説明

小口径泥濃式掘進機

【課題】小口径管路を敷設する際に、設備を簡素化して、安定した切羽面の掘削を行うことができるとともに、上記カッタにより掘削した土砂を効率よく地上へと運搬することができる小口径泥濃式掘進機を提供する。
【解決手段】掘進機本体1の先端部に、カッタ3を回転自在に設けるとともに、上記掘進機本体1内に、上記カッタ3を回転駆動する駆動装置14と、上記カッタ3の前方に高濃度の泥水を圧送充満させるための泥水用配管9と、上記カッタ3の後方に形成されて、上記カッタ3によって掘削された土砂が流入する排土チャンバ18と、この排土チャンバ18内の上記土砂を上記掘進機本体1の後方へ排土させるための排泥管5とを設け、かつ上記掘進機本体1の後端部に、上記排泥管5から排土された上記土砂を一時的に貯留するための排土貯留タンク4を設けるとともに、この排土貯留タンク4に、当該排土貯留タンク4内の上記土砂を吸引して排出するためのバキューム排土管6を設けたことを特徴とする小口径泥濃式掘進機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小口径推進工事の泥濃工法において、地山の掘削土砂を効率良く地上へ運搬する小口径泥濃式掘進機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、上下水道、電気、通信、ガスなどの管路を地中に敷設する際に用いられる工法として、泥濃式推進工法が知られている。この工法は、掘進機先端のカッタ後方に隔壁を設けて、該カッタと該隔壁との間のチャンバ内に高濃度の泥水を圧送充満し、切羽の安定を図りながら、上記カッタを回転させて掘削推進を行うものである。
【0003】
上記工法を用いて、小口径管路を敷設する際には、人が中に入って作業することのできない大きさの小口径泥濃式掘進機が用いられる。この小口径泥濃式掘進機は、上記カッタで地山掘削された土砂を、上記高濃度の泥水と攪拌混合して流動化させ、上記掘進機内の排泥管に設けられたピンチバルブを、所定の圧力において開閉することにより、切羽を安定させながら間欠的に適量排土させる。そして、上記排土を上記排泥管から、真空力により上記排泥管に連結されているバキューム管に移送し、上記排泥管の途中に設けられている給気管より空気を供給して、地上へと運搬する構造のものである(例えば、特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】特開2004−169455公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記従来の小口径泥濃式掘進機では、掘削した土砂を地上へと運搬するために、上記ピンチバルブを有した上記排泥管と、バキューム排土するための上記バキューム管とを直結させ、その途中に給気バルブを有した上記給気管から、バキュームを利用して空気を自然吸引したり、または大型コンプレッサを用いて圧縮空気を強制給気していた。そのため、上記ピンチバルブの開閉によって行われる土砂の排土調整に不具合があったり、上記ピンチバルブの開閉のタイミングがズレた場合には、上記給気管から土砂が逆流して、ヒューム管に噴出するなどの問題点があった。
【0006】
また、逆流した上記土砂が、上記給気管内に堆積し固形化することで、上記給気管内の断面積が小さくなり、十分な空気の供給が行えなくなる。そのため、上記排泥管と上記バキューム管とを直結している従来の掘進機では、上記ピンチバルブの開閉の際に、十分な空気の供給が得られないと、切羽側の土砂を直接吸引してしまうため、土圧の著しい低下を引き起こし、切羽面が不安定となり、地山の崩壊や先掘りし易くなる。また、切羽側の土砂を直接吸引することで、この土砂に含まれる高濃度泥水や水分の先走りが起こり、流動化した土砂の流動性を失ってしまうという問題点もある。
【0007】
さらに、大型コンプレッサを用いて、上記給気管に空気を送り込むことにより、現場に据えられる設備も大型化してしまい、それにともなった広大な敷地を確保しなければならない。また、上記大型コンプレッサを作動させるために、膨大な電力を確保しなければならないという問題点もある。
【0008】
