小型容器の栓体開閉装置
【課題】 少なくとも一つのラックに収容された全てのマイクロチューブに対して栓体の着脱を一度に行うことを課題とする。
【解決手段】支持板10と該支持板に対して回転運動をする駆動板30とを有し、多数の栓体回転治具20が前記支持板に回転自在に支持され、一端が前記栓体回転治具に連結されたクランク21の他端が前記駆動板に回転自在に支持され、前記クランクの一端21aと他端21bとの間の中間部分21cは傾斜されて設けられ、前記栓体回転治具の下端部にはマイクロチューブ1の栓体3の嵌合凹部3dに嵌合し得る嵌合連結部20cが形成された小型容器の栓体開閉装置100。
【解決手段】支持板10と該支持板に対して回転運動をする駆動板30とを有し、多数の栓体回転治具20が前記支持板に回転自在に支持され、一端が前記栓体回転治具に連結されたクランク21の他端が前記駆動板に回転自在に支持され、前記クランクの一端21aと他端21bとの間の中間部分21cは傾斜されて設けられ、前記栓体回転治具の下端部にはマイクロチューブ1の栓体3の嵌合凹部3dに嵌合し得る嵌合連結部20cが形成された小型容器の栓体開閉装置100。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規な小型容器の栓開閉装置に関する。詳しくは、試料、試薬等の内容物を収容する筒状の容器本体と該容器本体の開口を閉塞する栓体とを備えた、いわゆるマイクロチューブと称される小型容器の栓体を多数一度に開閉する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
化学物質の分析や薬の研究等の分野で、多数の試料を保管するために、いわゆるマイクロチューブと称される小型容器が使用される。
【0003】
マイクロチューブ1は、例えば、図9に示すように、筒状を成し上端が開口した容器本体2と、該容器本体2の開口2aを閉塞する栓体3とから成る。
【0004】
容器本体2はほぼ円筒状を為し、下端部2bは他の部分より径が細くされ、且つ、ほぼ四角柱の外形を有する。そして、該下端部2bの下端面には浅い凹部2cが形成されており、該凹部2cには内容物等を識別するための図示しない標識を貼付しうるようになっている。
【0005】
栓体3は、頭部3aと該頭部3aの下端から突出した嵌合部3bとが一体に形成されて成り、嵌合部3bの外周には雄ねじ3cが形成され、該雄ねじ3cが容器本体2の上端部内面に形成された雌ねじ2dと螺合することによって、栓体3が容器本体2の開口2aをしっかりと閉塞する。前記頭部3aには上端に開口した嵌合凹部3dが形成されており、該嵌合凹部3dの内面は多角形状に形成されている。
【0006】
化学物質の分析や薬の研究等の分野では、同じ試料に異なる試薬を注入したり、同じ試薬でも量を異ならせる等、一度に多数の分析が必要になるため、一つのラックに多数のマイクロチューブが収容された状態で保管される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記したように、マイクロチューブは一度に多数のものが取り扱われるため、その栓体3の開閉が大変な労力となり、また、時間を要する。
【0008】
本発明は、上記した事情に鑑み、少なくとも一つのラックに収容された全てのマイクロチューブに対して栓体の着脱を一度に行うことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明小型容器の栓体開閉装置は、支持板と該支持板に対して回転運動をする駆動板とを有し、多数の栓体回転治具が前記支持板に回転自在に支持され、一端が前記栓体回転治具に連結されたクランクの他端が前記駆動板に回転自在に支持され、前記クランクの一端と他端との間の中間部分は傾斜されて設けられ、前記栓体回転治具の下端部には小型容器の栓体の嵌合凹部に嵌合し得る嵌合連結部が形成されたものである。
【0010】
従って、本発明小型容器の栓体開閉装置にあっては、駆動板を支持板に対して回転させることによって、栓体回転治具を回転させることができ、しかも、栓体回転治具に駆動板の回転を伝達するクランクの中間部分が傾斜されているので、隣接するクランク同士が互いに干渉することが無く、従って、狭い空間に多数のクランク及び栓体回転治具を配置することができ、よって、多数のマイクロチューブの栓体を一度に回転させることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明小型容器の栓体開閉装置は、支持板と該支持板に対して回転運動をする駆動板とを有し多数の栓体回転治具が前記支持板に回転自在に支持され、一端が前記栓体回転治具に連結されたクランクの他端が前記駆動板に回転自在に支持され、前記クランクの一端と他端との間の中間部分は傾斜されて設けられ、前記栓体回転治具の下端部には小型容器の栓体の嵌合凹部に嵌合し得る嵌合連結部が形成されたことを特徴とする。
