説明

導電膜形成方法

【課題】本発明は、めっき析出性に優れると共に、金属膜の欠損の発生が抑制された導電膜形成方法を提供することを目的とする。
【解決手段】基板上に、めっき触媒またはその前駆体と相互作用を形成する非解離性官能基および架橋性基を有するポリマーと、架橋性基と反応する反応性基を少なくとも2つ有する架橋剤との架橋反応により得られるポリマー層を形成するポリマー層形成工程と、ポリマー層にめっき触媒またはその前駆体を付与する触媒付与工程と、めっき触媒またはその前駆体に対してめっきを行うめっき工程とを備える、導電膜形成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電膜形成方法に関する。より詳細には、付加反応または開環反応の架橋反応を利用して形成されるポリマー層を用いた導電膜形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、絶縁性基板の表面に金属パターンによる配線を形成した金属配線基板が、電子部品や半導体素子に広く用いられている。
かかる金属パターン材料の製造方法としては、主に、「サブトラクティブ法」が使用される。このサブトラクティブ法とは、基板表面に形成された金属膜上に、活性光線の照射により感光する感光層を設け、この感光層を像様露光し、その後現像してレジスト像を形成し、次いで、金属膜をエッチングして金属パターンを形成し、最後にレジスト像を剥離する方法である。
【0003】
この方法により得られる金属パターンにおいては、基板表面に凹凸を設けることにより生じるアンカー効果によって、基板と金属膜との間の密着性を発現させている。そのため、得られた金属パターンの基板界面部の凹凸に起因して、金属配線として使用する際の高周波特性が悪くなるという問題点があった。また、基板表面に凹凸化処理するためには、クロム酸などの強酸で基板表面を処理することが必要であるため、金属膜と基板との密着性に優れた金属パターンを得るためには、煩雑な工程が必要であるという問題点もあった。
【0004】
この問題を解決する手段として、基板上に該基板と直接結合したグラフトポリマーを生成させてポリマー層を形成し、このポリマー層に対してめっきを施して、得られた金属膜(めっき膜)をエッチングする方法が知られている(特許文献1)。該方法においては、ポリマー層中のラジカル重合性基を介して、ポリマー間の架橋や、基板上へのポリマーのグラフトを行い、基板の表面を粗面化することなく、基板と金属膜との密着性を改良している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−135271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、本発明者らが特許文献1に記載の方法に従って、金属膜の作製を行ったところ、めっき処理により得られたポリマー層上の金属膜中において、条件によっては金属膜が生成されない領域(金属膜の欠損)が生じる場合があることを見出した。このような金属膜の欠損があると、該金属膜を配線として応用する際に、非導通部が生じることとなり、配線基板などへの応用が制限される。
【0007】
また、製造コストの低減の観点から、高スループットでより生産性よく微細配線を製造することが求められており、金属膜をより短時間でめっき処理により製造することも求められていた。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みて、めっき析出性に優れると共に、金属膜の欠損の発生が抑制された導電膜形成方法を提供することを目的とする。
また、本発明は該導電膜形成方法で使用される被めっき層形成用組成物を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、金属膜の欠損などが生じる原因について検討を行ったところ、めっき処理が施されるポリマー層中で生じるラジカル重合性基を介した反応が酸素などの影響により充分に進行しない結果、ポリマー層の硬化が必ずしも十分に進行していない点を見出した。その結果、ポリマー層を備えた基板を運搬するといった取扱い時にポリマー層上に傷などが生じたり、また、ポリマー層を現像する場合には硬化が不十分な部分が現像されてポリマー層に欠落が生じたりしやすく、ポリマー層上の傷やポリマー層の欠落の影響によって金属膜の欠損が生じていた。
本発明者らは、上記知見に基づき、以下に示す手段により上記目的を達成しうることを見出した。
【0010】
<1> 基板上に、めっき触媒またはその前駆体と相互作用を形成する非解離性官能基および架橋性基を有するポリマーと、前記架橋性基と反応する反応性基を少なくとも2つ有する架橋剤との架橋反応により得られるポリマー層を形成するポリマー層形成工程と、
前記ポリマー層にめっき触媒またはその前駆体を付与する触媒付与工程と、
前記めっき触媒またはその前駆体に対して、めっきを行うめっき工程とを備え、
前記架橋性基と前記反応性基との間の架橋反応が付加反応または開環反応であり、
前記架橋性基が、水酸基、イソシアネート基、カルボン酸基、エポキシ基、カルボン酸無水物基、ハロゲン化アルキル基、1級アミノ基、および、2級アミノ基からなる群から選択される、導電膜形成方法。
【0011】
<2> 前記架橋性基と前記反応性基との組み合わせが、以下の(1)〜(4)のいずれかの組み合わせから選ばれる、<1>に記載の導電膜形成方法。
(1)水酸基とイソシアネート基
(2)カルボン酸基とエポキシ基
(3)水酸基とカルボン酸無水物基
(4)2級アミノ基とハロゲン化アルキル基
<3> 前記架橋剤が、後述する式(5)で表される化合物である、<1>または<2>に記載の導電膜形成方法。
<4> 後述する式(5)中、Zが、−O−、−NR20−(R20は、水素原子、またはアルキル基を表す)、または−S−を含んでいてもよいアルキレン基であり、2つのR3間の原子数が6〜12である、<3>に記載の導電膜形成方法。
<5> 前記ポリマーが、後述する式(1)で表されるユニットおよび後述する式(2)で表されるユニットを少なくとも有する、<1>〜<4>のいずれかに記載の導電膜形成方法。
<6> めっき触媒またはその前駆体と相互作用を形成する非解離性官能基および架橋性基を有するポリマーと、前記架橋性基と反応する反応性基を少なくとも2つ有する架橋剤とを含有する被めっき層形成用組成物であって、
前記架橋性基と前記反応性基との間の架橋反応が付加反応または開環反応であり、
前記架橋性基が、水酸基、イソシアネート基、カルボン酸基、エポキシ基、カルボン酸無水物基、ハロゲン化アルキル基、1級アミノ基、および、2級アミノ基からなる群から選択される、被めっき層形成用組成物。
【0012】
なお、酸素阻害のない反応としては本願の採用手法である付加反応・開環反応以外に、縮合反応も考えられる。しかしながら、縮合反応では反応の進行と共に離脱する化合物があり、これらの化合物が副生する事で、膜全体の硬化度はほぼ同じであるが、膜強度が落ちてしまうため、所望の効果が得られない。また、本願の手法では、架橋性基を有するポリマー以外に、架橋剤を別途使用するため、架橋剤の比較的高い運動性により効率的に架橋反応を進行させることができる。
【発明の効果】
【0013】
上記の手段を採用することで、酸素阻害のない付加反応・開環反応による架橋反応によりポリマー層中で十分に硬化が進行し、その結果ポリマー層に傷などの欠落が生じにくくなり、めっき析出性に優れると共に、金属膜の欠損の発生が抑制された導電膜形成方法を提供することができる。
また、本発明は該導電膜形成方法で使用される被めっき層形成用組成物を提供することもできる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の導電膜形成方法(金属膜製造方法)について説明する。
まず、導電膜形成方法で使用される、めっき触媒またはその前駆体と相互作用を形成する非解離性官能基および架橋性基を有するポリマーと、上記架橋性基と反応する反応性基を少なくとも2つ有する架橋剤について詳述する。
その後、導電膜形成方法の各工程について説明する。
【0015】
<ポリマー>
本発明で使用されるポリマーは、めっき触媒またはその前駆体と相互作用を形成する非解離性官能基および架橋性基を有する。該非解離性官能基を備えることにより、後述する触媒付与工程において、めっき触媒またはその前駆体がポリマー層(被めっき層)中およびポリマー層上に吸着される。また、所定の架橋性基を備えることにより、後述する架橋剤との間で効率よく架橋反応(付加反応または開環反応)が進行し、耐傷性に優れたポリマー層を形成することができる。
まず、各官能基について説明する。
【0016】
(めっき触媒またはその前駆体と相互作用を形成する非解離性官能基)
非解離性官能基(解離によりプロトンを生成しない官能基)としては、非解離性で後述するめっき触媒またはその前駆体と相互作用を形成する基であれば特に制限されないが、具体的には、金属イオンと配位形成可能な基、含窒素官能基、含硫黄官能基、含酸素官能基などが好ましい。より具体的には、イミド基、ピリジン基、3級のアミノ基、ピロリドン基、アミジノ基、トリアジン環、トリアゾール環、ベンゾトリアゾール基、ベンズイミダゾール基、キノリン基、ピリミジン基、ピラジン基、ナゾリン基、キノキサリン基、プリン基、トリアジン基、ピペリジン基、ピペラジン基、ピロリジン基、ピラゾール基、アニリン基、イソシアヌル構造を含む基、ニトロ基、ニトロソ基、アゾ基、ジアゾ基、アジド基、シアノ基、シアネート基(R−O−CN)などの含窒素官能基、カーボネート基、エーテル基、カルボニル基、エステル基、N−オキシド構造を含む基、S−オキシド構造を含む基などの含酸素官能基、チオフェン基、チオシアヌール酸基、ベンズチアゾール基、チオエーテル基、チオキシ基、スルホキシド基、サルファイト基、スルホキシイミン構造を含む基、スルホン酸エステル構造を含む基などの含硫黄官能基、ホスフォロアミド基、フォスフィン基などの含リン官能基、または、塩素、臭素などのハロゲン原子を含む基が挙げられる。
また、隣接する原子または原子団との関係により非解離性を示す態様であれば、イミダゾール基、ウレア基、チオウレア基を用いてもよい。更には、例えば、シクロデキストリンや、クラウンエーテルなどの包接能を有する化合物に由来する官能基であってもよい。
中でも、極性が高く、めっき触媒等への吸着能が高いことから、エーテル基、またはシアノ基が特に好ましく、シアノ基が最も好ましいものとして挙げられる。
なお、ポリマー中に複数の非解離性官能基が含まれる場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
【0017】
上記エーテル基としては、以下の式(A)で表されるポリオキシアルキレン基が好ましい。
式(A) *−(YO)n−R10
式(A)中、Yはアルキレン基を表し、R10はアルキル基を表す。nは繰返し構造の数を表す。*は結合位置を表す。
アルキレン基としては、炭素数2〜3が好ましく、具体的には、エチレン基、プロピレン基が好ましく挙げられる。
アルキル基としては、炭素数1〜3が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基が好ましく挙げられる。
nは1〜9の数を表し、好ましくは2〜5である。なお、nは平均値を表し、該数値は公知の方法(NMR)などによって測定できる。
【0018】
(架橋性基)
架橋性基は、水酸基、イソシアネート基、カルボン酸基、エポキシ基、カルボン酸無水物基、ハロゲン化アルキル基、1級アミノ基、および2級アミノ基からなる群から選択される基であって、後述する架橋剤中の反応性基と反応して、ポリマー層中にて架橋反応を進行させる。
なかでも、反応性および取扱い性に優れる点で、架橋性基としては水酸基、カルボン酸基が好ましい。
なお、ポリマー中に複数の架橋性基が含まれる場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
【0019】
(好適態様)
上記ポリマーとしては、少なくとも以下式(1)で表されるユニット(繰り返し単位)、および以下式(2)で表されるユニットを有することが好ましい。
【0020】
【化1】

