説明

小型締固め機

【課題】保持フレームをしっかりと把持しながらスロットル操作レバーの操作を可能とし、作業姿勢の安定化を図ることができる小型締固め機を提供する。
【解決手段】作業者の立ち位置側となるリア部(8r)及び立ち位置の側方となる側部(8s)を有する保護フレーム(8)と、エンジン(6)のスロットル弁の開度を調整するスロットル操作装置(12)とを備え、スロットル操作装置(12)は、保護フレーム(8)の側部(8s)に近接して配置され、スロットル弁の開度を調整すべく回動可能で且つ回動中心から前記保護フレーム(8)におけるリア部(8r)に向けて延びる操作レバー(18)を含み、操作レバー(18)は、休止位置と最大作動位置との間にて鉛直方向に回動され、これら休止位置及び最大作動位置の少なくとも一方は保護フレーム(8)の側部(8s)よりも上方又は下方にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作レバーの操作性を改善した小型締固め機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の小型締固め機、所謂、ランマは、このランマ本体の側面及び下端に設けられたエンジン及び整地板を備え、この整地板はランマ本体に内蔵された摺動機構を介してエンジンに接続されている。また、ランマ本体の上部には、この上部を囲む保護フレームが取り付けられ、この保護フレームは作業者のための握り部を提供するとともに、ランマを保護している。更に、保護フレームには、エンジンのスロットル開度を調整するスロットル操作レバーが取り付けられ、このスロットル操作レバーは水平方向に回動操作されるものとなっている(特許文献1)。
【0003】
そして、作業者がスロットル操作レバーを休止位置から作業位置に操作すると、エンジンはアイドル状態から作業モードにて回転駆動される一方、エンジンの回転駆動が摺動機構を介して整地板の上下方向の振動運動に変換され、これにより、ランマは整地板により地面の締固め作業を実施する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−363915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ランマの作動中、作業者は保護フレームをその左右両側から把持することで、ランマの作業姿勢をより安定させることが出来る。
しかしながら、特許文献1のランマではスロットル操作レバーが保護フレームの手前側、即ち、作業者側に配置されているため、作業中、スロットル操作レバーを操作する際には、一方の手を保護フレームから離さなければならない。このため、スロットル操作レバーの操作時、作業者は片手のみで保護フレームを把持することになり、両手で保護フレームの左右を把持する場合と比べて、ランマの作業姿勢を安定して保持するのが困難となる。
【0006】
また、作業者が保護フレームをスロットル操作レバーの近傍にて把持し、この状態で、スロットル操作レバーを操作するとしても、スロットル操作レバーは水平方向に回動操作されるものであるので、スロットル操作レバーの操作時、スロットル操作レバーが作業者の把持位置から離れる場合、作業者は保護フレームの把持力を弱めてしまい、ランマの作業姿勢を安定して保持するのが困難となる。
本発明は上述の事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、保持フレームをしっかりと把持しながらスロットル操作レバーの操作を可能とし、作業姿勢の安定化を図ることができる小型締固め機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成すべく、請求項1記載の小型締固め機によれば、地面を締固めるための小型締固め機において、機体と、機体の下端に取り付けられた整地板と、機体の側部に設けられたエンジンと、機体に支持され、機体の上部を囲み且つ作業者のためのハンドルを提供する保護フレームであって、作業者の立ち位置側となるリア部及び前記リア部の側方となる側部を有する保護フレームと、エンジンのスロットル弁の開度を調整するスロットル操作装置とを備え、スロットル操作装置は、保護フレームの側部に近接して配置され、スロットル弁の開度を調整すべく回動可能で且つ回動中心から前記保護フレームにおけるリア部に向けて延びる操作レバーを含み、操作レバーは、休止位置と最大作動位置との間にて鉛直方向に回動され、これら休止位置及び最大作動位置の少なくとも一方は保護フレームの側部よりも上方又は下方にある。
【0008】