本発明は、小口径管路を敷設する際に、設備を簡素化して、安定した切羽面の掘削を行うことができるとともに、上記カッタにより掘削した土砂を効率よく地上へと運搬することができる小口径泥濃式掘進機を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、掘進機本体の先端部に、カッタを回転自在に設けるとともに、上記掘進機本体内に、上記カッタを回転駆動する駆動装置と、上記カッタの前方に高濃度の泥水を圧送充満させるための泥水用配管と、上記カッタの後方に形成されて、上記カッタによって掘削された土砂が流入する排土チャンバと、この排土チャンバ内の上記土砂を上記掘進機本体の後方へ排土させるための排泥管とを設け、かつ上記掘進機本体の後端部に、上記排泥管から排土された上記土砂を一時的に貯留するための排土貯留タンクを設けるとともに、この排土貯留タンクに、当該排土貯留タンク内の上記土砂を吸引して排出するためのバキューム排土管を設けたことを特徴とするものである。
【0010】
また、請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の小口径泥濃式掘進機において、上記排土貯留タンクには、この排土貯留タンクに空気を送り込むための空気供給管を設けるとともに、この空気供給管には、開閉を任意で行える給気バルブを設けることを特徴とするものである。
【0011】
さらに、請求項3に記載の本発明は、請求項2に記載の小口径泥濃式掘進機において、上記排泥管には、上記排土貯留タンク側に止水バルブが設けられ、上記カッタ側にピンチバルブが設けられるとともに、上記止水バルブと上記ピンチバルブとの間に、上記泥水用配管より分岐された泥水用分配管が接続されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の本発明によれば、上記掘進機本体は、上記カッタにより掘削された土砂を上記排土チャンバに流入させて、この排土チャンバに連結されている上記排泥管を介して、この排泥管に設けられている上記ピンチバルブの開閉により、上記掘進機本体の後端部に設けられている上記排土貯留タンクに排土させ、一時的に貯留したのちに、上記排土貯留タンクに設けられている上記バキューム排土管より吸引して、坑外へと運搬する構造になっている。そのため、上記ピンチバルブの開閉が、不適切な動作をして、上記土砂が一度に大量に排土された場合や、上記バキューム排土側で、一時的に閉塞状態に陥って吸引できなかった場合であっても、上記排土貯留タンクに、一時的に貯留することができるので、上記空気供給管からの上記土砂の逆流を防止することができる。
【0013】
また、上記排土貯留タンク内において、上記排泥管と上記バキューム排土管とが、間隔をおいて設けられているため、上記ピンチバルブが開いたときに、直接排泥管から掘削土砂を吸引することがない。そのため、切羽側の掘削土砂に含まれる高濃度泥水や水分の先走りを防止することができるので、上記排泥チャンバ内で攪拌混合された土砂の流動性を失うことがない。
【0014】
さらに、上記カッタによる掘削は、このカッタの前方に圧送充満された高濃度の泥水とともに行われ、掘削された土砂を上記排土チャンバ内で、攪拌混合することにより、安定した流動化土砂を生成することができ、上記排泥管内に停留することなく排土されるとともに、上記ピンチバルブの開閉によって、切羽面の土圧を一定圧まで抜くことができるので、その土圧を利用して、上記流動化土砂を上記排土貯留タンクへと確実に排土することができる。
【0015】
請求項2に記載の本発明によれば、上記排土貯留タンクは、この排土貯留タンクに、空気を送り込むための上記空気供給管を設けていることにより、上記排土貯留タンク内を高真空にすることがない。そのため、上記バキューム排土管により、上記排土貯留タンクの土砂をバキューム排土する際に、上記排泥管からの土砂の吸引を防止することができるので、切羽面の土圧を急激に下げることがない。
【0016】
また、上記排土貯留タンクに設けられた上記空気供給管は、上記排土貯留タンク内に、上記排泥管と上記バキューム排土管とを間隔をおいて設置しているため、上記排土貯留タンク内に生じる負圧を一旦とどめることができ、強制的に空気を送り込む必要がないので、上記給気バルブを解放しておくことにより、自然に空気が取り込まれ、上記バキューム排土管に、十分な空気を供給することができる。従って、空気を強制的に送り込むためのコンプレッサなどを必要としない。
【0017】
そして、上記空気供給管は、任意で開閉操作が行える上記給気バルブを設けているために、通常の排土作業のときは、バルブを開いて空気を供給することができるとともに、トラブル時や上記バキューム排土管内の清掃のときには、バルブを閉じることにより、水や高濃度泥水を注水しても、掘進機本体内やヒューム管に漏れることがない。
【0018】
さらに、上記バキューム排土管内に沈殿した土砂を除去する場合は、上記給気バルブを閉じた状態で、真空発生装置を作動させて、上記排土貯留タンク内と上記バキューム排土管内を高真空にしたのちに、上記給気バルブを開くことにより、上記バキューム排土管内は、内圧の急激な変動による振動を発生させることができ、よって、沈殿していた土砂を剥離させることができる。
