説明

小型電子機器用電子回路

本発明は、外部電力により誘導的に給電可能な電池駆動型小型電気機器用電子回路に関する。電子回路は、アキュムレータ(A)を充電する為の充電回路を備え、交流と整流ダイオード(D2)を生成する為の充電コイル(L2)を内包し、アキュムレータ(A)は、直列で整流ダイオード(D2)と充電コイル(L2)に接続されている。
回路は、更に、アキュムレータ(A)の充電状態及び/又は充電処理を表示する為、更に、ディスプレイとして発光ダイオード(LED)、上記発光ダイオード(LED)およびアキュムレータ(A)の充電処理を制御する為の制御回路(μC)を備え、充電コイル(L2)の端部は、整流ダイオード(D2)のアノード及び発光ダイオード(LED)のカソード、或いは、整流ダイオード(D2)のカソード及び発光ダイオード(LED)のアノードのいずれか一方に接続されている。
アキュムレータ(A)は、また、制御回路(μC)が動作状態にないときに充電可能である。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、電池駆動型小型電子機器(例えば、電動歯ブラシ、電気カミソリ)用電子回路に関し、そのアキュムレータは、充電器により誘導的に充電され、好ましくは、アキュムレータの充電状態及び/又は充電処理用ディスプレイを包含する。
【関連技術の説明】
【0002】
電子回路とアキュムレータを備える電池駆動型装置は、充電器により充電可能であるが、EP0875978号公報により知られている。充電器により供給される電圧は、放電されたアキュムレータに応じて切れること、電子回路が動作しなくなることが、たまに生じる。これを回避するため、ダイオードを介して充電器により充電されるコンデンサからアキュムレータの充電処理中に十分に高い電圧が電子回路に給電される。短時間の間、電子スイッチは連続してアキュムレータの充電処理を中断してコンデンサが充電されるので、充電器には負荷がかからず、その電圧は、コンデンサがダイオードを介して充電される程度まで増加する。そのため、コンデンサは、アキュムレータの充電処理中、電子回路に給電する。コンデンサは、その電圧が放電中に(すなわち、アキュムレータの充電中に)許容可能な程度まで降下する。
【0003】
本発明は、電池駆動型小型電子機器用電子回路を、できるだけ少ない構成部品で成し遂げ、小さいスペース要件で、経済的にすることを目的とする。
【発明の概要】
【0004】
本発明に従う電子回路は、2つの異なる動作状態(小型電子機器がユーザに扱われている第1状態、小型電子機器が誘導的に充電ステーションに連結されている第2状態)を区別できる電池駆動型小型電子機器(例えば、電動歯ブラシ、電気かみそり)を目的とする。ディスプレイは、アキュムレータの充電中の充電処理、更に/又は、充電が完了したときのアキュムレータの充電状態を信号で知らせることができる。
【0005】
アキュムレータの充電処理及び/又は充電状態の為にディスプレイとして発光ダイオードが備えられるが、ここで、電子回路は、発光ダイオードを使用することが可能であり、その順方向電圧が電池の電圧より大きいという重要な利点を有する。例えば、充電処理及び/又は充電状態は、たとえ小型電子機器が一つの電池を内包するアキュムレータにより駆動されても、青い光の発光ダイオードにより例示可能である。さらに、電子回路は、発光ダイオードが逆バイアスの電圧の対象にならない方式で構成される。
【0006】
本発明に従う電子回路は、本来的に知られた直列接続を備え、直接接続は、アキュムレータ、整流ダイオード、充電用コイルを備えている。充電用コイルが充電器に結合されるとき、充電用コイルは、交流電流を供給し、交流電流は整流ダイオードにより整流され、アキュムレータを充電する。アキュムレータの極性または使用される電子部品(例えば、pnp型トランジスタの代わりにnpn型トランジスタ)にそれぞれ依存して、充電コイルの端部は、整流ダイオードのアノード及び発光ダイオードのカソード、又は、整流ダイオードのカソード及び発光ダイオードのアノードのいずれか一方に接続される。更に、電子回路は、発光ダイオードおよびアキュムレータと負荷の充電処理を制御する為の制御回路を備えるが、負荷は、電動歯ブラシ又は電気かみそりの場合、例えば電気モータから成る。アキュムレータは、制御回路に電流を給電する。