説明

小型造粒装置

【課題】 家庭などにおいてペットが喜ぶ新鮮なペットフードを安価に製造する。
【解決手段】 攪拌槽5と、排出通路8と、複数の押出孔を有した開口部材16と、攪拌羽根12、スクリュウ羽根11、押込部材19及び切断部材22が取付けられた回転軸10と、その回転軸10を正転、逆転で回転する第1駆動モータ9とを有し、攪拌羽根12は底部腕14を備え、スクリュウ羽根11は排出通路8に挿入された挿入部分と攪拌槽5内へ突出した突出部分を備え、駆動モータ9の正転によって突出部分と底部腕14によりペットフード材33の攪拌及び混練を行い、駆動モータ9の逆転によってペットフード材33を開口部材16の位置にまで搬送し、押出孔へ押込み、押出孔から出てきたペットフード材33を切断してペットフードを製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は小規模な造粒物の製造に適した小型造粒装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ペットフードの製造装置が各種提案されている。
例えば、下記特許文献1には、粒状物を内部に含み、その粒状物が外層で被膜されているペットフードの製造装置が開示してある。この装置はエクストルーダを用いて線形のペットフードを押し出すように製造する。
また、下記特許文献2には、賞味期限切れの食品を飼料化するために食品をミンチ状に押し出すミンチ装置と、ミンチ状食品を乾燥する乾燥装置を備えた小型造粒装置が提案してある。
【0003】
【特許文献1】特開2000−060443「ドライペットフード及びその製造方法」
【特許文献2】特開2002−253862「小型造粒装置」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
動物病院では病気の犬や猫などのペットに対して経口薬を処方することが多いが、ペットはこれらの薬を飲むことをいやがり、獣医師でさえも薬を飲ませることに手こずることがある。
また、近年、犬や猫にもアレルギー、高血圧、高脂血症などの生活習慣病と思われる病気が増えている。これらの生活習慣病に対する治療は長期間に及ぶため、注射等によって行うことが難しい。したがって、経口薬の投与は家庭で行われることになるが、犬や猫などはこれらの薬を飲むことをいやがり、家庭でも薬の投与に困っているのが現状である。
【0005】
一方、家庭においてもペットの状態に合わせたペットフードを食べさせたいという要望は以前からあり、このような要望をかなえる家庭でも購入可能な安価で小型のペットフード製造装置が望まれていた。
【0006】
獣医師や家庭において手軽にペットフードを作るという観点から上記従来技術を検討すれば下記のような課題がある。
特許文献1の技術は業務用のドライペットフードを製造する装置であり、個々の家庭や動物病院においてペットフードを製造する場合には装置が大きすぎ、また、取り扱いが難しい。
【0007】
一方、特許文献2に開示された小型造粒装置は、コンビニエンスストア内にも置けるような小型の装置を想定しているものと思われる。しかし、食品を攪拌してミンチ状にするに過ぎず、ペットが喜ぶ本格的な乾燥型ペットフードを製造できないという課題がある。
さらに、ペットフードのみならず、ふりかけなどの食物等の製造や各種研究所などにおいて個形化された粒状物を小規模に製造したいという要望があった。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は上記課題を解決できる小型造粒装置を提供することにある。
具体的な目的の一例を示すと、以下の通りである。
(a)家庭などにおいてペットが喜ぶ新鮮なペットフードを安価に製造することができるようにする。
(b)獣医師等が処方する経口薬をペットに飲ませることが簡単に行えるようにする。
(c)個形化された粒状物を安価に製造できるようにする。
なお、上記に記載した以外の発明の課題、その解決手段及びその効果は、後述する明細書内の記載において詳しく説明する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は多面的に表現できるが、例えば、代表的なものを挙げると、次のように構成したものである。なお、下記各発明において、各符号は後述する実施形態との対応関係を分かりやすくするために一例として示したものであり、本発明の各構成要素は、実施形態に記載した符号に係る構成に限定されないことは言うまでもない。