【0021】
式(1)中、R1は、水素原子、または置換若しくは無置換のアルキル基を表す。
1が、置換または無置換のアルキル基である場合、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、炭素数1〜2のアルキル基がより好ましい。より具体的には、無置換のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられ、また、置換アルキル基としては、メトキシ基などで置換された、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられる。
なお、R1としては、水素原子、メチル基、または、臭素原子で置換されたメチル基が好ましく、水素原子がさらに好ましい。
【0022】
式(1)中、L1は、単結合、または、置換若しく無置換の二価の有機基を表す。二価の有機基としては、置換若しくは無置換の脂肪族炭化水素基(好ましくは炭素数1〜8)、置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基(好ましくは炭素数6〜12)、−O−、−S−、−N(R)−(R:アルキル基)、−CO−、−NH−、−COO−、−CONH−、またはこれらを組み合わせた基(例えば、アルキレンオキシ基、アルキレンオキシカルボニル基、アルキレンカルボニルオキシ基など)などが挙げられる。
【0023】
置換または無置換の脂肪族炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、または、これらの基がメトキシ基、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子)などで置換されたものが好ましい。
置換または無置換の芳香族炭化水素基としては、無置換のフェニレン基、または、メトキシ基、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子)などで置換されたフェニレン基が好ましい。
【0024】
式(1)中、Wは、めっき触媒またはその前駆体と相互作用を形成する非解離性官能基を表す。非解離性官能基の定義は、上述の通りである。
【0025】
式(1)で表されるユニットの好適態様としては、以下の式(3)で表されるユニットが挙げられる。
【0026】
【化2】

【0027】
式(3)中のR1およびWは、式(1)中のR1およびWと同義である。
式(3)中、L3は、単結合、または、エーテル基、エステル基、アミド基、または、芳香族炭化水素基を表す。該芳香族炭化水素基の定義は、上述の通りである。
式(3)中、L4は、単結合、または、脂肪族炭化水素基を表す。該脂肪族炭化水素基の定義は、上述の通りである。
【0028】
ポリマー中、式(1)で表されるユニットの含有量は特に制限されないが、めっき触媒などに対する吸着性の点で、全ユニット(100モル%)に対して、20〜80モル%が好ましく、50〜80モル%がより好ましい。
【0029】
式(2)中、R2は、水素原子、または置換若しくは無置換のアルキル基を表す。該アルキル基の定義は、上記R1で表されるアルキル基と同義である。
式(2)中、L2は、単結合、または、置換若しく無置換の二価の有機基を表す。該有機基の定義は、上記L1で表される有機基と同義である。
【0030】
式(2)中、Xは架橋性基を表し、水酸基、イソシアネート基、カルボン酸基、エポキシ基、カルボン酸無水物基、ハロゲン化アルキル基、1級アミノ基、および2級アミノ基からなる群から選択される基である。
【0031】
式(2)で表されるユニットの好適態様としては、式(4)で表されるユニットが挙げられる。
【0032】
【化3】

【0033】
式(4)中のR2およびXは、式(2)中のR2およびXと同義である。
式(4)中のL5およびL6は、式(3)中のL3およびL4それぞれと同義である。
【0034】
ポリマー中、式(2)で表されるユニットの含有量は特に制限されないが、架橋後の膜強度の点で、全ユニット(100モル%)に対して、10〜50モル%が好ましく、10〜40モル%がより好ましい。
【0035】
なお、式(1)で表されるユニットおよび式(2)で表されるユニットは、それぞれのユニットがブロック状に連結していてもよく、ランダムに結合していてもよい。
ポリマーは、式(1)で表されるユニットおよび式(2)で表されるユニット以外に、他のユニットを含有していてもよい。
【0036】
ポリマーの重量平均分子量は特に限定されないが、架橋後の膜強度・取扱い性の観点から、5000〜20万が好ましく、1万〜10万がより好ましい。
【0037】
式(3)と式(4)中に含まれる、R1,R2,L3,L4,L5,L6,XおよびWの好ましい組み合わせとしては、(R1,R2,L3,L4,L5,L6,X,W)=(水素,水素,エステル基または単結合,単結合または脂肪族炭化水素基,エステル基,脂肪族炭化水素基,シアノ基またはエーテル基,水酸基,カルボン酸基,エポキシ基またはアミノ基)である。
【0038】
(ポリマーの合成方法)
上記ポリマーの合成方法は特に限定されず、公知の重合方法(ラジカル重合、カチオン重合)が利用される。なお、重合に使用されるモノマーは、市販品であっても、公知の合成方法を組み合わせて合成したものであってもよい。
例えば、上記非解離性官能基を有するモノマーと、架橋性基を有するモノマーとを公知の重合法(ラジカル重合、カチオン重合など)によって重合させて、上記ポリマーを合成してもよい。
【0039】
なお、非解離性官能基を有するモノマーとしては、例えば、N−ビニルピロリドン、N−ビニルイミダゾール、ビニルピリジン、ポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、シアノエチル(メタ)アクリレート、1−メチル−シアノメチル(メタ)アクリレート、2−ニトロ−エチル(メタ)アクリレート、2−シアノ−エチル(メタ)アクリルアミド、1−メチル−シアノメチルメタクリルアミド、4−シアノ−フェニル(メタ)アクリレート、N−シアノエチル−N−エチル−(メタ)アクリルアミド、3−シアノ−プロピル(メタ)アクリレート、2−シアノ−2−メチル−エチル(メタ)アクリレート、4−シアノ−ブチル(メタ)アクリレート、5−シアノ−ペンチル(メタ)アクリレート、6−シアノ−ヘキシル(メタ)アクリレート、1−シアノ−メチル(メタ)アクリレート、1−シアノ−シクロヘキシル(メタ)アクリレート、p−シアノ−スチレン、4−シアノ−2,2−ジエチル−ブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0040】
架橋性基を有するモノマーとして、以下のモノマーが挙げられる。
まず、水酸基を有するモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1−(メタ)アクリロイル−3−ヒドロキシ−アダマンタン、ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、2−(ヒドロキシメチル)−(メタ)アクリレート、2−(ヒドロキシメチル)−(メタ)アクリレートのメチルエステル、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3,5−ジヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシメチル−4−(メタ)アクリロイルメチル−シクロヘキサン、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、1−メチル−2−アクリロイロキシプロピルフタル酸、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、1−メチル−2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタル酸、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシ−3−クロロプロピルフタル酸、東亞合成(株)製のアロニクスM−554、M−154、M−555、M−155、M−158、日本油脂(株)製のブレンマーPE−200、PE−350、PP−500、PP−800、PP−1000、70PEP−350B、55PET800、以下の構造を有するラクトン変性アクリレートが使用できる。
CH2=CRCOOCH2CH2[OC(=O)C510nOH
(R=H又はMe、n=1〜5)
【0041】
イソシアネートを有するモノマーとしては、例えば、昭和電工製のカレンズAOI、カレンズMOI、3−イソシアネートプロピル(メタ)アクリレート、4−イソシアネートブチル(メタ)アクリレート、などが挙げられる。
カルボン酸基を有するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、安息香酸ビニル、東亞合成製のアロニクスM−5300、M−5400、M−5600、三菱レーヨン製のアクリルエステルPA、HH、共栄社化学(株)製のライトアクリレートHOA−HH、中村化学製のNKエステルSA、A−SAなどが挙げられる。
【0042】
エポキシ基を有するモノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、ダイセル化学製のサイクロマーA、サイクロマーM、3−(オキシラン−2−イル)プロピル(メタ)アクリレート、2−(オキシラン−2−イル)エチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
カルボン酸無水物基を有するモノマーとしては、例えば、2−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)エチル(メタ)アクリレート、(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)メチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
その他に、N−メチル−2−アミノエチル−(メタ)アクリレート、2−アミノエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0043】
<架橋剤>
本発明で使用される架橋剤は、上記ポリマー中に含まれる架橋性基と反応する反応性基を少なくとも2つ有する。該架橋剤が2つの反応性基を有することにより、ポリマー間の架橋が進行して、ポリマー層の硬化反応を進行させることができる。
なお、架橋反応としては、付加反応または開環反応が実施される。
【0044】
該架橋剤に含まれる反応性基としては上記架橋性基と反応すれば特に制限されないが、例えば、水酸基、イソシアネート基、カルボン酸基、エポキシ基、カルボン酸無水物基、1級アミノ基、2級アミノ基、またはハロゲン化アルキル基などが挙げられる。なかでも、反応性が優れる点で、イソシアネート基、エポキシ基、カルボン酸無水物基が好ましい。
【0045】
上記ポリマー中の架橋性基と、反応性基との好適な組み合わせとしては、反応性がより優れ、耐傷性に優れたポリマー層が得られる点で、例えば、以下の(1)〜(8)の組み合わせが挙げられる。
(1)水酸基とイソシアネート基
(2)カルボン酸基とエポキシ基
(3)水酸基とカルボン酸無水物基
(4)カルボン酸基とイソシアネート基
(5)アミノ基とイソシアネート基
(6)水酸基とエポキシ基
(7)アミノ基とエポキシ基
(8)アミノ基とハロゲン化アルキル基
なお、上記各組み合わせの中の2つの官能基のいずれか一方が架橋性基で、残りの他方が反応性基であればよい。具体的には、上記(1)の組み合わせの場合、架橋性基が水酸基で、反応性基がイソシアネート基であっても、架橋性基がイソシアネート基で、反応性基が水酸基であってもよい。
【0046】
上記組み合わせのなかでも、(1),(2),(3),または(8)の組み合わせが好ましく、架橋性基の反応性の観点から(1)または(2)の組み合わせがより好ましい。
特に、(1)の組み合わせの場合、取扱いが容易であり、反応性基が失活しにくいという観点で、ポリマー中の架橋性基が水酸基、反応性基がイソシアネート基であることが好ましい。
また、(2)の組み合わせの場合、取扱いが容易であり、反応性基が失活しにくいという観点で、ポリマー中の架橋性基がカルボン酸基、反応性基がエポキシ基であることが好ましい。
また、(3)の組み合わせの場合、取扱いが容易であり、反応性基が失活しにくいという観点で、ポリマー中の架橋性基が水酸基、反応性基がカルボン酸無水物基であることが好ましい。
また、(8)の組み合わせの場合、取扱いが容易であり、反応性基が失活しにくいという観点で、ポリマー中の架橋性基が2級アミノ基、反応性基がハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
【0047】
架橋剤中の反応性基の数は少なくとも2つであり、ポリマー層中の架橋反応の進行しやすさ、ポリマー層へのメッキのしやすさの点から、2〜4つが好ましく、2〜3つがより好ましい。
【0048】
架橋剤の具体例としては、以下が挙げられる。
架橋剤が多価アミンの場合、例えば、1分子中に2個の1級アミノ基を含有している化合物、1分子中に1個の1級アミノ基と1個の2級アミノ基を含有している化合物、1分子中に2個の1級アミノ基と1個の2級アミノ基を含有している化合物、1分子中に1個の1級アミノ基と2個の2級アミノ基を含有している化合物、1分子中に3個の1級アミノ基を含有している化合物、1分子中に4つ以上のアミノ基を含有している化合物などが挙げられる。
【0049】
より具体的には、1分子中に2個の1級アミノ基を含有している化合物としては、例えば、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,2−ジアミノ−2−メチルプロパン、1,3−ジアミノペンタン、1,5−ジアミノペンタン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,12−ジアミノドデカン、2−ブチル−2−エチル−1,5−ペンタンジアミン、5−アミノ−2,2,4−トリメチル−1−シクロペンタンメチルアミン、4−4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、4,4’−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、N,N’−ビス(2,2−ジメチルブチル)−1,2−シクロヘキサンジアミン、1,3−シクロヘキサンビス(メチルアミン)、1,8−ジアミノ−p−メンタン、5−アミノ−1,3,3−トリメチルシクロヘキサンメチルアミンなどが挙げられる。
【0050】
1分子中に1個の1級アミノ基と1個の2級アミノ基を含有している化合物としては、例えば、N−メチルエチレンジアミン、N−エチルエチレンジアミン、N−プロピルエチレンジアミン、N−イソプロピルエチレンジアミン、N−メチル−1,3−プロパンジアミン、N−プロピル−1,3−プロパンジアミン、N−イソプロピル−1,3−プロパンジアミンなどが挙げられる。
1分子中に2個の2級アミノ基を含有している化合物としては、例えば、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、N,N’−ジイソプロピルエチレンジアミン、N,N’−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N’−ジエチル−1,3−プロパンジアミン、N,N’−ジイソプロピル−1,3−プロパンジアミン、N,N’−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、N−シクロヘキシル−1,3−プロパンジアミン、3−アミノピロリジンなどが挙げられる。
1分子中に2個の2級アミノ基を含有している化合物としては、例えば、4,4’−ビピペリジン、ピペラジン、ホモピペラジンなどが挙げられる。
1分子中に2個の1級アミノ基と1個の2級アミノ基を含有している化合物としては、例えば、ジエチレントリアミン、N−(2−アミノエチル)−1,3−プロパンジアミン、N−(3−アミノプロピル)−1,3−プロパンジアミン、spermidine、ビス(ヘキサメチレン)トリアミンなどが挙げられる。
【0051】
1分子中に1個の1級アミノ基と2個の2級アミノ基を含有している化合物としては、例えば、N−イソプロピルジエチレントリアミンなどが挙げられる。
1分子中に3個の1級アミノ基を含有している化合物としては、例えば、4−(アミノメチル)−1,8−オクタンジアミン、トリス(2−アミノエチル)アミンなどが挙げられる。
1分子中に4つ以上のアミノ基を含有している化合物としては、例えば、トリエチレンテトラアミン、1,4,7,11−テトラアザウンデカン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、N,N’−ビス(2−アミノエチル)−1,3−プロパンジアミン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)1,3−プロパンジアミン、spermine、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキミンなどが挙げられる。
その他の多価アミンとしては、例えば、芳香族アミンが挙げられ、より具体的には、2,2’−エチレンジアニリン、o−トルイジン、1,4−フェニレンジアミン、2,7−ジアミノフルオレン、p−キシレンジアミン、4−アミノベンジルアミン、2−アミノフェノール、2−アミノベンジルアルコール、2−アミノフェネチルアルコール、3−アミノフェノール、2−アミノ−1−フェニルエタノールなどが挙げられる。
【0052】
水酸基を有する化合物(多官能水酸基含有化合物)としては、以下のような化合物が挙げられる。
2つの水酸基を有する化合物として、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデンカンジオ−ル、1,14−テトラデカンジオール、1,16−ヘキサデカンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、4,4’−イソプロピルインデンジシクロヘキサノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,5−デカリンジオール、4−ヒドロキシフェノール、2,6−ジヒドロキシナフタレン、4,4’−ビフェノール、ビスフェノールA、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン、3−(ジメチルアミノ)−1,2−プロパンジオール、3−(ジエチルアミノ)−1,2−プロパンジオール、3−(ジプロピルアミノ)−1,2−プロパンジオール、3−(ジイソプロピルアミノ)−1,2−プロパンジオールなどが挙げられる。
3つの水酸基を有する化合物として、例えば、シクロヘキサトリオール、グリセロール、1,2,4−ブタントリオール、トリエタノールアミン、1−〔N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−アミノ〕−2−プロパノール、トリイソプロパノールアミンなどが挙げられる。
4つ以上の水酸基を有する化合物として、例えば、イノシトール、メソ-エリスリトール、マンニトール、キシリトール、リボース、ガラクトール、マンノース、カリックス〔4〕アレン、3−ヒドロキシフェネチルアルコールなどが挙げられる。
【0053】
アミノ基と水酸基とを有する化合物としては、例えば、エタノールアミン、3−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−1−プロパノール、1−アミノ−2−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、2−アミノ−1−ブタノール、2−アミノ−1−メチル−1−プロパノール、5−アミノ−1−ペンタノール、2−アミノ−1−ペンタノール、2−アミノ−3−メチル−1−ブタノール、6−アミノ−1−ヘキサノール、2−アミノ−1−ヘキサノール、serinol、1−アミノ−1−シクロペンタンメタノール、2−アミノ−3−シクロヘキシル−1−プロパノール、2−アミノシクロヘキサノール、4−アミノシクロヘキサノール、1−アミノメチル−1−シクロヘキサノール、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサノール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、2−(メチルアミノ)エタノール、2−(エチルアミノ)エタノール、2−(プロピルアミノ)エタノール、2−(t−ブチルアミノ)エタノール、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、serinol、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、1−アミノ−1−デオキシ−D−ソルビトール、D−ガラクトサミンなどが挙げられる。
【0054】
多価イソシアネート化合物としては、例えば、1,4−ジイソシアネートブタン、1,6−ジイソシアネートヘキサン、1,8−ジイソシアネートオクタン、1,12−ジイソシアネートドデカン、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4’−オキシビス(フェニルイソシアネート)などが挙げられる。
【0055】
多価エポキシとしては、1,2,7,8−ジエポキシオクタン、1,3−ブタジエンジエポキシド、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、〔(4−{1−へプチル−8−〔3−(オキシラニルメトキシ)フェニイル〕−オクチル}フェノキシ)メチル〕オキシラン等が挙げられる。
多価酸無水物化合物としては、例えば、エチレンジアミンテトラアセチックジアンハイドライド、ジエチレントリアミンペンタアセチックジアンハイドライド、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボキシリックジアンハイドライド、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボキシリックジアンハイドライドなどが挙げられる。
【0056】
多価ハロゲン化アルキル化合物としては、1,4−ジ(クロロメチル)ベンゼン、1,3,5−トリ(クロロメチル)ベンゼン、1,4−ジ(ブロモメチル)ベンゼン、1,3,5−トリ(ブロモメチル)ベンゼン、1,4−ジ(ヨードメチル)ベンゼン、1,3,5−トリ(ヨードメチル)ベンゼン、1,4−ジクロロブタン、1,5−ジクロロペンタン、1,6−ジクロロヘキサン、1,7−ジクロロヘプタン、1,8−ジクロロオクタン、1,9−ジクロロノナン、1,10−ジクロロデカン、1,6−ジブロモヘキサン、1,6−ジヨードヘキサンが挙げられる。
【0057】
(好適態様)
以上の中で、架橋剤の好適態様としては、得られるポリマーの耐傷性がより優れる点で、式(5)で表される架橋剤が挙げられる。
【0058】
【化4】

