説明

導電性ロール、クリーニングロール、クリーニングユニット、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置

【課題】小型・軽量化が実現され、耐久性及び摺動性に優れ、通電及び環境に対する抵抗変動が低減される導電性ロールを提供すること。当該導電性ロールを利用したクリーニングユニット、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置を提供すること。
【解決手段】被覆層11を被覆した芯体12と、芯体12の中心軸に沿って配されたシャフト13とを備えて構成し、そして、被覆層11には、ビスマレイミド樹脂と導電剤とを含んで構成させたクリーニングロール10(導電性ロール)である。また、当該導電性ロールを利用したクリーニングユニット、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性ロール、クリーニングロール、クリーニングユニット、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から電子写真複写機等の画像形成装置におけるクリーニング装置としては、ゴムなどの弾性材料からなるクリーニングブレードが用いられ、その一端のエッジを感光体等の像保持体表面に接触させて、表面に付着したトナー等の現像剤を除去するような構成がよく知られている。
【0003】
このクリーニング装置のメリットは、構成が簡単でコストも安価であり、トナーの除去を効率的に行えるという点である。この方式では、クリーニングブレードの接触部を長期にわたって均一な圧力で安定して像保持体表面に接触させることが非常に重要である。
【0004】
また、小粒子径トナーや球形のトナーを使用するシステムにおける有効なクリーニング方法として、例えば、クリーニングブレードの上流部に像保持体に接触回転する補助ブラシとクリーニングロールを配設したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この方法は、前述のようにファン・デル・ワールス力等により像保持体表面に強固に付着したトナーを、ブラシの回転接触による機械的せん断力で像保持体表面から一旦引き剥がし、その付着力を弱めてクリーニングブレードでクリーニングしやすくしたものである。
【0005】
この方式の場合には、クリーニングブレードだけの方式に比べて、ブレードの接触圧をそれほど高く設定しなくても小粒子径トナーのクリーニングを行えるというメリットがある。
【0006】
ところで、一般にトナーには、その粉体流動性、帯電性、転写性、及びクリーニング性を確保するために、外添剤と呼ばれるさらに粒子径(平均粒子径で約1ナノメートル以上50ナノメートル以下)の小さな物質が混合されている。この外添剤の混合量は、トナーの比表面積で決まるため、トナーの粒子径が小さければ小さいほど外添剤混合量が多くなる。さらに、当然のことながら、画像を形成したときにトナーの消費量が多ければ多いほどクリーニング部に到達する外添剤も増える。例えば、4色のトナーを順次現像するフルカラー画像形成装置では、写真原稿等が多いため、消費されるトナー量が通常の白黒原稿に比べて約10倍も多く、従って外添剤の量も非常に多くなる。
【0007】
このため、フルカラー画像形成において、前記ブレードクリーニング方式、或いは、補助ブラシとクリーニングロールとクリーニングブレードとを組み合わせたクリーニング方式(例えば、特許文献2乃至5参照)が提案されている。また、被覆層としてポリイミド樹脂を適用したクリーニングロールを利用したクリーニングユニットも提案されている(特許文献6)
【0008】
【特許文献1】特開平1−312578号公報
【特許文献2】特開2004−69849号公報
【特許文献3】特開2005−82347号公報
【特許文献4】特開2005−275087号公報
【特許文献5】特開2005−265907号公報
【特許文献6】特開2004−348033号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、小型・軽量化が実現され、耐久性及び摺動性に優れ、通電及び環境に対する抵抗変動が低減される導電性ロールを提供することを目的とする。
また、本発明の課題は、当該導電性ロールを利用したクリーニングユニット、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題は、以下の本発明により達成される。すなわち
請求項1に係る発明は
芯体と、前記芯体外周面に被覆され、ビスマレイミド樹脂及び導電剤を含む被覆層と、を含んで構成されることを特徴とする導電性ロール。
【0011】
請求項2に係る発明は
前記ビスマレイミド樹脂が、ビスマレイミドとアミン化合物との共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の導電性ロール。
【0012】
請求項3に係る発明は
前記ビスマレイミド樹脂が、芳香族ビスマレイミドと芳香族アミン化合物との共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の導電性ロール。
【0013】
請求項4に係る発明は
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の導電性ロールを備えるクリーニングロール。
【0014】
請求項5に係る発明は
少なくともブラシ部材と、該ブラシ部材に接触して配置された導電性ロールと、該導電性ロールに接触して配置されたブレードと、を備え、
前記導電性ロールが、請求項1乃至3のいずれか1項に導電性ロールであることを特徴とするクリーニングユニット。
【0015】
請求項6に係る発明は
像保持体と、前記像保持体の表面に残存したトナーを除去するためのトナー除去手段と、を少なくとも備え、
前記トナー除去手段が、請求項1乃至3のいずれか1項に導電性ロールを有することを特徴とするプロセスカートリッジ。
【0016】
請求項7に係る発明は
像保持体と、
前記像保持体を帯電させるための帯電手段と、
帯電した前記像保持体に静電潜像形成する静電潜像形成手段と、
前記像保持体に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を被転写体に転写する転写手段と、
前記像保持体の表面に残存したトナーを除去するトナー除去手段と、
を備え、
前記トナー除去手段が、請求項1乃至3のいずれか1項に導電性ロールを有することを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る発明によれば、小型・軽量化が実現され、耐久性及び摺動性に優れ、通電及び環境に対する抵抗変動が低減される。
【0018】
請求項2に係る発明によれば、より効果的に、耐久性及び摺動性に優れ、通電及び環境に対する抵抗変動が低減される。
【0019】
請求項3に係る発明によれば、より効果的に、耐久性及び摺動性に優れ、通電及び環境に対する抵抗変動が低減される。
【0020】
請求項4に係る発明によれば、小型・軽量化が実現され、長期にわたって、クリーニング対象物からトナーやその外添剤を除去すると共に、その表面への固着が抑制される。
【0021】
請求項5に係る発明によれば、小型・軽量化が実現され、長期にわたって、クリーニング対象物からトナーやその外添剤を除去すると共に、その表面への固着が抑制される。
【0022】
請求項6に係る発明によれば、長期にわたって、像保持体からトナーやその外添剤が除去されると共に、その表面への固着が抑制され、良質な画像が得られる。結果、高耐久でランニングコストが低減される。
【0023】
請求項7に係る発明によれば、長期にわたって、像保持体からトナーやその外添剤が除去されると共に、その表面への固着が抑制され、良質な画像が得られる。結果、高耐久でランニングコストが低減される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、実質的に同一の機能・作用を有する部材には、全図面を通して同じ符号を付与し、重複する説明は省略する場合がある。
【0025】
(クリーニングロール/導電性ロール)
図1は、実施形態に係るクリーニングロール(導電性ロール)を示す斜視図である。図2は、実施形態に係るクリーニングロール(導電性ロール)を示す概略断面図である。
【0026】
実施形態に係るクリーニングロール10は、図1及び図2に示すように、被覆層11を被覆した芯体12と、芯体12の中心軸に沿って配されたシャフト13とを備えた導電性ロールで構成されている。そして、被覆層11には、ビスマレイミド樹脂と導電剤とを含んで構成されている。ここで、「導電性」とは、例えば体積抵抗率が10 Ωcm未満のみならず、例えば体積抵抗率が10Ωcm以上1013 Ωcm以下の半導電性をも意味する。以下同様である。
【0027】
本実施形態に係るクリーニングロール10では、被覆層11を上記構成とすることで、小型・軽量化が実現され、長期にわたって、クリーニング対象物からトナーやその外添剤を除去すると共に、その表面への固着が抑制される。この理由は定かではないが、以下に示すものと考えられる。
【0028】
