:
a)分散剤(dispersant)を含む水中に導電性粒子で分散(dispersion)Dを生じること;
b)エマルジョンEを生成するために水中に、他のサイズ成分、すなわち膜形成剤、可塑剤、界面活性剤、加水分解形態のカップリング剤を導入し、必要に応じて、粘性調整剤及び添加剤を導入すること;並びに
c)分散DをエマルジョンEと混合すること、
を含む方法。
【請求項18】
導電性粒子の沈殿を防ぐために、ステップa)及びc)は十分な攪拌を伴って実施されることを特徴とする、請求項17に記載された方法。
【請求項19】
少なくとも一つの熱硬化性ポリマー材料が強化ストランドと結合されている複合材料であって、該ストランドが部分的にまたは完全に請求項1〜14のいずれか1項に記載したガラスストランドからなることを特徴とする複合材料。
【請求項20】
複合材料中のガラス含有率が5〜60%であることを特徴とする、請求項19に記載された複合材料。
【請求項21】
複合材料がSMCの形態にあること、及びガラス含有率が10〜60%、好ましくは20〜45%、であることを特徴とする、請求項19又は20のいずれかに記載された複合材料。
【請求項22】
複合材料がBMCの形態にあること、及びガラス含有率が5〜20%であることを特徴とする、請求項19又は20のいずれかに記載された複合材料。
【請求項23】
圧縮成型の技術を使用して導電性の成型した部品を製造するために、請求項1〜14のいずれか1項に記載されたガラスストランドを使用する方法であって、該ストランドはSMC又はBMC形態で使用される方法。
【請求項24】
ガラスストランドマットであって、該ストランドが部分的に又は完全に請求項1〜14のいずれか1項に記載されたガラスストランドからなることを特徴とする、ガラスストランドマット。
【請求項25】
ガラスストランドベール(覆い)であって、該ストランドが部分的に又は完全に請求項1〜14のいずれか1項に記載されたガラスストランドからなることを特徴とする、ガラスストランドベール。

【公表番号】特表2008−516887(P2008−516887A)
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−537357(P2007−537357)
【出願日】平成17年10月21日(2005.10.21)
【国際出願番号】PCT/FR2005/050885
【国際公開番号】WO2006/043011
【国際公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(501399290)サン−ゴバン ベトロテックス フランス (33)
【Fターム(参考)】