【0059】
式(5)中、Zは、2価の脂肪族炭化水素基、2価の芳香族炭化水素基、またはこれらを組み合わせた基を表す。なかでも、2価の脂肪族炭化水素基が好ましい。
脂肪族炭化水素基としては特に制限されないが、形成された架橋膜(ポリマー層)へのめっき触媒の吸着性の点から、炭素数6〜12が好ましく、炭素数8〜10がより好ましい。
芳香族炭化水素基としては芳香族性を有していれば特に制限されないが、形成された架橋膜へのめっき触媒の吸着性の点から、炭素数6〜10が好ましく、炭素数6がより好ましい。芳香族炭化水素基としては、フェニレン基、ナフチレン基が好ましい。
なお、Zにはさらに置換基としてアルキル基が含まれていてもよい。
また、Zには、−O−、−NR20−(R20は、水素原子、またはアルキル基を表す)、または−S−が含まれていてもよい。なお、R20として表されるアルキル基としては、炭素数1〜4が好ましい。
【0060】
特に、Zとしては、形成された架橋膜へのめっき触媒の吸着性の点から、−O−、−NR20−(R20は、水素原子、またはアルキル基を表す)、または−S−が含まれていてもよいアルキレン基(直鎖状でも、分岐鎖状でも、環状でもよい)が好ましい。
Zが上記アルキレン基の場合、なかでも、硬化性とめっき析出性の観点から、2つの反応性基R3間の原子数が6〜12が好ましく、8〜10がより好ましい。ポリマー層中において、架橋点間距離に応じて、後述するめっき触媒の浸透性が異なり、2つの反応性基間の原子数が6未満であると架橋構造が密となりめっき触媒が浸透しづらくなり、該原子数が12超であると架橋構造が疎となり、ポリマー層の硬化自体がしづらくなる。
また、Zが芳香族炭化水素基(例えば、アリーレン基)の場合、耐傷性とめっき性がより優れる点で、2つの反応性基R3間の原子数が3〜6が好ましい。
【0061】
Zとして最も好ましい態様は、本発明の効果がより優れる点で、−O−、−NR20−、または−S−を含まない、アルキレン基である。
Zが上記アルキレン基である場合、なかでも、硬化性とめっき析出性の観点から、2つの反応性基R3間の炭素数が6〜12が好ましく、8〜10がより好ましい。上述したように、2つの反応性基間の炭素数が6未満であると架橋構造が密となりめっき触媒が浸透しづらくなり、該炭素数が12超であると架橋構造が疎となり、ポリマー層の硬化自体がしづらくなる。
【0062】
式(5)中、R3は、上記架橋性基と反応する反応性基を表す。上述の通りであり、式(5)中の2つのR3は同一でも異なっていてもよい。なお、2つのR3は、架橋剤の合成適性の観点から同一である事が好ましい。
なお、2つの反応性基R3がZに結合する位置は特に制限されず、Zがアルキレン基である場合、その末端部または中央部であってよい。
【0063】
<導電膜形成性方法>
以下に、導電膜形成方法で実施される各工程について詳述する。導電膜形成方法は、以下の3つの工程を有する。
工程(1):基板上に、めっき触媒またはその前駆体と相互作用を形成する非解離性官能基および架橋性基を有するポリマーと、該架橋性基と反応する反応性基を少なくとも2つ有する架橋剤との架橋反応により得られるポリマー層を形成するポリマー層形成工程
工程(2):ポリマー層にめっき触媒またはその前駆体を付与する触媒付与工程
工程(3):めっき触媒またはその前駆体に対してめっきを行うめっき工程
以下に、各工程の手順について詳述する。
【0064】
<工程(1):ポリマー層形成工程>
工程(1)は、基板上に、めっき触媒またはその前駆体と相互作用を形成する非解離性官能基および架橋性基を有するポリマーと、該架橋性基と反応する反応性基を少なくとも2つ有する架橋剤との架橋反応により得られるポリマー層を形成する工程である。該工程において、耐傷性に優れたポリマーが形成される。
まず、工程(1)で使用される基板について詳述する。
【0065】
本工程で使用される基板は、形状保持性を有するもので、後述するポリマー層を支持するものであれば特に制限されない。例えば、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、ポリイミド、エポキシ、ビスマレインイミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド、液晶ポリマー、ポリテトラフルオロエチレン等)、上記の如き金属がラミネートまたは蒸着された紙またはプラスチックフィルム等が含まれる。なかでも、エポキシ樹脂、またはポリイミド樹脂が好ましい。
【0066】
ポリマー層の形成方法は特に限定されないが、操作が容易である点から、基板上でポリマーと架橋剤とを反応させることによりポリマー層を形成することが好ましい。その場合、ポリマーと架橋剤とを含む組成物層を基板上に形成し、次いで該組成物層を硬化させてポリマー層を形成する。
ポリマーと架橋剤とを含む組成物層の形成方法は特に制限されず、ポリマーと架橋剤を別々に基板上に供給して組成物層を形成してもよい。なお、操作性の観点からは、ポリマーと架橋剤とを含む組成物(被めっき層形成用組成物)を基板上に塗布して、組成物層を形成することが好ましい。
該組成物が流動性を有する場合はそのまま塗布し、該組成物の流動性が低い場合は、溶媒(水や有機溶剤)を配合して塗布してもよい。溶剤などの揮発性成分を含む膜は、次いでその揮発性成分を蒸発除去して組成物層とすることができる。組成物層の架橋反応(硬化反応)は、揮発性成分の蒸発除去と連続して行うことができる。
【0067】
組成物中で使用される有機溶媒の種類は特に制限されず、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールモノメチルエーテルの如きアルコール系溶剤、酢酸の如き酸、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンの如きケトン系溶剤、ホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンの如きアミド系溶剤、アセトニトリル、プロピロニトリルの如きニトリル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチルの如きエステル系溶剤、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートの如きカーボネート系溶剤、この他にも、エーテル系溶剤、グリコール系溶剤、アミン系溶剤、チオール系溶剤、ハロゲン系溶剤などが挙げられる。
【0068】
組成物を基板上に塗布して組成物層を形成する場合、塗布方法は特に限定されず、従来公知の方法が挙げられる。公知の方法としては、スプレーコート法、ダイコート法、スピンコート法、ディップコート法、ロールコート法、バーコート法、スクリーン印刷法、グラビアコート法が挙げられる。このような方法の中から、組成物の種類に応じて適宜選択することができる。例えば、組成物に揮発性成分を配合していない場合、ダイコート法、スピンコート法またはスクリーン印刷法が好ましい。溶剤などの揮発性成分を配合した組成物の場合、硬化前に加熱等で揮発性成分を除去してから硬化させる。
【0069】
組成物層中におけるポリマーと架橋剤との含有量は特に制限されず、使用される化合物の構造によって適宜最適な条件が選択されるが、ポリマー層中の架橋反応(硬化反応)がより進行しやすい点から、ポリマー中の架橋性基のモル数と架橋剤中の反応性基のモル数とのモル比(反応性基/架橋性基)が、0.8〜2が好ましく、1〜1.5がより好ましい。
【0070】
また、組成物層中には、必要に応じて、充填剤、ゴム成分、難燃化剤、希釈剤、チキソトロピー化剤、顔料、消泡剤、レベリング剤、カップリング剤などの添加剤が含まれていてもよい。
【0071】
組成物層を硬化させる条件としては、使用されるポリマーおよび架橋剤などの種類によって異なり、適宜最適な条件が選択される。通常、加熱温度としては50〜300℃が好ましく、処理時間としては5〜60分が好ましい。
【0072】
得られたポリマー層の厚みは特に制限されず、膜の硬化性、及び、めっき触媒の吸着量の点から、0.3〜2μmが好ましく、0.5〜1.5μmがより好ましい。
【0073】
なお、ポリマー層の他の形成方法としては、ポリマーと架橋剤とを含む組成物層を何らかの剥離性表面上で硬化してフィルムを製造し、このフィルムを基板上に積層してもよい。
【0074】
<工程(2):触媒付与工程>
工程(2)は、工程(1)で得られたポリマー層に対してめっき触媒またはその前駆体を付与する工程である。
本工程においては、ポリマー層を構成するポリマーが有する非解離性官能基が、その機能に応じて、付与されためっき触媒またはその前駆体を付着(吸着)する。より具体的には、ポリマー層中、およびポリマー層表面上に、非解離性官能基を介して、めっき触媒またはその前駆体を付与する。つまり、ポリマー層は、めっき触媒またはその前駆体の良好な受容層(いわゆる、被めっき層)として機能する。
ここで、めっき触媒またはその前駆体としては、後述する工程(3)における、めっきの触媒や電極として機能するものが挙げられる。そのため、めっき触媒またはその前駆体は、工程(3)におけるめっきの種類により決定される。
なお、本工程において用いられるめっき触媒またはその前駆体は、無電解めっき触媒またはその前駆体であることが好ましい。
【0075】
(無電解めっき触媒)
本工程において用いられる無電解めっき触媒は、無電解めっき時の活性核となるものであれば、如何なるものも用いることができ、具体的には、自己触媒還元反応の触媒能を有する金属(例えば、Niよりイオン化傾向の低い無電解めっきできる金属として知られるもの)などが挙げられ、さらに具体的には、Pd、Ag、Cu、Ni、Al、Fe、Coなどが挙げられる。中でも、触媒能の高さから、Ag、Pdが特に好ましい。
この無電解めっき触媒は、金属コロイドとして用いてもよい。一般に、金属コロイドは、荷電を持った界面活性剤または荷電を持った保護剤が存在する溶液中において、金属イオンを還元することにより作製することができる。金属コロイドの荷電は、ここで使用される界面活性剤または保護剤により調節することができる。
【0076】
(無電解めっき触媒前駆体)
本工程において用いられる無電解めっき触媒前駆体とは、化学反応により無電解めっき触媒となりうるものであれば、特に制限なく使用することができる。主には、上記無電解めっき触媒として挙げた金属の金属イオンが用いられる。無電解めっき触媒前駆体である金属イオンは、還元反応により無電解めっき触媒である0価金属になる。無電解めっき触媒前駆体である金属イオンは、ポリマー層へ付与した後、無電解めっき浴への浸漬前に、別途還元反応により0価金属に変化させて無電解めっき触媒としてもよいし、無電解めっき触媒前駆体のまま無電解めっき浴に浸漬し、無電解めっき浴中の還元剤により金属(無電解めっき触媒)に変化させてもよい。
【0077】
無電解めっき前駆体である金属イオンは、金属塩を用いてポリマー層に付与することが好ましい。使用される金属塩としては、適切な溶媒に溶解して金属イオンと塩基(陰イオン)とに解離されるものであれば特に制限はなく、M(NO3)n、MCln、M2/n(SO4)、M3/n(PO4)(Mは、n価の金属原子を表す)などが挙げられる。金属イオンとしては、上記の金属塩が解離したものを好適に用いることができる。具体例としては、例えば、Agイオン、Cuイオン、Alイオン、Niイオン、Coイオン、Feイオン、Pdイオンが挙げられ、中でも、多座配位可能なものが好ましく、特に、配位可能な官能基の種類数および触媒能の点で、Agイオン、Pdイオンが好ましい。
【0078】
本発明で用いられる無電解めっき触媒またはその前駆体の好ましい例の一つとして、パラジウム化合物が挙げられる。このパラジウム化合物は、めっき処理時に活性核となり金属を析出させる役割を果たす、めっき触媒(パラジウム)またはその前駆体(パラジウムイオン)として作用する。パラジウム化合物としては、パラジウムを含み、めっき処理の際に核として作用すれば、特に限定されないが、例えば、パラジウム(II)塩、パラジウム(0)錯体、パラジウムコロイドなどが挙げられる。
【0079】
パラジウム塩としては、例えば、酢酸パラジウム、塩化パラジウム、硝酸パラジウム、臭化パラジウムが好ましい。
パラジウム錯体としては、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム錯体、トリス(ベンジリデンアセトン)ジパラジウム錯体などが挙げられる。
パラジウムコロイドは、パラジウム(0)から構成される粒子で、その大きさは特に制限されないが、液中での安定性の観点から、5nm〜300nmが好ましい。
【0080】
また、本発明で用いられる無電解めっき触媒またはその前駆体としては、選択的にポリマー層に吸着させることができるといった観点から、銀、または銀イオンが好ましい別の例として挙げられる。
めっき触媒前駆体として銀イオンを用いる場合、以下に示すような銀化合物が解離したものを好適に用いることができる。銀化合物の具体例としては、硝酸銀、酢酸銀、硫酸銀、炭酸銀、シアン化銀、チオシアン酸銀、塩化銀、臭化銀、クロム酸銀、クロラニル酸銀、サリチル酸銀、ジエチルジチオカルバミン酸銀、ジエチルジチオカルバミド酸銀、p−トルエンスルホン酸銀が挙げられる。この中でも、水溶性の観点から硝酸銀が好ましい。
【0081】
無電解めっき触媒である金属、または、無電解めっき前駆体である金属塩をポリマー層に付与する方法としては、金属を適当な分散媒に分散した分散液、または、金属塩を適切な溶媒で溶解し、解離した金属イオンを含む溶液(めっき触媒またはその前駆体を含むめっき触媒液)を調製し、その分散液若しくは溶液(めっき触媒液)をポリマー層上に塗布するか、または、その分散液若しくは溶液(めっき触媒液)中にポリマー層が形成された基板を浸漬すればよい。
【0082】
上記のように無電解めっき触媒またはその前駆体を接触させることで、ポリマー層中の非解離性官能基に、ファンデルワールス力のような分子間力による相互作用、または、孤立電子対による配位結合による相互作用を利用して、無電解めっき触媒またはその前駆体を吸着させることができる。
このような吸着を充分に行なわせるという観点からは、分散液、溶液、組成物中の金属濃度、または溶液中の金属イオン濃度は、0.001〜50質量%の範囲であることが好ましく、0.005〜30質量%の範囲であることがより好ましい。
また、接触時間としては、30秒〜24時間程度であることが好ましく、1分〜1時間程度であることがより好ましい。
【0083】
なお、無電解めっき触媒またはその前駆体を含有する溶液にパラジウム化合物を用いる場合、パラジウム化合物の含有量は、溶液の全量に対して、0.001〜10質量%が好ましく、0.05〜5質量%がより好ましく、0.10〜1質量%が更に好ましい。
また、無電解めっき触媒またはその前駆体を含有する溶液に銀化合物を用いる場合、銀化合物の含有量は、溶液の全量に対して、0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%が更に好ましい。
どちらの化合物を用いる場合であっても、含有量が少なすぎると後述するめっきの析出がし難くなり、含有量が多すぎると、所望とされない領域までめっきが析出してしたり、エッチング残渣除去性が損なわれたりすることがある。
【0084】
ポリマー層のめっき触媒またはその前駆体の吸着量に関しては、使用する無電解めっき触媒またはその前駆体の種類にもよるが、例えば、銀イオンの場合は、無電解めっきの析出性の観点から、300mg/m2以上が好ましく、500mg/m2以上がより好ましく、600mg/m2以上が更に好ましい。また、基板との密着力の高い金属膜を作製するという観点からは、ポリマー層の銀イオンの吸着量は1000mg/m2以下であることが好ましい。
また、パラジウムイオンの場合、ポリマー層の吸着量は、無電解めっきの析出性の観点から、5mg/m2以上が好ましく、10mg/m2以上がより好ましい。また、基板との密着力の高い金属膜を作製するという観点からは、ポリマー層のパラジウムイオンの吸着量は1000mg/m2以下であることが好ましい。
【0085】
(その他の触媒)