操作レバーは鉛直方向に回動操作されるため、操作レバーを操作する際、作業者は両手で保護フレームの両側部をしっかりと把持したまま操作レバーを操作することができる。また、作業者は保護フレームの側部の把持位置を変えずに操作レバーを操作することができるので、操作レバーの操作時、作業者は保護フレームの側部の把持力を緩めることがなく、安定した作業姿勢に小型締固め機を保持することができる。
【0009】
また、操作レバーは鉛直方向に操作されるだけであるので、操作レバーが要求する設置スペースを平面視にて小さくすることができる。
更に、操作レバーは回動中心から保護フレームにおけるリア部に向けて延びているので、作業者は操作レバーの操作位置を容易に確認することができ、操作レバーの誤操作を防ぐことができる。
【0010】
また、請求項2記載の小型締固め機によれば、操作レバーは、保護フレームにおける側部の内側に配置されているので、操作レバーは、小型締固め機が転倒しても操作レバーは保護フレームにより保護され、操作レバーの破損を防ぐことができる。
また、請求項3記載の小型締固め機によれば、操作レバーの休止位置と最大作動位置との間にて規定される操作レバーの回動範囲を2分割する中心ラインは、左右の側部の軸線を共に含む基準面内に位置づけられているので、操作レバーを操作する親指及び人差し指の移動範囲は小さくなる。それ故、操作レバーの操作時、作業者は保護フレームの把持力をより一層緩めることがなく、安定した作業姿勢に小型締固め機を保持することができる。
【発明の効果】
【0011】
請求項1〜3の小型締固め機は、保持フレームをしっかりと把持しながらスロットル操作レバーの操作を可能とし、作業姿勢の安定化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る小型締固め機の概略側面図である。
【図2】小型締固め機のスロットル操作装置の一部を上方から視た際の一部平面図である。
【図3】同図(a)及び(b)は、図2のスロットル操作装置の操作レバーの実施例をそれぞれ示す拡大図である。
【図4】同図(a)〜(d)は、操作レバーの他の実施例をそれぞれ示す拡大図である。
【図5】同図(a)〜(d)は、操作レバーの更に別の実施例をそれぞれ示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、小型締固め機としてのランマについて図1を参照しながら説明する。
ランマ1は、ランマ本体2を備え、このランマ本体2はその下端に地面を踏み固めるための整地板4を有している。また、ランマ本体2の上部にはその側面にエンジン6が取り付けられており、このエンジン6は整地板4に摺動機構(図示しない)を介して接続され、この摺動機構はランマ本体2に内蔵されている。更に、ランマ本体2の上部には保護柵5が左右一対のボルト9を介して取り付けられており、この保護柵5は、ランマ本体2の上部及びエンジン6を囲む一方、作業者に把持部を提供するハンドルとしての役割も担う。
【0014】
詳しくは、保護柵5は、左右一対のU字フレーム7と、これらU字フレーム7の上端に結合された矩形の保護フレーム8とからなる。一対のU字フレーム7はランマ本体2の上部及びエンジン6を左右から挟むようにしてランマ本体2にボルト9を介して取り付けられており、保護フレーム8はU字フレーム7の上側にてランマ本体2の上部を取り囲んでいる。なお、U字フレーム7及び保護フレーム8は何れもパイプ部材から形成されている。
【0015】
図2は、ランマ1の一部平面図を示す。
保護フレーム8は左右一対のサイドパイプ部8sと、これらサイドパイプ部8sを繋ぐリア及びフロントパイプ部8r,8f(図1参照)とを有する。サイドパイプ部8sの一方、即ち、左側のサイドパイプ部8sにはスロットル操作装置12が取り付けられている。このスロットル操作装置12はリアパイプ部8r寄りに位置付けられ、エンジン6のスロットル開度を調整することができる。
【0016】
スロットル操作装置12は操作レバー18を備え、この操作レバー18はスロットルケーブル10を介してエンジン6のスロットル弁(図示しない)に接続されている。操作レバー18は取付板16を介してサイドパイプ部8sの内面8iに取り付けられている。詳しくは、操作レバー18は、取付板16に回動軸17を介して支持された基端部を有するとともに、この基端からリアパイプ部8rに向かって延び、回動軸17を中心として鉛直方向に回動可能である。
【0017】
操作レバー18の基端部にはケーブル結合具14が一体的に設けられており、このケーブル結合部14にスロットルケーブル10の一端が接続されている。
