説明

導電性ローラ及びその製造方法

【課題】導電性軸体を押出し機のクロスヘッドダイを通過させると共に未加硫のゴム組成物を押出し、該導電性軸体の外周上に該ゴム組成物を配置し、加硫することによって、導電性弾性体層を設けた導電性ローラにおいて、導電性軸体両端部の弾性体層の浮き上がりや盛り上がりを抑制する導電性ローラ及びその製造方法を提供することにある。
【解決手段】導電性軸体cを押出し機のクロスヘッドダイを通過させると共に未加硫のゴム組成物を押出し、該導電性軸体の外周上に該ゴム組成物を配置し、加硫することによって、導電性弾性体層aを設けた導電性ローラにおいて、該ゴム組成物の100℃におけるムーニー粘度ML(1+4)が10以上40以下であり、該ゴム組成物中のゴム成分の割合が25〜35質量%であることを特徴とする導電性ローラ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真装置における帯電ローラや転写ローラ等に使用される導電性ローラ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複写機、プリンター等の電子写真方式の画像形成装置では、感光体の表面を均一に帯電させ、この感光体に光学系から映像を投射して、光の当たった部分の帯電を消去することによって潜像を形成し、次いで、トナーの付着によるトナー像の形成(現像)、転写紙等の記録媒体へのトナー像の転写により、プリントする方法がとられている。このような帯電部材や転写部材として、各種導電性弾性体層を設けた導電性ローラが使用されている。
【0003】
このような導電性弾性体層に使用されるゴム組成物としては、例えば以下のようなものが知られている。スチレンブタジエンゴム・ニトリルブタジエンゴム・エチレンプロピレンゴム・エピクロルヒドリンゴム等の各種原料ゴムにカーボンブラックや炭酸カルシウム等のフィラー類、加硫剤、加硫促進剤、軟化剤等を加えたものを混練りしゴム組成物を得る。
【0004】
しかしながら、ニトリルブタジエンゴムやエピクロルヒドリンゴム等の極性ポリマーを含有するゴム組成物を、前記導電性ローラに用いた場合、感光体との接触による感光体への汚染が問題となることがあるため、導電性弾性体層の上に感光体汚染防止のためにウレタン、ポリアミド、熱可塑性エラストマー(スチレン系、オレフィン系、ポリエステル系)、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、フッ素樹脂、フッ素ゴム等からなる単層又は複数層を被覆することが知られている(特許文献1)。しかしながら、被覆する材料や被覆層の厚さなどによっては、導電性弾性体層からの汚染物質の染み出しを防止できずに、感光体汚染が発生する場合もあった。
【0005】
ところで、このような導電性ローラの製造方法としては、以下のような方法が知られている。まずゴム組成物を押出し機を用いてチューブ状に押出した後、熱風炉、加硫缶、マイクロ波加硫装置(UHF)を用い加硫する工程を経て導電性ゴムチューブを成形した後、さらに接着剤を塗布した導電性軸体を導電性ゴムチューブに挿入後、加熱による接着工程を経て導電性ローラを製造する方法が知られている。しかしながら、この製造方法は工程数が多く製造コストが高くなるという問題がある。工程を簡略化するために、上記ゴム組成物をあらかじめ必要部分に接着剤を塗布した導電性軸体上に配置し、導電性軸体上で加硫と接着を同時に行う工程を経て導電性ローラを製造する方法が知られている。
【0006】
ゴム組成物をあらかじめ必要部分に接着剤を塗布した導電性軸体上に配置し、導電性軸体上で加硫と接着を同時に行うような工程としては、金型により行うものと熱風炉で行うものが挙げられるが、熱風炉では押出し機と連結して連続して生産することが可能であり、金型等を用いて生産する場合に比べて生産性や金型コスト上有利になる点が多い(特許文献2)。
【0007】
ゴム組成物をあらかじめ必要部分に接着剤を塗布した導電性軸体上に配置する方法としては、押出し機を用いて該ゴム組成物を押出すと同時に、連続的に導電性軸体を押出し機のクロスヘッドダイを通過させ導電性軸体外周上に該ゴム組成物を配置せしめる方法が知られている。しかしながら、金型を使用しない熱風炉による無加圧下での加硫工程で製造するため、導電性軸体の端部近傍の該ゴム組成物を切断刃により1本毎に切断した際に、該ゴム組成物が収縮して導電性軸体の両端部の弾性体層が盛り上がってしまったり、酷い場合は、浮き上がり剥がれてしまうという問題が生じることがあった。
【0008】