被覆層11に用いるビスマレミド樹脂はイミド環が架橋された三次元網目構造を持つため、これを用いた層はその硬度が高く、加えて表面がなめらかに形成される。また、ビスマレイミド樹脂を形成するための単量体成分含有溶液が低粘度であることから、流動性に富み、導電剤の分散状態がよく被服層が形成されることに加え、薄膜化が実現される。したがって、小型・軽量化が実現され、耐久性及び摺動性に優れ、通電及び環境に対する抵抗変動が低減される導電性ロールとなる。結果、当該導電性ロールをクリーニングロールとして適用することで、結果、小型・軽量化が実現され、長期にわたって、クリーニング対象物からトナーやその外添剤を除去すると共に、その表面への固着が抑制されるものと考えられる。
【0029】
以下、各構成について詳細に説明する。まず、芯体12について説明する。芯体12としては、例えば、SUS、アルミ、銅、鉄などの金属芯体が用いられる。
【0030】
次に、被覆層11について説明する。被覆層11には、上述のように、ビスマレイミド樹脂と導電剤とを含んで構成される。ビスマレイミド樹脂について説明する。
【0031】
ビスマレイミド樹脂は、ポリイミド樹脂の一種であり、イミド環が三次元網目構造をなすように架橋されてなる樹脂である。ビスマレイミド樹脂は、より効果的に、耐久性及び摺動性に優れ、通電及び環境に対する抵抗変動が低減される点から、例えば、単量体成分として、ビスマレイミド化合物とアミン化合物との共重合体であることが好適である。当該共重合体は、例えばビスマレイミド化合物とアミン化合物とを溶媒中で反応させて得られる。
【0032】
ビスマレイミド化合物とは、ジアミン化合物と、無水マレイン酸又はその誘導体を付加反応させて製造される。ここで、ジアミン化合物としては、例えば後述のジアミン化合物が用いられる。また、無水マレイン酸又はその誘導体としては、具体的には、例えば、マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、ジメチルマレイン酸無水物、エチルマレイン酸無水物、ジエチルマレイン酸無水物、エチルマレイン酸無水物、クロロマレイン酸無水物、ジクロロマレイン酸無水物、等が挙げられる。
【0033】
かかるビスマレイミド化合物としては、その製造に使用されるジアミン化合物の構造により、脂肪族ビスマレイミド化合物、芳香族ビスマレイミド化合物などが挙げられる。
【0034】
脂肪族ビスマレイミド化合物としては、メタキシリレンビスマレイミド、プロパンビスマレイミド、テトラメチレンビスマレイミド、ペンタメチレンビスマレイミド、オクタメチレンビスマレイミド、ノナメチレンビスマレイミド、4,4−ヘプタメチレンビスマレイミド、1,4−シクロヘキサンビスマレイミド、イソフォロンビスマレイミド、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンビスマレイミド、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンビスマレイミド、トリシクロ[6,2,1,02.7]−ウンデシレンジメチルビスマレイミド、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルマレイミド)等の脂肪族ビスマレイミド及び脂環式ビスマレイミドが挙げられる。
【0035】
芳香族ビスマレイミド化合物としては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、ポリフェニルメタンマレイミド、m−フェニレンビスマレイミド、p−フェニレンビスマレイミド、ビスフェノール A ジフェニルエーテルビスマレイミド、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、4,4’−ジフェニルエーテルビスマレイミド、3,4’−ジフェニルエーテルビスマレイミド、3,3’−ジフェニルエーテルビスマレイミド、4,4’−ジフェニルスルフォンビスマレイミド、1,3−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、等が揚げられる。
【0036】
アミン化合物としては、脂肪族アミン化合物、芳香族アミン化合物が挙げられる。

【0037】
脂肪族ジアミン化合物としては、例えば、1,1−メタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、4,4−ジアミノヘプタメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソフォロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6,2,1,02.7]−ウンデシレンジメチルジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)等の脂肪族ジアミン及び脂環式ジアミン等が挙げられる。
【0038】
芳香族ジアミン化合物としては、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、1,5−ジアミノナフタレン、3,3−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、5−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、6−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、3,5−ジアミノ−3’−トリフルオロメチルベンズアニリド、3,5−ジアミノ−4’−トリフルオロメチルベンズアニリド、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,7−ジアミノフルオレン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、2,2’,5,5‘−テトラクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノ−5,5’−ジメトキシビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)−ビフェニル、1,3’−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−(p−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、2,2’−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチル)フェノキシ]−オクタフルオロビフェニル等
が挙げられる。
【0039】
ここで、ビスマレイミド樹脂としては、芳香族ビスマレイミド化合物と芳香族アミン化合物との共重合体であることが望ましい。これにより、より効果的に、耐久性及び摺動性に優れ、通電及び環境に対する抵抗変動が低減される。この理由は定かではないが、脂肪族の単量体を用いた場合に比べ、芳香環が架橋され網目構造を取ることで剛直且つ表面がなめらかで、しかも電気的に安定した構造体となる点、芳香環によるパッキン効果が生じ吸水性が低減される点からであると考えられる。
【0040】
特に、剛直となり、耐摩耗性に優れる点から、ビスマレイミド樹脂としては、芳香族ビスマレイミド化合物としての4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミドと、芳香族アミン化合物成分としてのジアミノジフェニルメタン及びp−フェニレンの少なくとも1種との重合体であることが望ましい。
【0041】
ビスマレイミド樹脂の単量体成分、即ちビスマレイミド化合物、及びアミン化合物は、それぞれ1種単独で用いられてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0042】
また、ビスマレイミド樹脂において、ビスマレイミド化合物とアミン化合物と比(ビスマレイミド化合物/アミン化合物)は、モル比で1/1乃至4/1(モル/モル)の範囲、望ましくは1.5/1乃至3/1(モル/モル)の範囲、より望ましくは1.7/1乃至2.5/1モル/モル)の範囲で必要とされる樹脂物性によって選定される。なお、ビスマレイミド化合物とアミン化合物と比が化学当量である2/1(モル/モル)の比率からなるビスマレイミド樹脂の架橋度が最も高くなるため、剛直で耐磨耗性に優れた構造体となる。
【0043】
ビスマレイミド樹脂を合成する際に用いられる溶媒としては、有機極性溶媒が好適に適用される。有機極性溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルトリアミド等が挙げられる。これらの有機極性溶媒には、必要に応じて、クレゾ−ル、フェノ−ル、キシレノ−ル等のフェノ−ル類、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類が混合される。これらの溶剤も、単独で、又は2種類以上の混合物として用いられる。
【0044】
なお、ビスマレイミド樹脂以外にも、ビスマレイミド樹脂を用いるときの特性を損なわない範囲で、被覆層11には、例えば、耐磨耗性に優れる、ポリイミド樹脂(直鎖型)、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルサルファイド、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、などの樹脂材料も併用してもよい。
【0045】
