導電性パターンを有する電極基板および太陽電池
【課題】 太陽電池のサイズを大きくした際に必然的に発生する電力損失を低減することを可能とする導電性パターンを有する電極基板を提供する。また、その電極を用いた太陽電池を提供する
【解決手段】 導電性基板の導電膜よりも低抵抗な導電性を有するパターンが配置されていることを特徴とする電極基板を配置することで、シャドウ効果を増大させることなく、電力損失を低減することが可能な太陽電池用電極およびそれを用いた太陽電池。
【解決手段】 導電性基板の導電膜よりも低抵抗な導電性を有するパターンが配置されていることを特徴とする電極基板を配置することで、シャドウ効果を増大させることなく、電力損失を低減することが可能な太陽電池用電極およびそれを用いた太陽電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性を有するパターン(以下「導電性パターン」という。)を含む電極基板およびそれを用いた太陽電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電気光学素子や光電気化学素子用電極などの機能性素子において、素子の形状が大きくなると素子の性能の低下を回避することは困難であった。太陽電池においては、光電変換された電流を端子から取り出すまでの距離が長くなるため、太陽電池の表面で均一に発生した電流を効率的に外部に取り出すことができず、出力が低減(電力損失)する。この電力損失を極力低減し、太陽光発電効率を向上させることが重要である。
透明基板上に金属配線層と透明導電層を有する電極基板に関しては、これまでいくつかの報告がなされているが、これらはいずれも電気抵抗の低減が目的であり、太陽電池で実用上重要となる総合的な電力損失を低減することについては報告されていない(例えば、特許文献1〜3参照。)。
【特許文献1】特開2004−164950号公報
【特許文献1】特開2004−164970号公報
【特許文献1】特開2004−165015号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明はこのような実状に鑑み成されたものであり、その目的は、太陽電池のサイズを大きくした際に必然的に発生する電力損失を低減することを可能とする導電性パターンを有する電極基板を提供することである。また、その電極を用いた太陽電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは上記のような従来の問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、太陽電池の電極基板上に特定の導電性パターンを形成することで、電力損失を低減できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、導電性基板の導電膜よりも低抵抗な導電性を有するパターンが配置されていることを特徴とする電極基板に関する。
また本発明は、前記電極基板を用いた太陽電池に関する。
【0005】
以下、本発明について説明する。
本発明における導電性パターン付きの電極基板は、透過性のある基板(透明基板)とその上に形成された導電性層(導電膜)と特定の導電性パターンから構成される。
透明基板としては、特に限定されず、材質、厚さ、寸法、形状等は目的に応じて適宜選択することができる。例えば、無色あるいは有色ガラス、網入りガラス、ガラスブロック等が用いられる。また、無色あるいは有色の透明性を有する樹脂でも良い。これらの樹脂としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、トリ酢酸セルロース、ポリメチルペンテンなどが挙げられる。なお、本発明における透明とは、10〜100%の透過率を有することであり、また、本発明における基板とは、常温において平滑な面を有するものであり、その面は平面あるいは曲面であってもよく、また応力によって変形するものであってもよい。
【0006】
透明基板表面には、導電性を付与するために、例えば、金、銀、クロム、銅、タングステンなどの金属薄膜、金属酸化物からなる導電膜を配する。金属酸化物としては、例えば、錫や亜鉛などの金属酸化物に、他の金属元素を微量ドープしたIndium Tin Oxide(ITO(In2O3:Sn))、Fluorine doped Tin Oxide(FTO(SnO2:F))、Aluminum doped Zinc Oxide(AZO(ZnO:Al))、Indium doped Zinc Oxide(IZO(ZnO:I))、Germanium doped Zinc Oxide(GZO(ZnO:Ge))などが好適なものとして用いられる。
導電膜の膜厚は、通常、10nm〜5000nm、好ましくは50nm〜3000nmである。また、表面抵抗(抵抗率)は、通常、0.5〜500Ω/sq、好ましくは2〜50Ω/sqである。
これらの導電膜は、真空蒸着法、イオンプレーティング法、CVD法、電子ビーム真空蒸着法、スパッタリング法等の公知の方法で基板上に作製することができる。
【0007】
前記の透明導電性基板上に形成される導電性パターンは、集電層と絶縁層から成る。
集電層の材料としては、銀、金、銅などの金属やFTOなどの前記金属酸化物を主成分とし、その他の成分(以下バインダーという。)としてPbO、B2O3、ZnO、Al2O3などの金属酸化物や、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などの有機物が添加されていても良い。図1に導電性パターンを導電性基板へ投影した形状を示す。また、図2に導電性パターンの断面形状を例示した。
導電性パターンの形状の幅は、通常0.01mmから5mmの範囲であり、好ましくは0.1mmから1mmである。また、その高さは、通常1μmから100μmであり、好ましくは、5μmから50μmである。また、導電性パターンの形状は、図1(a)および(b)に記載の通り、幹部分あるいは幹部分・枝部分から形成されており、幹部および枝部の単位長さ当たりの電気抵抗は、電流取り出し部分から離れるに従い、等しいか増加する構成になっている。電気抵抗を増加させる方法としては、様々な方法が考えられるが、導電性パターン材料を同一とし、形状因子、特にパターンの基板上への射影形状、により抵抗値を変化させる方法が好ましい。例えば、幹部の先端に向かうにつれ幹幅が小さくなるなどである。電流取り出し部分とは幹部分の基となる部分であり、形状は長方形、円形など、目的が達成できれば特に限定されない。また、導電性パターンを形成する材料と同一である必要は必ずしもない。なお、幹部と枝部の抵抗を評価する際の基準は幹部の場合は電流取り出し部分端であり、枝部はそれが形成される基となる幹側先端部とする。導電性パターンの電極基板全体に対して占める面積は、通常3%から50%であり、好ましくは6%から30%である。
【0008】
絶縁層としては、PbO、B2O3、ZnO、Al2O3、SiO、BaOなどの金属酸化物に代表されるガラス成分や、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などの有機物が用いられる。絶縁層の形状は、集電層を覆う形状であれば特に限定されない(図2参照)。また、絶縁層のガラス成分にPbOを含有する場合は、その含有量として通常20重量%以上80重量%以下、好ましくは35重量%以上70重量%以下、さらに好ましくは40重量%から50重量%の間である。
また、絶縁層のガラス成分にPb化合物を含有しない場合は、B203、SiOなどのガラス成分の添加量を多くする。B203の添加量としては、通常5重量%から35重量%であるが、好ましくは8重量%から15重量%である。
【0009】
導電性パターンの絶縁層上に形成する保護層は有機物を主成分とする材料からなり、例えば、ポリイミド、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンなどを用いることができる。また、保護層の形状は、絶縁層と対向基板との間の配置する形態であればよく、絶縁層の側面に配置されていてもいなくても良い(図3参照)。
保護層の厚さは、用いる材料に依存するが、通常は1μm〜100μmであり、好ましくは5μm〜50μmである。また、保護層は複数回成型することで積層してもよく、その際に保護層に用いる材料は全て同一でも良いが、異なる材料を用いても良い。
【0010】
本発明の太陽電池の基本的な構成は、前述の電極基板、半導体層、電解質、および導電性基板上に光触媒層を有する対向基板を配してなり、そして基板間の周縁部をシールした構成からなる。
光触媒層としては白金あるいはカーボンなどが用いられる。
なお、基板間の間隔は、通常0.1μm以上、好ましくは1μm以上であり、上限としては通常1mm、好ましくは0.5mm以下であることが望ましい。
【0011】
本発明における太陽電池において、半導体は導電性パターンの間隙あるいは上部のいずれか少なくとも一方に配置されている(図4および5参照)。
用いられる半導体としては、例えば、遷移金属を含む酸化物を挙げることができる。具体的には、Nb2O5、TiO2、WO3、V2O5、Ta2O5、MoO3、RhO2、NiO、FeO2、Cr2O3、IrO2、SrTiO3、MX3系化合物(M=Co、Rh、Ir;X=P、As、Sb)、RM4X12(M=Fe、Ru、Os;R=La、Ce、Pr、Nd、Eu)、NaCo2O4などを例示することができる。この中でも、特にチタニアが好ましく、単結晶でも多結晶でも良い。結晶系としては、アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型などが主に用いられるが、好ましくはアナターゼ型である。
【0012】
また、周期律表の第2B族から第7B族元素を含む合金あるいは酸化物が挙げられる。具体的には、ZnO、SiO2、Si、CdS、Fe1−xMxSi2(x=0〜1、M=Co、Mn、Cr)、GaInAsP、GaAs、InP、GaSb、GaInAs、Ge、SiGe、CdTe、CuInGaSSe、CuInGaSe2、(ZnO)mIn2O3(m=4〜7、9、11)、Ba1−xSrxPbO3(x=0〜1)、Ni1−xLiO(x=0〜1)、Cd3TeO6、Cd3−xAxTeO6―δ(x=0〜1、δ=0〜0.5)、Zn1−xAlxO(x=0〜1)、Bi2Te3などを例示することができる。
【0013】
さらには、ポリフェニレンビニレン(PPV)、ポリチオフェンなどの共役系有機物、あるいは、共役系物質が非共役鎖で結合した有機物質あるいは、電子供与性を有する分子や電子受容性を有する分子、さらには、電子供与性を有する分子構造を含むポリマーユニットと電子受容性を有する分子構造を含むポリマーユニットとから少なくとも構成されるブロック共重合体が挙げられる。
【0014】
前記の電子供与性を有する分子構造とは、イオン化ポテンシャルが小さく、他の分子に電子を供給して自らは正のイオンになりやすい性質を示す構造をいい、また、電子受容性を有する分子構造とは、電子親和力が大きく、他の分子から電子を受け取って自らは負のイオン状態になりやすい性質を示す構造をいう。
電子供与性を有する分子構造としては、当該分子構造部分において電子供与性を有しておれば特に限定されないが、ポリまたはオリゴアリーレンビニレン構造、ポリまたはオリゴアニリン連結構造、ポリまたはオリゴチオフェン連結構造、ポリまたはオリゴピロール連結構造、ポリまたはオリゴアミン連結構造、フタロシアニン構造、ナフタロシアニン構造等が挙げられる。
【0015】
また、電子受容性を有する分子構造としては、電子受容性を有しておれば特に限定されないが、シアノ基等の電子吸引性基を含有したポリまたはオリゴアリレーンビニレン構造、シアノ基等の電子吸引性基を含有したポリまたはオリゴチオフェン構造、シアノ基等の電子吸引性基を含有したポリまたはオリゴピロール構造、ポリまたはオリゴフェニルキノリン、さらにはビオロゲン構造、ペリレン等の多環式芳香族構造、フラーレン構造等が挙げられる。
【0016】
具体的な電子受容性分子構造の例としては下記式(1)〜(4)に示すものを、また電子供与性分子構造の例としては下記式(5)〜(11)に示すものを挙げることができる。
【0017】
【化1】
【化2】
【0018】
一般式(1)〜(11)中、R1およびR4〜R8は各々同一でも異なっていてもよく、各々個別に、直鎖または分岐した炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基もしくはアルコキシル基、または炭素数6〜12のアリール基、アラルキル基もしくはアリールオキシ基を示す。
R2およびR3は各々同一でも異なっていてもよく、各々個別に、直鎖または分岐した炭素数1〜10のアルキル基もしくはアルケニル基、または炭素数6〜12のアリール基を示す。
なお、同一構造式中に、複数のR1〜R8が存在する場合、それらは同一でも異なってもよい。
【0019】
前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などが挙げられ、アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、ブチレニル基、ペンチレニル基、ヘキセニル基などが挙げられ、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、i−プロポキシ基、ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペントキシ基、イソペントキシ基、ネオペンチルオキシ基、t−ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基等が挙げられ、アリール基としては、フェニル基、キシリル基、トリル基、クメニル基、ナフチル基等が、アラルキル基としては、ベンジル基、トリメチル基等が、アリールオキシ基としては、フェノキシ基、トリルオキシ基などが挙げられる。
X−およびY−は各々同一でも異なっていてもよく、各々個別に、ハロゲンアニオン、ClO4−、BF4−、PF6−、CH3COO−、CH3(C6H4)SO3−から選ばれる対アニオンを示す。
また、式中m、nは、各々1〜1000、好ましくは2〜500の整数を表すものである。
【0020】
これらの構造を有する共重合体としては、これらの構造を主鎖に有する共重合体、これらの構造を側鎖に有する共重合体のいずれでもよいが、好ましくは、これらの構造を主鎖に有する共重合体であることが望ましい。
また、これらの構造としては、電子受容性を有するかまたは電子供与性を有するかのいずれかの性質を具備することが必須であるが、さらに、これらの構造がキャリア移動能を具備する構造であることが望ましい。これらの構造がキャリア移動能を有するか否かについては常法により容易に判別することができる。例えば、殆どがこれらの構造からなるホモポリマーを製造し、タイム・オブ・フライト法によりキャリア移動度を測定することにより判別することができる。通常、キャリア移動度が10−7〜103cm2/V・s、好ましくは10−6〜10cm2/V・s程度のものが望ましい。
【0021】
かかる共重合体から形成される薄膜は、自己組織化により、電子供与性相と電子受容性相からなるミクロ相分離構造を形成する。ここでいうミクロ相分離構造とは、電子供与性相あるいは電子受容性相からなる各相のドメインサイズが、数nm〜数百nm程度の相分離構造を有するものを言う。ドメインサイズは、電子顕微鏡や、走査型プローブ顕微鏡などにより測定することができる。この共重合体から形成される薄膜は、ミクロ相分離構造のドメインサイズがエキシトン拡散長の10倍以内であることが好ましい。ここでいうエキシトン拡散長とは、光吸収により生成したエキシトンの量が1/eになる間に、エキシトンが拡散する距離のことである。その値は、ブロック共重合体を構成する各ユニットからなるポリマーもしくはオリゴマーのフォトルミネッセント消光を、その膜厚の関数として測定することで得ることができる。測定されたエキシトン拡散長は、電子供与性相と電子受容性相で異なる値を取るが、一般には数10nm程度の値を取る。
【0022】
本発明において用いるブロック共重合体として、より具体的には以下の一般式のようなものが挙げられる。
【0023】
【化3】
【0024】
一般式(12)〜(20)中、A、A’は電子受容性を有する分子構造を含有する分子団、D、D’は電子供与性を有する分子構造を含有する分子団を表す。また、式(12)〜(20)におけるn、m、l、pとしては、各々の場合において、nは通常2〜10000、好ましくは3〜5000、さらに好ましくは4〜2000の範囲の整数であり、mは通常2〜10000、好ましくは3〜5000、さらに好ましくは4〜2000の範囲の整数である。lは通常2〜10000、好ましくは3〜5000、さらに好ましくは4〜2000の範囲の整数である。pは通常2〜10000、好ましくは3〜5000、さらに好ましくは4〜2000の範囲の整数である。また、Rはポリマー残基を表す。これら一般式で表されるブロック共重合体の具体例としては特に限定されないが、以下のようなものが挙げられる。
【0025】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【0026】
