説明

導電性ゴムローラ

【課題】ゴム組成物に炭酸カルシウムが配合される場合であっても、その混練り時の炭酸カルシウムの凝集によるローラ表面の凹凸が小さく、研削後の表面性においても優れている導電性ゴムローラを提供する。
【解決手段】導電性芯材上にソリッドゴム層を有する導電性ゴムローラであって、該ソリッドゴム層は、ゴム成分100質量部に対し、少なくとも炭酸カルシウムが20質量部以上100質量部以下添加されているゴム組成物からなり、該ゴム組成物は、該炭酸カルシウムとして、平均粒子径1.0μm以上2.0μm以下の炭酸カルシウムAと、平均粒子径3.0μm以上6.0μm以下の炭酸カルシウムBとが80:20乃至50:50の質量割合で添加されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真複写機や静電記録装置等に用いられる帯電ローラ等、感光体に接触されて用いられる導電性ゴムローラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真複写機や静電記録装置等は、均一に帯電された感光体を露光して得られた静電潜像に現像剤であるトナーを付着させ、そのトナーを紙等の転写媒体に転写することにより画像を形成している。また、感光体の帯電はコロナ放電による非接触の帯電方式や導電性のローラを使用する接触型の帯電方式があるが、近年、放電によるオゾン発生等の問題により、導電性ローラ方式が主流となっている。
【0003】
上記導電性ローラについては、例えば帯電ローラでは感光体を均一に帯電させるという機能から、その表面の粗さは小さく均一であることが要求されている。さらに、表面の凹凸はトナーや添加剤などの微粒子が付着する原因となり、ローラ汚れに繋がる。ローラが汚れると帯電不良など機能に支障が生じてしまう為、好ましくない。これは、ゴム弾性層のみで構成されるローラはもちろん、樹脂層などのコーティングを行う場合であってもゴム弾性層の粗さが大きいとコーティング後の粗さに影響してしまい好ましくない。
【0004】
前記ローラは所定の配合を混練りしたゴム組成物を押出し機でチューブ状に押出しし、加硫した後、導電性芯材を挿入し所定の大きさに研削して製造する方法が一般的である。研削することによって、様々な形状への対応が可能な他、振れ等の形状精度も優れた導電性ゴムローラを製造することが可能となる。また、研削前の押出し、加硫工程では、クロスヘッド押出し機を用い、導電性芯材にゴム組成物を被覆して加硫する方法も用いられる。
【0005】
前記ローラ用ゴム組成物の配合は、押出しの加工性を向上させるために、ポリマー(ゴム)に炭酸カルシウムやカーボンブラック等のフィラーをポリマー100質量部当たり30質量部から100質量部配合するのが一般的である。ゴムにフィラーを配合しない場合、ゴムの収縮が激しく、非常に加工し難くなるからである。
【0006】
添加する主たるフィラーとしては、炭酸カルシウムが一般的に使用される。カーボンブラックやシリカ等のフィラーは、添加による硬度アップや粘度アップが大きく、添加量が制限され、加工性悪化等の不具合を生じてしまう。炭酸カルシウムは添加量に対する硬度アップや粘度アップが少なく、好ましく使用できる。
【0007】
しかし、炭酸カルシウムを使用した場合、混練り時に凝集する等して分散不良を起こし、表面性に影響してしまうという不具合の可能性もある。特に、研削により形状を形成させるローラの場合、凝集物が直接研削面に現れる為、局所的に凸形状や凹形状となり、好ましくない。
【0008】
上記問題を解決する為に、分散については、混練り前の凝集の改善として、通気乾燥を行った軽質炭酸カルシウムを使用する方法が提案されている(特許文献1)。また、押出し時にゴム組成物中に含まれている水分等を除去し易くする為の提案として、炭酸カルシウムの粒子径については、BET式の比表面積により規定する提案がある(特許文献2)。
【特許文献1】特開2004−144906号公報
【特許文献2】特開2004−78127号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1及び2に記載されている方法とも一定の効果があるものの、混練り時に凝集が起こってしまうこともあった。
【0010】
本発明は、上記問題に鑑み、ゴム組成物に炭酸カルシウムが配合される場合であっても、その混練り時の炭酸カルシウムの凝集によるローラ表面の凹凸が小さく、研削後の表面性においても優れている導電性ゴムローラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、第一に、導電性芯材上にソリッドゴム層を有する導電性ゴムローラであって、
