説明

導電性ポリマー組成物

導電性ポリマー組成物を提供する。本発明の組成物は、酸素含有量が飽和レベルの10%未満である水性液体媒体中に分散される。本発明の組成物は、フッ素化酸ポリマーをドープした導電性ポリマー、フッ素化酸ポリマーを混合した導電性ポリマー、またはそれらの混合物であってよい。本発明の導電性ポリマー組成物は、30日間での導電率の変化が10%未満である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、導電性ポリマー組成物およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
導電性ポリマーは、電子デバイスにおける用途などの多数の用途を有する。導電性ポリマーは、堆積されて導電性層または半導体層を形成し、それらは単独で使用されたり、1つまたは複数の電極、1つまたは複数の電気活性成分、1つまたは複数の光活性成分、あるいは1つまたは複数の生理活性成分と併用されたりする。本明細書において使用される場合、用語「電気活性成分」、「光活性成分」、または「生理活性成分」は、電磁場、電位、太陽エネルギー放射、生物刺激場、またはそれらのあらゆる組み合わせなどの刺激に応答して所定の活性を示す成分を意味する。
【0003】
【特許文献1】米国特許第5,463,005号明細書
【特許文献2】米国特許第3,282,875号明細書
【特許文献3】米国仮特許出願第60/105,662号明細書
【特許文献4】国際公開第9831716(A1)号パンフレット
【特許文献5】国際公開第99/52954(A1)号パンフレット
【特許文献6】米国仮特許出願第60/176,881号明細書
【特許文献7】欧州特許出願公開第1 026 152 A1号明細書
【特許文献8】米国特許第4,358,545号明細書
【特許文献9】米国特許第4,940,525号明細書
【特許文献10】米国特許第4,433,082号明細書
【特許文献11】米国特許第6,150,426号明細書
【特許文献12】国際公開第03/006537号パンフレット
【特許文献13】米国特許第5,876,604号明細書
【特許文献14】米国特許第5,902,747号明細書
【特許文献15】米国特許第6,921,482号明細書
【特許文献16】米国特許第6,872,451号明細書
【非特許文献1】CRC化学物理ハンドブック第81版(CRC Handbook of Chemistry and Physics,81st Edition)(2000−2001)
【非特許文献2】Macromolecules,34,5746−5747(2001)
【非特許文献3】Macromolecules,35,7281−7286(2002)
【非特許文献4】A.フェイリング(Feiring)ら,J.Fluorine Chemistry 2000,105,129−135
【非特許文献5】A.フェイリング(Feiring)ら,Macromolecules 2000,33,9262−9271
【非特許文献6】D.D.デマルト(Desmarteau),J.Fluorine Chem.1995,72,203−208
【非特許文献7】A.J.アップルビー(Appleby)ら,J.Electrochem.Soc.1993,140(1),109−111
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
改善された物理的性質および電気的性質を有する導電性ポリマー組成物が引き続き必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
溶存酸素含有量が飽和レベルの10%未満である水性液体媒体中に分散した導電性ポリマー組成物を含む組成物であって、前記導電性ポリマー組成物が、フッ素化酸ポリマーをドープした導電性ポリマー、フッ素化酸ポリマーと混合した導電性ポリマー、およびそれらの混合物からなる群から選択される組成物を提供する。一実施形態においては、酸素含有量が0.5ppm未満である。一実施形態においては酸素含有量が0.1ppm未満である。
【0006】
水性液体媒体中に分散した導電性ポリマー組成物を含む組成物であって、前記導電性ポリマー組成物の導電率の30日間での変化が10%未満である組成物も提供する。
【0007】
水性液体媒体中に分散した導電性ポリマー組成物の調製方法であって:
導電性モノマーを重合させて、ドープした導電性ポリマーを形成するステップと;
水性媒体中に溶解した酸素を除去するステップとを含む方法も提供する。
【0008】
上記方法の一実施形態においては、ドープした導電性ポリマー分散体を中空繊維フィルターに通すことによって酸素が除去される。
【0009】
以上の概要および以下の詳細な説明は、単に例示的および説明的なものであり、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明を限定するものではない。
【0010】
本明細書において提示される概念の理解をすすめるために、添付の図面において実施形態を説明する。
【0011】
当業者であれば理解しているように、図面中の物体は、平易かつ明快にするために示されており、必ずしも縮尺通りに描かれているわけではない。たとえば、実施形態を理解しやすいようにするために、図面中の一部の物体の寸法が他の物体よりも誇張されている場合がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
多数の態様および実施形態を以上に説明してきたが、これらは単に例示的で非限定的なものである。本明細書を読めば、本発明の範囲から逸脱しない他の態様および実施形態が実現可能であることが、当業者には分かるであろう。
【0013】
いずれか1つまたは複数の本発明の実施形態のその他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかとなるであろう。この詳細な説明は、最初に、用語の定義および説明を扱い、続いて、導電性ポリマー、フッ素化酸ポリマー、導電性ポリマー組成物の製造方法、溶存酸素の除去、有機電子デバイス、および最後に実施例を扱う。
【0014】
(1.用語の定義および説明)
以下に説明する実施形態の詳細を扱う前に、一部の用語について定義または説明を行う。
【0015】
ある実施形態においては、導電性材料はポリマーである。用語「有機溶剤でぬらすことができる」は、フィルムに成形した場合に有機溶剤によってぬらすことができる材料を意味する。この用語は、単独ではフィルム形成性ではないが、ぬらすことができる導電性ポリマー組成物を形成するポリマー酸も含んでいる。一実施形態においては、有機溶剤でぬらすことができる材料は、40°以下の接触角でフェニルヘキサンによってぬらすことができるフィルムを形成する。
【0016】
本明細書において使用される場合、用語「導電性ポリマー」は、カーボンブラックや導電性金属粒子を加えなくても、本来または本質的に導電性となることができるあらゆるポリマーまたはオリゴマーを意味する。導電性ポリマー組成物の導電率は、その組成物から作製したフィルムの横方向の導電率としてS/cmの単位で測定される。
【0017】
用語「ポリマー」は、少なくとも1つの繰り返しモノマー単位を有する材料を意味することを意図している。この用語は、1つのみの種類または化学種のモノマー単位を有するホモポリマー、および、異なる化学種のモノマー単位から形成されるコポリマーなどの2つ以上の異なるモノマー単位を有するコポリマーを含んでいる。
【0018】
用語「導電率」は導電性および半導体性を含む。一実施形態においては、ドープした導電性ポリマーから作製したフィルムは少なくとも10−7S/cmの導電率を有する。
【0019】
用語「ドープした」は、導電性ポリマー上の電荷と釣り合いを取るために、導電性ポリマーがポリマー対イオンを有することを意味することを意図している。
【0020】
用語「フッ素化酸ポリマー」は、酸性基を有し、少なくとも一部の水素がフッ素で置き換えられているポリマーを意味する。用語「酸性基」は、イオン化することによって水素イオンをブレンステッド塩基に供与することができる基を意味する。
【0021】
本発明の組成物は、1つまたは複数の異なる導電性ポリマーと、1つまたは複数の異なるフッ素化酸ポリマーとを含むことができる。
【0022】
用語「〜と混合される」は、導電性ポリマーがフッ素化酸ポリマーと物理的に混合されることを意味することを意図している。
【0023】
本明細書において使用される場合、用語「含んでなる」、「含んでなること」、「含む」、「含むこと」、「有する」、「有すること」、またはそれらの他のあらゆる変形は、非排他的な包含を扱うことを意図している。たとえば、ある一連の要素を含むプロセス、方法、物品、または装置は、それらの要素にのみに必ずしも限定されるわけではなく、そのようなプロセス、方法、物品、または装置に関して明示されず固有のものでもない他の要素を含むことができる。さらに、反対の意味で明記されない限り、「または」は、包含的なまたはを意味するのであって、排他的なまたはを意味するのではない。たとえば、条件AまたはBが満たされるのは、Aが真であり(または存在し)Bが偽である(または存在しない)、Aが偽であり(または存在せず)Bが真である(または存在する)、ならびにAおよびBの両方が真である(または存在する)のいずれか1つによってである。
【0024】
また、本発明の要素および成分を説明するために「a」または「an」も使用されている。これは単に便宜的なものであり、本発明の一般的な意味を提供するために行われている。この記述は、1つまたは少なくとも1つを含むものと読むべきであり、明らかに他の意味となる場合を除けば、単数形は複数形も含んでいる。
【0025】
元素周期表中の縦列に対応する族の番号は、(非特許文献1)に見ることができる「新表記法」(New Notation)の規則を使用している。
【0026】
特に定義しない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されている意味と同じ意味を有する。本明細書に記載されているものと類似または同等の方法および材料を使用して、本発明の実施形態の実施または試験を行うことができるが、好適な方法および材料については以下に説明する。本明細書において言及されるあらゆる刊行物、特許出願、特許、およびその他の参考文献は、特に明記しない限り、それらの記載内容全体が援用される。矛盾が生じる場合には、定義を含めて本明細書に従うものとする。さらに、材料、方法、および実施例は、単に説明的なものであって、限定を意図したものではない。
【0027】
本明細書に記載されていない程度の、具体的な材料、処理行為、および回路に関する多くの詳細は従来通りであり、それらについては、有機発光ダイオードディスプレイ、光検出器、光電池、および半導体要素の技術分野の教科書およびその他の情報源中に見ることができる。
【0028】
(2.導電性ポリマー)
一実施形態においては、本発明の導電性ポリマーは、少なくとも10−7S/cmの導電率を有する膜を形成する。導電性ポリマーが形成されるモノマーを「前駆体モノマー」と呼ぶ。コポリマーは、2種類以上の前駆体モノマーを有する。
【0029】
一実施形態においては、本発明の導電性ポリマーは、チオフェン類、セレノフェン類、テルロフェン類、ピロール類、アニリン類、および多環式芳香族から選択される少なくとも1つの前駆体モノマーから生成される。これらのモノマーから生成されたポリマーは、本明細書において、それぞれ、ポリチオフェン、ポリ(セレノフェン)、ポリ(テルロフェン)、ポリピロール、ポリアニリン、および多環式芳香族ポリマーと呼ばれる。用語「多環式芳香族」は、2つ以上の芳香環を有する化合物を意味する。これらの環は、1つまたは複数の結合によって連結している場合もあるし、互いに縮合している場合もある。用語「芳香環」は、複素環式芳香環を含むことを意図している。「多環式複素環式芳香族」化合物は、少なくとも1つの複素環式芳香環を有する。一実施形態においては、多環式芳香族ポリマーはポリ(チエノチオフェン)である。
【0030】
一実施形態においては、本発明の新規組成物中の導電性ポリマーを形成するために使用が考慮されるモノマーは、以下の式Iを含み:
【0031】
【化1】