一般式(21)〜(37)中、R10およびR11は各々同一でも異なっていてもよく、各々個別に、水素または炭素数1〜5のアルキル基を示し、R9およびR12は炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数6〜12のアリーレン基、または酸素原子もしくは窒素原子を含む炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数6〜12のアリーレン基を示す。アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、イソプロピレン基などが挙げられ、アリーレン基としては、例えば、フェニレン基、トリーレン等が挙げられる。
【0027】
また、式(21)〜(37)におけるn、m、lとしては、各々の場合において、nは通常2〜10000、好ましくは3〜5000、さらに好ましくは4〜2000の範囲の整数であり、mは通常2〜10000、好ましくは3〜5000、さらに好ましくは4〜2000の範囲の整数である。lは通常2〜10000、好ましくは3〜5000、さらに好ましくは4〜2000の範囲の整数である。pは通常2〜10000、好ましくは3〜5000、さらに好ましくは4〜2000の範囲の整数である。
【0028】
また、これらの共重合体の分子末端は、その製法により異なるが、通常、水素、炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基、アルコキシル基または炭素数6〜12のアリール基、アラルキル基、アリールオキシ基などの炭化水素である。
これらの共重合体は、公知の方法により容易に得ることが出来る。それらの製造方法としては特に限定されなく、例えば、電子受容性を有する構造または電子供与性を有する構造を有するジハロゲン化合物の強塩基による縮合重合反応や、電子受容性有する構造または電子供与性を有する構造を有し、かつ各種重合性基を有するモノマー化合物を、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合する方法が挙げられる。
【0029】
電極基板上への半導体層の形成方法としては特に制限されなく、公知の方法を採用することができる。例えば、上記半導体のナノ粒子分散液、ゾル溶液等を、公知の方法により基板上に塗布することで得ることが出来る。この場合の塗布方法としては特に限定されずキャスト法による薄膜状態で得る方法、スピンコート法、ディップコート法、バーコート法を挙げることができる。
また、バインダーを使用する場合、一般的には、前記半導体材料およびバインダーを混合してペースト状とし基板表面にスクリーン印刷、平板印刷、グラビア印刷、凹版印刷、フレキソ印刷、凸版印刷、特殊印刷する方法、ドクターブレード法、基板上にあらかじめ溝を形成しておき、該溝に半導体材料およびバインダーを混合したペーストを充填した後、へら等で余剰のペーストを除去する方法等により製造することができる。ペーストを基板表面に配置した後、加熱等によって導電性や密着性を向上させても良い。加熱には、オーブンやマッフル炉、電気炉の他、赤外線加熱等を利用しても良い。焼成温度は、用いるペーストおよび基板材料によって異なるが、好ましくは50℃〜700℃、より好ましくは100℃〜600℃、さらに好ましくは200℃〜500℃である。また、必要に応じて窒素雰囲気下で焼成を行っても良い。
半導体層の厚みは任意であるが0.5μm以上、50μm以下、好ましくは1μm以上20μm以下である。
【0030】
半導体としては、ナノチューブ構造を有するものを用いることができる。ナノチューブ構造の作製方法としては、固相法、液相法、気相法の何れかにより、直接合成する方法で、任意の形状の鋳型表面に半導体材料を蒸着やスパッタリングで成膜したり、析出あるいは合成する方法が挙げられる。鋳型表面にナノチューブ材料を形成する場合は、鋳型としては界面活性剤のような溶液中でミセルを形成する分子であれば良い。例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、尿素および水を含む溶液などを挙げることができる。また、鋳型上に形成される材料としては、金属アルコキシドなど金属元素を含有する分子であれば良く、TiCl4、Ti(SO4)2やTi(OiPr)3などを挙げることができる。
【0031】
また、別の方法として、液相微粒子成長法、電気泳動法、電着法、加圧法などの方法により作製することもできる。さらには、陽極酸化ポーラス材料を用いることもできる。例えば、高規則性ナノポーラスアルミナを鋳型として用い、その細孔内に、高規則性の半導体層を作製することもできる。また、高規則性ナノポーラスアルミナを鋳型として用い、その細孔内に、別の鋳型材料を充填した後に、最初に作製した鋳型を除去し、新たな鋳型を作製し、これに、目的とする半導体材料を用いて半導体層を作製することもできる。これら半導体材料を形成した後に、鋳型を除去し、ナノチューブとする方法などが挙げられる。
【0032】
半導体層の配置様式は特に制限されることはないが、基板の全面、基板の一部、例えば、網目状、ストライプ状などに配置することができる。半導体層の厚さとしては、通常0.1μm〜1000μm、好ましくは1μm〜500μm、さらに好ましくは1μm〜100μmである。また、鋳型を用いて半導体ナノチューブを作製する場合の鋳型の形状は、目的に応じて適宜選択されるが、チューブ断面の外形は円形、楕円径、多角形が好ましく挙げられる。また、長さは通常0.01μm〜2000μm、好ましくは0.1μm〜1500μm、さらに好ましくは1μm〜1000μmである。ナノチューブの断面の最も離れた部分の距離は通常1nm〜500nm、好ましくは10nm〜300nmである。
【0033】
半導体層は、半導体材料のみから構成されていてもよいが、本願発明の目的を損なわない限り、他の任意成分を含有しても良い。
例えば、半導体粒子同士の結合状態を改善させるためのバインダー等も好ましく使用される。該バインダーとしては硬化後に電解質に対して不活性で電解しないものであれば特に制限されず、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ポリテトラフロロエチレン、ポリスチロール、カルボキシメチルセルロース、ポリフッ化ビニリデン又はこれらの誘導体あるいは混合物などが用いられる。これらのバインダーを使用する場合の混合比は、半導体材料/バインダー(質量比)で通常10/90〜90/10、好ましくは20/80〜80/20の範囲が望ましい。あるいは、目的とする形状の半導体層を前記印刷法、ドクターブレード法などで成膜するための工程を可能にするペーストを得るために、バインダーあるいは増粘効果を賦与するためにポリエチレングリコールなどの第三成分を添加することも可能である。さらに、半導体層を形成するために、熱処理や圧力処理をする際に除去される物質が好ましい。
また、他の任意成分としては、電解質に腐食されない特性を有する金属微粒子や ITO、FTO、AZOなどの導電性酸化物半導体などを挙げることができる。
【0034】
半導体層の光吸収効率を向上すること等を目的として、種々の色素を半導体層に吸着や含有させることが出来る。
本発明において用いられる色素としては、半導体層の光吸収効率を向上させる色素であれば、特に制限されるものではなく、通常、各種の金属錯体色素や有機色素の一種または二種以上を用いることができる。また、半導体層への吸着性を付与するために、色素の分子中にカルボキシル基、ヒドロキシル基、スルホニル基、ホスホニル基、カルボキシルアルキル基、ヒドロキシアルキル基、スルホニルアルキル基、ホスホニルアルキル基などの官能基を有するものが好適に用いられる。
金属錯体色素としては、ルテニウム、オスミウム、鉄、コバルト、亜鉛の錯体や金属フタロシアニン、クロロフィル等を用いることができる。
本発明において用いられる金属錯体色素としては、以下のようなものが例示される。
【0035】
(色素1)
【化8】
【0036】
ここでX1は、一価のアニオンを示すが、各X1は独立でも、架橋されていていても良い。例えば、次のようなものが例示される。
【0037】
【化9】
【0038】
(色素2)
【化10】
【0039】
ここでXは、一価のアニオンを示す。例えば次のようなものが例示される。
【0040】
【化11】
【0041】
Yは一価アニオンであって、ハロゲンイオン、SCN−、ClO4−、BF4−、CF3SO3−、(CF3SO2)2N−、(C2F5SO2)2N−、PF6−、AsF6−、CH3COO−、CH3(C6H4)SO3−、および(C2F5SO2)3C−等を挙げることができる。
【0042】
(色素3)
【化12】
【0043】
ここでZは、非共有電子対を有する原子団であって、2つのZは独立でも、架橋されていていても良い。例えば、次のようなものが例示される。
【0044】
【化13】
【0045】
Yは一価アニオンであって、ハロゲンイオン、SCN−、ClO4−、BF4−、CF3SO3−、(CF3SO2)2N−、(C2F5SO2)2N−、PF6−、AsF6−、CH3COO−、CH3(C6H4)SO3−、および(C2F5SO2)3C−等を挙げることができる。
【0046】
(色素4)
【化14】
【0047】
また、有機色素としては、シアニン系色素、ヘミシアニン系色素、メロシアニン系色素、キサンテン系色素、トリフェニルメタン系色素、金属フリーフタロシアニン系色素を用いることができる。
本発明において用いる有機色素としては、以下のようなものが例示される。
【0048】
【化15】
【0049】
色素を半導体層に吸着させる方法としては、溶媒に色素を溶解させた溶液を、半導体層上にスプレーコートやスピンコートなどにより塗布した後、乾燥する方法により形成することができる。この場合、適当な温度に基板を加熱しても良い。または半導体層を溶液に浸漬して吸着させる方法を用いることも出来る。浸漬する時間は色素が十分に吸着すれば特に制限されることはないが、好ましくは1〜30時間、特に好ましくは5〜20時間である。また、必要に応じて浸漬する際に溶媒や基板を加熱しても良い。好ましくは溶液にする場合の色素の濃度としては、1〜1000mM/L、好ましくは10〜500mM/L程度である。
【0050】
用いる溶媒としては、色素を溶解しかつ半導体層を溶解しなければ特に制限されるとはなく、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノールなどのアルコール、アセトニトリル、プロピオニトリル、メトキシプロピオニトリル、グルタロニトリル、などのニトリル系溶媒、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、ペンタン、ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、2−ブタノンなどのケトン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ニトロメタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホアミド、ジメトキシエタン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、スルホラン、ジメトキシエタン、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、ジメチルアセトアミド、メチルピロリジノン、ジメチルスルホキシド、ジオキソラン、スルホラン、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸エチルジメチル、リン酸トリブチル、リン酸トリペンチル、リン酸トリへキシル、リン酸トリヘプチル、リン酸トリオクチル、リン酸トリノニル、リン酸トリデシル、リン酸トリス(トリフフロロメチル)、リン酸トリス(ペンタフロロエチル)、リン酸トリフェニルポリエチレングリコール、及びポリエチレングリコール等が使用可能である。
【0051】
前記電解質としては、特に限定されなく、液体系でも固体系でもいずれでもよく、可逆な電気化学的酸化還元特性を示すものが望ましい。
電解質としては、イオン伝導度が、通常室温で1×10−7S/cm以上、好ましくは1×10−6S/cm以上、さらに好ましくは1×10−5S/cm以上であるものが望ましい。なお、イオン伝導度は、複素インピーダンス法などの一般的な手法で求めることができる。
また、本発明における電解質は、酸化体の拡散係数が1×10−9cm2/s以上、好ましくは1×10−8cm2/s以上、さらに好ましくは1×10−7cm2/s以上を示すものが望ましい。なお、拡散係数は、イオン伝導性を示す一指標であり、定電位電流特性測定、サイクリックボルタモグラム測定などの一般的な手法で求めることができる。
電解質層の厚さは、特に限定されないが、1μm以上であることが好ましく、より好ましくは10μm以上であり、また3mm以下が好ましく、より好ましくは1mm以下である。
【0052】
液体系の電解質としては特に限定されるものではなく、通常、溶媒、可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質(溶媒に可溶なもの)およびさらに必要に応じて支持電解質を基本的成分として構成される。
【0053】
溶媒としては、一般に電気化学セルや電池に用いられる溶媒であればいずれも使用することができる。具体的には、無水酢酸、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、プロピレンカーボネート、ニトロメタン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホアミド、エチレンカーボネート、ジメトキシエタン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、スルホラン、ジメトキシエタン、プロピオンニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、ジメチルアセトアミド、メチルピロリジノン、ジメチルスルホキシド、ジオキソラン、スルホラン、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸エチルジメチル、リン酸トリブチル、リン酸トリペンチル、リン酸トリへキシル、リン酸トリヘプチル、リン酸トリオクチル、リン酸トリノニル、リン酸トリデシル、リン酸トリス(トリフフロロメチル)、リン酸トリス(ペンタフロロエチル)、リン酸トリフェニルポリエチレングリコール、及びポリエチレングリコール等が使用可能である。特に、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルスルホキシド、ジメトキシエタン、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン、スルホラン、ジオキソラン、ジメチルホルムアミド、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、メトキシプロピオニトリル、ジメチルアセトアミド、メチルピロリジノン、ジメチルスルホキシド、ジオキソラン、スルホラン、リン酸トリメチル、リン酸トリエチルが好ましい。また、常温溶融塩類も用いることができる。ここで、常温溶融塩とは、常温において溶融している(即ち液状の)イオン対からなる塩であり、通常、融点が20℃以下であり、20℃を越える温度で液状であるイオン対からなる塩をいう。
常温溶融塩の例としては、例えば、以下のものが挙げられる。
【0054】
【化16】
【0055】
(ここで、Rは炭素数2〜20、好ましくは2〜10のアルキル基を示し、X−はハロゲンイオンまたはSCN−を示す。)
【0056】
【化17】
【0057】
(ここで、R1およびR2は各々炭素数1〜10のアルキル基(好ましくはメチル基またはエチル基)、または炭素数7〜20、好ましくは7〜13のアラルキル基(好ましくはベンジル基)を示しており、互いに同一でも異なっても良い。また、X−はハロゲンイオンまたはSCN−を示す。)
【0058】
【化18】
【0059】
(ここで、R1、R2、R3、R4は、各々炭素数1以上、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基(フェニル基など)、またはメトキシメチル基などを示し、互いに同一でも異なってもよい。また、X−はハロゲンイオンまたはSCN−を示す。)
溶媒はその1種を単独で使用しても良いし、また2種以上を混合して使用しても良い。
【0060】
また、可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質は、通常、いわゆるレドックス材と称されるものであるが、特にその種類を制限するものではない。かかる物質としては、例えば、フェロセン、p−ベンゾキノン、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン、N,N,N’,N’−テトラメチル−p−フェニレンジアミン、テトラチアフルバレン、アントラセン、p−トルイルアミン等を挙げることができる。また、LiI、NaI、KI、CsI、CaI2、4級イミダゾリウムのヨウ素塩、テトラアルキルアンモニウムのヨウ素塩、Br2とLiBr、NaBr、KBr、CsBr、CaBr2などの金属臭化物などが挙げられ、また、Br2とテトラアルキルアンモニウムブロマイド、ビピリジニウムブロマイド、臭素塩、フェロシアン酸―フェリシアン酸塩などの錯塩、ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール−アルキルジスルフィド、ヒドロキノン−キノン、ビオロゲン色素などを挙げることができる。