それ故、作業者が両手で左右のサイドパイプ部8sをそれぞれ把持し、この状態で、操作レバー18を鉛直方向に回動させ、休止位置から作動位置に操作すると、ここでの操作量はスロットルケーブル10を介してエンジン6のスロットル弁に伝達され、そのスロットル開度が操作量に応じて調整される。それ故、エンジン6はアイドル状態から作業モードにて回転駆動され、そして、エンジン6の回転駆動が摺動機構を介して整地板4が上下方向の振動に変換される結果、ランマ1は地面の締固め作業を実行する。
【0018】
一方、操作レバー18が作動位置から休止位置に戻されると、エンジン6はアイドル状態になり、ランマ1はその締固め作業を停止する。
ところで、操作レバー18は鉛直方向に回動操作されるため、操作レバー18を操作する際、作業者は両手で保護フレーム8の両サイドパイプ部8sをしっかりと把持し、ランマ1の作業姿勢を安定して保持することができる。即ち、操作レバー18がサイドパイプ部8sの内側且つ近傍に配置されているので、作業者はサイドパイプ部8sをしっかりと把持したまま、親指や人差し指により操作レバー18を操作することができる。
【0019】
具体的な操作レバー18の配置及びその操作の態様について、図3を参照して説明する。
図3(a),(b)の実施例の場合、操作レバー18の回動中心はサイドパイプ8sの軸線と同一の高さレベルに位置付けられている。
そして、図3(a)の操作レバー18の場合、休止位置にある操作レバー18の先端は実線で示されているように、サイドパイプ8sの上面8uより上方に位置付けられている。作業者は、操作レバー18側のサイドパイプ8sを側方から把持し、この把持した手の親指で、操作レバー18を休止位置から作動位置に向けて押し下げ、また、作動位置から休止位置に戻すことができる。
【0020】
図3(b)の操作レバー18は休止位置にあるとき、その先端は実線で示されているようにサイドパイプ部8sの下面8lより下方に位置付けられている。この場合、作業者は、人差し指で操作レバー18を休止位置から作動位置に向けて押し上げ、そして、親指で作動位置から休止位置に戻すことができる。
なお、図3の実施例の場合、休止位置と最大作動位置との間にて規定される操作レバー18の回動範囲を2分割する中心ラインLは左右のサイドパイプ部8sの軸線を共に含む基準面内に位置付けられている。
【0021】
即ち、操作レバー18はサイドパイプ部8sの軸線を中心ラインLとして鉛直方向に回動操作されるので、操作レバー18を操作する親指及び人差し指の移動範囲は小さくなり、作業者はサイドパイプ部8sの把持位置を変えずに操作レバー18を操作することができる。それ故、操作レバー18の操作時、作業者はサイドパイプ部8sの把持力を緩めることがなく、安定した作業姿勢にランマ1を保持することができる。
更に、操作レバー18は鉛直方向に操作されるだけであるので、操作レバー18が要求する設置スペースを平面視にて小さくすることができる。
【0022】
また、スロットル操作装置12は、サイドパイプ部8sの内面8iに配置されているので、ランマ1が転倒してもスロットル操作装置12はサイドパイプ部8sにより保護され、スロットル操作装置12の破損を防ぐことができる。
また、操作レバー18は、リアパイプ部8r側、つまり、作業者側に向けて延びているので、作業者は操作レバー18の操作位置を容易に確認することができ、操作レバー18の誤操作を防ぐことができる。
【0023】
以上で本発明の一実施形態についての説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の実施形態を逸脱しない範囲で種々の変更ができる。
例えば、操作レバー18における回動範囲の中心ラインLは前述した基準面に対し、角度を存していてもよい。
【0024】
具体的には、図4(a)に示す操作レバー18は、休止位置にあるとき、サイドパイプ8sの上面8uと同じ高さレベルに位置付けられる先端を有し、その最大作動位置にて、操作レバー18の先端はサイドパイプ部8sの下面8lより下方に位置付けられる。すなわち、操作レバー18における回動範囲の中心ラインLは基準面に対し、下向きの傾斜角を有している。
【0025】
また、図4(b)に示す操作レバー18は、休止位置にあるとき、サイドパイプ部8sの上面8uより上方に位置付けられる先端を有し、その最大作動位置にて、操作レバー18の先端はサイドパイプ部8sの上面8uと同じ高さレベルに位置付けられる。この場合、操作レバー18における回動範囲の中心ラインLは基準面に対し、上向きの傾斜角を有している。
【0026】
