説明

導電性ペイント組成物およびこれを適用した電磁波遮蔽用導電膜

【課題】各種電子機器の内部素子から発生する電磁波による電磁波妨害(EMI)および無線周波妨害(RFI)問題を効果的に解決し且つ導電膜の耐久性を大幅向上させることが可能な導電性ペイント組成物およびこれを適用した電磁波遮蔽用導電膜の提供。
【解決手段】水分散ポリウレタンディスパーション、金属粉末、溶媒およびレオロジーコントロール剤を含む導電性ペイント組成物において、前記金属粉末が、平均粒度(D50)2〜20μmの銀コート銅粉末でありあるいは前記銀コート銅粉末と平均粒度(D50)2〜10μmの銀粉末との混合物であり、前記水分散ポリウレタンディスパージョンが、少なくとも2種以上の水分散ポリウレタンディスパージョンの混合ディスパージョンである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁波遮蔽用導電性ペイント組成物、これを適用した電磁波遮蔽用導電膜および前記導電膜の含まれた電磁波遮蔽用基材に係り、より詳しくは、導電性材料として金属粉末と水分散ポリウレタンディスパージョンを含んでおり、導電特性、粘度特性、素子付着性、耐摩耗性および耐久性に優れた導電性ペイント組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、移動通信端末機、ノートブックPC、事務機器、医療機器といった各種電子機器の内部素子から発生する電磁波は、頭痛、視力低下、白血病、脳腫瘍、循環系異常、生殖機能低下、VDP症候群誘発などの各種疾病に影響を及ぼすと報告されており、電磁波の人体に対する有害性の論難が続いている。また、電子製品の軽量化の趨勢に伴って素子の集積度が増加するにつれて、各構成素子から発生する電磁雑音(electromagnetic noise)が周辺素子の誤作動を起こして機器障害の原因ともなる。
【0003】
したがって、最近は、コンピュータ、無線電話機、自動車、医療機器、マルチメディアプレーヤーなどの家庭用、事務用、産業用電子製品から発生する電磁波に対する遮蔽規格の強化と共に、EMI(Electromagnetic Interference)およびRFI(Radio Frequency Interference)の放出に対する規制も強化されているため、各種電子機器および部品の電磁波遮蔽対策が重要な課題として台頭している。
【0004】
電磁波を遮断する一般的な遮蔽方法としては、メッキ、真空蒸着、スプレーコーティング法などが知られている。メッキによる電磁波遮蔽方法は、昔から使用されてきたが、製造コストが高く、生産工程が複雑であり、環境汚染を誘発するという問題点があって、これに対する補完が要求されている。
【0005】
一方、真空蒸着による電磁波遮蔽方法は、高いコストがかかり、長期的な信頼性が問題になって極めて制限された場合にのみ使用されている。これに対し、金属粉末を用いたスプレーコーティングによる電磁波遮蔽技術は、適用が容易であり、環境問題を解決することができるため、広く使用されている趨勢である。
【0006】
スプレーコーティング法は、粘着性樹脂と伝導性金属の混合物を含むコーティング液を基材上にスプレーコーティングする方式であるが、このスプレーコーティングによって得られる導電性コーティング膜は、優れた導電特性、素子付着性、耐磨耗性および環境変化による初期物性の変化があってはならない。特に、電磁機器の内部にコートされる導電膜は、電磁機器の流通および使用過程で経る様々な気候変化にも拘わらず、初期物性が変わってはならない。気候の変化によって、コートされた導電膜の導電特性が悪くなりあるいは素子付着性が悪くなる場合には、電磁機器の機能障害を誘発するおそれがあるため、導電膜の耐久性は必ず要求される物性である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、銀コート銅粉末を微粒化して導電性ペイントに適用することにより、より稠密な導電膜を形成して優れた耐久性を有する導電性ペイント組成物を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、電磁波遮蔽性能および耐久性に優れるため、電磁機器にコートされた後、流通および使用過程で発生しうる気候変化にも拘わらず初期の物性を保つ電磁波
遮蔽用導電膜を提供することにある。
【0009】