次に、導電剤について説明する。導電剤としては、例えば、カーボンブラック、炭素粉、グラファイト、磁性粉、酸化亜鉛、酸化錫、酸化チタン等の金属酸化物;硫化銅、硫化亜鉛等の金属硫化物;ストロンチウム、バリウム、希土類等の所謂ハードフェライト;マグネタイト、銅、亜鉛、ニッケル及びマンガン等のフェライト;又はこれらの表面を必要に応じ導電処理したもの;錫、鉄、銅、アルミ等の金属粉体や金属繊維;銅、鉄、マンガン、ニッケル、亜鉛、コバルト、バリウム、アルミニウム、錫、リチウム、マグネシウム、シリコン、リン等の異なる金属元素を含んだ酸化物;水酸化物、炭酸塩又は金属化合物等から選ばれ高温中で焼成して得られる金属酸化物の固溶体である所謂複合金属酸化物;等が挙げれる。
【0046】
導電剤としては、例えば、30℃、85%RHの高温高湿の環境と、10℃、15%RHの低温低湿の環境で、電気抵抗値の変動を低減させる点から、電子伝導により導電性を発現する電子伝導性の導電剤を用いるのが望ましい。
【0047】
電子伝導性の導電剤としては、pH5.0以下のカーボンブラック(以下、「酸性カーボンブラック」ということがある。)があげられる。pHは、pH5.0以下が望ましく、より望ましくはpH4.0以下がより望ましい。電子伝導性の導電剤のpHが5.0以下であると、表面に付着する酸素含有官能基の効果で、樹脂材料中への分散性が向上し、電界依存性も小さくなり、電界集中が起きずらくなる、また、環境による抵抗変化が少なくなる。
【0048】
酸性カーボンブラックは、必要に応じ、酸化処理することで、表面にカルボキシル基、キノン基、ラクトン基、水酸基等を付与してもよい。特に、本実施形態においては、酸性カーボンブラックとして酸化処理カーボンブラックが好適に用いられる。
【0049】
前記酸化処理の方法としては、高温(例えば、300℃以上800℃以下)雰囲気下で、空気と接触され、反応させる空気酸化法、常温(例えば25℃、以下同様)下で窒素酸化物やオゾンと反応させる方法、及び高温(例えば300以上800℃以下)下での空気酸化後、低い温度(例えば20以上200℃以下)下でオゾン酸化する方法などが挙げられる。具体的には、酸化カーボンブラックは、例えば、コンタクト法により製造される。このコンタクト法としては、例えば、チャネル法、ガスブラック法等が挙げられる。
【0050】
また、酸性カーボンブラックは、ガス又はオイルを原料とするファーネスブラック法により製造してもよい。必要に応じて、これらの処理を施した後、硝酸などで液相酸化処理を行ってもよい。ファーネス法では通常、高pH・低揮発分のカーボンブラックしか製造されないが、これに前記液相酸処理を施してpHが調整される。このためファーネス法製造により得られるカーボンブラックで、後工程処理によりpHが調節される。このため、ファーネス法により得られるカーボンブラックで、後工程処理によりpHが5以下となるように調節されたカーボンブラックであってもよい。
【0051】
酸化カーボンブラックのpHは、カーボンブラックの水性懸濁液を調整し、ガラス電極で測定することで求められる。酸化カーボンブラックのpHは、酸化処理工程での処理温度、処理時間等の条件によって、調整される。
【0052】
酸性カーボンブラックは、その揮発成分が1質量%以上25質量%以下、望ましくは2質量%以上20質量%以下、より望ましくは、3.5質量%以上15質量%以下含まれていることが好適である。揮発分が1質量%未満である場合には、表面に付着する酸素含有官能基の効果がなくなり、樹脂への分散性が低下することがある。一方、25%より高い場合には、結着樹脂に分散させる際に、分解したり、或いは、表面の酸素含有官能基に吸着された水などが多くなるなどによって、得られる成形品の外観が悪くなるといった問題が生じることがある。従って、揮発分を上記範囲とすることで、結着樹脂中への分散がより良好となる。この揮発分は、カーボンブラックを950℃で7分間加熱したときに、発生する有機揮発成分(カルボキシル基、キノン基、ラクトン基、水酸基等)の割合により求められる。
【0053】
酸性カーボンとして具体的には、キャボット社の「REGAL 400R」(PH4.0,揮発分3.5%)、「MONARCH 1300」(PH2.5,揮発分9.5%)、デグサジャパン社の「Color Black FW200」(PH2.5、揮発分20%)、「SPECIAL BLACK 4」(PH3%、揮発分14%)、「PRINTEX150T」(PH4、揮発分10%)、「PRINTEX140T」(PH5、揮発分5%)、「PRINTEX U」(PH5、揮発分5%)、等が挙げられる。なお、酸性カーボンブラックは、主たる導電性を発現させる電子伝導性フィラーとして用いておれば、単独で用いても他のカーボンブラックと併用してもよい。
【0054】
導電剤の添加量は、樹脂100質量部に対して、望ましくは5質量部以上40質量部以下、より望ましくは、10質量部以上30質量部以下とする。5質量部未満又は40質量部を超えると、所望の電気抵抗を安定して得ることができない場合がある。導電剤を分散させる方法としては、ボ−ルミル、アトライター、サンドミル、加圧ニーダー、バンバリミキサー、2本ロール、3本ロール、エクストルーダー、等の方法が適用される。
【0055】
上記ビスマレイドイミド樹脂と導電剤とを含む被覆層11の厚みは、望ましくは0.01mm以上0.1mm以下の範囲であり、より望ましくは、0.02mm以上0.08mm以下である。被覆層11の厚みが0.01mmより小さい場合には、印加電圧によりチューブ層がリークする問題が発生する場合があり、0.1mmを超える場合には、被覆層(ビスマレイミド樹脂層)が均一に成型できない場合がある。
【0056】
以上説明した本実施形態に係るクリーニングロール10は、その500V印加時の電気抵抗が、1×10Ω以上1×1010Ω以下の範囲にあることが望ましく、1×10Ω以上1×10Ω以下の範囲にあることがより望ましい。前記導電性ロールの電気抵抗は、例えば、前記導電剤として例示した酸化処理カーボンの添加量を調整することで、電気抵抗を前記所定の範囲に調整される。
【0057】
この電気抵抗が1×10Ωを下回ると、クリーニングユニットにおいて電荷注入が生じて、その結果ブラシ部材が掻き取ったトナーや紙粉等の微粉末の極性が反転し、電気的に吸着することができなくなってしまうことがある。電気抵抗が1×1010Ωを上回ってしまうと、導電性ロールに電荷が蓄積される所謂チャージアップが起こり、やはり電気的にトナーや紙粉等の微粉末を吸着できなくなることがある。
【0058】
なお、上記電気抵抗は、クリーニングロールを銅板などの金属板の表面にロールの両端に各々500gの荷重がかかるように載せ、微小電流測定器(Advantest社製R8320)を用い、導電性ロール(芯材を有する場合は芯材)と前記金属板との間に25℃70%RHの環境下で500Vの電圧(V)を印加して10秒後の電流値(I)を測定し、R=V/I(Ω)から抵抗値を求めた。
【0059】
また、本実施形態に係るクリーニングロール10は、JIS−K6902(1998)における磨耗量が20mg以下であることが望ましく、より望ましくは10mg以下であり、さらに望ましくは5mg以下である。
【0060】
ここで、本実施形態に係るクリーニングロール10は、例えば、後述するクリーニングユニットにおいては他の部材(電子写真感光体(像保持体)、クリーニングブレード、クリーニングブラシ、転写材等)と接触状態にある。従って、磨耗に強い材料から構成されることが求められ、前記磨耗量が20mgを越えると、クリーニングロール10の磨耗により短いサイクルで交換せざるを得ないことなる。逆に、磨耗に強いクリーニングロール10は、クリーニングユニットにおいて、ブラシ部材やブレード状のクリーニング部材等との接触圧及び食い込み量を大きく設定でき、長期にわたり安定してクリーニングされる。
【0061】
本実施形態に係るクリーニングロール10は、例えば、芯体12に被覆層11を被覆ことで作製されるが、例えば、芯体12に被覆層(ビスマレイミド樹脂/導電材層)を被覆する方法としては、ビスマレイミド化合物とアミン化合物とを溶媒(有機極性溶媒)中に溶解させた溶液中に導電剤を分散した塗工液を、芯体12に塗布した後、加熱処理を行い、溶媒を除去しつつ、ビスマレイミド化合物とアミン化合物と反応させて、ビスマレイミド型ポリイミド樹脂(ビスマレイミド樹脂)へと転化して、芯体12表面にビスマレイミド型ポリイミド樹脂層(ビスマレイミド樹脂層)を形成する方法が好適である。
【0062】
かかる溶剤を使用した塗工方法による製造方法は、溶剤を介在しない無溶剤加工方法に比べて、膜厚精度も高く、ロール表面の欠陥も少なくなる。その結果、得られる各種ロールは、クリーニング性、動作安定性、耐久性などの点において、優れた性能を発現しえる。」
【0063】
芯体12に塗工液を塗布する方法としては、特に制限はないが、フロー塗布法が、生産性の点より好適である。フロー塗布法は、塗工液を芯体表面に流下させつつ、ブレード状のへらで塗工液を平坦化し、塗工液の流下点とへらを円筒状芯体の一端から他の一端へ水平方向(芯体軸方向)に移動させることにより、円柱又は円筒状芯体の表面に塗工液を塗布する方法である。ここで、図3は、フロー塗布法を説明するための概略図である。
【0064】
図3において、円筒状芯体20(芯体12)を矢印方向(円周方向)に回転させながら、塗工液21を容器22から、ノズル23を通して流下させる。流下した塗工液21は、へら24により平坦化される。へら24を通過した直後は、塗膜25にはまだ筋が残ることがあるが、時間とともに液の粘性により筋は消滅する。容器22とへら24を連結しておき、同時に円筒状芯体20の一端から他の一端へ水平方向(軸方向)に移動させることにより、円筒状芯体20の表面全面にわたって塗布される。該移動速度が塗布速度である。