更に、図4(c)に示す操作レバー18は、休止位置にあるとき、サイドパイプ部8sの上面8uと同じ高さレベルに位置付けられる先端を有し、その最大作動位置にて、操作レバー18の先端はサイドパイプ部8sの上面8uより上方に位置している。この場合、操作レバー18における回動範囲の中心ラインLは基準面に対し、上向きの傾斜角を有している。
【0027】
更にまた、図4(d)に示す操作レバー18は、休止位置にあるとき、サイドパイプ部8sの下面8lより下方に位置する先端を有し、その最大作動位置にて、操作レバー18の先端はサイドパイプ部8sの上面8uと同じ高さレベルに位置付けられる。この場合、操作レバー18における回動範囲の中心ラインLは基準面に対し、下向きの傾斜角度を有している。
【0028】
また、図5(a),(b),(c),(d)に示す実施例の操作レバー18は何れも、その回動中心が基準面の上方又は下方に位置付けられ、そして、その休止位置及び最大作動位置は共にサイドパイプ部8sの上面8uよりも上方又はその下面8lよりも下方に位置する。
具体的には、図5(a)に示す操作レバー18は、休止位置にあるとき、サイドパイプ部8sにおける下面8lの直下にて、サイドパイプ部8sと平行に配置され、最大作動位置にて、操作レバー18は休止位置より更に下方に回動して位置付けられる。
【0029】
また、図5(b)に示す操作レバー18は、休止位置にあるとき、サイドパイプ部8sの上面8uより上方に位置する先端を有し、最大作動位置にて、操作レバー18はサイドパイプ部8sにおける上面8uの直上をサイドパイプ部8sと平行に延びている。
更に、図5(c)に示す操作レバー18は、休止位置にあるとき、サイドパイプ部8sにおける上面8uの直上にてサイドパイプ部8sと平行に配置され、最大作動位置にて、操作レバー18は休止位置から上方に回動して位置付けられる。
【0030】
更にまた、図5(d)に示す操作レバー18は、休止位置にあるとき、サイドパイプ部8sにおける下面8lより下方に位置する先端を有し、最大作動位置にて、操作レバー18はサイドパイプ部8sにおける下面8lの直下をサイドパイプ部8sと平行に延びている。
図4(a),(b),(c),(d)の操作レバー18や、図5(a),(b),(c),(d)の操作レバー18にあっても、作業者はサイドパイプ部8sから手を離したり、また、把持位置を変えたりすることなく操作レバー18を操作することができる。
【0031】
また、保護フレーム8は水平でなくてもよく、任意の角度にてランマ本体2に取り付けることができる。
また、ランマ1以外の小型締固め機にも本発明を適用可能である。
【符号の説明】
【0032】
1 ランマ
2 ランマ本体
4 整地板
5 保護柵
6 エンジン
7 U字フレーム
8 保護フレーム
8f フロントパイプ部
8s サイドパイプ部
8r リアパイプ部
8i 内面
8l 下面
8u 上面
9 ボルト
10 スロットルケーブル
12 スロットル操作装置
14 ケーブル結合具
16 取付板
17 回転軸
18 操作レバー
L 中心ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面を締固めるための小型締固め機において、
機体と、
前記機体の下端に取り付けられた整地板と、
前記機体の側部に設けられたエンジンと、
前記機体に支持され、前記機体の上部を囲み且つ作業者のためのハンドルを提供する保護フレームであって、作業者の立ち位置側となるリア部及び前記リア部の側方となる側部を有する保護フレームと、
前記エンジンのスロットル弁の開度を調整するスロットル操作装置と
を備え、
前記スロットル操作装置は、
前記保護フレームの前記側部に近接して配置され、前記スロットル弁の開度を調整すべく回動可能で且つ回動中心から前記保護フレームにおけるリア部に向けて延びる操作レバー
を含み、
前記操作レバーは、休止位置と最大作動位置との間にて鉛直方向に回動され、これら休止位置及び最大作動位置の少なくとも一方は前記保護フレームの前記側部よりも上方又は下方にあることを特徴とする小型締固め機。
【請求項2】
前記操作レバーは、前記保護フレームにおける前記側部の内側に配置されていることを特徴とする請求項1記載の小型締固め機。
【請求項3】
前記操作レバーの休止位置と最大作動位置との間にて規定される前記操作レバーの回動範囲を2分割する中心ラインは、左右の前記側部の軸線を共に含む基準面内に位置づけられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の小型締固め機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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