説明

導電性ローラ及びその製造方法

【課題】導電性軸体の外周に沿って、該導電性軸体に接着剤層を介して接着された導電性弾性体層を設けた導電性ローラにおいて、該導電性弾性体層がスチレンブタジエンゴムを含有する場合であっても、導電性弾性体層と導電性軸体との接着性に優れ、従って研削時でのビビリが無く、表面性が優れかつ均一な電気特性が得られ、電子写真装置における均一帯電、均一転写が可能な導電性ローラ及びその導電性ローラの製造方法を提供することにある。
【解決手段】導電性軸体の外周に沿って、該導電性軸体に接着剤層を介して接着された導電性弾性体層を設けた導電性ローラにおいて、該導電性弾性体層がスチレンブタジエンゴムを含有し、該接着剤層が主鎖にエステル基を有する樹脂を含有することを特徴とする導電性ローラ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真装置における帯電ローラ等に使用される導電性ローラ及びその導電性ローラの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複写機、プリンター等の電子写真方式の画像形成装置では、感光体の表面を均一に帯電させ、この感光体に光学系から映像を投射して、光の当たった部分の帯電を消去することによって潜像を形成し、次いで、トナーの付着によるトナー像の形成(現像)、転写紙等の記録媒体へのトナー像の転写により、プリントする方法がとられている。
【0003】
このような画像形成装置は近年小型化や低コスト化を図る為、接触帯電方式のものが用いられるようになっている。接触帯電方式で用いられる帯電ローラを直流電圧(DC)に交流電圧(AC)を併用した重畳電圧を印加して使用する場合では、電界強度の変化に伴う帯電部材と感光体との間の振動によって帯電音が発生する。これを抑制する方法としては、帯電ローラの弾性体層のゴム組成物中に軟化剤を多量配合する方法や弾性体層を導電性の発泡ゴムで構成するなどして低硬度化を図る方法(例えば特許文献1)や弾性体のtanδ(損失正接)を調整することによって抑制する方法(例えば特許文献2)が知られている。そのため、このようなtanδ等のローラ特性や加工条件等に対応するためには、グレード数が多く、選択の幅が広いスチレンブタジエンゴムのようなゴム材料が望ましい。
【0004】
また帯電ローラ等の導電性ローラは、カラー化・高精細化・高速化に伴い、よって均一帯電や均一転写が求められるため、抵抗ムラを減少させる必要があり、外径精度や振れ精度等のローラ寸法精度の向上が求められる。更に、表面性向上や電気特性改善のため、少なくとも1層以上の表層が設けられた構成が採用されることが多い。
【0005】
これらの導電性ローラを製造する場合、以下のような方法が知られている。未加硫の導電性ゴム組成物を押出し機でチューブ状に成形し、水蒸気加硫缶や熱風炉やマイクロ波加硫装置等で加硫を行い、得られた導電性ゴムチューブに導電性軸体を圧入することによって目的のローラをチューブ圧入方式で得る方法や押出し機を用いて未加硫の導電性ゴム組成物を押出すと同時に、連続的に該導電性軸体を押出し機のクロスヘッドダイを通過させて、導電性軸体の外周上に未加硫の導電性ゴム組成物を配置せしめローラ形状にした後、加硫工程を経て製造する方法が知られている。その後、どちらの製法で製造されたローラも円筒研削盤で導電性ゴムローラの該ゴム組成物層を研磨することにより目的のローラ形状精度を出す方法が知られている。
【0006】
上記の製造方法でローラを製造した場合、製品でローラを回転させた時、導電性軸体と導電性ゴム組成物で形成された導電性弾性体層との間でズレが生じたり、円筒研削盤による研削時のストレスにより、ズレが生じビビリが発生し、外径精度が悪くなるという問題がある。また導電性弾性体層が発泡弾性体であった場合、さらにビビリやズレが生じやすく、外径精度が悪化しやすい。
【0007】
この問題の解決策として、導電性軸体と導電性弾性体層の間に接着剤が使用されている。接着剤は、クロスヘッド製法で製造する場合、一般的に加硫接着剤が使われることが多い。加硫工程において、加硫接着剤と未加硫ゴムとの間で架橋反応が起こり、強固な結びつきが発生し、導電性軸体と接着剤との間では、物理的吸着により接着力が発生する。このような加硫接着剤としては、以前から各社メーカーより提供されている。加硫接着剤の種類としては、フェノール系、クロロプレン系、ポリオレフィン系及びエポキシ系等の加硫接着剤が挙げられる(例えば特許文献3及び4)。