【0061】
レドックス材は、酸化体、還元体のどちらか一方のみを用いてもよいし、酸化体と還元体を適当なモル比で混合し、添加することもできる。また、電気化学的応答性を示すように、これら酸化還元対を添加するなどしても良い。そのような性質を示す材料としては、ハロゲンイオン、SCN−、ClO4−、BF4−、CF3SO3−、(CF3SO2)2N−、(C2F5SO2)2N−、PF6−、AsF6−、CH3COO−、CH3(C6H4)SO3−、および(C2F5SO2)3C−から選ばれる対アニオンを有するフェロセニウムなどのメタロセニウム塩などのほか、ヨウ素、臭素、塩素などのハロゲン類を用いることもできる。
【0062】
また、他の可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質としては、ハロゲンイオンおよびSCN−から選ばれる対アニオン(X−)を有する塩が挙げられる。これらの塩の例としては、4級アンモニウム塩、ホスホニウム塩などが例示できる。4級アンモニウム塩としては、具体的には、(CH3)4N+X−、(C2H5)4N+X−、(n−C4H9)4N+X−、さらには、
【0063】
【化19】
【0064】
等が挙げられる。ホスホニウム塩としては、具体的には、(CH3)4P+X−、(C2H5)4P+X−、(C3H7)4P+X−、(C4H9)4P+X−等が挙げられる。
もちろん、これらの混合物も好適に用いることができる。
【0065】
また、可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質として、レドックス性常温溶融塩類も用いることができる。ここで、レドックス性常温溶融塩とは、常温において溶融している(即ち液状の)イオン対からなる塩であり、通常、融点が20℃以下であり、20℃を越える温度で液状であるイオン対からなる塩を示すものであって、かつ可逆的な電気化学的酸化還元反応を行うことができるものである。
レドックス性常温溶融塩はその1種を単独で使用することができ、また2種以上を混合しても使用することもできる。
レドックス性常温溶融塩の例としては、例えば、以下のものが挙げられる。
【0066】
【化20】
【0067】
(ここで、Rは炭素数2〜20、好ましくは2〜10のアルキル基を示す。X−は対アニオンを示し、具体的にはハロゲンイオンまたはSCN−などを示す。)
【0068】
【化21】
【0069】
(ここで、R1およびR2は各々炭素数1〜10のアルキル基(好ましくはメチル基またはエチル基)、または炭素数7〜20、好ましくは7〜13のアラルキル基(好ましくはベンジル基)を示しており、互いに同一でも異なっても良い。また、X−は対アニオンを示し、具体的にはハロゲンイオンまたはSCN−などを示す。)
【0070】
【化22】
【0071】
(ここで、R1、R2、R3、R4は、各々炭素数1以上、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基(フェニル基など)、またはメトキシメチル基などを示し、互いに同一でも異なってもよい。また、X−は対アニオンを示し、具体的にはハロゲンイオンまたはSCN−など示す。)
【0072】
可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質の使用量は、溶媒に溶解する限りにおいては、特に限定されるものではないが、通常溶媒に対して、1質量%〜50質量%、好ましくは3質量%〜30質量%であることが望ましい。
【0073】
また、必要に応じて加えられる支持電解質としては、電気化学の分野又は電池の分野で通常使用される塩類、酸類、アルカリ類、常温溶融塩類が使用できる。
塩類としては、特に制限はなく、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩;4級アンモニウム塩;環状4級アンモニウム塩;4級ホスホニウム塩などが使用でき、特にLi塩が好ましい。
塩類の具体例としては、ClO4−、BF4−、CF3SO3−、(CF3SO2)2N−、(C2F5SO2)2N−、PF6−、AsF6−、CH3COO−、CH3(C6H4)SO3−、および(C2F5SO2)3C−から選ばれる対アニオンを有するLi塩、Na塩、あるいはK塩が挙げられる。
【0074】
また、ClO4−、BF4−、CF3SO3−、(CF3SO2)2N−、(C2F5SO2)2N−、PF6−、AsF6−、CH3COO−、CH3(C6H4)SO3−、および(C2F5SO2)3C−から選ばれる対アニオンを有する4級アンモニウム塩、具体的には、(CH3)4N+BF4−、(C2H5)4N+BF4−、(n−C4H9)4N+BF4−、(C2H5)4N+Br−、(C2H5)4N+ClO4−、(n−C4H9)4N+ClO4−、CH3(C2H5)3N+BF4−、(CH3)2(C2H5)2N+BF4−、(CH3)4N+SO3CF3−、(C2H5)4N+SO3CF3−、(n−C4H9)4N+SO3CF3−、さらには、
【0075】
【化23】
【0076】
等が挙げられる。また、ClO4−、BF4−、CF3SO3−、(CF3SO2)2N−、(C2F5SO2)2N−、PF6−、AsF6−、CH3COO−、CH3(C6H4)SO3−、および(C2F5SO2)3C−から選ばれる対アニオンを有するホスホニウム塩、具体的には、(CH3)4P+BF4−、(C2H5)4P+BF4−、(C3H7)4P+BF4−、(C4H9)4P+BF4−等が挙げられる。
また、これらの混合物も好適に用いることができる。
【0077】
酸類も特に限定されず、無機酸、有機酸などが使用でき、具体的には硫酸、塩酸、リン酸類、スルホン酸類、カルボン酸類などが使用できる。
アルカリ類も特に限定されず、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどがいずれも使用可能である。
【0078】
常温溶融塩類も特に限定されること無く使用することができる。本発明における常温溶融塩とは、常温において溶融している(即ち液状の)イオン対からなる塩であり、通常、融点が20℃以下であり、20℃を越える温度で液状であるイオン対からなる塩をいう。
常温溶融塩はその1種を単独で使用することができ、また2種以上を混合しても使用することもできる。
常温溶融塩の例としては、例えば、以下のものが挙げられる。
【0079】
【化24】
【0080】
(ここで、Rは炭素数2〜20、好ましくは2〜10のアルキル基を示す。X−はClO4−、BF4−、(CF3SO2)2N−、(C2F5SO2)2N−、PF6−、AsF6−、CH3COO−、CH3(C6H4)SO3−、および(C2F5SO2)3C−から選ばれる対アニオンを表す。)
【0081】
【化25】
【0082】
(ここで、R1およびR2は各々炭素数1〜10のアルキル基(好ましくはメチル基またはエチル基)、または炭素数7〜20、好ましくは7〜13のアラルキル基(好ましくはベンジル基)を示しており、互いに同一でも異なっても良い。また、X−はClO4−、BF4−、(CF3SO2)2N−、(C2F5SO2)2N−、PF6−、AsF6−、CH3COO−、CH3(C6H4)SO3−、および(C2F5SO2)3C−から選ばれる対アニオンを表す。)
【0083】
【化26】
【0084】
(ここで、R1、R2、R3、R4は、各々炭素数1以上、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基(フェニル基など)、またはメトキシメチル基などを示し、互いに同一でも異なってもよい。また、X−はClO4−、BF4−、(CF3SO2)2N−、(C2F5SO2)2N−、PF6−、AsF6−、CH3COO−、CH3(C6H4)SO3−、および(C2F5SO2)3C−から選ばれる対アニオンを表す。)
【0085】
支持電解質の使用量については特に制限はなく任意であるが、通常、電解質中に0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、かつ70質量%以下、好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下の量で含有させることができる。
【0086】
また、本発明において用いる電解質としては、前記のような液体系でもよいが、全固体化が可能であるとの観点から、高分子固体電解質が特に好ましい。
高分子固体電解質としては、特に好ましいものとして、(a)高分子マトリックス(成分(a))に、少なくとも(c)可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質(成分(c))を含有し、所望により(b)可塑剤(成分(b))をさらに含有するものが挙げられる。また、これらに加え、所望によりさらに前記した(d)支持電解質や(e)常温溶融塩などの他の任意成分を含有させてもよい。高分子固体電解質としては、前記成分(c)または、成分(b)と成分(c)、あるいはさらなる任意成分が、高分子マトリックス中に保持されることによって固体状態またはゲル状態が形成される。
【0087】
本発明において高分子マトリックスとして使用できる材料としては、高分子マトリックス単体で、あるいは可塑剤の添加や、支持電解質の添加、または可塑剤と支持電解質の添加によって固体状態またはゲル状態が形成されれば特に制限は無く、一般的に用いられるいわゆる高分子化合物を用いることができる。
上記高分子マトリックスとしての特性を示す高分子化合物としては、ヘキサフロロプロピレン、テトラフロロエチレン、トリフロロエチレン、エチレン、プロピレン、アクリロニトリル、塩化ビニリデン、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、スチレン、フッ化ビニリデンなどのモノマーを重合または共重合して得られる高分子化合物を挙げることができる。またこれらの高分子化合物は単独で用いても良く、また混合して用いても良い。これらの中でも、特にポリフッ化ビニリデン系高分子化合物が好ましい。
【0088】
ポリフッ化ビニリデン系高分子化合物としては、フッ化ビニリデンの単独重合体、あるいはフッ化ビニリデンと他の重合性モノマー、好適にはラジカル重合性モノマーとの共重合体を挙げることができる。フッ化ビニリデンと共重合させる他の重合性モノマー(以下、共重合性モノマーという。)としては、具体的には、ヘキサフロロプロピレン、テトラフロロエチレン、トリフロロエチレン、エチレン、プロピレン、アクリロニトリル、塩化ビニリデン、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、スチレンなどを例示することができる。これらの中でも、特にカルボキシル基を有するモノマーとの共重合体が好ましい。
【0089】
これらの共重合性モノマーは、モノマー全量に対して0.1〜50mol%、好ましくは1〜25mol%の範囲で使用することができる。
共重合性モノマーとしては、好適にはヘキサフロロプロピレンが用いられる。本発明においては、特にフッ化ビニリデンにヘキサフロロプロピレンを1〜25mol%共重合させたフッ化ビニリデン−ヘキサフロロプロピレン共重合体を高分子マトリックスとするイオン伝導性フィルムとして好ましく用いることができる。また共重合比の異なる2種類以上のフッ化ビニリデン−ヘキサフロロプロピレン共重合体を混合して使用しても良い。
【0090】
また、これらの共重合性モノマーを2種類以上用いてフッ化ビニリデンと共重合させることもできる。例えば、フッ化ビニリデン+ヘキサフロロプロピレン+テトラフロロエチレン、フッ化ビニリデン+ヘキサフロロプロピレン+アクリル酸、フッ化ビニリデン+テトラフロロエチレン+エチレン、フッ化ビニリデン+テトラフロロエチレン+プロピレンなどの組み合わせで共重合させて得られる共重合体を使用することもできる。
【0091】
さらに、本発明においては高分子マトリックスとしてポリフッ化ビニリデン系高分子化合物に、ポリアクリル酸系高分子化合物、ポリアクリレート系高分子化合物、ポリメタクリル酸系高分子化合物、ポリメタクリレート系高分子化合物、ポリアクリロニトリル系高分子化合物およびポリエーテル系高分子化合物から選ばれる高分子化合物を1種類以上混合して使用することもできる。あるいはポリフッ化ビニリデン系高分子化合物に、上記した高分子化合物のモノマーを2種以上共重合させて得られる共重合体を1種類以上混合して使用することもできる。このときの単独重合体あるいは共重合体の配合割合は、ポリフッ化ビニリデン系高分子化合物100質量部に対して、通常200質量部以下とすることが好ましい。
【0092】
本発明において用いられるポリフッ化ビニリデン系高分子化合物の重量平均分子量は、通常10,000〜2,000,000であり、好ましくは100,000〜1,000,000の範囲のものが好適に使用することができる。
【0093】
可塑剤(成分(b))は、可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質に対する溶媒として作用する。かかる可塑剤としては、一般に電気化学セルや電池において電解質溶媒として使用され得るものであればいずれも使用することができ、具体的には液体系電解質において例示した各種溶媒を挙げることができる。特に、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルスルホキシド、ジメトキシエタン、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン、スルホラン、ジオキソラン、ジメチルホルムアミド、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、ジメチルアセトアミド、メチルピロリジノン、ジメチルスルホキシド、ジオキソラン、スルホラン、リン酸トリメチル、リン酸トリエチルが好ましい。また、液系電解質で用いた常温溶融塩類も用いることができる。溶媒はその1種を単独で使用しても良いし、また2種以上を混合して使用しても良い。
【0094】
可塑剤(成分(b))の使用量は特に制限はないが、通常、高分子固体電解質中に20質量%以上、好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上であり、かつ98質量%以下、好ましくは95質量%以下、さらに好ましくは90質量%以下の量で含有させることができる。
【0095】
次に、本発明において用いる成分(c)の可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質について説明する。
成分(c)は、前述のような可逆な電気化学的酸化還元反応を行うことができる化合物であって、通常レドックス性材料と称されるものである。
かかる化合物しては、特にその種類を制限するものではないが、たとえば、フェロセン、p−ベンゾキノン、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン、N,N,N’,N’−テトラメチル−p−フェニレンジアミン、テトラチアフルバレン、アントラセン、p−トルイルアミン等を用いることができる。また、LiI、NaI、KI、CsI、CaI2、4級イミダゾリウムのヨウ素塩、テトラアルキルアンモニウムのヨウ素塩、Br2とLiBr、NaBr、KBr、CsBr、CaBr2などの金属臭化物などが挙げられる。
【0096】
また、Br2とテトラアルキルアンモニウムブロマイド、ビピリジニウムブロマイド、臭素塩、フェロシアン酸―フェリシアン酸塩などの錯塩、ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール−アルキルジスルフィド、ヒドロキノン−キノン、ビオロゲンなどを用いることができる。レドックス材は、酸化体、還元体のどちらか一方のみを用いてもよいし、酸化体と還元体を適当なモル比で混合し、添加することもできる。
【0097】
また、特に成分(c)としては、ハロゲンイオン、SCN−から選ばれる対アニオン(X−)を有する塩があげられる。これらの塩の例としては、4級アンモニウム塩、ホスホニウム塩などが例示できる。4級アンモニウム塩としては、具体的には、(CH3)4N+X−、(C2H5)4N+X−、(n−C4H9)4N+X−、さらには、
【0098】
【化27】
【0099】
等が挙げられる。ホスホニウム塩としては、具体的には、(CH3)4P+X−、(C2H5)4P+X−、(C3H7)4P+X−、(C4H9)4P+X−等が挙げられる。
もちろん、これらの混合物も好適に用いることができる。
なお、これらの化合物の場合は、通常成分(b)と併用することが好ましい。
【0100】