【0010】
第1発明に係る小型造粒装置は、原材料を攪拌及び混練する攪拌槽5と、前記攪拌槽5の下部に設けられた排出通路8と、前記排出通路8に設けられ、複数の押出孔17を有した開口部材16と、攪拌羽根12、搬送羽根11、押込部材19及び切断部材22が取付けられた回転軸10と、前記攪拌槽5の上方に配設され、前記回転軸10を正転、逆転で回転可能な駆動モータ9とを有し、
前記攪拌羽根12は少なくとも前記攪拌槽5の底部域で回転する下部腕14を備え、
前記搬送羽根11は前記排出通路8に挿入された挿入部分Sと攪拌槽5内へ突出した突出部分Lを備え、
前記駆動モータ9を正転させることによって、前記搬送羽根11の前記突出部分Lと前記攪拌羽根12の前記下部腕14とで前記攪拌槽5内の材料33の攪拌及び混練を行い、
前記駆動モータ9を逆転させることによって、前記搬送羽根11によって前記攪拌槽5内の前記材料33を前記開口部材16の位置にまで搬送し、
前記押込部材19によって前記材料33を前記開口部材16の前記押出孔17に押込み、
前記切断部材22によって前記開口部材16の前記押出孔17から押し出された材料33を切断する、
ことによって個形化された粒状物を製造することを特徴とする。
【0011】
後述する実施形態に記載するように、搬送羽根としてはスクリュウ羽根11が例示できる。搬送羽根の挿入部分Sと突出部分Lとで羽根の形を変えることも可能である。即ち、挿入部分Sの羽根は搬送に適した構成とし、突出部分Lの羽根は搬送の機能に加えて攪拌・混練により好ましい形に構成する場合である。「粒状物」としては、薬品、食品などの他、動物用の餌などが例示できる。動物としては犬、猫、家畜、野生の動物、魚などが例示できる。なお、本装置はペットフードの製造に好適である。本発明において「粒状物」は線状物も含む意味で用いている。
搬送羽根の突出部分Lの長さは、攪拌槽5に原材料を最大に入れた場合にも、突出部分Lが搬送、攪拌及び混練の作用を行うことができる長さに設定することが好ましい。
搬送羽根11の挿入部分Sと突出部分Lの長さの比(L/S)を、0.5<L/S<2に設定することが好ましい。
【0012】
第2発明は、第1発明において、前記搬送羽根12をスクリュウ羽根11で構成し、そのスクリュウ羽根11においてそのピッチの小さい部分と大きい部分との長さ比率を1.2倍〜3倍の範囲に設定したことを特徴とする。
第3発明は、第1発明から第2発明のいずれか一つに記載の発明において、前記攪拌羽根12は前記駆動モータ9の回転軸10から前記攪拌槽5の周壁7に向けて横方向に突出させた水平支軸13と、前記水平支軸13から下方に延びた前記下部腕14とを備え、前記下部腕14が少なくとも前記攪拌槽5の底壁6に沿った形状となっていることを特徴とする。
【0013】
第4発明は、第3発明において、前記下部腕14が前記底壁6のみならず、前記攪拌槽5の周壁7にも沿うような形状となっていることを特徴とする。
第5発明は、第1発明から第4発明のいずれか一つに記載の発明において、前記切断部材22が前記回転軸9から着脱自在に構成され、前記切断部材22の切刃23の本数を変えた複数種類の前記切断部材22を有していることを特徴とする。
【0014】
第6発明は、第1発明から第5発明のいずれか一つに記載の発明において、製造された粒状物を乾燥する乾燥装置3を設け、
その乾燥装置3が、ケーシング24と、前記ケーシング24内に設けられ、複数の通風開口35を備えた皿板部25と、前記皿板部25を回転させる駆動モータ30と、熱風発生装置37とを有し、前記皿板部25の下部空間44内で熱風が回るように熱風発生装置25からの熱風を前記ケーシング24内に導くように構成し、前記皿板部25の中央部域に略円錐形のキャップ36を設け、前記中央部域の粒状物を前記皿板部25の周辺部に導くように構成したことを特徴とする。
【0015】
第7発明は、第1発明から第5発明のいずれか一つに記載の発明において、製造された粒状物を乾燥する乾燥装置3を設け、
