小型電気機器の保持装置
【課題】電気的に安定した接点性能を得ることができるとともに、部品コストを低減し得る小型電気機器の保持装置を提供する。
【解決手段】電気機器の表面に設けた接点と、電気機器を保持する保持装置に設けられ、接点に弾性的に接触する接点金具とを備えた小型電気機器の保持装置において、接点金具12a〜12cを保持子15に取着し、保持子15を保持装置に支持するとともに、保持装置を支点として接点金具12a〜12cを電気機器の接点に向かって付勢する付勢手段28を設けた。
【解決手段】電気機器の表面に設けた接点と、電気機器を保持する保持装置に設けられ、接点に弾性的に接触する接点金具とを備えた小型電気機器の保持装置において、接点金具12a〜12cを保持子15に取着し、保持子15を保持装置に支持するとともに、保持装置を支点として接点金具12a〜12cを電気機器の接点に向かって付勢する付勢手段28を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気かみそり等の小型電気機器の保持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の保持装置は、例えば電気かみそりを保持するものであって、洗浄機能と充電機能とを兼ね備えた洗浄充電器が存在する。電気かみそりと洗浄充電器には、当該電気かみそりを洗浄充電器に保持したとき両者を電気的に接続して、洗浄充電器により電気かみそりの洗浄動作及び充電動作を制御するようになっている。
【0003】
上記のような洗浄充電器では、電気かみそりと電気的に接続するための接点装置が設けられる。その接点装置は、特許文献1に開示されるように、接点部分の接触抵抗を安定して小さくするために、弾性を有する金属で接点部材を形成するとともに、その接点部材に貴金属めっきを施している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−18128号公報
【特許文献2】特許4036102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された接点装置では、接点部材の弾性を確保するための弾性脚部を含めて、接点部材全体に貴金属めっきを施しているため、部品コストが上昇する。
特許文献2に開示された接点装置においても、接点部材に貴金属めっきを施すと、山形状の接点部分全体に貴金属めっきが施されるため、部品コストが上昇する。
【0006】
そこで、接点部材の接点部分にのみ貴金属めっきを施すと、めっき面積を縮小することはできるが、めっき位置を正確に位置決めしながら部分的にめっきを施すめっき装置が大掛かりとなるため、小ロット生産部品では部品コストを低減することはできない。
【0007】
この発明の目的は、電気的に安定した接点性能を得ることができるとともに、部品コストを低減し得る小型電気機器の保持装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の小型電気機器の保持装置は、電気機器を保持するものであって、電気機器に設けられた接点と接触する接点金具を有する小型電気機器の保持装置において、前記接点金具を保持子に取着し、前記保持子を前記保持装置に支持するとともに、前記保持装置を支点として前記接点金具を前記小型電気機器の接点に向かって付勢する付勢手段を設けたことを特徴とする。
【0009】
また、上記構成において、金属の板材を穿断して前記接点金具を形成し、前記保持子には前記接点金具を挟んで保持する突条部を設けることが好ましい。
また、上記構成において、前記突条部は、前記接点金具の穿断端縁を覆う高さとすることが好ましい。
【0010】
また、上記構成において、前記保持子の基端部を前記保持装置に対し回動可能に支持し、前記接点金具に対する前記接点の押圧作用点と前記保持子の回動支点との間に前記付勢手段の押圧作用点を位置させることが好ましい。
【0011】
また、上記構成において、前記保持子には、前記接点金具に接続される接続コードを前記保持子の回動支点の近傍に案内する案内片を備えることが好ましい。
また、上記構成において、前記接点金具に前記接続コードを接続する端子部を設け、前記端子部を前記接点金具の下縁より上方に位置させることが好ましい。
【0012】
また、上記構成において、前記保持装置には、前記接続コードの中間部を移動不能に保持するコード保持部を設けることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電気的に安定した接点性能を得ることができるとともに、部品コストを低減し得る小型電気機器の保持装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】洗浄充電器を示す断面図である。
【図2】電気かみそりを示す背面図である。