【0065】
ここで、塗布時の条件としては、円筒状芯体20の回転速度が20rpm以上200rpm以下、塗布速度Vは、円筒状芯体20の外径k、塗工液21の流下量f、所望の濡れ膜厚tと関係があり、V=f/(t・k・π)の式で表わされる。πは円周率を示す。
【0066】
また、塗工液21を流下させる場合、高粘度のために重力だけでは流下しにくい時は、エア圧やポンプで押し出すことが有効である。ノズル23と円筒状芯体20の距離は任意でよいが、流下液が途切れることがないよう、10mm以上100mm以下程度が望ましい。液の途切れが生じると、泡を巻き込むことがある。
【0067】
へら24は、溶剤に侵されないポリエチレンやフッ素樹脂等のプラスチック、又は、真鍮やステンレス等の金属の板から成り、弾力性を有するものである。これを幅10mm以上50mm以下に成形し、軽く円筒状芯体20に押し当てておく。塗工液21が通過すれば、へら24は円筒状芯体20からある隙間をもって離れ、その際に塗工液21を押し広げるのである。
【0068】
以上、本実施形態に係るクリーニングロール10について説明したが、これに適用する導電性ロールは、その他、例えば、転写ロール、ベルト支持ロール、ベルト駆動ロール、搬送ロール、定着ロール、滑動ロール、加圧ロール、などに適用され得る。
【0069】
<クリーニングユニット>
図4は、実施形態に係るクリーニングユニットを示す概略構成図である。
【0070】
実施形態に係るクリーニングユニット30は、図4に示すように、回転するシャフト(不図示)に対して無数の繊維を植毛して形成されたブラシ部材31と、このブラシ部材31に接触するクリーニングロール32と、クリーニングロール32に接触するクリーニングブレード33(スクレーパー)と、から構成されている。そして、当該クリーニングロール32として、上記実施形態に係るクリーニングロール10が適用される。これにより、実施形態に係るクリーニングユニット30では、長期にわたって、電子写真感光体(像保持体)からトナーやその外添剤が除去されると共に、その表面への固着が抑制され、良質な画像が得られる。結果、高耐久でランニングコストが低減される。
【0071】
ブラシ部材31は、回転するシャフト外周に無数の繊維を配したロール状に形成されている。ブラシ部材31は、電子写真感光体34(像保持体:被クリーニング部材)に対しブラシの先端が食い込む位置に配置され、電子写真感光体34の周面移動方向と逆方向に前記ブラシ部材31の周面が回転移動し、この際電子写真感光体34と摺接することによって電子写真感光体34の表面からトナーや外添剤を剥離し、クリーニングロール32へと運ぶ働きを担っている。
【0072】
具体的なブラシ部材31の材料としてはナイロン、アクリル、ポリオレフィン、ポリエステル等の樹脂繊維が挙げられ、導電性粉末やイオン導電剤を配合して導電性を付与し、繊維一本一本の内部あるいは外部に導電層が形成されたもの等が用いられる。
【0073】
上記繊維の抵抗値としては、繊維単体で10Ω以上10Ω以下の範囲のものが望ましい。繊維の太さは、30d以下が望ましく、20d以下がより望ましい。繊維の密度は、3.1×10本/cm(2万本/inch)以上が望ましく、4.7×10本/cm(3万本/inch)以上がより望ましい。
【0074】
クリーニングブレード33(スクレーパー)の材料としては、例えば、SUS、りん青銅などが使用される。特に、クリーニングロール32(上記実施形態に係るクリーニングロール10)は耐久性及び摺動性(耐磨耗性)に優れる構成されるため、クリーニングブレード33の材料は、その硬度(JIS K6253(1997年)に規定のタイプAデュロメータ硬さ)が、望ましくはA40以上A90以下、より望ましくはA50以上A85以下、さらに望ましくはA60以上A80以下の材料も用いられる。
【0075】
クリーニングロール32は、その外周面が前記ブラシ部材31の外周面に食い込む位置に配置され、ブラシ部材31に付着した残留トナーや外添剤等を保持し、クリーニングロール32に接触配置されたクリーニングブレード33により、その表面に保持した残留トナーや外添剤等が回収されるように構成されている。
【0076】
ブラシ部材31及びクリーニングロール32には、クリーニング電圧が印加されており、例えば、ブラシ部材31及びクリーニングロール32に印加されるクリーニング電圧に電位差を設けることが望ましい。機械的せん断力と、この電位差とにより電子写真感光体34表面から掻き取られた残留トナーや外添剤等は、静電的にクリーニングロール32へ移動する。
【0077】
すなわち、先ずクリーニング電圧の印加されたブラシ部材31と電子写真感光体34との間に形成される電界によって、前記残留トナー等は電子写真感光体34表面からブラシ部材31への静電誘引力で引っ張られ、電子写真感光体34表面から除去される。一方、前記クリーニングロール32にはブラシ部材31よりも絶対値が高く、かつ同極性のクリーニング電圧が印加されており、ブラシ部材31に付着した残留トナーや外添剤等はクリーニングロール32に再付着する。
【0078】
クリーニングロール32には、クリーニングブレード33(スクレーパー)が接触しており、クリーニングロール32に付着したトナー等はこのクリーニングブレード33(以下「クリーニング手段」という場合もある)によって当該クリーニングロール32から除去される。このクリーニング手段は、高耐久性及び低コストの観点よりステンレスあるいはリン青銅の金属薄板等から形成され、その厚さは、0.02mm以上2mm以下程度の範囲のものが好適に用いられる。
【0079】
以上のように実施形態に係るクリーニングユニット30は、ブラシ部材31とクリーニングロール32とに電位差を設けることによって効率的にトナーや紙粉等の微粉末を静電的に吸着移動させるものである。ブラシ部材31とクリーニングロール32との間の電位差は、絶対値で100V以上であることが望ましく、200以上であることがより望ましい。但し、各部材間での放電により被クリーニング物が電荷注入され、その極性が反転するのを防止する観点から上限は600V程度である。
【0080】
実施形態に係るクリーニングユニット30では、少なくとも電子写真感光体34の表面に接触配置されたブラシ部材31と、該ブラシ部材31に接触配置されたクリーニングロール32と、該クリーニングロール32に接触配置されたクリーニングブレード33とを有するユニットが、電子写真感光体34の移動方向に沿って複数備えられていてもよい(本実施形態では2つ)。この場合、各ユニット毎に印加される電圧が、電子写真感光体34の移動方向に沿って交互に異なる極性であることが望ましい。
【0081】
ここで、転写工程を終えた後に電子写真感光体34の表面に残存する所謂転写残トナーは、転写電界の影響でその極性にバラツキを生じており、正極から逆極に反転したものまで存在する。そこで、ブラシ部材31とクリーニングロール32とクリーニングブレード33とから成るユニットを、一つの電子写真感光体34に対し複数設置し、かつそれぞれに異なる極性の電位差を設けることにより、例えば正極の転写残トナー及びその逆極に反転した転写残トナーまで効率的なクリーニングが実現される。
【0082】
実施形態に係るクリーニングユニット30では、電子写真感光体34の移動方向に沿って複数備えられた各ユニットにおいて、各ユニット毎に印加される電圧のうち、電子写真感光体34の移動方向の最も上流側に配置されたユニットに印加される電圧が、現像剤保持体表面のトナーと異なる極性であることが望ましい。
【0083】
ここで、転写工程を終えた後に電子写真感光体34表面に残存する所謂転写残トナーは、前記のように転写電界の影響でその極性にバラツキを生じているが、例えば転写電圧が正の場合、その大半は正極のままで存在する。そこで、電子写真感光体34の移動方向の最も上流側に配置された第1ユニットに、転写残トナーと同一の極性(正極)でブラシ部材31とクリーニングロール32とに電位差のあるクリーニング電圧を印加して、転写残トナーの大半を占める正極トナーを静電的に吸着移動させ、次の第2ユニットに、転写残トナーと異なる極性(負極)であり、かつブラシ部材31とクリーニングロール32とに電位差のあるクリーニング電圧を印加することで、逆極性に反転したトナーを静電的に吸着移動させるものである。
【0084】
すなわち、負帯電性トナーを用いて現像を行うプロセスにおいて、前記第1ユニットに印加される転写残トナーと同一の極性とは、現像剤保持体表面のトナーの極性と異なる極性(正極)であり、第1ユニットへの印加電圧を現像剤保持体表面のトナーと異なる極性とし、続く第2ユニット以降で交互に極性が異なることが望ましいものとなる。
【0085】
(画像形成装置及びプロセスカートリッジ)
図5は、実施形態に係る画像形成装置を示す模式図である。実施形態に係る画像形成装置40は、図5に示すように、画像形成装置本体(図示せず)に、プロセスカートリッジ41と、露光器42(静電潜像手段)と、転写器43(転写手段)と、とを備える。なお、画像形成装置50において、露光器42はプロセスカートリッジ41の開口部から電子写真感光体44に露光可能な位置に配置されており、転写器43は記録媒体Pを介して電子写真感光体44に対向する位置に配置されている。