その乾燥装置3が、ケーシング24と、前記ケーシング24内に設けられ、複数の通風開口35を備えた皿板部25と、前記皿板部25を回転させる駆動モータ30と、熱風発生装置37とを有し、前記皿板部25の下部空間44内で熱風が回るように熱風発生装置25からの熱風を前記ケーシング24内に導くように構成し、前記皿板部25の中央部域には通風開口35を設けず、前記中央部域の中心から外側に延びる複数の凸線部47を設け、前記中央部域の粒状物を前記凸線部47によって前記皿板部25の周辺部に導くように構成したことを特徴とする。
皿板部25の中央部域に通風開口35を設けない方法として、板材などで通風開口35を塞ぐ構成と、予め皿板部25の中央部域に通風開口35を設けない構成がある。
なお、第6発明及び第7発明は第1発明に従属しない独立の発明(粒状物の乾燥装置)としても把握することができる。
【0016】
第8発明は、第6発明から第7発明のいずれか一つに記載の発明において、前記皿板部25の上方を覆う屋根部27を設け、前記皿板部25の周縁と前記ケーシング24の内周壁24aとの隙間dを0.5mm〜10mmに設定したことを特徴とする。
第9発明は、第6発明から第8発明のいずれか一つに記載の発明において、外側に寄った前記粒状物を内側に移動させる戻し部材48を前記ケーシング24の内周壁24aに設けたことを特徴とする。
戻し部材の一例としては、板材をケーシングの内周壁に固設する方法がある。
【発明の効果】
【0017】
以下、各発明の効果などについて説明する。
第1発明であれば、以下の特有の効果を有する。
(イ)単一の駆動モータの動力で攪拌羽根、搬送羽根、押込部材、切断部材の全ての回転部材を駆動しているので構成が簡単で安価に製造できる。
(ロ)駆動モータの正転によって攪拌槽内の材料の攪拌及び混練処理を行い、逆転によって材料の排出処理を行うようにしているのでコンパクトかつ低コストで個形化された粒状物を製造できる。
【0018】
第2発明であれば、上記範囲に設定することで開口部材へ圧縮させながら材料を送ることが良好に行える。また、攪拌及び混合の処理と、排出処理のバランスを良くすることができる。
第3発明であれば、攪拌槽に投入された原材料は、攪拌槽の下部中央域は搬送羽根の突出部分によって攪拌され、攪拌槽の底部周辺部は下部腕によって攪拌される。したがって、回転軸が一軸の簡単な構成でありながらも実用上、十分な攪拌及び混練を行うことができる。
【0019】
第4発明であれば、攪拌槽の周壁の近くに存在する材料も良好に攪拌、混練することができる。
第5発明であれば、切断部材の切刃の本数を増やすことで押し出される材料の長さを短くでき、本数を減らすことで材料の長さを長くでき、所望の長さを簡単に調整できる。
【0020】
第6発明であれば、皿板部の下部空間内で熱風が回ることで熱を皿板部に均等に伝えることができる。また、複数の通風開口を熱風が吹き上がるように構成することで皿板部上の粒状物を良好に乾燥することができる。さらに皿板部の中央部域に略円錐形のキャップを設け、中央部域の粒状物を皿板部の周辺部に導くように構成したので、粒状物が良く動く周辺部分を利用することができ、乾燥の効率を高めることができる。
【0021】
第7発明であれば、皿板部の下部空間内で熱風が回ることで熱を皿板部に均等に伝えることができる。また、複数の通風開口を熱風が吹き上がるように構成することで皿板部上の粒状物を良好に乾燥することができる。さらに中央部域の粒状物を凸線部によって皿板部の周辺部に導くように構成したので、粒状物が良く動く周辺部分を利用することができ、乾燥の効率を高めることができる。
【0022】
第8発明であれば、皿板部の周縁とケーシングの内周壁との隙間を上記範囲に設定することによって下部空間の熱風を隙間から吹き出させることができ、その熱風を屋根部から皿板部上の粒状物に降り注ぐように当てることができ、安価な費用で均一な乾燥を実現できる。
第9発明であれば、皿板部の遠心力で外側に寄った粒状物を戻し部材によって内側に移動させることができ、良好な乾燥を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は本発明に係る小型造粒装置を小型ペットフード製造装置に適用した正面図、図2はその攪拌造粒装置の縦断面図、図3は排出通路付近の構成を示す拡大縦断面図である。