このような導電性ローラは、均一帯電や均一転写ができるように、感光体に均一に当接することが望まれる。そのため、ローラ形状が高精度であることが要求されるので、加硫後円筒研削盤で導電性ローラの導電性弾性体層を研磨することにより目的の形状精度を得る方法が知られている(特許文献3)。
【0009】
しかしながら、上記のように該導電性軸体の両端部の弾性体層が盛り上がってしまうと、研磨の際に、研削負荷が均等にかからないために、盛り上がった部分が剥がれてしまったり、ビビリが発生しやすくなる傾向がある。
【特許文献1】特開平8−328351号公報
【特許文献2】特開2002−236407号公報
【特許文献3】特開2002−132020号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明の課題は、導電性軸体を押出し機のクロスヘッドダイを通過させると共に未加硫のゴム組成物を押出し、該導電性軸体の外周上に該ゴム組成物を配置し、加硫することによって、導電性弾性体層を設けた導電性ローラにおいて、導電性軸体両端部の弾性体層の浮き上がりや盛り上がりが抑制された導電性ローラ及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は以下により、その目的を達成する。
【0012】
本発明に係る導電性ローラのうち同請求項1に係るものは、導電性軸体を押出し機のクロスヘッドダイを通過させると共に未加硫のゴム組成物を押出し、該導電性軸体の外周上に該ゴム組成物を配置し、加硫することによって、導電性弾性体層を設けた導電性ローラにおいて、該ゴム組成物の100℃におけるムーニー粘度ML(1+4)が10以上40以下であり、該ゴム組成物中に含まれるゴム成分の割合が25〜35質量%であることを特徴とする。
【0013】
同請求項2に係るものは、該導電性ローラにおいて、該ゴム組成物が非極性ゴムを含有することを特徴とする。
【0014】
同請求項3に係るものは、該導電性ローラにおいて、該ゴム組成物の100℃におけるムーニー粘度ML(1+4)が15以上35以下であることを特徴とする。
【0015】
同請求項4に係るものは、導電性軸体を押出し機のクロスヘッドダイを通過させると共に未加硫のゴム組成物を押出し、該導電性軸体の外周上に該ゴム組成物を配置し、加硫することによって、導電性弾性体層を設ける導電性ローラの製造方法において、該ゴム組成物の100℃におけるムーニー粘度ML(1+4)が10以上40以下であり、該ゴム組成物中に含まれるゴム成分の割合が25〜35質量%であり、かつ、該ゴム組成物を配置した後、無加圧下で、連続的に加硫することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、導電性軸体両端部の弾性体層の浮き上がりや盛り上がりが抑制された導電性ローラ及びその製造方法を提供することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の詳細について説明する。
【0018】
本発明は、導電性軸体を押出し機のクロスヘッドダイを通過させると共に未加硫のゴム組成物を押出し、該導電性軸体の外周上に該ゴム組成物を配置し、加硫することによって、導電性弾性体層を設けた導電性ローラにおいて、該ゴム組成物の100℃におけるムーニー粘度ML(1+4)が10以上40以下であり、該ゴム組成物中に含まれるゴム成分の割合が25〜35質量%であることを特徴とする導電性ローラである。
【0019】
図1に本発明に係る導電性ローラの一例の全体断面図を示す。図中、aは導電性弾性体層、bは接着剤層、cは導電性軸体を示す。
【0020】
本発明に係る導電性ローラの導電性弾性体層のゴム組成物の100℃におけるムーニー粘度ML(1+4)を10以上40以下にしたのは、100℃におけるムーニー粘度ML(1+4)が10未満であると、未加硫のゴム組成物がべたつくことが多くなり、混練りの際オープンロールや未加硫のローラの搬送治具に張り付いたりなど加工性が悪くなりやすいことや、転造装置を用いて加硫する際に、圧接時に変形が大きくなりすぎて回転に伴って、未加硫のローラが円筒形状を維持できなくなることがある。逆に、100℃におけるムーニー粘度ML(1+4)が40より大きくなると、押出しの際に、押出し機シリンダー内におけるゴム組成物の流れ性が悪くなる傾向があるため、ゴム組成物にかかる圧力が大きくなり、クロスヘッドダイを通過して押出し機から出ると急激にその圧力から開放されるため、未加硫のゴム組成物の収縮が激しく、導電性軸体両端部のゴム組成物が盛り上がってしまったり、浮き上がって剥がれやすくなる傾向があるからである。ゴム組成物の100℃におけるムーニー粘度ML(1+4)が15以上35以下であることがより好ましい。
【0021】