【0032】
式中:
Qは、S、Se、およびTeからなる群から選択され;
は、それぞれ同じかまたは異なるように独立して選択され、そして、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルカノイル、アルキチオ(alkythio)、アリールオキシ、アルキルチオアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリール、アルキルスルフィニル、アルコキシアルキル、アルキルスルホニル、アリールチオ、アリールスルフィニル、アルコキシカルボニル、アリールスルホニル、アクリル酸、リン酸、ホスホン酸、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、エポキシ、シラン、シロキサン、アルコール、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、エーテルカルボキシレート、アミドスルホネート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択されるか;あるいは両方のR基が一緒になってアルキレン鎖またはアルケニレン鎖を形成して、3、4、5、6、または7員の芳香環または脂環式環を完成させてもよく、その環は場合により、1つまたは複数の二価の窒素原子、セレン原子、テルル原子、硫黄原子、または酸素原子を含んでもよい。
【0033】
本明細書において使用される場合、用語「アルキル」は、脂肪族炭化水素から誘導される基を意味し、非置換の場合も置換されている場合もある線状、分岐、および環状の基を含んでいる。用語「ヘテロアルキル」は、アルキル基中の1つまたは複数の炭素原子が窒素、酸素、硫黄などの別の原子で置き換えられているアルキル基を意味することを意図している。用語「アルキレン」は、2つの結合点を有するアルキル基を意味する。
【0034】
本明細書において使用される場合、用語「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する脂肪族炭化水素から誘導される基を意味し、非置換の場合も置換されている場合もある線状、分岐、および環状の基を含んでいる。用語「ヘテロアルケニル」は、アルケニル基中の1つまたは複数の炭素原子が窒素、酸素、硫黄などの別の原子で置き換えられているアルケニル基を意味することを意図している。用語「アルケニレン」は、2つの結合点を有するアルケニル基を意味する。
【0035】
本明細書において使用される場合、置換基に関する以下の用語は、以下に示す式を意味する:
「アルコール」 −R−OH
「アミド」 −R−C(O)N(R)R
「アミドスルホネート」 −R−C(O)N(R)R−SO
「ベンジル」 −CH−C
「カルボキシレート」 −R−C(O)O−Zまたは−R−O−C(O)−Z
「エーテル」 −R−(O−R−O−R
「エーテルカルボキシレート」 −R−O−R−C(O)O−Zまたは−R−O−R−O−C(O)−Z
「エーテルスルホネート」 −R−O−R−SO
「エステルスルホネート」 −R−O−C(O)−R−SO
「スルホンイミド」 −R−SO−NH−SO−R
「ウレタン」 −R−O−C(O)−N(R
式中、すべての「R」基はそれぞれ同じかまたは異なるものであり:
は単結合またはアルキレン基であり:
はアルキレン基であり
はアルキル基であり
は水素またはアルキル基であり
pは0または1〜20の整数であり
Zは、H、アルカリ金属、アルカリ土類金属、N(R、またはRである。
上記基はいずれも、さらに非置換の場合も置換されている場合もあり、いずれの基も、過フッ素化基などのように、1つまたは複数の水素がFで置換されていてもよい。一実施形態においては、上記アルキル基およびアルキレン基は1〜20個の炭素原子を有する。
【0036】
一実施形態においては、上記モノマー中、両方のRが一緒になって−O−(CHY)−O−を形成し、式中、mは2または3であり、Yは、それぞれ同じかまたは異なるものであり、そして、水素、ハロゲン、アルキル、アルコール、アミドスルホネート、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、エーテルカルボキシレート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択され、これらのY基は、部分的または完全にフッ素化されていてもよい。一実施形態においては、すべてのYが水素である。一実施形態においては、上記ポリマーが、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)である。一実施形態においては、少なくとも1つのY基が水素ではない。一実施形態においては、少なくとも1つのY基が、少なくとも1つの水素がFで置換された置換基である。一実施形態においては、少なくとも1つのY基が過フッ素化されている。
【0037】
一実施形態においては、上記モノマーは式I(a)を有し:
【0038】
【化2】

【0039】
式中:
Qは、S、Se、およびTeからなる群から選択され;
は、それぞれ同じかまたは異なるものであり、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、ヘテロアルケニル、アルコール、アミドスルホネート、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、エーテルカルボキシレート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択され、但し、少なくとも1つのRが水素ではなく、
mは2または3である。
【0040】
式I(a)の一実施形態においては、mが2であり、1つのRが、5個を超える炭素原子のアルキル基であり、他のすべてのRが水素である。式I(a)の一実施形態においては、少なくとも1つのR基がフッ素化されている。一実施形態においては、少なくとも1つのR基が、少なくとも1つのフッ素置換基を有する。一実施形態においては、そのR基が完全フッ素化されている。
【0041】
式I(a)の一実施形態においては、モノマー上の縮合脂環式環上のR置換基によって、モノマーの水に対する溶解性が改善され、フッ素化酸ポリマーの存在下での重合が促進される。
【0042】
式I(a)の一実施形態においては、mが2であり、1つのRが、スルホン酸−プロピレン−エーテル−メチレンであり、他のすべてのRが水素である。一実施形態においては、mが2であり、1つのRが、プロピル−エーテル−エチレンであり、他のすべてのRが水素である。一実施形態においては、mが2であり、1つのRがメトキシであり、他のすべてのRが水素である。一実施形態においては、1つのRが、スルホン酸ジフルオロメチレンエステルメチレン(−CH−O−C(O)−CF−SOH)であり、他のすべてのRが水素である。
【0043】
一実施形態においては、本発明の新規組成物中の導電性ポリマーを形成するために使用が考慮されるピロールモノマーは以下の式IIを含む。
【0044】
【化3】

【0045】
式IIにおいて:
は、それぞれ同じかまたは異なるように独立して選択され、そして、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルカノイル、アルキチオ(alkythio)、アリールオキシ、アルキルチオアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリール、アルキルスルフィニル、アルコキシアルキル、アルキルスルホニル、アリールチオ、アリールスルフィニル、アルコキシカルボニル、アリールスルホニル、アクリル酸、リン酸、ホスホン酸、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、エポキシ、シラン、シロキサン、アルコール、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、アミドスルホネート、エーテルカルボキシレート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択されるか;あるいは両方のR基が一緒になってアルキレン鎖またはアルケニレン鎖を形成して、3、4、5、6、または7員の芳香環または脂環式環を完成させてもよく、その環は場合により、1つまたは複数の二価の窒素原子、硫黄原子、セレン原子、テルル原子、または酸素原子を含んでもよく;
は、それぞれ同じかまたは異なるように独立して選択され、そして、水素、アルキル、アルケニル、アリール、アルカノイル、アルキルチオアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、アミノ、エポキシ、シラン、シロキサン、アルコール、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、エーテルカルボキシレート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択される。
【0046】
一実施形態においては、Rは、それぞれ同じかまたは異なるものであり、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコール、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、アミドスルホネート、エーテルカルボキシレート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、ウレタン、エポキシ、シラン、シロキサン、ならびに、1つまたは複数のスルホン酸、カルボン酸、アクリル酸、リン酸、ホスホン酸、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、エポキシ、シラン、またはシロキサン部分で置換されたアルキルから独立して選択される。
【0047】
一実施形態においては、Rは、水素、アルキル、ならびに、1つまたは複数のスルホン酸、カルボン酸、アクリル酸、リン酸、ホスホン酸、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、エポキシ、シラン、またはシロキサン部分で置換されたアルキルから選択される。
【0048】
一実施形態においては、上記ピロールモノマーは置換されておらず、RおよびRの両方が水素である。
【0049】
一実施形態においては、両方のRが一緒になって、アルキル、ヘテロアルキル、アルコール、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、エーテルカルボキシレート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択される基でさらに置換された6員または7員の脂環式環を形成する。これらの基は、モノマーおよび結果として得られるポリマーの溶解性を改善することができる。一実施形態においては、両方のRが一緒になって、アルキル基でさらに置換された6員または7員の脂環式環を形成する。一実施形態においては、両方のRが一緒になって、少なくとも1つの炭素原子を有するアルキル基でさらに置換された6員または7員の脂環式環を形成する。
【0050】
一実施形態においては、両方のRが一緒になって−O−(CHY)−O−を形成し、式中、mは2または3であり、Yは、それぞれ同じかまたは異なるものであり、水素、アルキル、アルコール、ベンジル、カルボキシレート、アミドスルホネート、エーテル、エーテルカルボキシレート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択される。一実施形態においては、少なくとも1つのY基が水素ではない。一実施形態においては、少なくとも1つのY基が、少なくとも1つの水素がFで置換された置換基である。一実施形態においては、少なくとも1つのY基が過フッ素化されている。
【0051】
一実施形態においては、本発明の新規組成物中の導電性ポリマーを形成するために使用が考慮されるアニリンモノマーは以下の式IIIを含む。
【0052】
【化4】

