説明

小形回動部材の軸受機構

【課題】長期間安定して回動動作を行うことのできる小形回動レバーの軸受機構を提供する。
【解決手段】樹脂で構成されたベース部材により、樹脂で構成され、バネにより常に一定方向に常に付勢された小形回動部材を回転可能に支持するようにした軸受機構において前記小形回動部材の側面に円筒状に形成した軸受を一体的に突出形成し、前記ベース部材の前記回動部材の軸受にと対向する位置に前記軸受の軸受穴に嵌挿可能に構成された支持軸を突出形成し、前記回動部材の軸受の軸受穴に前記ベース部材の支持軸を嵌入することにより回動部材をベース部材により回動可能に支持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、押しボタンスイッチの安全機構等に用いられている回動レバー等の小形回動部材を回動自在に支持する軸受機構に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されるような操作部とスイッチ部が分離可能に構成された押しボタンスイッチは、特に工作機械等への非常停止を指令するスイッチとして用いられる。このような押しボタンスイッチは、図6に示すように、スイッチの操作部1とこれに分離可能に結合されるスイッチ部2で構成され、制御盤等のパネルに取り付けて使用する。
【0003】
その取付け手順は次の通りである。
【0004】
スイッチ部2の外された操作部1をパネルの表側からパネルの取付け穴に操作部1の胴体部11を挿入し、パネルの裏側から、挿入された操作部1の胴体部11に固定ナット19をねじ込んでパネルに締め付けて固定する。このパネルに取り付けた操作部1の胴体部11にスイッチ部2の嵌合穴21aを嵌め合わせて、スイッチ部2を操作部1に連結結合する。
【0005】
このように制御盤等に取り付けて使用される押しボタンスイッチは、使用中に何らかの原因でスイッチ部2が操作部1から外れて脱落するような事故が発生することがある。押しボタンスイッチの押し込み操作状態においてこのようなスイッチ部2が操作部1から外れると、スイッチ部2において操作部1の押し棒による押し込み状態が解除されるため、スイッチ部2の可動接点を保持する可動枠が復帰バネにより復帰位置に戻され、常開接点ユニットはオフ状態に、常閉接点ユニットはオン状態に戻される。
【0006】
常閉接点ユニットを非常停止指令のために使用している場合には、このようなスイッチ部が操作部から離脱する事故が発生すると、常閉接点ユニットがオン状態に戻って非常停止指令が解除されるため、非常停止した機器の運転が再開されて重大な事故が引き起こされる危険がある。
【0007】
このような危険を回避するためには、押しボタンスイッチのスイッチ部2が操作部1から外れたときに、特に非常停止指令用開閉接点ユニットとして使用される常閉接点構成の開閉接点ユニットの開離された可動接点が固定接点に閉合する位置に戻らないようにする必要がある。
【0008】
このため、特許文献1に記載の押しボタンスイッチにおいては、図7および8に示すように、押しボタンスイッチのスイッチ部2内に回動可能に支持され一端がスイッチ部2に結合された操作部1の一部に作用し、他端がスイッチ部2内の開閉接点ユニット24の可動枠25に作用して接点の開閉を操作する小形のレバー31と、このレバー31を一定の回転方向に付勢するバネ33とで構成した接点開離機構3と開閉接点機構24cとユニットフレーム24fを設けている。この接点開離機構3により前記スイッチ部2が操作部1から分離されたときは前記開閉接点ユニット24の可動枠25を可動接点が待機状態位置から操作状態位置方向へ移動させるように付勢し、前記スイッチ部が操作部に結合されたときは前記接点ユニットの可動枠25への前記付勢を解除するようにしている。
【0009】
このような押しボタンスイッチの接点分離機構に使用されている小形のレバー31およびこれを回動自在に支持するスイッチ部2の開閉接点機構(ベース部材)24cは、樹脂で製造されている。そしてレバー31を開閉接点機構24cに回動自在に支持するために、レバー31の外側面に円柱状の支持軸31cを突出形成し、開閉接点機構24cに軸受溝又は穴24eを設け、レバー31の支持軸31cを開閉接点機構24cの支持溝又は穴24eに嵌挿するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2010-232157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このように樹脂で構成された小形のレバーを同様に樹脂で構成されたベース部材により回動可能に支持するための軸受機構が、回動側のレバーに円柱状の支持軸を形成し、固定側のベース部材に軸受溝又は穴を設け、支持軸を軸受溝又は穴に嵌挿する構成である場合には、回転回数が増加すると、摩擦により軸受部分にこの部分が摩耗することによる摩耗粉が発生するため、軸と軸受の間の摩擦係数が増大し、レバーの回動動作が不安定になる。
