説明

小生物捕獲用粘着性組成物

【課題】小生物捕獲用粘着性組成物としての粘着力に優れ且つ被塗布材への塗布作業性に優れ、粘着性組成物の原材料の入手が容易で且つ粘着性組成物製造時の作業性の優れた小生物捕獲用粘着性組成物を提供する。
【解決手段】(A)数平均分子量200 〜1200 の液状ポリブテン70 〜98質量%、および
(B)メルトインデックスが0.04 〜35の高圧法ポリエチレン1.0〜8.0質量%、および
(C)ムーニー粘度ML1+8(125℃)30〜60のブチルゴム1.0〜8.0質量%、および
(D)脂環式炭化水素樹脂5〜29質量%より成る組成物を小生物捕獲用粘着組成物とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネズミ、ゴキブリ、ハエ等の小生物を捕獲するのに適した粘着性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ネズミ、ゴキブリ、ハエ等の有害小生物の駆除は生活環境の改善面から重要な課題である。特にげっ歯類による被害は膨大なものであり、中でもネズミは、農産物、食品はもちろんのこと、鉛管を食い破ってガス漏洩を起こしたり、電灯線を露出させ火災を起こすこともある。これらの小生物の駆除方法として従来からいくつかのものが提案され実施されているが、それらの中で最も簡便なものとして、粘着性を有する捕獲剤を厚紙、ボール紙、木板、プラスチックフイルム、シートなどの被塗布材料に塗布し、小生物の通路に設置する方法がある。この場合、捕獲剤は塗布作業性にすぐれかつ粘着性にもすぐれているという要請を満たさなければならない。さらに、あらかじめ被塗布材料に塗布しておく場合などには、保存中又はこれを使用中に捕獲剤が被塗布材料から流れ出したり、あるいは被塗布材料に浸透してにじみ出したりして使用不能になったり床を汚すようなことがあってはならない。
【0003】
この種の小生物捕獲剤としては、例えばポリブテン86 %、ブチルゴム10 %およびたれ防止剤としてのパラフイン4 %より成る組成物(特許文献1)、ポリブテン80部、ブチルゴム10 部およびロジン、シリカゲル、ポリエチレン計40部より成る組成物(特許文献2)、ポリイソブテン(50℃ における粘度が1000ポイズ)またはポリイソブテンと天然ゴムとの80:20混合物100質量部に対し、それぞれ有機ベントナイト2〜40質量部あるいはコロイダルシリカ0.5〜8質量部を配合した組成物(特許文献3、特許文献4)、またブチルゴム5 質量%、ポリブテン35質量%、およびロジンエステル、トルエン、キシレン計60質量%より成る組成物(特許文献5)などが開示されている。また、ポリブテン80質量%、ブチルゴム16質量%およびポリエチレン4質量%からなる組成物(特許文献6)、さらには、分子量が異なる二種類の液状ポリブテンの混合物80〜98質量%、粘度平均分子量が100万〜250万のポリイソブチレンゴム1〜10質量%、特定の性状を有する高圧法ポリエチレン1〜10質量%からなる組成物が開示されている(特許文献7)。
【0004】
しかし、これらの例は、いずれも前記の要請のすべてを満たすものではない。具体的には、パラフインワツクスを用いた組成物においては、少量の添加では流れ出し防止効果が十分でなく、一方十分な量を添加すれば、塗布後の時間経過とともに、ワックス分が粘着層の表面に移動し、粘着力を低下させるため、捕獲能力が著しく低下する。高価な有機ベントナイトあるいはシリカを用いた組成物においては、比較的流れ出し防止効果や粘着力の面で良好であるが、これら粉状物は嵩高く混合時に空気を巻込んで、混合後の脱泡など製造時の手間あるいはコストの面から好ましくない。
また、ブチルゴム、ポリブテン、およびロジンエステル、トルエン、キシレンより成る組成物は揮発性の芳香族溶剤を使用するため臭気の問題がある。さらには当該粘着性組成物を塗布した塗膜を小生物捕獲用に設置して長時間経過中に溶剤が揮散し、塗布膜が硬化し、捕獲能力が低下する問題も避けられない。また、ポリブテン、ブチルゴムおよびポリエチレンからなる組成物は粘着性組成物の粘着性と塗布作業時の作業性の双方を満足させることは出来ない。