【0012】
従って、本発明小型容器の栓体開閉装置にあっては、駆動板を支持板に対して回転させることによって、栓体回転治具を回転させることができ、しかも、栓体回転治具に駆動板の回転を伝達するクランクの中間部分が傾斜されているので、隣接するクランク同士が互いに干渉することが無く、従って、狭い空間に多数のクランク及び栓体回転治具を配置することができ、よって、多数のマイクロチューブの栓体を一度に回転させることができる。
【0013】
請求項2に記載した発明にあっては、前記嵌合連結部の少なくとも外周部分は弾性材料で形成されているので、小型容器の栓体の嵌合凹部に嵌合したときに、外周部分の弾性材料が嵌合凹部の内周面形状になじむため、嵌合凹部の形状が異なるマイクロチューブにも対応可能である。
【0014】
請求項3に記載した発明にあっては、前記嵌合連結部は中心部の剛体からなる心棒部分と該心棒部分に着脱可能に外嵌される弾性チューブとから成るので、弾性チューブが疲労により弾性が減少したり、破損した場合には、弾性チューブのみを交換することによって、機能が回復するので、経済的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明小型容器の栓体開閉装置を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
【0016】
先ず、本発明の基本原理を図1を参照して説明する。
【0017】
支持板10に栓体回転治具20が多数回転自在に支持される。クランク21の一端21aが栓体回転治具20の上端20aに連結される。クランク21の他端21bはほぼ上下方向に延びている。そして、クランク21の一端21aと他端21bとの間の中間部分21cは傾斜されている。なお、中間部分21cの傾斜角度は隣接するクランク21同士が互いに干渉しないで回転しうる角度とする。また、栓体回転治具20の心棒部分20bとクランク21とは金属棒で一体に形成しても良い。そして、栓体回転治具20の心棒部分20bの下端部に弾性チューブ22が外嵌されて嵌合連結部20cが形成される。なお、図2に示すように、心棒部分20bの下端部をテーパー状にしておけば、嵌合連結部20cの下端部がテーパー状になり、栓体3の嵌合凹部3dへ挿入しやすくなる。
【0018】
前記支持板10の上方に近接して駆動板30が配置される。そして、該駆動板30に前記クランク21の他端21bが回転自在に支持される。モータ31によって回転される駆動クランク32の先端32aが駆動板30に回転自在な状態で連結される。モータ31が駆動すると、駆動クランク32の先端32aは偏芯回転をし、それによって、駆動板30は支持板10に対して一定の回転半径で回転することになり、他端21bが駆動板30に回転自在に支持されているクランク21が回転することになり、これによって、栓体回転治具20が回転されることになる。
【0019】
次に、小型容器の栓体開閉装置100の概要を図3によって説明する。
【0020】
機枠110に固定枠111が固定的に支持されている。前記固定枠111に従動枠120が上下に移動可能に支持されている。従動枠120と固定枠111との間にはバネ121が圧縮された状態で介挿されており、これによって、従動枠120は上方へ付勢されている。また、従動枠120にはストッパ凹部122が形成されている。
【0021】
さらに、前記固定枠111に上下方向に移動可能に支持された図示しない可動枠が設けられており、該可動枠に前記支持板10及びモータ31が支持されている。支持板10には、複数の回転腕33(図面では2個示してある)の一端部が第1の軸33aで回転自在に支持されている。また、前記回転腕33の他端部が第2の軸33bによって駆動板30に回転自在に支持されている。従って、駆動板30は2つの軸33aと33bとの間の間隔を回転半径として支持板10に対して回転可能に支持される。また、支持板10の下面には間隔調整用のスペーサ突部11が突設されている。
【0022】
なお、駆動板30の回転半径は前記回転腕33の回転半径によって決まるため、前記駆動クランク32の先端32aと該先端32aが嵌合する駆動板30の連結孔34との間に余裕を設けておいても良い。
【0023】