該ソリッドゴム層は、ゴム成分100質量部に対し、少なくとも炭酸カルシウムが20質量部以上100質量部以下添加されているゴム組成物からなり、
該ゴム組成物は、該炭酸カルシウムとして、平均粒子径1.0μm以上2.0μm以下の炭酸カルシウムAと、平均粒子径3.0μm以上6.0μm以下の炭酸カルシウムBとが80:20乃至50:50の質量割合で添加されていることを特徴とする導電性ゴムローラである。
【0012】
第二に、前記炭酸カルシウムが、重質炭酸カルシウムであることを特徴とする前記の導電性ゴムローラである。
【0013】
第三に、前記炭酸カルシウムAの平均粒子径が、1.0μm以上1.5μm以下であることを特徴とする前記の導電性ゴムローラである。
【0014】
第四に、前記ソリッドゴム層は、研削によって形状が形成されていることを特徴とする前記の導電性ゴムローラである。
【0015】
第五に、前記ゴム組成物は、ゴム成分の主成分として、エピクロルヒドリン系ゴムを含有することを特徴とする前記の導電性ゴムローラである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ゴム組成物の混練り時に炭酸カルシウムが凝集することがなく、その結果、導電性ゴムローラ表面上に凝集物による凹凸が小さく、研削後の表面性に優れた導電性ゴムローラを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、導電性芯材上にソリッドゴム層を有する導電性ゴムローラであって、該ソリッドゴム層を構成するゴム組成物が以下の条件を満たすものである。
(1)ゴム組成物は、ゴム成分100質量部に対し、少なくとも炭酸カルシウムが20質量部以上100質量部以下添加されている。
(2)上記炭酸カルシウムとしては、平均粒子径1.0μm以上2.0μm以下の炭酸カルシウムAと、平均粒子径3.0μm以上6.0μm以下の炭酸カルシウムBとが80:20乃至50:50の質量割合で使用されている。
【0018】
以下、本発明について説明する。
【0019】
本発明に係る導電性ゴムローラは、導電性芯材上にソリッドゴム層を有する導電性ゴムローラである。そして、ソリッドゴム層を構成するゴム組成物は、ゴム成分と所定の炭酸カルシウムとを含有する。ソリッドゴム層の形状は研削により形成されるのが一般的であり、この場合に本発明の効果が特に大きい。ソリッドゴム層中に炭酸カルシウムの凝集がある場合に、研削によりソリッドゴム層の表面に炭酸カルシウムの凝集そのものが現れるからである。研削によらないで形状が形成された導電性ゴムローラとして、型成形によるものがある。この方法においても、表面直下に炭酸カルシウムの凝集が存在する場合、炭酸カルシウムの凝集そのものは現れないものの、凝集物の周辺は小さな凹凸による形状異状が起こる為、本発明の効果がみられる。
【0020】
なお、導電性ゴムローラが有するゴム層として、ソリッドゴム層以外にスポンジゴム層がある。しかし、スポンジゴム層については、もともとセルにより大きな凹凸が形成されている為、分散不良の凹凸による影響を受け難い。したがって、ソリッドゴム層を有する導電性ゴムローラで、本発明の効果が発揮される。
【0021】
本発明において用いられるゴム成分は、通常のゴム材料として使用されているものを使用することができる。例えば、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、エピクロルヒドリンゴム(CO,ECO,GECO)などが挙げられる。ここで、エチレンプロピレンゴム等の体積抵抗率が1010Ω・cmより高いものは、所定の抵抗に合わせるために導電性フィラーを充填するのが一般的である。しかし、導電性フィラーの充填によって抵抗を調整した材料は、導電性フィラーの分散状態により抵抗値にばらつきを生じ易い。そこで、本発明の導電性ゴムローラに使用するゴム成分としては、ゴム成分自体が比較的高い導電性を持っているアクリロニトリルブタジエンゴム、エピクロルヒドリンゴム、ウレタンゴム等の体積抵抗率が107〜1010Ω・cmのゴム成分がより好ましい。これらのゴム成分は、導電性が要求されるローラを製造するに当たり、抵抗のばらつきが小さく、調整が容易である。
【0022】