【図3】洗浄充電器を示す正面図である。
【図4】接点装置を示す分解斜視図である。
【図5】接点装置の主要部を示す分解斜視図である。
【図6】接点装置を示す断面図である。
【図7】接点金具及び保持子を示す断面図である。
【図8】接点金具及び保持子を示す側面図である。
【図9】図8におけるA−A線断面図である。
【図10】接点装置を示す断面図である。
【図11】接続コードの取り回しを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。図1に示す洗浄充電器(保持装置)は、本体1に受け皿状の保持部2が形成されるとともに、本体1内にフィルター装置を備えた洗浄剤容器3、洗浄水貯留部4、ポンプ5等が設けられる。そして、電気かみそり6を保持部2に装着して、前記保持部2と洗浄剤容器3及び洗浄水貯留部4との間で循環する洗浄水で電気かみそり6を洗浄し、かつ充電を行うものである。
【0016】
図2に示すように、前記電気かみそり6のグリップ7の背面には、3つの接点8a〜8cが形成されている。接点8a〜8cは、図10に示すように、丸棒状の接点軸9の先端が半球状に形成され、その半球状部がグリップ7の表面から突出されるように形成されている。そして、接点軸9の基端部は電気かみそり6に内蔵される制御部に電気的に接続されている。なお、図10においては接点軸9のみを図示し、グリップ7は図示していない。
【0017】
図3に示すように、前記本体1の保持部2の後面側すなわち前記接点8a〜8cに対向する基台部10には接点装置11の3つの接点金具12a〜12cが露出されている。
この接点装置11は、前記電気かみそり6が保持部2に装着されて前記接点8a〜8cが接点金具12a〜12cに当接したとき、電気かみそり6が装着されたことを検出し、洗浄充電器に内蔵される制御部により、電気かみそり6の洗浄と充電とを制御する信号を電気かみそり6に送信する接点として作用する。
【0018】
次に、前記接点装置11の具体的構成を説明する。図4及び図5に示すように、前記基台部10には押付基台14が取着され、その押付基台14に3つの保持子15が支持されるとともに、その保持子15に前記接点金具12a〜12cがそれぞれ取着される。
【0019】
図5に示すように、前記接点金具12a〜12cは導電性を備えた金属の板材を半円弧状に屈曲した接点部16を備えている。前記接点部16は、球体を正面方向から帯状に切り取った形状となっている。
【0020】
前記接点金具12a〜12cの上端部には、前記接点部16の凸曲面側に屈曲された返し部17が形成されている。また、接点金具12a〜12cの下端部には、前記接点部16の凹曲面側に屈曲された端子部18が形成されている。そして、各接点金具12a〜12cはその表面に金等の貴金属めっきが施されている。
【0021】
また、前記端子部18は接点金具12a〜12cの下端縁より上方に位置するように屈曲されている。
各接点金具12a〜12cの端子部18にはそれぞれ接続コード19a〜19cの一端が半田付けされている。各接続コード19a〜19cの他端は、前記本体1内に配設される制御部に接続される。
【0022】
前記保持子15は合成樹脂で成形されるとともに、その上部には前記接点金具12a〜12cの接点部16と同様な半円弧面を備えた嵌合部20が形成されている。前記嵌合部20の半円弧面の両側には突条部21が形成されている。
【0023】
この突条部21は、図9に示すように、半円弧面からほぼ前記接点金具12a〜12cの板厚程度垂直に立ち上がり、さらに嵌合部20の側面に円弧状に連なる断面形状を備えている。
【0024】
前記嵌合部20の上端には前記接点金具12a〜12cの返し部17に係合する引掛部22aが形成されている。また、前記保持子15は、前記嵌合部20の下方で、嵌合部20の幅方向に二股状となる二股部23が形成され、その二股部23の上端部には互いに近づく方向に突出する引掛部22bが形成されている。
【0025】
そして、接点金具12a〜12cをその接点部16が保持子15の嵌合部20に沿うように嵌合し、かつ返し部17と接点部16の下方部分を前記引掛部22a,22bに係合させると、図7に示すように、接点金具12a〜12cが保持子15に取着される。
【0026】
図5、図7及び図9に示すように、前記二股部23にはその一方から他方に向かって二股部23間の中間位置まで突出する3段の案内片24が形成されている。上段及び下段の案内片24は二股部23の前部に位置し、中間段の案内片24は二股部23の後部に位置している。
【0027】
そして、前記接点金具12a〜12cの端子部18に半田付けされた接続コード19a〜19cは、案内片24で二股部23に沿って下方へ案内される。
前記二股部23の下端部外側面には、図8及び図9に示すように、支軸25がそれぞれ突出形成され、その支軸25で二股部23の下端を前記押付基台14に形成された軸受部31に回動可能に保持するようになっている。