【0086】
プロセスカートリッジ41は、ケース内に電子写真感光体44(像保持体)とともに帯電器46(帯電手段)、現像器47(現像手段)、クリーニングユニット45(トナー除去手段)を、取り付けレールにより組み合わせて一体化したものである。なお、ケースには、露光のための開口部が設けられている。
【0087】
そして、クリーニングユニット45として、上記実施形態に係るクリーニングユニット30が備えられている。これにより、実施形態に係る画像形成装置(プロセスカートリッジ)では、クリーニングブレード方式を適用しなくとも、長期にわたって、電子写真感光体からトナーやその外添剤が除去されると共に、その表面への固着が抑制され、良質な画像が得られる。結果、高耐久でランニングコストが低減される。また、クリーニング部材として従来用いられてきたゴムブレードと異なり、一定時間使用後に洗浄し容易にリサイクルされるので、省資源化に貢献されることがわかる。
【0088】
実施形態に係る画像形成装置では、帯電器46(帯電手段)により、電子写真感光体44の表面が帯電され、帯電された電子写真感光体4をレーザビーム走査装置などの露光器42により像様の露光がなされ静電潜像が形成される。形成された静電潜像が現像器47に収納された現像剤によりトナー画像として現像され、その後このトナー画像が転写器43によって記録媒体Pの表面に転写される。転写後の電子写真感光体44表面は、クリーニングユニット45によってクリーニングされる。
【0089】
詳細には、例えば、上記電子写真感光体44は負帯電系の有機感光体であり、帯電器46によってマイナス電位に帯電される。露光器42によりレーザビーム走査による露光を照射されることにより電子写真感光体44表面には画像となる部分が露光された静電潜像が形成され、次いで、現像器47の反転現像によってこの静電潜像を現像しトナーにより可視画像形成する。即ち、画像となる部分が露光された静電潜像は電子写真感光体44の帯電極性と同じマイナスに帯電したトナーによって可視像化される。この様にして形成されたトナー像は転写器43によって直接記録媒体Pへ転写された後、図示しながい、定着器を挿通する間に加熱・加圧されて記録媒体Pに定着され、排紙受けへ排出される永久画像となる。そして、転写後の電子写真感光体44表面は、クリーニングユニット45によってクリーニングされる。
【0090】
ここで、プロセスカートリッジ41は、各構成部分のうちいくつかを組み合わせて、画像形成装置本体から着脱交換可能な構成とされる。プロセスカートリッジ41は、電子写真感光体44とクリーニングユニット45とを少なくとも備える構成とすることがよく、プロセスカートリッジ41は、電子写真感光体44の寿命などにより、画像形成装置本体からはずされ、交換される。
【0091】
なお、プロセスカートリッジ41においては、クリーニングユニット45が、電子写真感光体44に対し着脱自在であってもよい。当該プロセスカートリッジ41においては、通常クリーニングユニット45の寿命が電子写真感光体44の寿命より長くなるため、電子写真感光体44のみを交換して繰り返しプロセスカートリッジ41を使用されるようにしてもよい。クリーニングユニット45を一つのプロセスカーカートリッジとして用いることで、メンテナンスフリーを実現すると共に、プロセスカーカートリッジを交換するだけで高品質の画像形成が容易に繰り返し実現される。
【0092】
図6は、他の実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。他の実施形態に係る画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置である。なお、タンデム型カラー画像形成装置とは、感光体が2個以上ある画像形成装置である。
【0093】
他の実施形態に係る画像形成装置50は、図6に示すように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、及びシアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー画像をそれぞれ形成する4つの画像形成装置ユニット51Y、51M、51C、51Kをこの順にならべて配置し、この各画像形成ユニットの転写部(感光体ドラムの転写部)に中間転写ベルト57を通過させるように配設したタンデムタイプのカラー画像形成装置である。各画像形成ユニット51Y、51M、51C、51Kは、そのいずれも、図5に示す画像形成装置と同様に、矢印方向に回転する電子写真感光体52を備え、その電子写真感光体52の周囲に、帯電器53、現像器54、1次転写ロール(1次転写部材)55及びクリーニングユニット56等を時計周りにこの順に配設したものである。また、この各画像形成ユニット51Y、51M、51C、51Kの転写部で接触して矢印方向に回転するように、中間転写ベルト57は2つの支持ロール58、背面ロール59間に張架して配設されている。そしてベルト周長の変化に対しては、背面ロール59の位置を変更して対応するようになっている。
【0094】
そして、他の実施形態に係る画像形成装置50においては、中間転写ベルト57表面に重ねられた各色の転写トナー画像が、背面ロール59の位置で2次転写ロール60により記録媒体Pの表面に転写される。その後、図示しない定着装置にこの記録媒体Pを送り込むことにより、記録媒体P表面のトナー画像を定着させてカラー画像を得るようになっている。
【0095】
他の実施形態に係る画像形成装置50においては、1次転写ロール55、支持ロール58、及び背面ロール59として上記実施形態に係るクリーニングロール10として適用した導電性ロールが、クリーニングユニット56として上記実施形態に係るクリーニングユニット30が各々用いられている。
【0096】
なお、中間転写ベルト57は、導電性を有する樹脂ベルト、ゴムベルトなどが用いられるが、カラー画像における位置あわせの観点から、ベルトの伸びが少ない高弾性率樹脂製中間転写ベルトであることが望ましい。
【0097】
他の実施形態に係る画像形成装置50の如く、タンデム型とすることは、高速での画像形成を可能とする反面、電子写真感光体52の消耗が激しく、そのクリーニング方法も非常に大きな技術課題となっていた。これに対し、他の実施形態に係る画像形成装置50は、電子写真感光体52を複数配置した所謂タンデム型画像形成装置においても、その電子写真感光体52毎にクリーニングユニット56を複数設けている。この構成により高速での画像形成においても電子写真感光体52表面の磨耗を少なく抑えつつ確実にクリーニング性能が維持される。
【実施例】
【0098】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
<実施例1>
(導電性ロールの作製)
N−メチルー2ピロリドン(以下「NMP」と略す)100質量部に、乾燥した酸化処理カーボンブラック(SPECIAL BLACK4(Degussa社製、pH3.0、揮発分:14.0%:以下「CB」と略す)6質量部添加して、衝突型分散機(ジーナス製GeanusPY)を用い、2分割後、圧力200MPaで最小面積が1.4mmの領域で衝突させ、再度2分割する経路を5回通過させて、CB/NMP分散液を作製した。
【0099】
CB/NMP分散液に、ビスマレイミド化合物として、4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド(以下、「BMI」と略す)15.6質量部と、ジアミン化合物として、4,4’−ジアミノジフェニルメタン(以下、「DDM」と略す)4.4質量部とを、溶解させて塗工液(A)を得た。得られた塗工液(A)の液粘度は、200poiseであった。
【0100】
次いで、図3に示す塗布装置を用いて、外径12mmのSUS芯体を200rpmで回転させながら、塗工液(A)をシリンジ(A)に入れて、一定量吐出させながら、200mm/minの速度で移動させながら、外径12mmにSUS芯体に厚み500μmの厚みに塗布した。次いで10rpmの速度で回転させながら、120℃で60分間加熱し、次いで常温に冷却した。その後250℃まで2℃/分の昇温速度で昇温して、更に250℃で30分加熱し、溶媒の除去、重合反応の完結を行った。得られたCB/ビスマレイミド樹脂層(被覆層)の厚みは、100±5μmであった。
【0101】
ここで、導電性ロールの電気抵抗、及び導電性ロールの周方向の体積抵抗率ばらつき測定は、以下のように行った。
【0102】
−導電性ロールの電気抵抗−
得られた導電性ロールの電気抵抗は、銅板表面に導電性ロールを、その両端に各々500gの荷重がかかるように載せ、微小電流測定器(Advantest社製R8320)を用い、導電性ロールの芯材と前記金属板との間に25℃70%RHの環境下で500Vの電圧(V)を印加して10秒後の電流値(I)を測定し、R=V/I(Ω)から抵抗値を求めた。
その結果1×10Ωであった。
なお、以下の実施例、比較例において導電性ロールの電気抵抗は全て、上記の方法で測定した。
【0103】
−導電性ロールの周方向の体積抵抗率ばらつき測定−
導電性ロール周方向の体積抵抗率ばらつきは、導電ロール表面について、周方向に30°づつ12箇所についてハイレスタUP MCP−HT450型((株)ダイアインスツルメンツ社製)を用いて測定した。その際、電極プローブとしてUR−SS((株)ダイアインスツルメンツ社製)を用い、25℃70%RHの環境下で500Vの電圧(V)を印加して10秒後の電流値(I)から各測定箇所の体積抵抗率を求めた。