このペットフード製造装置1は、攪拌造粒装置2と乾燥装置3とから構成してある。攪拌造粒装置2は基台4の上段に設置され、乾燥装置3は基台4の下段に設置されている。
【0024】
図1,図2に示すように基台4の上段に攪拌槽5が取付けられている。攪拌槽5はなだらかな底壁6と円筒形の周壁7で構成してある。底壁6の中心部から鉛直方向に排出通路8が取付けてある。攪拌槽5の上部にはペットフード原材料の投入口15が形成してある。
攪拌槽5の上方位置には第1駆動モータ9が設けてあり、攪拌槽5の中心に一致するように第1駆動モータ9の回転軸10が攪拌槽5に突入させてある。回転軸10の先端にはスクリュウ羽根11が取付けてあり、そのスクリュウ羽根11は排出通路8に挿入してある。スクリュウ羽根11の螺旋状突起の間隔は上側が広く、下側が狭く形成してある。スクリュウ羽根11はその間隔(ピッチ)が小さい部分と大きい部分との比率が1.2倍〜3倍の範囲に設定してある。例えば、攪拌側の入口側の最も大きいピッチが90mmとすれば、排出通路8側は最大30mm(90/30=3倍)にまでピッチを小さくして圧力を高めることができる。
【0025】
図3に示すように、スクリュウ羽根11は底壁6から突出部分Lだけ攪拌槽5内へ突き出ている。突出部分Lの長さは攪拌槽5においてペットフード材33(図2参照)を最大に収容した場合にもスクリュウ羽根11によって搬送・攪拌が行える長さに設定する。
第1駆動モータ9の正転によって排出通路8内のペットフード材33はスクリュウ羽根11によって上方に搬送され、第1駆動モータ9の逆転によって攪拌槽5及び排出通路8内のペットフード材33は下方に搬送されるように構成してある。
【0026】
図2に示すように、スクリュウ羽根11より上側の回転軸10には攪拌羽根12が取付けてある。図2に示す構成においては、攪拌羽根12は水平支軸13とその水平支軸13から内側へ弧状に曲がった下部腕14を有している。
【0027】
図4(A)は図3のIV−IV線の矢視部分横断面図、図4(B)はダイによるペットフード製造の様子を示す図、図5は図3のV−V線の矢視部分横断面図である。
図3に示すように、排出通路8の排出側(下側)には線状のペットフードを形成する円盤形のダイ16が取付けてある。このダイ16は図4に示すように一面に多数の押出孔17が設けてある。回転軸10は軸受を介してダイ16の中心を貫通し、その回転軸10にダイ16を挟んで上下に回転部材が取付けてある。
【0028】
一つの回転部材はダイ16の上側面に面するように取付けられた押込部材19である。押込部材19は図4(A)に示すように押込腕20を120゜間隔で3本有している。押込腕20は図4(B)に示すように傾斜面21を備えており、その傾斜面21によってスクリュウ羽根11(図3参照)によって下方に搬送されたペットフード材33をダイ16の押出孔17に押し込む機能がある。
【0029】
他方の回転部材は図5に示すように押出孔17から出るペットフード材を切断する切断部材22である。切断部材22は回転軸10の先端部に着脱自在に取付けられ、図5において示す構成では4本の切刃23を有している。切断部材22は切刃23の本数の違う複数種類が用意され、回転軸10が設定回転数で回転されたときに切刃23の本数によってペットフードの長さを決められるように構成してある。
【0030】
次に乾燥装置3について説明する。
図6は乾燥装置の要部縦断面図、図7は乾燥装置の要部横断面図である。
図6,図7に示すように、乾燥装置3は円筒形のケーシング24内に円盤形の皿板部25を回転自在に設置し、そのケーシング24内に熱風を吹き込むことによって攪拌造粒装置2から排出されるペットフード26を乾燥するように構成してある。
図6に示すように、ケーシング24の上部には上方を覆う屋根部27が設けられ、その屋根部27にペットフード26を投入する投入口28が設けられている。その投入口28にはホッパー29が取付けてある。
【0031】
皿板部25を回転させる第2駆動モータ30がケーシング24下部に設けられ、その第2駆動モータ30の回転軸31をケーシング内下部から所定高さ位置まで突出させ、その先端部を皿板部25の中心に取付けてある。ケーシング24の中心と皿板部25の中心とが一致するように回転軸31が固定され、皿板部25が水平状態を保ったまま回転できるように構成してある。