【0008】
しかし、チューブ圧入方式で製造する場合、予め押出し機によってチューブ形状に成形され、加硫したものであるため、加硫接着が困難になる傾向がある。後加硫接着の場合には張り合わせ面に圧力が必要である。しかし圧入した時の締め付け力程度では、後加硫接着の効果を十分に発揮できず、接着力が弱く上記チューブ圧入方式で得た導電性ローラは、研削時の強いストレスでズレが生じ、外径精度が悪くなり、均一帯電、均一転写が得られなくなり、画像ムラを発生する要因と繋がる。したがって、導電性弾性体層と接着剤との組み合わせの選択が重要となる。
【0009】
該導電性弾性体層がエピクロルヒドリンゴム等の有極性ゴムを含有する場合に、該接着剤層に主鎖にエステル基を有する接着剤を用いる方法が知られている(例えば特許文献5)。一般に、有極性ゴムとしては、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム、ノルボルネンゴム等を挙げることができ、無極性ゴムとしては、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ハイスチレンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、シリコンゴム、天然ゴム等を挙げることができる。特許文献5では、該導電性弾性体層がスチレンブタジエンゴムを含有する場合に用いる接着剤については何ら検討されていないため、該導電性軸体と該導電性弾性体層の接着に適した接着剤の検討が必要とされていた。
【特許文献1】特開平05−210281号公報
【特許文献2】特開平04−161964号公報
【特許文献3】特開平10−293440号公報
【特許文献4】特開2002−187157号公報
【特許文献5】特開2002−147435号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、このような事情を背景になされたものであって、その解決課題とするところは、導電性軸体の外周に沿って、該軸体に接着剤層を介して接着された導電性弾性体層を設けた導電性ローラにおいて、該導電性弾性体層がスチレンブタジエンゴムを含有する場合であっても、導電性弾性体層と導電性軸体との接着性に優れ、従って研削時でのビビリが無く表面性に優れかつ均一な電気特性が得られ、電子写真装置における均一帯電、均一転写が可能な導電性ローラ及びその導電性ローラの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は以下により、その目的を達成する。
【0012】
本発明に係る導電性ローラのうち請求項1に係るものは、導電性軸体の外周に沿って、該軸体に接着剤層を介して接着された導電性弾性体層を設けた導電性ローラにおいて、該導電性弾性体層がスチレンブタジエンゴムを含有し、該接着剤層が主鎖にエステル基を有する樹脂を含有することを特徴とする。
【0013】
同請求項2に係るものは、前記導電性弾性体層がチューブ形状に押出し成形し、加硫されたもので、前記導電性軸体の外周に沿って該導電性弾性体層が圧入されたものであることを特徴とする。
【0014】
同請求項3に係るものは、前記導電性弾性体層が発泡弾性体で形成されていることを特徴とする。
【0015】
同請求項4に係るものは、前記接着剤層の厚さが5〜40μmであることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る導電性ローラの製造方法のうち請求項5に係るものは、導電性軸体の外周に沿って該軸体に接着剤層を介して接着された導電性弾性体層を設けた導電性ローラの製造方法において、該導電性弾性体層となる、スチレンブタジエンゴムを含有するゴム組成物をチューブ形状に押出し成形する工程と、該導電性弾性体層を加硫する工程と、主鎖にエステル基を有する樹脂を該導電性軸体の外周に沿って塗布して接着剤層を形成する工程と、該導電性軸体に該接着剤層を介して該導電性弾性体層を圧入する工程とを含むことを特徴とする。
【0017】
同請求項6に係るものは、前記接着剤層の厚さが5〜40μmであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