【0028】
図5及び図6に示すように、前記保持子15の嵌合部20の背面には後方に向かって突出する当接片26が形成され、その当接片26に当接する付勢部材27が前記押付基台14に前後方向に移動可能に支持されている。
【0029】
前記付勢部材27と前記押付基台14との間には、コイルスプリング28が配設され、押付基台14を支点とするコイルスプリング28の付勢力により保持子15の上端部を前記基台部10に向かって押圧するようになっている。
【0030】
前記基台部10には前記接点金具12a〜12cの接点部16を保持部2に露出させるための開口部29が3箇所設けられ、常にはその開口部29から各接点金具12a〜12cの接点部16の頂部が露出される。
【0031】
前記基台部10の背面には本体検知板30が配設され、電気かみそり6が保持部2に装着されないとき、すなわち前記接点部16が開口部29から保持部2に露出されているとき、接点金具12a,12bの返し部17が当接するようになっている。また、本体検知板30は、接続コード(図示しない)により制御部に接続されている。
【0032】
そして、接点金具12a,12bの返し部17が本体検知板30に当接していると、制御部では電気かみそり6が未装着であることを検出するようになっている。
また、保持部2に電気かみそり6が装着されて、接点8a〜8cが各接点金具12a〜12cの接点部16を押圧すると、保持子15の上端部が押し込まれ、接点金具12a,12bの返し部17が本体検知板30から離間する。すると、制御部では電気かみそり6が装着されたことを検出するようになっている。
【0033】
前記接点8a〜8cが接点金具12a〜12cを押圧するとき、保持子15には次に示す力が作用する。すなわち、図10に示すように、接点8a〜8cから接点金具12a〜12cに作用する力をF1とし、付勢部材27から保持子15の当接片26に作用する力をF2とすると、保持子15の支軸25に回転力として作用する分力はそれぞれd1,d2となる。
【0034】
そして、支軸25に対し分力d1が作用するレバー長をAとし、支軸25に対し分力d2が作用するレバー長をBとすると、レバー長Aがレバー長Bより長くなる。この結果、分力d1,d2の作用により、支軸25には基台部10方向、すなわち図10に示す矢印C方向への反力が作用する。
【0035】
このことから、支軸25を支持するために押付基台14に設けられる軸受部31は、支軸25の図5に示す矢印C方向への移動を阻止すればよく、矢印C方向とは反対方向には開口された形状となっている。
【0036】
前記基台部10には、前記本体検知板30の上方位置に磁石32とヨーク33が設けられ、ヨーク33により集中された磁石32の磁力で保持部2に装着された電気かみそり6内の金属板34(図1参照)を吸着することにより、電気かみそり6を保持部2に安定して保持可能となっている。
【0037】
図11に示すように、前記接続コード19a〜19cは、その中間部が前記保持部2の裏面に形成されたリブ35にそれぞれ保持されるとともに、前記保持子15とリブ35との間と、リブ35と接続コード19a〜19cの他の固定部との間で接続コード19a〜19cに弛みを持たせた状態で保持されている。
【0038】
次に、上記のように構成された接点装置の作用を説明する。
電気かみそり6を保持部2に装着しない状態では、コイルスプリング28の付勢力により接点金具12a〜12cの接点部16の頂部は開口部29から保持部2に露出している。この状態では、接点金具12a,12bの返し部17が本体検知板30に当接して、電気かみそり6が装着されていないことが検出される。
【0039】
電気かみそり6が保持部2に装着されると、電気かみそり6の接点8a〜8cが接点金具12a〜12cの頂部を押圧する。すると、各保持子15がその下端部を支点として回動して接点金具12a,12bの返し部17が本体検知板30から離間する。
【0040】
この状態では、電気かみそり6の装着が検出されるとともに、接点金具12a〜12cと電気かみそり6の接点8a〜8cの接触により制御部と電気かみそり6とが電気的に接続され、電気かみそり6の洗浄動作あるいは充電動作が行われる。
【0041】
上記のような接点装置11では、次に示す効果を得ることができる。
(1)合成樹脂で成形した保持子15に接点金具12a〜12cを取着し、保持子15をコイルスプリング28で付勢するので、接点金具12a〜12cに弾性力を備える必要はない。従って、貴金属めっきを施す接点金具12a〜12cの表面積を縮小することができるので、部品コストを低減することができる。
(2)接点金具12a〜12cを挟み込んで、接点金具12a〜12cの穿断端縁を覆う突条部21を保持子15に設けたので、接点金具12a〜12cは穿断端縁を露出させないような形状に成型する必要がない。従って、接点金具12a〜12cの製造工程を簡素化して部品コストを低減することができる。