なお、皿板部25の下側にある回転軸31を覆うように円筒形のカバー34を設けている。
【0032】
皿板部25は、多数の通風開口35を一面に形成してある。皿板部25は全周においてその周縁がせり上がった形状に構成してあり、全体が底の浅い皿形となっている。皿板部25の中心には中央域にペットフード26が乗らないように略円錐状のキャップ36が取付けてある。このキャップ36はかなり大きく、皿板部の直径をDとした場合に、キャップのある領域は0.3D〜0.8Dの範囲、好ましくは0.4D〜0.6Dの範囲にする。例えば、0.5Dの場合は、通風開口35のある周辺部はD/4の幅で環状に存在することになる。
【0033】
このキャップ36上に落ちたペットフード26は、円錐の傾斜面に沿って皿板部25の周辺部に導かれることになる。また、キャップ36によって通風開口35は塞がれるので、ペットフードが存在する周辺部のみに熱風を集中させることができる。
なお、ケーシング24の内周壁24aと皿板部25の周縁との隙間dは0.5mm〜10mm程度の短い距離に設定してある。
【0034】
図1に示すように、熱風発生装置37は送風機38と送風された風を加熱する電熱ヒータ部39とを備えており、全体としてドライヤに似た構成となっている。
図7に示すようにケーシング24の周壁には前記熱風発生装置から熱風を導入する導入口40が設けられている。その導入口40はケーシング24の下部空間44(図6参照)に臨んで設けられている。
【0035】
熱風はダクト41を経てケーシング24内に供給されるようになっている。ダクト41はケーシング24の内周縁の接線になるような壁面42を備えており、熱風はその壁面42に沿ってケーシング24の円周面に沿って矢印Pのように円を描くように熱風が送り込まれるように構成してある。
ケーシング24の中心を挟んで導入口40の略反対側には、ペットフード26の取出口43が設けられている。
【0036】
図1に示すように、基台4の上段位置で、第1駆動モータ9の近くに制御装置45が設けてある。この制御装置45は、少なくとも、第1駆動モータ9の正転、逆転の切換えと、第1駆動モータ9及び第2駆動モータ30の回転数制御が行えるように構成してある。
制御装置45は送風機38の送風設定(駆動・停止及び強度調整)及び電熱ヒータ39の発熱温度設定ができるように構成してある。なお、制御装置45で熱風発生装置37の制御を行わす、熱風発生装置37に付設して操作部を設け、その操作部で送風強度と熱風の温度などを調整するように構成してもよい。
【0037】
上記構成のペットフード製造装置の作用について説明する。
まず、図2において示す第1駆動モータ9を正転させながら、投入口15からペットフードの原材料、ミンチ肉、各種穀物、野菜、水分などを投入する。この状態ではスクリュウ羽根11は排出通路8内のペットフード材33を下方から上方に搬送するように回転しているので、投入された原材料が排出通路8から出ていくことはない。さらに、スクリュウ羽根11は図3に示すように底壁7から突出部分Lだけ突出しているため、スクリュウ羽根11による下から上へのペットフード材33の押し上げ運動のみならず、攪拌槽5内のペットフード材33を混合、混練する作用がある。
【0038】
また、攪拌羽根12の下部腕14の先端部はスクリュウ羽根11近くまで延び、かつ攪拌槽5の周壁7および底壁6から僅かな隙間を有して回転しているので、上記押し上げ運動と下部腕14の回転運動によってペットフード材33は良好に攪拌され、混練される。
つまり、スクリュウ羽根11の間に入ったペットフード材33はスクリュウ羽根11の突出部分Lにおいてばらまかれるように落下し、その落下したペットフード材33は下部腕14の回転運動によって、対流を起こすように攪拌槽5内で攪拌、混練されるのである。
【0039】