【0053】
式中:
aは0または1〜4の整数であり;
bは1〜5の整数であり、但しa+b=5であり;
は、それぞれ同じかまたは異なるように独立して選択され、そして、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルカノイル、アルキチオ(alkythio)、アリールオキシ、アルキルチオアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリール、アルキルスルフィニル、アルコキシアルキル、アルキルスルホニル、アリールチオ、アリールスルフィニル、アルコキシカルボニル、アリールスルホニル、アクリル酸、リン酸、ホスホン酸、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、エポキシ、シラン、シロキサン、アルコール、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、エーテルカルボキシレート、アミドスルホネート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択されるか;あるいは両方のR基が一緒になってアルキレン鎖またはアルケニレン鎖を形成して、3、4、5、6、または7員の芳香環または脂環式環を完成させてもよく、その環は場合により、1つまたは複数の二価の窒素原子、硫黄原子、または酸素原子を含んでもよい。
【0054】
重合すると、このアニリンモノマー単位は、以下に示す式IV(a)または式IV(b)、あるいは両方の式の組み合わせを有することができる。
【0055】
【化5】

【0056】
式中、a、b、およびRは前出の定義の通りである。
【0057】
一実施形態においては、上記アニリンモノマーは置換されておらず、a=0である。
【0058】
一実施形態においては、aが0ではなく、少なくとも1つのRがフッ素化されている。一実施形態においては、少なくとも1つのRが過フッ素化されている。
【0059】
一実施形態においては、本発明の新規組成物中の導電性ポリマーを形成するために使用が考慮される縮合多環式複素環式芳香族モノマーは、2つ以上の縮合芳香環を有し、その環の少なくとも1つが複素環式芳香族である。一実施形態においては、この縮合多環式複素環式芳香族モノマーは式Vを有し:
【0060】
【化6】

【0061】
式中:
Qは、S、Se、Te、またはNRであり;
は、水素またはアルキルであり;
、R、R10、およびR11は、それぞれ同じかまたは異なるように独立して選択され、そして、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルカノイル、アルキチオ(alkythio)、アリールオキシ、アルキルチオアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリール、アルキルスルフィニル、アルコキシアルキル、アルキルスルホニル、アリールチオ、アリールスルフィニル、アルコキシカルボニル、アリールスルホニル、アクリル酸、リン酸、ホスホン酸、ハロゲン、ニトロ、ニトリル、シアノ、ヒドロキシル、エポキシ、シラン、シロキサン、アルコール、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、エーテルカルボキシレート、アミドスルホネート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択され;
とR、RとR10、およびR10とR11、のうち少なくとも1つがアルケニレン鎖を形成して5または6員の芳香環を完成させ、その環は、場合により1つまたは複数の二価の窒素原子、硫黄原子、セレン原子、テルル原子、または酸素原子を含むことができる。
【0062】
一実施形態においては、上記縮合多環式複素環式芳香族モノマーは、式V(a)、V(b)、V(c)、V(d)、V(e)、V(f)、およびV(g)を有し:
【0063】
【化7】

【0064】
式中:
Qは、S、Se、Te、またはNHであり;
Tは、それぞれ同じかまたは異なるものであり、S、NR、O、SiR、Se、Te、およびPRから選択され;
は、水素またはアルキルである。
【0065】
上記縮合多環式複素環式芳香族モノマーは、アルキル、ヘテロアルキル、アルコール、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、エーテルカルボキシレート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択される基でさらに置換されていてもよい。一実施形態においては、これらの置換基がフッ素化されている。一実施形態においては、これらの置換基が完全フッ素化されている。
【0066】
一実施形態においては、上記縮合多環式複素環式芳香族モノマーはチエノ(チオフェン)である。このような化合物は、たとえば、(非特許文献2);および(非特許文献3)において議論されている。一実施形態においては、このチエノ(チオフェン)は、チエノ(2,3−b)チオフェン、チエノ(3,2−b)チオフェン、およびチエノ(3,4−b)チオフェンから選択される。一実施形態においては、チエノ(チオフェン)モノマーは、アルキル、ヘテロアルキル、アルコール、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、エーテルカルボキシレート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択される少なくとも1つの基でさらに置換されている。一実施形態においては、これらの置換基がフッ素化されている。一実施形態においては、これらの置換基が完全フッ素化されている。
【0067】
一実施形態においては、本発明の新規組成物中のポリマーを形成するために使用が考慮される多環式複素環式芳香族モノマーは式VIを含み:
【0068】
【化8】