本発明において、工程(3)においてポリマー層に対して、無電解めっきを行わず直接電気めっきを行うために用いられる触媒(例えば、0価金属)を使用することもできる。
【0086】
(有機溶剤、及び水)
上記のようなめっき触媒またはその前駆体は、前述のように、分散液や溶液(めっき触媒液)としてポリマー層に付与される。
分散液や溶液には、有機溶剤や水が用いられる。有機溶剤を含有することで、ポリマー層に対するめっき触媒またはその前駆体の浸透性が向上し、非解離性官能基に効率よくめっき触媒またはその前駆体を吸着させることができる。
【0087】
分散液や溶液には、水を用いてもよく、この水としては、不純物を含まないことが好ましく、そのような観点からは、RO水や脱イオン水、蒸留水、精製水などを用いるのが好ましく、脱イオン水や蒸留水を用いるのが特に好ましい。
【0088】
分散液や溶液の調製に用いられる有機溶剤としては、ポリマー層に浸透しうる溶剤であれば特に制限は無いが、具体的には、アセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、エチレングリコールジアセテート、シクロヘキサノン、アセチルアセトン、アセトフェノン、2−(1−シクロヘキセニル)シクロヘキサノン、プロピレングリコールジアセテート、トリアセチン、ジエチレングリコールジアセテート、ジオキサン、N−メチルピロリドン、ジメチルカーボネート、ジメチルセロソルブなどを用いることができる。
【0089】
また、その他の有機溶剤としては、ダイアセトンアルコール、γ−ブチロラクトン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコールターシャリーブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4ジオキサン、n−メチル−2−ピロリドンなどが挙げられる。
【0090】
特に、めっき触媒またはその前駆体との相溶性、およびポリマー層への浸透性の観点では水溶性の有機溶剤が好ましく、アセトン、ジメチルカーボネート、ジメチルセロソルブ、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルが好ましい。
【0091】
更に、分散液や溶液には、目的に応じて他の添加剤を含有することができる。他の添加剤としては、例えば、膨潤剤や、界面活性剤などが挙げられる。
【0092】
以上説明した工程(2)を経ることで、ポリマー層中の非解離性官能基とめっき触媒またはその前駆体との間に相互作用を形成することができる。
【0093】
<工程(3):めっき工程>
工程(3)では、無電解めっき触媒またはその前駆体が付与されたポリマー層に対し、めっきを行うことで、金属膜(めっき膜)が形成される。形成された金属膜(導電膜)は、優れた導電性、密着性を有する。
本工程において行われるめっきの種類は、無電解めっき、電気めっき等が挙げられ、上記工程(2)において、ポリマー層との間に相互作用を形成しためっき触媒またはその前駆体の機能によって、選択することができる。
つまり、本工程では、めっき触媒またはその前駆体が付与されたポリマー層に対し、電気めっきを行ってもよいし、無電解めっきを行ってもよい。
中でも、ポリマー層中に発現するハイブリッド構造の形成性および密着性向上の点から、無電解めっきを行うことが好ましい。また、所望の膜厚の金属膜を得るために、無電解めっきの後に、更に電気めっきを行うことがより好ましい態様である。
以下、本工程において好適に行われるめっきについて説明する。
【0094】
(無電解めっき)
無電解めっきとは、めっきとして析出させたい金属イオンを溶かした溶液を用いて、化学反応によって金属を析出させる操作のことをいう。
本工程における無電解めっきは、例えば、無電解めっき触媒が付与された基板を、水洗して余分な無電解めっき触媒(金属)を除去した後、無電解めっき浴に浸漬して行う。使用される無電解めっき浴としては、公知の無電解めっき浴を使用することができる。
また、無電解めっき触媒前駆体が付与された基板を、無電解めっき触媒前駆体がポリマー層に吸着または含浸した状態で無電解めっき浴に浸漬する場合には、基板を水洗して余分な前駆体(金属塩など)を除去した後、無電解めっき浴中へ浸漬させる。この場合には、無電解めっき浴中において、めっき触媒前駆体の還元とこれに引き続き無電解めっきが行われる。ここで使用される無電解めっき浴としても、上記同様、公知の無電解めっき浴を使用することができる。
【0095】
なお、無電解めっき触媒前駆体の還元は、上記のような無電解めっき液を用いる態様とは別に、触媒活性化液(還元液)を準備し、無電解めっき前の別工程として行うことも可能である。触媒活性化液は、無電解めっき触媒前駆体(主に金属イオン)を0価金属に還元できる還元剤を溶解した液で、液全体に対する該還元剤の濃度が0.1〜50質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましい。還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウム、ジメチルアミンボランのようなホウ素系還元剤、ホルムアルデヒド、次亜リン酸などの還元剤を使用することが可能である。
浸漬の際には、無電解めっき触媒またはその前駆体が接触するポリマー層表面付近の無電解めっき触媒またはその前駆体の濃度を一定に保つ上で、攪拌または揺動を加えながら浸漬することが好ましい。
【0096】
一般的な無電解めっき浴の組成としては、溶剤(例えば、水)の他に、1.めっき用の金属イオン、2.還元剤、3.金属イオンの安定性を向上させる添加剤(安定剤)が主に含まれている。このめっき浴には、これらに加えて、めっき浴の安定剤など公知の添加物が含まれていてもよい。
【0097】
めっき浴に用いられる有機溶剤としては、水に可能な溶媒である必要があり、その点から、アセトンなどのケトン類、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類が好ましく用いられる。
【0098】
無電解めっき浴に用いられる金属の種類としては、銅、すず、鉛、ニッケル、金、パラジウム、ロジウムが知られており、中でも、導電性の観点からは、銅、金が特に好ましい。また、上記金属に合わせて最適な還元剤、添加物が選択される。
【0099】
このようにして形成される無電解めっきによる金属膜の膜厚は、めっき浴の金属イオン濃度、めっき浴への浸漬時間、または、めっき浴の温度などにより制御することができるが、導電性の観点からは、0.1μm以上であることが好ましく、0.2〜2μmであることがより好ましい。
ただし、無電解めっきによる金属膜を導通層として、後述する電気めっきを行う場合は、少なくとも0.1μm以上の膜が均一に付与されていればよい。
また、めっき浴への浸漬時間としては、1分〜6時間程度であることが好ましく、1分〜3時間程度であることがより好ましい。
【0100】
以上のようにして得られた無電解めっきによる金属膜は、走査型電子顕微鏡(SEM)による断面観察により、ポリマー層中にめっき触媒やめっき金属からなる微粒子が高密度で分散していること、また更にポリマー層上にめっき金属が析出していることが確認される。ポリマー層と金属膜との界面は、樹脂複合体と微粒子とのハイブリッド状態であるため、ポリマー層(有機成分)と無機物(めっき触媒金属又はめっき金属)との界面が平滑であっても、密着性が良好となる。
【0101】
(電気めっき)
本工程おいては、上記工程(2)において付与されためっき触媒またはその前駆体が電極としての機能を有する場合、その触媒またはその前駆体が付与されたポリマー層に対して、電気めっきを行うことができる。
また、前述の無電解めっきの後、形成された金属膜を電極とし、更に、電気めっきを行ってもよい。これにより基板との密着性に優れた無電解めっき膜をベースとして、そこに新たに任意の厚みをもつ金属膜を容易に形成することができる。このように、無電解めっきの後に、電気めっきを行うことで、金属膜を目的に応じた厚みに形成しうるため、金属膜を種々の応用に適用するのに好適である。
【0102】
電気めっきの方法としては、従来公知の方法を用いることができる。なお、電気めっきに用いられる金属としては、銅、クロム、鉛、ニッケル、金、銀、すず、亜鉛などが挙げられ、導電性の観点から、銅、金、銀が好ましく、銅がより好ましい。
【0103】
また、電気めっきにより得られる金属膜の膜厚は、めっき浴中に含まれる金属濃度、または、電流密度などを調整することで制御することができる。
なお、一般的な電気配線などに適用する場合、金属膜の膜厚は、導電性の観点から、0.5μm以上であることが好ましく、1〜30μmがより好ましい。
なお、電気配線の厚みは、電気配線の線幅が狭くなる、すなわち微細化するほどアスペクト比を維持するために薄くなる。従って、電気めっきによって形成される金属膜の層厚は、上記に限定されず、任意に設定できる。
【0104】
<表面金属膜材料>
本発明の導電膜形成方法の各工程を経ることで、表面に金属膜を備える表面金属膜材料(最外層に金属膜(導電膜)を備える積層体)を得ることができる。該材料には、基板と、ポリマー層と、金属膜とがこの順で含まれる。
得られた表面金属膜材料は、例えば、電磁波防止膜、コーティング膜、2層CCL(Copper Clad Laminate)材料、電気配線用材料等の種々の用途に適用することができる。
【0105】
<金属パターン材料、およびその製造方法>
上記の表面金属膜材料における金属膜を、パターン状にエッチングする工程を行うことで、パターン状の金属膜を表面に備える金属パターン材料(最外層にパターン状金属膜(パターン状導電膜)を備える積層体)を製造することができる。即ち、表面金属膜材料中の金属膜(めっき膜)をパターニングすることで配線(金属パターン)とすることができる。
このエッチング工程(工程(4))について以下に詳述する。
【0106】
<工程(4):エッチング工程>
工程(4)は、上記工程(3)で形成された金属膜(めっき膜)をパターン状にエッチングする工程である。即ち、本工程では、基板表面全体に形成された金属膜の不要部分をエッチングで取り除くことで、所望の金属パターンを形成することができる。
この金属パターンの形成には、如何なる手法も使用することができ、具体的には一般的に知られているサブトラクティブ法、セミアディティブ法が用いられる。
【0107】
サブトラクティブ法とは、形成された金属膜上にドライフィルムレジスト層を設けパターン露光、現像により金属パターン部と同じパターンを形成し、ドライフィルムレジストパターンをマスクとしてエッチング液で金属膜を除去し、金属パターンを形成する方法である。ドライフィルムレジストとしては如何なる材料も使用でき、ネガ型、ポジ型、液状、フィルム状のものが使用できる。また、エッチング方法としては、プリント配線基板の製造時に使用されている方法が何れも使用可能であり、湿式エッチング、ドライエッチング等が使用可能であり、任意に選択すればよい。作業の操作上、湿式エッチングが装置などの簡便性の点で好ましい。エッチング液として、例えば、塩化第二銅、塩化第二鉄等の水溶液を使用することができる。
【0108】
また、セミアディティブ法とは、形成された金属膜上にドライフィルムレジスト層を設け、パターン露光、現像により非金属パターン部と同じパターンを形成し、ドライフィルムレジストパターンをマスクとして電気めっきを行い、ドライフィルムレジストパターンを除去した後にクイックエッチングを実施し、金属膜をパターン状に除去することで、金属パターンを形成する方法である。ドライフィルムレジスト、エッチング液等はサブトラクティブ法と同様な材料が使用できる。また、電気めっき手法としては上記記載の手法が使用できる。
【0109】
一方、工程(1)で得られるポリマー層をパターン状に形成し、パターン状のポリマー層に対し工程(2)および(3)を行うことで、金属パターン材料を製造することもできる(フルアディティブ工法)。
【0110】
<配線基板>
上記工程(4)によって得られた金属パターン材料は、例えば、半導体チップ、各種電気配線板(プリント配線基板など)、FPC、COF、TAB、アンテナ、多層配線基板、マザーボード、等の種々の用途に適用することができる。なかでも、金属パターン材料の上に絶縁層を設けて、配線基板として用いる用途が好ましい。
【実施例】
【0111】
以下、実施例により、本発明について更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0112】
以下に、本実施例で使用するポリマーの合成方法について詳述する。
(合成例1:ポリマーAの合成)
300mlの三口フラスコに、N−メチルピロリドン28gを入れ、窒素気流下、60℃まで加熱した。そこへ、2−ヒドロキシエチルアクリレート(東京化成製)10.5g、2−シアノエチルアクリレート(東京化成製)26.3g、及びV−601(和光純薬製)0.55gのN−メチルピロリドン28g溶液を、3時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃まで加熱し、更に2時間撹拌した。その後、室温まで、反応溶液を冷却した。反応終了後、酢酸エチル/ヘキサン=2/1で再沈を行い、固形物を取り出し、ポリマーAを15g得た。
【0113】
(合成例2:ポリマーBの合成)
300mlの三口フラスコに、N−メチルピロリドン67gを入れ、窒素気流下、60℃まで加熱した。そこへ、2−ヒドロキシエチルアクリレート(東京化成製)17.4g、ブレンマーAME-400(日本油脂製)72.5g、及びV−601(和光純薬製)0.55gのN−メチルピロリドン67g溶液を、3時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃まで加熱し、更に2時間撹拌した。その後、室温まで、反応溶液を冷却した。反応終了後、酢酸エチル/ヘキサン=1/3で再沈を行い、固形物を取り出し、ポリマーBを31g得た。
【0114】
(合成例3:ポリマーCの合成)
300mlの三口フラスコに、N−メチルピロリドン38gを入れ、窒素気流下、60℃まで加熱した。そこへ、2−ヒドロキシエチルアクリレート(東京化成製)10.5g、2−(メチルスルホニルオキシ)エチルアクリレート40.7g、及びV−601(和光純薬製)0.55gのN−メチルピロリドン38g溶液を、3時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃まで加熱し、更に2時間撹拌した。その後、室温まで、反応溶液を冷却した。反応終了後、酢酸エチル/ヘキサン=2/1で再沈を行い、固形物を取り出し、ポリマーCを31g得た。
【0115】
(合成例4:ポリマーDの合成)
300mlの三口フラスコに、N−メチルピロリドン30gを入れ、窒素気流下、60℃まで加熱した。そこへ、2−ヒドロキシエチルアクリレート(東京化成製)10.5g、2−(ジメチルアミノ)エチルアクリレート30.1g、及びV−601(和光純薬製)0.55gのN−メチルピロリドン30g溶液を、3時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃まで加熱し、更に2時間撹拌した。その後、室温まで、反応溶液を冷却した。反応終了後、酢酸エチル/ヘキサン=2/1で再沈を行い、固形物を取り出し、ポリマーDを28g得た。
【0116】
(合成例5:ポリマーEの合成)
300mlの三口フラスコに、N−メチルピロリドン24gを入れ、窒素気流下、60℃まで加熱した。そこへ、アクリル酸(和光純薬製)6.5g、2−シアノエチルアクリレート(市販品、東京化成製)26.3g、及びV−601(和光純薬製)0.55gのN−メチルピロリドン24g溶液を、3時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃まで加熱し、更に2時間撹拌した。その後、室温まで、反応溶液を冷却した。反応終了後、酢酸エチル/ヘキサン=2/1で再沈を行い、固形物を取り出し、ポリマーEを21g得た。
【0117】
(合成例6:ポリマーFの合成)