所定時間、攪拌及び混練されることによって、ペットフード材33がペットフードとして良好な状態になったときに、第1駆動モータ9は逆転される。この回転方向の切替えは手動又は自動で行われる。この逆転方向では攪拌槽内のペットフード材33は排出通路8を経て押し出される。また、攪拌槽5内の周壁7の僅か上を回転する下部腕14は攪拌槽5の周囲にあるペットフード材33を中央部に押し出すように機能するので、順次、攪拌槽5の中央部に集まったペットフード材33は排出通路8の下方側に押し出される。その押し出されたペットフード材33は図4(B)に示すようにダイ16の押出孔17に押込腕20によって押し込まれることになる。
【0040】
一方、ダイ16の下側面においては、切断部材の切刃23が回転しているので、切刃23の移動時間に対応する押出孔17からの排出長さに応じてペットフード材33は切断される。
即ち、切断部材22の切刃23の本数が多いと製造されたペットフードの全長さは短くなり、切断部材22の本数が少ないと製造されたペットフードの全長は長くなる。
【0041】
切断されたペットフードは、図6に示すように乾燥装置3のケーシング24の投入口28を経て、所定回転数で回転している皿板部25の上面に落下する。キャップ36に落下したペットフード26は周辺部に移動するので、動きの激しい周辺部において熱風を集中的に受けることになり、乾燥を早めることができる。このような構成によって、ペットフード26が皿板部25にへばり付くことを防ぐとともにムラのない良好な乾燥を実現する。
【0042】
また、図6に示すように、皿板部25と内周壁24aの隙間から吹き上げる熱風は、その隙間にペットフードが嵌り込むことを防止する。さらに吹き上がった熱風は内周壁24aや屋根部27の壁面に沿って矢印Zのように回り、皿板部25上のペットフードに降り注ぐように流れるので、ペットフードを均一かつ高速に乾燥することができる。
【0043】
さらに、図7に示すように、熱風はケーシング24の下部空間において矢印Pのように回るように導入されているので、皿板部25を温度ムラなく均一に加熱することができる。
所定時間、乾燥装置3による乾燥が行われた後は、取出口43を開いてペットフード26を取り出すようにする。
ペットフード26は皿板部25の回転によって皿板部25上を移動しつつ、隙間と通風開口35から吹き上げる熱風と降り注ぐ熱風によって乾燥される。このような乾燥装置の構成であれば、簡単な構成でムラなく高速にペットフードを乾燥させることができる。
【0044】
また、図1に示すように基台4に攪拌槽5を配設し、攪拌槽5の下方で、排出通路から出たペットフードが落下によって乾燥装置3のケーシング24の投入口に入る位置に乾燥装置3を配設することにより、幅方向に省スペースとすることができるととに排出通路を出たペットフードを乾燥装置3の投入口まで搬送する装置が不要になり、製造コストを下げることができる。
【0045】
なお、動物病院や家庭においてペットフードに経口薬を入れる場合は、攪拌槽内に顆粒状、錠剤状の薬を入れる場合と、ダイから押し出され、乾燥されていないペットフードに錠剤を埋め込む場合などが例示できる。いずれの場合もペットは大好きなペットフードを食べることで自然に薬を飲むことができ、獣医や飼い主はペットに薬を与える苦労を低減することができる。
【0046】
本実施形態に係るペットフード製造装置であれば、動力としての駆動手段は駆動モータが2個のみであり、その制御も正逆回転制御と回転数制御のみであり、簡単安価に構成できる。
また、攪拌槽の底壁から攪拌槽内へ突出させたスクリュウ羽根と、攪拌槽の底壁及び内周壁に沿うように設けられた下部腕との組み合わせによって、非常に簡単な構成でありながらもペットフードの混合と混練を良好に行うことができる。
【0047】
(第2実施形態)
本発明に係る粒状物の乾燥装置の第2実施形態について説明する。
図8はその乾燥装置の要部縦断面図、図9はその乾燥装置の要部横断面図である。
この第2実施形態の特徴は、前記皿板部25の中央部域には円形の塞ぎ板46を取付けることによって通風開口35を塞ぐとともに、塞ぎ板46の中心から外側に延びる曲線形の凸線部47を設け、中央部域のペットフードを凸線部47によって前皿板部25の周辺部に導くように構成した点にある。
また、図9に示すように、外側に寄ったペットフードを内側に移動させる戻し部材48をケーシング24の内周壁24aに設けた点にある。