ゴム組成物中のゴム成分の割合を25〜35質量%としたのは、ゴム成分の割合を25質量%より減少させてしまうと、ゴム成分が少ないため、混練りが困難となったり、導電性弾性体層に適したゴム弾性を得ることができなくなってしまうことがある。逆に35質量%より増加させると、ゴム成分が多すぎて収縮が大きくなってしまい、導電性軸体両端部のゴム組成物が盛り上がってしまったり、浮き上がって剥がれやすくなる傾向がある。
【0022】
又本発明においては、導電性ローラのゴム組成物が非極性ゴムを含有することが、感光体への貼り付きや汚染を防止するため好ましい。非極性ゴムは感光体へ接触した場合、馴染みが悪いため、貼り付きや汚染を起こすことが無い。逆に極性ゴムだけを使用した場合は、感光体へ接触した場合、貼り付きや汚染を起こしてしまう。ゴムの種類としては、非極性であれば特に限定されるものではなく、例えば、エチレンプロピレンゴムやブタジエンゴム及びスチレンブタジエンゴム等が挙げられるが、耐オゾン性や耐熱性等が優れているエチレンプロピレンゴムが好ましい。
【0023】
本発明は、導電性軸体を押出し機のクロスヘッドダイを通過させると共に未加硫のゴム組成物を押出し、該導電性軸体の外周上に該ゴム組成物を配置し、加硫することによって、導電性弾性体層を設ける導電性ローラの製造方法において、該ゴム組成物の100℃におけるムーニー粘度ML(1+4)が10以上40以下であり、該ゴム組成物中に含まれるゴム成分の割合が25〜35質量%であり、かつ、該ゴム組成物を配置した後、無加圧下で、連続的に加硫することを特徴とする。
【0024】
本発明の導電性ローラの製造方法においては、未加硫のゴム組成物の押出し工程と連結させて、連続的な加硫工程としている。
【実施例】
【0025】
以下に本発明について実施例及び比較例を挙げて、より具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
【0026】
評価項目については、導電性ローラ端部の弾性体層の浮き、導電性ローラ端部の弾性体層の盛り上がりにより判断した。
【0027】
導電性ローラ端部の浮きについては、加硫後、導電性ローラの両端部から15mmの位置にカッター刃を入れて両端部のゴム層を剥離し、弾性体層の浮き具合を目視で観察した。
【0028】
導電性ローラ端部の盛り上がりについては、加硫後、導電性ローラの両端部から15mmの位置にカッター刃を入れて両端部のゴム層を剥離し、導電性ローラの両端部から15mmの位置と導電性ローラ中央部の外径の差で以下のように評価した。
【0029】
◎・・・1.5mm未満
○・・・1.5mm以上2.0mm未満
×・・・2.0mm以上
【0030】
[弾性体層の材料]
(実施例1に用いた弾性体層のゴム組成物)
エチレンプロピレンゴム[商品名:ESPRENE505A 住友化学株式会社製]100質量部・酸化亜鉛[商品名:酸化亜鉛第2種 ハクスイテック株式会社製]5質量部・ステアリン酸[商品名:ステアリン酸S 花王株式会社製]1質量部・カーボンブラック[商品名:旭#70 旭カーボン株式会社製]80質量部・パラフィンオイル[商品名:ダイアナプロセスオイルPW−380 出光興産株式会社製]60質量部・炭酸カルシウム[商品名:スーパーSS 丸尾カルシウム株式会社製]70質量部・2−メルカプトベンゾチアゾール[商品名:ノクセラーM−P 大内新興化学工業株式会社製]1質量部・テトラエチルチウラムジスルフィド[商品名:ノクセラーTET−G 大内新興化学工業株式会社製]1質量部・ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド[商品名:ノクセラーTRA 大内新興化学工業株式会社製]1質量部・硫黄[商品名:サルファックス200S 鶴見化学株式会社製]1質量部を密閉型混練機及びオープンロール機を用いて混練を行うことにより未加硫のゴム組成物を得た。
【0031】
(実施例2に用いた弾性体層のゴム組成物)
エチレンプロピレンゴム[商品名:ESPRENE505A 住友化学株式会社製]70質量部・エチレンプロピレンゴム[商品名:ESPRENE600F 住友化学株式会社製]60質量部・酸化亜鉛[商品名:酸化亜鉛第2種 ハクスイテック株式会社製]5質量部・ステアリン酸[商品名:ステアリン酸S 花王株式会社製]1質量部・カーボンブラック[商品名:旭#70 旭カーボン株式会社製]80質量部・パラフィンオイル[商品名:ダイアナプロセスオイルPW−380 出光興産株式会社製]60質量部・炭酸カルシウム[商品名:スーパーSS 丸尾カルシウム株式会社製]70質量部・2−メルカプトベンゾチアゾール[商品名:ノクセラーM−P 大内新興化学工業株式会社製]1質量部・テトラエチルチウラムジスルフィド[商品名:ノクセラーTET−G 大内新興化学工業株式会社製]1質量部・ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド[商品名:ノクセラーTRA 大内新興化学工業株式会社製]1質量部・硫黄[商品名:サルファックス200S 鶴見化学株式会社製]1質量部を密閉型混練機及びオープンロール機を用いて混練を行うことにより未加硫のゴム組成物を得た。