【0069】
式中:
Qは、S、Se、Te、またはNRであり;
Tは、S、NR、O、SiR、Se、Te、およびPRから選択され;
Eは、アルケニレン、アリーレン、およびヘテロアリーレンから選択され;
R6は、水素またはアルキルであり;
12は、それぞれ同じかまたは異なるものであり、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルカノイル、アルキチオ(alkythio)、アリールオキシ、アルキルチオアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリール、アルキルスルフィニル、アルコキシアルキル、アルキルスルホニル、アリールチオ、アリールスルフィニル、アルコキシカルボニル、アリールスルホニル、アクリル酸、リン酸、ホスホン酸、ハロゲン、ニトロ、ニトリル、シアノ、ヒドロキシル、エポキシ、シラン、シロキサン、アルコール、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、エーテルカルボキシレート、アミドスルホネート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択されるか;あるいは両方のR12基が一緒になってアルキレン鎖またはアルケニレン鎖を形成して、3、4、5、6、または7員の芳香環または脂環式環を完成させてもよく、その環は場合により1つまたは複数の二価の窒素原子、硫黄原子、セレン原子、テルル原子、または酸素原子を含んでもよい。
【0070】
一実施形態においては、本発明の導電性ポリマーは、前駆体モノマーと少なくとも1つの第2のモノマーとのコポリマーである。コポリマーに望まれる性質に悪影響を及ぼさないのであれば、あらゆる種類の第2のモノマーを使用することができる。一実施形態においては、第2のモノマーが、モノマー単位の総数を基準にしてポリマーの50%以下を構成する。一実施形態においては、第2のモノマーが、モノマー単位の総数を基準にして30%以下を構成する。一実施形態においては、第2のモノマーが、モノマー単位の総数を基準にして10%以下を構成する。
【0071】
第2のモノマーの代表的な種類としては、アルケニル、アルキニル、アリーレン、およびヘテロアリーレンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。第2のモノマーの例としては、限定するものではないが、フルオレン、オキサジアゾール、チアジアゾール、ベンゾチアジアゾール、フェニレンビニレン、フェニレンエチニレン、ピリジン、ジアジン類、およびトリアジン類が挙げられ、これらすべてがさらに置換されていてもよい。
【0072】
一実施形態においては、本発明のコポリマーは、最初に構造A−B−Cを有する中間前駆体モノマーを形成することによって製造され、式中、AおよびCは、同じかまたは異なっていてもよい前駆体モノマーを表し、Bは第2のモノマーを表す。このA−B−C中間前駆体モノマーは、ヤマモト(Yamamoto)、スティル(Stille)、グリニャール(Grignard)メタセシス、スズキ(Suzuki)、およびネギシ(Negishi)カップリングなどの標準的な合成有機技術を使用して調製することができる。次に、この中間前駆体モノマー単独で酸化重合させる、または1つまたは複数の別の前駆体モノマーとともに酸化重合させることによって、本発明のコポリマーが形成される。
【0073】
一実施形態においては、本発明の導電性ポリマーは、2つ以上の前駆体モノマーのコポリマーである。一実施形態においては、これらの前駆体モノマーは、チオフェン類、セレノフェン類、テルロフェン類、ピロール類、アニリン類、および多環式芳香族から選択される。
【0074】
(3.フッ素化酸ポリマー)
本発明のフッ素化酸ポリマーは、フッ素化され、酸性プロトンを有する酸性基を有するあらゆるポリマーであってよい。この用語は、部分フッ素化材料および完全フッ素化材料を含んでいる。一実施形態においては、本発明のフッ素化酸ポリマーは高フッ素化されている。用語「高フッ素化」は、炭素に結合した利用可能な水素の少なくとも50%が、フッ素で置き換えられていることを意味する。酸性基は、イオン化可能なプロトンを供給する。一実施形態においては、酸性プロトンは3未満のpKaを有する。一実施形態においては、酸性プロトンは0未満のpKaを有する。一実施形態においては、酸性プロトンは−5未満のpKaを有する。酸性基は、ポリマー主鎖に直接結合していてもよいし、ポリマー主鎖上の側鎖に結合していてもよい。酸性基の例としては、カルボン酸基、スルホン酸基、スルホンイミド基、リン酸基、ホスホン酸基、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。酸性基はすべてが同じものである場合もあるし、ポリマーが2種類以上の酸性基を有することもできる。
【0075】
一実施形態においては、本発明のフッ素化酸ポリマーは水溶性である。一実施形態においては、本発明のフッ素化酸ポリマーは水に対して分散性である。
【0076】
一実施形態においては、本発明のフッ素化酸ポリマーは有機溶剤でぬらすことができる。用語「有機溶剤でぬらすことができる」は、フィルムに成形した場合に有機溶剤によってぬらすことができる材料を意味する。一実施形態においては、有機溶剤でぬらすことができる材料は、40°以下の接触角でフェニルヘキサンによってぬらすことができるフィルムを形成する。本明細書において使用される場合、用語「接触角」は、図1に示される角度Φを意味することを意図している。液体媒体の液滴の場合、角度Φは、表面の面と、液滴の外側端部から表面までの線との交差部分によって定義される。さらに、角度Φは、液滴が適用された後で表面上で平衡位置に達した後で測定され、すなわち「静的接触角」である。有機溶剤でぬらすことができるフッ素化ポリマー酸のフィルムが、上記表面として示されている。一実施形態においては、接触角が35°以下である。一実施形態においては、接触角が30°以下である。接触角の測定方法は周知である。
【0077】
一実施形態においては、上記ポリマーの主鎖がフッ素化されている。好適なポリマー主鎖の例としては、ポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリイミド、ポリアミド、ポリアラミド、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、およびそれらのコポリマーが挙げられるが、これらに限定されるものではない。一実施形態においては、ポリマー主鎖が高フッ素化されている。一実施形態においては、ポリマー主鎖が完全フッ素化されている。
【0078】
一実施形態においては、酸性基は、スルホン酸基またはスルホンイミド基である。スルホンイミド基は次式を有し:
−SO−NH−SO−R
式中、Rはアルキル基である。
【0079】
一実施形態においては、酸性基はフッ素化側鎖上にある。一実施形態においては、フッ素化側鎖は、アルキル基、アルコキシ基、アミド基、エーテル基、およびそれらの組み合わせから選択される。
【0080】
一実施形態においては、本発明のフッ素化酸ポリマーは、フッ素化オレフィン主鎖と、ペンダントフッ素化エーテルスルホネート基、ペンダントフッ素化エステルスルホネート基、またはペンダントフッ素化エーテルスルホンイミド基とを有する。一実施形態においては、このポリマーは、1,1−ジフルオロエチレンと2−(1,1−ジフルオロ−2−(トリフルオロメチル)アリルオキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホン酸とのコポリマーである。一実施形態においては、このポリマーは、エチレンと、2−(2−(1,2,2−トリフルオロビニルオキシ)−1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロポキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホン酸とのコポリマーである。これらのコポリマーは、対応するフッ化スルホニルポリマーとして製造することができ、後にスルホン酸形態に変換することができる。
【0081】
一実施形態においては、本発明のフッ素化酸ポリマーは、フッ素化および部分フッ素化ポリ(アリーレンエーテルスルホン)のホモポリマーまたはコポリマーである。このコポリマーはブロックコポリマーであってよい。コモノマーの例としては、ブタジエン、ブチレン、イソブチレン、スチレン、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0082】
一実施形態においては、本発明のフッ素化酸ポリマーは、式VIIを有するモノマーのホモポリマーまたはコポリマーであり:
【0083】
【化9】

【0084】
式中:
bは1〜5の整数であり、
13はOHまたはNHR14であり、
14は、アルキル、フルオロアルキル、スルホニルアルキル、またはスルホニルフルオロアルキルである。
【0085】
一実施形態においては、上記モノマーは以下に示す「SFS」または「SFSI」であり:
【0086】
【化10】

【0087】
重合後、得られたポリマーを酸形態に変換することができる。
【0088】
一実施形態においては、本発明のフッ素化酸ポリマーは、酸性基を有するトリフルオロスチレンのホモポリマーまたはコポリマーである。一実施形態においては、このトリフルオロスチレンモノマーは式VIIIを有し:
【0089】
【化11】

【0090】
式中:
Wは、(CF、O(CF、S(CF、(CFO(CFから選択され、
bは独立して1〜5の整数であり
13はOHまたはNHR14であり、
14は、アルキル、フルオロアルキル、スルホニルアルキル、またはスルホニルフルオロアルキルである。
【0091】
一実施形態においては、本発明のフッ素化酸ポリマーは、式IXを有するスルホンイミドポリマーであり:
【0092】
【化12】

【0093】
式中:
は、フッ素化アルキレン、フッ素化ヘテロアルキレン、フッ素化アリーレン、またはフッ素化ヘテロアリーレンから選択され;
nは少なくとも4である。
【0094】
式IXの一実施形態においては、Rはパーフルオロアルキル基である。一実施形態においては、Rはパーフルオロブチル基である。一実施形態においては、Rはエーテル酸素を含有する。一実施形態においては、nは10を超える。
【0095】
一実施形態においては、本発明のフッ素化酸ポリマーは、式Xを有するフッ素化ポリマー主鎖および側鎖を含み:
【0096】
【化13】

【0097】
式中:
15は、フッ素化アルキレン基またはフッ素化ヘテロアルキレン基であり;
16は、フッ素化アルキル基またはフッ素化アリール基であり;
aは0または1〜4の整数である。
【0098】
一実施形態においては、本発明のフッ素化酸ポリマーは式XIを有し:
【0099】
【化14】

【0100】
式中:
16は、フッ素化アルキル基またはフッ素化アリール基であり;
cは独立して0または1〜3の整数であり;
nは少なくとも4である。
【0101】
フッ素化酸ポリマーの合成は、たとえば、(非特許文献4);(非特許文献5);(非特許文献6);(非特許文献7);およびデマルト(Desmarteau)の米国特許公報(特許文献1)に記載されている。
【0102】
一実施形態においては、本発明のフッ素化酸ポリマーは、構造(XII)を有するエチレン系不飽和化合物から誘導される少なくとも1つの繰り返し単位を含み:
【0103】
【化15】

【0104】
式中、nは0、1、または2であり;
17〜R20は独立して、H、ハロゲン、1〜10個の炭素原子のアルキルまたはアルコキシ、Y、C(R’)(R’)OR21、RY、あるいはORYであり;
Yは、COE、SO、またはスルホンイミドであり;
21は、水素または酸不安定性保護基であり;
’は、それぞれ同じかまたは異なるものであり、1〜10個の炭素原子のフルオロアルキル基であるか、1つに合わせたものが(CFとなるかであり、eは2〜10であり;
はアルキレン基であり;
は、OH、ハロゲン、またはORであり;
はアルキル基であり;
但し、R17〜R20の少なくとも1つが、Y、RY、またはORYである。
、R、およびR17〜R20は、ハロゲンまたはエーテル酸素によって場合により置換されていてもよい。
【0105】
本発明の範囲内にある構造(XII)の代表的なモノマーの一部の説明的で非限定的な例が以下に示される(XII−a〜XII−e、左から右へ):
【0106】
【化16】

【0107】
式中、R21は、第3級陽イオンの形成または第3級陽イオンへの転位が可能な基であり、より典型的には1〜20個の炭素原子のアルキル基であり、最も典型的にはt−ブチルである。
【0108】
d=0の場合の構造(XII)である構造(XII−a〜XII−e)の化合物は、以下の式に示されるような構造(XIII)の不飽和化合物とクアドリシクラン(テトラシクロ[2.2.1.02,63,5]ヘプタン)との付加環化反応によって調製することができる。
【0109】
【化17】