本発明の別の目的は、前記導電膜が含まれて優れた電磁波遮断効果を示す電磁波遮蔽用基材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、水分散ポリウレタンディスパーション、金属粉末、溶媒およびレオロジーコントロール剤を含む導電性ペイント組成物において、前記金属粉末が、平均粒度(D50)2〜20μmの銀コート銅粉末であり、あるいは前記銀コート銅粉末と平均粒度(D50)2〜10μmの銀粉末との混合物であり、前記水分散ポリウレタンディスパージョンが、少なくとも2種の水分散ポリウレタンディスパージョンの混合ディスパージョンであることを特徴とする、導電性ペイント組成物を提供する。
【0011】
また、本発明の他の観点によれば、本発明の導電性ペイント組成物によって製造された電磁波遮蔽用導電膜を提供する。
また、本発明の別の観点によれば、本発明の導電膜が含まれた電磁波遮蔽用基材を提供する。
【発明の効果】
【0012】
上述した本発明の導電性ペイント組成物は、導電膜の電気特性と素子付着力に優れ、耐久性評価においても初期の物性が変わらないことにより、電磁波遮蔽用導電膜に製造する場合、数MHz〜数GHz帯域の電磁波を遮断することができ、特に移動通信端末機、ノートブックPC、車両用ナビゲーション、事務機器、医療機器などの内部素子から発生する電磁波による電磁波妨害(EMI)および無線周波妨害(RFI)問題を効果的に解決することができるという著しい効果を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明の好適な実施例について詳細に説明する。
本発明に係る導電性ペイント組成物は、水分散ポリウレタンディスパージョン、金属粉末、溶媒およびレオロジーコントロール剤を含むことを特徴とする。
【0014】
本発明の導電性ペイント組成物において、各成分の組成比は、水分散ポリウレタンディスパージョン1〜60wt%、金属粉末10〜60wt%、溶媒10〜60wt%、およびレオロジーコントロール剤5〜20wt%であることが好ましい。
【0015】
次に、本発明の導電性ペイント組成物の各成分について詳細に説明する。
本発明の導電性ペイント組成物において、金属粉末は、微粒化銀のコートされた一定粒度の銅粉末を単独で使用し、あるいは前記銀コート銅粉末を銀粉末と混合して使用することを特徴とする。
【0016】
従来の携帯電話のように、大きさが小さくて回路が集積されているので電磁波の放出が容易な電磁機器の電磁波遮蔽用導電性ペイントには主に銀粉末を適用した。ところが、前記銀粉末は、優れた伝導度を有するが、他の材料に比べてコストが高くて全体的な工程費用をアップさせるという問題点があった。これに対し、銅粉末は、コストは低いが、導電膜の耐久性を低下させるため、実際適用するには困難であるという問題点があった。
【0017】
したがって、従来の銀コート銅粉末を金属粉末として用いて、かかる問題点を解決しようとしたが、平均粒度(D50)30〜50μmのフレーク状粉末を使用することにより、これを用いた導電性ペイント組成物で導電膜を製造する場合、コートされた導電膜の表
面が粗くなり、耐久性が低下するという問題点が発生した。
【0018】
そこで、本発明では、かかる問題点を一挙に解消するために、金属粉末として最適の平均粒度(D50)範囲である2〜20μmの銀コート銅粉末を単独で使用し、あるいはこの銀コート銅粉末を平均粒度2〜10μmの銀粉末と共に使用することを特徴とする。より好ましくは、平均粒度8〜20μmの銀コート銅粉末を単独で使用し、あるいはこの銀コート銅粉末を平均粒度4〜10μmの銀粉末と混合して使用する。
【0019】
この際、前記銀コート銅粉末として平均粒度2μm未満のものを使用すると、金属粉末の急激なコストアップのため、銅粉末の使用による経済的な効果を得られない傾向があり、平均粒度20μm超過のものを使用すると、上述したようにコートされた導電膜の表面が粗くなり、耐久性が低下するおそれがある。
【0020】
本発明で使用可能な前記銀コート銅粉末の具体的な例としては、米フェロ社AgCu−400、AgCu−450、AgCu−550などを挙げることができ、本発明で使用可能な前記銀粉末の具体的な例としては、米フェロ社のSF−70A、SF−9ED、SF−9とHRP社のSF−162などを挙げることができるが、これらに限定されるのではない。
【0021】
本発明の金属粉末として前記一定粒度の銀コート銅粉末と銀粉末を混合して使用する場合には、その混合割合が銀コート銅粉末:銀粉末=99:1〜30:70(w/w)の範囲であることが好ましい。全体金属粉末中の銀コート銅粉末の割合が30重量%未満の場合には、前記銀コート銅粉末を混合することにより得ようとする経済的な効果を達成できないことがある。
【0022】
また、本発明の導電性ペイント組成物において、前記金属粉末は、C4〜C22の脂肪酸
