説明

小型基地局、小型基地局の制御方法及びプログラム

【課題】低コスト化及ユーザ利便性の向上を図りつつ、通信ネットワーク側からの遠隔的な管理を介さずに、予め設定された設置箇所を基準にした所定の許容範囲の外側に移動設置されて使用されるのを効率的に制限することができる小型基地局、小型基地局の制御方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】小型基地局20への外部電源の供給が絶たれたことが検知された場合、小型基地局20の現在位置情報が所定の許容範囲内か否かを判断する。小型基地局20の現在位置情報が所定の許容範囲内にあると判断したときは小型基地局20の電波送信機能を有効し、小型基地局20の現在位置情報が所定の許容範囲の外側にあると判断したときは小型基地局20の電波送信機能を無効にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動設置可能な小型基地局、小型基地局の制御方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般住宅や店舗などの屋内に設置され、その屋内の比較的狭い無線通信エリアに在圏する携帯電話機等の通信端末装置と外部の通信ネットワークとの通信を中継する移動設置可能な小型基地局が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。この小型基地局は、通常のマクロセルよりも狭い無線通信エリア内で、そのエリアに在圏する携帯電話機等の移動体通信端末と無線通信し、アナログやデジタルの公衆回線やインターネットを介して移動体通信網に接続され、移動体通信端末と移動体通信網との間の通信を中継する。
【0003】
上記小型基地局は移動設置可能に構成されているため、予め設定された当初設置場所からユーザが別の場所に移動する可能性がある。ところが、その小型基地局が移動された移動先の場所では、監督官庁への事前届けがなされていないという理由により小型基地局の使用が許可されていない場合や、小型基地局が無線通信に使用する電波の周波数や電界強度が電波法や関連省令で許可されていない場合がある。
【0004】
従来、小型基地局の移動設置を制限するために、業者による小型基地局の固定設置作業が行われている。例えば、小型基地局を所定箇所に設置された所定長ケーブルに接続したり、小型基地局を当初設置箇所にワイヤーやネジ止めで固定したり、当初設置箇所に設けられたコアネットワークへ接続するための所定長の有線ケーブルに小型基地局を接続したりする。
【0005】
また、引用文献3には、小型基地局の設置場所を管理するための基地局OPS(オペレーション・システム)を通信ネットワーク上に設け、基地局OPSが、予め登録されている小型基地局の設置位置情報と、前記小型基地局から通知された呼処理接続情報及びGPS情報とを比較し、前記設置位置情報から所定の閾値を超えているか否かを判定し、超えている場合には前記小型基地局の使用を停止する処理を行う、小型基地局の設置場所管理システムが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記小型基地局の業者による固定設置作業を行うと、作業コストが高くなり、またユーザが希望する場所に小型基地局の設置を行うたびに業者による固定設置作業が必要になりユーザ利便性に欠ける。
また、引用文献3に開示されている小型基地局の設置場所管理システムでは、小型基地局の設置場所を管理するための基地局OPSを通信ネットワーク上に設けるとともに、通信ネットワーク側の基地局OPSから遠隔的に管理する必要があり、運用コストがかかる。
【0007】
本発明は以上の背景のもとでなされたものであり、その目的は、低コスト化及ユーザ利便性の向上を図りつつ、通信ネットワーク側からの遠隔的な管理を介さずに、予め設定された設置箇所を基準にした所定の許容範囲の外側に移動設置されて使用されるのを効率的に制限することができる小型基地局、小型基地局の制御方法及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る小型基地局は、無線通信ネットワークで使用される移動設置可能な小型基地局であって、電源ケーブルを介して外部電源を供給する外部電源供給手段と、前記外部電源の供給が絶たれたことを検知する検知手段と、前記小型基地局の現在位置情報を取得する現在位置情報取得手段と、前記検知手段によって前記外部電源の供給が絶たれたことが検知された場合、前記現在位置情報取得手段によって取得された前記小型基地局の現在位置情報が、前記小型基地局の当初設置箇所を基準にした所定の許容範囲内か否かを判断し、前記小型基地局の現在位置情報が前記所定の許容範囲内にあると判断したときは前記小型基地局の電波送信機能を有効にし、前記小型基地局の現在位置情報が前記所定の許容範囲の外側にあると判断したときは前記小型基地局の電波送信機能を無効にする制御手段と、を備える。