前記従動枠120の下端部には外し板130が支持されており、該外し板130には多数の挿通孔131が形成されている。前記挿通孔131の径は、栓体回転治具20の嵌合連結部20cの外径より僅かに大きく、マイクロチューブ1の栓体3の頭部3aの外径より小さく形成されている。
【0024】
前記固定枠111にはストッパ140が支持されており、該ストッパ140は可動ピン141を有しており、該可動ピン141は図3に示す待機位置と図4に示すストッパ位置との間を移動可能に形成されている。
【0025】
次に、小型容器の栓体開閉装置100の動作について説明する。
【0026】
図3乃至図5を参照して、容器本体2に栓体3を挿着する動作について説明する。
【0027】
図3に示すように、従動枠120及び図示しないもう一つの可動枠が上昇位置にあり、支持板10のスペーサ突部11が外し板130の上面に当接して、支持板10と外し板130との間の間隔が所定の間隔に保たれている。また、ストッパ140の可動ピン141は待機位置にある。この状態で、各栓体回転治具20の嵌合連結部20cに栓体3が保持された状態とする。すなわち、嵌合連結部20cの先端を栓体3の嵌合凹部3dにあてがった状態で栓体3を上方へ押し込めば、嵌合連結部20cの弾性チューブ22が弾性変形し、これによって、栓体3が嵌合連結部20cに保持される。
【0028】
一方、多数のマイクロチューブ1の容器本体2がラック4に保持された状態で外し板130の下方に位置されている。ラック4の底部には容器本体2の下端部2bを挿入する図示しない穴が形成されており、該穴に前記下端部2bが嵌合することによって、容器本体2は回転を阻止される。
【0029】
図3の状態から、図示しない可動枠が下降し、これによって下降する支持板10のスペーサ突部11によって外し板130が下方へ押されるので、外し板130及びこれを支持している従動枠120がバネ121を圧縮しながら支持板10と共に下降する。このとき、モータ31が駆動されて、駆動板30が右回転に回転されながら下降する。これによって、栓体3が容器本体2に捻じ込まれ、完全に下降したところ(図4参照)で、僅かに駆動板30が回転されて、栓体3の容器本体2への捻じ込みが十分に為されるようにする。
【0030】
それから、ストッパ140が駆動されて、可動ピン141が従動枠120のストッパ凹部122と係合する。
【0031】
図4に示す状態から図示しない可動枠が上昇されると、従動枠120のストッパ凹部122にストッパ140の可動ピン141が係合しているので、従動枠120は上昇することができず、図4で示す位置に置いて行かれる。そのため、支持板10が上昇し、該支持板10と共に上昇する栓体回転治具20に対して、栓体3は上端の周縁部が外し板130の挿通孔131の下側周縁部に係合して上昇を阻止される。これによって、栓体回転治具20が栓体3から抜け出て上昇される(図5参照)。以上のようにして、ラック4に保持された全ての容器本体1に栓体3が挿着される。
【0032】
次に、図6乃至図8を参照して容器本体1から栓体3を外す動作について説明する。
【0033】
栓体3が挿着された容器本体1がラック4に保持されている。そして、図5の状態からストッパ140の可動ピン141が従動枠120のストッパ凹部122から外れると、従動枠120はバネ121によって上方へ移動し、外し板130が支持板10のスペーサ突部11に当接したところで止まる。このとき、栓体回転治具20の嵌合連結部20cは外し板130の挿通孔131を挿通されて外し板130より下側に位置する(図6参照)。
【0034】
図6の状態から、図示しない可動枠が降下して、支持板10、モータ31、駆動板30が下降し、支持板10に押されて従動板120も共に下降する。そして、最下端まで下降すると、栓体回転治具20の嵌合連結部20cがラック4に保持されたマイクロチューブ1の栓体3の嵌合凹部3dに嵌合される(図7参照)。すなわち、嵌合連結部20cの弾性チューブ22が心棒部分20bと栓体3の嵌合凹部3dの内周面との間で弾性変形し、嵌合連結部20cと栓体3とがしっかりと結合される。
【0035】
そこで、図7に示す状態から、モータ31が駆動されて駆動板30が左回転に回転しながら、支持板10、駆動板30、モータ31が上昇し、これによって従動枠120も支持板10と共に上昇する(図8参照)。従って、栓体3が容器本体1から外され、栓体回転治具20に支持されたまま上昇する。
【0036】
上記したように、小型容器の栓体開閉装置100にあっては、多数のマイクロチューブ1の栓体3を一度に開閉することができ、マイクロチューブ1の栓体3の開閉操作が省力化される。