300mlの三口フラスコに、N−メチルピロリドン63gを入れ、窒素気流下、60℃まで加熱した。そこへ、アクリル酸(和光純薬製)17.4g、ブレンマーAME-400(市販品、日本油脂製)72.5g、及びV−601(和光純薬製)0.55gのN−メチルピロリドン63g溶液を、3時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃まで加熱し、更に2時間撹拌した。その後、室温まで、反応溶液を冷却した。反応終了後、酢酸エチル/ヘキサン=1/3で再沈を行い、固形物を取り出し、ポリマーFを20g得た。
【0118】
(合成例7:ポリマーGの合成)
300mlの三口フラスコに、N−メチルピロリドン35gを入れ、窒素気流下、60℃まで加熱した。そこへ、アクリル酸(和光純薬製)6.5g、2−(メチルスルホニルオキシ)エチルアクリレート40.7g、及びV−601(和光純薬製)0.55gのN−メチルピロリドン35g溶液を、3時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃まで加熱し、更に2時間撹拌した。その後、室温まで、反応溶液を冷却した。反応終了後、酢酸エチル/ヘキサン=2/1で再沈を行い、固形物を取り出し、ポリマーGを28g得た。
【0119】
(合成例8:ポリマーHの合成)
300mlの三口フラスコに、N−メチルピロリドン16gを入れ、窒素気流下、60℃まで加熱した。そこへ、アクリル酸(和光純薬製)6.5g、2−(ジメチルアミノ)エチルアクリレート30.1g、及びV−601(和光純薬製)0.55gのN−メチルピロリドン18g溶液を、3時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃まで加熱し、更に2時間撹拌した。その後、室温まで、反応溶液を冷却した。反応終了後、酢酸エチル/ヘキサン=1/2で再沈を行い、固形物を取り出し、ポリマーHを24g得た。
【0120】
(合成例9:ポリマーIの合成)
300mlの三口フラスコに、N−メチルピロリドン25gを入れ、窒素気流下、60℃まで加熱した。そこへ、カレンズAOI(昭和電工製)12.7g、2−シアノエチルアクリレート26.3g、及びV−601(和光純薬製)0.55gの脱水N−メチルピロリドン25g溶液を、3時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃まで加熱し、更に2時間撹拌した。その後、室温まで、反応溶液を冷却した。反応終了後、酢酸エチル/ヘキサン=1/2で再沈を行い、固形物を取り出し、ポリマーIを24g得た。
【0121】
(合成例10:ポリマーJ)
500mLフラスコにN,N−ジメチルアセトアミド40mL、ヘキサメチレンジイソシアネート4.2g、トリレンジイソシアネート4.3g、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオニックアシッド4g、平均分子量1000のポリプロピレングリコール15g、N,N−ジメチルアセトアミド(65.00g、和光純薬製)、及びジラウリン酸ジ−n−ブチルスズ(5滴、東京化成製)を入れ、100℃で8時間加熱した。その後、メタノール(100ml)、N,N−ジメチルアセトアミド(200ml)にて希釈した。反応終了後、酢酸エチル/ヘキサン=1/2で再沈を行い、固形物を取り出し、ポリマーJを13g得た。
【0122】
(合成例11:ポリマーKの合成)
300mLの三口フラスコに、N−メチルピロリドン30gを入れ、窒素気流下、70℃まで加熱した。そこへ、ジメチルアミノエチルメタクリレート(東京化成製)10.1g、2−シアノエチルアクリレート(東京化成製)32.03g、および、V−601(和光純薬製)0.74gのN−メチルピロリドン30g溶液を、3時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃までに加熱し、更に2時間攪拌した。その後、室温まで、反応溶液を冷却した。反応終了後、酢酸エチル/ヘキサン=1/1で再沈を行い、固形物をとりだし、ポリマーKを33g得た。
【0123】
(合成例12:比較ポリマー1の合成)
1000mlの三口フラスコに、N−メチルピロリドン35gを入れ、窒素気流下、60℃まで加熱した。そこへ、(2−アクリロイルエチル)−2−ブロモイソブチルエステル23.8g、2−シアノエチルアクリレート26.3g、及びV−601(和光純薬製)0.55gのN−メチルピロリドン35g溶液を、2.5時間かけて滴下した。滴下終了後、反応溶液を80℃まで加熱し、更に3時間撹拌した。その後、室温まで反応溶液を冷却した。
上記の反応溶液に、4−ヒドロキシTEMPO(0.15g)、1,8−ジアザビシクロウンデセン(34.3g)を加え、室温・18時間反応を行った。その後、反応液に70%メタンスルホン酸水溶液を34g加えた。反応終了後、水で再沈を行い、固形物を取り出し、比較ポリマー1を20g得た。該比較ポリマー1は、架橋性基としてラジカル重合性の二重結合基を有する。
【0124】
<実施例1>
[ポリマー層形成用組成物の調製]
上記合成法で得られたポリマーA(10質量部)と、架橋剤Aとして1,4−ジイソシアネートブタン(2.1質量部)と、溶媒として脱水メチルエチルケトン(90質量部)とを混合攪拌し、ポリマー層形成用組成物を調製した。
【0125】
[ポリマー層の形成]
調製されたポリマー層形成用組成物を、ガラスエポキシ基板上に、厚さ1μmになるように、スピンコート法により塗布し、80℃にて5分予備乾燥した。
その後、120℃にて30分間加熱処理を行い、架橋反応を進行させてポリマー層を得た(厚み:1μm)。
【0126】
[めっき触媒の付与]
ポリマー層を有する基板を、硝酸パラジウムの1質量%アセトン溶液に、30分間浸漬した後、アセトンに浸漬して洗浄した。
続いて、1%ジメチルアミノボラン−水/メタノール(水/メタノール=1/3)混合溶液を触媒活性化液(還元液)として用い、この溶液中に、ポリマー層を有する基板を15分浸漬させた後、アセトンに浸漬し洗浄を行った。
【0127】
[無電解めっき]
めっき触媒が付与されたポリマー層を有する基板に対し、下記組成の無電解めっき浴を用い、60℃で、無電解めっきを行った。得られた無電解銅めっき膜の厚みは0.3μmであった。
【0128】
(無電解めっき浴の組成)
・蒸留水 859g
・メタノール 850g
・硫酸銅 18.1g
・エチレンジアミン四酢酸・2ナトリウム塩 54.0g
・ポリオキシエチレングリコール(分子量1000) 0.18g
・2,2’−ビピリジル 1.8mg
・10%エチレンジアミン水溶液 7.1g
・37%ホルムアルデヒド水溶液 9.8g
以上の組成のめっき浴のpHは、水酸化ナトリウム及び硫酸で12.5(60℃)に調整した。
【0129】
<耐傷性の評価>
上記で得られたポリマー層の耐傷性を以下の手順に従って、評価した。
ポリマー層を形成後、ベムコットンにて10回擦り試験を行った後、上述しためっき触媒の付与および無電解めっきを行い、得られた金属膜(めっき膜)中の傷(欠損部)やムラ(銅の厚みムラ)の有無を目視で評価した。なお、銅の厚みが異なると金属膜の色が異なることから、目視により色の異なる場所をムラとして数えた。
耐傷性の評価は以下の基準に従って、評価した。金属膜に傷やムラの発生があれば、擦り試験によってポリマー層表面が荒らされ、傷が生じていることを間接的に示している。結果を表1に示す。実用上の観点から、「×」でないことが必要である。
◎:傷・ムラがない
○:傷なし、ムラが1か所以上あり
△:傷なし、ムラが3か所以上あり
×:傷あり(ムラの有無は問わない)
【0130】
<めっき性の評価>
上記無電解めっき時の金属膜(めっき膜)の厚みが0.3μmになるまでの、めっき析出時間を以下の基準に沿って評価したものである。実用上の観点から、「×」でないことが必要である。結果を表1に示す。
◎=めっき析出時間10分以内
○=めっき析出時間10分超20分以内
△=めっき析出時間は20分超30分以内
×=30分以内にめっき析出せず
【0131】
<実施例2>
実施例1で使用した架橋剤Aの代わりに架橋剤Bとして1,6−ジイソシアネートヘキサン(2.5質量部)を使用した以外は、実施例1と同様の手順に従って、金属膜の製造を行い、上記耐傷性及びめっき性に関する評価を実施した。結果を表1に示す。
【0132】
<実施例3>
実施例1で使用した架橋剤Aの代わりに架橋剤Cとして1,9−ジイソシアネートノナン(3.1質量部)を使用した以外は、実施例1と同様の手順に従って、金属膜の製造を行い、上記耐傷性及びめっき性に関する評価を実施した。結果を表1に示す。
【0133】
<実施例4>
実施例1で使用した架橋剤Aの代わりに架橋剤Dとして1,12−ジイソシアネートドデカン(3.7質量部)を使用した以外は、実施例1と同様の手順に従って、金属膜の製造を行い、上記耐傷性及びめっき性に関する評価を実施した。結果を表1に示す。
【0134】
<実施例5>
実施例1で使用した架橋剤Aの代わりに架橋剤Eとして1,14−ジイソシアネートブチルデカン(4.2質量部)を使用した以外は、実施例1と同様の手順に従って、金属膜の製造を行い、上記耐傷性及びめっき性に関する評価を実施した。結果を表1に示す。
【0135】
<実施例6>
上記合成法で得られたポリマーB(10質量部)と、架橋剤A(1.4質量部)と、溶媒として脱水メチルエチルケトン(90質量部)とを混合攪拌し、ポリマー層形成用組成物を調製した。
【0136】
[ポリマー層の形成]
調製されたポリマー層形成用組成物を、ガラスエポキシ基板上に、厚さ1μmになるように、スピンコート法により塗布し、80℃にて5分予備乾燥した。
その後、150℃にて30分間加熱処理を行い、架橋反応を進行させてポリマー層を得た(厚み:1μm)。
得られた基板を、実施例1と同様の手順で無電解めっきを行い、上記耐傷性及びめっき性に関する評価を実施した。結果を表1に示す。
【0137】
<実施例7>
架橋剤Aの代わりに実施例2で使用した架橋剤Bを1.7質量部使用した以外は、実施例6と同様の手順に従って、金属膜の製造を行い、上記耐傷性及びめっき性に関する評価を実施した。結果を表1に示す。
【0138】
<実施例8>
架橋剤Aの代わりに実施例3で使用した架橋剤Cを2.1質量部使用した以外は、実施例6と同様の手順に従って、金属膜の製造を行い、上記耐傷性及びめっき性に関する評価を実施した。結果を表1に示す。
【0139】
<実施例9>
架橋剤Aの代わりに実施例4で使用した架橋剤Dを2.6質量部使用した以外は、実施例6と同様の手順に従って、金属膜の製造を行い、上記耐傷性及びめっき性に関する評価を実施した。結果を表1に示す。
【0140】
<実施例10>
架橋剤Aの代わりに実施例5で使用した架橋剤Eを2.8質量部使用した以外は、実施例6と同様の手順に従って、金属膜の製造を行い、上記耐傷性及びめっき性に関する評価を実施した。結果を表1に示す。
【0141】
<実施例11>
実施例6で使用したポリマーBの代わりにポリマーCを使用し、架橋剤Aの代わりに架橋剤C(2.3質量部)を使用した以外は、実施例6と同様の手順に従って、金属膜の製造を行い、上記耐傷性及びめっき性に関する評価を実施した。結果を表1に示す。
【0142】
<実施例12>
実施例6で使用したポリマーBの代わりにポリマーDを使用し、架橋剤Aの代わりに架橋剤C(2.8質量部)を使用した以外は、実施例6と同様の手順に従って、金属膜の製造を行い、上記耐傷性及びめっき性に関する評価を実施した。結果を表1に示す。
【0143】
<実施例13>
上記合成法で得られたポリマーE(10質量部)と、架橋剤Fとして1,4−ジエポキシブタン(2.4質量部)と、トリエチルベンジルアンモニウムブロマイド(0.2質量部)と、溶媒として脱水メチルエチルケトン(90質量部)とを混合攪拌し、ポリマー層形成用組成物を調製した。
【0144】
[ポリマー層の形成]
調製されたポリマー層形成用組成物を、ガラスエポキシ基板上に、厚さ1μmになるように、スピンコート法により塗布し、80℃にて5分予備乾燥した。
その後、150℃にて30分間加熱処理を行い、架橋反応を進行させてポリマー層を得た(厚み:1μm)。
得られた基板を、実施例1と同様の手順で無電解めっきを行い、上記耐傷性及びめっき性に関する評価を実施した。結果を表1に示す。
【0145】
<実施例14>
実施例13で使用した架橋剤Fの代わりに架橋剤Gとして1,6−ジエポキシヘキサン(2.8質量部)を使用した以外は、実施例13と同様の手順に従って、金属膜の製造を行い、上記耐傷性及びめっき性に関する評価を実施した。結果を表1に示す。
【0146】
<実施例15>
実施例13で使用した架橋剤Fの代わりに架橋剤Hとして1,9−ジエポキシノナン(3.5質量部)を使用した以外は、実施例13と同様の手順に従って、金属膜の製造を行い、上記耐傷性及びめっき性に関する評価を実施した。結果を表1に示す。
【0147】
<実施例16>
実施例13で使用した架橋剤Fの代わりに架橋剤Iとして1,12−ジエポキシドデカン(4.2質量部)を使用した以外は、実施例13と同様の手順に従って、金属膜の製造を行い、上記耐傷性及びめっき性に関する評価を実施した。結果を表1に示す。
【0148】
<実施例17>
実施例13で使用した架橋剤Fの代わりに架橋剤Jとして1,14−ジエポキシブチルデカン(4.6質量部)を使用した以外は、実施例13と同様の手順に従って、金属膜の製造を行い、上記耐傷性及びめっき性に関する評価を実施した。結果を表1に示す。
【0149】
<実施例18>
実施例13で使用したポリマーEの代わりにポリマーFを使用し、架橋剤F(1.5質量部)を使用した以外は、実施例13と同様の手順に従って、金属膜の製造を行い、上記耐傷性及びめっき性に関する評価を実施した。結果を表1に示す。
【0150】
<実施例19>
実施例18で使用した架橋剤Fの代わりに架橋剤G(1.8質量部)を使用した以外は、実施例18と同様の手順に従って、金属膜の製造を行い、上記耐傷性及びめっき性に関する評価を実施した。結果を表1に示す。
【0151】
<実施例20>
実施例18で使用した架橋剤Fの代わりに架橋剤H(2.2質量部)を使用した以外は、実施例18と同様の手順に従って、金属膜の製造を行い、上記耐傷性及びめっき性に関する評価を実施した。結果を表1に示す。
【0152】
<実施例21>
実施例18で使用した架橋剤Fの代わりに架橋剤I(2.6質量部)を使用した以外は、実施例18と同様の手順に従って、金属膜の製造を行い、上記耐傷性及びめっき性に関する評価を実施した。結果を表1に示す。
【0153】
<実施例22>
実施例18で使用した架橋剤Fの代わりに架橋剤J(2.9質量部)を使用した以外は、実施例18と同様の手順に従って、金属膜の製造を行い、上記耐傷性及びめっき性に関する評価を実施した。結果を表1に示す。
【0154】
<実施例23>
実施例15で使用したポリマーEの代わりにポリマーGを使用し、架橋剤H(2.5質量部)を使用した以外は、実施例15と同様の手順に従って、金属膜の製造を行い、上記耐傷性及びめっき性に関する評価を実施した。結果を表1に示す。
【0155】
<実施例24>
実施例15で使用したポリマーEの代わりにポリマーHを使用し、架橋剤H(3.1質量部)を使用した以外は、実施例15と同様の手順に従って、金属膜の製造を行い、上記耐傷性及びめっき性に関する評価を実施した。結果を表1に示す。
【0156】
<実施例25>
ポリマーI(10質量部)と、架橋剤Kとして1,9−ジヒドロキシノナン(2.3質量部)と、溶媒として脱水メチルエチルケトン(90質量部)とを混合攪拌し、ポリマー層形成用組成物を調製した。
該ポリマー層形成用組成物を使用して、実施例1と同様の手順に従って、金属膜の製造を行い、上記耐傷性及びめっき性に関する評価を実施した。結果を表1に示す。
【0157】
<実施例26>
ポリマーE(10質量部)と、架橋剤Lとして下記化合物(3.4質量部)と、溶媒として脱水メチルエチルケトン(90質量部)とを混合攪拌し、ポリマー層形成用組成物を調製した。
該ポリマー層形成用組成物を使用して、実施例1と同様の手順に従って、金属膜の製造を行い、上記耐傷性及びめっき性に関する評価を実施した。結果を表1に示す。
【0158】
【化5】