この構成であれば、凸線部47によって中央部域のペットフードを周辺部に移動させることができる。また、図9において矢印で示すように、戻し部材48の作用によって周辺部の外側に偏ったペットフードを周辺部の中央に戻すことができ、熱風による乾燥を良好に行うことができる。
【0048】
本発明は上記実施形態の構成に限らず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
(1)必要に応じて第1駆動モータの回転軸と攪拌槽を傾けた構成も採用することが可能である。
(2)第1駆動モータの正転の時間、逆転の時間、第2駆動モータと熱風発生装置のオン、オフ制御を全自動で行うように制御装置を構成してもよい。この場合は、典型的なペットフード原材料の量、水分量に合致した攪拌造粒装置の運転データ及び乾燥装置の運転データを複数種類、用意しておき、獣医師や一般購入者がその運転データを選択するだけで、所定のペットフードを製造できるように構成することもできる。また、標準となるペットフードを製造する攪拌造粒装置と乾燥装置の運転シーケンスを予め用意しておき、その運転シーケンスを自分のペットの状況に合わせて調整できるように構成してもよい。
【0049】
(3)上記実施形態では回転型の皿板部を用いた乾燥装置を例示したが、その他にもベルトコンベア形のもの、皿板部を摺動させる方式のものなどが採用できる。
(4)前記したように本発明はペットフードのみならず、個形化された造粒物を製造する場合に広く使用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】図1は本発明に係る小型造粒装置を小型ペットフード製造装置に適用した場合を示す正面図である。
【図2】図2は上記小型造粒装置に係る攪拌造粒装置の縦断面図である。
【図3】図3は上記攪拌造粒装置に係る排出通路付近の構成を示す拡大縦断面図である。
【図4】図4(A)は図3のIV−IV線の矢視部分横断面、図4(B)はダイによる粒状物(線状物)製造の様子を示す図である。
【図5】図5は図3のV−V線の矢視部分横断面図である。
【図6】図6は上記小型造粒装置に係る乾燥装置の要部縦断面図である。
【図7】図7は上記小型造粒装置に係る乾燥装置の要部横断面図である。
【図8】図8は上記小型造粒装置に係る別の乾燥装置の要部縦断面図である。
【図9】図9は上記小型造粒装置に係る別の乾燥装置の要部横断面図である。
【符号の説明】
【0051】
1…ペットフード製造装置、3…乾燥装置、5…攪拌槽、6…攪拌槽の底壁、7…攪拌槽の周壁、8…排出通路、9…第1駆動モータ(駆動モータ)、10…回転軸、11…スクリュウ羽根(搬送羽根)、12…攪拌羽根、13…水平支軸、14…下部腕、16…ダイ(開口部材)、17…押出孔、19…押込部材、22…切断部材、23…切刃、24…ケーシング、24a…ケーシングの内周壁、25…皿板部、26…ペットフード(粒状物)、30…第2駆動モータ、33…ペットフード材(材料)、35…通風開口、37…熱風発生装置、44…下部空間、47…凸線部、48…戻し部材、S…挿入部分、L…突出部分、d…皿板部の周縁とケーシングの内周壁との隙間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原材料を攪拌及び混練する攪拌槽(5)と、前記攪拌槽(5)の下部に設けられた排出通路(8)と、前記排出通路(8)に設けられ、複数の押出孔(17)を有した開口部材(16)と、攪拌羽根(12)、搬送羽根(11)、押込部材(19)及び切断部材(22)が取付けられた回転軸(10)と、前記攪拌槽(5)の上方に配設され、前記回転軸(10)を正転、逆転で回転可能な駆動モータ(9)とを有し、
前記攪拌羽根(12)は少なくとも前記攪拌槽(5)の底部域で回転する下部腕(14)を備え、
前記搬送羽根(11)は前記排出通路(8)に挿入された挿入部分(S)と攪拌槽(5)内へ突出した突出部分(L)を備え、
前記駆動モータ(9)を正転させることによって、前記搬送羽根(11)の前記突出部分(L)と前記攪拌羽根(12)の前記下部腕(14)とで前記攪拌槽(5)内の材料(33)の攪拌及び混練を行い、
前記駆動モータ(9)を逆転させることによって、前記搬送羽根(11)によって前記攪拌槽(5)内の前記材料(33)を前記開口部材(16)の位置にまで搬送し、