また、特開昭2007−177104で開示されている、ポリイソブチレンゴムを用いるものは、粘着力は優れているものの、ポリイソブチレンゴムの分子量が非常に大きいため、混練してポリブテンに溶解するのに時間がかかるという欠点を有する。また、ポリイソブチレンゴムは供給元が限られ、高価な上に安定供給に問題がある。また、2種類の液状ポリブテンを用いるなど、作業上の手間も大きい。
【特許文献1】特公昭48−16617号公報
【特許文献2】特開昭52−105217号公報
【特許文献3】特開昭51−125123号公報
【特許文献4】特公昭53−18586号公報
【特許文献5】特開昭52−98161号公報
【特許文献6】特公平2−57521号公報
【特許文献7】特開昭2007−177104号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、小生物捕獲用の粘着性に優れ、粘着性組成物の製造時あるいは製造された粘着性組成物の塗布作業時の作業性に優れ、さらには、塗布後の粘着性組成物の流れ出しが無い、などの諸要請に応える優れた性能を有し、しかも原材料の入手が容易で且つ安価な小生物捕獲用粘着性組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
(A)数平均分子量200 〜1200の液状ポリブテン70〜98質量%、および
(B)メルトインデックスが0.04 〜35の高圧法ポリエチレン1.0〜8.0質量%、
(C)ムーニー粘度ML1+8(125℃)30〜60のブチルゴム1.0〜8.0質量%、および
(D)脂環式炭化水素樹脂5〜29質量%より成る(全体を100質量%とする)ことを特徴とする小生物捕獲用粘着性組成物に関するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、液状ポリブテン、ポリエチレン、ブチルゴムからなる組成物にさらに脂環式炭化水素樹脂を加えることにより、従来のポリブテン、ポリエチレン、ブチルゴム、ロジンあるいはシリカゲルからなる組成物と比較して、小生物に対する粘着性に優れ、製造時の作業性および粘着性組成物の塗布作業の作業性等に優れ、さらには塗布後の粘着性組成物の流れ出しなどの欠点の無い、安価で且つ優れた性能を有する小生物捕獲用粘着性組成物を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明について更に詳しく述べる。
本発明で用いる(A)液状ポリブテンは、数平均分子量が200 〜1200の範囲のものである。さらに好ましい数平均分子量の範囲は400〜1200のものである。この液状ポリブテンは例えばナフサ分解により生成するいわゆるC4留分のうちブタジエンを除いたブタン−ブテン留分を重合することにより製造できる。これらのポリブテンは、例えば日石ポリブテン(新日本石油(株))の商品名で市販されている。ポリブテンの数平均分子量が200より小さい場合には、引火点が低くなるため、本粘着性組成物の製造時もしくは調理場等の火気のある所で使用する際の安全性が低下する。また、得られた粘着性組成物の粘着力が低下するため好ましくない。また数平均分子量が1200より大きい場合には、粘着性組成物の溶融粘度が大きくなりすぎるため、円滑な塗布作業が不可能となる。
【0009】
高圧法ポリエチレンとは、エチレン単独又はエチレンと他のオレフィン(例えば、ブテン、ペンテン、ヘキセン等)を高圧重合法において重合したものであり、密度が0.92〜0.93のものを意味する。本発明で用いる(B)高圧法ポリエチレンは、メルトインデックスが0.04〜35、好ましくは0.1〜20のものである。メルトインデックスが0.04より小さいものは液状ポリブテンへの溶解に高い温度と長時間を要し、またこの範囲より大きいものは粘着性、捕獲剤の流れ出し防止効果およびにじみ出し防止効果の十分なものは得られない。高圧法ポリエチレンは例えば、商品名ノバテックLJ600(日本ポリエチレン(株))を入手して使用することが出来る。高圧法ポリエチレンは単独でも複数使用してもよい。