【0019】
請求項3に記載の本発明によれば、上記排泥管は、上記排土貯留タンク側に上記止水バルブを設け、上記カッタ側に上記ピンチバルブを設けるとともに、上記止水バルブと上記ピンチバルブとの間に、上記泥水用配管から分岐された上記泥水用分配管を接続しているために、上記排泥管内に流動化が不十分な土砂が堆積して、閉塞状態になった場合であっても、上記止水バルブを閉じて、上記泥水用分配管から、高濃度泥水を注入することにより、堆積している上記土砂に、上記高濃度泥水を浸透させて、流動化を図ることができるとともに、上記高濃度泥水の注入圧により、上記土砂の動きを促して、堆積した土砂を排土することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1および2は、本発明の小口径泥濃式掘進機の一実施形態を示すものである。
図中符号1が、円筒をなす掘進機本体1である。この掘進機本体1の先端部には、隔壁2が設けられ、この隔壁2の背面側に、大容量の駆動装置14が取り付けられている。他方、隔壁2の前面側には、駆動装置14の出力軸の回転駆動を減速させる減速装置15が設けられている。
【0021】
そして、この減速装置15には、出力軸を介して、掘削機本体1の先端側に向かい漸次小径となる破砕用コーン16が、回転自在に設けられ、この破砕用コーン16の小径部側に、カッタ3が一体的に設けられている。また、カッタ3には、高濃度の泥水を供給するための泥水用配管9が、掘削機本体1の後端部に向けて延設され、地上に設置されている作泥プラント27に接続されているとともに、カッタ3の前面側には、高濃度の泥水を吐出するための泥水用吐出口10が設けられている。
【0022】
さらに、カッタ3の背面側には、破砕用コーン16の回転により、掘削土砂を破砕するためのコーン破砕部17が形成される一方、破砕用コーン16と径方向に対向する推進器本体1の内面側には、カッタ3に向けて漸次大径となる破砕用ライナ20が一体的に内設されている。そして、破砕用コーン16の大径部側の後方には、コーン破砕部17で、破砕された土砂が流入する排土チャンバ18が形成されている。また、破砕用コーン16の大径部側の背面外周部には、排土チャンバ18に流入した土砂を攪拌混合するための攪拌板19が突設されている。
【0023】
また、排土チャンバ18には、隔壁2を貫通する排泥管5の一端が開口されるとともに、この排泥管5の他端は、掘削機本体1の後端部に形成されている隔壁23と隔壁24を貫通して設けられている。そして、この排泥管5には、カッタ3側にピンチバルブ13が設けられ、掘削機本体1の後端部に形成されている隔壁23に隣接して止水バブル12が設けられているとともに、ピンチバルブ13と止水バルブ12との間に、泥水用配管9から分岐した泥水用分配管11が接続されている。また、泥水用配管9と泥水用分配管11との分岐部には、三方切替バルブ22が設けられている。
【0024】
そして、掘削機本体1の後端部に形成されている隔壁23,24を貫通した排泥管5の他端部には、この排泥管5から移送された土砂を受け入れて貯留する排土貯留タンク4が形成されている。また、排土貯留タンク4の上方には、空気を取り入れるための空気供給管7が設けられ、この空気供給管7には、油圧や電動により開閉が任意で行える給気バルブ8が設けられている。さらに、排土貯留タンク4には、排泥管5と対向した位置に、間隔をおいてバキューム排土管6が、その一端部を排土貯留タンク4の底面に近接させて接続されている。そして、バキューム排土管6の他端部は、地上に設置されているレシーバーユニット25を介して、真空発生装置26と接続されている。
【0025】
以上の構成からなる小口径泥濃式掘進機を用いて、ヒューム管21を泥濃式推進工法により埋設するには、掘進機本体1の後端部に、工場で製造されたヒューム管21を取り付け、発進立坑28内に設置された元押推進架台29に載せ、元押ジャッキ30の推進力を利用して、掘進機本体1を推進させるとともに、掘進機本体1内の駆動装置14を駆動させ、掘進機本体1の先端部に設けられたカッタ3を回転させる。このカッタ3の回転とともに、作泥プラント27で生成された高濃度の泥水を、泥水用配管9を介して、カッタ3の前方に設けられた泥水用吐出口10から、一定の割合で吐出させて、地山を掘削していく。
【0026】
そして、掘削された土砂は、高濃度泥水とともに、コーン破砕部17に流入し、切羽面側の土圧の増加により、コーン破砕部17内の漸次狭隘となる後方に向けて順次送り込まれる。そして、上記土砂は、相対的に回転する破砕用ライナ20と破砕用コーン16との最狭部tに流入し、この最狭部tを通過できる大きさまで微細化される。
