説明

導電性シリコーンゴム組成物

【課題】半導電領域でも体積抵抗率のバラツキが小さく、且つ体積抵抗率が電圧依存性も小さい導電性シリコーンゴム組成物を提供する。
【解決手段】(A)熱硬化性シリコーンゴム100重量部に、(B)導電性カーボンブラック1〜150重量部、(C)陰イオン成分がビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドで、かつ難水溶性または非水溶性であるイオン性物質0.05〜1000ppmを添加した導電性シリコーンゴム組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安定した導電性を有する熱硬化性シリコーンゴム組成物及びそれを用いたローラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電気絶縁性を示すゴム状物質に導電性材料を配合して導電性を付与したゴム材料は種々知られており、例えば導電性材料としてカーボンブラック等を配合し、体積抵抗率を1×10-1〜1×1012Ω・cmの範囲とした導電性ゴムが広い分野で応用されているが、従来の導電性シリコーンゴムでは、体積抵抗率のバラツキが大きいという問題、特に1×103〜1×1010Ω・cmという半導電領域ではバラツキが極めて大きくなるという問題があり、各種ローラへの応用が制限されていた。
【0003】
この問題を解決するため、特許文献1では、リチウム塩を配合することが提案されており、半導電領域での体積抵抗率のバラツキに対してある程度の効果を示しているが、リチウム塩は環境雰囲気下、特に湿度の影響により電気特性が安定しないとされ、未だ十分なものとは言えない。
【0004】
また、従来の導電性シリコーンゴムの問題点として、体積抵抗率が印加電圧により変動してしまうという欠点も指摘されているが、特許文献1の手法ではこの問題の解決は不十分である。
【特許文献1】特開2003−82232号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来技術の課題の解決を図るもので、半導電領域でも体積抵抗率のバラツキが小さく、且つ体積抵抗率が電圧依存性も小さい導電性シリコーンゴム組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、比較的簡易な手法により上記目的を達成する手段について鋭意検討した結果、熱硬化性シリコーンゴムに対して、導電性カーボンブラックと共に特定のイオン性物質を特定少量添加することが上記目的達成のために極めて有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち本発明は、
(A)熱硬化性シリコーンゴム100重量部に
(B)導電性カーボンブラック1〜150重量部
(C)陰イオン成分がビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドで、かつ難水溶性または非水溶性であるイオン性物質0.05〜1000ppm
を添加することを特徴とする導電性シリコーンゴム組成物である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、半導電領域でも体積抵抗率のバラツキが小さく、且つ体積抵抗率が電圧依存性も小さい導電性シリコーンゴム組成物を提供することができ、定着ローラ、加圧ローラ等の各種ローラに好適に用いられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0010】
(A)成分の熱硬化性シリコーンゴムは、ポリオルガノシロキサンベースポリマーと硬化剤及び必要により用いられる充填剤等の公知の各種添加剤から構成される。ポリオルガノシロキサンベースポリマーとしては、通常広く知られているものを用いることができ、ポリオルガノシロキサンベースポリマーにおける有機基は、1価の置換または非置換の炭化水素基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、ドデシル基のようなアルキル基、フェニル基のようなアリール基、β−フェニルエチル基、β−フェニルプロピル基のようなアラルキル基等の非置換の炭化水素基や、クロロメチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等の置換炭化水素基が例示される。なお、一般的にはメチル基が合成のしやすさ等から多用される。特に1分子中のケイ素原子に結合した有機基のうち、少なくとも2個がビニル基であるポリジオルガノシロキサンが一般的であり、直鎖状のものが特に好ましく用いられるが、これらに限定されることなく、一部、ビニル基を持たないものや分岐状もしくは環状のポリオルガノシロキサンも使用することが可能である。
【0011】
また、本発明の熱硬化性シリコーンゴムは、公知のシリコーンゴムの硬化機構を適用してシリコーンゴムを得ることが可能であり、有機過酸化物による架橋、または、付加反応による架橋により硬化させることが一般的である。
【0012】
有機過酸化物の架橋に用いられる硬化剤としては、市販の有機過酸化物を用いることができ、ベンゾイルペルオキシド、2,4 −ジクロロベンゾイルペルオキシド、p−メチルベンゾイルパーオキサイド、o−メチルベンゾイルパーオキサイド、ジクミルペルオキシド、クミル−t−ブチルペルオキシド、2,5 −ジメチル−2,5 −ジ−t−ブチルペルオキシヘキサン、ジ−t−ブチルペルオキシド等の各種の有機過酸化物加硫剤が用いられ、特に低い圧縮永久歪を与えることから、ジクミルペルオキシド、クミル−t−ブチルペルオキシド、2,5 −ジメチル−2,5 −ジ−t−ブチルペルオキシヘキサン、ジ−t−ブチルペルオキシドが好ましい。
【0013】
これらの有機過酸化物加硫剤は、1種または2種以上の混合物として用いることができる。硬化剤である有機過酸化物の配合量は、シリコーンベースポリマー100重量部に対し0.05〜10重量部の範囲が一般的である。