その中でも、エピクロルヒドリン系ゴムは、エピクロルヒドリンとエチレンオキサイドの共重合比により低抵抗化が可能な為、ゴム成分の主成分としてより好ましく使用できる。また、エピクロルヒドリン系ゴムを使用する際は、アリルグリシジルエーテルを含有する三元共重合体を使用することが好ましい。例えば、エピクロルヒドリンとエチレンオキサイドとアリルグリシジルエーテルとの三元共重合体が挙げられる。アリルグリシジルエーテルを共重合したタイプを使用することにより、硫黄架橋、過酸化物架橋など架橋形態の自由度が増し、より多様な成形加工条件が選択可能である。また、エピクロルヒドリン系ゴムの割合は、低抵抗であるという特徴を生かす場合は、ゴム成分中80質量%から100質量%と、主成分とすることがより好ましい。
【0023】
本発明では、ゴム成分に添加する炭酸カルシウムとして、平均粒子径1.0μmから2.0μmの炭酸カルシウムAと、平均粒子径3.0μmから6.0μmの炭酸カルシウムBとを用いる。なお、本明細書における「平均粒子径」とは、体積分布から算出した体積平均粒子径を意味し、具体的には、レーザー回折法により測定することができる。また、炭酸カルシウムAと炭酸カルシウムBとの質量割合は、80:20から50:50である。炭酸カルシウムは、平均粒子径が小さくなる程混練り時に凝集し易くなるが、研削後の表面粗さに関しては小さくなる傾向にある。また、炭酸カルシウムは比較的廉価な資材ではあるが、平均粒子径が1.0μm程度にまで小さくなってきた場合、炭酸カルシウム自体のコストアップにつながってしまう。逆に平均粒子径が大きくなる場合、混練り時に凝集の発生は抑えられるが、研削後の表面粗さが大きくなってしまう傾向にある。本発明では、平均粒子径の違う炭酸カルシウムを添加することにより、混練り時の凝集を防ぎ、且つ研削後の表面粗さも小さくでき、コストアップも抑えることが出来るものである。
【0024】
炭酸カルシウムAについては、平均粒子径が1.0μmより小さくなると、混練り時に特に凝集し易くなるという傾向が大きくなる為、好ましくない。また、平均粒子径が2.0μmより大きくなると表面粗さへの影響が出てくるため、炭酸カルシウムAの平均粒子径は、1.0μmから2.0μmが好ましく、より好ましくは1.0μmから1.5μmである。
【0025】
炭酸カルシウムBについては、平均粒子径が6.0μmを超えた場合、表面粗さへの影響が大きくなってしまい、好ましくない。また、平均粒子径が3.0μmを下回った場合は、炭酸カルシウムAによる凝集を防ぐ効果が少ない。炭酸カルシウムBの平均粒子径は、4.0μmから5.5μmが好ましい。
【0026】
また、炭酸カルシウムAと炭酸カルシウムBの合計に対する炭酸カルシウムAを添加する割合が80質量%を超えた場合、炭酸カルシウムAの影響で混練り時の凝集が起こる危険性があり、好ましくない。一方、炭酸カルシウムAと炭酸カルシウムBの合計に対する炭酸カルシウムAを添加する割合が50質量%を下回った場合、炭酸カルシウムBの影響により研削後の表面性が大きくなってしまう危険性があり、好ましくない。炭酸カルシウムAと炭酸カルシウムBとの質量割合は、70:30から60:40が好ましい。
【0027】
本発明では、炭酸カルシウムとして、上記炭酸カルシウムA及び炭酸カルシウムBを所定の質量割合で使用すればよく、炭酸カルシウムA及び炭酸カルシウムBのいずれにも分類されない炭酸カルシウムを併用することもできる。ただし、使用した炭酸カルシウムA及び炭酸カルシウムBの合計量が、使用した炭酸カルシウム全体の60質量%以上であることが好ましい。
【0028】
本発明で使用する炭酸カルシウムは、上記条件を満足すれば特に限定されるものではないが、合成で製造される軽質炭酸カルシウムは平均粒子径の小さなものが多く条件を満たし難いことから、重質炭酸カルシウムがより好ましく使用される。重質炭酸カルシウムは、製造工程においても、原石を乾式粉砕して製造されていることから、製造中に凝集する危険性が少なく、好ましく使用できる。軽質炭酸カルシウムは、湿式で合成されており、製造過程に乾燥工程を有し、乾燥による粒子の凝集してしまうことがある。
【0029】
炭酸カルシウムは、ゴム成分100質量部に対し、20質量部から100質量部使用する。炭酸カルシウムの使用量が、ゴム成分100質量部に対し20質量部より少ない場合、炭酸カルシウムによる効果が少なく、加工性が低下したり、研削後の表面粗さが大きくなったりする場合があり好ましくない。どちらの原因も、ゴム成分の割合が高くなるからであると考えられる。炭酸カルシウムの使用量が、ゴム成分100質量部に対し100質量部を超えた場合、押出し時の圧力が上昇し、押出し量が確保できない等の不具合を生じてしまう場合があり、好ましくない。炭酸カルシウムの使用量は、ゴム成分100質量部に対し、50質量部から80質量部が好ましい。