電子回路の考慮すべき利点は、たとえ深く放電されたアキュムレータであっても(すなわち、制御回路が動作状態にないときであっても)アキュムレータの充電が可能である点である。電池の電圧が十分に高いとき、制御回路は、動作状態にあり、該当する場合には、アキュムレータの充電を完了させ、それが、制御可能なスイッチを制御し、それが、充電コイルにより供給される交流電流を効率よく短絡させる(すなわち、その後、充電電流は、最早、アキュムレータには流れ込まないが、制御可能なスイッチ、整流ダイオード、該当する場合には発光ダイオードを通してのみ、である。)発光ダイオードは、更に制御可能なスイッチを介して、制御回路によりオン・オフが可能になる。充電処理は、本来的に知られた基準(例えば、電池電圧、充電及び/又は放電時間、充電及び/又は放電電流及び/又は電池温度など)により切断される。
【0007】
以下、同一要素が同一符号で提供されている図面に例示された、本発明に従う電子回路用の典型的実施形態により、定義する。更なる実施形態は、詳細な説明で説明されている。
【好適実施形態の詳細な説明】
【0008】
図1に例示された第1の電子回路は、全波整流器を備え、全波整流器は、第1ダイオードD1、第2ダイオードD2、中央タップを備える充電コイルを内包しており、充電コイルは、そのため、第1の部分巻線部L1、第2の部分巻線部L2を備える。充電コイルの中央タップは、更なるダイオードD3のアノードに接続され、ダイオードD3のカソードは、アキュムレータAの正極に接続されている。アキュムレータAの負極は、第1ダイオードD1と第2ダイオードD2に接続され、第1トランジスタT1を介して充電コイルの中央タップに接続されている。第1ダイオードD1のカソードは、第1の部分巻線部L1に接続され、第2ダイオードのカソードは第2の部分巻線部L2と発光ダイオードLEDのアノードに接続されている。発光ダイオードLEDのカソードは、アキュムレータAの負極に抵抗R、制御可能なスイッチS(例えば、トランジスタ)を介して接続されている。電気モータMと第2トランジスタT2から成る直列接続部は、アキュムレータAに接続されている。他の負荷も同様に電子スイッチを介してアキュムレータAに接続可能であることはいうまでもない。制御可能なスイッチSと第1トランジスタT1、第2トランジスタT2は、制御回路μCにより制御され、ここに電流がアキュムレータAにより供給される。制御回路μCは、更に、充電コイルの中央タップに接続され、充電電圧の有無を検出する。
以下、この電子回路の動作モードを説明する。
【0009】
充電コイルが誘導的に充電器に結合されるとき(図示せず)全波整流器は、脈動直流電流を中央タップに供給し、対応する脈動直流電流は、更なるダイオードD3を横切り、アキュムレータAに流れ、それにより充電される。充電開始時、アキュムレータAが深く放電されていたとき、アキュムレータの電圧は小さいので、制御回路μCは動作可能ではない。短期の充電の後、制御回路μCが起動する("wakes up")程度まで電池の電圧が増加すると、制御回路μCは、脈動直流電流の存在を検出し、制御可能なスイッチSを介して発光ダイオードLEDのスイッチを入れる。発光ダイオードLEDは、オプションで、アキュムレータAの充電を表示する。さらに、制御回路μCは、連続的に、電池の電圧の大きさと、完全に充電されたアキュムレータの電圧に対応した参照値とを比較する。アキュムレータAが完全に充電されたことを制御回路μCが認識すると、第1トランジスタT1により充電電流が短絡され、充電コイルの中央タップを第1ダイオードD1及び第2ダイオードD2のアノードに接続させる。更なるダイオードD3は、第1のトランジスタT1が相互接続されるとき、アキュムレータAも同様に短絡されるように維持する。
【0010】
充電コイルは、更に誘導的に充電器に接続されると、一つの半波長の脈動直流電流が更に第1ダイオードD1、第1の部分巻線部L1、第2の部分巻線部L2、発光ダイオードLEDを通って、制御可能なスイッチSのスイッチが入れられるまで流れる。制御回路μCは、好ましくは、発光ダイオードLEDが点滅してアキュムレータAの完全充電状態を表示するように、現時点で、制御可能なスイッチSを制御する。他の半波長の脈動直流電流は、現時点で、第2ダイオードD2、第2部分巻線部L2、第1トランジスタT1を通ってのみ流れる。充電コイルが充電器から分離されるとき、脈動直流電流は、最早、流れず、発光ダイオードLEDは、消えていく。