【0014】
一方、付加反応による架橋を適用する場合の硬化剤としては、硬化用触媒として、塩化白金酸、白金オレフィン錯体、白金ビニルシロキサン錯体、白金黒、白金トリフェニルホスフィン錯体等の白金系触媒が用いられ、架橋剤として、ケイ素原子に結合した水素原子が1分子中に少なくとも平均2個を超える数を有するポリジオルガノシロキサンが用いられる。付加反応硬化剤のうち、硬化用触媒の配合量は、ベースポリマーに対し白金元素量で0.1〜1000ppm の範囲となる量が好ましい。硬化用触媒の配合量が白金元素量として0.1ppm 未満では、充分に硬化が進行せず、また1000ppmを超えても特に硬化速度の向上等が期待できない。また、架橋剤の配合量は、ベースポリマー中のアルケニル基1個に対し、架橋剤中のケイ素原子に結合した水素原子が、0.5〜4.0 個となるような量が好ましく、さらに好ましくは 1.0〜3.0 個となるような量である。水素原子の量が 0.5個未満である場合は、組成物の硬化が充分に進行せずに、硬化後の組成物の硬さが低くなり、また水素原子の量が 4.0個を超えると硬化後の組成物の物理的性質と耐熱性が低下する。
【0015】
必要に応じて配合される添加剤としては、充填剤、顔料、耐熱性向上剤、難燃剤などが例示される。
【0016】
特に、添加剤として、補強性シリカを配合することが好ましく、補強性シリカとしては、煙霧質シリカ、アークシリカのような乾式シリカ;沈殿シリカ、シリカエアロゲルのような湿式シリカ;およびそれらをヘキサメチルジシラザン、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルメトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサンのような有機ケイ素化合物で処理した疎水性シリカなどが例示され、塩霧質シリカおよびそれを疎水化したシリカが好ましい。優れた補強効果を得るために、補強性シリカは、比表面積が通常50m2/g以上、好ましくは100〜700m2/g、さらに好ましくは130〜500m2/gのものが用いられる。
【0017】
補強性シリカは、ベースポリマー100重量部に対し、1〜100重量部配合される。1重量部未満では補強性向上が十分でなく、100重量部を超えると配合が困難になり、ゴム物性にも影響を与える。
【0018】
また、その他の充填剤の具体例としては、例えば、粉砕石英紛、クレイ、炭酸カルシウム、ケイソウ土、ニ酸化チタンなどが挙げられる。また、耐熱性向上剤の具体例としては、酸化鉄、酸化セリウム、水酸化セリウム、オクチル酸鉄などが挙げられる。その他、イソパラフィンなどの飽和脂肪族炭化水素、脂肪酸金属塩、脂肪酸アミド類などの離型剤、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリルなどの発泡剤なども配合することができる。
【0019】
また、各種充填剤の分散性などを高める目的で配合される公知の有機ケイ素化合物や、界面活性剤、加工助剤なども使用可能である。
【0020】
本発明で用いられる(B)導電性カーボンブラックは、特に制限されるものではなく、例えば、アセチレンブラック、コンダクティブファーネスブラック、コンダクティブチャンネルブラックなど、この種の組成物に一般に使用されているものの中から任意に選択されてよい。アセチレンブラックとしては、デンカブラック(電気化学工業(株)製 商品名)、シャウニガンアセチレンブラック(シャウニガンケミカル社製 商品名)などが例示される。コンダクティブファーネスブラックとしては、コンチネックスCF、コンチネックスSCF(以上、コンチネンタルカーボン社製 商品名)、バルカンC、バルカンSC、バルカンP、バルカンXC−72(以上、キャボット社製 商品名)、旭HS−500(旭カーボン(株)製 商品名)などが例示される。コンダクティブチャンネルブラックとしては、コウラックスL(デグッサ社製 商品名)などが例示される。また、ファーネスブラックの一種であるケッチェンブラックEC、ケッチェンブラックEC−600JD(以上、ケッチェンブラックインターナショナル社製 商品名)を使用することもできる。これらのなかでも、アセチレンブラック、ケッチェンブラックが、本発明による効果が特に顕著に得られることから好ましい。
【0021】
この導電性カーボンブラックの配合量は、通常、ベースポリマーのポリオルガノシロキサン100重量部に対して3〜150重量部の範囲であり、求められる体積抵抗率となるように、その範囲内で適宜定められる。
【0022】
本発明で用いられる(C)イオン性物質は、陰イオン成分がビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドであるイオン性物質であり、かつ難水溶性または非水溶性である。多くの陰イオン成分と陽イオン成分の組み合わせがある中で、特に陰イオン成分がビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドであるイオン性物質が本目的の効果を得るには極めて優れている。好ましくは、常温(23℃)で液体(常温溶融塩)であり、且つ分解温度が220℃以上であることが好ましく、そのようなイオン物質としては、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−メチル−1−プロピルピリジニウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N−ブチル−3−メチルピリジニウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチル−1−メチルピロリジニウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドなどがあり、最も好ましくはN−ブチル−3−メチルピリジニウム・ビストリフルオロメタンスルホニルイミド又は1−ブチル−1−メチルピロリジニウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドである。