また、成分(c)として、液体系電解質用に用いたレドックス性常温溶融塩類も用いることができる。レドックス性常温溶融塩はその1種を単独で使用することができ、また2種以上を混合しても使用することもできる。
【0101】
また、可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質(成分(c))の使用量についても特に制限はなく、通常、高分子固体電解質中に0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、かつ70質量%以下、好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下の量で含有させることができる。
成分(c)を成分(b)と併用する場合、成分(c)は、成分(b)に溶解し、かつ高分子固体電解質とした際にも析出等が起こらない混合比とすることが望ましく、好ましくは成分(c)/成分(b)が質量比で0.01〜0.5、さらに好ましくは0.03〜0.3の範囲である。
また、成分(a)は、[成分(a)/(成分(b)+成分(c)]の質量比が、0.05〜1の範囲が好ましく、さらに好ましくは0.1〜0.5の範囲であることが望ましい。
【0102】
高分子固体電解質における支持電解質(成分(d))の使用量については特に制限はなく、任意であるが、通常、高分子固体電解質中に0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、かつ70質量%以下、好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下の量で含有させることができる。
【0103】
高分子固体電解質には、更に他の成分を含有させることができる。他の成分としては、紫外線吸収剤、アミン化合物などを挙げることができる。用いることができる紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、ベンゾトリアゾール骨格を有する化合物、ベンゾフェノン骨格を有する化合物等の有機紫外線吸収剤が代表的な物として挙げられる。
ベンゾトリアゾール骨格を有する化合物としては、例えば、下記の一般式(38)で表される化合物が好適に挙げられる。
【0104】
【化28】
【0105】
一般式(38)において、R81は、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜10、好ましくは1〜6のアルキル基を示す。ハロゲン原子としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素を挙げることができる。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。R81の置換位置は、ベンゾトリアゾール骨格の4位または5位であるが、ハロゲン原子およびアルキル基は通常4位に位置する。R82は、水素原子または炭素数1〜10、好ましくは1〜6のアルキル基を示す。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。R83は、炭素数1〜10、好ましくは1〜3のアルキレン基またはアルキリデン基を示す。アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基等を挙げることができ、またアルキリデン基としては、例えば、エチリデン基、プロピリデン基等が挙げられる。
【0106】
一般式(38)で示される化合物の具体例としては、3−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−ベンゼンプロパン酸、3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−ベンゼンエタン酸、3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシベンゼンエタン酸、3−(5−メチル−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1−メチルエチル)−4−ヒドロキシベンゼンプロパン酸、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、3−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−ベンゼンプロパン酸オクチルエステル等が挙げられる。
【0107】
ベンゾフェノン骨格を有する化合物としては、例えば、下記の一般式(39)〜(41)で示される化合物が好適に挙げられる。
【0108】
【化29】
【0109】
上記一般式(39)〜(41)において、R92、R93、R95、R96、R98、及びR99は、互いに同一もしくは異なる基であって、ヒドロキシル基、炭素数1〜10、好ましくは1〜6のアルキル基またはアルコキシ基を示す。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、t−ブチル基、及びシクロヘキシル基を挙げることができる。またアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、i−プロポキシ基、及びブトキシ基を挙げることができる。
【0110】
R91、R94、及びR97は、炭素数1〜10、好ましくは1〜3のアルキレン基またはアルキリデン基を示す。アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、及びプロピレン基を挙げることができる。アルキリデン基としては、例えば、エチリデン基、及びプロピリデン基が挙げられる。
p1、p2、p3、q1、q2、及びq3は、それぞれ別個に0乃至3の整数を表す。
【0111】
上記一般式(39)〜(41)で表されるベンゾフェノン骨格を有する化合物の好ましい例としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−カルボン酸、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−カルボン酸、4−(2−ヒドロキシベンゾイル)−3−ヒドロキシベンゼンプロパン酸、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン等が挙げられる。
もちろん、これらを二種以上組み合わせて使用することができる。
【0112】
紫外線吸収剤の使用は任意であり、また使用する場合の使用量も特に制限されるものではないが、使用する場合は高分子固体電解質中に0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上であり、20質量%以下、好ましくは10質量%以下の範囲の量で含有させることが望ましい。
【0113】
高分子固体電解質に含有させることができるアミン化合物としては、特に限定されず、各種脂肪族アミン、芳香族アミンが用いられるが、例えば、ピリジン誘導体、ビピリジン誘導体、キノリン誘導体などが代表的な物として挙げられる。これらのアミン化合物を添加することで、開放電圧の向上が見込まれる。これらの化合物の具体例としては、4−t−ブチル−ピリジン、キノリン、イソキノリンなどが挙げられる。
【0114】
本発明において高分子固体電解質はイオン伝導性フィルムとして用いることができる。例えば、前記成分(a)および(c)、あるいはさらに所望により配合される任意成分からなる高分子固体電解質を、公知の方法によりフィルムに成形することによりイオン伝導性フィルムを得ることが出来る。この場合の成形方法としては特に限定されず、押出し成型、キャスト法によるフィルム状態で得る方法、スピンコート法、ディップコート法や、注入法、含浸法などを挙げることができる。
【0115】
押出し成型については常法により行うことができ、前記混合物を過熱溶融した後、フィルム成型することが行われる。
キャスト法については、前記混合物をさらに適当な希釈剤にて粘度調整を行い、キャスト法に用いられる通常のコータにて塗布し、乾燥することで成膜することができる。コータとしては、ドクタコータ、ブレードコータ、ロッドコータ、ナイフコータ、リバースロールコータ、グラビアコータ、スプレイコータ、カーテンコータを用いることができ、粘度および膜厚により使い分けることができる。
スピンコート法については、前記混合物をさらに適当な希釈剤にて粘度調整を行い、市販のスピンコーターにて塗布し、乾燥することで成膜することができる。
ディップコート法については、前記混合物をさらに適当な希釈剤にて粘度調整を行って混合物溶液を作製し、適当な基盤を混合物溶液より引き上げた後、乾燥することで成膜することができる。
【0116】
本発明の色素増感型太陽電池の最も好まして態様としては、本発明の導電性パターンを有する電極基板上に色素が吸着されたチタニア層を有し、電解質としてヨウ素レドックス対を含む電解液、および光触媒層を有する対向電極基板から構成されるものが挙げられる。
【発明の効果】
【0117】
本発明の導電性パターン付き電極基板を用いることにより、電力損失が低減でき、変換効率の良い光電変換素子を提供することが可能となり、太陽電池用の電極として好適である。
【実施例】
【0118】
以下に実施例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらになんら制限されるものではない。
【0119】
[実施例1]
表面抵抗値12Ω/sqの10cm角SnO2:Fガラス(ガラス基板上にSnO2:F膜を形成した透明導電性ガラス)上に白金をスパッタリング法で、膜厚が30nmとなるように成膜し、対向電極を作製した。
表面抵抗値12Ω/sqの10cm角SnO2:Fガラス(ガラス基板上にSnO2:F膜を形成した透明導電性ガラス)上にSOLARONIXS 社製のチタニアペーストTi−Nanoxide T/SPを図6に示すパターンを有するスクリーン印刷版を用いて、スクリーン印刷した。得られた透明導電性ガラスは500℃で30分焼成した。焼成後のチタニア膜厚を触針式膜厚計で計測し、12μmであることが分かった。また、その後に、図7に記載にパターンを用いてそれぞれ、導電性を有するペーストと絶縁性を有するペーストをスクリーン印刷法により形成した。なお、絶縁性を有するペーストを用いたパターンは導電性を有するペーストを用いたパターンより若干サイズを大きくし、図2に記載の形状となるようにした。次にチタニアを印刷していない導電性を有するペーストをスクリーン印刷して120℃で乾燥後、550℃で10分焼成し集電層を作製した。得られた集電層の膜厚は8μmで比抵抗を測定した結果、電流取り出し部分を原点として測定した幹部分の抵抗値は図8に示すとおりであり、単位長さ当たりの抵抗値(Ω/mm)は幹部先端に向かうに従い、それ以前の値と比較して同等以上となっていることを確認した。この集電層上に保護層用ペーストをスクリーン印刷して120℃で乾燥後、550℃で10分焼成し、この操作を2回繰り返して保護層を作製した。得られた集電層と保護層を合わせた膜厚は25μmであった。導電性パターンの幹部の抵抗値を電流取り出し部分から1mm間隔で測定した。その結果、図8に示す通り40mm付近から抵抗値が増加した。
【0120】
このようにして得られた電極を下記式で示されるルテニウム色素/エタノール溶液(3.0×10−4mol/L)に15時間浸し、色素層を形成した。得られた基板の周辺に光硬化性シール材を0.5mm幅で周囲にディスペンサーで配置した。その際に、シール材の一部に2mmのギャップを確保した。シール材にはあらかじめ、セルギャップを調整するために、直径50μmのビーズを添加した。添加量としては、上記シールの単位長さ当たりに、5個程度となるように適宜調整を行った。この基板に前記対向電極を合わせ、紫外線でシールを硬化させセルとした。前記ギャップを介して、このセルに0.3mol/Lのヨウ化リチウムと0.03mol/Lのヨウ素を含むメトキシプロピオニトリル溶液を真空注入させ、ギャップを光硬化性樹脂で封止した。なお、透明導電基板の導電層部分と対向電極にはリード線を接続した。
このようにして得た電極基板に疑似太陽光(AM1.5、1kW/m2)を照射し、電流電圧特性を測定したところ、良好な光電変換特性(変換効率4.0%)を得た。なお、導電性パターンの保護層での黒点欠陥の発生はみられなかった。
【0121】
【化30】
【0122】
[比較例1]
集電層上に保護層を配置しなかった以外は実施例1に記載と同じ方法で電極基板を作製した。このようにして得た電極基板に疑似太陽光(AM1.5、1kW/m2)を照射し、電流電圧特性を測定したところ、実施例1と同様に良好な光電変換特性(変換効率4.0%)を得たが、実施例1と異なり、80℃放置試験を100時間実施したところ、導電性パターン上で黒点欠陥の発生がみられた。また、そのときの光電変換効率は3.8%であった。この光電変換効率の低下は、真空注入時の基板変形による接触などで導電性パターンに欠陥が発生し、導電性パターン材料中のAgと電解質中のヨウ素が反応してヨウ素レドックス対の濃度が低下したことに起因している。
【0123】
[実施例2]
実施例1に記載のチタニアと図7のパターンにて保護層をポリイミドペーストで形成し、400℃硬化させたこと以外は実施例1と全く同様な方法で電極基板を作製した。
このようにして得た電極基板に疑似太陽光(AM1.5、1kW/m2)を照射し、電流電圧特性を測定したところ、良好な光電変換特性(変換効率4.0%)を得た。また、電極基板の80℃放置試験を実施し、600時間後の光電変換効率は4.0%を保持していた。
【0124】
[比較例2]
実施例1に記載のパターンを図9及び図10に記載のパターンに変更した以外は全く同様な方法で電極基板を作製した。ただし、チタニアパターン図9の面積および高さ、また導電層パターン図10の面積および高さは実施例1と同様である。導電性パターンの電流取り出し部分から測定した結果を図11に示すが、測定位置とは無関係に一定であることが分かる。
このようにして得た電極基板に疑似太陽光(AM1.5、1kW/m2)を照射し、電流電圧特性を測定したところ、実施例と比較して電力損失が大きいため、光電変換効率が(3.5%)であった。また、電極基板の80℃放置試験を実施したが、600時間後の光電変換効率は3.2%であった。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】導電性パターンを導電性基板に投影した形状の例である。
【図2】導電性パターンの断面形状の例である。
【図3】導電性パターンと保護層の断面形状の例である。
【図4】導電性パターンと半導体の配置を示す例である。
【図5】導電性パターンと半導体の配置の断面形状の例である。
【図6】実施例1で用いたチタニアパターンである。
【図7】実施例1で用いた集電層および保護層パターンである。
【図8】(a)は実施例1で用いた集電層パターンの抵抗測定座標であり、(b)は集電層パターンの抵抗分布である。
【図9】比較例2で用いたチタニアパターンである。
【図10】比較例2に用いた導電性パターンである。
【図11】(a)は比較例2で用いた集電層パターンの抵抗測定座標であり、(b)は集電層パターンの抵抗分布である。
【符号の説明】
【0126】
1 幹部
2 枝部
3 電流取り出し部
4 絶縁層
5 集電層
6 導電性基板
7 保護層
8 半導体
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性を有するパターン(以下「導電性パターン」という。)を含む電極基板およびそれを用いた太陽電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電気光学素子や光電気化学素子用電極などの機能性素子において、素子の形状が大きくなると素子の性能の低下を回避することは困難であった。太陽電池においては、光電変換された電流を端子から取り出すまでの距離が長くなるため、太陽電池の表面で均一に発生した電流を効率的に外部に取り出すことができず、出力が低減(電力損失)する。この電力損失を極力低減し、太陽光発電効率を向上させることが重要である。
透明基板上に金属配線層と透明導電層を有する電極基板に関しては、これまでいくつかの報告がなされているが、これらはいずれも電気抵抗の低減が目的であり、太陽電池で実用上重要となる総合的な電力損失を低減することについては報告されていない(例えば、特許文献1〜3参照。)。
【特許文献1】特開2004−164950号公報
【特許文献1】特開2004−164970号公報
【特許文献1】特開2004−165015号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明はこのような実状に鑑み成されたものであり、その目的は、太陽電池のサイズを大きくした際に必然的に発生する電力損失を低減することを可能とする導電性パターンを有する電極基板を提供することである。また、その電極を用いた太陽電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは上記のような従来の問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、太陽電池の電極基板上に特定の導電性パターンを形成することで、電力損失を低減できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、導電性基板の導電膜よりも低抵抗な導電性を有するパターンが配置されていることを特徴とする電極基板に関する。