【0159】
<実施例27>
ポリマーE(10質量部)と、架橋剤Mとして下記化合物(3.0質量部)と、溶媒として脱水メチルエチルケトン(90質量部)とを混合攪拌し、ポリマー層形成用組成物を調製した。
該ポリマー層形成用組成物を使用して、実施例1と同様の手順に従って、金属膜の製造を行い、上記耐傷性及びめっき性に関する評価を実施した。結果を表1に示す。
【0160】
【化6】

【0161】
<実施例28>
ポリマーJ(10質量部)と、架橋剤G(1.2質量部)と、溶媒として脱水メチルエチルケトン(90質量部)とを混合攪拌し、ポリマー層形成用組成物を調製した。
該ポリマー層形成用組成物を使用して、実施例1と同様の手順に従って、金属膜の製造を行い、上記耐傷性及びめっき性に関する評価を実施した。結果を表1に示す。
【0162】
<実施例29>
ポリマーK(10質量部)と、架橋剤として1,4―ビスクロロメチルベンゼン(2質量部)と、脱水プロピレングリコールモノメチルエーテル(90質量部)とを混合攪拌し、ポリマー層形成用組成物を調整した。
該ポリマー層形成用組成物を使用して、実施例1と同様の手順に従って、金属膜の製造を行い、上記耐傷性及びめっき性に関する評価を実施した。結果を表1に示す。
【0163】
<実施例30>
ポリマーA(10質量部)と、架橋剤として1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物(2質量部)と、脱水プロピレングリコールモノメチルエーテル(90質量部)とを混合攪拌し、ポリマー層形成用組成物を調整した。
該ポリマー層形成用組成物を使用して、実施例1と同様の手順に従って、金属膜の製造を行い、上記耐傷性及びめっき性に関する評価を実施した。結果を表1に示す。
【0164】
<実施例31>
実施例30で使用した1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物(2質量部)の代わりに3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(4質量部)を使用した以外は、実施例30と同様の手順に従って、金属膜の製造を行い、上記耐傷性及びめっき性に関する評価を実施した。結果を表1に示す。
【0165】
<比較例1>
実施例1で使用したポリマーAの代わりに比較ポリマー1を使用し、架橋剤Aの代わりに架橋剤Xを使用し、硬化反応を120℃にて30分の熱処理ではなく、高圧水銀灯(ウシオ電機製)にて3分間照射し光硬化させた以外は、実施例1と同様の手順に従って、金属膜の製造を行い、上記耐傷性及びめっき性に関する評価を実施した。結果を表2に示す。
【0166】
【化7】