以上に述べたことから明らかなように、この発明によれば、導電性軸体の外周に沿って、該軸体に接着剤層を介して接着された導電性弾性体層を設けた導電性ローラにおいて、該導電性弾性体層がスチレンブタジエンゴムを含有する場合であっても、導電性弾性体層と導電性軸体との接着性に優れ、従って研削時でのビビリが無く、表面性が優れかつ均一な電気特性が得られ、電子写真装置における均一帯電、均一転写が可能な導電性ローラ及びその導電性ローラの製造方法を提供することができる。
【0019】
また一般に他のゴムと比べてグレード数の多いスチレンブタジエンゴムを用いることができるため、様々なローラ特性や加工条件等に対応できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の詳細について説明する。
【0021】
[導電性ローラ]
本発明は、導電性軸体の外周に沿って、該導電性軸体に接着剤層を介して接着された導電性弾性体層を設けた導電性ローラにおいて、該導電性弾性体層がスチレンブタジエンゴムを含有し、該接着剤層が主鎖にエステル基を有する樹脂を含有することを特徴とする導電性ローラである。すなわち、本発明の導電性ローラは、図1に導電性軸体の軸方向からみた断面図を示したように、導電性軸体cの外周に沿って、導電性軸体cに接着剤層bを介して接着された導電性弾性体層aが設けられている基本構成を有している。本発明の導電性ローラは、例えば導電性弾性体層aの外側に、ローラの表面物性を調整するための表面層をさらに有する構成とすることもできる。
【0022】
(導電性軸体)
本発明に係る導電性ローラの導電性軸体には、例えば、SUM材、SUS材等を用いることができる。また、それらの材料の表面に、例えば、無電解ニッケルメッキ、電解ニッケルメッキ、ハードクロムメッキ等の表面処理が施されていても良い。
【0023】
導電性軸体の径は、例えばφ3.0〜8.0mmとすることができる。
【0024】
(導電性弾性体層)
本発明に係る導電性ローラの導電性弾性体層には、スチレンブタジエンゴムを用いる。スチレンブタジエンゴムを用いるのは、前述のように、tanδ等のローラ特性や加工条件等による選択の幅が広く、安価であるためである。
【0025】
導電性弾性体層は、スチレンブタジエンゴム以外に、目的とする特性に応じて、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、天然ゴム、アクリロニトリルゴム、ハイスチレンゴム等を含有しても良い。導電性弾性体層中に含まれるスチレンブタジエンゴムの量が原料ゴム成分100質量部中60〜100質量部の場合に、特に本発明の効果が大きい。
【0026】
導電性弾性体層の特性については、導電性ローラの用途等から適宜調整することができる。例えば、tanδは0.10〜0.35に調整される。また、体積抵抗率は1×102〜1×109Ωcmに調整される。
【0027】
導電性弾性体層の厚さは、導電性ローラとなった状態で、例えば0.5〜8.0mmとなるように形成される。
【0028】
本発明では、導電性弾性体層が発泡弾性体で形成されていることが好ましい。前述のような帯電音を抑制するためには、低硬度であることが望ましいことから、導電性弾性体層を発泡弾性体とする。また導電性弾性体層を発泡弾性体で形成することによって、ソリッドタイプの導電性弾性体層よりもゴム材料の使用量を減少させることができるため、安価にすることができる。
【0029】
(接着剤層)
本発明に係る導電性ローラの接着剤層には、主鎖にエステル基を有する樹脂を用いる。主鎖にエステル基を有する接着剤を用いるのは、スチレンブタジエンゴムを導電性弾性体層に用いる場合にも、良好な接着性がえられるためである。主鎖にエステル基を有する樹脂を含有する接着剤としては、重縮合カルボン酸ポリエステル、芳香族ポリエステル、ポリエステルポリオールを基本としたポリエステル系の接着剤がある。
【0030】
接着剤層は、主鎖にエステル基を有する樹脂以外に、目的とする特性に応じて、カーボンブラック等を含有しても良い。接着剤層中に含まれる主鎖にエステル基を有する樹脂の量は5〜50質量%が好ましい。
【0031】
接着剤層の特性については、導電性ローラの用途等から適宜調整することができる。例えば、体積抵抗率は10〜1×107Ωcmに調整される。
【0032】