また本発明は、前記電極基板を用いた太陽電池に関する。
【0005】
以下、本発明について説明する。
本発明における導電性パターン付きの電極基板は、透過性のある基板(透明基板)とその上に形成された導電性層(導電膜)と特定の導電性パターンから構成される。
透明基板としては、特に限定されず、材質、厚さ、寸法、形状等は目的に応じて適宜選択することができる。例えば、無色あるいは有色ガラス、網入りガラス、ガラスブロック等が用いられる。また、無色あるいは有色の透明性を有する樹脂でも良い。これらの樹脂としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、トリ酢酸セルロース、ポリメチルペンテンなどが挙げられる。なお、本発明における透明とは、10〜100%の透過率を有することであり、また、本発明における基板とは、常温において平滑な面を有するものであり、その面は平面あるいは曲面であってもよく、また応力によって変形するものであってもよい。
【0006】
透明基板表面には、導電性を付与するために、例えば、金、銀、クロム、銅、タングステンなどの金属薄膜、金属酸化物からなる導電膜を配する。金属酸化物としては、例えば、錫や亜鉛などの金属酸化物に、他の金属元素を微量ドープしたIndium Tin Oxide(ITO(In2O3:Sn))、Fluorine doped Tin Oxide(FTO(SnO2:F))、Aluminum doped Zinc Oxide(AZO(ZnO:Al))、Indium doped Zinc Oxide(IZO(ZnO:I))、Germanium doped Zinc Oxide(GZO(ZnO:Ge))などが好適なものとして用いられる。
導電膜の膜厚は、通常、10nm〜5000nm、好ましくは50nm〜3000nmである。また、表面抵抗(抵抗率)は、通常、0.5〜500Ω/sq、好ましくは2〜50Ω/sqである。
これらの導電膜は、真空蒸着法、イオンプレーティング法、CVD法、電子ビーム真空蒸着法、スパッタリング法等の公知の方法で基板上に作製することができる。
【0007】
前記の透明導電性基板上に形成される導電性パターンは、集電層と絶縁層から成る。
集電層の材料としては、銀、金、銅などの金属やFTOなどの前記金属酸化物を主成分とし、その他の成分(以下バインダーという。)としてPbO、B2O3、ZnO、Al2O3などの金属酸化物や、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などの有機物が添加されていても良い。図1に導電性パターンを導電性基板へ投影した形状を示す。また、図2に導電性パターンの断面形状を例示した。
導電性パターンの形状の幅は、通常0.01mmから5mmの範囲であり、好ましくは0.1mmから1mmである。また、その高さは、通常1μmから100μmであり、好ましくは、5μmから50μmである。また、導電性パターンの形状は、図1(a)および(b)に記載の通り、幹部分あるいは幹部分・枝部分から形成されており、幹部および枝部の単位長さ当たりの電気抵抗は、電流取り出し部分から離れるに従い、等しいか増加する構成になっている。電気抵抗を増加させる方法としては、様々な方法が考えられるが、導電性パターン材料を同一とし、形状因子、特にパターンの基板上への射影形状、により抵抗値を変化させる方法が好ましい。例えば、幹部の先端に向かうにつれ幹幅が小さくなるなどである。電流取り出し部分とは幹部分の基となる部分であり、形状は長方形、円形など、目的が達成できれば特に限定されない。また、導電性パターンを形成する材料と同一である必要は必ずしもない。なお、幹部と枝部の抵抗を評価する際の基準は幹部の場合は電流取り出し部分端であり、枝部はそれが形成される基となる幹側先端部とする。導電性パターンの電極基板全体に対して占める面積は、通常3%から50%であり、好ましくは6%から30%である。
【0008】
絶縁層としては、PbO、B2O3、ZnO、Al2O3、SiO、BaOなどの金属酸化物に代表されるガラス成分や、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などの有機物が用いられる。絶縁層の形状は、集電層を覆う形状であれば特に限定されない(図2参照)。また、絶縁層のガラス成分にPbOを含有する場合は、その含有量として通常20重量%以上80重量%以下、好ましくは35重量%以上70重量%以下、さらに好ましくは40重量%から50重量%の間である。
また、絶縁層のガラス成分にPb化合物を含有しない場合は、B203、SiOなどのガラス成分の添加量を多くする。B203の添加量としては、通常5重量%から35重量%であるが、好ましくは8重量%から15重量%である。
【0009】
導電性パターンの絶縁層上に形成する保護層は有機物を主成分とする材料からなり、例えば、ポリイミド、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンなどを用いることができる。また、保護層の形状は、絶縁層と対向基板との間の配置する形態であればよく、絶縁層の側面に配置されていてもいなくても良い(図3参照)。
保護層の厚さは、用いる材料に依存するが、通常は1μm〜100μmであり、好ましくは5μm〜50μmである。また、保護層は複数回成型することで積層してもよく、その際に保護層に用いる材料は全て同一でも良いが、異なる材料を用いても良い。
【0010】
本発明の太陽電池の基本的な構成は、前述の電極基板、半導体層、電解質、および導電性基板上に光触媒層を有する対向基板を配してなり、そして基板間の周縁部をシールした構成からなる。
光触媒層としては白金あるいはカーボンなどが用いられる。
なお、基板間の間隔は、通常0.1μm以上、好ましくは1μm以上であり、上限としては通常1mm、好ましくは0.5mm以下であることが望ましい。
【0011】
本発明における太陽電池において、半導体は導電性パターンの間隙あるいは上部のいずれか少なくとも一方に配置されている(図4および5参照)。
用いられる半導体としては、例えば、遷移金属を含む酸化物を挙げることができる。具体的には、Nb2O5、TiO2、WO3、V2O5、Ta2O5、MoO3、RhO2、NiO、FeO2、Cr2O3、IrO2、SrTiO3、MX3系化合物(M=Co、Rh、Ir;X=P、As、Sb)、RM4X12(M=Fe、Ru、Os;R=La、Ce、Pr、Nd、Eu)、NaCo2O4などを例示することができる。この中でも、特にチタニアが好ましく、単結晶でも多結晶でも良い。結晶系としては、アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型などが主に用いられるが、好ましくはアナターゼ型である。
【0012】
また、周期律表の第2B族から第7B族元素を含む合金あるいは酸化物が挙げられる。具体的には、ZnO、SiO2、Si、CdS、Fe1−xMxSi2(x=0〜1、M=Co、Mn、Cr)、GaInAsP、GaAs、InP、GaSb、GaInAs、Ge、SiGe、CdTe、CuInGaSSe、CuInGaSe2、(ZnO)mIn2O3(m=4〜7、9、11)、Ba1−xSrxPbO3(x=0〜1)、Ni1−xLiO(x=0〜1)、Cd3TeO6、Cd3−xAxTeO6―δ(x=0〜1、δ=0〜0.5)、Zn1−xAlxO(x=0〜1)、Bi2Te3などを例示することができる。
【0013】
さらには、ポリフェニレンビニレン(PPV)、ポリチオフェンなどの共役系有機物、あるいは、共役系物質が非共役鎖で結合した有機物質あるいは、電子供与性を有する分子や電子受容性を有する分子、さらには、電子供与性を有する分子構造を含むポリマーユニットと電子受容性を有する分子構造を含むポリマーユニットとから少なくとも構成されるブロック共重合体が挙げられる。
【0014】
前記の電子供与性を有する分子構造とは、イオン化ポテンシャルが小さく、他の分子に電子を供給して自らは正のイオンになりやすい性質を示す構造をいい、また、電子受容性を有する分子構造とは、電子親和力が大きく、他の分子から電子を受け取って自らは負のイオン状態になりやすい性質を示す構造をいう。
電子供与性を有する分子構造としては、当該分子構造部分において電子供与性を有しておれば特に限定されないが、ポリまたはオリゴアリーレンビニレン構造、ポリまたはオリゴアニリン連結構造、ポリまたはオリゴチオフェン連結構造、ポリまたはオリゴピロール連結構造、ポリまたはオリゴアミン連結構造、フタロシアニン構造、ナフタロシアニン構造等が挙げられる。
【0015】
また、電子受容性を有する分子構造としては、電子受容性を有しておれば特に限定されないが、シアノ基等の電子吸引性基を含有したポリまたはオリゴアリレーンビニレン構造、シアノ基等の電子吸引性基を含有したポリまたはオリゴチオフェン構造、シアノ基等の電子吸引性基を含有したポリまたはオリゴピロール構造、ポリまたはオリゴフェニルキノリン、さらにはビオロゲン構造、ペリレン等の多環式芳香族構造、フラーレン構造等が挙げられる。
【0016】
具体的な電子受容性分子構造の例としては下記式(1)〜(4)に示すものを、また電子供与性分子構造の例としては下記式(5)〜(11)に示すものを挙げることができる。
【0017】
【化1】
【化2】
【0018】
一般式(1)〜(11)中、R1およびR4〜R8は各々同一でも異なっていてもよく、各々個別に、直鎖または分岐した炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基もしくはアルコキシル基、または炭素数6〜12のアリール基、アラルキル基もしくはアリールオキシ基を示す。
R2およびR3は各々同一でも異なっていてもよく、各々個別に、直鎖または分岐した炭素数1〜10のアルキル基もしくはアルケニル基、または炭素数6〜12のアリール基を示す。
なお、同一構造式中に、複数のR1〜R8が存在する場合、それらは同一でも異なってもよい。
【0019】
前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などが挙げられ、アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、ブチレニル基、ペンチレニル基、ヘキセニル基などが挙げられ、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、i−プロポキシ基、ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペントキシ基、イソペントキシ基、ネオペンチルオキシ基、t−ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基等が挙げられ、アリール基としては、フェニル基、キシリル基、トリル基、クメニル基、ナフチル基等が、アラルキル基としては、ベンジル基、トリメチル基等が、アリールオキシ基としては、フェノキシ基、トリルオキシ基などが挙げられる。
X−およびY−は各々同一でも異なっていてもよく、各々個別に、ハロゲンアニオン、ClO4−、BF4−、PF6−、CH3COO−、CH3(C6H4)SO3−から選ばれる対アニオンを示す。
また、式中m、nは、各々1〜1000、好ましくは2〜500の整数を表すものである。
【0020】
これらの構造を有する共重合体としては、これらの構造を主鎖に有する共重合体、これらの構造を側鎖に有する共重合体のいずれでもよいが、好ましくは、これらの構造を主鎖に有する共重合体であることが望ましい。
また、これらの構造としては、電子受容性を有するかまたは電子供与性を有するかのいずれかの性質を具備することが必須であるが、さらに、これらの構造がキャリア移動能を具備する構造であることが望ましい。これらの構造がキャリア移動能を有するか否かについては常法により容易に判別することができる。例えば、殆どがこれらの構造からなるホモポリマーを製造し、タイム・オブ・フライト法によりキャリア移動度を測定することにより判別することができる。通常、キャリア移動度が10−7〜103cm2/V・s、好ましくは10−6〜10cm2/V・s程度のものが望ましい。
【0021】
かかる共重合体から形成される薄膜は、自己組織化により、電子供与性相と電子受容性相からなるミクロ相分離構造を形成する。ここでいうミクロ相分離構造とは、電子供与性相あるいは電子受容性相からなる各相のドメインサイズが、数nm〜数百nm程度の相分離構造を有するものを言う。ドメインサイズは、電子顕微鏡や、走査型プローブ顕微鏡などにより測定することができる。この共重合体から形成される薄膜は、ミクロ相分離構造のドメインサイズがエキシトン拡散長の10倍以内であることが好ましい。ここでいうエキシトン拡散長とは、光吸収により生成したエキシトンの量が1/eになる間に、エキシトンが拡散する距離のことである。その値は、ブロック共重合体を構成する各ユニットからなるポリマーもしくはオリゴマーのフォトルミネッセント消光を、その膜厚の関数として測定することで得ることができる。測定されたエキシトン拡散長は、電子供与性相と電子受容性相で異なる値を取るが、一般には数10nm程度の値を取る。
【0022】
本発明において用いるブロック共重合体として、より具体的には以下の一般式のようなものが挙げられる。
【0023】
【化3】
【0024】
一般式(12)〜(20)中、A、A’は電子受容性を有する分子構造を含有する分子団、D、D’は電子供与性を有する分子構造を含有する分子団を表す。また、式(12)〜(20)におけるn、m、l、pとしては、各々の場合において、nは通常2〜10000、好ましくは3〜5000、さらに好ましくは4〜2000の範囲の整数であり、mは通常2〜10000、好ましくは3〜5000、さらに好ましくは4〜2000の範囲の整数である。lは通常2〜10000、好ましくは3〜5000、さらに好ましくは4〜2000の範囲の整数である。pは通常2〜10000、好ましくは3〜5000、さらに好ましくは4〜2000の範囲の整数である。また、Rはポリマー残基を表す。これら一般式で表されるブロック共重合体の具体例としては特に限定されないが、以下のようなものが挙げられる。
【0025】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【0026】
一般式(21)〜(37)中、R10およびR11は各々同一でも異なっていてもよく、各々個別に、水素または炭素数1〜5のアルキル基を示し、R9およびR12は炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数6〜12のアリーレン基、または酸素原子もしくは窒素原子を含む炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数6〜12のアリーレン基を示す。アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、イソプロピレン基などが挙げられ、アリーレン基としては、例えば、フェニレン基、トリーレン等が挙げられる。
【0027】
また、式(21)〜(37)におけるn、m、lとしては、各々の場合において、nは通常2〜10000、好ましくは3〜5000、さらに好ましくは4〜2000の範囲の整数であり、mは通常2〜10000、好ましくは3〜5000、さらに好ましくは4〜2000の範囲の整数である。lは通常2〜10000、好ましくは3〜5000、さらに好ましくは4〜2000の範囲の整数である。pは通常2〜10000、好ましくは3〜5000、さらに好ましくは4〜2000の範囲の整数である。
【0028】
また、これらの共重合体の分子末端は、その製法により異なるが、通常、水素、炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基、アルコキシル基または炭素数6〜12のアリール基、アラルキル基、アリールオキシ基などの炭化水素である。
これらの共重合体は、公知の方法により容易に得ることが出来る。それらの製造方法としては特に限定されなく、例えば、電子受容性を有する構造または電子供与性を有する構造を有するジハロゲン化合物の強塩基による縮合重合反応や、電子受容性有する構造または電子供与性を有する構造を有し、かつ各種重合性基を有するモノマー化合物を、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合する方法が挙げられる。
【0029】
電極基板上への半導体層の形成方法としては特に制限されなく、公知の方法を採用することができる。例えば、上記半導体のナノ粒子分散液、ゾル溶液等を、公知の方法により基板上に塗布することで得ることが出来る。この場合の塗布方法としては特に限定されずキャスト法による薄膜状態で得る方法、スピンコート法、ディップコート法、バーコート法を挙げることができる。