【0012】
このような回動レバーの回動動作を安定にするためには、このレバーを付勢するバネのバネ力を大きくしてレバーに加える荷重を大きくすればよいが、レバーに加わる荷重が大きくなると、レバーの回動に伴う軸又はこれを支持する軸受の摩耗が大きくなり、寿命が短くなる問題が生じる。
【0013】
この発明は、このような問題を解決して、長期間安定して回動動作を行うことのできる小形のレバーの軸受機構を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このような課題を解決するため、この発明は、樹脂で構成されたベース部材により、樹脂で構成され、バネにより常に一定方向に常に付勢された小形回動レバーを回転可能に支持するようにした軸受機構において、前記小形回動レバーの側面に円筒状に形成した軸受を一体的に突出形成し、前記ベース部材の前記レバーの軸受にと対向する位置に前記軸受の軸受穴に嵌挿可能に構成された支持軸を突出形成し、前記回動レバーの軸受の軸受穴に前記ベース部材の支持軸を嵌入することにより回動レバーをベース部材により回動可能に支持したことを特徴とするものである。
【0015】
この発明おいては、前記小形回動レバーを剛性の高い樹脂で構成し、前記ベース部材を弾性の高い樹脂により構成することができる。
そして、この発明においては、前記小形回動レバーを構成する高剛性の樹脂としてポリフェニレンサルファイド樹脂を使用し、前記ベース部材を構成する高弾性の樹脂としてポリアミド樹脂を使用するのが最適である。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、小形回動レバーの側面に円筒状に形成した軸受を一体的に突出形成し、前記ベース部材の前記回動レバーの軸受にと対向する位置に前記軸受の軸受穴に嵌挿可能に構成された支持軸を突出形成し、前記回動レバーの軸受の軸受穴に前記ベース部材の支持軸を嵌入することにより回動レバーをベース部材により回動可能に支持することにより、レバーを回動操作させても長期間低摩擦係数で安定して支持することができることが実験的に確かめることができた。これは、小形の回動レバー側に円筒状の軸受を突出形成することにより、軸受の外径が大きくなり、剛性が高くなり、回動動作に伴う弾性変形量を小さくできることによると推察される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明を適用した押しボタンスイッチの開閉接点ユニットの実施例を示す縦断面図である。
【図2】図1に示す開閉接点ユニットを分解して示す斜視図である。
【図3】図1に示す開閉接点ユニットの一部を分解して示す斜視図である。
【図4】この発明の回動部材の軸受機構の摩擦試験の説明図である。
【図5】この発明の回動部材の軸受機構の摩擦特性を示すグラフである。
【図6】この発明を適用する押しボタンスイッチの従来例を示す分解構成図である。
【図7】従来の押しボタンスイッチに使用した開閉接点ユニットの構成を示す斜視図である。
【図8】図7に示す開閉接点ユニットを分解して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
この発明の実施の形態を図に示す実施例について説明する。
【0019】
図1〜図3にこの発明を、押しボタンスイッチの開閉接点ユニットに適用した実施例を示す。
【0020】
この発明の実施例として示す開閉接点ユニット24は、基本的には、前記の従来の開閉接点ユニットの構成とほぼ同じであるので、同一部分については同一符号を付して示す。
【0021】
開閉接点ユニット24は、樹脂製のユニットフレーム24fを備え、この中に、開閉接点機構24cと接点開離機構3を収容して構成される。開閉接点ユニット24は、内部に納める開閉接点機構を選択することによって常開接点(a接点)構成にも、常閉接点(b接点)構成にもすることができる。
【0022】