【0027】
次いで、微細化された土砂は、破砕用ライナ20と破砕用コーン16との最狭部tを通過して、排土チャンバ18に流入される。そして、破砕用コーン16の大径部の背面外周部に突設されている攪拌板19により攪拌混合されて、安定した流動化土砂になる。さらに、この流動化土砂は、排土チャンバ18内の土圧が管理値を超えたときに、ピンチバルブ13が開いて、排土チャンバ18に接続されている排泥管5の一端開口部より流入して、止水バルブ12を通り、排泥管5の他端まで移送され、排土貯留タンク4に排土される。
【0028】
このピンチバルブ13は、主にバルブケーシングとゴムチューブにより構成され、上記バルブケーシングと上記ゴムチューブとの間に、所定圧力の圧縮空気を入れることにより、上記ゴムチューブが膨らみ管路を閉じるように形成されている。そして、切羽側の土圧が管理値を超えて、上記バルブケーシングと上記ゴムチューブとの間の圧縮空気よりも圧力が高くなると、上記ゴムチューブが管路の径方向に対して、外方に押圧されることで、管路が開き土砂が排土される。また、土砂が排土されると管路内の土圧が低下するため、上記ゴムチューブは土圧から解放され、再び管路を閉じるようになる。
【0029】
さらに、ピンチバルブ13の開閉により、移送された土砂の流動化が不十分で、排土貯留タンク4へと排土せずに、排泥管5の中で停留した場合には、この排泥管5に設けられているピンチバルブ13を閉じるとともに、排土貯留タンク4側の止水バルブ12も閉じて、この閉じた二つのバルブの間の排泥管5に、三方切替バルブを介して接続されている泥水用分配管11から、高濃度泥水を注入することにより、停留した土砂に高濃度泥水を浸透させて流動化を図ることができるとともに、高濃度泥水の注入圧により、土砂の動きを促すことができるようになっている。
【0030】
そして、排土貯留タンク4に貯留された流動化土砂は、排泥管5と対向して、この排土貯留タンク4に接続されているバキューム排土管6から、真空発生装置26を作動させることにより、連続的に吸引させて坑外に設置されているレシーバユニット25まで、一気に移送される。この時、排土貯留タンク4に接続された空気供給管7の給気バルブ8を開放しているため、バキューム排土管6は、ヒューム管21内の空気を吸い込み、真空発生装置26の吸引力により、土砂を地上まで運搬することができる。
【0031】
上述の実施形態の小口径泥濃式掘進機によれば、掘進機本体1は、カッタ3により掘削された土砂を排土チャンバ18に流入させて、この排土チャンバ18に連結されている排泥泥管5を介して、この排泥管5に設けられているピンチバルブ13の開閉により、掘進機本体1の後端部に設けられている排土貯留タンク4に排土させ、一時的に貯留してから、排土貯留タンク4に設けられているバキューム排土管6より吸引して、坑外へと運搬する構造になっている。そのため、ピンチバルブ13の開閉が、不適切な動作をして、上記土砂が一度に大量に排土された場合や、バキューム排土管6側で、一時的に閉塞状態に陥って吸引できなかった場合であっても、排土貯留タンク4に、一時的に貯留することができるので、空気供給管7からの上記土砂の逆流を防止することができる。
【0032】
また、排土貯留タンク4内において、排泥管5とバキューム排土管6とが、間隔をおいて設けられているため、ピンチバルブ13が開いているときに、直接排泥管5から掘削土砂を吸引することがない。そのため、切羽側の掘削土砂に含まれる高濃度泥水や水分の先走りを防止することができるので、排土チャンバ18内で攪拌混合された土砂の流動性を失うことがない。
【0033】
さらに、カッタ3による掘削は、このカッタ3の前方に圧送充満された高濃度の泥水とともに行われ、掘削された土砂を排土チャンバ18内で、攪拌混合することにより、安定した流動化土砂を生成することができ、排泥管5内に停留することなく排土されるとともに、ピンチバルブ13の開閉によって、切羽面の土圧を一定圧まで抜くことができるので、その土圧を利用して上記流動化土砂を排土貯留タンク4へと確実に排土することができる。
【0034】
そして、排土貯留タンク4は、この排土貯留タンク4に、空気を送り込むための空気供給管7を設けていることにより、排土貯留タンク4内を高真空にすることがない。そのため、バキューム排土管6により、排土貯留タンク4の土砂をバキューム排土する際に、排泥管5からの土砂の吸引を防止することができるので、切羽面の土圧を急激に下げることがない。
【0035】