【0167】
<比較例2>
ポリマーA(10質量部)と、架橋剤Nとして1,4−ヒドロキシメチル−ベンゼン(2.3質量部)と、溶媒として脱水メチルエチルケトン(90質量部)とを混合攪拌し、ポリマー層形成用組成物を調製した。
その後、該ポリマー層形成用組成物を使用して、加熱硬化条件を200℃30分に変更した以外は、実施例1と同様の条件で膜を硬膜したが、硬膜中のポリマーAと架橋剤N間での縮合反応により発生する水の影響により、膜自体がもろくなり、耐傷性の評価時に膜のひび割れや欠損が生じるため、各種評価ができなかった。
【0168】
<比較例3>
(モノマーAの合成)
500mlの三口フラスコに、2−ヒドロキシエチルアクリレート50gを入れ、更にアセトン250mlを加え、撹拌した。そこへ、ピリジン37.5g、p−メトキシフェノール0.03gを添加した後に、氷水を入れた氷浴にて冷却した。混合液温度が5℃以下になった後に、3−クロロプロピオニルクロライド60.1gを滴下ロートにて3時間かけて滴下した。滴下終了後、氷浴を外してさらに3時間撹拌した。反応混合液を水750mlに投入し、1時間撹拌した。分液ロートを用いて、水混合液を酢酸エチル500mlで3回抽出した。その後、有機層を1M(mol/l)塩酸500ml、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液500ml、飽和食塩水500mlで順次洗浄した。そして、有機層に硫酸マグネシウム100gを入れ、脱水乾燥した後、濾過した。溶媒を減圧留去し、下記に示す構造を有するモノマーAを59g得た。
【0169】
【化8】