ここで、前記の開閉接点機構24cは、固定接点22bから引き出された引出端子24tの収められるケース24dと、これに上下動可能に支持される可動枠25を備える。この可動枠25の側面に突出してバネ受け片25cが設けられ、これによって下端がケース24dによって支持された復帰バネ26の上端に当接して上方向へ作用する復帰バネ力を受ける。このため、可動枠25はこの復帰バネ26によって上方へ付勢される。可動枠25は、可動接点23bを有する可動接触子片27bを支持している。そしてケース24d内には、前記可動接点23bと対向して固定接点22bが配設され、両方の接点が開閉接点対を構成する。この開閉接点対は、可動接点の種類を選択することにより常閉接点(b接点)構成または常開接点(a接点)構成の接点対とすることができる。
【0023】
接点開離機構3の小形の回動レバー31は、平行する1対の回動アーム31a、31aとこの回動アーム31a、31aの先端間を連結する連結アーム31bとによりU字形に形成される。回動アーム31aの中間部には、この発明にしたがって、内部に円形の軸受穴円31yを有する円筒状軸受31xが突出形成され、連結アーム31bの中間部には、下方に突出する押圧片31dが設けられている。このように構成された回動レバー31は、外側に突出した円筒状軸受31xの軸受穴31yに、それぞれ開閉接点機構24cのベース部材となる樹脂製ケース24dの側面に突出形成した円柱形の支持軸24xを嵌挿することによりケース24dにより回動可能に支持される。
【0024】
そして、この回動可能に支持された回動レバー31の回動アーム31a,31aの下面とケース24dとの間には圧縮コイルバネにより構成された開離バネ33が介装されている。レバー31の押圧片31dは、開閉接点機構24cの可動枠25のバネ受け片25cが案内される溝24h内に挿入される。このため、押圧片31dは、レバー31の回動にしたがってバネ受け片25cと接離可能となる。
【0025】
このような接点開離機構3の組み込まれた開閉接点機構24cは、その嵌合用凸条24pをユニットフレーム24fの嵌合用溝24qに嵌め込んでフレーム24fに装着して、図3に示すような開閉接点ユニット24を構成する。ただし、図3では、回動レバー31がケース24dから外された状態を示している。
【0026】
このように構成された開閉接点ユニット24を、常開接点構成の開閉接点ユニット24aまたは常閉接点構成の開閉接点ユニット24bとしてスイッチ部ケース21に組み込むことによりスイッチ部2が構成され、このスイッチ部2と操作部1とを連結結合して押しボタンスイッチが完成する。
【0027】
開閉接点ユニット24に組み込まれた接点開離機構3の開離バネ33は、一端が開閉接点機構のケース24dに固定され、他端が回動レバー31の回動アーム31aに当接されるため、回動レバー31は、この開離バネ33から常に反時計方向の回動付勢力を受ける。
【0028】
しかしながら、開閉接点ユニット24は、スイッチ部2を、押しボタン12を有する操作部1に連結したときは、スイッチ部2内に挿入された操作部1のケース11の先端の胴体部11aの下端(図6参照)が回動レバー31の基端側(反連結アーム側)の上端部31pに当接し、開離バネ33の付勢力に抗してこれを僅かに押し下げるように構成されている。このため、スイッチ部2が操作部1に結合された状態では、回動レバー31は、ケース24dの支持軸24xを支点にして時計方向へ回動される。これにより回動レバー31の先端側(連結アーム31b側)の押圧片31dが上方へ移動し、開閉接点機構の可動枠25のバネ受け片25cから離間し、可動枠25への開離バネ33による付勢力が解除される。
【0029】
したがって、スイッチ部2が操作部1に連結、結合された完全な状態においては、常閉接点(b接点)構成の開閉接点ユニット24の開閉接点機構の可動接点23bが固定接点22bに閉合し、オン状態となる。
【0030】
ここで押しボタン12を押し込んで、操作状態にすると、これと連動する押し棒により開閉接点ユニット24の可動枠25が押し下げられることにより、常閉接点(b接点)構成の開閉接点ユニット24は、可動接点23bが固定接点22bから開離し、オフ状態となる。
【0031】
スイッチ部2が操作部1に完全に結合された状態では、接点開離機構3の回動レバー31は、開離バネ33の付勢力が操作部1の胴体部11aと接合する回動レバー31の基端側端部で受け止められるため、開離バネ33の付勢力は回動レバー31の先端側の押圧片31dから開閉接点機構の可動枠25へは伝達されない。このため、この状態での押しボタン12による開閉操作においては、接点開離機構3の開離バネ33のバネ力の影響をまったく受けることがなく、操作を円滑に行うことができる。