(3)保持子15の突条部21の高さを接点金具12a〜12cの板厚以上としたことにより、接点金具12a〜12cが露出される開口部29での接点金具12a〜12cの穿断端縁の露出を防止することができる。従って、穿断端縁と、電気かみそり6の接点8a〜8cや電気かみそり6の使用者の指先等との引っ掛かりを防止することができる。
(4)図10に示すレバー長Aがレバー長Bより長いので、分力d1,d2の作用により、支軸25には基台部10方向への反力が作用する。従って、軸受部31は支軸25の図5に示す矢印C方向と反対方向に開口された形状とすることができるので、軸受部31の構成を簡素化することができるとともに、保持子15の押付基台14への組立てを容易に行うことができる。
(5)接点金具12aに半田付けした接続コード19a〜19cを、案内片24により保持子15の二股部23に沿って支軸25近傍まで案内し、支軸25近傍から基台部10の背面に案内するようにした。従って、接続コード19a〜19cの剛性や接続コード19a〜19cに作用する引張り力や押圧力が、保持子15の回動の妨げとなることを防止することができる。
(6)接点金具12a〜12cの端子部18を、接点金具12a〜12cの下端縁より上方に位置させたので、基台部10の開口部29から洗浄水等が侵入して接点金具12a〜12cに伝い流れる状態となっても、その洗浄水等が端子部18に滞留することはない。従って、接続コード19a〜19cとの半田付け部分の腐食を防止することができる。
(7)保持部2の裏面に形成されたリブ35で、接続コード19a〜19cを保持することができるとともに、保持子15とリブ35との間と、リブ35と接続コード19a〜19cの他の固定部との間で接続コード19a〜19cに弛みを持たせた状態で保持することができる。従って、接続コード19a〜19cを含む接点装置11及び接点装置11を備えた保持部2の組立作業時において、接続コード19a〜19cの不用意な緊張による接続コード19a〜19cや接点装置11の損傷を防止することができる。
【0042】
上記実施形態は、以下の態様で実施してもよい。
・電気かみそり以外の種々の小型電気機器の洗浄装置や充電装置等の保持装置として使用することもできる。
【符号の説明】
【0043】
1…本体、2…保持部、3…洗浄剤容器、4…洗浄水貯留部、5…ポンプ、6…電気機器(電気かみそり)、7…グリップ、8a〜8c…接点、10…基台部、9…連結管、11…接点装置、12a〜12c…接点金具、14…押付基台、15…保持子、16…接点部、17…返し部、18…端子部、19a〜19c…接続コード、20…嵌合部、21…突条部、22a,22b…引掛部、23…二股部、24…案内片、25…支軸、26…当接片、27…付勢部材、28…付勢手段(コイルスプリング)、29…開口部、30…本体検知板、31…軸受部、32…磁石、33…ヨーク、34…金属板、35…コード保持部(リブ)。
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気かみそり等の小型電気機器の保持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の保持装置は、例えば電気かみそりを保持するものであって、洗浄機能と充電機能とを兼ね備えた洗浄充電器が存在する。電気かみそりと洗浄充電器には、当該電気かみそりを洗浄充電器に保持したとき両者を電気的に接続して、洗浄充電器により電気かみそりの洗浄動作及び充電動作を制御するようになっている。
【0003】
上記のような洗浄充電器では、電気かみそりと電気的に接続するための接点装置が設けられる。その接点装置は、特許文献1に開示されるように、接点部分の接触抵抗を安定して小さくするために、弾性を有する金属で接点部材を形成するとともに、その接点部材に貴金属めっきを施している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−18128号公報
【特許文献2】特許4036102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された接点装置では、接点部材の弾性を確保するための弾性脚部を含めて、接点部材全体に貴金属めっきを施しているため、部品コストが上昇する。
特許文献2に開示された接点装置においても、接点部材に貴金属めっきを施すと、山形状の接点部分全体に貴金属めっきが施されるため、部品コストが上昇する。
【0006】
そこで、接点部材の接点部分にのみ貴金属めっきを施すと、めっき面積を縮小することはできるが、めっき位置を正確に位置決めしながら部分的にめっきを施すめっき装置が大掛かりとなるため、小ロット生産部品では部品コストを低減することはできない。