【0170】
(モノマーBの合成)
500mlの三口フラスコに、カレンズAOI(昭和電工(株)製)10gを入れ、更にテトラヒドロフラン50mlを加え、撹拌した。そこへ、トリエチルアミン0.7g、p−メトキシフェノール0.018gを添加した後に、氷水を入れた氷浴にて冷却した。混合液温度が5℃以下になった後に、メチルエチルケトオキシム6.2gを滴下ロートにて10分かけて滴下した。滴下終了後、氷浴を外してさらに2時間撹拌し、メタノールを10g加えて反応終了した。反応混合液を水50mlに投入し、分液ロートを用いて、水溶液を酢酸エチル100mlで3回抽出した。そして、有機層に硫酸マグネシウム100gを入れ、脱水乾燥した後、濾過した。溶媒を減圧留去し、下記に示す構造を有するモノマーBを6g得た。なお、モノマーBは吸着性基であるカルボン酸と架橋反応をするイソシアネート前駆体官能基を有している。
【0171】
【化9】

【0172】
次に、1000mlの三口フラスコに、N,N−ジメチルアセトアミド30gを入れ、窒素気流下、75℃まで加熱した。上記モノマーA2.48g、アクリル酸(相互作用性基を有するモノマー)5.19g、モノマーB8.22g、V−601(和光純薬製)0.28gのN,N−ジメチルアセトアミド20g溶液を、2.5時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃まで加熱し、更に3時間撹拌した。その後、室温まで、反応溶液を冷却した。
上記の反応溶液に、4−ヒドロキシTEMPO0.21gを入れ、N,N−ジメチルアセトアミド350gを加え、氷水を入れた氷浴にて冷却した。混合液温度が5℃以下になった後に、トリエチルアミン21.2gを滴下ロート用いて、滴下した。滴下終了後、氷浴を外してさらに2時間撹拌した。反応液に、水9.5gにメタンスルホン酸22.2gを溶解させた液を添加し、4時間攪拌した。攪拌の後、水再沈を行い、固形物を濾取し、水で洗浄、乾燥して、比較ポリマー3を8g得た。
【0173】
上記合成法で得られた比較ポリマー3(10質量部)を、メタノール(90質量部)と混合攪拌し、ポリマー層形成用組成物を調製した。
【0174】
[ポリマー層の形成]
調製されたポリマー層形成用組成物を、ガラスエポキシ基板上に、厚さ1μmになるように、スピンコート法により塗布し、80℃にて5分予備乾燥した。
その後、120℃にて30分間加熱処理を行い、架橋反応を進行させてポリマー層を得た(厚み:1μm)。しかし、得られたポリマー層は、上記比較例2と同様に、膜自体がもろく、耐傷性の評価時に膜のひび割れや欠損が生じるため、各種評価ができなかった。
【0175】
【表1】

【0176】
【表2】

【0177】
表1に示すように、本発明の導電膜形成方法を使用した場合、得られた金属膜中に傷の発生はなく、めっきの析出性にも優れていた。
実施例1〜5、6〜10、13〜17、18〜22から分かるように、架橋剤中の反応性基間の原子数(この場合、炭素数にも該当)の数が増加するに従い、めっき性がより優れたものとなった。これは、上述したように、めっき触媒がポリマー層中に浸透しやすくなったためと考えられる。一方で、原子数が増えすぎると硬膜性が悪くなることが分かった。
実施例26、27からわかるように、架橋剤中の官能基の増加するに従い、めっき触媒がポリマー層中に浸透しにくくなり、めっき性が悪くなった。
【0178】
一方、比較例1で示すように、従来技術で使用されるラジカル反応を架橋反応として利用した場合、得られた金属膜中に傷の発生が見受けられた。
また、比較例2で示すように、水などの副生物が発生する縮合反応を使用した場合は、硬膜はするものの、耐傷性などが充分でない、もろいポリマー層しか得られなかった。
さらに、比較例3で得られるポリマー層はもろく、耐傷性などが充分でなく、各種測定を行うことができなった。これは、比較例3では、架橋剤が含まれておらず、架橋性基を有するポリマー間のみで架橋反応が進行するが、ポリマーの運動性の低さなどのために、架橋反応が充分には進行しなかったためと考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、めっき触媒またはその前駆体と相互作用を形成する非解離性官能基および架橋性基を有するポリマーと、前記架橋性基と反応する反応性基を少なくとも2つ有する架橋剤との架橋反応により得られるポリマー層を形成するポリマー層形成工程と、
前記ポリマー層にめっき触媒またはその前駆体を付与する触媒付与工程と、
前記めっき触媒またはその前駆体に対して、めっきを行うめっき工程とを備え、
前記架橋性基と前記反応性基との間の架橋反応が付加反応または開環反応であり、
前記架橋性基が、水酸基、イソシアネート基、カルボン酸基、エポキシ基、カルボン酸無水物基、ハロゲン化アルキル基、1級アミノ基、および、2級アミノ基からなる群から選択される、導電膜形成方法。
【請求項2】
前記架橋性基と前記反応性基との組み合わせが、以下の(1)〜(4)のいずれかの組み合わせから選ばれる、請求項1に記載の導電膜形成方法。
(1)水酸基とイソシアネート基
(2)カルボン酸基とエポキシ基
(3)水酸基とカルボン酸無水物基
(4)2級アミノ基とハロゲン化アルキル基
【請求項3】
前記架橋剤が、式(5)で表される化合物である、請求項1または2に記載の導電膜形成方法。
【化1】

(式(5)中、Zは、2価の脂肪族炭化水素基、2価の芳香族炭化水素基、またはこれらを組み合わせた基を表す。なお、Zには、アルキル基が置換していてもよい。また、Zには、−O−、−NR20−(R20は、水素原子、またはアルキル基を表す)、または−S−が含まれていてもよい。R3は、前記架橋性基と反応する反応性基を表す。)
【請求項4】
式(5)中、Zは、−O−、−NR20−(R20は、水素原子、またはアルキル基を表す)、または−S−を含んでいてもよいアルキレン基であり、2つのR3間の原子数が6〜12である、請求項3に記載の導電膜形成方法。
【請求項5】
前記ポリマーが、式(1)で表されるユニットおよび式(2)で表されるユニットを少なくとも有する、請求項1〜4のいずれかに記載の導電膜形成方法。
【化2】

(式(1)中、R1は、水素原子、または置換若しくは無置換のアルキル基を表す。L1は、単結合、または、置換若しく無置換の二価の有機基を表す。Wは、めっき触媒またはその前駆体と相互作用を形成する非解離性官能基を表す。
式(2)中、R2は、水素原子、または置換若しくは無置換のアルキル基を表す。L2は、単結合、または、置換若しく無置換の二価の有機基を表す。Xは架橋性基を表す。)
【請求項6】
めっき触媒またはその前駆体と相互作用を形成する非解離性官能基および架橋性基を有するポリマーと、前記架橋性基と反応する反応性基を少なくとも2つ有する架橋剤とを含有する被めっき層形成用組成物であって、
前記架橋性基と前記反応性基との間の架橋反応が付加反応または開環反応であり、
前記架橋性基が、水酸基、イソシアネート基、カルボン酸基、エポキシ基、カルボン酸無水物基、ハロゲン化アルキル基、1級アミノ基、および、2級アミノ基からなる群から選択される、被めっき層形成用組成物。

【公開番号】特開2012−74690(P2012−74690A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188839(P2011−188839)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】