【0032】
次に、このような押しボタンスイッチにおいて、何らかの原因により操作部1とスイッチ部2との結合が外れてスイッチ部2が操作部1から離脱して操作部1とスイッチ部2とが不完全な結合状態となった場合について説明する。
【0033】
スイッチ部2が操作部から外れると、それまで回動レバー31の基端側端部と接触しこれを押圧していた操作部1の胴体部11先端がこれから離間するため、この回動レバー31の基端側端部31pに対する規制が解除され、これが自由な状態となる。
【0034】
この状態における常閉接点(b接点)構成の開閉接点ユニット24の状態が図1に示す状態である。
【0035】
これらの図から明らかなように、スイッチ部2が操作部1から外れると、操作部1の胴体部11の先端が回動レバー31の基端側端部から離れることにより自由となった回動レバー31は、開離バネ33の付勢力により反時計方向に回動される。回動レバー31の回動に伴ってその先端側端部の押圧片31dが下方へ移動し、開閉接点機構24cの可動枠25のバネ受け片25cに当接してこれを押し下げるので、可動枠25が復帰バネ26に抗して下降し、これとともに可動接点を支持した可動接触子片27bも下降する。これにより、常閉接点(b接点)構成の開閉接点ユニット24bの場合は、可動接点23bが固定接点22bから離間しオフ状態となる(図14(a2)、図6参照)。
【0036】
このように構成された特に常閉接点(b接点)構成の開閉接点ユニットを組み込んだスイッチ部を操作部に結合して構成した押しボタンスイッチは、機器の非常停止用押しボタンスイッチSとして使用した際、押しボタンを押しこみ操作して接点をオフにして非常停止を指令している状態で、スイッチ部2が操作部1から外れて離脱するような異常(結合不良)状態が生じると、接点開離機構3により閉合状態に戻される可動接点を強制的に固定接点から開離させてオフ状態にすることができるので、非常停止指令が解除される危険を防止することができる。
【0037】
このように、押しボタンの操作部に着脱して使用されるスイッチ部の開閉接点ユニットに組み込まれた接点開離機構3の小形の回動レバー31は、操作部がスイッチ部に着脱される都度回動されるため、長期間の使用により、何れも樹脂で構成された回動レバー31の円筒状軸受とこれを支持するケース側の支持軸との間に摩擦による摩耗が生じ、回動レバー31の回動動作が渋くなり不安定となる現象が生じる。
【0038】
しかし、この発明にしたがって、回動する側の回動レバーに円筒状の軸受を設け、固定側のケースにこの前記軸受の軸受穴に嵌挿される円柱状の支持軸を設けるようにすると、長期間の使用によっても、軸受と支持軸との間の摩擦係数の上昇が小さく、安定に回転動作を行える知見を得ることができた。
【0039】
これは、回動する側の回動レバー31は、開離バネ33によって常に荷重を受けているが、軸受を円筒状軸受とすることにより、中心に軸受穴を設ける関係で軸受の外径が大きくなり、これによって軸受の機械的剛性が高まり、外力による変形が小さくなることにより軸受および支持軸間の摩耗が小さくなり摩擦係数の上昇が抑えられるものと推察する。
【0040】
また、この理論にしたがって、回動レバー31を、高剛性の樹脂、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂により円筒状軸受31xと一体に形成し、これを支持する開閉接点機構のケース24dを、高弾性の樹脂、例えばポリアミド(PA)により支持軸24xと一体に形成すると、長期間の使用においても、回動レバー31の軸受機構の摩擦係数の上昇を抑えることができることを、次のような摩擦試験により確認することができた。
【0041】
摩擦試験は、図4に示すような可動側テストピースRTと固定側テストピースSTとを組み合わせて、ASTM(米国材料試験協会)規格D2625-94に準じて行った。
【0042】
この摩擦試験は、この発明におけるに回動レバー31側に設けた円筒状軸受31xを、図4における固定側のテストピースSTに、接点開閉機構のケース24dに設けた円柱状の支持軸24xを、回転側のテストピースRTに見立てて実施した。
【0043】
固定側テストピースSTは、幅が25mm、高さが15mm、厚さが10mmで、中央に90°のV字形切欠き溝を有する矩形ブロックで構成し、また、回転側テストピースR
Tは、直径が18mm、厚さが10mmの円形ブロックで構成した。
【0044】