【0007】
この発明の目的は、電気的に安定した接点性能を得ることができるとともに、部品コストを低減し得る小型電気機器の保持装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の小型電気機器の保持装置は、電気機器を保持するものであって、電気機器に設けられた接点と接触する接点金具を有する小型電気機器の保持装置において、前記接点金具を保持子に取着し、前記保持子を前記保持装置に支持するとともに、前記保持装置を支点として前記接点金具を前記小型電気機器の接点に向かって付勢する付勢手段を設けたことを特徴とする。
【0009】
また、上記構成において、金属の板材を穿断して前記接点金具を形成し、前記保持子には前記接点金具を挟んで保持する突条部を設けることが好ましい。
また、上記構成において、前記突条部は、前記接点金具の穿断端縁を覆う高さとすることが好ましい。
【0010】
また、上記構成において、前記保持子の基端部を前記保持装置に対し回動可能に支持し、前記接点金具に対する前記接点の押圧作用点と前記保持子の回動支点との間に前記付勢手段の押圧作用点を位置させることが好ましい。
【0011】
また、上記構成において、前記保持子には、前記接点金具に接続される接続コードを前記保持子の回動支点の近傍に案内する案内片を備えることが好ましい。
また、上記構成において、前記接点金具に前記接続コードを接続する端子部を設け、前記端子部を前記接点金具の下縁より上方に位置させることが好ましい。
【0012】
また、上記構成において、前記保持装置には、前記接続コードの中間部を移動不能に保持するコード保持部を設けることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電気的に安定した接点性能を得ることができるとともに、部品コストを低減し得る小型電気機器の保持装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】洗浄充電器を示す断面図である。
【図2】電気かみそりを示す背面図である。
【図3】洗浄充電器を示す正面図である。
【図4】接点装置を示す分解斜視図である。
【図5】接点装置の主要部を示す分解斜視図である。
【図6】接点装置を示す断面図である。
【図7】接点金具及び保持子を示す断面図である。
【図8】接点金具及び保持子を示す側面図である。
【図9】図8におけるA−A線断面図である。
【図10】接点装置を示す断面図である。
【図11】接続コードの取り回しを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。図1に示す洗浄充電器(保持装置)は、本体1に受け皿状の保持部2が形成されるとともに、本体1内にフィルター装置を備えた洗浄剤容器3、洗浄水貯留部4、ポンプ5等が設けられる。そして、電気かみそり6を保持部2に装着して、前記保持部2と洗浄剤容器3及び洗浄水貯留部4との間で循環する洗浄水で電気かみそり6を洗浄し、かつ充電を行うものである。
【0016】
図2に示すように、前記電気かみそり6のグリップ7の背面には、3つの接点8a〜8cが形成されている。接点8a〜8cは、図10に示すように、丸棒状の接点軸9の先端が半球状に形成され、その半球状部がグリップ7の表面から突出されるように形成されている。そして、接点軸9の基端部は電気かみそり6に内蔵される制御部に電気的に接続されている。なお、図10においては接点軸9のみを図示し、グリップ7は図示していない。
【0017】
図3に示すように、前記本体1の保持部2の後面側すなわち前記接点8a〜8cに対向する基台部10には接点装置11の3つの接点金具12a〜12cが露出されている。
この接点装置11は、前記電気かみそり6が保持部2に装着されて前記接点8a〜8cが接点金具12a〜12cに当接したとき、電気かみそり6が装着されたことを検出し、洗浄充電器に内蔵される制御部により、電気かみそり6の洗浄と充電とを制御する信号を電気かみそり6に送信する接点として作用する。
【0018】
次に、前記接点装置11の具体的構成を説明する。図4及び図5に示すように、前記基台部10には押付基台14が取着され、その押付基台14に3つの保持子15が支持されるとともに、その保持子15に前記接点金具12a〜12cがそれぞれ取着される。
【0019】
図5に示すように、前記接点金具12a〜12cは導電性を備えた金属の板材を半円弧状に屈曲した接点部16を備えている。前記接点部16は、球体を正面方向から帯状に切り取った形状となっている。
【0020】
前記接点金具12a〜12cの上端部には、前記接点部16の凸曲面側に屈曲された返し部17が形成されている。また、接点金具12a〜12cの下端部には、前記接点部16の凹曲面側に屈曲された端子部18が形成されている。そして、各接点金具12a〜12cはその表面に金等の貴金属めっきが施されている。