【0030】
本発明で使用するゴム組成物は、炭酸カルシウム以外のフィラーを含有してもよい。ここで、フィラーとは、充填剤、補強剤、導電剤として用いられる平均粒子径5μm以下の微粒子である。充填剤としては、クレー等が挙げられる。補強剤としては、カーボンブラックやシリカなどが挙げられる。導電剤としては、導電性酸化亜鉛等の金属酸化物が挙げられるほか、前記カーボンブラックも導電剤として用いられる。
【0031】
本発明で使用するゴム組成物には、さらに添加剤を添加することができる。添加剤としては、加硫剤、加硫促進剤、充填材、導電剤など、従来公知のものが使用可能である。加硫剤としては、硫黄又は有機系硫黄化合物の他、従来公知の架橋剤が使用可能である。加硫剤の配合量は、ゴム成分100質量部に対し、0.1質量部から10質量部、好ましくは0.3質量部から5質量部である。その他加硫系の薬品としてメルカプトベンゾチアゾール等のチアゾール類、テトラメチルチウラムジスルフィド等の加硫促進剤、酸化亜鉛などの加硫促進助剤等が用いられる。加硫促進剤の配合量は、ゴム成分100質量部に対し、各々0.1質量部から20質量部、好ましくは0.3質量部から10質量部である。
【0032】
本発明の導電性ゴムローラのソリッドゴム層となるゴム材料は、上記のような各成分を配合して混練したゴム組成物を、160〜180℃で10〜40分間加熱、加硫(架橋)することによって得られる。加硫の方法としては、蒸気缶加硫、プレス加硫など公知の方法が使用可能である。
【0033】
本発明の導電性ゴムローラは、上記ゴム組成物を円筒形状に押出し成形し、蒸気加硫にて加硫後、導電性芯材を圧入し研削して製造されるのが一般的であるが、型によるプレス成形等、従来公知の方法にて所望の形状に成形、研削して使用される。例えば、また、研削後、ソリッドゴム層の上にディッピング等により樹脂層を設けることも可能である。導電性芯材としては、導電性を有する芯材であれば特に制限はなく、例えば、鉄にメッキを施したものやステンレス鋼などからなる金属製芯材を用いることができる。
【0034】
また、導電性ゴムローラの用途に限定はないが、本発明による導電性ゴムローラは表面に凹凸のない表面性に優れたものである為、感光体を均一に帯電させることを目的とする帯電ローラとして特に好ましく用いられる。
【実施例】
【0035】
以下、具体的に本発明の実施例を説明する。
【0036】
(実施例1〜5、比較例1〜5)
<導電性ゴムローラの作製>
表1、表2に示す成分を、表中に示す質量比で配合したものをニーダーで混練りしてゴム組成物を得た。表1、表2中、「炭カルA」は平均粒子径1.0〜2.0μmの炭酸カルシウムを、「炭カルB」は平均粒子径3.0〜6.0μmの炭酸カルシウムを、「炭カルC」は炭カルA及び炭カルBに分類されない炭酸カルシウムとしてグループ分けしてある。次に、上記ゴム組成物を70mmL/D20の押出し機に投入し、直径8.0mmのダイス、直径2.0mmのニップルを装着したヘッドにより円筒形に押出した。その後、160℃、30分蒸気加硫し、加硫後に直径6.0mmの芯金に圧入し、直径9.6mmの導電性ゴムローラを得た。なお、押出し機の各温調は75℃、スクリュー回転数は6rpmに調整した。加硫後の導電性ゴムローラは、ゴム長220mmとなる様に芯金両端のゴムを除去し、さらに直径8.5mmまで研削した。各実施例及び比較例で3本の導電性ゴムローラを作製した。
【0037】
【表1】

【0038】
【表2】

【0039】
<評価>
分散性
得られた導電性ゴムローラ3本について、全研削面を光学顕微鏡により50倍に拡大し、その視野内に存在する100μm未満の異物と100μm以上の異物を観察し、それぞれの個数の平均値を求めた。異物として確認されるものは、主に炭酸カルシウムの分散不良物であった。評価としては、100μm以上の異物が発見されたものを評価×とし、発見されないものを○とした。
【0040】
表面粗さ
得られた導電性ゴムローラの研削表面について、基準長さ6mmで十点平均表面粗さ(Rz−JIS)を測定した。評価としては、Rz−JISが6.0μm未満のものを○、6.0μm以上のものを×とした。
【0041】