本発明では、接着剤層の厚さは5〜40μmであることが好ましい。接着剤層の厚さが5μmより薄いと塗布ムラができやすく、十分な接着性が得られなくなる場合がある。接着剤層の厚さが40μmより厚いと、接着剤が導電性軸体から剥離しやすくなる傾向があり、また接着剤使用量が増加してしまうため、コストアップにつながり易い。より好ましくは、10〜30μmである。
【0033】
[導電性ローラの製造方法]
上記本発明の導電性ローラは、導電性弾性体層となる、スチレンブタジエンゴムを含有するゴム組成物をチューブ形状に押出し成形する工程(押出し成形工程)と、導電性弾性体層を加硫する工程(加硫工程)と、主鎖にエステル基を有する樹脂を該導電性軸体の外周に沿って塗布して接着剤層を形成する工程(接着剤塗布工程)と、該導電性軸体に該接着剤層を介して該導電性弾性体層を圧入する工程(圧入工程)とを含む方法により好適に製造できる。
【0034】
チューブ形状に押出し成形された導電性弾性体層を、接着剤を塗布した導電性軸体の外周に沿って圧入できない程度に導電性弾性体層のチューブ内径を導電性軸体よりも大きくした場合、外周を円筒研削盤で研削すると導電性弾性体層が円筒研削盤と連れ回ってしまい、研削することができなくなりやすい。また、導電性軸体上に接着剤を塗布しないで導電性弾性体層のチューブを圧入した場合、前述の場合のようなことは無いが、該導電性軸体と該導電性弾性体層が接着していないため、円筒研削盤での研削時のストレスに耐えることができず、ビビリが発生してしまうことがある。
【0035】
しかし、導電性軸体上に接着剤を塗布した導電性弾性体層のチューブを圧入すると、接着剤が加熱され、さらに接着剤の融点以上に加熱することにより接着剤が溶け出し、接着剤が導電性軸体を圧入したチューブ内面の凹凸にまでいきわたり、アンカー効果も引き出す可能性があり、十分な接着性が得られやすい。
【0036】
(押出し成形工程)
この工程は、導電性弾性層となる、スチレンブタジエンゴムを含有するゴム組成物をチューブ形状に押出し成形する工程である。具体的には、まず、導電性弾性体層を形成するために必要な成分を、密閉型混練機、オープンロール機等を用いて混練して、未加硫のゴム組成物を調製する。そして、この未加硫のゴム組成物を押出し機にて、チューブ形状に押出し成形する。
【0037】
チューブ形状に押出し成形された成形品は、接着剤層を形成した導電性軸体に圧入することができる内径を有しているものとする。例えば、接着剤層を形成した導電性軸体の外径よりも0.05〜1.5mm小さい内径とする。
【0038】
(加硫工程)
この工程は、上記で得られたチューブ形状の導電性弾性体層を加硫する工程である。加硫は、水蒸気加硫缶や熱風炉やマイクロ波加硫装置等により行うことができる。
【0039】
加硫の条件は、使用したゴム組成物の物性により適宜調整すれば良い。例えば、120〜200℃で10〜150分の条件で加硫を行うことができる。
【0040】
(接着剤塗布工程)
この工程は、主鎖にエステル基を有する樹脂を含有する接着剤を、導電性軸体の外周に沿って塗布して接着剤層を形成する工程である。接着剤の塗布には、ロールコーター等を使用することができる。必要に応じて溶剤等で希釈した接着剤を使用することもできる。その場合は、塗布後に溶剤を乾燥させれば良い。
【0041】
(圧入工程)
この工程は、導電性軸体に接着剤層を介して導電性弾性体層を圧入する工程である。すなわち、加硫されたチューブ形状の導電性弾性体層をエアー圧で膨らませながら、接着剤層を形成した導電性軸体に圧入することで導電性ローラを得ることができる。
【0042】
(他の工程)
上記圧入工程により得られた導電性ローラを、必要に応じて接着剤の融点以上に加熱し、より接着を強固なものとすることもできる。また、所望の外径に調整するために、外径研削することもできる。
【0043】
(その他の製造方法)
本発明の導電性ローラは、上記方法で製造することが好ましいが、押出し機を用いて未加硫のゴム組成物を押出すと同時に、連続的に該導電性軸体を押出し機のクロスヘッドダイを通過させて、接着剤を塗布した導電性軸体の外周上に未加硫のゴム組成物を配置せしめローラ形状にした後、加硫工程を経て製造することもできる。
【0044】
この場合、導電性軸体の外周上に未加硫のゴム組成物で被覆された状態になるので、加硫工程は、熱風炉や該未加硫ゴム層の表面に対する型の押し当て場所を変化させつつ行う転造装置を用いて行う。
【実施例】
【0045】