【0110】
この反応は、約0℃〜約200℃の範囲の温度、より典型的には約30℃〜約150℃の範囲の温度において、ジエチルエーテルなどの不活性溶媒の非存在下または存在下で実施することができる。1つまたは複数の試薬または溶媒の沸点以上で実施される反応の場合、揮発性成分の減少を回避するために、通常は密閉反応器が使用される。より大きな値のd(すなわち、d=1または2)を有する式XIIの化合物は、d=0である式XIIの化合物をシクロペンタジエンと反応させることによって調製することができ、このことは当技術分野において周知である。
【0111】
一実施形態においては、本発明のフッ素化酸ポリマーは、エチレン系不飽和炭素に結合した少なくとも1つのフッ素原子を含有する少なくとも1つのエチレン系不飽和化合物から誘導された繰り返し単位も含む。このフルオロオレフィンは2〜20個の炭素原子を含む。代表的なフルオロオレフィンとしては、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、パーフルオロ−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)、パーフルオロ−(2−メチレン−4−メチル−1,3−ジオキソラン)、CF=CFO(CFCF=CF(式中のtは1または2である)、およびR’’OCF=CF(式中のR’’は1〜約10個の炭素原子の飽和フルオロアルキル基である)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。一実施形態においては、このコモノマーはテトラフルオロエチレンである。
【0112】
一実施形態においては、本発明のフッ素化酸ポリマーは、シロキサンスルホン酸を含むペンダント基を有するポリマー主鎖を含む。一実施形態においては、このシロキサンペンダント基は以下の式を有し:
−OSi(OH)b−a223−b23SO
式中:
aは1〜bであり;
bは1〜3であり;
22は、独立してアルキル、アリール、およびアリールアルキルからなる群から選択される非加水分解性基であり;
23は、1つまたは複数のエーテル酸素原子によって置換されていてもよい二座アルキレン基であり、但し、R23は、SiとRとの間に直線状に配置された少なくとも2つの炭素原子を有し;
は、1つまたは複数エーテル酸素原子によって置換されていてもよいパーフルオルアルキレン(perfluoralkylene)基である。
【0113】
一実施形態においては、ペンダントシロキサン基を有する本発明のフッ素化酸ポリマーは、フッ素化主鎖を有する。一実施形態においては、この主鎖は過フッ素化されている。
【0114】
一実施形態においては、本発明のフッ素化酸ポリマーは、式(XIV)によって表されるフッ素化された主鎖およびペンダント基を有し、
−O−[CF(R)CF−O−CFCFSOH (XIV)
【0115】
式中、Rは、F、または、非置換であるか、1つまたは複数のエーテル酸素原子によって置換されているかのいずれかであり1〜10個の炭素原子を有するパーフルオロアルキル基であり、h=0または1であり、i=0〜3であり、g=0または1である。
【0116】
一実施形態においては、本発明のフッ素化酸ポリマーは式(XV)を有し
【0117】
【化18】