前記小型基地局において、前記制御手段は、前記検知手段によって前記外部電源供給が絶たれたことが検知された場合、前記小型基地局の電波送信機能をいったん無効にし、その後に、前記小型基地局の現在位置情報が前記所定の許容範囲内か否かの判断を行ってもよい。
また、前記小型基地局において、前記現在位置情報取得手段は、前記小型基地局の本体と有線又は無線の近距離通信を介して通信可能な外部装置であり、前記制御手段は、前記現在位置情報取得手段による現在位置情報の取得ができない場合、前記小型基地局の電波送信機能を無効にしてもよい。
また、前記小型基地局において、前記小型基地局の加速度を検知する加速度検知手段を備え、前記制御手段は、前記検知手段によって前記外部電源供給が絶たれたことが検知され、且つ、前記加速度検知手段の検知結果に基づいて所定の閾値以上の振動を検知したときに、前記小型基地局の現在位置情報が前記所定の許容範囲内か否かの判断を行ってもよい。
【0009】
本発明に係る小型基地局の制御方法は、無線通信ネットワークで使用される移動設置可能な小型基地局の制御方法であって、前記小型基地局への外部電源の供給が絶たれたことが検知された場合、前記小型基地局の現在位置情報が前記所定の許容範囲内か否かを判断するステップと、前記小型基地局の現在位置情報が前記所定の許容範囲内にあると判断したときは前記小型基地局の電波送信機能を有効にするステップと、前記小型基地局の現在位置情報が前記所定の許容範囲の外側にあると判断したときは前記小型基地局の電波送信機能を無効にするステップと、を含む。
本発明に係るプログラムは、無線通信ネットワークで使用される移動設置可能な小型基地局に設けられたプロセッサで実行されるプログラムであって、前記小型基地局への外部電源の供給が絶たれたことが検知された場合、前記小型基地局の現在位置情報が前記所定の許容範囲内か否かを判断する制御と、前記小型基地局の現在位置情報が前記所定の許容範囲内にあると判断したときは前記小型基地局の電波送信機能を有効にする制御と、前記小型基地局の現在位置情報が前記所定の許容範囲の外側にあると判断したときは前記小型基地局の電波送信機能を無効にする制御とを、前記プロセッサに実行させるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、小型基地局への外部電源供給が絶たれたことが検知された場合、小型基地局が移動設置された可能性が高いため、その検知をトリガーにして、小型基地局の現在位置情報が、その小型基地局の当初設置箇所を基準にした所定の許容範囲内か否かが判断される。従って、小型基地局の現在位置を常時モニターして所定の許容範囲内か否かを判断する場合に比して、現在位置情報の取得及びその現在位置情報に基づく送信機能制限制御を効率的に行うことができる。
更に、本発明では、小型基地局の現在位置情報が所定の許容範囲内にあると判断したとき小型基地局は電波送信機能を有効にする。一方、小型基地局の現在位置情報が所定の許容範囲の外側にあると判断したとき小型基地局は電波送信機能を無効にする。このように小型基地局が所定の許容範囲の外側にあるときに電波送信機能を自律的に制限するので、通信ネットワーク側からの遠隔的な管理を介さずに、予め設定された設置箇所を基準にした所定の許容範囲の外側に移動設置して使用されるのを制限することができる。
また、本発明では、小型基地局の移動設置を制限するための業者による小型基地局の固定設置作業を行う必要がないので、低コスト化及ユーザ利便性の向上を図ることができる。
以上のように、本発明によれば、低コスト化及ユーザ利便性の向上を図りつつ、通信ネットワーク側からの遠隔的な管理を介さずに、予め設定された設置箇所を基準にした所定の許容範囲の外側に小型基地局が移動設置されて使用されるのを効率的に制限することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る小型基地局の概略構成の一例を示すブロック図。
【図2】同小型基地局の当初設置時における制御の一例を示すフローチャート。
【図3】同小型基地局の移動設置時における送信機能制限制御の一例を示すフローチャート。
【図4】同小型基地局の移動設置時における送信機能制限制御の他の例を示すフローチャート。
【図5】本発明の他の実施形態に係る小型基地局の概略構成の一例を示すブロック図。