【0010】
本発明で用いる(C) ブチルゴムとはムーニー粘度ML1+8(125℃)30〜60、好ましくは45〜55のブチルゴムである。これらのブチルゴムは例えば、BUTYL268(JSR(株)製)の商品名で市販されている。ムーニー粘度ML1+8(125℃)が30より小さい場合には製造された粘着性組成物の粘着力が不十分であり、小生物に対する捕獲性が低下する。一方、60より大きい場合はポリブテンに対する溶解に時間が掛かりまた製造された粘着性組成物の溶融粘度が非常に高粘度となるため被塗布材料面に円滑に塗布することが困難となる。
【0011】
本発明に用いる(D)脂環式炭化水素樹脂とはシクロペンタジエンあるいはアルキルシクロペンタジエンの如き脂環式オレフィン系化合物を、酸触媒を用いて重合して得た樹脂或いはアルケニル芳香族炭化水素を酸触媒を用いて重合した後、芳香環を核水素化して得た樹脂などが挙げられる。これらの脂環式炭化水素樹脂は例えば商品名Escorez5300(Exxon Mobil Chemical社製)として市場から入手できる。
【0012】
本発明における液状ポリブテンの配合割合は、組成物全体に対して70〜98質量%、好ましくは75〜85質量%である。液状ポリブテンの配合割合が70質量%よりも少ないと塗布膜の伸展性が低下し、表面の凹凸の生成等、塗布加工性に劣る傾向にある。また、98質量%よりも大きいと塗布膜の耐流れ出し性に劣る傾向にある。
【0013】
本発明における高圧法ポリエチレンの配合割合は組成物全体に対して1.0〜8.0質量%、好ましくは2.0〜6.0質量%、さらに好ましくは3.0〜4.5質量%の範囲である。配合割合が1.0質量%よりも小さいと、塗布膜の耐流れ出し性が劣る。一方8.0質量%よりも大きいと、塗膜形成性が低下し、表面の凹凸の生成等、塗布膜の加工性に劣る。
【0014】
ブチルゴムの配合割合は組成物全体に対して1.0〜8.0質量%、好ましくは2.0〜6.0質量%、さらに好ましくは2.5〜4.5質量%の範囲である。配合割合が1.0質量%よりも小さいと、粘着力が十分に得られず、また8.0質量%よりも大きいと、溶融粘度が極めて大きくなり塗布時の加工性に劣る。
【0015】
本発明においてはその構成成分として、上記3種の成分に加えて脂環式炭化水素樹脂を加えることが必要である。脂環式炭化水素樹脂を用いることにより、粘着力と塗布時の作業性の双方が優れた粘着性組成物を得ることが出来る。脂環式炭化水素樹脂を用いずに粘着性組成物を製造した場合、塗布時の作業性が優れた組成物を得ようとした場合、その組成物は粘着力に劣るものしか得られない。一方、脂環式炭化水素樹脂を用いずに粘着力が満足できる組成物を製造した場合、その組成物は溶融粘度が極めて大きく、塗布作業性の劣るものとなり、何れも本発明の目的とする、粘着力と塗布時の作業性の双方が優れた粘着性組成物は得られない。脂環式炭化水素樹脂の配合割合は組成物全体に対して5〜29質量%、好ましくは7〜20質量%、さらに好ましくは9〜15質量%の範囲である。配合割合が5質量%よりも小さいと粘着性組成物の溶融粘度が高くなりすぎ、塗布性に問題が生じ、29質量%よりも大きいと溶融粘度が低くなりすぎ、その結果粘着物の耐フロー性が劣り好ましくない。また、塗布膜の粘着力が低く、小生物の捕獲性能に問題が生ずる。
【0016】
本発明の粘着性組成物は、(A)〜(D)成分を溶融混練することにより製造することが出来る。溶融混練する方法は特に限定されたものではなく、公知の方法を用いて行うことが出来る。例えば、(A)〜(D)の各成分が溶融する温度条件下に、混練機を用いて強制的に攪拌するなどの方法を用いることが出来る。練装置としては公知の攪拌翼付きの釜等が好ましく使用できる。
混練方法としては、例えば、主成分である液状ポリブテンを加熱しておいて、そこに他の成分を順次または同時に加えて、混練する方法が好ましい。この一連の作業を行うのに好ましい温度範囲は、160℃〜170℃である。作業時間は、数量に応じて適宜調整するが、5〜7時間が好ましい。
【0017】