また、排土貯留タンク4に設けられた空気供給管7は、排土貯留タンク4内に、排泥管5とバキューム排土管6とを間隔をおいて設置しているため、排土貯留タンク4内に生じる負圧を一旦とどめることができ、強制的に空気を送り込む必要がないので、給気バルブ8を解放しておくことにより、自然に空気が取り込まれ、バキューム排土管6に、十分な空気を供給することができる。従って、空気を強制的に送り込むためのコンプレッサなどを必要としない。
【0036】
さらに、空気供給管7は、任意で開閉操作が行える給気バルブ8を設けているために、通常の排土作業のときは、バルブを開いて空気を供給することができるとともに、トラブル時やバキューム排土管6内の清掃のときには、バルブを閉じることにより、水や高濃度泥水を注水しても、掘進機本体1内やヒューム管21内に漏れることがない。
【0037】
また、バキューム排土管6内に沈殿した土砂を除去する場合は、給気バルブ8を閉じた状態で、真空発生装置を作動させて、排土貯留タンク4内とバキューム排土管6内を高真空にしたのちに、給気バルブ8を開くことにより、バキューム排土管6内の内圧の急激な変動による振動を発生させることができ、よって、沈殿していた土砂を剥離させることができる。
【0038】
そして、排泥管5は、排土貯留タンク4側に止水バルブ12を設け、カッタ3側にピンチバルブ13を設けるとともに、止水バルブ12とピンチバルブ13との間に、泥水用配管9から分岐された泥水用分配管11を接続しているために、排泥管5内に流動化が不十分な土砂が堆積して、閉塞状態になった場合であっても、止水バルブ12を閉じて、泥水用分配管11から、高濃度泥水を注入することにより、堆積している上記土砂に、上記高濃度泥水を浸透させて流動化を図ることができるとともに、上記高濃度泥水の注入圧により、上記土砂の動きを促して、堆積した土砂を排土することができる。
【0039】
さらに、排土貯留タンク4に設けられている排泥管5と、バキューム排土管6とを排土貯留タンク4の底部において、対向させて配置することにより、排土貯留タンク4内の底部に貯留している土砂を、完全にバキューム排土することができるとともに、排泥管5から排土された土砂に、破砕礫が含まれていた場合であっても、バキューム排土管6に押し出し移送することができるので、効率良い移送が可能となる。
【0040】
なお、上記実施の形態では、排土貯留タンク4に、空気供給管7を一箇所設けた場合についてのみ説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、二箇所又は三箇所と複数設けても対応可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の小口径泥濃式掘進機の一実施形態を示す縦断面図である。
【図2】本発明の小口径泥濃式掘進機の一実施形態による泥濃式推進工法の説明図である。
【符号の説明】
【0042】
1 掘進機本体
3 カッタ
4 排土貯留タンク
5 排泥管
6 バキューム排土管
7 空気供給管
8 給気バルブ
9 泥水用配管
11 泥水用分配管
12 止水バルブ
13 ピンチバルブ
14 駆動装置
18 排土チャンバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
掘進機本体の先端部に、カッタを回転自在に設けるとともに、上記掘進機本体内に、上記カッタを回転駆動する駆動装置と、
上記カッタの前方に高濃度の泥水を圧送充満させるための泥水用配管と、上記カッタの後方に形成されて、上記カッタによって掘削された土砂が流入する排土チャンバと、この排土チャンバ内の上記土砂を上記掘進機本体の後方へ排土させるための排泥管とを設け、
かつ上記掘進機本体の後端部に、上記排泥管から排土された上記土砂を一時的に貯留するための排土貯留タンクを設けるとともに、この排土貯留タンクに、当該排土貯留タンク内の上記土砂を吸引して排出するためのバキューム排土管を設けたことを特徴とする小口径泥濃式掘進機。
【請求項2】
上記排土貯留タンクには、この排土貯留タンクに、空気を送り込むための空気供給管を設けるとともに、この空気供給管には、開閉を任意で行える給気バルブを設けることを特徴とする請求項1に記載の小口径泥濃式掘進機。
【請求項3】
上記排泥管には、上記排土貯留タンク側に止水バルブが設けられ、上記カッタ側にピンチバルブが設けられるとともに、上記止水バルブと上記ピンチバルブとの間に、上記泥水用配管より分岐された泥水用分配管が接続されていることを特徴とする請求項2に記載の小口径泥濃式掘進機。

【図1】
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【図2】
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