【0037】
なお、前記実施の形態に示した各部の形状及び構造は、何れも本発明の理解を容易にするために簡略化して示してあるもので、これらによって、本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】図面は本発明小型容器の栓体開閉装置の実施の形態を示すものであり、本図は栓体回転治具を回転させる機構の原理を示す概略分解斜視図である。
【図2】栓体回転治具の嵌合連結部の一例を示す断面図である。
【図3】図4及び図5と共に栓体の取付動作を示す概略側面図であり、本図は待機状態を示すものである。
【図4】栓体を容器本体に捻じ込む状態を示す図である。
【図5】栓体を容器本体に捻じ込み、栓体回転治具が上昇した状態を示す図である。
【図6】図7及び図8と共に栓体の取り外し動作を示す概略側面図であり、本図は待機状態を示すものである。
【図7】栓体回転治具が下降し栓体に連結された状態を示す図である。
【図8】栓体が栓体回転治具と共に上昇した状態を示す図である。
【図9】マイクロチューブの概要を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
【0039】
1…マイクロチューブ、2…容器本体、3…栓体、3d…嵌合凹部、10…支持板、20…栓体回転治具、20b…心棒部分、20c…嵌合連結部、22…弾性チューブ、30…駆動板、21…クランク、21a…クランクの一端、21b…クランクの他端、21c…クランクの中間部分
【技術分野】
【0001】
本発明は新規な小型容器の栓開閉装置に関する。詳しくは、試料、試薬等の内容物を収容する筒状の容器本体と該容器本体の開口を閉塞する栓体とを備えた、いわゆるマイクロチューブと称される小型容器の栓体を多数一度に開閉する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
化学物質の分析や薬の研究等の分野で、多数の試料を保管するために、いわゆるマイクロチューブと称される小型容器が使用される。
【0003】
マイクロチューブ1は、例えば、図9に示すように、筒状を成し上端が開口した容器本体2と、該容器本体2の開口2aを閉塞する栓体3とから成る。
【0004】
容器本体2はほぼ円筒状を為し、下端部2bは他の部分より径が細くされ、且つ、ほぼ四角柱の外形を有する。そして、該下端部2bの下端面には浅い凹部2cが形成されており、該凹部2cには内容物等を識別するための図示しない標識を貼付しうるようになっている。
【0005】
栓体3は、頭部3aと該頭部3aの下端から突出した嵌合部3bとが一体に形成されて成り、嵌合部3bの外周には雄ねじ3cが形成され、該雄ねじ3cが容器本体2の上端部内面に形成された雌ねじ2dと螺合することによって、栓体3が容器本体2の開口2aをしっかりと閉塞する。前記頭部3aには上端に開口した嵌合凹部3dが形成されており、該嵌合凹部3dの内面は多角形状に形成されている。
【0006】
化学物質の分析や薬の研究等の分野では、同じ試料に異なる試薬を注入したり、同じ試薬でも量を異ならせる等、一度に多数の分析が必要になるため、一つのラックに多数のマイクロチューブが収容された状態で保管される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記したように、マイクロチューブは一度に多数のものが取り扱われるため、その栓体3の開閉が大変な労力となり、また、時間を要する。
【0008】
本発明は、上記した事情に鑑み、少なくとも一つのラックに収容された全てのマイクロチューブに対して栓体の着脱を一度に行うことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明小型容器の栓体開閉装置は、支持板と該支持板に対して回転運動をする駆動板とを有し、多数の栓体回転治具が前記支持板に回転自在に支持され、一端が前記栓体回転治具に連結されたクランクの他端が前記駆動板に回転自在に支持され、前記クランクの一端と他端との間の中間部分は傾斜されて設けられ、前記栓体回転治具の下端部には小型容器の栓体の嵌合凹部に嵌合し得る嵌合連結部が形成されたものである。
【0010】