以下に本発明について実施例及び比較例を挙げて、より具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
【0046】
まず導電性軸体としてφ6mmのSUM22材にKNメッキ3〜6μm処理したものを使用し、その後、トルエンで洗浄した。その後、下記表1に示す実施例及び比較例の条件で導電性弾性体層と接着剤層を形成する樹脂の種類を変更した導電性ローラを作製した。なお、軸体には7〜35μmの所定厚さの接着剤層を形成するのに必要な量の接着剤をロールコーターで塗布した。
【0047】
評価項目については、接着性、外径研削時のビビリ状態、電気抵抗ムラにより判断した。
【0048】
接着性については、導電性弾性体層をカッターで切り、接着状態を目視で観察した。
◎・・・完全に接着
○・・・僅かに剥離あり
×・・・密着していない
外径研削時のビビリ発生については、表面を目視で観察した。
◎・・・ビビリ発生なし
○・・・僅かに一部ビビリ発生
×・・・全体にビビリがある
電気抵抗ムラについては、φ40mmのSUSドラムに導電性ローラを荷重1kgで押し当て、45rpmで回転させ、導電性軸体よりDC100Vを5秒間印加した時の抵抗を測定し、その値の最大値を最小値で割った値を出した。
◎・・・1.0以上1.5未満
○・・・1.5以上2.0未満
×・・・2.0以上
(導電性弾性体層形成用の材料)
実施例1・3・4及び比較例1・2で用いた導電性弾性体層形成用のゴム組成物
スチレンブタジエンゴム[商品名:Nipol 1502、日本ゼオン株式会社製]100質量部、酸化亜鉛[商品名:酸化亜鉛第2種、ハクスイテック株式会社製]5質量部、ステアリン酸[商品名:ステアリン酸S、花王株式会社製]1質量部、カーボンブラック[商品名:ケッチェンブラックEC600JD、ケッチェン・ブラック・インターナショナル株式会社製]10質量部、カーボンブラック[商品名:旭#35、旭カーボン株式会社製]10質量部、パラフィンオイル[商品名:ダイアナプロセスオイルPW−380、出光興産株式会社製]25質量部、ジベンゾチアジルジサルファイド[商品名:ノクセラーDM、大内新興化学工業株式会社製]1.5質量部、テトラエチルチウラムジスルフィド[商品名:ノクセラーTET、大内新興化学工業株式会社製]0.5質量部、及び硫黄[商品名:サルファックスPMC、鶴見化学工業株式会社製]1.5質量部を密閉型混練機及びオープンロール機を用いて混練を行うことにより未加硫のゴム組成物を得た。
【0049】
実施例2・5・6及び比較例3・4で用いた導電性弾性体層形成用のゴム組成物
スチレンブタジエンゴム[商品名:Nipol 1502、日本ゼオン株式会社製]100質量部、酸化亜鉛[商品名:酸化亜鉛第2種、ハクスイテック株式会社製]5質量部、ステアリン酸[商品名:ステアリン酸S、花王株式会社製]1質量部、カーボンブラック[商品名:ケッチェンブラックEC600JD、ケッチェン・ブラック・インターナショナル株式会社製]10質量部、カーボンブラック[商品名:旭#35、旭カーボン株式会社製]10質量部、パラフィンオイル[商品名:ダイアナプロセスオイルPW−380、出光興産株式会社製]25質量部、ジベンゾチアジルジサルファイド[商品名:ノクセラーDM、大内新興化学工業株式会社製]1.5質量部、テトラエチルチウラムジスルフィド[商品名:ノクセラーTET、大内新興化学工業株式会社製]0.5質量部、アゾジカルボンアミド[商品名:ビニホールLQ、永和化成工業株式会社製]8質量部、尿素[商品名:セルトンNP、三協化成株式会社製]3質量部、及び硫黄[商品名:サルファックスPMC、鶴見化学工業株式会社製]1.5質量部を密閉型混練機及びオープンロール機を用いて混練を行うことにより未加硫のゴム組成物を得た。
【0050】
比較例5で用いた導電性弾性体層形成用のゴム組成物