【0032】
(実施例3に用いた弾性体層のゴム組成物)
エチレンプロピレンゴム[商品名:ESPRENE505 住友化学株式会社製]100質量部・酸化亜鉛[商品名:酸化亜鉛第2種 ハクスイテック株式会社製]5質量部・ステアリン酸[商品名:ステアリン酸S 花王株式会社製]1質量部・カーボンブラック[商品名:旭#70 旭カーボン株式会社製]80質量部・パラフィンオイル[商品名:ダイアナプロセスオイルPW−380 出光興産株式会社製]60質量部・炭酸カルシウム[商品名:スーパーSS 丸尾カルシウム株式会社製]70質量部・2−メルカプトベンゾチアゾール[商品名:ノクセラーM−P 大内新興化学工業株式会社製]1質量部・テトラエチルチウラムジスルフィド[商品名:ノクセラーTET−G 大内新興化学工業株式会社製]1質量部・ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド[商品名:ノクセラーTRA 大内新興化学工業株式会社製]1質量部・硫黄[商品名:サルファックス200S 鶴見化学株式会社製]1質量部を密閉型混練機及びオープンロール機を用いて混練を行うことにより未加硫のゴム組成物を得た。
【0033】
(比較例1に用いた弾性体層のゴム組成物)
エチレンプロピレンゴム[商品名:ESPRENE505 住友化学株式会社製]100質量部・酸化亜鉛[商品名:酸化亜鉛第2種 ハクスイテック株式会社製]5質量部・ステアリン酸[商品名:ステアリン酸S 花王株式会社製]1質量部・カーボンブラック[商品名:旭#70 旭カーボン株式会社製]90質量部・パラフィンオイル[商品名:ダイアナプロセスオイルPW−380 出光興産株式会社製]60質量部・炭酸カルシウム[商品名:スーパーSS 丸尾カルシウム株式会社製]80質量部・2−メルカプトベンゾチアゾール[商品名:ノクセラーM−P 大内新興化学工業株式会社製]1質量部・テトラエチルチウラムジスルフィド[商品名:ノクセラーTET−G 大内新興化学工業株式会社製]1質量部・ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド[商品名:ノクセラーTRA 大内新興化学工業株式会社製]1質量部・硫黄[商品名:サルファックス200S 鶴見化学株式会社製]1質量部を密閉型混練機及びオープンロール機を用いて混練を行うことにより未加硫のゴム組成物を得た。
【0034】
(比較例2に用いた弾性体層のゴム組成物)
エチレンプロピレンゴム[商品名:ESPRENE505 住友化学株式会社製]100質量部・酸化亜鉛[商品名:酸化亜鉛第2種 ハクスイテック株式会社製]5質量部・ステアリン酸[商品名:ステアリン酸S 花王株式会社製]1質量部・カーボンブラック[商品名:旭#70 旭カーボン株式会社製]20質量部・パラフィンオイル[商品名:ダイアナプロセスオイルPW−380 出光興産株式会社製]40質量部・炭酸カルシウム[商品名:スーパーSS 丸尾カルシウム株式会社製]30質量部・2−メルカプトベンゾチアゾール[商品名:ノクセラーM−P 大内新興化学工業株式会社製]1質量部・テトラエチルチウラムジスルフィド[商品名:ノクセラーTET−G 大内新興化学工業株式会社製]1質量部・ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド[商品名:ノクセラーTRA 大内新興化学工業株式会社製]1質量部・硫黄[商品名:サルファックス200S 鶴見化学株式会社製]1質量部を密閉型混練機及びオープンロール機を用いて混練を行うことにより未加硫のゴム組成物を得た。
【0035】
(比較例3に用いた弾性体層のゴム組成物)
エチレンプロピレンゴム[商品名:ESPRENE505 住友化学株式会社製]100質量部・酸化亜鉛[商品名:酸化亜鉛第2種 ハクスイテック株式会社製]5質量部・ステアリン酸[商品名:ステアリン酸S 花王株式会社製]1質量部・カーボンブラック[商品名:旭#70 旭カーボン株式会社製]80質量部・パラフィンオイル[商品名:ダイアナプロセスオイルPW−380 出光興産株式会社製]60質量部・2−メルカプトベンゾチアゾール[商品名:ノクセラーM−P 大内新興化学工業株式会社製]1質量部・テトラエチルチウラムジスルフィド[商品名:ノクセラーTET−G 大内新興化学工業株式会社製]1質量部・ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド[商品名:ノクセラーTRA 大内新興化学工業株式会社製]1質量部・硫黄[商品名:サルファックス200S 鶴見化学株式会社製]1質量部を密閉型混練機及びオープンロール機を用いて混練を行うことにより未加硫のゴム組成物を得た。