従って、本発明小型容器の栓体開閉装置にあっては、駆動板を支持板に対して回転させることによって、栓体回転治具を回転させることができ、しかも、栓体回転治具に駆動板の回転を伝達するクランクの中間部分が傾斜されているので、隣接するクランク同士が互いに干渉することが無く、従って、狭い空間に多数のクランク及び栓体回転治具を配置することができ、よって、多数のマイクロチューブの栓体を一度に回転させることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明小型容器の栓体開閉装置は、支持板と該支持板に対して回転運動をする駆動板とを有し多数の栓体回転治具が前記支持板に回転自在に支持され、一端が前記栓体回転治具に連結されたクランクの他端が前記駆動板に回転自在に支持され、前記クランクの一端と他端との間の中間部分は傾斜されて設けられ、前記栓体回転治具の下端部には小型容器の栓体の嵌合凹部に嵌合し得る嵌合連結部が形成されたことを特徴とする。
【0012】
従って、本発明小型容器の栓体開閉装置にあっては、駆動板を支持板に対して回転させることによって、栓体回転治具を回転させることができ、しかも、栓体回転治具に駆動板の回転を伝達するクランクの中間部分が傾斜されているので、隣接するクランク同士が互いに干渉することが無く、従って、狭い空間に多数のクランク及び栓体回転治具を配置することができ、よって、多数のマイクロチューブの栓体を一度に回転させることができる。
【0013】
請求項2に記載した発明にあっては、前記嵌合連結部の少なくとも外周部分は弾性材料で形成されているので、小型容器の栓体の嵌合凹部に嵌合したときに、外周部分の弾性材料が嵌合凹部の内周面形状になじむため、嵌合凹部の形状が異なるマイクロチューブにも対応可能である。
【0014】
請求項3に記載した発明にあっては、前記嵌合連結部は中心部の剛体からなる心棒部分と該心棒部分に着脱可能に外嵌される弾性チューブとから成るので、弾性チューブが疲労により弾性が減少したり、破損した場合には、弾性チューブのみを交換することによって、機能が回復するので、経済的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明小型容器の栓体開閉装置を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
【0016】
先ず、本発明の基本原理を図1を参照して説明する。
【0017】
支持板10に栓体回転治具20が多数回転自在に支持される。クランク21の一端21aが栓体回転治具20の上端20aに連結される。クランク21の他端21bはほぼ上下方向に延びている。そして、クランク21の一端21aと他端21bとの間の中間部分21cは傾斜されている。なお、中間部分21cの傾斜角度は隣接するクランク21同士が互いに干渉しないで回転しうる角度とする。また、栓体回転治具20の心棒部分20bとクランク21とは金属棒で一体に形成しても良い。そして、栓体回転治具20の心棒部分20bの下端部に弾性チューブ22が外嵌されて嵌合連結部20cが形成される。なお、図2に示すように、心棒部分20bの下端部をテーパー状にしておけば、嵌合連結部20cの下端部がテーパー状になり、栓体3の嵌合凹部3dへ挿入しやすくなる。
【0018】
前記支持板10の上方に近接して駆動板30が配置される。そして、該駆動板30に前記クランク21の他端21bが回転自在に支持される。モータ31によって回転される駆動クランク32の先端32aが駆動板30に回転自在な状態で連結される。モータ31が駆動すると、駆動クランク32の先端32aは偏芯回転をし、それによって、駆動板30は支持板10に対して一定の回転半径で回転することになり、他端21bが駆動板30に回転自在に支持されているクランク21が回転することになり、これによって、栓体回転治具20が回転されることになる。
【0019】
次に、小型容器の栓体開閉装置100の概要を図3によって説明する。
【0020】
機枠110に固定枠111が固定的に支持されている。前記固定枠111に従動枠120が上下に移動可能に支持されている。従動枠120と固定枠111との間にはバネ121が圧縮された状態で介挿されており、これによって、従動枠120は上方へ付勢されている。また、従動枠120にはストッパ凹部122が形成されている。
【0021】
さらに、前記固定枠111に上下方向に移動可能に支持された図示しない可動枠が設けられており、該可動枠に前記支持板10及びモータ31が支持されている。支持板10には、複数の回転腕33(図面では2個示してある)の一端部が第1の軸33aで回転自在に支持されている。また、前記回転腕33の他端部が第2の軸33bによって駆動板30に回転自在に支持されている。従って、駆動板30は2つの軸33aと33bとの間の間隔を回転半径として支持板10に対して回転可能に支持される。また、支持板10の下面には間隔調整用のスペーサ突部11が突設されている。