前記押込部材(19)によって前記材料(33)を前記開口部材(16)の前記押出孔(17)に押込み、
前記切断部材(22)によって前記開口部材(16)の前記押出孔(17)から押し出された材料(33)を切断する、
ことによって個形化された粒状物を製造することを特徴とする小型造粒装置。
【請求項2】
請求項1に記載の小型造粒装置において、前記搬送羽根(12)をスクリュウ羽根(11)で構成し、そのスクリュウ羽根(11)においてそのピッチの小さい部分と大きい部分との長さ比率を1.2倍〜3倍の範囲に設定した小型造粒装置。
【請求項3】
請求項1から請求項2のいずれか一項に記載の小型造粒装置において、前記攪拌羽根(12)は前記駆動モータ(9)の回転軸(10)から前記攪拌槽(5)の周壁(7)に向けて横方向に突出させた水平支軸(13)と、前記水平支軸(13)から下方に延びた前記下部腕(14)とを備え、前記下部腕(14)が少なくとも前記攪拌槽(5)の底壁(6)に沿った形状となっている小型造粒装置。
【請求項4】
請求項3に記載の小型造粒装置において、前記下部腕(14)が前記底壁(6)のみならず、前記攪拌槽(5)の周壁(7)にも沿うような形状となっている小型造粒装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の小型造粒装置において、前記切断部材(22)が前記回転軸(9)から着脱自在に構成され、前記切断部材(22)の切刃(23)の本数を変えた複数種類の前記切断部材(22)を有している小型造粒装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の小型造粒装置において、製造された粒状物を乾燥する乾燥装置(3)を設け、
その乾燥装置(3)が、ケーシング(24)と、前記ケーシング(24)内に設けられ、複数の通風開口(35)を備えた皿板部(25)と、前記皿板部(25)を回転させる駆動モータ(30)と、熱風発生装置(37)とを有し、前記皿板部(25)の下部空間(44)内で熱風が回るように熱風発生装置(25)からの熱風を前記ケーシング(24)内に導くように構成し、前記皿板部(25)の中央部域に略円錐形のキャップ(36)を設け、前記中央部域の粒状物を前記皿板部(25)の周辺部に導くように構成した小型造粒装置。
【請求項7】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の小型造粒装置において、製造された粒状物を乾燥する乾燥装置(3)を設け、
その乾燥装置(3)が、ケーシング(24)と、前記ケーシング(24)内に設けられ、複数の通風開口(35)を備えた皿板部(25)と、前記皿板部(25)を回転させる駆動モータ(30)と、熱風発生装置(37)とを有し、前記皿板部(25)の下部空間(44)内で熱風が回るように熱風発生装置(25)からの熱風を前記ケーシング(24)内に導くように構成し、前記皿板部(25)の中央部域には通風開口(35)を設けず、前記中央部域の中心から外側に延びる複数の凸線部(47)を設け、前記中央部域の粒状物を前記凸線部(47)によって前記皿板部(25)の周辺部に導くように構成した小型造粒装置。
【請求項8】
請求項6から請求項7のいずれか一項に記載の小型造粒装置において、前記皿板部(25)の上方を覆う屋根部(27)を設け、前記皿板部(25)の周縁と前記ケーシング(24)の内周壁(24a)との隙間(d)を0.5mm〜10mmに設定した小型造粒装置。
【請求項9】
請求項6から請求項8のいずれか一項に記載の小型造粒装置において、外側に寄った前記粒状物を内側に移動させる戻し部材(48)を前記ケーシング(24)の内周壁(24a)に設けた小型造粒装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−306879(P2007−306879A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−141147(P2006−141147)
【出願日】平成18年5月22日(2006.5.22)
【出願人】(506172230)アキラ機工株式会社 (4)
【Fターム(参考)】