【0036】
(比較例4に用いた弾性体層のゴム組成物)
エピクロルヒドリンゴム[商品名:エピクロマーCG102 ダイソー株式会社製]100質量部・酸化亜鉛[商品名:酸化亜鉛第2種 ハクスイテック株式会社製]5質量部・ステアリン酸[商品名:ステアリン酸S 花王株式会社製]1質量部・カーボンブラック[商品名:旭♯15 旭カーボン株式会社製]5質量部・炭酸カルシウム[商品名:シルバーW 白石工業株式会社製]40質量部・ジベンゾチアジルジサルファイド[商品名:ノクセラーDM 大内新興化学株式会社製]1質量部・テトラメチルチウラムモノスルフィド[商品名:ノクセラーTS 大内新興化学株式会社製]1質量部・硫黄[商品名:サルファックス200S 鶴見化学株式会社製]1質量部を密閉型混練機及びオープンロール機を用いて混練を行うことにより未加硫のゴム組成物を得た。
【0037】
本発明の導電性ローラは以下の方法により形成される。押出し機を用いて上記のように作成した未加硫のゴム組成物を押出すと共に、接着剤を塗布した直径6mm、長さ250mmの導電性軸体を押出し機のクロスヘッドダイを速度25mm/secで通過させて、導電性軸体の外周上に未加硫のゴム組成物を配置せしめローラ形状にした。それを180℃で30分加硫して層厚2mmの導電性弾性体層を設け、その後導電性ローラの両端部から15mmの位置にカッター刃を入れて両端部のゴム層を剥離した。導電性ローラ端部の弾性体層の浮き、盛り上がりについて評価した結果を表1に示す。
【0038】
実施例1〜3に関しては、導電性ローラ端部の弾性体層の浮き、盛り上がり全て良好な結果を得た。導電性ローラ端部の弾性体層の浮きについては実施例例1〜3に関しては、全くなく、導電性ローラ端部の弾性体層の盛り上がりに関しては、実施例1は全くなく、実施例2、3は微小な盛り上がりがあるが、ローラとして問題のあるレベルではなかった。比較例1〜4に関しては、どれも導電性ローラ端部の弾性体層の浮きがあり、導電性ローラ端部の弾性体層の盛り上がりも悪く、加硫した場合も端部の接着性が劣っていた。
【0039】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係る導電性ローラの全体断面図。
【符号の説明】
【0041】
a:導電性弾性体層
b:接着剤層
c:導電性軸体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性軸体を押出し機のクロスヘッドダイを通過させると共に未加硫のゴム組成物を押出し、該導電性軸体の外周上に該ゴム組成物を配置し、加硫することによって、導電性弾性体層を設けた導電性ローラにおいて、該ゴム組成物の100℃におけるムーニー粘度ML(1+4)が10以上40以下であり、該ゴム組成物中に含まれるゴム成分の割合が25〜35質量%であることを特徴とする導電性ローラ。
【請求項2】
該ゴム組成物が非極性ゴムを含有することを特徴とする請求項1に記載の導電性ローラ。
【請求項3】
該ゴム組成物の100℃におけるムーニー粘度ML(1+4)が15以上35以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の導電性ローラ。
【請求項4】
導電性軸体を押出し機のクロスヘッドダイを通過させると共に未加硫のゴム組成物を押出し、該導電性軸体の外周上に該ゴム組成物を配置し、加硫することによって、導電性弾性体層を設ける導電性ローラの製造方法において、該ゴム組成物の100℃におけるムーニー粘度ML(1+4)が10以上40以下であり、該ゴム組成物中に含まれるゴム成分の割合が25〜35質量%であり、かつ、該ゴム組成物を配置した後、無加圧下で、連続的に加硫することを特徴とする導電性ローラの製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2007−328267(P2007−328267A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−161060(P2006−161060)
【出願日】平成18年6月9日(2006.6.9)
【出願人】(393002634)キヤノン化成株式会社 (640)
【Fターム(参考)】