測定した体積抵抗率の常用対数(LogΩ・cm)の平均値、最大値、最小値を求め、最大値−平均値、及び平均値−最小値の値から体積抵抗率の周方向ばらつきを求めた。
その結果±0.1(LogΩ・cm)であった。
【0104】
なお、以下の実施例、比較例において導電性ロールの周方向の体積抵抗率ばらつきは全て、上記の方法で測定した。
【0105】
(評価1)
図5に示した白黒画像形成装置(印字速度:50枚/分、A4横送り)に、下記に示した電子写真感光体と、ブラシ部材、上記導電性ロール及びスクレーパーからなるユニットが2つ有するクリーニングユニット(図4参照)と、で構成されたプロセスカートリッジを装着し、100万枚の画像形成テストに供した。なお、上記画像形成装置の現像剤としては、スチレン系トナー(体積平均粒径:9.0μm、外添剤:シリカ、チタニアとMn/Mg/Sr フェライトキャリアとを混合したものを用い、トナーを負帯電とした。
【0106】
白黒画像形成テスト後、100万枚目の画像においてもクリーニング不良による画像不良は生じなかった。また感光体表面に画像に現れる鋭い傷はなく、トナーフィルミングも生じなかった。また、いずれのブラシ部材もトナーの蓄積やへたり等は観察されず、いずれの導電性ロールにも特に大きな変化は観察されず、電気抵抗は1×10Ω、周方向体積抵抗率ばらつきは±0.1(LogΩ・cm)、削れ量は外径が0.1μm小さくなる程度であった。さらに、いずれのスクレーパーにも特に大きな変化や削れ等はまったく観察されなかった。
【0107】
また、図6に示したタンデム型フルカラー画像形成装置(印字速度:60枚/分、A4横送り)を用いた以外は、白黒画像形成装置を用いた場合と同様にして、60万枚の画像形成テストに供した。
【0108】
カラー画像形成テスト後、60万枚目の画像においてもクリーニング不良による画像不良は生じなかった。また感光体表面に画像に現れるような鋭い傷はなく、トナーフィルミングも生じなかった。また、いずれのブラシ部材もトナーの蓄積やへたり等は観察されず、いずれの導電性ロールにも特に大きな変化は観察されず、電気抵抗は1×10Ω、周方向体積抵抗率ばらつきは±0.1(LogΩ・cm)、削れ量は外径が0.1μm小さくなる程度であった。さらに、いずれのスクレーパーにも特に大きな変化や削れ等はほとんど観察されなかった。
【0109】
プロセスカートリッジの構成は以下の通りである。
[電子写真感光体]
以下のようにして作製した電子写真感光体を準備した。
−下引層の作製−
酸化亜鉛:(平均粒子径70nm:テイカ社製:比表面積値15m2/g)100質量部をテトラヒドロフラン500質量部と攪拌混合し、シランカップリング剤(KBM503:信越化学社製)1.3質量部を添加し、2時間攪拌した。その後トルエンを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間)焼き付けを行い、シランカップリング剤表面処理酸化亜鉛を得た。
【0110】
前記表面処理を施した酸化亜鉛110質量部を500質量部のテトラヒドロフランと攪拌混合し、アリザリン0.6質量部を50質量部のテトラヒドロフランに溶解させた溶液を添加し、50℃にて5時間攪拌した。その後、減圧ろ過にてアリザリンを付与させた酸化亜鉛をろ別し、さらに60℃で減圧乾燥を行いアリザリン付与酸化亜鉛を得た。
【0111】
このアリザリン付与酸化亜鉛60質量部と硬化剤 (ブロック化イソシアネート スミジュール3175、住友バイエルンウレタン社製) :13.5質量部とブチラール樹脂 (エスレックBM−1 、積水化学社製) 15質量部をメチルエチルケトン85質量部に溶解した溶液38質量部とメチルエチルケトン :25質量部とを混合し、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて2時間の分散を行い分散液を得た。
【0112】
得られた分散液に触媒としてジオクチルスズジラウレート:0.005質量部、シリコーン樹脂粒子(トスパール145、GE東芝シリコーン社製):40質量部を添加し、下引層塗布用液を得た。この塗布液を浸漬塗布法にて直径30mm、長さ340mm、肉厚1mmのアルミニウム基材上に塗布し、170℃、40分の乾燥硬化を行い厚さ18μmの下引層を得た。
【0113】
−電荷発生層の作製−
電荷発生物質としてのCukα特性X線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.3゜,16.0゜,24.9゜,28.0゜の位置に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン15質量部、結着樹脂としての塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニカー社製)10質量部、n−酢酸ブチル200質量部からなる混合物を、直径1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散した。得られた分散液にn−酢酸ブチル175質量部、メチルエチルケトン180質量部を添加し、攪拌して電荷発生層用の塗布液を得た。この電荷発生層用塗布液を下引層上に浸漬塗布し、常温(25℃)で乾燥して、膜厚が0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0114】
−電荷輸送層の作製−
感光体の電荷輸送層をN,N'−ジフェニル−N,N'−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1']ビフェニル−4,4'−ジアミン45質量部及びビスフェノールZポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量:4万)55質量部をクロルベンゼン800質量部に加えて溶解し,電荷輸送層用塗布液を得た。この塗布液を電荷発生層上に塗布し、130℃、45分の乾燥を行って膜厚が30μmの電荷輸送層を形成した。
【0115】
[クリーニングユニット]
−−第1ユニット−−
−ブラシ部材−
・材質:導電性ナイロン(太さ:2デニール(17μm))
・電気抵抗:1×10Ω
・毛足長さ:4mm
・密度:7.8×10本/cm(5万本/inch
・感光体への食い込み量:1.5mm
・周速:60mm/s
・回転方向:感光体の回転方向に対し逆回転
・ブラシ印加電圧:+200V
【0116】
−導電性ロール−
・材質:厚み100μmのビスマレイミド樹脂を被覆した金属芯体
・電気抵抗:1×10Ω
・磨耗量:4mg
・ブラシへの食い込み量:1.5mm
・周速:70mm/s
・印加電圧:+600V
−スクレーパー−
・材質:SUS304
・厚み:80μm
・食い込み量:1.3mm
・自由長:8.0mm
【0117】
−−第2ユニット−−
−ブラシ部材−
・材質:導電性ナイロン(太さ:2デニール(17μm))
・電気抵抗:1×10Ω
・毛足長さ:4mm
・密度:7.8×10本/cm(5万本/inch
・感光体への食い込み量:1.5mm
・周速:60mm/s
・回転方向:感光体の回転方向に対し逆回転
・ブラシ印加電圧:−400V
【0118】
−導電性ロール−
・材質:厚み100μmのビスマレイミド樹脂を被覆した金属芯体
・電気抵抗:1×10Ω
・磨耗量:2mg
・ブラシへの食い込み量:1.5mm
・周速:70mm/s
・印加電圧:−800V
【0119】
−スクレーパー−
・材質:SUS304
・厚み:80μm
・食い込み量:1.3mm
・自由長:8.0mm
【0120】
<実施例2>
実施例1における導電性ロールの作製において、BMIと、DDMの配合量をそれぞれ、12.8質量部、7.2質量部とした以外は実施例1と同様にして導電性ロールを作製した。そして、以下のプロセスカートリッジを構成し、実施例1と同様にして評価した。
【0121】
白黒画像形成テスト後、100万枚目の画像においてもクリーニング不良による画像不良は生じなかった。また感光体表面に画像に現れる鋭い傷はなく、トナーフィルミングも生じなかった。また、いずれのブラシ部材もトナーの蓄積やへたり等は観察されず、いずれの導電性ロールにも特に大きな変化は観察されず、電気抵抗は1×10Ω、周方向体積抵抗率ばらつきは±0.1(LogΩ・cm)、削れ量は外径が0.1μm小さくなる程度であった。さらに、いずれのスクレーパーにも特に大きな変化や削れ等はまったく観察されなかった。
【0122】
カラー画像形成テスト後、60万枚目の画像においてもクリーニング不良による画像不良は生じなかった。また感光体表面に画像に現れる鋭い傷はなく、トナーフィルミングも生じなかった。また、いずれのブラシ部材もトナーの蓄積やへたり等は観察されず、いずれの導電性ロールにも特に大きな変化は観察されず、電気抵抗は1×10Ω、周方向体積抵抗率ばらつきは±0.1(LogΩ.cm)、削れ量は外径が0.5μm小さくなる程度であった。さらに、いずれのスクレーパーにも特に大きな変化や削れ等はほとんど観察されなかった。
【0123】
プロセスカートリッジの構成は以下の通りである。
[電子写真感光体]
・実施例1で用いたものと同じものを準備した。
【0124】
[クリーニングユニット]
−−第1ユニット−−
−ブラシ−
・材質:導電性ナイロン(太さ:2デニール(17μm))
・電気抵抗:1×10Ω
・毛足長さ:4mm
・密度:7.8×10本/cm(5万本/inch