【図6】同小型基地局の移動設置時における送信機能制限制御の一例を示すフローチャート。
【図7】本発明の更に他の実施形態に係る小型基地局の概略構成の一例を示すブロック図。
【図8】同小型基地局の移動設置時における送信機能制限制御の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る小型基地局の実施形態について説明する。本実施形態において、移動体通信端末と通信ネットワークとの通信中継手段である小型基地局は、例えば一般家庭に設置され、小型基地局と一般家庭に存在している移動体通信端末とが所定の周波数及び通信形式で無線通信可能な無線通信可能エリアを形成する。小型基地局は、移動体通信網における広域のマクロセル基地局がカバーするセルよりも小さなフェムトセルをカバーするように設けられるため、「フェムト基地局」と呼ばれる場合もある。小型基地局は、回線終端装置及びADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)回線や光回線等のブロードバンド公衆通信回線を介して移動体通信網に接続されている。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係る小型基地局の概略構成の一例を示すブロック図である。小型基地局20は、例えば、プログラムを実行可能なプロセッサ(CPU)、メモリ等の内部記憶装置、ハードディスク等の外部記憶装置、通信処理装置、アンテナ等のハードウェアで構成され、内部記憶装置又は外部記憶装置に記憶されている所定のプログラムを読み出しCPUで実行することにより、次の各部の機能を実現することができる。
【0014】
小型基地局20は、主制御部201と、無線通信部202と、データ記憶部203と、網側通信部204と、GPS受信部205と、外部電源供給部206とを備える。また、小型基地局20は、図示しない内部電源供給部を備える。主制御部201は、無線通信部202等の他の各部と制御データ等を送受信することにより各部を制御する。無線通信部202は、所定の周波数及び通信方式の無線通信により移動体通信端末10と通信することができる。
【0015】
データ記憶部203は、前記記憶装置で構成され、移動体通信端末10と移動体通信網との間の通信を中継するための各種情報などを記憶する。また、データ記憶部203は、小型基地局20の当初設置箇所を基準にした所定の許容範囲である緯度及び経度それぞれの範囲のデータを記憶する。
【0016】
網側通信部204は、回線終端装置90と図示しない公衆通信回線とを介して移動体通信網との間に、IPsecやPPPoE等の所定通信プロトコルによる仮想専用回線(VPN:Virtual Private Network)を構築し、その仮想専用回線を介してデータを送受信する通信処理を実行する。この網側通信部204により、移動体通信網の小型基地局用コアネットワーク等の各種サーバやノードと通信することができる。
【0017】
GPS受信部205は、GPS衛星50からの無線信号を受信することにより、そのGPS受信部205が組み込まれた小型基地局の現在位置情報(緯度及び経度の情報)を取得する現在位置情報取得手段としての機能する。
【0018】
外部電源供給部206は、外部電源ライン(ACライン)から電源ケーブル206aを介して電力を供給する外部電源供給手段として機能する。電源ケーブル206aの長さL1は例えば数m程度に設定される。外部電源供給部206は、電源ケーブル206aを介して受けた電力を、必要に応じて所定の直流電圧に変換し、図示しない内部電源供給ラインを介して小型基地局内の各部に供給することができる。また、外部電源供給部206は、電源ケーブル206aを介して印加されるAC電圧を検知する電圧センサを備え、この電圧センサによって検知される電圧に基づいて電源ケーブルが外されたことを検知することができる。例えば、電圧センサの検知電圧が通常のAC電圧(例えば100V)のときは電源ケーブル206aのプラグが外部電源ライン(ACライン)のコンセントに接続されている状態にある。逆に、電圧センサの検知電圧が0Vのときは電源ケーブル206aのプラグが外部電源ライン(ACライン)のコンセントから外された状態にある。つまり、このような電圧センサを備えた外部電源供給部206は、小型基地局20の当初設置箇所を基準にした所定の許容範囲の外側への移動が想定される状態である、外部電源ケーブル206aが外されたことによる外部電源ケーブル206aを介した外部電源の供給が絶たれたことを検知する検知手段としても機能する。なお、外部電源の供給が絶たれた場合としては、電源ケーブル206aのプラグが外部電源ラインのコンセントから外された場合のほか、外部電源ラインにおける電力供給が停止された停電の場合もある。