以上の評価結果を表3に示した。
【0042】
【表3】

【0043】
実施例1は、平均粒子径が1.4μmの炭酸カルシウムAと、平均粒子径が4.5μmの炭酸カルシウムBとを、炭酸カルシウムA/炭酸カルシウムB(質量比、以下A/B)が67/33で添加したものである。実施例2は、平均粒子径が1.1μmの炭酸カルシウムAと、平均粒子径が3.4μmの炭酸カルシウムBとを、A/Bが67/33で添加したものである。実施例3は、実施例2の炭酸カルシウムBを、平均粒子径が5.5μmのものに変更したものである。また、比較例1は、平均粒子径が1.1μmの炭酸カルシウムAと、炭酸カルシウムBよりも平均粒子径の大きい、平均粒子径が6.3μmの炭酸カルシウムCとを、炭酸カルシウムA/炭酸カルシウムCが67/33で添加したものである。比較例2は、比較例1の炭酸カルシウムCを、炭酸カルシウムBよりも平均粒子径の小さい、平均粒子径が2.7μmのものに変更したものである。また、比較例3は、実施例3の炭酸カルシウムAを、炭酸カルシウムAよりも平均粒子径の小さい平均粒子径が0.9μmのものに変更したものである。
【0044】
これらより、平均粒子径が1.0〜2.0μmの炭酸カルシウムAと、平均粒子径が3.0〜6.0μmの炭酸カルシウムBとを併用することが好ましいことがわかる。平均粒子径が6.0μmを超えている炭酸カルシウムを使用した比較例1では、表面粗さが大きくなってしまい、好ましくない。平均粒子径が2.0μmを超え3.0μmより小さい炭酸カルシウムを使用した比較例2では、凝集を防ぐ効果が小さく、好ましくない。また、平均粒子径が1.0μmより小さい炭酸カルシウムを使用した比較例3は、混練り時に凝集してしまい、好ましくない。
【0045】
また、実施例4及び実施例5は、実施例2のA/Bをそれぞれ55/45、80/20に変更したものである。比較例4及び比較例5は、実施例2のA/Bをそれぞれ45/55、85/15に変更したものである。
【0046】
これにより、添加する炭酸カルシウムA及び炭酸カルシウムBの質量割合は、80/20〜50/50が好ましいことがわかる。添加する炭酸カルシウムAの割合が50質量%を下回っている比較例4では、平均粒子径の大きい炭酸カルシウムBの影響が強く出て表面粗さが大きくなってしまい好ましくない。また、添加する炭酸カルシウムAの割合が80質量%を超えている比較例5では、平均粒子径の大きい炭酸カルシウムBの効果が小さく、炭酸カルシウムの凝集が発生しており、好ましくない。
【0047】
以上より、本発明の導電性ローラは、電子写真等の画像形成装置における導電性ローラとして好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性芯材上にソリッドゴム層を有する導電性ゴムローラであって、
該ソリッドゴム層は、ゴム成分100質量部に対し、少なくとも炭酸カルシウムが20質量部以上100質量部以下添加されているゴム組成物からなり、
該ゴム組成物には、該炭酸カルシウムとして、平均粒子径1.0μm以上2.0μm以下の炭酸カルシウムAと、平均粒子径3.0μm以上6.0μm以下の炭酸カルシウムBとを80:20乃至50:50の質量割合で添加されていることを特徴とする導電性ゴムローラ。
【請求項2】
前記炭酸カルシウムが、重質炭酸カルシウムであることを特徴とする請求項1に記載の導電性ゴムローラ。
【請求項3】
前記炭酸カルシウムAの平均粒子径が、1.0μm以上1.5μm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の導電性ゴムローラ。
【請求項4】
前記ソリッドゴム層は、研削によって形状が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の導電性ゴムローラ。
【請求項5】
前記ゴム組成物は、ゴム成分の主成分として、エピクロルヒドリン系ゴムを含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の導電性ゴムローラ。

【公開番号】特開2007−316514(P2007−316514A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−148186(P2006−148186)
【出願日】平成18年5月29日(2006.5.29)
【出願人】(393002634)キヤノン化成株式会社 (640)
【Fターム(参考)】