・感光体への食い込み量:1.5mm
・周速:60mm/s
・回転方向:感光体の回転方向に対し逆回転
・ブラシ印加電圧:+200V
【0125】
−導電性ロール−
・材質:厚み100μmのビスマレイミド樹脂を被覆した金属芯体
・電気抵抗:1×10Ω
・磨耗量:2mg
・ブラシへの食い込み量:1.5mm
・周速:70mm/s
・印加電圧:+600V
【0126】
−スクレーパー−
・材質:SUS304
・厚み:80μm
・食い込み量:1.3mm
・自由長:8.0mm
【0127】
−−第2ユニット−−
−ブラシ部材−
・材質:導電性ナイロン(太さ:2デニール(17μm))
・電気抵抗:1×10Ω
・毛足長さ:4mm
・密度:7.8×10本/cm(5万本/inch
・感光体への食い込み量:1.5mm
・周速:60mm/s
・回転方向:感光体の回転方向に対し逆回転
・ブラシ印加電圧:−400V
【0128】
−導電性ロール−
・材質:厚み100μmのビスマレイミド樹脂を被覆した金属芯体
・電気抵抗:1×10Ω
・磨耗量:2mg
・ブラシへの食い込み量:1.5mm
・周速:70mm/s
・印加電圧:−800V
【0129】
−スクレーパー−
・材質:SUS304
・厚み:80μm
・食い込み量:1.3mm
・自由長:8.0mm
【0130】
<実施例3>
実施例1における導電性ロールの作製において、BMIと、DDMの配合量をそれぞれ、17.5質量部、2.5質量部とした以外は実施例1と同様にして導電性ロールを作製した。そして、実施例2と同様のプロセスカートリッジを構成し、実施例1と同様にして評価した。
【0131】
白黒画像形成テスト後、100万枚目の画像においてもクリーニング不良による画像不良は生じなかった。また感光体表面に画像に現れる鋭い傷はなく、トナーフィルミングも生じなかった。また、いずれのブラシ部材もトナーの蓄積やへたり等は観察されず、いずれの導電性ロールにも特に大きな変化は観察されず、電気抵抗は1×10Ω、周方向体積抵抗率ばらつきは±0.1(LogΩ.cm)、削れ量は外径が0.1μm小さくなる程度であった。さらに、いずれのスクレーパーにも特に大きな変化や削れ等はまったく観察されなかった。
【0132】
カラー画像形成テスト後、60万枚目の画像においてもクリーニング不良による画像不良は生じなかった。また感光体表面に画像に現れる鋭い傷はなく、トナーフィルミングも生じなかった。また、いずれのブラシ部材もトナーの蓄積やへたり等は観察されず、いずれの導電性ロールにも特に大きな変化は観察されず、電気抵抗は5×10Ω、周方向体積抵抗率ばらつきは±0.1(LogΩ.cm)、削れ量は外径が0.2μm小さくなる程度であった。さらに、いずれのスクレーパーにも特に大きな変化や削れ等はほとんど観察されなかった。
【0133】
プロセスカーカートリッジの構成は以下の通りである。
[電子写真感光体]
・実施例1で用いたものと同じものを準備した。
【0134】
[クリーニングユニット]
−−第1ユニット−−
−ブラシ−
・材質:導電性ナイロン(太さ:2デニール(17μm))
・電気抵抗:1×10Ω
・毛足長さ:4mm
・密度:7.8×10本/cm(5万本/inch
・感光体への食い込み量:1.5mm
・周速:60mm/s
・回転方向:感光体の回転方向に対し逆回転
・ブラシ印加電圧:+200V
【0135】
−導電性ロール−
・材質:厚み100μmのビスマレイミド樹脂を被覆した金属芯体
・電気抵抗:1×10Ω
・磨耗量:2mg
・ブラシへの食い込み量:1.5mm
・周速:70mm/s
・印加電圧:+600V
−スクレーパー−
・材質:SUS304
・厚み:80μm
・食い込み量:1.3mm
・自由長:8.0mm
【0136】
−−第2ユニット−−
−ブラシ部材−
・材質:導電性ナイロン(太さ:2デニール(17μm))
・電気抵抗:1×10Ω
・毛足長さ:4mm
・密度:7.8×10本/cm(5万本/inch
・感光体への食い込み量:1.5mm
・周速:60mm/s
・回転方向:感光体の回転方向に対し逆回転
・ブラシ印加電圧:−400V
【0137】
−導電性ロール−
・材質:厚み100μmのビスマレイミド樹脂を被覆した金属芯体
・電気抵抗:1×10Ω
・磨耗量:2mg
・ブラシへの食い込み量:1.5mm
・周速:70mm/s
・印加電圧:−800V
【0138】
−スクレーパー−
・材質:SUS304
・厚み:80μm
・食い込み量:1.3mm
・自由長:8.0mm
【0139】
<実施例4>
実施例1における導電性ロールの作製において、BMIに代えて4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルマレイミド)を16.1重量部、DDMに代えて4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)を4.7重量部とした以外は実施例1と同様にして導電性ロールを作製した。そして、以下のプロセスカートリッジを構成した。
【0140】
プロセスカーカートリッジの構成は以下の通りである。
[電子写真感光体]
・実施例1で用いたものと同じものを準備した。
【0141】
[クリーニングユニット]
−−第1ユニット−−
−ブラシ−
・材質:導電性ナイロン(太さ:2デニール(17μm))
・電気抵抗:1×10Ω
・毛足長さ:4mm
・密度:7.8×10本/cm(5万本/inch
・感光体への食い込み量:1.5mm
・周速:60mm/s
・回転方向:感光体の回転方向に対し逆回転
・ブラシ印加電圧:+200V
【0142】
−導電性ロール−
・材質:厚み100μmのビスマレイミド樹脂を被覆した金属芯体
・電気抵抗:1×10Ω
・磨耗量:2mg
・ブラシへの食い込み量:1.5mm
・周速:70mm/s
・印加電圧:+600V
−スクレーパー−
・材質:SUS304
・厚み:80μm
・食い込み量:1.3mm
・自由長:8.0mm
【0143】
−−第2ユニット−−
−ブラシ部材−
・材質:導電性ナイロン(太さ:2デニール(17μm))
・電気抵抗:1×10Ω
・毛足長さ:4mm
・密度:7.8×10本/cm(5万本/inch
・感光体への食い込み量:1.5mm
・周速:60mm/s
・回転方向:感光体の回転方向に対し逆回転
・ブラシ印加電圧:−400V
【0144】
−導電性ロール−
・材質:厚み100μmのビスマレイミド樹脂を被覆した金属芯体
・電気抵抗:1×10Ω
・磨耗量:2mg
・ブラシへの食い込み量:1.5mm
・周速:70mm/s
・印加電圧:−800V
【0145】
−スクレーパー−
・材質:SUS304
・厚み:80μm
・食い込み量:1.3mm
・自由長:8.0mm
【0146】
そして、実施例1と同様にして評価を行った。
白黒画像形成テスト後、100万枚目の画像においてもクリーニング不良による画像不良は生じなかった。また感光体表面に画像に現れる鋭い傷はなく、トナーフィルミングも生じなかった。また、いずれのブラシ部材もトナーの蓄積やへたり等は観察されず、いずれの導電性ロールにも特に大きな変化は観察されず、電気抵抗は1×10Ω、周方向体積抵抗率ばらつきは±0.1(LogΩ.cm)、削れ量は外径が1.0μm小さくなる程度であった。さらに、いずれのスクレーパーにも特に大きな変化や削れ等はまったく観察されなかった。
【0147】
カラー画像形成テスト後、60万枚目の画像においてもクリーニング不良による画像不良は生じなかった。また感光体表面に画像に現れる鋭い傷はなく、トナーフィルミングも生じなかった。また、いずれのブラシ部材もトナーの蓄積やへたり等は観察されず、いずれの導電性ロールにも特に大きな変化は観察されず、電気抵抗は5×10Ω、周方向体積抵抗率ばらつきは±0.1(LogΩ.cm)、削れ量は外径が1.0μm小さくなる程度であった。さらに、いずれのスクレーパーにも特に大きな変化や削れ等はほとんど観察されなかった。
【0148】
<比較例1>
フェノール樹脂としてSUMIRESIN EXCEL CRP−3900(住友ベークライト製)100質量部に、CB20質量部を添加・混合した塗工液(X)を調整した。これを用いて1と同様にSUS芯体に塗工した。150℃にて30分間加熱硬化処理して、所定の導電性ロールを作製した。
【0149】
得られた導電性ロールのフェノール樹脂の厚みは、2.0mmと実施例に比べ、厚膜化する方向であった。得られた導電性ロールの電気抵抗は、500V印加時において1×10Ωであり、ロール周方向体積抵抗率ばらつきは±2.0(LogΩ.cm)であった。
【0150】
そして、実施例1と同様にして評価を行った。
白黒画像形成テスト後、10万枚目の画像においてもクリーニング不良による画像不良が発生した。さらには、感光体表面に画像に現れる深く鋭い傷が見られ、トナーフィルミングも発生した。いずれのブラシ部材もトナーの蓄積やへたりが生じており、いずれの導電性ロールの電気抵抗は1×106Ω、周方向体積抵抗率ばらつきは±3.0(LogΩ.cm)、削れ量は外径が50μm小さくなった。さらに、スクレーパーの一部にも削れが観察された。
【0151】
カラー画像形成テスト後、60万枚目の画像においてもクリーニング不良による画像不良が発生した。さらには、感光体表面に画像に現れる深く鋭い傷が見られ、トナーフィルミングも発生した。いずれのブラシ部材もトナーの蓄積やへたりが生じており、いずれの導電性ロールの電気抵抗は1×106Ω、周方向体積抵抗率ばらつきは±3.0(LogΩ.cm)、削れ量は外径が50μm小さくなった。
【0152】