さらに好ましくは、イオン性液体が、その陽イオンに少なくとも1個のアルケニル基を有することであり、これにより相溶性に乏しいイオン液体をシリコーンゴム組成物系内に長期間にわたり留めることが可能になる。ここでアルケニル基とは、ビニル基、アリル基、メチルビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等の脂肪族不飽和炭化水素基、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の環式不飽和炭化水素基、メタクリル基等が挙げられる。この中でも特にビニル基またはアリル基が好ましい。また、このようなイオン性液体としては、1−ビニルイミダゾリウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−アリルイミダゾリウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−アリル−3−メチルイミダゾリウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ジアリルジメチルアンモニウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドなどがあり、最も好ましくはジアリルジメチルアンモニウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドである。
なお、水への溶解性に関し、易水溶性とは常温において水と等量のイオン物質を混合した時に容易に溶解するものである。例えば、リチウム塩のリチウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドやイオン液体である1−ブチル−3−メチルピリジン−1−イウム・トリフルオロメタンスルホナートや1−エチル−3−メチルイミダゾリウム・テトラフルオロボレートなどが例示される。また、混合後放置することで相分離するものは非水溶性、また、白濁して溶解しないものは難水溶性と定義した。
【0023】
(C)成分の配合量は0.05〜1000ppmである。0.05ppm未満では導電性の安定化効果が十分でなく、1000ppmを超えて配合しても効果が飽和すると共に、シリコーンゴムが本来有する特性を維持することができないだけでなく、商業的に不利となるという問題がある。特に好ましい配合量は100ppm以下である。
【0024】
本発明では、ポリオルガノシロキサン、特に、商業的に一般的であるジメチルポリシロキサンと相溶性に乏しいイオン性物質、特に系外にブリードしやすいイオン性液体とを容易に均一混合を可能にすることと、更にイオン性液体を安定的にポリオリガノシロキサンマトリックス中に留めて効果を長期にわたり維持することを目的に、更に(D)パーフルオロアルキル基含有ポリオルガノシロキサンを0.001〜10重量部(対(A)成分100重量部)を添加することが好ましい。
【0025】
(D)成分のパーフルオロアルキル基含有ポリオルガノシロキサンは、パーフルオロアルキル基を含有しているポリオルガノシロキサンであれば良く、商業的にはメチルトリフルオロプロピルシロキシユニットを少なくとも一個を有するポリオルガノシロキサンが知られている。(D)成分の珪素原子に結合するパーフルオロアルキル基の数は50%以下であり、(A)成分への相溶性と(B)成分をシロキサンマトリックスに留めてその硬化を長期にわたり保持することを両立するためには、パーフルオロアルキル基の数は好ましくは2〜30%、より好ましくは7〜20%である。
(D)成分は直鎖状、環状、分岐状などいずれの形態でもよいが直鎖状のものが一般的であり、末端基に水酸基やアルコキシ基を有していも良い。粘度は100000cStより小さいものが好ましく、より好ましくは1000cStより小さいものが好ましい。100000cStより高い粘度では(B)成分との粘度の差が大きくなり、容易に混合しにくくなる。
特に、(D)パーフルオロアルキル基含有ポリオルガノシロキサンに対して、(C)成分とのイオン性物質を0.1〜50%の割合で混合した混合体を準備してから添加するのが好ましい。
【0026】
また、本発明の好ましい態様としては、上記した補強性シリカに(C)成分のイオン性物質と(D)成分のパーフルオロアルキル基含有ポリオルガノシロキサンとの混合体を担持させた状態で組成物中に配合することである。これにより、組成物中での(C)成分の分散が良くなり、且つ系内への保留性がさらに向上する。
【0027】
本発明の導電性シリコーンゴム組成物は、導電性が求められる各種分野に広く利用され、特に導電ローラに好適である。本発明の導電ローラは、芯金に上記導電性シリコーンゴム組成物の導電性の硬化物層を形成するものであるが、この場合、芯金の材質、寸法等はローラの種類に応じて適宜選定することができる。
【実施例】
【0028】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。実施例の部は重量部を示す。
【0029】
実施例1
(A-1)両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖され側鎖にビニル基を有するジメチルポリシロキサン(粘度約3000cP、ビニル基含有量0.0001mol/g)100部、(B-1)導電性カーボンブラック(デンカブラック、電気化学工業(株)製 商品名)20部をプラネタリーミキサーに入れ、30分間撹拌を続けた後、3本ロールに1回通した。その後、(C-1)1−ブチル−1−メチルピロリジニウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(非水溶性で常温で液体、分解温度420℃)10ppm、架橋剤として両末端及び側鎖にSi−H基を有するメチルハイドロジェンポリシロキサン(重合度17、Si−H量0.0060mol/g)5部、反応制御剤としてエチニルシクロヘキサノール0.1部、白金触媒(Pt濃度1%)0.1部を添加し、15分間撹拌を続けてシリコーンゴム組成物を得た。