また、バインダーを使用する場合、一般的には、前記半導体材料およびバインダーを混合してペースト状とし基板表面にスクリーン印刷、平板印刷、グラビア印刷、凹版印刷、フレキソ印刷、凸版印刷、特殊印刷する方法、ドクターブレード法、基板上にあらかじめ溝を形成しておき、該溝に半導体材料およびバインダーを混合したペーストを充填した後、へら等で余剰のペーストを除去する方法等により製造することができる。ペーストを基板表面に配置した後、加熱等によって導電性や密着性を向上させても良い。加熱には、オーブンやマッフル炉、電気炉の他、赤外線加熱等を利用しても良い。焼成温度は、用いるペーストおよび基板材料によって異なるが、好ましくは50℃〜700℃、より好ましくは100℃〜600℃、さらに好ましくは200℃〜500℃である。また、必要に応じて窒素雰囲気下で焼成を行っても良い。
半導体層の厚みは任意であるが0.5μm以上、50μm以下、好ましくは1μm以上20μm以下である。
【0030】
半導体としては、ナノチューブ構造を有するものを用いることができる。ナノチューブ構造の作製方法としては、固相法、液相法、気相法の何れかにより、直接合成する方法で、任意の形状の鋳型表面に半導体材料を蒸着やスパッタリングで成膜したり、析出あるいは合成する方法が挙げられる。鋳型表面にナノチューブ材料を形成する場合は、鋳型としては界面活性剤のような溶液中でミセルを形成する分子であれば良い。例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、尿素および水を含む溶液などを挙げることができる。また、鋳型上に形成される材料としては、金属アルコキシドなど金属元素を含有する分子であれば良く、TiCl4、Ti(SO4)2やTi(OiPr)3などを挙げることができる。
【0031】
また、別の方法として、液相微粒子成長法、電気泳動法、電着法、加圧法などの方法により作製することもできる。さらには、陽極酸化ポーラス材料を用いることもできる。例えば、高規則性ナノポーラスアルミナを鋳型として用い、その細孔内に、高規則性の半導体層を作製することもできる。また、高規則性ナノポーラスアルミナを鋳型として用い、その細孔内に、別の鋳型材料を充填した後に、最初に作製した鋳型を除去し、新たな鋳型を作製し、これに、目的とする半導体材料を用いて半導体層を作製することもできる。これら半導体材料を形成した後に、鋳型を除去し、ナノチューブとする方法などが挙げられる。
【0032】
半導体層の配置様式は特に制限されることはないが、基板の全面、基板の一部、例えば、網目状、ストライプ状などに配置することができる。半導体層の厚さとしては、通常0.1μm〜1000μm、好ましくは1μm〜500μm、さらに好ましくは1μm〜100μmである。また、鋳型を用いて半導体ナノチューブを作製する場合の鋳型の形状は、目的に応じて適宜選択されるが、チューブ断面の外形は円形、楕円径、多角形が好ましく挙げられる。また、長さは通常0.01μm〜2000μm、好ましくは0.1μm〜1500μm、さらに好ましくは1μm〜1000μmである。ナノチューブの断面の最も離れた部分の距離は通常1nm〜500nm、好ましくは10nm〜300nmである。
【0033】
半導体層は、半導体材料のみから構成されていてもよいが、本願発明の目的を損なわない限り、他の任意成分を含有しても良い。
例えば、半導体粒子同士の結合状態を改善させるためのバインダー等も好ましく使用される。該バインダーとしては硬化後に電解質に対して不活性で電解しないものであれば特に制限されず、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ポリテトラフロロエチレン、ポリスチロール、カルボキシメチルセルロース、ポリフッ化ビニリデン又はこれらの誘導体あるいは混合物などが用いられる。これらのバインダーを使用する場合の混合比は、半導体材料/バインダー(質量比)で通常10/90〜90/10、好ましくは20/80〜80/20の範囲が望ましい。あるいは、目的とする形状の半導体層を前記印刷法、ドクターブレード法などで成膜するための工程を可能にするペーストを得るために、バインダーあるいは増粘効果を賦与するためにポリエチレングリコールなどの第三成分を添加することも可能である。さらに、半導体層を形成するために、熱処理や圧力処理をする際に除去される物質が好ましい。
また、他の任意成分としては、電解質に腐食されない特性を有する金属微粒子や ITO、FTO、AZOなどの導電性酸化物半導体などを挙げることができる。
【0034】
半導体層の光吸収効率を向上すること等を目的として、種々の色素を半導体層に吸着や含有させることが出来る。
本発明において用いられる色素としては、半導体層の光吸収効率を向上させる色素であれば、特に制限されるものではなく、通常、各種の金属錯体色素や有機色素の一種または二種以上を用いることができる。また、半導体層への吸着性を付与するために、色素の分子中にカルボキシル基、ヒドロキシル基、スルホニル基、ホスホニル基、カルボキシルアルキル基、ヒドロキシアルキル基、スルホニルアルキル基、ホスホニルアルキル基などの官能基を有するものが好適に用いられる。
金属錯体色素としては、ルテニウム、オスミウム、鉄、コバルト、亜鉛の錯体や金属フタロシアニン、クロロフィル等を用いることができる。
本発明において用いられる金属錯体色素としては、以下のようなものが例示される。
【0035】
(色素1)
【化8】
【0036】
ここでX1は、一価のアニオンを示すが、各X1は独立でも、架橋されていていても良い。例えば、次のようなものが例示される。
【0037】
【化9】
【0038】
(色素2)
【化10】
【0039】
ここでXは、一価のアニオンを示す。例えば次のようなものが例示される。
【0040】
【化11】
【0041】
Yは一価アニオンであって、ハロゲンイオン、SCN−、ClO4−、BF4−、CF3SO3−、(CF3SO2)2N−、(C2F5SO2)2N−、PF6−、AsF6−、CH3COO−、CH3(C6H4)SO3−、および(C2F5SO2)3C−等を挙げることができる。
【0042】
(色素3)
【化12】
【0043】
ここでZは、非共有電子対を有する原子団であって、2つのZは独立でも、架橋されていていても良い。例えば、次のようなものが例示される。
【0044】
【化13】
【0045】
Yは一価アニオンであって、ハロゲンイオン、SCN−、ClO4−、BF4−、CF3SO3−、(CF3SO2)2N−、(C2F5SO2)2N−、PF6−、AsF6−、CH3COO−、CH3(C6H4)SO3−、および(C2F5SO2)3C−等を挙げることができる。
【0046】
(色素4)
【化14】
【0047】
また、有機色素としては、シアニン系色素、ヘミシアニン系色素、メロシアニン系色素、キサンテン系色素、トリフェニルメタン系色素、金属フリーフタロシアニン系色素を用いることができる。
本発明において用いる有機色素としては、以下のようなものが例示される。
【0048】
【化15】
【0049】
色素を半導体層に吸着させる方法としては、溶媒に色素を溶解させた溶液を、半導体層上にスプレーコートやスピンコートなどにより塗布した後、乾燥する方法により形成することができる。この場合、適当な温度に基板を加熱しても良い。または半導体層を溶液に浸漬して吸着させる方法を用いることも出来る。浸漬する時間は色素が十分に吸着すれば特に制限されることはないが、好ましくは1〜30時間、特に好ましくは5〜20時間である。また、必要に応じて浸漬する際に溶媒や基板を加熱しても良い。好ましくは溶液にする場合の色素の濃度としては、1〜1000mM/L、好ましくは10〜500mM/L程度である。
【0050】
用いる溶媒としては、色素を溶解しかつ半導体層を溶解しなければ特に制限されるとはなく、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノールなどのアルコール、アセトニトリル、プロピオニトリル、メトキシプロピオニトリル、グルタロニトリル、などのニトリル系溶媒、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、ペンタン、ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、2−ブタノンなどのケトン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ニトロメタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホアミド、ジメトキシエタン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、スルホラン、ジメトキシエタン、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、ジメチルアセトアミド、メチルピロリジノン、ジメチルスルホキシド、ジオキソラン、スルホラン、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸エチルジメチル、リン酸トリブチル、リン酸トリペンチル、リン酸トリへキシル、リン酸トリヘプチル、リン酸トリオクチル、リン酸トリノニル、リン酸トリデシル、リン酸トリス(トリフフロロメチル)、リン酸トリス(ペンタフロロエチル)、リン酸トリフェニルポリエチレングリコール、及びポリエチレングリコール等が使用可能である。
【0051】
前記電解質としては、特に限定されなく、液体系でも固体系でもいずれでもよく、可逆な電気化学的酸化還元特性を示すものが望ましい。
電解質としては、イオン伝導度が、通常室温で1×10−7S/cm以上、好ましくは1×10−6S/cm以上、さらに好ましくは1×10−5S/cm以上であるものが望ましい。なお、イオン伝導度は、複素インピーダンス法などの一般的な手法で求めることができる。
また、本発明における電解質は、酸化体の拡散係数が1×10−9cm2/s以上、好ましくは1×10−8cm2/s以上、さらに好ましくは1×10−7cm2/s以上を示すものが望ましい。なお、拡散係数は、イオン伝導性を示す一指標であり、定電位電流特性測定、サイクリックボルタモグラム測定などの一般的な手法で求めることができる。
電解質層の厚さは、特に限定されないが、1μm以上であることが好ましく、より好ましくは10μm以上であり、また3mm以下が好ましく、より好ましくは1mm以下である。
【0052】
液体系の電解質としては特に限定されるものではなく、通常、溶媒、可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質(溶媒に可溶なもの)およびさらに必要に応じて支持電解質を基本的成分として構成される。
【0053】
溶媒としては、一般に電気化学セルや電池に用いられる溶媒であればいずれも使用することができる。具体的には、無水酢酸、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、プロピレンカーボネート、ニトロメタン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホアミド、エチレンカーボネート、ジメトキシエタン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、スルホラン、ジメトキシエタン、プロピオンニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、ジメチルアセトアミド、メチルピロリジノン、ジメチルスルホキシド、ジオキソラン、スルホラン、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸エチルジメチル、リン酸トリブチル、リン酸トリペンチル、リン酸トリへキシル、リン酸トリヘプチル、リン酸トリオクチル、リン酸トリノニル、リン酸トリデシル、リン酸トリス(トリフフロロメチル)、リン酸トリス(ペンタフロロエチル)、リン酸トリフェニルポリエチレングリコール、及びポリエチレングリコール等が使用可能である。特に、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルスルホキシド、ジメトキシエタン、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン、スルホラン、ジオキソラン、ジメチルホルムアミド、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、メトキシプロピオニトリル、ジメチルアセトアミド、メチルピロリジノン、ジメチルスルホキシド、ジオキソラン、スルホラン、リン酸トリメチル、リン酸トリエチルが好ましい。また、常温溶融塩類も用いることができる。ここで、常温溶融塩とは、常温において溶融している(即ち液状の)イオン対からなる塩であり、通常、融点が20℃以下であり、20℃を越える温度で液状であるイオン対からなる塩をいう。
常温溶融塩の例としては、例えば、以下のものが挙げられる。
【0054】
【化16】
【0055】
(ここで、Rは炭素数2〜20、好ましくは2〜10のアルキル基を示し、X−はハロゲンイオンまたはSCN−を示す。)
【0056】
【化17】
【0057】
(ここで、R1およびR2は各々炭素数1〜10のアルキル基(好ましくはメチル基またはエチル基)、または炭素数7〜20、好ましくは7〜13のアラルキル基(好ましくはベンジル基)を示しており、互いに同一でも異なっても良い。また、X−はハロゲンイオンまたはSCN−を示す。)
【0058】
【化18】
【0059】
(ここで、R1、R2、R3、R4は、各々炭素数1以上、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基(フェニル基など)、またはメトキシメチル基などを示し、互いに同一でも異なってもよい。また、X−はハロゲンイオンまたはSCN−を示す。)
溶媒はその1種を単独で使用しても良いし、また2種以上を混合して使用しても良い。
【0060】
また、可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質は、通常、いわゆるレドックス材と称されるものであるが、特にその種類を制限するものではない。かかる物質としては、例えば、フェロセン、p−ベンゾキノン、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン、N,N,N’,N’−テトラメチル−p−フェニレンジアミン、テトラチアフルバレン、アントラセン、p−トルイルアミン等を挙げることができる。また、LiI、NaI、KI、CsI、CaI2、4級イミダゾリウムのヨウ素塩、テトラアルキルアンモニウムのヨウ素塩、Br2とLiBr、NaBr、KBr、CsBr、CaBr2などの金属臭化物などが挙げられ、また、Br2とテトラアルキルアンモニウムブロマイド、ビピリジニウムブロマイド、臭素塩、フェロシアン酸―フェリシアン酸塩などの錯塩、ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール−アルキルジスルフィド、ヒドロキノン−キノン、ビオロゲン色素などを挙げることができる。
【0061】
レドックス材は、酸化体、還元体のどちらか一方のみを用いてもよいし、酸化体と還元体を適当なモル比で混合し、添加することもできる。また、電気化学的応答性を示すように、これら酸化還元対を添加するなどしても良い。そのような性質を示す材料としては、ハロゲンイオン、SCN−、ClO4−、BF4−、CF3SO3−、(CF3SO2)2N−、(C2F5SO2)2N−、PF6−、AsF6−、CH3COO−、CH3(C6H4)SO3−、および(C2F5SO2)3C−から選ばれる対アニオンを有するフェロセニウムなどのメタロセニウム塩などのほか、ヨウ素、臭素、塩素などのハロゲン類を用いることもできる。
【0062】
また、他の可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質としては、ハロゲンイオンおよびSCN−から選ばれる対アニオン(X−)を有する塩が挙げられる。これらの塩の例としては、4級アンモニウム塩、ホスホニウム塩などが例示できる。4級アンモニウム塩としては、具体的には、(CH3)4N+X−、(C2H5)4N+X−、(n−C4H9)4N+X−、さらには、
【0063】
【化19】
【0064】
等が挙げられる。ホスホニウム塩としては、具体的には、(CH3)4P+X−、(C2H5)4P+X−、(C3H7)4P+X−、(C4H9)4P+X−等が挙げられる。
もちろん、これらの混合物も好適に用いることができる。
【0065】
また、可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質として、レドックス性常温溶融塩類も用いることができる。ここで、レドックス性常温溶融塩とは、常温において溶融している(即ち液状の)イオン対からなる塩であり、通常、融点が20℃以下であり、20℃を越える温度で液状であるイオン対からなる塩を示すものであって、かつ可逆的な電気化学的酸化還元反応を行うことができるものである。
レドックス性常温溶融塩はその1種を単独で使用することができ、また2種以上を混合しても使用することもできる。
レドックス性常温溶融塩の例としては、例えば、以下のものが挙げられる。
【0066】
【化20】