また、得られた粘着性組成物を基材に塗布する方法は、公知のドクターナイフ法、ドクターブレード法等がいずれも好ましく使用できる。塗布時の粘着性組成物の温度は、160℃〜170℃が好ましい。
【0018】
本発明の組成物は有機溶剤を用いないので特異な臭気を有しないから、ネズミが忌避することがないし、誘引剤の効果を阻害することもない。また、ベントナイトやシリカのような嵩高な充填剤を用いないので、混練作業中に泡立ちを生じて、製造作業の継続を困難にするという問題も無い。本発明の粘着性組成物は、ネズミ等のげっ歯類小生物の捕獲に有効であるのはもちろん、それ以外の例えばゴキブリ等の有害小生物の捕獲にも使用できる。
なお、本発明の粘着性組成物は、適用する用途に応じて、その要求性能を損なわない範囲において、上記必須構成成分の他、必要に応じてプロセス油、動植物油、高分子可塑剤、軟化剤、着色剤、酸化防止剤、老化防止剤、香料、誘引剤、飼料等を適宜配合することが出来る。
【実施例】
【0019】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0020】
<実施例1〜3および比較例1〜6>
以下に示す材料を用いて、表1に示す配合割合にしたがって各種の粘着性組成物を調製した。
ブチルゴム;JSR社製 BUTYL268、ムーニー粘度ML1+8(125℃)51
ポリイソブチレンゴム;Exxon Mobil Chemical社製 Vistanex L-120、 重量平均分子量166万
高圧法ポリエチレン;日本ポリエチレン(株)製、ノバテックLJ600、MFR5.5、密度0.93、融点(DSC法)108℃
液状ポリブテンA;新日本石油化学(株)製、日石ポリブテンHV-100、数平均分子量980
液状ポリブテンB;新日本石油化学(株)製、日石ポリブテンHV-300、数平均分子量1400
脂環式炭化水素樹脂A;Exxon Mobil Chemical社製 Escorez5300、融点105℃
脂肪族炭化水素樹脂B;Exxon Mobil Chemical社製 Escorez1304、融点100℃
【0021】
粘着性組成物の調製方法は以下のとおりである。すなわち、170℃に加熱した液状ポリブテンに、他の成分を逐次加えて、温度を170℃に保持して各成分が均一に溶解するまで攪拌した。比較例4は特開昭2007−177104で開示されている、ポリイソブチレンゴムを用いるもので、粘着力は優れているものであるが、ポリイソブチレンゴムの分子量が非常に大きいため、混練してポリブテンに溶解するのに他の例に比べて著しく長い時間がかかった。次に、これらの粘着性組成物の溶融粘度および粘着力の性能を評価した。評価結果を表1に示す。なお、評価方法は以下のとおりである。
【0022】
<評価方法>
溶融粘度:JIS−K7117に準拠し、160℃に於ける溶融粘度を測定した。溶融粘度は粘着性組成物を被塗布面に塗布する際の作業性に影響する。表には溶融粘度の数値に加えて、塗布性能の評価も併記した。評価は以下のように行った。すなわち、170℃の粘着性組成物を、所定の寸法に打ち抜かれたステンレス製の型枠を用いて台紙の表面に厚さ2mmで塗布した。粘着性組成物が硬すぎず均一に塗布され、かつ塗布中あるいは塗布後の粘着性組成物の流れ出しも無かった(○)。粘着性組成物が硬すぎて均一に塗布することが難しかった(×)。塗布作業中あるいは塗布後の粘着性組成物の流れ出しが認められた(△)。
指触タック:塗布面に塗布した粘着性組成物表面に指を接触させ、指触タックを調べた。
評価 ×:指に殆ど付着しない。また、伸びが無くゴム弾性が無い。
△:指に付着するものの、ゴム弾性に欠ける。
○:指に付着し、かつ伸びがありゴム弾性がある。
粘着力:プローブタック法(JIS−Z0237補足事項)に準拠し、塗布面に塗布した粘着性組成物を直径5mmの金属柱の端面に接触させ、金属柱を塗布面から引き離すのに必要な力を23℃において引張試験機により測定した。粘着力は小生物の捕獲性能に影響する。
【0023】
【表1】

【0024】