<比較例2>
(導電性ロールの作製)
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)とp−フェニレンジアミン(PDA)とからなるポリアミド酸のN−メチルー2ピロリドン(NMP)溶液(宇部興産製ユーワニスS(固形分18wt%)に、乾燥した酸化処理カーボンブラック(SPECIAL BLACK4(Degussa社製、pH3.0、揮発分:14.0%)をポリイミド樹脂固形分100質量部に対して、30質量部添加して、衝突型分散機(ジーナス製GeanusPY)を用い、圧力200MPaで、最小面積が1.4mmで2分割後衝突させ、再度2分割する経路を5回通過させて、混合して、塗工液(Y)を得た。塗工液(X)の液粘度は、400poiseであった。
【0153】
図3に示す塗布装置を用いて、外径12mmのSUS芯体を200rpmで回転させながら、ポリアミド酸溶液(A)をシリンジ(A)に入れて、一定量吐出させながら、200mm/minの速度で移動させながら、外径12mmにSUS芯体に厚み0.3mmの厚みに塗布した。次いで10rpmの速度で回転させながら、120℃で60分間加熱し、次いで常温(25℃)に冷却した。その後320℃まで2℃/分の昇温速度で昇温して、更に320℃で30分加熱し、溶媒の除去、脱水閉環水の除去、及びイミド転化反応の完結を行った。ポリイミド樹脂層の厚みは、0.06mmであった。得られた導電性ロールの電気抵抗は、500V印加時において2×10Ωであり、ロール周方向の体積抵抗率ばらつきは±0.1(LogΩ.cm)であった。
【0154】
そして、実施例1と同様して評価を行った。
白黒画像形成テスト後、20万枚目の画像においてもクリーニング不良による画像不良は生じなかったが、100万枚目の画像にクリーニング不良による画像不良が発生した。感光体表面に画像に現れる鋭い傷はなく、トナーフィルミングも生じなかった。しかしながら、ブラシ部材にわずかながらトナーの蓄積やへたり等が見られ、電気抵抗は1×107Ω、周方向体積抵抗率ばらつきは±0.5(LogΩ.cm)、削れ量は外径が0.5μm程度であった。一方、いずれのスクレーパーにも特に大きな変化や削れ等はほとんど観察されなかった。
【0155】
カラー画像形成テスト後、 60万枚目の画像においてもクリーニング不良による画像不良が発生した。さらには、感光体表面に画像に現れる深く鋭い傷が見られ、トナーフィルミングも発生した。いずれのブラシ部材もトナーの蓄積やへたりが生じており、いずれの導電性ロールの電気抵抗は1×106Ω、周方向体積抵抗率ばらつきは±3.0(LogΩ.cm)、削れ量は外径が10μm小さくなった。
【0156】
<評価2>
上記各実施例及び比較例で得られた導電性ロールについて、さらに下記評価を実施した。
【0157】
−耐久性−
導電ロールの耐久性は、先述のクリーニングユニット(第1のユニット)より感光体を除き、電荷を印加せずに、導電ロールにブラシ部材のみが接触する状態として、導電ロールを連続回転駆動(48時間)さえて、駆動前後の膜厚差(駆動前の膜厚−駆動後の膜厚)をもち耐久性を評価した。
【0158】
[クリーニングユニット]
−−第1ユニット−−
−ブラシ部材−
・材質:導電性ナイロン(太さ:2デニール(17μm))
・毛足長さ:4mm
・密度:7.8×10本/cm(5万本/inch
【0159】
−導電性ロール−
・材質:樹脂を被覆した金属芯体
・ブラシへの食い込み量:1.5mm
・周速:70mm/s
【0160】
−スクレーパー−
・材質:SUS304
・食い込み量:1.3mm
・自由長:8.0mm
【0161】
−環境に対する体積抵抗率変動−
得られたそれぞれの導電ロール被覆膜の体積抵抗率をハイレスタUP MCP−HT450型((株)ダイアインスツルメンツ社製)を用いて測定した。電極プローブとしてUR−SSを用い、非複層表面〜金属シャフト間の体積抵抗率を測定した。高温高湿環境(28℃:85RT%)、低温低湿環境下(10℃:15RT%)にて体積抵抗率の常用対数値(LogΩ・cm)の差の絶対値をもって体積抵抗率の環境変動とした。
・印加電圧:500V、印加後10秒経過後に測定
・測定環境:高温高湿環境(28℃:85RT%)、低温低湿環境下(10℃:15RT%)
【0162】
−通電による体積抵抗率変動−
得られたそれぞれの導電ロールに、過電圧(DC1000V:2秒)を印加して通電耐久試験を行った。通電耐久試験前後の被覆膜の体積抵抗をハイレスタUP MCP−HT450型((株)ダイアインスツルメンツ社製)を用いて測定した。電極プローブとしてUR−SSを用い、被覆層表面〜金属シャフト間の抵抗値を測定した。通電試験前後の体積抵抗率の常用対数値(LogΩ・cm)の差をもって通電による抵抗率変動とした。
【0163】
−摺動性−
得られたそれぞれの導電ロール表面の摺動性は、表面摩擦係数計(HEIDONトライボギアミューズ94i)にて静摩擦係数を測定することにより評価した。導電ロール両端部より中央部にかけて、等間隔に5箇所に区切り、その5箇所について表面摩擦係数計(HEIDONトライボギアミューズ94i)にて静摩擦係数を測定してその平均値を導電ロールの静摩擦係数として用いた。
【0164】
【表1】

【0165】
上記結果から、本実施例は、比較例に比べ、耐久性、環境及び通電に対する抵抗変動、摺動性に優れることがわかる。また、芳香族の単量体成分を用いた実施例1乃至3は、脂肪族の単量体成分を用いた実施例4に比べ、耐久性、環境及び通電に対する体積抵抗率変動、摺動性に優れることもわかる。
【図面の簡単な説明】
【0166】
【図1】実施形態に係るクリーニングロールを示す斜視図である。
【図2】実施形態に係るクリーニングロールを示す概略断面図である。
【図3】実施形態に係るクリーニングロールを作製するためのフロー塗布法を説明するための概略図である。
【図4】実施形態に係るクリーニングユニットを示す概略構成図である。
【図5】実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
【図6】他の実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0167】
10 クリーニングロール
11 被覆層
12 芯体
13 シャフト
20 円筒状芯体
21 塗工液
22 容器
23 ノズル
25 塗膜
30 クリーニングユニット
31 ブラシ部材
32 クリーニングロール
33 クリーニングブレード
34 電子写真感光体
40 画像形成装置
41 プロセスカートリッジ
42 露光器
43 転写器
44 電子写真感光体
45 クリーニングユニット
46 帯電器
47 現像器
50 画像形成装置
51Y、51M、51C、51K 画像形成装置ユニット
52 電子写真感光体
53 帯電器
54 現像器
55 1次転写ロール
56 クリーニングユニット
57 中間転写ベルト
58 支持ロール
59 背面ロール
60 2次転写ロール
P 記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯体と、前記芯体外周面に被覆され、ビスマレイミド樹脂及び導電剤を含む被覆層と、を含んで構成されることを特徴とする導電性ロール。
【請求項2】
前記ビスマレイミド樹脂が、ビスマレイミドとアミン化合物との共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の導電性ロール。
【請求項3】
前記ビスマレイミド樹脂が、芳香族ビスマレイミドと芳香族アミン化合物との共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の導電性ロール。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の導電性ロールからなることを特徴とするクリーニングロール。
【請求項5】
少なくともブラシ部材と、該ブラシ部材に接触して配置された導電性ロールと、該導電性ロールに接触して配置されたブレードと、を備え、
前記導電性ロールが、請求項1乃至3のいずれか1項に導電性ロールであることを特徴とするクリーニングユニット。
【請求項6】
像保持体と、前記像保持体の表面に残存したトナーを除去するためのトナー除去手段と、を少なくとも備え、
前記トナー除去手段が、請求項1乃至3のいずれか1項に導電性ロールを有することを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項7】
像保持体と、
前記像保持体を帯電させるための帯電手段と、
帯電した前記像保持体に静電潜像形成する静電潜像形成手段と、
前記像保持体に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を被転写体に転写する転写手段と、
前記像保持体の表面に残存したトナーを除去するトナー除去手段と、
を備え、
前記トナー除去手段が、請求項1乃至3のいずれか1項に導電性ロールを有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−262051(P2008−262051A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−105126(P2007−105126)
【出願日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】