【0118】
式中、j≧0、k≧0、および4≦(j+k)≦199であり、QおよびQはFまたはHであり、Rは、F、あるいは、非置換であるか、1つまたは複数のエーテル酸素原子によって置換されているかのいずれかであり1〜10個の炭素原子を有するパーフルオロアルキル基であり、h=0または1であり、i=0〜3であり、g=0または1である。一実施形態においては、Rは−CFであり、g=1、h=1、およびi=1である。一実施形態においては、ペンダント基が3〜10mol%の濃度で存在する。
【0119】
一実施形態においては、QはHであり、k≧0であり、QはFであり、これは、コナリー(Connolly)らの米国特許公報(特許文献2)の教示により合成することができる。別の好ましい一実施形態においては、QはHであり、QはHであり、g=0であり、RはFであり、h=1であり、I=1であり、同時継続中の米国特許公報(特許文献3)により合成することができる。さらに別の実施形態は、ドライスデール(Drysdale)らの(特許文献4)、ならびに同時継続中の米国出願のチェ(Choi)らの(特許文献5)、および米国特許公報(特許文献6)における種々の教示により合成することができる。
【0120】
一実施形態においては、本発明のフッ素化酸ポリマーはコロイド形成性ポリマー酸である。本明細書において使用される場合、用語「コロイド形成性」は、水に対して不溶性であり、水性媒体中に分散させた場合にコロイドを形成する材料を意味する。コロイド形成性ポリマー酸は、通常、約10,000〜約4,000,000の範囲内の分子量を有する。一実施形態においては、このポリマー酸は約100,000〜約2,000,000の分子量を有する。コロイドの粒度は、通常2ナノメートル(nm)〜約140nmの範囲内である。一実施形態においては、このコロイドは2nm〜約30nmの粒度を有する。酸性プロトンを有するあらゆる完全フッ素化コロイド形成性ポリマー材料を使用することができる。一実施形態においては、コロイド形成性フッ素化ポリマー酸は、カルボン酸基、スルホン酸基、およびスルホンイミド基から選択される酸性基を有する。一実施形態においては、コロイド形成性フッ素化ポリマー酸はポリマースルホン酸である。一実施形態においては、コロイド形成性ポリマースルホン酸は過フッ素化されている。一実施形態においては、コロイド形成性ポリマースルホン酸はパーフルオロアルキレンスルホン酸である。
【0121】
一実施形態においては、本発明のコロイド形成性ポリマー酸は、高フッ素化スルホン酸ポリマー(「FSAポリマー」)である。「高フッ素化」は、ポリマー中のハロゲン原子および水素原子の総数の少なくとも約50%、一実施形態においては少なくとも約75%、別の一実施形態においては少なくとも約90%がフッ素原子であることを意味する。一実施形態においては、このポリマーは過フッ素化されている。用語「スルホネート官能基」は、スルホン酸基またはスルホン酸基の塩のいずれかを意味し、一実施形態においてはアルカリ金属塩またはアンモニウム塩である。この官能基は、式−SOで表され、式中のEは「対イオン」とも呼ばれる陽イオンである。Eは、H、Li、Na、K、またはN(R)(R)(R)(R)であってよく、R、R、R、およびRは同じかまたは異なるものであり、一実施形態においては、これらはH、CH、またはCである。別の一実施形態においては、EはHであり、この場合そのポリマーは「酸形態」にあると言われる。Eは、Ca++、およびAl+++などのイオンによって表されるような多価であってもよい。当業者には明らかなように、一般にMx+と表される多価対イオンの場合、対イオン1つ当たりのスルホネート官能基数が価数「x」と等しくなる。
【0122】
一実施形態においては、FSAポリマーは、主鎖に結合した反復する側鎖を有するポリマー主鎖を含み、これらの側鎖は陽イオン交換基を有する。ポリマーには、ホモポリマー、または2つ以上のモノマーのコポリマーが含まれる。通常、コポリマーは、非官能性モノマーと、後にスルホネート官能基を加水分解できるフッ化スルホニル基(−SOF)などの陽イオン交換基またはその前駆体を有する第2のモノマーとから形成される。たとえば、第1のフッ素化ビニルモノマーと、フッ化スルホニル基(−SOF)を有する第2のフッ素化ビニルモノマーとのコポリマーを使用することができる。可能性のある第1のモノマーとしては、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニル、フッ化ビニリジン(vinylidine fluoride)、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)、およびそれらの組み合わせが挙げられる。TFEが好ましい第1のモノマーである。
【0123】
別の実施形態においては、可能性のある第2のモノマーとしては、ポリマー中に所望の側鎖を提供することができるスルホネート官能基または前駆体基を有するフッ素化ビニルエーテルが挙げられる。希望するなら、エチレン、プロピレン、およびR−CH=CH(式中のRは、1〜10個の炭素原子の過フッ素化アルキル基である)などの追加のモノマーを、これらのポリマー中に組み込むことができる。これらのポリマーは、本明細書においてランダムコポリマーと呼ばれる種類であってよく、すなわち、コモノマーの相対濃度が可能な限り一定に維持され、それによって、ポリマー鎖に沿ったモノマー単位の分布がそれらの相対濃度および相対反応性に従う重合によって製造されるコポリマーであってよい。重合の過程中にモノマーの相対濃度を変化させることによって製造される不規則性のより低いコポリマーを使用することもできる。(特許文献7)に開示されるものなどの、ブロックコポリマーと呼ばれる種類のポリマーを使用することもできる。
【0124】
一実施形態においては、本発明において使用されるFSAポリマーは、以下の式で表される高フッ素化された、一実施形態においては過フッ素化された、炭素主鎖および側鎖を含み、
−(O−CFCFR−O−CFCFRSO
式中、RおよびRは独立して、F、Cl、または1〜10個の炭素原子を有する過フッ素化アルキル基から選択され、a=0、1、または2であり、Eは、H、Li、Na、K、またはN(R1)(R2)(R3)(R4)であり、R1、R2、R3、およびR4は同じかまたは異なるものであり、一実施形態においてはこれらはH、CH、またはCである。別の一実施形態においてはEはHである。前述したように、Eは多価であってもよい。
【0125】
一実施形態においては、本発明のFSAポリマーとしては、たとえば、米国特許公報(特許文献2)、ならびに米国特許公報(特許文献8)および米国特許公報(特許文献9)に開示されているポリマーが挙げられる。好ましいFSAポリマーの一例は、次式で表されるパーフルオロカーボン主鎖および側鎖を含み、
−O−CFCF(CF)−O−CFCFSO
式中、Xは前出の定義の通りである。この種類のFSAポリマーは、米国特許公報(特許文献2)に開示されており、テトラフルオロエチレン(TFE)と、過フッ素化ビニルエーテルのCF=CF−O−CFCF(CF)−O−CFCFSOF(パーフルオロ(3,6−ジオキサ−4−メチル−7−オクテンスルホニルフルオリド)(PDMOF))との共重合の後、スルホニルフルオリド基の加水分解によってスルホネート基に変換し、必要に応じてイオン交換することによってそれらを所望のイオン形態に変換することによって製造することができる。米国特許公報(特許文献8)および米国特許公報(特許文献9)に開示されている種類のポリマーの一例は、側鎖−O−CFCFSOを有し、式中のEは前出の定義の通りである。このポリマーは、テトラフルオロエチレン(TFE)と、過フッ素化ビニルエーテルのCF=CF−O−CFCFSOF(パーフルオロ(3−オキサ−4−ペンテンスルホニルフルオリド)(POPF))との共重合の後、加水分解し、さらに必要に応じてイオン交換することによって製造することができる。
【0126】
一実施形態においては、本発明において使用されるFSAポリマーは、通常、約33未満のイオン交換比を有する。本明細書において、「イオン交換比」または「IXR」は、陽イオン交換基に対するポリマー主鎖中の炭素原子数として定義される。約33未満の範囲内であれば、個別の用途に応じて希望通りにIXRを変動させることができる。一実施形態においてはIXRは約3〜約33であり、別の一実施形態においては約8〜約23である。
【0127】
ポリマーの陽イオン交換能力は、多くの場合当量(EW)で表現される。本明細書の目的では、当量(EW)は、1当量の水酸化ナトリウムを中和するために必要となる、酸形態のポリマーの重量と定義される。ポリマーがパーフルオロカーボン主鎖を有し、側鎖が−O−CF−CF(CF)−O−CF−CF−SOH(またはその塩)であるスルホネートポリマーの場合、約8〜約23のIXRに相当する当量範囲は約750EW〜約1500EWとなる。このポリマーのIXRは、式:50IXR+344=EWを使用して当量と関連づけることができる。米国特許公報(特許文献8)および米国特許公報(特許文献9)に開示されているスルホネートポリマー、たとえば側鎖−O−CFCFSOH(またはその塩)を有するポリマーに対して同じIXR範囲が使用されると、陽イオン交換基を有するモノマー単位の分子量が低いため、その当量はある程度低くなる。約8〜約23の好ましいIXR範囲の場合、その対応する当量範囲は約575EW〜約1325EWとなる。このポリマーのIXRは、式:50IXR+178=EWを使用して当量と関連づけることができる。
【0128】
FSAポリマーは、コロイド水性分散体として調製することができる。これらは、他の媒体中の分散体の形態であってもよく、そのような媒体の例としては、アルコール、テトラヒドロフランなどの水溶性エーテル、水溶性エーテルの混合物、およびそれらの組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。この分散体を製造する際、ポリマーは酸形態で使用することができる。米国特許公報(特許文献10)、米国特許公報(特許文献11)、および(特許文献12)には、水性アルコール性分散体の製造方法が開示されている。分散体を製造した後、濃度と分散させる液体の組成とを、当技術分野において周知の方法によって調整することができる。
【0129】
FSAポリマーを含むコロイド形成性ポリマー酸の水性分散体は、典型的には、安定なコロイドが形成されるのであれば、可能な限り小さい粒度、および可能な限り小さいEWを有する。
【0130】
FSAポリマーの水性分散体は、ナフィオン(Nafion)(登録商標)分散体として、本願特許出願人より市販されている。
【0131】
本明細書において前述したポリマーの一部は、非酸形態、たとえば、塩、エステル、またはフッ化スルホニルとして形成することができる。後述するように、これらは、導電性組成物を調製するために酸形態に変換される。
【0132】
(4.導電性ポリマー組成物の調製)
フッ素化酸ポリマーをドープした導電性ポリマーを含む本発明の導電性ポリマー組成物は、フッ素化酸ポリマーの存在下で前駆体モノマーを重合させることによって調製される。フッ素化酸ポリマーと混合された導電性ポリマーを含む本発明の導電性ポリマー組成物は、最初に本質的に導電性のコポリマーを形成し、それをフッ素化酸ポリマーと混合することによって調製される。
【0133】
(a.フッ素化酸ポリマーをドープした導電性ポリマー)
一実施形態においては、本発明の導電性コポリマー組成物は、フッ素化酸ポリマーの存在下での前駆体モノマーの酸化重合によって形成される。一実施形態においては、前駆体モノマーは、2つ以上の導電性前駆体モノマーを含む。一実施形態においては、これらのモノマーは、構造A−B−Cを有する中間前駆体モノマーを含み、式中、AおよびCは、同じかまたは異なっていてもよい導電性前駆体モノマーを表しており、Bは、非導電性前駆体モノマーを表している。一実施形態においては、この中間前駆体モノマーは、1つまたは複数の導電性前駆体モノマーとともに重合される。
【0134】
一実施形態においては、上記の酸化重合は均一水溶液中で行われる。別の一実施形態においては、別の一実施形態においては、酸化重合は、水と有機溶剤とのエマルジョン中で行われる。一般に、酸化剤および/または触媒の適切な溶解性を得るために、ある程度の水が存在する。過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムなどの酸化剤を使用することができる。塩化第二鉄、または硫酸第二鉄などの触媒も存在することができる。結果として得られる重合生成物は、フッ素化酸ポリマーと会合した導電性ポリマーの溶液、分散体、またはエマルジョンとなる。一実施形態においては、本来導電性ポリマーが正に帯電しており、フッ素化酸ポリマー陰イオンによって電荷のバランスがとられる。