【0022】
なお、駆動板30の回転半径は前記回転腕33の回転半径によって決まるため、前記駆動クランク32の先端32aと該先端32aが嵌合する駆動板30の連結孔34との間に余裕を設けておいても良い。
【0023】
前記従動枠120の下端部には外し板130が支持されており、該外し板130には多数の挿通孔131が形成されている。前記挿通孔131の径は、栓体回転治具20の嵌合連結部20cの外径より僅かに大きく、マイクロチューブ1の栓体3の頭部3aの外径より小さく形成されている。
【0024】
前記固定枠111にはストッパ140が支持されており、該ストッパ140は可動ピン141を有しており、該可動ピン141は図3に示す待機位置と図4に示すストッパ位置との間を移動可能に形成されている。
【0025】
次に、小型容器の栓体開閉装置100の動作について説明する。
【0026】
図3乃至図5を参照して、容器本体2に栓体3を挿着する動作について説明する。
【0027】
図3に示すように、従動枠120及び図示しないもう一つの可動枠が上昇位置にあり、支持板10のスペーサ突部11が外し板130の上面に当接して、支持板10と外し板130との間の間隔が所定の間隔に保たれている。また、ストッパ140の可動ピン141は待機位置にある。この状態で、各栓体回転治具20の嵌合連結部20cに栓体3が保持された状態とする。すなわち、嵌合連結部20cの先端を栓体3の嵌合凹部3dにあてがった状態で栓体3を上方へ押し込めば、嵌合連結部20cの弾性チューブ22が弾性変形し、これによって、栓体3が嵌合連結部20cに保持される。
【0028】
一方、多数のマイクロチューブ1の容器本体2がラック4に保持された状態で外し板130の下方に位置されている。ラック4の底部には容器本体2の下端部2bを挿入する図示しない穴が形成されており、該穴に前記下端部2bが嵌合することによって、容器本体2は回転を阻止される。
【0029】
図3の状態から、図示しない可動枠が下降し、これによって下降する支持板10のスペーサ突部11によって外し板130が下方へ押されるので、外し板130及びこれを支持している従動枠120がバネ121を圧縮しながら支持板10と共に下降する。このとき、モータ31が駆動されて、駆動板30が右回転に回転されながら下降する。これによって、栓体3が容器本体2に捻じ込まれ、完全に下降したところ(図4参照)で、僅かに駆動板30が回転されて、栓体3の容器本体2への捻じ込みが十分に為されるようにする。
【0030】
それから、ストッパ140が駆動されて、可動ピン141が従動枠120のストッパ凹部122と係合する。
【0031】
図4に示す状態から図示しない可動枠が上昇されると、従動枠120のストッパ凹部122にストッパ140の可動ピン141が係合しているので、従動枠120は上昇することができず、図4で示す位置に置いて行かれる。そのため、支持板10が上昇し、該支持板10と共に上昇する栓体回転治具20に対して、栓体3は上端の周縁部が外し板130の挿通孔131の下側周縁部に係合して上昇を阻止される。これによって、栓体回転治具20が栓体3から抜け出て上昇される(図5参照)。以上のようにして、ラック4に保持された全ての容器本体1に栓体3が挿着される。
【0032】
次に、図6乃至図8を参照して容器本体1から栓体3を外す動作について説明する。
【0033】
栓体3が挿着された容器本体1がラック4に保持されている。そして、図5の状態からストッパ140の可動ピン141が従動枠120のストッパ凹部122から外れると、従動枠120はバネ121によって上方へ移動し、外し板130が支持板10のスペーサ突部11に当接したところで止まる。このとき、栓体回転治具20の嵌合連結部20cは外し板130の挿通孔131を挿通されて外し板130より下側に位置する(図6参照)。
【0034】
図6の状態から、図示しない可動枠が降下して、支持板10、モータ31、駆動板30が下降し、支持板10に押されて従動板120も共に下降する。そして、最下端まで下降すると、栓体回転治具20の嵌合連結部20cがラック4に保持されたマイクロチューブ1の栓体3の嵌合凹部3dに嵌合される(図7参照)。すなわち、嵌合連結部20cの弾性チューブ22が心棒部分20bと栓体3の嵌合凹部3dの内周面との間で弾性変形し、嵌合連結部20cと栓体3とがしっかりと結合される。
【0035】