エチレンプロピレンゴム[商品名:4070、三井化学株式会社製]100質量部、酸化亜鉛[商品名:酸化亜鉛第2種、ハクスイテック株式会社製]10質量部、ステアリン酸[商品名:ステアリン酸S、花王株式会社製]2質量部、カーボンブラック[商品名:ケッチェンブラックEC600JD、ケッチェン・ブラック・インターナショナル株式会社製]12質量部、カーボンブラック[商品名:旭#35、旭カーボン株式会社製]30質量部、パラフィンオイル[商品名:ダイアナプロセスオイルPW−380、出光興産株式会社製]60質量部、2−メルカプトベンゾチアゾール[商品名:ノクセラーM、大内新興化学工業株式会社製]2質量部、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛[商品名:ノクセラーBZ、大内新興化学工業株式会社製]1質量部、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド[商品名:ノクセラーTRA、大内新興化学工業株式会社製]1質量部、及び硫黄[商品名:サルファックス200S、鶴見化学株式会社製]1.5質量部を密閉型混練機及びオープンロール機を用いて混練を行うことにより未加硫のゴム組成物を得た。
【0051】
(接着剤層形成用の材料)
導電性軸体外周上に塗布した接着剤は、以下のものを用いた。
ポリエステル系
商品名:PES320SB、東亜合成化学株式会社製
フェノール系
商品名:メタロックU20、東洋化学研究所製
オレフィン系
商品名:CHEMLOK252、ロード・ファー・イースト株式会社製
(導電性ローラの製造)
導電性ローラは以下の方法により形成した。まず、導電性未加硫ゴム組成物を練り、1軸押出し機にてチューブ状に押出し成形した。その後、加硫缶にて160℃で30分間加硫を行った。得られて加硫チューブを外周上に接着剤を塗布した軸体に圧入し、接着剤を融点以上にするため、150℃で20分間加熱し接着を行い、十分冷却をしてから、外径研削して、厚さ3.5mmの導電性弾性体層を形成した。
【0052】
得られた導電性ローラの評価結果を表1に示す。
【0053】
実施例1〜6に関しては、接着性・研削時のビビリ発生・電気抵抗ムラ全て概ね良好な結果を得た。実施例3及び5については他の実施例のものと比べると、若干接着性に劣るため研削時のビビリについて若干の発生が見られた。比較例1〜5に関しては、接着剥がれがあり、研削時にビビリが発生した。
【0054】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】導電性ローラを導電性軸体の軸方向からみた断面図である。
【符号の説明】
【0056】
a:導電性弾性体層
b:接着剤層
c:導電性軸体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性軸体の外周に沿って、該導電性軸体に接着剤層を介して接着された導電性弾性体層を設けた導電性ローラにおいて、該導電性弾性体層がスチレンブタジエンゴムを含有し、該接着剤層が主鎖にエステル基を有する樹脂を含有することを特徴とする導電性ローラ。
【請求項2】
前記導電性弾性体層がチューブ形状に押出し成形し、加硫されたもので、前記導電性軸体の外周に沿って該導電性弾性体層が圧入されたものであることを特徴とする請求項1に記載の導電性ローラ。
【請求項3】
前記導電性弾性体層が発泡弾性体で形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の導電性ローラ。
【請求項4】
前記接着剤層の厚さが5〜40μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の導電性ローラ。
【請求項5】
導電性軸体の外周に沿って、該導電性軸体に接着剤層を介して接着された導電性弾性体層を設けた導電性ローラの製造方法において、該導電性弾性体層となる、スチレンブタジエンゴムを含有するゴム組成物をチューブ形状に押出し成形する工程と、該導電性弾性体層を加硫する工程と、主鎖にエステル基を有する樹脂を該導電性軸体の外周に沿って塗布して接着剤層を形成する工程と、該導電性軸体に該接着剤層を介して該導電性弾性体層を圧入する工程とを含むことを特徴とする導電性ローラの製造方法。
【請求項6】
前記接着剤層の厚さが5〜40μmであることを特徴とする請求項5に記載の導電性ローラの製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2007−101603(P2007−101603A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−287645(P2005−287645)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(393002634)キヤノン化成株式会社 (640)
【Fターム(参考)】