【0021】
また、前記端子部18は接点金具12a〜12cの下端縁より上方に位置するように屈曲されている。
各接点金具12a〜12cの端子部18にはそれぞれ接続コード19a〜19cの一端が半田付けされている。各接続コード19a〜19cの他端は、前記本体1内に配設される制御部に接続される。
【0022】
前記保持子15は合成樹脂で成形されるとともに、その上部には前記接点金具12a〜12cの接点部16と同様な半円弧面を備えた嵌合部20が形成されている。前記嵌合部20の半円弧面の両側には突条部21が形成されている。
【0023】
この突条部21は、図9に示すように、半円弧面からほぼ前記接点金具12a〜12cの板厚程度垂直に立ち上がり、さらに嵌合部20の側面に円弧状に連なる断面形状を備えている。
【0024】
前記嵌合部20の上端には前記接点金具12a〜12cの返し部17に係合する引掛部22aが形成されている。また、前記保持子15は、前記嵌合部20の下方で、嵌合部20の幅方向に二股状となる二股部23が形成され、その二股部23の上端部には互いに近づく方向に突出する引掛部22bが形成されている。
【0025】
そして、接点金具12a〜12cをその接点部16が保持子15の嵌合部20に沿うように嵌合し、かつ返し部17と接点部16の下方部分を前記引掛部22a,22bに係合させると、図7に示すように、接点金具12a〜12cが保持子15に取着される。
【0026】
図5、図7及び図9に示すように、前記二股部23にはその一方から他方に向かって二股部23間の中間位置まで突出する3段の案内片24が形成されている。上段及び下段の案内片24は二股部23の前部に位置し、中間段の案内片24は二股部23の後部に位置している。
【0027】
そして、前記接点金具12a〜12cの端子部18に半田付けされた接続コード19a〜19cは、案内片24で二股部23に沿って下方へ案内される。
前記二股部23の下端部外側面には、図8及び図9に示すように、支軸25がそれぞれ突出形成され、その支軸25で二股部23の下端を前記押付基台14に形成された軸受部31に回動可能に保持するようになっている。
【0028】
図5及び図6に示すように、前記保持子15の嵌合部20の背面には後方に向かって突出する当接片26が形成され、その当接片26に当接する付勢部材27が前記押付基台14に前後方向に移動可能に支持されている。
【0029】
前記付勢部材27と前記押付基台14との間には、コイルスプリング28が配設され、押付基台14を支点とするコイルスプリング28の付勢力により保持子15の上端部を前記基台部10に向かって押圧するようになっている。
【0030】
前記基台部10には前記接点金具12a〜12cの接点部16を保持部2に露出させるための開口部29が3箇所設けられ、常にはその開口部29から各接点金具12a〜12cの接点部16の頂部が露出される。
【0031】
前記基台部10の背面には本体検知板30が配設され、電気かみそり6が保持部2に装着されないとき、すなわち前記接点部16が開口部29から保持部2に露出されているとき、接点金具12a,12bの返し部17が当接するようになっている。また、本体検知板30は、接続コード(図示しない)により制御部に接続されている。
【0032】
そして、接点金具12a,12bの返し部17が本体検知板30に当接していると、制御部では電気かみそり6が未装着であることを検出するようになっている。
また、保持部2に電気かみそり6が装着されて、接点8a〜8cが各接点金具12a〜12cの接点部16を押圧すると、保持子15の上端部が押し込まれ、接点金具12a,12bの返し部17が本体検知板30から離間する。すると、制御部では電気かみそり6が装着されたことを検出するようになっている。
【0033】
前記接点8a〜8cが接点金具12a〜12cを押圧するとき、保持子15には次に示す力が作用する。すなわち、図10に示すように、接点8a〜8cから接点金具12a〜12cに作用する力をF1とし、付勢部材27から保持子15の当接片26に作用する力をF2とすると、保持子15の支軸25に回転力として作用する分力はそれぞれd1,d2となる。
【0034】
そして、支軸25に対し分力d1が作用するレバー長をAとし、支軸25に対し分力d2が作用するレバー長をBとすると、レバー長Aがレバー長Bより長くなる。この結果、分力d1,d2の作用により、支軸25には基台部10方向、すなわち図10に示す矢印C方向への反力が作用する。
【0035】
このことから、支軸25を支持するために押付基台14に設けられる軸受部31は、支軸25の図5に示す矢印C方向への移動を阻止すればよく、矢印C方向とは反対方向には開口された形状となっている。
【0036】