【0019】
上記内部電源供給部は、内部電源(例えば内蔵電池)から電力を供給する内部電源供給手段として機能する。この内部電源供給部は、主制御部201によって制御され、例えば外部電源供給部206からの電源供給ができないとき、例えば電源ケーブル206aがコンセントから外されて外部電源の供給が絶たれたときに、内部電源(例えば内蔵電池)からの電力を、必要に応じて所定の直流電圧に変換し、図示しない内部電源供給ラインを介して小型基地局内の各部に供給することができる。
【0020】
また、主制御部201は、次の(1)〜(3)の送信機能制御を行う制御手段としても機能する。
(1)外部電源供給部206からの外部電源の供給が絶たれたことが検知された場合に、GPS受信部205によって取得された小型基地局20の現在位置情報(緯度及び経度)が、所定の許容範囲(所定の緯度及び経度の範囲)内か否かを判断する。
(2)小型基地局20の現在位置情報(緯度及び経度)が前記所定の許容範囲内にあると判断したときは小型基地局20の無線通信部202における電波送信機能を有効にする。
(3)小型基地局20の現在位置情報が所定の許容範囲の外側にあると判断したときは、小型基地局20の無線通信部202における電波送信機能を無効にする。
【0021】
まず、本実施形態の小型基地局20における移動設置時の送信機能制限制御の前提となる当初設置時に制御について説明する。
図2は、本実施形態の小型基地局20の当初設置時における制御の一例を示すフローチャートである。小型基地局20が予め決められた所定の設置箇所に設置され電源がオンされる(S101,S102)と、主制御部201は、GPS受信部205による現在位置情報(緯度及び経度)の取得処理を実行するように制御する(S103)。次に、主制御部201は、GPS受信部205による現在位置情報(緯度及び経度)が、データ記憶部203に記憶されている小型基地局の当初設置箇所を基準にした所定の許容範囲(緯度及び経度それぞれの範囲)内にあるか否かを判断する(S104)。ここで、現在位置情報が所定の許容範囲内にある場合(S104でYes)、主制御部201は、小型基地局20の無線通信部202における電波送信機能を有効にするように制御する(S105)。一方、現在位置情報が所定の許容範囲の外側にある場合(S104でNo)、主制御部201は、小型基地局20が所定の設置箇所に設置されていないと判断し、小型基地局20の無線通信部202における電波送信機能を無効にするように制御する(S106)。
【0022】
以下、本実施形態の小型基地局20における移動設置時の送信機能制限制御について説明する。
図3は、本実施形態の小型基地局20の移動設置時における送信機能制限制御の一例を示すフローチャートである。
本制御例では、電源ケーブル206aのプラグが外部電源ライン(ACライン)のコンセントから外された外部電源遮断が外部電源供給部206で検知される(S201)と、主制御部201は、小型基地局20が移動設置された可能性が高いと判断し、GPS受信部205による現在位置情報(緯度及び経度)の取得処理を実行するように制御する(S202)。次に、主制御部201は、GPS受信部205による現在位置情報(緯度及び経度)が、データ記憶部203に記憶されている小型基地局の当初設置箇所を基準にした所定の許容範囲(緯度及び経度それぞれの範囲)内にあるか否かを判断する(S203)。ここで、現在位置情報が所定の許容範囲内にある場合(S203でYes)、主制御部201は、小型基地局20の無線通信部202における電波送信機能を有効にするように、すなわち小型基地局20のエリア(セル)内に在圏する移動体通信端末10に対する電波送出が可能になるように制御する(S204)。一方、現在位置情報が所定の許容範囲の外側にある場合(S203でNo)、主制御部201は、小型基地局20が移動設置されたと判断し、小型基地局20の無線通信部202における電波送信機能を無効にするように、すなわち移動体通信端末10への電波送出ができないように制御する(S205)。
【0023】
図4は、本実施形態の小型基地局20の移動設置時における送信機能制限制御の他の例を示すフローチャートである。なお、図4の制御例において、図3と同様な制御部分(S301,S303〜S306)については詳しい説明を省略する。