で表面処理されたものを使用することができる。このように脂肪酸で表面処理された金属粉末を使用すると、金属粉末の酸化を防止し且つバインダ樹脂との親和力を高めることができるという利点がある。この際、前記脂肪酸としては、オレイン酸(oleic acid)、ステアリン酸(stearic acid)などを使用することができるが、これらに限定されるのではない。
【0023】
前記金属粉末の使用量は、本発明の導電性ペイント組成物全体に対し10〜60wt%の範囲であることが好ましい。金属粉末の使用量が10wt%未満の場合には、導電性が不良であるという問題点が発生するおそれがあり、金属粉末の使用量が60wt%超過の場合には、製造コストがアップするという問題点が発生するおそれがある。
【0024】
本発明の導電性ペイント組成物に使用される他の成分である水分散ポリウレタンディスパージョンとしては、少なくとも2種以上のポリウレタンディスパージョン混合物が使用できる。
【0025】
好ましくは、芳香族構造を有するポリエステル系列のポリオールとイソシアネートを反応させて重合したポリウレタンディスパージョン(A)と、脂肪族構造を有するポリエステル系列のポリオールとイソシアネートを反応させて重合したポリウレタンディスパージョン(B)をそれぞれ少なくとも1種以上混合して使用することができる。
【0026】
この際、前記(A)と(B)の混合割合は、70:30〜20:80(w/w)の範囲であることが好ましく、前記ポリウレタンディスパージョンの固形分含量は1〜50wt%であることが好ましい。このように構造の異なる2種以上のポリウレタンディスパージョンを混合して使用すると、1種のポリウレタンディスパージョンを単独で使用する場合
より接着力および耐塩水性の面で向上した効果を持つことができる。
【0027】
前記(A)のポリウレタンディスパージョンとして市販されている製品には、PS−3、PS−6(Ortec社)およびSANCURE1591(Noveon社)などがあり、前記(B)のポリウレタンディスパージョンとして市販されている製品には、SANCURE12954、SANCURE2715(Noveon社)およびNeorez−R−9679(Avecia社)などがあるが、これらに限定されるのではない。
【0028】
前記ポリウレタンディスパージョンの使用量は、本発明の導電性ペイント組成物全体に対し1〜60wt%の範囲であることが好ましいが、これは、その含量が1wt%未満であれば素子付着性および耐摩耗性が不良であるおそれがあり、その含量が60wt%超過であれば抵抗が上昇するおそれがあるためである。
【0029】
本発明の導電性ペイント組成物に使用される別の成分である溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルアセテート、メチルピロリドン、アセトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブよりなる群から選択される少なくとも1種以上が使用できる。
【0030】
前記溶媒の使用量は、本発明の導電性ペイント組成物全体に対し10〜60wt%であることが好ましい。
本発明の導電性ペイント組成物に使用される別の成分であるレオロジーコントロール剤としては、特に限定されるのではないが、アクリルポリマーが使用できる。前記レオロジーコントロール剤として市販されている製品には、具体的に例えばCarbopolのEZ−2、C676およびRhenox社のRheolate5000などがあるが、必ずしもこれらに限定されるのではない。
【0031】
前記レオロジーコントロール剤は、好ましくはペースト化したものを使用することができ、このようなペースト化したレオロジーコントロール剤を使用すると、直接投与の際に発生しうるレオロジーコントロール剤粉末の凝集を防ぐことができる。前記レオロジーコントロール剤のペースト化方法は、当業界で常用される方法を使用することができる。
【0032】
前記レオロジーコントロール剤は、本発明の導電性ペイント組成物全体に対し5〜20wt%、好ましくは8〜15wt%を使用する。前記レオロジーコントロール剤の含量が5wt%未満であれば、メタル粒子が沈降する現象が発生する傾向があり、前記レオロジーコントロール剤の含量が20wt%超過であれば、抵抗が上昇する傾向があるという問題点がある。
【0033】
一方、本発明の導電性ペイント組成物は、その物性を害しない範囲内で選択的に必要に応じてレベリング剤や分散剤などのその他の添加剤をさらに0.1〜10wt%含むこと
もできる。
【0034】
このように製造された本発明に係る導電性ペイント組成物は、携帯電話、PDA、ノートブックPC、車両用ナビゲーション、GPS装備などのプラスチックハウジング(ポリカーボネートやポリカーボネートアロイ、アクリロブタジエンスチレンなど)にコートして電磁波遮蔽目的で使用できる。