【0030】
実施例2〜7、比較例1〜5
使用するシロキサン、導電性カーボンブラック及びイオン性物質の種類と配合量を表1のように変化させて、実施例1と同様にしてシリコーンゴム組成物を得た。
【0031】
使用した各成分は以下のものである。
・(A-2)両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖され側鎖にビニル基を有する生ゴム状ジメチルポリシロキサン(重合度8,000、ビニル基含有量0.00008mol/g)
・(A-3)両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖され側鎖にビニル基を有するモノビニル基含有ポリシロキサン(粘度約1000cP、ビニル基含有量 0.00005mol/g)
・(B-2)導電性カーボンブラック(ケッチェンブラックEC、ケッチェンブラックインターナショナル社製 商品名)
・(B-3) 導電性カーボンブラック(HTC−20、新日化カーボン(株)製 商品名)
・(C-2)非水溶性で常温で液体であり分解温度290℃のN−ブチル−3−メチルピリジニウム・ビストリフルオロメタンスルホニルイミド
・(C-3)難水溶性で常温で液体であり分解温度270℃のジアリルジメチルアンモニウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド
・(C-4)易水溶性で常温で液体であり分解温度260℃の1−ブチル−3−メチルピリジン−1−イウムトリフルオロメタンスルホナート(比較品)
・(C-5)易水溶性で常温で固体であり分解温度380℃のリチウム塩であるリチウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(比較品)
実施例8
粘度150cStのパーフルオロアルキル基含有ポリオルガノシロキサン(メチルトリフルオロプロピル基シロキシユニットを30mol%有し、他はジメチルシロキシユニットで構成され、両末端水酸基の直鎖状のポリマー)100部に、(C-3)のジアリルジメチルアンモニウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを1%溶解した溶解液を準備した。ジアリルジメチルアンモニウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドに代えて、この溶解液0.1部を添加した以外は実施例7と同様にしてシリコーンゴム組成物を得た。
【0032】
評価項目は以下の通りである。
[硬さ]
硬度の評価は、JISA硬度計を用い、JISK6249に準拠し評価した。
[体積抵抗率]
体積抵抗率の測定は、JISK6271「加硫ゴムおよび熱可塑性ゴム−体積抵抗率及び表面抵抗率の求め方」に準拠し、(株)アドバンテスト製 R8340Aを用いて評価した。
【0033】
電圧依存性について、10V印加と100V印加で評価した。経時安定性について、100V印加し、初期と1時間後を比較した。さらに、環境依存性について、50℃相対湿度90%環境下にゴムをさらし、7日後に評価した。
【0034】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)熱硬化性シリコーンゴム100重量部に
(B)導電性カーボンブラック1〜150重量部
(C)陰イオン成分がビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドで、かつ難水溶性または非水溶性であるイオン性物質0.05〜1000ppm
を添加することを特徴とする導電性シリコーンゴム組成物。
【請求項2】
(C)成分が常温(23℃)で液体であり、且つ分解温度が220℃以上のイオン性液体である請求項1記載の導電性シリコーンゴム組成物。
【請求項3】
請求項2記載の(C)成分のイオン性液体が、その陽イオンに少なくとも1個のアルケニル基を有するものである請求項2記載の熱硬化性シリコーンゴム組成物。
【請求項4】
(C)成分がN−ブチル−3−メチルピリジニウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチル−1−メチルピロリジニウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドまたはジアリルジメチルアンモニウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドである請求項1記載の導電性シリコーンゴム組成物。
【請求項5】
更に(D)パーフルオロアルキル基含有ポリオルガノシロキサンを0.001〜10重量部(対(A)成分100重量部)を添加する請求項1記載の導電性シリコーンゴム組成物。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項記載の導電性シリコーンゴム組成物の硬化物層を芯金に形成してなるローラ。

【公開番号】特開2009−173922(P2009−173922A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−333372(P2008−333372)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000221111)モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社 (257)
【Fターム(参考)】