摩擦試験は、図4に示すように、固定側テストピースSTのV字形の溝の中に、円形ブロックで構成した回転側テストピースRTを挿入して、外周面を固定側テストピースSTのV字形溝の内壁面に当接し、これに、固定側テストピースSTの側から3kgの試験荷重を加え、かつ、回転側テストピースRTを60rpmの速度で1000回まで回転し、回転数20回ごとにトルクTを測定し、次の(1)式に基づいて、テストピースSTとRTとの間の摩擦係μを算出するものである。
【0045】
すなわち、摩擦係数μは、固定テストピースSTから可動テストピースRTに加える荷重Wと、テストピースSTとRTの間に働くトルクTと、可動テストピースRTの回転半径rとから、
μ = T/(Wo×r) = √2/2×T(W×r) (1)
として求めることができる。
【0046】
ただし、固定テストピースSTから可動テストピースRTに作用する垂直荷重Woは、固定テストピースSTのV字形溝の角度が90°であるので、
Wo = 2/√2×W (2)
の関係にある。
【0047】
この発明の実施例として、固定側テストピースSTを、高剛性のPPS樹脂で構成し、回転側テストピースRTを高弾性のPA樹脂で構成したテストピースについて前記の摩擦試験を行った。
【0048】
この発明の実施例と比較するための比較例として、固定側テストピースSTを、高弾性のPA脂で構成し、回転側テストピースRTを高剛性のPPS樹脂で構成したテストピースについて同様の摩擦試験を行った。
【0049】
この発明の実施例と比較例の摩擦試験の結果を、図5に比較して示す。
【0050】
図5は、縦軸に摩擦係数(μ)をとり、横軸にテストピースの回転数(回)をとって摩擦特性を示すものである。この図5に示す特性線Aが、この発明の実施例の摩擦特性を示すもので、特性線Bが、比較例の摩擦特性を示すものである。
【0051】
図5に示す通り、実施例および比較例とも、1回転においては、同じ0.18付近の摩擦係数を示しているが、20回回転したところで、それぞれ、固定側および回転側テストピース間のなじみが良くなり、摩擦係数が初期の値より低下し、最小の摩擦係数を示すようになる。
【0052】
この後、回転数が増加すると、比較例は、特性線Bで示すように、ほぼこれに比例して摩擦係数が増加する。しかし、この発明の実施例は、特性線Aで示すように、1000回転まで摩擦係数の増大はほんの僅かであり、摩擦係数は、回転数に関係なくほぼ一定に保つことができる。これは、この発明による回動部材の軸受機構は、長期間使用しても、摩擦係数の増加がなく回転動作を安定に維持できることを示すものである。
【符号の説明】
【0053】
24 :開閉接点機構
24d:開閉接点機構のケース(ベース部材)
24x:円柱状支持軸
31 :回動レバー(回動部材)
31x:円筒状軸受
31y:軸受穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂で構成されたベース部材により、樹脂で構成され、バネにより常に一定方向に常に付勢された小形回動部材を回転可能に支持するようにした軸受機構において前記小形回動部材の側面に円筒状に形成した軸受を一体的に突出形成し、前記ベース部材の前記回動部材の軸受と対向する位置に前記軸受の軸受穴に嵌挿可能に構成された支持軸を突出形成し、前記回動部材の軸受の軸受穴に前記ベース部材の支持軸を嵌入することにより回動部材をベース部材により回動可能に支持したことを特徴とする小形回動部材の軸受機構。
【請求項2】
請求項1に記載の小形回動部材の軸受機構において、前記小形回動レバーを剛性の高い樹脂で構成し、前記ベース部材を弾性の高い樹脂により構成したことを特徴とする小形回動部材の軸受機構。
【請求項3】
請求項2に記載の小形回動部材の軸受機構において、前記小形回動レバーを構成する高剛性の樹脂としてポリフェニレンサルファイド樹脂を使用し、前記ベース部材を構成する高弾性の樹脂としてポリアミド樹脂を使用したことを特徴とする小形回動部材の軸受機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−2573(P2013−2573A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−135429(P2011−135429)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(508296738)富士電機機器制御株式会社 (299)
【出願人】(390021186)株式会社秩父富士 (54)
【Fターム(参考)】