【0011】
制御回路μCが第1トランジスタT1を接続したとき、アキュムレータAは、更なるダイオードD3の為に全波整流器から切り離され、更に、制御回路μCと電気モータMに給電するが、これらは、第2トランジスタT2を介して制御回路μCによりスイッチがON/OFFされる。
【0012】
前述された電子回路の代替案では、制御可能なスイッチSがジャンパーにより置き換えられている。この場合、発光ダイオードLEDは、充電コイルが充電器に結合されるときは常に輝いているので、ユーザは最早、アキュムレータAが充電されているのか、完全に充電されたのか区別できない。
【0013】
他の前述された電子回路(図2に図示)では、第1ダイオードD1と第1部分巻線部L1がなく、第1トランジスタT1がnチャネル型MOSFETと交換されている。このようなトランジスタは、本来、保護ダイオードを内包する。制御回路μCが第1トランジスタT1に相互接続し、アキュムレータAの充電を完了するとき、発光ダイオードLEDは、完全に充電されたアキュムレータAの状態を表示することができ、このために必要な電流(一つの半波脈動電流)は、充電コイルL2、保護ダイオード、制御スイッチμCによりスイッチが入れられる制御可能なスイッチS、抵抗Rを通って流れる。他の半波脈動直流電流は、その後、充電コイルL2、第2ダイオードD2、第1トランジスタT1を通って流れる。
【0014】
図1に例示された電子回路を備えたケースのように、図3に例示された第3電子回路は、全波整流器を備え、全波整流器は、第1ダイオードD1、第2ダイオードD2、充電コイルを内包し、充電コイルは、中央タップを備えるので、第1部分巻線部L1と第2部分巻線部L2とを備える。第1ダイオードD1のカソードは、第1部分巻線部L1に接続され、第2ダイオードD2のカソードは、第2部分巻線部L2と、発光ダイオードLEDのアノードとに接続されている。発光ダイオードLEDのカソードは、抵抗R、制御可能なスイッチ(例えば、トランジスタ)を介して、アキュムレータAの負極、第1ダイオードD1、第2ダイオードD2に接続されている。制御可能なスイッチSは、制御回路μCにより制御され、それに対する電流は、アキュムレータAにより供給されている。制御回路μCは、更に、充電コイルの中央タップに接続されているので、充電電圧の有無を検出することができる。
【0015】
図3に例示された電子回路は、図1に例示された電子回路と異なる点は、充電コイルの中央タップがブリッジ回路の横断線に接続されており、4つのトランジスタT1,T2,T3,T4を内包し、これらの横断線において、電気モータM又は他の負荷がアレンジされている点である。4つのトランジスタT1,T2,T3,T4は、MOSFETであり、これらは、制御回路μCにより制御可能であり、各々の場合、本来、保護ダイオードを内包している。第1トランジスタT1と第2トランジスタT2は、n型チャネルのMOSFETであり、そのソース端子は、アキュムレータAの負極に接続されている。第3トランジスタT3と第4トランジスタT4は、n型チャネルのMOSFETであり、これらのソース端子は、アキュムレータAの正極に接続されている。第1トランジスタT1と第3トランジスタT3のドレイン端子は、全波整流器の中央タップ、モータMの一端に接続され、第2トランジスタT2と第4トランジスタT4のドレイン端子は、モータMの他端に接続されている。
【0016】
図1に例示された回路と比較すると、トランジスタT3の保護ダイオードは、更なるダイオードD3の機能、すなわち、脈動直流電流が充電コイルの中央タップにあるとき動作状態になければならない制御回路μCがなくてもアキュムレータAは充電可能になることを引き継ぐ。図3に例示された回路では、第1トランジスタT1も同様に、図1に例示された回路の第1トランジスタT1の機能、すなわち、アキュムレータAの充電の終了を引き継ぐ。制御回路μCは、第1トランジスタが相互接続されアキュムレータAが短絡されるとき、第3トランジスタT3が遮断されることを確実にする。
【0017】
図3に例示された電子回路の代替案では、第1ダイオードD1と第1部分巻線部L1がない。この電子回路は、図2,図3に各々が例示された電子回路と同様に動作する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、第1の電子回路を示す。