前記基台部10には、前記本体検知板30の上方位置に磁石32とヨーク33が設けられ、ヨーク33により集中された磁石32の磁力で保持部2に装着された電気かみそり6内の金属板34(図1参照)を吸着することにより、電気かみそり6を保持部2に安定して保持可能となっている。
【0037】
図11に示すように、前記接続コード19a〜19cは、その中間部が前記保持部2の裏面に形成されたリブ35にそれぞれ保持されるとともに、前記保持子15とリブ35との間と、リブ35と接続コード19a〜19cの他の固定部との間で接続コード19a〜19cに弛みを持たせた状態で保持されている。
【0038】
次に、上記のように構成された接点装置の作用を説明する。
電気かみそり6を保持部2に装着しない状態では、コイルスプリング28の付勢力により接点金具12a〜12cの接点部16の頂部は開口部29から保持部2に露出している。この状態では、接点金具12a,12bの返し部17が本体検知板30に当接して、電気かみそり6が装着されていないことが検出される。
【0039】
電気かみそり6が保持部2に装着されると、電気かみそり6の接点8a〜8cが接点金具12a〜12cの頂部を押圧する。すると、各保持子15がその下端部を支点として回動して接点金具12a,12bの返し部17が本体検知板30から離間する。
【0040】
この状態では、電気かみそり6の装着が検出されるとともに、接点金具12a〜12cと電気かみそり6の接点8a〜8cの接触により制御部と電気かみそり6とが電気的に接続され、電気かみそり6の洗浄動作あるいは充電動作が行われる。
【0041】
上記のような接点装置11では、次に示す効果を得ることができる。
(1)合成樹脂で成形した保持子15に接点金具12a〜12cを取着し、保持子15をコイルスプリング28で付勢するので、接点金具12a〜12cに弾性力を備える必要はない。従って、貴金属めっきを施す接点金具12a〜12cの表面積を縮小することができるので、部品コストを低減することができる。
(2)接点金具12a〜12cを挟み込んで、接点金具12a〜12cの穿断端縁を覆う突条部21を保持子15に設けたので、接点金具12a〜12cは穿断端縁を露出させないような形状に成型する必要がない。従って、接点金具12a〜12cの製造工程を簡素化して部品コストを低減することができる。
(3)保持子15の突条部21の高さを接点金具12a〜12cの板厚以上としたことにより、接点金具12a〜12cが露出される開口部29での接点金具12a〜12cの穿断端縁の露出を防止することができる。従って、穿断端縁と、電気かみそり6の接点8a〜8cや電気かみそり6の使用者の指先等との引っ掛かりを防止することができる。
(4)図10に示すレバー長Aがレバー長Bより長いので、分力d1,d2の作用により、支軸25には基台部10方向への反力が作用する。従って、軸受部31は支軸25の図5に示す矢印C方向と反対方向に開口された形状とすることができるので、軸受部31の構成を簡素化することができるとともに、保持子15の押付基台14への組立てを容易に行うことができる。
(5)接点金具12aに半田付けした接続コード19a〜19cを、案内片24により保持子15の二股部23に沿って支軸25近傍まで案内し、支軸25近傍から基台部10の背面に案内するようにした。従って、接続コード19a〜19cの剛性や接続コード19a〜19cに作用する引張り力や押圧力が、保持子15の回動の妨げとなることを防止することができる。
(6)接点金具12a〜12cの端子部18を、接点金具12a〜12cの下端縁より上方に位置させたので、基台部10の開口部29から洗浄水等が侵入して接点金具12a〜12cに伝い流れる状態となっても、その洗浄水等が端子部18に滞留することはない。従って、接続コード19a〜19cとの半田付け部分の腐食を防止することができる。
(7)保持部2の裏面に形成されたリブ35で、接続コード19a〜19cを保持することができるとともに、保持子15とリブ35との間と、リブ35と接続コード19a〜19cの他の固定部との間で接続コード19a〜19cに弛みを持たせた状態で保持することができる。従って、接続コード19a〜19cを含む接点装置11及び接点装置11を備えた保持部2の組立作業時において、接続コード19a〜19cの不用意な緊張による接続コード19a〜19cや接点装置11の損傷を防止することができる。
【0042】
上記実施形態は、以下の態様で実施してもよい。
・電気かみそり以外の種々の小型電気機器の洗浄装置や充電装置等の保持装置として使用することもできる。
【符号の説明】
【0043】