【0135】
一実施形態においては、本発明の新規な導電性ポリマー組成物の水性分散体の製造方法は、前駆体モノマーと酸化剤との少なくとも一方が加えられるときに少なくとも一部のフッ素化酸ポリマーが存在するのであれば任意の順序で、水と、前駆体モノマーと、少なくとも1つのフッ素化酸ポリマーと、酸化剤とを混合することによって反応混合物を形成するステップを含む。
【0136】
一実施形態においては、本発明の新規な導電性ポリマー組成物の製造方法は:
(a)フッ素化酸ポリマーの水溶液または分散体を提供するステップと;
(b)ステップ(a)の溶液または分散体に酸化剤を加えるステップと;
(c)ステップ(b)の混合物に前駆体モノマーを加えるステップとを含む。
【0137】
別の一実施形態においては、酸化剤を加える前に、フッ素化酸ポリマーの水溶液または分散体に前駆体モノマーが加えられる。これに続いて、酸化剤を加える前述のステップ(b)が行われる。
【0138】
別の一実施形態においては、通常、約0.5重量%〜約4.0重量%の範囲内の全前駆体モノマーの濃度で、水と前駆体モノマーとの混合物が形成される。この前駆体モノマー混合物がフッ素化酸ポリマーの水溶液または分散体に加えられ、酸化剤を加える前述のステップ(b)が行われる。
【0139】
別の一実施形態においては、上記水性重合混合物は、硫酸第二鉄、塩化第二鉄などの重合触媒を含むことができる。この触媒は、最終ステップの前に加えられる。別の一実施形態においては、触媒は酸化剤とともに加えられる。
【0140】
一実施形態においては、重合は、水に対して混和性である共分散液体(co−dispersing liquid)の存在下で行われる。好適な共分散液体の例としては、エーテル、アルコール、アルコールエーテル、環状エーテル、ケトン、ニトリル、スルホキシド、アミド、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。一実施形態においては、共分散液体はアルコールである。一実施形態においては、共分散液体は、n−プロパノール、イソプロパノール、t−ブタノール、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、およびそれらの混合物から選択される有機溶剤である。一般に、共分散液体の量は約60体積%未満とすべきである。一実施形態においては、共分散液体の量は約30体積%未満である。一実施形態においては、共分散液体の量は5〜50体積%の間である。重合中に共分散液体を使用することによって、粒度が顕著に減少し、分散体の濾過性が改善される。さらに、この方法によって得られた緩衝材料は、粘度の増加が見られ、これらの分散体から作製された膜は高品質となる。
【0141】
共分散液体は、本発明の方法の任意の時点で反応混合物に加えることができる。
【0142】
一実施形態においては、重合は、ブレンステッド酸である共酸(co−acid)の存在下で行われる。この酸は、HCl、硫酸などの無機酸、あるいは酢酸またはp−トルエンスルホン酸などの有機酸であってよい。あるいは、この酸は、ポリ(スチレンスルホン酸)、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸などの水溶性ポリマー酸、または前述の第2のフッ素化酸ポリマーであってよい。複数の酸の組み合わせを使用することもできる。
【0143】
共酸は、最後に加えられる酸化剤または前駆体モノマーのいずれかが加えられる前の、本発明の方法の任意の時点で反応混合物に加えることができる。一実施形態においては、共酸が加えられた後で、前駆体モノマーとフッ素化酸ポリマーとの両方が加えられ、最後に酸化剤が加えられる。一実施形態においては、共酸が加えられた後で、前駆体モノマーが加えられ、続いてフッ素化酸ポリマーが加えられ、最後に酸化剤が加えられる。
【0144】
一実施形態においては、重合は、共分散液体と共酸との両方の存在下で行われる。
【0145】
一実施形態においては、最初に、水と、アルコール共分散剤と、無機共酸との混合物を反応容器に投入する。これに、前駆体モノマー、フッ素化酸ポリマーの水溶液または分散体、および酸化剤をこの順序で加える。混合物を不安定化する可能性のある高イオン濃度局所領域の形成を防止するため、酸化剤はゆっくり滴下する。この混合物を撹拌し、次に、制御された温度において反応を進行させる。重合が完了してから、反応混合物を強酸陽イオン樹脂で処理し、撹拌し、濾過し、続いて、塩基性陰イオン交換樹脂で処理し、撹拌し、濾過する。前述したように、別の添加順序を使用することもできる。
【0146】
本発明の新規導電性ポリマー組成物の製造方法において、酸化剤の全前駆体モノマーに対するモル比は、一般に0.1〜2.0の範囲内であり、一実施形態においては0.4〜1.5である。フッ素化酸ポリマーの全前駆体モノマーに対するモル比は、一般に0.2〜5の範囲内である。一実施形態においては、この比は1〜4の範囲内である。全体の固形分は、一般に、重量パーセントの単位で、約1.0%〜10%の範囲内であり、一実施形態においては約2%〜4.5%の範囲内である。反応温度は、一般に約4℃〜50℃の範囲内であり、一実施形態においては約20℃〜35℃の範囲内である。場合により使用される共酸の前駆体モノマーに対するモル比は約0.05〜4である。酸化剤の添加時間は粒度および粘度に影響を与える。したがって、添加速度を遅くすることによって粒度を減少させることができる。同時に、添加速度を遅くすることによって粘度は増加する。反応時間は、一般に約1〜約30時間の範囲内である。
【0147】
(b.導電性ポリマーとフッ素化酸ポリマーとの混合)
一実施形態においては、本質的に導電性のポリマーが、フッ素化酸ポリマーとは別に形成される。一実施形態においては、これらのポリマーは、対応するモノマーを水溶液中で酸化重合させることによって調製される。一実施形態においては、酸化重合は水溶性酸の存在下で行われる。一実施形態においては、この酸は、水溶性非フッ素化ポリマー酸である。一実施形態においては、この酸は、非フッ素化ポリマースルホン酸である。この酸の一部の非限定的な例は、ポリ(スチレンスルホン酸)(「PSSA」)、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)(「PAAMPSA」)、およびそれらの混合物である。酸化重合によって、正電荷を有するコポリマーが得られる場合、その酸の陰イオンが導電性ポリマーの対イオンとなる。この酸化重合は、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、およびそれらの混合物などの酸化剤を使用して行われる。
【0148】
本発明の新規な導電性ポリマー組成物は、本質的に導電性のポリマーをフッ素化酸ポリマーとブレンドすることによって調製される。これは、本質的に導電性のポリマーの水性分散体を、ポリマー酸の分散体または溶液に加えることによって行うことができる。一実施形態においては、この組成物は、成分を確実に混合するために、超音波処理またはマイクロ流動化を使用してさらに処理される。
【0149】
一実施形態においては、本質的に導電性のポリマーおよびフッ素化酸ポリマーの一方または両方が、固体の形態で分離される。この固体材料は、水中、あるいは他の成分の水溶液または分散体の中に再分散させることができる。たとえば、本質的に導電性のポリマーの固体を、フッ素化酸ポリマー水溶液または分散体の中に分散させることができる。
【0150】
(c.pH調整)
合成された時点では、本発明の新規導電性コポリマー組成物の水性分散体は、一般に非常に低いpHを有する。一実施形態においては、デバイスの性質に悪影響を与えずに、pHをより高い値に調整される。一実施形態においては、分散体のpHは約1.5〜約4に調整される。一実施形態においては、pHは3〜4の間に調整される。pHは、イオン交換、または塩基性水溶液を使用した滴定などの周知の技術を使用して調整できることが分かっている。
【0151】
一実施形態においては、重合反応の完了後、分解した化学種、副反応生成物、および未反応モノマーを除去するため、およびpHを調整するために、好適な条件下で、合成された状態の水性分散体を、少なくとも1つのイオン交換樹脂と接触させることによって、所望のpHを有する安定な水性分散体が生成される。一実施形態においては、合成された状態の水性分散体を、第1のイオン交換樹脂および第2のイオン交換樹脂と任意の順序で接触させる。合成された状態の水性分散体は、第1および第2のイオン交換樹脂の両方で同時に処理することもできるし、一方で処理した後に続いて他方で処理することもできる。
【0152】
イオン交換は、流体媒体(水性分散体など)中のイオンが、流体媒体に対して不溶性である固定された固体粒子に結合した類似の荷電イオンと交換される可逆的な化学反応である。本明細書においては、あらゆるこのような物質を意味するために用語「イオン交換樹脂」が使用される。イオン交換基が結合するポリマー支持体が架橋性を有するため、この樹脂は不溶性となる。イオン交換樹脂は、陽イオン交換体または陰イオン交換体に分類される。陽イオン交換体は、交換に利用可能な正に帯電した可動イオンを有し、典型的には、プロトンまたはナトリウムイオンなどの金属イオンを有する。陰イオン交換体は、負に帯電した交換可能なイオンを有し、典型的には水酸化物イオンを有する。
【0153】
一実施形態においては、第1のイオン交換樹脂は、プロトンイオンまたは金属イオンの形態、典型的にはナトリウムイオンの形態であってよい陽イオン酸交換樹脂である。第2のイオン交換樹脂は塩基性陰イオン交換樹脂である。プロトン交換樹脂などの酸性陽イオン交換樹脂と、塩基性陰イオン交換樹脂との両方が、本発明の実施において使用が考慮されている。一実施形態においては、酸性陽イオン交換樹脂は、スルホン酸陽イオン交換樹脂などの無機酸陽イオン交換樹脂である。本発明の実施において使用が考慮されるスルホン酸陽イオン交換樹脂としては、たとえば、スルホン化スチレン−ジビニルベンゼンコポリマー、スルホン化架橋スチレンポリマー、フェノール−ホルムアルデヒド−スルホン酸樹脂、ベンゼン−ホルムアルデヒド−スルホン酸樹脂、およびそれらの混合物が挙げられる。別の一実施形態においては、酸性陽イオン交換樹脂は、カルボン酸、アクリル、またはリンの陽イオン交換樹脂などの有機酸陽イオン交換樹脂である。さらに、異なる陽イオン交換樹脂の混合物を使用することができる。
【0154】
別の一実施形態においては、塩基性陰イオン交換樹脂は、第3級アミン陰イオン交換樹脂である。本発明の実施において使用が考慮される第3級アミン陰イオン交換樹脂としては、たとえば、第3級アミノ化スチレン−ジビニルベンゼンコポリマー、第3級アミノ化架橋スチレンポリマー、第3級アミノ化フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、第3級アミノ化ベンゼン−ホルムアルデヒド樹脂、およびそれらの混合物が挙げられる。さらに別の一実施形態においては、塩基性陰イオン交換樹脂は、第4級アミン陰イオン交換樹脂、あるいはこれらおよびその他の交換樹脂の混合物である。
【0155】
第1および第2のイオン交換樹脂は、合成された状態の水性分散体に、同時または連続のいずれかで接触させることができる。たとえば、一実施形態においては、両方の樹脂は、合成された状態の導電性コポリマーの水性分散体に同時に加えられ、少なくとも約1時間、たとえば約2時間〜約20時間の間、分散体との接触を維持する。次に、濾過することによって、イオン交換樹脂を分散体から除去することができる。フィルターのサイズは、比較的大きなイオン交換樹脂粒子が除去され、より小さな分散粒子は通過するように選択される。理論によって束縛しようと望むものではないが、イオン交換樹脂は、重合を停止させ、さらに、イオン性および非イオン性の不純物、ならびに大部分の未反応モノマーを合成された状態の水性分散体から効率的に除去すると考えられている。さらに塩基性の陰イオン交換樹脂および/または酸性の陽イオン交換樹脂は、酸性部位をより塩基性にするため、結果として分散体のpHが増加する。一般に、新規導電性コポリマー組成物1グラム当たり、約1〜5グラムのイオン交換樹脂が使用される。
【0156】
多くの場合、塩基性イオン交換樹脂を使用することでpHを所望の値に調整することができる。場合によっては、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウムなどの溶液などの塩基性水溶液を使用して、pHをさらに調整することができる。