【図2】図2は、第2の電子回路を示す。
【図3】図3は、第3の電子回路を示す。
【符号の説明】
【0019】
A…アキュムレータ、D1…第1ダイオード、D2…第2ダイオード、D3…更なるダイオード、L1…第1の部分巻線部、L2…第2の部分巻線部、LED…発光ダイオード、M…電気モータ、R…抵抗、S…制御可能なスイッチ、T1…第1トランジスタ、T2…第2トランジスタ、T3…第3トランジスタ、T4…第4トランジスタ、μC…制御回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導的に外部電源により給電された電池駆動型小型電子機器用電子回路において、
アキュムレータ(A)を充電する為の充電回路であって、充電コイル(L2)とダイオード(D2)とを内包し、前記アキュムレータ(A)は直列に前記ダイオード(D2)および前記充電コイル(L2)に接続される、前記充電回路と、
前記アキュムレータ(A)の充電状態及び/又は充電処理の為のディスプレイとしての発光ダイオード(LED)と、
を備え、
前記充電コイル(L2)の端部が前記ダイオード(D2)のアノード側および前記発光ダイオード(LED)のカソード側に接続されるか、或いは、前記ダイオード(D2)のカソード側及び前記発光ダイオード(LED)のアノード側に接続される、前記電子回路。
【請求項2】
電子回路が制御可能なスイッチ(S)を内包し、前記制御可能なスイッチ(S)が制御回路(μC)により制御可能であり、それにより、前記発光ダイオード(LED)がオン・オフ可能になることを特徴とする、請求項1に記載の電子回路。
【請求項3】
前記電子回路が電子スイッチ(T1)を内容し、前記電子スイッチ(T1)が制御回路(μC)により制御可能であり、それにより、前記アキュムレータ(A)の充電処理が完了可能になることを特徴とする、請求項1または2に記載の電子回路。
【請求項4】
前記制御回路(μC)は、前記アキュムレータ(A)の充電中、更に/又は、前記アキュムレータ(A)の充電処理が完了した後、発光ダイオード(LED)をオンにすることを特徴とする、請求項2又は3に記載の電子回路。
【請求項5】
更なる充電コイル(L1)と更なるダイオード(D1)とを内包し、これらが、ダイオード(D2)及び前記充電コイル(L2)と共に全波整流器を形成することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子回路。
【請求項6】
電池駆動型小型電子機器用電子回路において、
負荷(M)と、交流電流を生成する為の充電コイル(L2)を内包し、ブリッジ回路で複数のスイッチ(T1,T2,T3,T4)に接続され、保護ダイオードが並列に、少なくとも1つの電子スイッチ(T3)に接続された前記電子回路であって、
前記アキュムレータ(A)は、前記保護ダイオードと前記充電コイル(L2)に直列で接続され、前記アキュムレータ(A)の前記充電に応じて、前記充電コイル(L2)により供給された前記充電電流が前記保護ダイオードを通って流れることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の電子回路。
【請求項7】
前記電子スイッチ(T1,T2,T3,T4)は、組み込まれた保護ダイオードを備えるMOSFETから成ることを特徴とする、請求項6に記載の電子回路。
【請求項8】
前記電子スイッチは、これにより前記アキュムレータ(A)の前記充電処理が完了可能になり、前記ブリッジ回路の前記電子スイッチ(T1)の一つにより形成されていることを特徴とする、請求項3〜7のいずれか一項に記載の電子回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−519694(P2009−519694A)
【公表日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−544804(P2008−544804)
【出願日】平成18年12月1日(2006.12.1)
【国際出願番号】PCT/EP2006/011575
【国際公開番号】WO2007/068364
【国際公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(596181730)ブラウン ゲーエムベーハー (75)
【Fターム(参考)】