【0067】
(ここで、Rは炭素数2〜20、好ましくは2〜10のアルキル基を示す。X−は対アニオンを示し、具体的にはハロゲンイオンまたはSCN−などを示す。)
【0068】
【化21】
【0069】
(ここで、R1およびR2は各々炭素数1〜10のアルキル基(好ましくはメチル基またはエチル基)、または炭素数7〜20、好ましくは7〜13のアラルキル基(好ましくはベンジル基)を示しており、互いに同一でも異なっても良い。また、X−は対アニオンを示し、具体的にはハロゲンイオンまたはSCN−などを示す。)
【0070】
【化22】
【0071】
(ここで、R1、R2、R3、R4は、各々炭素数1以上、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基(フェニル基など)、またはメトキシメチル基などを示し、互いに同一でも異なってもよい。また、X−は対アニオンを示し、具体的にはハロゲンイオンまたはSCN−など示す。)
【0072】
可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質の使用量は、溶媒に溶解する限りにおいては、特に限定されるものではないが、通常溶媒に対して、1質量%〜50質量%、好ましくは3質量%〜30質量%であることが望ましい。
【0073】
また、必要に応じて加えられる支持電解質としては、電気化学の分野又は電池の分野で通常使用される塩類、酸類、アルカリ類、常温溶融塩類が使用できる。
塩類としては、特に制限はなく、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩;4級アンモニウム塩;環状4級アンモニウム塩;4級ホスホニウム塩などが使用でき、特にLi塩が好ましい。
塩類の具体例としては、ClO4−、BF4−、CF3SO3−、(CF3SO2)2N−、(C2F5SO2)2N−、PF6−、AsF6−、CH3COO−、CH3(C6H4)SO3−、および(C2F5SO2)3C−から選ばれる対アニオンを有するLi塩、Na塩、あるいはK塩が挙げられる。
【0074】
また、ClO4−、BF4−、CF3SO3−、(CF3SO2)2N−、(C2F5SO2)2N−、PF6−、AsF6−、CH3COO−、CH3(C6H4)SO3−、および(C2F5SO2)3C−から選ばれる対アニオンを有する4級アンモニウム塩、具体的には、(CH3)4N+BF4−、(C2H5)4N+BF4−、(n−C4H9)4N+BF4−、(C2H5)4N+Br−、(C2H5)4N+ClO4−、(n−C4H9)4N+ClO4−、CH3(C2H5)3N+BF4−、(CH3)2(C2H5)2N+BF4−、(CH3)4N+SO3CF3−、(C2H5)4N+SO3CF3−、(n−C4H9)4N+SO3CF3−、さらには、
【0075】
【化23】
【0076】
等が挙げられる。また、ClO4−、BF4−、CF3SO3−、(CF3SO2)2N−、(C2F5SO2)2N−、PF6−、AsF6−、CH3COO−、CH3(C6H4)SO3−、および(C2F5SO2)3C−から選ばれる対アニオンを有するホスホニウム塩、具体的には、(CH3)4P+BF4−、(C2H5)4P+BF4−、(C3H7)4P+BF4−、(C4H9)4P+BF4−等が挙げられる。
また、これらの混合物も好適に用いることができる。
【0077】
酸類も特に限定されず、無機酸、有機酸などが使用でき、具体的には硫酸、塩酸、リン酸類、スルホン酸類、カルボン酸類などが使用できる。
アルカリ類も特に限定されず、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどがいずれも使用可能である。
【0078】
常温溶融塩類も特に限定されること無く使用することができる。本発明における常温溶融塩とは、常温において溶融している(即ち液状の)イオン対からなる塩であり、通常、融点が20℃以下であり、20℃を越える温度で液状であるイオン対からなる塩をいう。
常温溶融塩はその1種を単独で使用することができ、また2種以上を混合しても使用することもできる。
常温溶融塩の例としては、例えば、以下のものが挙げられる。
【0079】
【化24】
【0080】
(ここで、Rは炭素数2〜20、好ましくは2〜10のアルキル基を示す。X−はClO4−、BF4−、(CF3SO2)2N−、(C2F5SO2)2N−、PF6−、AsF6−、CH3COO−、CH3(C6H4)SO3−、および(C2F5SO2)3C−から選ばれる対アニオンを表す。)
【0081】
【化25】
【0082】
(ここで、R1およびR2は各々炭素数1〜10のアルキル基(好ましくはメチル基またはエチル基)、または炭素数7〜20、好ましくは7〜13のアラルキル基(好ましくはベンジル基)を示しており、互いに同一でも異なっても良い。また、X−はClO4−、BF4−、(CF3SO2)2N−、(C2F5SO2)2N−、PF6−、AsF6−、CH3COO−、CH3(C6H4)SO3−、および(C2F5SO2)3C−から選ばれる対アニオンを表す。)
【0083】
【化26】
【0084】
(ここで、R1、R2、R3、R4は、各々炭素数1以上、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基(フェニル基など)、またはメトキシメチル基などを示し、互いに同一でも異なってもよい。また、X−はClO4−、BF4−、(CF3SO2)2N−、(C2F5SO2)2N−、PF6−、AsF6−、CH3COO−、CH3(C6H4)SO3−、および(C2F5SO2)3C−から選ばれる対アニオンを表す。)
【0085】
支持電解質の使用量については特に制限はなく任意であるが、通常、電解質中に0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、かつ70質量%以下、好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下の量で含有させることができる。
【0086】
また、本発明において用いる電解質としては、前記のような液体系でもよいが、全固体化が可能であるとの観点から、高分子固体電解質が特に好ましい。
高分子固体電解質としては、特に好ましいものとして、(a)高分子マトリックス(成分(a))に、少なくとも(c)可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質(成分(c))を含有し、所望により(b)可塑剤(成分(b))をさらに含有するものが挙げられる。また、これらに加え、所望によりさらに前記した(d)支持電解質や(e)常温溶融塩などの他の任意成分を含有させてもよい。高分子固体電解質としては、前記成分(c)または、成分(b)と成分(c)、あるいはさらなる任意成分が、高分子マトリックス中に保持されることによって固体状態またはゲル状態が形成される。
【0087】
本発明において高分子マトリックスとして使用できる材料としては、高分子マトリックス単体で、あるいは可塑剤の添加や、支持電解質の添加、または可塑剤と支持電解質の添加によって固体状態またはゲル状態が形成されれば特に制限は無く、一般的に用いられるいわゆる高分子化合物を用いることができる。
上記高分子マトリックスとしての特性を示す高分子化合物としては、ヘキサフロロプロピレン、テトラフロロエチレン、トリフロロエチレン、エチレン、プロピレン、アクリロニトリル、塩化ビニリデン、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、スチレン、フッ化ビニリデンなどのモノマーを重合または共重合して得られる高分子化合物を挙げることができる。またこれらの高分子化合物は単独で用いても良く、また混合して用いても良い。これらの中でも、特にポリフッ化ビニリデン系高分子化合物が好ましい。
【0088】
ポリフッ化ビニリデン系高分子化合物としては、フッ化ビニリデンの単独重合体、あるいはフッ化ビニリデンと他の重合性モノマー、好適にはラジカル重合性モノマーとの共重合体を挙げることができる。フッ化ビニリデンと共重合させる他の重合性モノマー(以下、共重合性モノマーという。)としては、具体的には、ヘキサフロロプロピレン、テトラフロロエチレン、トリフロロエチレン、エチレン、プロピレン、アクリロニトリル、塩化ビニリデン、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、スチレンなどを例示することができる。これらの中でも、特にカルボキシル基を有するモノマーとの共重合体が好ましい。
【0089】
これらの共重合性モノマーは、モノマー全量に対して0.1〜50mol%、好ましくは1〜25mol%の範囲で使用することができる。
共重合性モノマーとしては、好適にはヘキサフロロプロピレンが用いられる。本発明においては、特にフッ化ビニリデンにヘキサフロロプロピレンを1〜25mol%共重合させたフッ化ビニリデン−ヘキサフロロプロピレン共重合体を高分子マトリックスとするイオン伝導性フィルムとして好ましく用いることができる。また共重合比の異なる2種類以上のフッ化ビニリデン−ヘキサフロロプロピレン共重合体を混合して使用しても良い。
【0090】
また、これらの共重合性モノマーを2種類以上用いてフッ化ビニリデンと共重合させることもできる。例えば、フッ化ビニリデン+ヘキサフロロプロピレン+テトラフロロエチレン、フッ化ビニリデン+ヘキサフロロプロピレン+アクリル酸、フッ化ビニリデン+テトラフロロエチレン+エチレン、フッ化ビニリデン+テトラフロロエチレン+プロピレンなどの組み合わせで共重合させて得られる共重合体を使用することもできる。
【0091】
さらに、本発明においては高分子マトリックスとしてポリフッ化ビニリデン系高分子化合物に、ポリアクリル酸系高分子化合物、ポリアクリレート系高分子化合物、ポリメタクリル酸系高分子化合物、ポリメタクリレート系高分子化合物、ポリアクリロニトリル系高分子化合物およびポリエーテル系高分子化合物から選ばれる高分子化合物を1種類以上混合して使用することもできる。あるいはポリフッ化ビニリデン系高分子化合物に、上記した高分子化合物のモノマーを2種以上共重合させて得られる共重合体を1種類以上混合して使用することもできる。このときの単独重合体あるいは共重合体の配合割合は、ポリフッ化ビニリデン系高分子化合物100質量部に対して、通常200質量部以下とすることが好ましい。
【0092】
本発明において用いられるポリフッ化ビニリデン系高分子化合物の重量平均分子量は、通常10,000〜2,000,000であり、好ましくは100,000〜1,000,000の範囲のものが好適に使用することができる。
【0093】
可塑剤(成分(b))は、可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質に対する溶媒として作用する。かかる可塑剤としては、一般に電気化学セルや電池において電解質溶媒として使用され得るものであればいずれも使用することができ、具体的には液体系電解質において例示した各種溶媒を挙げることができる。特に、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルスルホキシド、ジメトキシエタン、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン、スルホラン、ジオキソラン、ジメチルホルムアミド、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、ジメチルアセトアミド、メチルピロリジノン、ジメチルスルホキシド、ジオキソラン、スルホラン、リン酸トリメチル、リン酸トリエチルが好ましい。また、液系電解質で用いた常温溶融塩類も用いることができる。溶媒はその1種を単独で使用しても良いし、また2種以上を混合して使用しても良い。
【0094】
可塑剤(成分(b))の使用量は特に制限はないが、通常、高分子固体電解質中に20質量%以上、好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上であり、かつ98質量%以下、好ましくは95質量%以下、さらに好ましくは90質量%以下の量で含有させることができる。
【0095】
次に、本発明において用いる成分(c)の可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質について説明する。
成分(c)は、前述のような可逆な電気化学的酸化還元反応を行うことができる化合物であって、通常レドックス性材料と称されるものである。
かかる化合物しては、特にその種類を制限するものではないが、たとえば、フェロセン、p−ベンゾキノン、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン、N,N,N’,N’−テトラメチル−p−フェニレンジアミン、テトラチアフルバレン、アントラセン、p−トルイルアミン等を用いることができる。また、LiI、NaI、KI、CsI、CaI2、4級イミダゾリウムのヨウ素塩、テトラアルキルアンモニウムのヨウ素塩、Br2とLiBr、NaBr、KBr、CsBr、CaBr2などの金属臭化物などが挙げられる。
【0096】
また、Br2とテトラアルキルアンモニウムブロマイド、ビピリジニウムブロマイド、臭素塩、フェロシアン酸―フェリシアン酸塩などの錯塩、ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール−アルキルジスルフィド、ヒドロキノン−キノン、ビオロゲンなどを用いることができる。レドックス材は、酸化体、還元体のどちらか一方のみを用いてもよいし、酸化体と還元体を適当なモル比で混合し、添加することもできる。
【0097】
また、特に成分(c)としては、ハロゲンイオン、SCN−から選ばれる対アニオン(X−)を有する塩があげられる。これらの塩の例としては、4級アンモニウム塩、ホスホニウム塩などが例示できる。4級アンモニウム塩としては、具体的には、(CH3)4N+X−、(C2H5)4N+X−、(n−C4H9)4N+X−、さらには、
【0098】
【化27】
【0099】
等が挙げられる。ホスホニウム塩としては、具体的には、(CH3)4P+X−、(C2H5)4P+X−、(C3H7)4P+X−、(C4H9)4P+X−等が挙げられる。
もちろん、これらの混合物も好適に用いることができる。
なお、これらの化合物の場合は、通常成分(b)と併用することが好ましい。
【0100】
また、成分(c)として、液体系電解質用に用いたレドックス性常温溶融塩類も用いることができる。レドックス性常温溶融塩はその1種を単独で使用することができ、また2種以上を混合しても使用することもできる。
【0101】
また、可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質(成分(c))の使用量についても特に制限はなく、通常、高分子固体電解質中に0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、かつ70質量%以下、好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下の量で含有させることができる。
成分(c)を成分(b)と併用する場合、成分(c)は、成分(b)に溶解し、かつ高分子固体電解質とした際にも析出等が起こらない混合比とすることが望ましく、好ましくは成分(c)/成分(b)が質量比で0.01〜0.5、さらに好ましくは0.03〜0.3の範囲である。
また、成分(a)は、[成分(a)/(成分(b)+成分(c)]の質量比が、0.05〜1の範囲が好ましく、さらに好ましくは0.1〜0.5の範囲であることが望ましい。
【0102】
高分子固体電解質における支持電解質(成分(d))の使用量については特に制限はなく、任意であるが、通常、高分子固体電解質中に0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、かつ70質量%以下、好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下の量で含有させることができる。
【0103】
高分子固体電解質には、更に他の成分を含有させることができる。他の成分としては、紫外線吸収剤、アミン化合物などを挙げることができる。用いることができる紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、ベンゾトリアゾール骨格を有する化合物、ベンゾフェノン骨格を有する化合物等の有機紫外線吸収剤が代表的な物として挙げられる。
ベンゾトリアゾール骨格を有する化合物としては、例えば、下記の一般式(38)で表される化合物が好適に挙げられる。
【0104】
【化28】
【0105】
