説明

導電率計

【課題】測定流体の汚れの付着による測定誤差の発生を小さく出来、また、洗浄周期も伸ばすことが出来て、装置を小型化できる導電率計を実現する。
【解決手段】センサボディに一方端が接続された筒状の第1の電極と、この筒の軸に直交して前記第1の電極の一方端側に設けられた板状の絶縁体と、前記第1の電極の内側であって前記絶縁体の一方の面に取り付けられた柱形の第2の電極とを具備する導電率計において、前記絶縁体の他方の面に取り付けられた高周波微小振動手段を具備したことを特徴とする導電率計である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電率計に関するものである。
更に詳述すれば、振動型汚れ付着防止機構付きの導電率計の電極に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図3は従来より一般に使用されている従来例の要部構成説明図である。
図において、第1の電極2は、センサボディ1に一方端が接続され、筒状をなす。
スペーサ3は、第1の電極2の一方端の内面に一方の面が接続されて、筒状をなす。
この場合は、ふっ素樹脂が使用されている。
第2の電極4は、第1の電極2の内側であって、スペーサ3の他方の面に一方の面が接続され、柱形をなす。
【0003】
以上の構成において、導電率は、溶液中の電流の流れ易さの尺度を示す。
また、導電率の測定は、溶液中に2枚の金属を入れて、この電極間に一定振幅の交流電圧を加え、液中を流れる電流を測定することで求める。
そして、図3従来例では、円筒型の電極2と円柱型の電極4の2個の電極間を流れる電流を測定して導電率を求めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−162168号公報
【特許文献2】特開2002−236103号公報
【特許文献3】特開2002−296210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような装置においては、以下の問題点がある。
導電率計は、電極表面に汚れが付着すると、電極表面の汚れが抵抗になるため、電極間を流れる電流が減少して、導電率を低く検出してしまい、測定誤差になってしまう。
このため、定期的に電極の洗浄を行う必要がある。
【0006】
したがって、導電率計は、2個または複数の電極表面の汚れにより、電極表面抵抗変化が生じて測定電流が変化することにより、導電率値の測定誤差が問題となる。
これらの問題を解決するために、外部に洗浄装置を設けたりすることもあるが、装置が大きくなり、設置スペースが必要、コストが掛かるなどの問題がある。
【0007】
本発明の目的は、上記の課題を解決するもので、測定流体の汚れの付着による測定誤差の発生を小さく出来、また、洗浄周期も伸ばすことが出来て、装置を小型化できる導電率計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような課題を達成するために、本発明では、請求項1の導電率計においては、
二つの電極間に交流電圧を印加して、流れる電流に基づいて測定流体の導電率を測定する導電率計において、センサボディに一方端が接続された筒状の第1の電極と、この第1の電極の筒軸に直交して前記第1の電極の一方端側に設けられた板状の絶縁体と、前記第1の電極の内側であって前記絶縁体の一方の面に取り付けられた柱状の第2の電極と、前記絶縁体の他方の面に取り付けられた高周波微小振動手段とを具備したことを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項2の導電率計においては、請求項1記載の導電率計において、
前記高周波微小振動手段は、圧電振動子が使用されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1によれば、次のような効果がある。
汚れると検出量が変化する電極部を高周波微小振動手段を使用して高周波で微小振動をさせることにより、電極部に測定流体の汚れが付着するのを予防することができる導電率計が得られる。
これにより、測定流体の汚れによる測定誤差の発生を防止することができる導電率計が得られる。
また、メンテナンス周期を伸ばすことができる導電率計が得られる。
【0011】
外付けの洗浄装置を取り付けないで済むため装置が小型化できる導電率計が得られる。
したがって、製作コストが低く抑えられる導電率計が得られる。
第1,第2の電極を絶縁する絶縁体に高周波微小振動手段が設けられたので、第1,第2の電極を同時に、近接して効率よく励振することが出来、汚れが付着するのを効率よく防止することが出来る導電率計が得られる。
【0012】