【0035】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。ところが、下記の実施例は本発明の好適な具現例を説明するためのもので、本発明の保護範囲を制限するものと解釈されてはならない。
[実施例]
[レオロジーコントロール剤(CarbopolのEZ−2)のペーストの製造例]
本発明に使用されたレオロジーコントロール剤の製造方法は、次の通りである。
【0036】
一定の容器にエタノール950gを仕込み、高速攪拌器で700rpmにて攪拌しながらCarbopolのEZ−2を20g加える。800rpmで30分間攪拌した後、Ethomeen C−25(Akzo社製)30gで中和させる。アミン添加後には10
00rpmで1時間攪拌して仕上げる。
[実施例1]
ディスパーマットD−51580モデル(VMA GETZMANN GMBH社製)を用いて水分散ポリウレタンディスパージョン(米Noveon社のSANCURE12954とOrtec社のREACTISOL PS−3を2:1の重量比で混合)70gを
添加した後、市販の銀コート銅粉末(米フェロ社のAgCu−550、D50:8〜15μm)125gを仕込み、2000rpmで30分間攪拌して製造した。ここにエタノール245gを仕込み、500rpmで10分間混合した後、前記Carbopolペースト60gを添加して1000rpmで30分間攪拌しながら粘度を調節して仕上げた。
【0037】
製造された試料は、さらにエタノール100vol%で希釈した後、横15cm、縦6cm、厚さ2mmのポリカーボネートシートに乾燥塗膜の厚さが12.5μmとなるよう
にスプレーコートした後、コートされた試片を60℃の乾燥炉で15分間乾燥させた。得られたコーティング試片の物性を評価してその結果を表1に示した。
[実施例2]
ディスパーマットD−51580モデル(VMA GETZMANN GMBH社製)を用いて水分散ポリウレタンディスパージョン(米Noveon社のSANCURE12954とOrtec社のリアクティゾールPS−3を2:1の重量比で混合)85gを添加した後、市販の銀粉末(米フェロ社のSF−70A)100gと銀コート銅粉末(米フェロ社のAgCu−550、D50:8〜15μm)100gを仕込み、2000rpmで30分間攪拌して製造した。ここにエタノール140gを仕込み、500rpmで10分間混合した後、Carbopolペースト75gを添加して1000rpmで30分間攪拌しながら粘度を調節して仕上げた。
【0038】
製造された試料は、さらにエタノール100vol%で希釈した後、横15cm、縦6cm、厚さ2mmのポリカーボネートシートに乾燥塗膜厚さが12.5μmとなるように
スプレーコートした後、コートされた試片を60℃の乾燥炉で15分間乾燥させた。得られたコーティング試片の物性を評価してその結果を表1に示した。
[比較例1]
金属粉末として市販の銀コート銅粉末(米フェロ社のAgCu−250、D50:35μm)を使用した以外は、実施例1と同様の方法で行った。
[比較例2]
金属粉末として市販の銀粉末(米フェロ社のSF−70A)100gと銀コート銅粉末(米フェロ社のAgCu−200、D50:45μm)100gを使用した以外は、実施例2と同様の方法で行った。
[比較例3]
水分散ポリウレタンディスパージョンとして米Noveon社のSANCURE12954を単独で添加した以外は、実施例1と同様の方法で行った。
[比較例4]
水分散ポリウレタンディスパージョンとしてOrtec社のリアクティゾールPS−3を単独で添加した以外は、実施例1と同様の方法で行った。
[比較例5]
水分散ポリウレタンディスパージョンとして米Noveon社のSANCURE12954を単独で添加し、金属粉末として市販の銀コート銅粉末(米フェロ社のAgCu−2
50、D50:35μm)を使用した以外は、実施例1と同様の方法で行った。
【0039】
【表1】

【0040】
[物性評価方法]
*抵抗:マルチメタを用いて単位面積当たりの表面抵抗で評価した。
*接着力:ASTM D3359によって評価した。
【0041】
前記例から得られた導電膜に対して下記のように耐久性評価を実施し、その結果を表2に示した。
*高温高湿性能評価:85℃、85%のRH条件で72時間放置した後、その物性を評価
*熱衝撃性能評価:−20℃で1時間、80℃で1時間ずつ20回反復して放置した後、物性を評価
*耐塩水性評価:25℃、5%の塩水に72時間放置してから60℃で20分間乾燥させた後、物性を評価
【0042】
【表2】