本制御例では、外部電源遮断が外部電源供給部206で検知される(S301)と、主制御部201は、小型基地局20が移動設置された可能性が高いと判断し、現在位置情報の取得の前に、小型基地局20の無線通信部202における電波送信機能をいったん無効にするように、すなわち移動体通信端末10への電波送出ができないように制御する(S302)。
本制御例によれば、小型基地局20が移動設置された可能性が高い場合に電波送信機能をより速やかに停止することができる。
【0024】
図5は、本発明の他の実施形態に係る小型基地局の概略構成の一例を示すブロック図である。なお、図5において、図1と同様な構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
本実施形態の小型基地局20は、内蔵のGPS受信部を設ける代わりに、小型基地局20の本体と現在位置取得手段としての外部装置であるGPS受信装置30との間で有線又は無線の近距離通信ができるように近距離通信部208を備えている。ここで、有線の近距離通信としては例えば所定長L2(例えば数m)のUSBケーブルを介した通信を挙げることができる。この場合、GPS受信装置30と小型基地局20の近距離通信部208との間が所定長のUSBケーブルで接続されていれば、両者間で近距離通信を行うことができる。また、無線の近距離通信としては例えばBluetooth(登録商標)や特定省電力無線による通信を挙げることができる。この場合、GPS受信装置30と小型基地局20の近距離通信部208との距離がBluetoothや特定省電力無線による通信範囲(例えば数m〜数十m)内にあれば、両者間で近距離通信を行うことができる。
また、近距離通信部208は、外部装置であるGPS受信装置30との近距離通信が停止されたことを検知することにより、小型基地局20の当初設置箇所を基準にした所定の許容範囲の外側への移動が想定される状態への変化した小型基地局20の状態変化を検知する検知手段としての機能も有する。
【0025】
図6は、図5の構成の小型基地局20の移動設置時における送信機能制限制御の更に他の例を示すフローチャートである。なお、図6の制御例において、図3と同様な制御部分(S401,S404〜S406)については詳しい説明を省略する。
本制御例では、外部電源遮断が外部電源供給部206で検知される(S401)と、主制御部201は、小型基地局20が移動設置された可能性が高いと判断し、外部のGPS受信装置30による現在位置情報(緯度及び経度)の取得処理を実行するように制御し(S402)、現在位置情報が取得できたか否かを判断する(S403)。ここで、現在位置情報が取得できた場合(S402でYes)、主制御部201は、前述の図3及び図4の制御例の場合と同様に、現在位置情報に関する判断や電波送信機能の制御を行う(S404、S405)。一方、現在位置情報が取得できなかった場合(S403でNo)及び取得できた現在位置情報が所定の許容範囲の外側にある場合(S404でNo)、主制御部201は、小型基地局20が移動設置されたと判断し、小型基地局20の無線通信部202における電波送信機能を無効にするように、すなわち移動体通信端末10への電波送出ができないように制御する(S406)。
本制御例によれば、小型基地局20への外部電源の供給が絶たれた場合だけではなく、GPS受信装置30による現在位置情報の取得ができない場合についても、小型基地局20が所定の許容範囲外に移動設置されている可能性があることを考慮し、いずれの場合についても小型基地局20の電波送信機能を無効にするように制御している。これより、小型基地局20が所定の許容範囲外に移動設置されて使用されることをより確実に防止できる。また、本制御例によれば、小型基地局20が移動設置された可能性が高い場合に電波送信機能をより速やかに停止することができる。
なお、本制御例において、上記外部電源遮断の検知(S401)が行われたとき、小型基地局10の電波送信機能をいったん無効にし、その後に、小型基地局20の現在位置情報の取得以降の制御(S402〜S406)を行ってもよい。
【0026】
図7は、本発明の更に他の実施形態に係る小型基地局の概略構成の一例を示すブロック図である。なお、図7において、図1と同様な構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
本実施形態の小型基地局20は、小型基地局20の加速度を検知する加速度検知手段としての1軸、2軸又は3軸の加速度センサを有する加速度検知部209を備える。また、本実施形態の主制御部201は、前記外部電源供給が絶たれたこと及び前記外部装置としてのGPS受信装置30による現在位置情報の取得ができないことの少なくとも一方を検知し、且つ、加速度検知部209の検知結果に基づいて所定の閾値以上の振動を検知したときに、小型基地局20の現在位置情報が所定の許容範囲内か否かの判断を行うように制御することができる。