そこで、図7に示す状態から、モータ31が駆動されて駆動板30が左回転に回転しながら、支持板10、駆動板30、モータ31が上昇し、これによって従動枠120も支持板10と共に上昇する(図8参照)。従って、栓体3が容器本体1から外され、栓体回転治具20に支持されたまま上昇する。
【0036】
上記したように、小型容器の栓体開閉装置100にあっては、多数のマイクロチューブ1の栓体3を一度に開閉することができ、マイクロチューブ1の栓体3の開閉操作が省力化される。
【0037】
なお、前記実施の形態に示した各部の形状及び構造は、何れも本発明の理解を容易にするために簡略化して示してあるもので、これらによって、本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】図面は本発明小型容器の栓体開閉装置の実施の形態を示すものであり、本図は栓体回転治具を回転させる機構の原理を示す概略分解斜視図である。
【図2】栓体回転治具の嵌合連結部の一例を示す断面図である。
【図3】図4及び図5と共に栓体の取付動作を示す概略側面図であり、本図は待機状態を示すものである。
【図4】栓体を容器本体に捻じ込む状態を示す図である。
【図5】栓体を容器本体に捻じ込み、栓体回転治具が上昇した状態を示す図である。
【図6】図7及び図8と共に栓体の取り外し動作を示す概略側面図であり、本図は待機状態を示すものである。
【図7】栓体回転治具が下降し栓体に連結された状態を示す図である。
【図8】栓体が栓体回転治具と共に上昇した状態を示す図である。
【図9】マイクロチューブの概要を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
【0039】
1…マイクロチューブ、2…容器本体、3…栓体、3d…嵌合凹部、10…支持板、20…栓体回転治具、20b…心棒部分、20c…嵌合連結部、22…弾性チューブ、30…駆動板、21…クランク、21a…クランクの一端、21b…クランクの他端、21c…クランクの中間部分
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持板と該支持板に対して回転運動をする駆動板とを有し
多数の栓体回転治具が前記支持板に回転自在に支持され、
一端が前記栓体回転治具に連結されたクランクの他端が前記駆動板に回転自在に支持され、前記クランクの一端と他端との間の中間部分は傾斜されて設けられ、
前記栓体回転治具の下端部には小型容器の栓体の嵌合凹部に嵌合し得る嵌合連結部が形成された
ことを特徴とする小型容器の栓体開閉装置。
【請求項2】
前記嵌合連結部の少なくとも外周部分は弾性材料で形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の小型容器の栓体開閉装置。
【請求項3】
前記嵌合連結部は中心部の剛体からなる心棒部分と該心棒部分に着脱可能に外嵌される弾性チューブとから成る
ことを特徴とする請求項2に記載の小型容器の栓体開閉装置。
【請求項1】
支持板と該支持板に対して回転運動をする駆動板とを有し
多数の栓体回転治具が前記支持板に回転自在に支持され、
一端が前記栓体回転治具に連結されたクランクの他端が前記駆動板に回転自在に支持され、前記クランクの一端と他端との間の中間部分は傾斜されて設けられ、
前記栓体回転治具の下端部には小型容器の栓体の嵌合凹部に嵌合し得る嵌合連結部が形成された
ことを特徴とする小型容器の栓体開閉装置。
【請求項2】
前記嵌合連結部の少なくとも外周部分は弾性材料で形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の小型容器の栓体開閉装置。
【請求項3】
前記嵌合連結部は中心部の剛体からなる心棒部分と該心棒部分に着脱可能に外嵌される弾性チューブとから成る
ことを特徴とする請求項2に記載の小型容器の栓体開閉装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2008−137700(P2008−137700A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−325383(P2006−325383)
【出願日】平成18年12月1日(2006.12.1)
【出願人】(506401473)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月1日(2006.12.1)
【出願人】(506401473)
【Fターム(参考)】
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