本発明の請求項2によれば、次のような効果がある。
高周波微小振動手段は、圧電振動子が使用されたので、小型で安価な高周波微小振動手段を有する導電率計が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施例の要部構成説明図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】従来より一般に使用されている従来例の要部構成説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下本発明を図面を用いて詳細に説明する。
図1は本発明の一実施例の要部構成説明図、図2は図1の平面図である。
図において、図3と同一記号の構成は同一機能を表す。
以下、図3との相違部分のみ説明する。
【0015】
図1において、第1の電極11は、センサボディ1に一方端が接続され、筒状をなす。
絶縁体12は、第1の電極11の筒軸に直交して、第1の電極の一方端側に設けられ、板状をなす。
第2の電極13は、第1の電極11の内側であって、絶縁体12の一方の面に取り付けられ、柱状をなす。
高周波微小振動手段14は、絶縁体12の他方の面に取り付けられている。
【0016】
この場合は、高周波微小振動手段14は、圧電振動子が使用されている。
圧電振動子14は、この場合は、絶縁体12を振動させ、電極11,13を同時に振動させる構造となっている。
なお、電極11,13の材質としては、この場合は、ステンレス、白金、チタンなどが使用される。
【0017】
また、絶縁体12には、従来は、ふっ素樹脂などを使用されるが、本発明では圧電素子を接着するために、接着可能で絶縁が大きい材料であるガラス、セラミックなどが使用されている。
絶縁体12と電極11,13間にはOリング15を使用して、センサボディ1の内部に測定流体が浸入しないようにされている。
【0018】
以上の構成において、円筒形の第1の電極11と円柱形の第2の電極13を、圧電振動子14を使用して、高周波の微小振動を与えることで、電極11,13の表面に、汚れが付着することを予防することが出来る。
【0019】
この結果、
汚れると検出量が変化する電極部11,13を圧電素子14を使用して高周波で微小振動をさせることにより、電極部11,13に測定流体の汚れが付着するのを予防できる導電率計が得られる。
これにより、測定流体の汚れによる測定誤差の発生を防止できる導電率計が得られる。
また、メンテナンス周期を伸ばすことができる導電率計が得られる。
【0020】
外付けの洗浄装置を取り付けないで済むため装置が小型化できる導電率計が得られる。
したがって、製作コストが低く抑えられる導電率計が得られる。
第1,第2の電極11,13を絶縁する絶縁体12に、圧電素子14が設けられたので、第1,第2の電極11,13を同時に、近接して効率よく励振することが出来、汚れが付着するのを効率よく防止することが出来る導電率計が得られる。
【0021】
高周波微小振動手段14は、圧電振動子が使用されたので、小型で安価な高周波微小振動手段を有する導電率計が得られる。
【0022】
なお、以上の説明は、本発明の説明および例示を目的として特定の好適な実施例を示したに過ぎない。
したがって本発明は、上記実施例に限定されることなく、その本質から逸脱しない範囲で更に多くの変更、変形をも含むものである。
【符号の説明】
【0023】
1 センサボディ
2 第1の電極
3 スペーサ
4 第2の電極
11 第1の電極
12 絶縁体
13 第2の電極
14 高周波微小振動手段
15 Oリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つの電極間に交流電圧を印加して、流れる電流に基づいて測定流体の導電率を測定する導電率計において、
センサボディに一方端が接続された筒状の第1の電極と、
この第1の電極の筒軸に直交して前記第1の電極の一方端側に設けられた板状の絶縁体と、
前記第1の電極の内側であって前記絶縁体の一方の面に取り付けられた柱状の第2の電極と、
前記絶縁体の他方の面に取り付けられた高周波微小振動手段と
を具備したことを特徴とする導電率計。
【請求項2】
前記高周波微小振動手段は、圧電振動子が使用されたこと
を特徴とする請求項1記載の導電率計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−27613(P2011−27613A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−175110(P2009−175110)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】