【0157】
別の一実施形態においては、本発明の新規導電性コポリマー組成物の水性分散体に高導電性添加剤を加えることによって、より導電性の高い分散体が形成される。比較的高いpHを有する分散体が形成されるので、この導電性添加剤、特に金属添加剤は、分散体中の酸には引き寄せられない。好適な導電性添加剤の例としては、金属の粒子およびナノ粒子、ナノワイヤ、カーボンナノチューブ、黒鉛の繊維または粒子、炭素粒子、ならびにそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0158】
(4.溶存酸素の除去)
本発明の導電性ポリマー組成物の水性分散体は、続いて水性液体媒体から溶存酸素を除去するための処理が行われる。
【0159】
一実施形態においては、膜に基づいた脱ガスが使用される。この方法では、非常に小さな孔径を有する微孔質で疎水性の膜が使用される。一実施形態においては、孔径が0.1μm未満である。一実施形態においては、孔径が0.01〜0.05μmの間である。一実施形態においては、孔径が約0.03μmである。膜の一方の側に水性分散体が通され、および大気、真空、または別の相が他方の側に適用されることで溶存酸素が除去される。2つの側の間でガスの濃度または圧力に差が生じるため、溶存酸素は水性媒体を離れて、孔隙を通過して、膜の他方の側に移動する。一実施形態においては、真空が適用される。膜は疎水性材料を含み、その孔隙は小さいため、水性分散体は孔隙を容易には通過しない。ガス、特に酸素は、分子レベルで孔隙を自由に通過することができ、除去されることができる。このような膜は、たとえば、米国特許公報(特許文献13)、米国特許公報(特許文献14)、および米国特許公報(特許文献15)において議論されている。
【0160】
一実施形態においては、脱ガスに中空繊維膜が使用される。中空繊維膜は、多孔質の壁を有する管状のフィラメントである。一実施形態においては、図2に示すように、水性分散体は中空繊維10の外側11を流れる。真空および/またはスイープガスを繊維の内側12に適用する。分散体の水性媒体中に溶解した酸素は、孔隙13を通過して移動し、除去される。中空繊維膜は、一般に図3に示されるようなハウジング内に収容される。ハウジング20は、液体入口21、液体出口22、および真空ポート23。中空繊維膜カートリッジは、たとえば、メンブラナ(Membrana)(ノースカロライナ州シャーロット(Charlotte,NC))より市販されている。
【0161】
一実施形態においては、導電性ポリマー組成物の水性分散体は、真空を使用して中空繊維膜に通すことで酸素が除去される。真空レベルおよび流量は、使用される実際の装置に依存する。ある実施形態においては、100torr未満の真空が使用される。ある実施形態においては、真空は50torr未満であり、ある実施形態においては10torr未満であり、ある実施形態においては1torr未満である。一実施形態においては、流量は10〜50ml/分の間である。ある実施形態においては、水性分散体を中空繊維膜に2回以上通される。ある実施形態においては、水性分散体は直列した2つ以上の中空繊維膜に通される。
【0162】
別の一実施形態においては、水性分散体液体媒体中の溶存酸素は不活性ガスで置換することによって除去される。窒素、アルゴン、およびヘリウム等のガスが一般に使用される。これらのガスは、水性分散体中に単純にバブリングすることができる。一実施形態においては、ヘリウムが使用される。必要な時間は、水性分散体の量およびガス流量に依存する。
【0163】
別の一実施形態においては、溶存酸素は化学的還元剤を加えることによって除去される。亜硫酸アンモニウムは使用可能な還元剤の一例であり、結果として硫酸イオンが形成される。導電性ポリマー組成物の最終用途に依存するが、追加される副生成物イオンが許容される場合もされない場合もある。
【0164】
別の一実施形態においては、溶存酸素は、凍結−ポンプ−解凍のサイクルによって除去される。水性分散体をフラスコに入れ、通常は液体窒素を使用して急速冷凍する。続いて、真空を適用し、フラスコを封止する。封止したフラスコを温めて流体を解凍する。これは温水浴を使用して行うことができる。解凍によって、酸素ガスの気泡が形成され、これは真空によって除去される。ある実施形態においては、この方法が2回以上繰り返される。
【0165】
一実施形態においては、脱ガスされた水性分散体は、酸素量が飽和レベルの10%未満となる。多くの場合、飽和した水は酸素含有量が約8.5ppmである。一実施形態においては、脱ガスした水性分散体は、酸素量が0.5ppm未満であり、一実施形態においては0.1ppm未満である。
【0166】
脱ガス後、導電性ポリマー組成物の水性分散体は、酸素の再吸収が防止されるような方法で保管される。一実施形態においては、水性分散体は不活性ガスのブランケット下で保管される。一実施形態においては、このガスが窒素である。一実施形態においては、水性分散体は、酸素の透過を最小限にするために封止されたガラス容器中に保管される。一実施形態においては、容器中に脱酸素剤が存在する。脱酸素剤は、容器内に残留する酸素や容器内に入り込む酸素と反応する。一実施形態においては、脱酸素剤はプラスチックフィルムの形態である。このフィルムは、容器壁面のライニング、キャップのライナー、シート挿入物、またはそれらのあらゆる組み合わせであってよい。脱酸素フィルム組成物は、たとえば、米国特許公報(特許文献16)に開示されている。
【0167】
(6.有機電子デバイス)
有機電子デバイスの例としては:(1)電気エネルギーを放射線に変換するデバイス(たとえば、発光ダイオード、発光ダイオードディスプレイ、ダイオードレーザー、または照明パネル)、(2)電子的方法を使用して信号を検出するデバイス(たとえば、光検出器、光導電セル、フォトレジスタ、フォトスイッチ、フォトトランジスタ、光電管、赤外線(「IR」)検出器、またはバイオセンサー)、(3)放射線を電気エネルギーに変換するデバイス(たとえば、光起電性デバイスまたは太陽電池)、(4)1つまたは複数の有機半導体層(たとえば、トランジスタまたはダイオード)を含む1つまたは複数の電子部品を含むデバイス、あるいは項目(1)〜(4)中のデバイスのあらゆる組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0168】
本明細書に記載される導電性ポリマー組成物は、このような電子デバイス中の導電性層または半導体層のいずれかの形成に使用することができる。
【0169】
有機発光ダイオード(「OLED」)は、エレクトロルミネッセンスが可能な有機層を含む有機電子デバイスである。導電性ポリマーを含有するOLEDは以下の構成を有することができる:
アノード/緩衝層/EL材料/カソード
通常、アノードは、たとえば、インジウム/スズ酸化物(ITO)などの、透明でありEL材料中に正孔を注入する能力を有するあらゆる材料である。場合により、アノードは、ガラスまたはプラスチックの基体上に支持されている。EL材料としては、蛍光性化合物、蛍光性およびリン光性の金属錯体、共役ポリマー、ならびにそれらの混合物が挙げられる。通常、カソードは、EL材料中に電子を注入する能力を有するあらゆる材料(たとえばCaまたはBaなど)である。本明細書に記載される導電性ポリマー組成物はOLED中の緩衝層の形成に使用することができる。
【0170】
低電圧がかかったときに大電流を流す能力を有する導電性ポリマーは、薄膜電界効果トランジスタなどの電子デバイス用の電極としても有用である。このようなトランジスタにおいては、電子および/または正孔の電荷担体の高い移動性を有する有機半導体フィルムが、ソース電極とドレイン電極との間に存在する。ゲート電極は、半導体ポリマー層の反対側にある。電極用途で有用となるためには、導電性ポリマーまたは半導体ポリマーのいずれかの再溶解を回避するために、導電性ポリマー、ならびに導電性ポリマーを分散または溶解させるための液体が、半導体ポリマーおよび半導体ポリマー用溶媒に対して相溶性である必要がある。
【実施例】
【0171】
本明細書に記載される概念を以下の実施例でさらに説明するが、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲がこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0172】
(実施例1)
概要または実施例において前述したすべての行為が必要なわけではなく、特定の行為の一部は不要である場合があり、1つまたは複数のさらに別の行為が、前述の行為に加えて実施される場合があることに留意されたい。さらに、行為が列挙されている順序は、必ずしもそれらが実施される順序ではない。
【0173】
以上の明細書において、具体的な実施形態を参照しながら本発明の概念を説明してきた。しかし、当業者であれば、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲から逸脱せずに種々の修正および変更を行えることが理解できよう。したがって、本明細書および図面は、限定的な意味ではなく説明的なものであると見なすべきであり、すべてのこのような修正は本発明の範囲内に含まれることを意図している。
【0174】
特定の実施形態に関して、利益、その他の利点、および問題に対する解決法を以上に記載してきた。しかし、これらの利益、利点、問題の解決法、ならびに、なんらかの利益、利点、または解決法を発生させたり、より顕著にしたりすることがある、あらゆる特徴が、特許請求の範囲のいずれかまたはすべての重要、必要、または本質的な特徴であるとして解釈すべきではない。
【0175】
本明細書において明記される種々の範囲内の数値が使用される場合、記載の範囲内の最小値および最大値の両方の前に単語「約」が付けられているかのように近似値として記載されている。この方法では、記載の範囲よりもわずかに上およびわずかに下のばらつきを使用して、その範囲内の値の場合と実質的に同じ結果を得ることができる。また、これらの範囲の開示は、ある値の一部の成分を異なる値の一部の成分と混合した場合に生じうる分数値を含めて、最小平均値と最大平均値との間のすべての値を含む連続した範囲であることを意図している。さらに、より広い範囲およびより狭い範囲が開示される場合、ある範囲の最小値を別の範囲の最大値と一致させること、およびその逆のことが本発明の意図の範囲内となる。
【0176】
別々の実施形態の状況において、明確にするために本明細書に記載されている特定の複数の特徴は、1つの実施形態の中で組み合わせても提供できることを理解されたい。逆に、簡潔にするため1つの実施形態の状況において説明した種々の特徴も、別々に提供したり、あらゆる副次的な組み合わせで提供したりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0177】
【図1】接触角を説明する図である。
【図2】中空繊維膜フィルターを説明する図である。
【図3】ハウジング内の中空繊維膜フィルターの概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶存酸素含有量が飽和レベルの10%未満である水性液体媒体中に分散した導電性ポリマー組成物であって、前記導電性ポリマー組成物が、フッ素化酸ポリマーをドープした導電性ポリマー、フッ素化酸ポリマーと混合した導電性ポリマー、およびそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする組成物。
【請求項2】
前記酸素含有量が0.5ppm未満であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記導電性ポリマー組成物の30日間での導電率の変化が10%未満であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。

【公表番号】特表2009−538973(P2009−538973A)
【公表日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−513304(P2009−513304)
【出願日】平成19年6月1日(2007.6.1)
【国際出願番号】PCT/US2007/012992
【国際公開番号】WO2007/143124
【国際公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】