1…本体、2…保持部、3…洗浄剤容器、4…洗浄水貯留部、5…ポンプ、6…電気機器(電気かみそり)、7…グリップ、8a〜8c…接点、10…基台部、9…連結管、11…接点装置、12a〜12c…接点金具、14…押付基台、15…保持子、16…接点部、17…返し部、18…端子部、19a〜19c…接続コード、20…嵌合部、21…突条部、22a,22b…引掛部、23…二股部、24…案内片、25…支軸、26…当接片、27…付勢部材、28…付勢手段(コイルスプリング)、29…開口部、30…本体検知板、31…軸受部、32…磁石、33…ヨーク、34…金属板、35…コード保持部(リブ)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器の表面に設けた接点と、
前記電気機器を保持する保持装置に設けられ、前記接点に弾性的に接触する接点金具と
を備えた小型電気機器の保持装置において、
前記接点金具を保持子に取着し、前記保持子を前記保持装置に支持するとともに、前記保持装置を支点として前記接点金具を前記電気機器の接点に向かって付勢する付勢手段を設けたことを特徴とする小型電気機器の保持装置。
【請求項2】
請求項1に記載の小型電気機器の保持装置において、
金属の板材を穿断して前記接点金具を形成し、前記保持子には前記接点金具を挟んで保持する突条部を設けたことを特徴とする小型電気機器の保持装置。
【請求項3】
請求項2に記載の小型電気機器の保持装置において、
前記突条部は、前記接点金具の穿断端縁を覆う高さとしたことを特徴とする小型電気機器の保持装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の小型電気機器の保持装置において、
前記保持子の基端部を前記保持装置に対し回動可能に支持し、前記接点金具に対する前記接点の押圧作用点と前記保持子の回動支点との間に前記付勢手段の押圧作用点を位置させたことを特徴とする小型電気機器の保持装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の小型電気機器の保持装置において、
前記保持子には、前記接点金具に接続される接続コードを前記保持子の回動支点の近傍に案内する案内片を備えたことを特徴とする小型電気機器の保持装置。
【請求項6】
請求項5に記載の小型電気機器の保持装置において、
前記接点金具に前記接続コードを接続する端子部を設け、前記端子部を前記接点金具の下縁より上方に位置させたことを特徴とする小型電気機器の保持装置。
【請求項7】
請求項5に記載の小型電気機器の保持装置において、
前記保持装置には、前記接続コードの中間部を移動不能に保持するコード保持部を設けたことを特徴とする小型電気機器の保持装置。
【請求項1】
電気機器の表面に設けた接点と、
前記電気機器を保持する保持装置に設けられ、前記接点に弾性的に接触する接点金具と
を備えた小型電気機器の保持装置において、
前記接点金具を保持子に取着し、前記保持子を前記保持装置に支持するとともに、前記保持装置を支点として前記接点金具を前記電気機器の接点に向かって付勢する付勢手段を設けたことを特徴とする小型電気機器の保持装置。
【請求項2】
請求項1に記載の小型電気機器の保持装置において、
金属の板材を穿断して前記接点金具を形成し、前記保持子には前記接点金具を挟んで保持する突条部を設けたことを特徴とする小型電気機器の保持装置。
【請求項3】
請求項2に記載の小型電気機器の保持装置において、
前記突条部は、前記接点金具の穿断端縁を覆う高さとしたことを特徴とする小型電気機器の保持装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の小型電気機器の保持装置において、
前記保持子の基端部を前記保持装置に対し回動可能に支持し、前記接点金具に対する前記接点の押圧作用点と前記保持子の回動支点との間に前記付勢手段の押圧作用点を位置させたことを特徴とする小型電気機器の保持装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の小型電気機器の保持装置において、
前記保持子には、前記接点金具に接続される接続コードを前記保持子の回動支点の近傍に案内する案内片を備えたことを特徴とする小型電気機器の保持装置。
【請求項6】
請求項5に記載の小型電気機器の保持装置において、
前記接点金具に前記接続コードを接続する端子部を設け、前記端子部を前記接点金具の下縁より上方に位置させたことを特徴とする小型電気機器の保持装置。
【請求項7】
請求項5に記載の小型電気機器の保持装置において、
前記保持装置には、前記接続コードの中間部を移動不能に保持するコード保持部を設けたことを特徴とする小型電気機器の保持装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−179139(P2012−179139A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−43045(P2011−43045)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]