【0027】
図8は、図7の構成の小型基地局の移動設置時における送信機能制限制御の一例を示すフローチャートである。なお、図8の制御例において、図3と同様な制御部分(S501,S503〜S506)については詳しい説明を省略する。本制御例では、外部電源遮断が外部電源供給部206で検知され(S501)、且つ、加速度検知部209で予め設定した所定の閾値以上の振動が検知される(S502)と、主制御部201は、小型基地局20が移動設置された可能性が高いと判断し、GPS受信部205による現在位置情報(緯度及び経度)の取得処理を実行するように制御する(S503)。その後、前述の制御例と同様に、現在位置情報(緯度及び経度)についての判断及び送信機能制御を実行する(S504〜506)。
本制御例によれば、外部電源供給が絶たれたことの検知だけでなく、小型基地局20の移動設置時に発生する所定閾値以上の振動の検知を、小型基地局20の移動設置が行われたか否かの判断に用いているので、小型基地局20の移動設置に対する判断の精度を高めることができる。
なお、本制御例において、上記外部電源遮断の検知(S501)及び上記所定閾値以上の振動の検知(S502)の少なくとも一方の検知が行われたとき、小型基地局10の電波送信機能をいったん無効にし、その後に、小型基地局20の現在位置情報の取得以降の制御(S503〜S506)を行ってもよい。
【0028】
以上、本実施形態によれば、小型基地局20への外部電源供給が絶たれたことが検知された場合、小型基地局20が移動設置された可能性が高いため、その検知をトリガーにして、小型基地局20の現在位置情報(GPSの緯度及び経度)が所定の許容範囲(緯度及び経度それぞれの範囲)内か否かが判断される。従って、小型基地局20の現在位置を常時モニターして所定の許容範囲内か否かを判断する場合に比して、現在位置情報の取得及びその現在位置情報に基づく送信機能制限制御を効率的に行うことができる。
更に、本実施形態によれば、小型基地局20の現在位置情報が所定の許容範囲内にあると判断したとき小型基地局20は電波送信機能を有効にする。一方、小型基地局20の現在位置情報が所定の許容範囲の外側にあると判断したとき小型基地局20は電波送信機能を無効にする。このように小型基地局20が所定の許容範囲の外側にあるときに電波送信機能を自律的に制限するので、通信ネットワーク側からの遠隔的な管理を介さずに、予め設定された設置箇所を基準にした所定の許容範囲の外側に移動設置して使用されるのを制限することができる。また、小型基地局20の移動設置を制限するための業者による小型基地局20の固定設置作業を行う必要がないので、低コスト化及ユーザ利便性の向上を図ることができる。
また、本実施形態によれば、小型基地局20が移動設置された可能性が高い状態、すなわち小型基地局20における外部電源遮断の状態や、外部のGPS受信装置との通信ができずに現在位置情報の取得ができない状態が検知された場合、小型基地局20の電波送信機能をいったん無効にしている。これにより、小型基地局20が移動設置された可能性が高い場合に電波送信機能をより速やかに停止することができる。
また、本実施形態によれば、小型基地局20への外部電源の供給が絶たれた場合だけではなく、現在位置情報取得手段としての外部装置であるGPS受信装置30による現在位置情報の取得ができない場合についても、小型基地局20が所定の許容範囲外に移動設置されている可能性があることを考慮し、小型基地局20の電波送信機能を無効にしている。これより、小型基地局20が所定の許容範囲外に移動設置されて使用されることをより確実に防止できる。
また、本実施形態によれば、外部電源ケーブル206aが外されて外部電源ラインからの外部電源の供給が絶たれたときに、小型基地局20が移動設置された可能性が高いと判断して、小型基地局20の現在位置情報の取得及び送信機能制限制御を行っている。従って、小型基地局20の現在位置を常時モニターして送信機能制限制御を行う場合に比して、現在位置情報の取得及び送信機能制限制御を効率的に行うことができる。
また、本実施形態によれば、外部電源供給が絶たれたこと及びGPS受信装置(外部装置)30による現在位置情報の取得ができないことの少なくとも一方の検知だけでなく、小型基地局20の移動設置の際に発生する所定閾値以上の振動を検知したときに、小型基地局20が移動設置された可能性が高いと判断している。従って、小型基地局20の移動設置に対する判断の精度を高めることができる。
【0029】