表1から明らかなように、液状ポリブテン、高圧法ポリエチレン、ブチルゴム、脂環式炭化水素樹脂からなる、実施例1〜3に示す本発明の粘着性組成物は、適切な溶融粘度を有し、指触タック、粘着力も良好である。すなわち小生物の捕獲性と塗布時の作業性双方に優れているものである。また、実施例1〜3を比較することにより、脂環式炭化水素樹脂の配合割合を調整することにより、所望の粘着力と溶融粘度に調整できることが分かる。
【0025】
これに対し、脂環式炭化水素樹脂を配合しない比較例1は塗布時の作業性は優れているが、粘着力に劣る。ブチルゴムの配合割合を大きくし、かつ、粘度が大きい液状ポリブテンを併用して粘着力を実施例1,2に合わせた比較例2では、粘着力は優れているが溶融粘度が大きく、塗布時の作業性に劣る。また、炭化水素樹脂として脂環式炭化水素樹脂の代わりに脂肪族炭化水素樹脂を用いた比較例3は、塗布時の作業性は優れているが、粘着力に劣る結果であり、樹脂B由来と思われる粘着物の臭気も強かった。比較例4は現在市販され、小生物捕獲用粘着性組成物として広く用いられているものであり、粘着力、塗布作業性ともに優れた実績を持つものである。表から明らかなように、実施例1、2および3は比較例4と比べて勝るとも劣らない粘着力と塗布作業性を有する。さらに、比較例4は本願のブチルゴムの代わりに超高分子のポリイソブチレンゴムを用いる。そのため、表1に示すように、混練作業時において混練物が均一になるまでの時間が長く、粘着性組成物の製造時の作業性に問題があった。また、液状ポリブテンも2種類使用することが必要で、この点でも製造作業は煩雑であった。
また、脂環式炭化水素樹脂の使用割合が少なすぎる組成物(比較例5)は溶融粘度が高過ぎ、塗布作業性に問題があった。また脂環式炭化水素樹脂の使用割合が多すぎる配合物(比較例6)は、塗布面が硬すぎるものとなり、そのため粘着力が無く、小生物の捕獲性が劣る。また、溶融時の粘度が低すぎるため、塗布作業時に広がりが大きくなりすぎ形状を保つことが困難であった。
それに対し実施例1、2および3で例示される本発明の粘着性組成物は塗布作業時の作業性と小生物捕獲性能の双方に優れている。また、粘着性組成物の製造時の均一化に要する時間も短く、製造時の作業性にも優れたものである。また、被塗布材料に塗布後の塗布膜も小生物捕獲場所に設置中に流れ出したり、被塗布材料に滲み出して使用不能になったり周りを汚したりすることは無く、塗布膜の保存性も優れたものであった。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明により、ネズミ等のげっ歯小生物に対し優れた捕獲性を有する粘着性組成物を提供できる。また、本発明の小生物捕獲用粘着性組成物は、製造時の作業性に優れていることから経済的に製造可能である。さらに、当該粘着性組成物は塗布作業性に優れていることから、被塗布材料への塗布作業も経済的に実施可能である。
これらのことから、本発明の小生物捕獲用粘着性組成物は、ネズミ等のげっ歯小生物を効率的かつ経済的に駆除することができ、それによりこれらのげっ歯小生物による農産物や食品の被害、さらには鉛管や電灯線の被害を経済的かつ効果的に防止できるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)数平均分子量200 〜1200 の液状ポリブテン70 〜98 質量%、および
(B)メルトインデックスが0.04 〜35の高圧法ポリエチレン1.0〜8.0質量%、
(C)ムーニー粘度ML1+8(125℃)30〜60のブチルゴム1.0〜8.0質量%、および
(D)脂環式炭化水素樹脂5〜29質量%より成る(全体を100質量%とする)ことを特徴とする小生物捕獲用粘着性組成物。

【公開番号】特開2009−203446(P2009−203446A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−50228(P2008−50228)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【出願人】(000004444)新日本石油株式会社 (1,898)
【Fターム(参考)】