一般式(38)において、R81は、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜10、好ましくは1〜6のアルキル基を示す。ハロゲン原子としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素を挙げることができる。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。R81の置換位置は、ベンゾトリアゾール骨格の4位または5位であるが、ハロゲン原子およびアルキル基は通常4位に位置する。R82は、水素原子または炭素数1〜10、好ましくは1〜6のアルキル基を示す。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。R83は、炭素数1〜10、好ましくは1〜3のアルキレン基またはアルキリデン基を示す。アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基等を挙げることができ、またアルキリデン基としては、例えば、エチリデン基、プロピリデン基等が挙げられる。
【0106】
一般式(38)で示される化合物の具体例としては、3−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−ベンゼンプロパン酸、3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−ベンゼンエタン酸、3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシベンゼンエタン酸、3−(5−メチル−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1−メチルエチル)−4−ヒドロキシベンゼンプロパン酸、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、3−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−ベンゼンプロパン酸オクチルエステル等が挙げられる。
【0107】
ベンゾフェノン骨格を有する化合物としては、例えば、下記の一般式(39)〜(41)で示される化合物が好適に挙げられる。
【0108】
【化29】
【0109】
上記一般式(39)〜(41)において、R92、R93、R95、R96、R98、及びR99は、互いに同一もしくは異なる基であって、ヒドロキシル基、炭素数1〜10、好ましくは1〜6のアルキル基またはアルコキシ基を示す。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、t−ブチル基、及びシクロヘキシル基を挙げることができる。またアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、i−プロポキシ基、及びブトキシ基を挙げることができる。
【0110】
R91、R94、及びR97は、炭素数1〜10、好ましくは1〜3のアルキレン基またはアルキリデン基を示す。アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、及びプロピレン基を挙げることができる。アルキリデン基としては、例えば、エチリデン基、及びプロピリデン基が挙げられる。
p1、p2、p3、q1、q2、及びq3は、それぞれ別個に0乃至3の整数を表す。
【0111】
上記一般式(39)〜(41)で表されるベンゾフェノン骨格を有する化合物の好ましい例としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−カルボン酸、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−カルボン酸、4−(2−ヒドロキシベンゾイル)−3−ヒドロキシベンゼンプロパン酸、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン等が挙げられる。
もちろん、これらを二種以上組み合わせて使用することができる。
【0112】
紫外線吸収剤の使用は任意であり、また使用する場合の使用量も特に制限されるものではないが、使用する場合は高分子固体電解質中に0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上であり、20質量%以下、好ましくは10質量%以下の範囲の量で含有させることが望ましい。
【0113】
高分子固体電解質に含有させることができるアミン化合物としては、特に限定されず、各種脂肪族アミン、芳香族アミンが用いられるが、例えば、ピリジン誘導体、ビピリジン誘導体、キノリン誘導体などが代表的な物として挙げられる。これらのアミン化合物を添加することで、開放電圧の向上が見込まれる。これらの化合物の具体例としては、4−t−ブチル−ピリジン、キノリン、イソキノリンなどが挙げられる。
【0114】
本発明において高分子固体電解質はイオン伝導性フィルムとして用いることができる。例えば、前記成分(a)および(c)、あるいはさらに所望により配合される任意成分からなる高分子固体電解質を、公知の方法によりフィルムに成形することによりイオン伝導性フィルムを得ることが出来る。この場合の成形方法としては特に限定されず、押出し成型、キャスト法によるフィルム状態で得る方法、スピンコート法、ディップコート法や、注入法、含浸法などを挙げることができる。
【0115】
押出し成型については常法により行うことができ、前記混合物を過熱溶融した後、フィルム成型することが行われる。
キャスト法については、前記混合物をさらに適当な希釈剤にて粘度調整を行い、キャスト法に用いられる通常のコータにて塗布し、乾燥することで成膜することができる。コータとしては、ドクタコータ、ブレードコータ、ロッドコータ、ナイフコータ、リバースロールコータ、グラビアコータ、スプレイコータ、カーテンコータを用いることができ、粘度および膜厚により使い分けることができる。
スピンコート法については、前記混合物をさらに適当な希釈剤にて粘度調整を行い、市販のスピンコーターにて塗布し、乾燥することで成膜することができる。
ディップコート法については、前記混合物をさらに適当な希釈剤にて粘度調整を行って混合物溶液を作製し、適当な基盤を混合物溶液より引き上げた後、乾燥することで成膜することができる。
【0116】
本発明の色素増感型太陽電池の最も好まして態様としては、本発明の導電性パターンを有する電極基板上に色素が吸着されたチタニア層を有し、電解質としてヨウ素レドックス対を含む電解液、および光触媒層を有する対向電極基板から構成されるものが挙げられる。
【発明の効果】
【0117】
本発明の導電性パターン付き電極基板を用いることにより、電力損失が低減でき、変換効率の良い光電変換素子を提供することが可能となり、太陽電池用の電極として好適である。
【実施例】
【0118】
以下に実施例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらになんら制限されるものではない。
【0119】
[実施例1]
表面抵抗値12Ω/sqの10cm角SnO2:Fガラス(ガラス基板上にSnO2:F膜を形成した透明導電性ガラス)上に白金をスパッタリング法で、膜厚が30nmとなるように成膜し、対向電極を作製した。
表面抵抗値12Ω/sqの10cm角SnO2:Fガラス(ガラス基板上にSnO2:F膜を形成した透明導電性ガラス)上にSOLARONIXS 社製のチタニアペーストTi−Nanoxide T/SPを図6に示すパターンを有するスクリーン印刷版を用いて、スクリーン印刷した。得られた透明導電性ガラスは500℃で30分焼成した。焼成後のチタニア膜厚を触針式膜厚計で計測し、12μmであることが分かった。また、その後に、図7に記載にパターンを用いてそれぞれ、導電性を有するペーストと絶縁性を有するペーストをスクリーン印刷法により形成した。なお、絶縁性を有するペーストを用いたパターンは導電性を有するペーストを用いたパターンより若干サイズを大きくし、図2に記載の形状となるようにした。次にチタニアを印刷していない導電性を有するペーストをスクリーン印刷して120℃で乾燥後、550℃で10分焼成し集電層を作製した。得られた集電層の膜厚は8μmで比抵抗を測定した結果、電流取り出し部分を原点として測定した幹部分の抵抗値は図8に示すとおりであり、単位長さ当たりの抵抗値(Ω/mm)は幹部先端に向かうに従い、それ以前の値と比較して同等以上となっていることを確認した。この集電層上に保護層用ペーストをスクリーン印刷して120℃で乾燥後、550℃で10分焼成し、この操作を2回繰り返して保護層を作製した。得られた集電層と保護層を合わせた膜厚は25μmであった。導電性パターンの幹部の抵抗値を電流取り出し部分から1mm間隔で測定した。その結果、図8に示す通り40mm付近から抵抗値が増加した。
【0120】
このようにして得られた電極を下記式で示されるルテニウム色素/エタノール溶液(3.0×10−4mol/L)に15時間浸し、色素層を形成した。得られた基板の周辺に光硬化性シール材を0.5mm幅で周囲にディスペンサーで配置した。その際に、シール材の一部に2mmのギャップを確保した。シール材にはあらかじめ、セルギャップを調整するために、直径50μmのビーズを添加した。添加量としては、上記シールの単位長さ当たりに、5個程度となるように適宜調整を行った。この基板に前記対向電極を合わせ、紫外線でシールを硬化させセルとした。前記ギャップを介して、このセルに0.3mol/Lのヨウ化リチウムと0.03mol/Lのヨウ素を含むメトキシプロピオニトリル溶液を真空注入させ、ギャップを光硬化性樹脂で封止した。なお、透明導電基板の導電層部分と対向電極にはリード線を接続した。
このようにして得た電極基板に疑似太陽光(AM1.5、1kW/m2)を照射し、電流電圧特性を測定したところ、良好な光電変換特性(変換効率4.0%)を得た。なお、導電性パターンの保護層での黒点欠陥の発生はみられなかった。
【0121】
【化30】
【0122】
[比較例1]
集電層上に保護層を配置しなかった以外は実施例1に記載と同じ方法で電極基板を作製した。このようにして得た電極基板に疑似太陽光(AM1.5、1kW/m2)を照射し、電流電圧特性を測定したところ、実施例1と同様に良好な光電変換特性(変換効率4.0%)を得たが、実施例1と異なり、80℃放置試験を100時間実施したところ、導電性パターン上で黒点欠陥の発生がみられた。また、そのときの光電変換効率は3.8%であった。この光電変換効率の低下は、真空注入時の基板変形による接触などで導電性パターンに欠陥が発生し、導電性パターン材料中のAgと電解質中のヨウ素が反応してヨウ素レドックス対の濃度が低下したことに起因している。
【0123】
[実施例2]
実施例1に記載のチタニアと図7のパターンにて保護層をポリイミドペーストで形成し、400℃硬化させたこと以外は実施例1と全く同様な方法で電極基板を作製した。
このようにして得た電極基板に疑似太陽光(AM1.5、1kW/m2)を照射し、電流電圧特性を測定したところ、良好な光電変換特性(変換効率4.0%)を得た。また、電極基板の80℃放置試験を実施し、600時間後の光電変換効率は4.0%を保持していた。
【0124】
[比較例2]
実施例1に記載のパターンを図9及び図10に記載のパターンに変更した以外は全く同様な方法で電極基板を作製した。ただし、チタニアパターン図9の面積および高さ、また導電層パターン図10の面積および高さは実施例1と同様である。導電性パターンの電流取り出し部分から測定した結果を図11に示すが、測定位置とは無関係に一定であることが分かる。
このようにして得た電極基板に疑似太陽光(AM1.5、1kW/m2)を照射し、電流電圧特性を測定したところ、実施例と比較して電力損失が大きいため、光電変換効率が(3.5%)であった。また、電極基板の80℃放置試験を実施したが、600時間後の光電変換効率は3.2%であった。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】導電性パターンを導電性基板に投影した形状の例である。
【図2】導電性パターンの断面形状の例である。
【図3】導電性パターンと保護層の断面形状の例である。
【図4】導電性パターンと半導体の配置を示す例である。
【図5】導電性パターンと半導体の配置の断面形状の例である。
【図6】実施例1で用いたチタニアパターンである。
【図7】実施例1で用いた集電層および保護層パターンである。
【図8】(a)は実施例1で用いた集電層パターンの抵抗測定座標であり、(b)は集電層パターンの抵抗分布である。
【図9】比較例2で用いたチタニアパターンである。
【図10】比較例2に用いた導電性パターンである。
【図11】(a)は比較例2で用いた集電層パターンの抵抗測定座標であり、(b)は集電層パターンの抵抗分布である。
【符号の説明】
【0126】
1 幹部
2 枝部
3 電流取り出し部
4 絶縁層
5 集電層
6 導電性基板
7 保護層
8 半導体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性基板の導電膜よりも低抵抗な導電性を有するパターンが配置されていることを特徴とする電極基板。
【請求項2】
導電性を有するパターンは幹部分あるいは幹部分・枝部分から形成されており、電流取り出し部分から離れるに従い、幹部および枝部の単位長さ当たりの電気抵抗が等しいか増加する構成になっていることを特徴とする請求項1に記載の電極基板。
【請求項3】
電極基板上の電気を流すことのできる導電層とその表面に絶縁層が配置されている導電性を有するパターンを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の電極基板。
【請求項4】
絶縁層上に、有機物を主成分とする保護層を設けたことを特徴とする請求項3に記載の電極基板。
【請求項5】
導電層および絶縁層の少なくとも一方のバインダー主成分がガラス成分であることを特徴とする請求項3に記載の電極基板。
【請求項6】
導電層および絶縁層の少なくとも一方のバインダー主成分がガラス成分であり、絶縁層のガラス成分中には鉛化合物を含まないことを特徴とする請求項3に記載の電極基板。
【請求項7】
電極基板上の導電性有するパターンの間隙及び/又は導電性パターンの上部に半導体層が配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の電極基板。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかの項に記載の電極基板を用いた太陽電池。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれかの項に記載の電極基板上に色素を吸着したチタニア、ヨウ素レドックス対を含む電解液、および光触媒層を有する対向基板で構成される色素増感型太陽電池であることを特徴とする請求項8に記載の太陽電池。
【請求項1】
導電性基板の導電膜よりも低抵抗な導電性を有するパターンが配置されていることを特徴とする電極基板。
【請求項2】
導電性を有するパターンは幹部分あるいは幹部分・枝部分から形成されており、電流取り出し部分から離れるに従い、幹部および枝部の単位長さ当たりの電気抵抗が等しいか増加する構成になっていることを特徴とする請求項1に記載の電極基板。
【請求項3】
電極基板上の電気を流すことのできる導電層とその表面に絶縁層が配置されている導電性を有するパターンを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の電極基板。
【請求項4】
絶縁層上に、有機物を主成分とする保護層を設けたことを特徴とする請求項3に記載の電極基板。
【請求項5】
導電層および絶縁層の少なくとも一方のバインダー主成分がガラス成分であることを特徴とする請求項3に記載の電極基板。
【請求項6】
導電層および絶縁層の少なくとも一方のバインダー主成分がガラス成分であり、絶縁層のガラス成分中には鉛化合物を含まないことを特徴とする請求項3に記載の電極基板。
【請求項7】
電極基板上の導電性有するパターンの間隙及び/又は導電性パターンの上部に半導体層が配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の電極基板。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかの項に記載の電極基板を用いた太陽電池。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれかの項に記載の電極基板上に色素を吸着したチタニア、ヨウ素レドックス対を含む電解液、および光触媒層を有する対向基板で構成される色素増感型太陽電池であることを特徴とする請求項8に記載の太陽電池。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−107892(P2006−107892A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−292000(P2004−292000)
【出願日】平成16年10月4日(2004.10.4)
【出願人】(000004444)新日本石油株式会社 (1,898)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月4日(2004.10.4)
【出願人】(000004444)新日本石油株式会社 (1,898)
【Fターム(参考)】
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