なお、上記各実施形態では、現在位置情報取得手段が、GPS衛星からの電波を受信して現在位置(緯度及び経度)の情報を取得する構成の場合について説明したが、他の構成の現在位置情報取得手段を用いてもよい。例えば、GPS衛星以外の商用衛星からの電波を受信して現在位置(緯度及び経度)の情報を取得するにしてもよい。また、WiFi等の無線LANのSSID、RFID、地上デジタル放送等の外部参照信号を参照して現在位置情報を取得するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0030】
10 移動体通信端末
20 小型基地局
30 GPS受信装置(外部装置)
50 GPS衛星
90 回線終端装置
201 主制御部
202 無線通信部
203 データ記憶部
204 網側通信部
205 GPS受信部
206 外部電源供給部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0031】
【特許文献1】特開2006−093778号公報
【特許文献2】特開2007−259289号公報
【特許文献3】特開2009−232286号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信ネットワークで使用される移動設置可能な小型基地局であって、
電源ケーブルを介して外部電源を供給する外部電源供給手段と、
前記外部電源の供給が絶たれたことを検知する検知手段と、
前記小型基地局の現在位置情報を取得する現在位置情報取得手段と、
前記検知手段によって前記外部電源の供給が絶たれたことが検知された場合、前記現在位置情報取得手段によって取得された前記小型基地局の現在位置情報が前記所定の許容範囲内か否かを判断し、前記小型基地局の現在位置情報が前記所定の許容範囲内にあると判断したときは前記小型基地局の電波送信機能を有効にし、前記小型基地局の現在位置情報が前記所定の許容範囲の外側にあると判断したときは前記小型基地局の電波送信機能を無効にする制御手段と、
を備えたことを特徴とする小型基地局。
【請求項2】
請求項1の小型基地局において、
前記制御手段は、前記検知手段によって前記外部電源の供給が絶たれたことが検知された場合、前記小型基地局の電波送信機能をいったん無効にし、その後に、前記小型基地局の現在位置情報が前記所定の許容範囲内か否かの判断を行うことを特徴とする小型基地局。
【請求項3】
請求項1の小型基地局において、
前記現在位置情報取得手段は、前記小型基地局の本体と有線又は無線の近距離通信を介して通信可能な外部装置であり、
前記制御手段は、前記現在位置情報取得手段による現在位置情報の取得ができない場合、前記小型基地局の電波送信機能を無効にすることを特徴とする小型基地局。
【請求項4】
請求項1、2又は3の小型基地局において、
前記小型基地局の加速度を検知する加速度検知手段を備え、
前記制御手段は、前記検知手段によって前記外部電源の供給が絶たれたことが検知され、且つ、前記加速度検知手段の検知結果に基づいて所定の閾値以上の振動を検知したときに、前記小型基地局の現在位置情報が前記所定の許容範囲内か否かの判断を行うことを特徴とする小型基地局。
【請求項5】
無線通信ネットワークで使用される移動設置可能な小型基地局の制御方法であって、
前記小型基地局への外部電源の供給が絶たれたことが検知された場合、前記小型基地局の現在位置情報が前記所定の許容範囲内か否かを判断するステップと、
前記小型基地局の現在位置情報が前記所定の許容範囲内にあると判断したときは前記小型基地局の電波送信機能を有効にするステップと、
前記小型基地局の現在位置情報が前記所定の許容範囲の外側にあると判断したときは前記小型基地局の電波送信機能を無効にするステップと、
を含むことを特徴とする小型基地局の制御方法。
【請求項6】
無線通信ネットワークで使用される移動設置可能な小型基地局に設けられたプロセッサで実行されるプログラムであって、
前記小型基地局への外部電源の供給が絶たれたことが検知された場合、前記小型基地局の現在位置情報が前記所定の許容範囲内か否かを判断する制御と、
前記小型基地局の現在位置情報が前記所定の許容範囲内にあると判断したときは前記小型基地局の電波送信機能を有効にする制御と、
前記小型基地局の現在位置情報が前記所定の許容範囲の外側にあると判断したときは前記小型基地局の電波送信機能を無効にする制御と
を、前記プロセッサに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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