【0043】
表2の結果から確認されるように、従来の平均粒度30〜50μmの銀コート銅粉末を用いた導電性ペイントの導電膜は、耐久性評価を経た後には、抵抗が上昇し且つ接着力が悪くなるが、これに対し、平均粒度2〜20μmの微粒化銀コート銅粉末を用いて製造された本発明の導電性ペイント導電膜は、耐久性評価を経た後にも、初期物性と同一の結果を得た。また、表2の結果から、芳香族構造を有するポリエステル系列で重合したポリウレタンディスパージョンと、脂肪族構造を有するポリエステル系列のポリオールを用いて重合したポリウレタンディスパージョンとを混合して使用した場合が、それぞれ単独で使用した場合より接着力および耐塩水性に優れることが確認できた。
【0044】
以上、本発明の好適な実施例について説明したが、本発明は係る例に限定されないこと
は言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水分散ポリウレタンディスパージョン、金属粉末、溶媒およびレオロジーコントロール剤を含む導電性ペイント組成物において、
前記金属粉末が、平均粒度2〜20μmの銀コート銅粉末でありあるいは前記銀コート銅粉末と平均粒度2〜10μmの銀粉末との混合物であり、前記水分散ポリウレタンディスパージョンが、少なくとも2種以上の水分散ポリウレタンディスパージョンの混合ディスパージョンであることを特徴とする導電性ペイント組成物。
【請求項2】
前記銀コート銅粉末の平均粒度が8〜20μmであり、前記銀粉末の平均粒度が4〜10μmであることを特徴とする請求項1記載の導電性ペイント組成物。
【請求項3】
前記金属粉末が銀コート銅粉末:銀粉末=99:1〜30:70(w/w)の前記銀コート銅粉末と前記銀粉末との混合物であることを特徴とする請求項1記載の導電性ペイント組成物。
【請求項4】
前記金属粉末がC4〜C22の脂肪酸で表面処理されたことを特徴とする請求項1記載の
導電性ペイント組成物。
【請求項5】
前記水分散ポリウレタンディスパージョンが、芳香族構造を有するポリエステル系列のポリオールとイソシアネートを反応させて重合したポリウレタンディスパージョン(A)と、脂肪族構造を有するポリエステル系列のポリオールとイソシアネートを反応させて重合したポリウレタンディスパージョン(B)をそれぞれ少なくとも1種以上混合したものであることを特徴とする請求項1記載の導電性ペイント組成物。
【請求項6】
前記(A)のポリウレタンディスパージョンと前記(B)のポリウレタンディスパージョンの混合割合が70:30〜20:80(w/w)であることを特徴とする請求項5記載の導電性ペイント組成物。
【請求項7】
前記ポリウレタンディスパージョンの固形分含量が1〜50wt%であることを特徴とする請求項1記載の導電性ペイント組成物。
【請求項8】
前記溶媒が、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルアセテート、メチルピロリドン、アセトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブよりなる群から選択される少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項1記載の導電性ペイント組成物。
【請求項9】
前記レオロジーコントロール剤が、アクリルポリマーであることを特徴とする請求項1記載の導電性ペイント組成物。
【請求項10】
前記レオロジーコントロール剤が、ペースト化したものであることを特徴とする請求項9記載の導電性ペイント組成物。
【請求項11】
前記導電性ペイント組成物が、水分散ポリウレタンディスパージョン1〜60wt%、金属粉末10〜60wt%、溶媒10〜60wt%およびレオロジーコントロール剤5〜20wt%を含むことを特徴とする請求項1記載の導電性ペイント組成物。
【請求項12】
請求項1〜請求項11のいずれか1項記載の導電性ペイント組成物によって製造されたことを特徴とする電磁波遮蔽用導電膜。
【請求項13】
請求項12記載の電磁波遮蔽用導電膜が含まれたことを特徴とする電磁波遮蔽用基材。

【公開番号】特開2006−190969(P2006−190969A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−287261(P2005−287261)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(505122313)チェイル インダストリーズ インコーポレイテッド (8)
【氏名又は名称原語表記】Cheil Industries Inc.
【Fターム(参考)】