説明

少なくとも部分的にセラミックスのハニカム構造物と測定センサ用収容部とを備えたハニカム体およびそのハニカム体の製造方法

外被管(3)の中に流体が貫流できる少なくとも部分的にセラミックスのハニカム構造物(2)を備え、このハニカム構造物(2)が空洞(4)を有している、特に自動車の排気装置に利用される本発明に基づくハニカム体(1)は、ハニカム体(1)が長手方向(10)において少なくとも2つの軸方向の部分領域(11、12、13)を有し、その場合、ハニカム構造物(2)が少なくとも1つの軸方向の固定領域(11)において外被管(3)に結合され、ハニカム構造物(2)に測定センサ(8)を収容するための凹所(14)を備えた軸方向の測定センサ領域(12)が形成されていることを特徴とする。本発明に基づくハニカム体は、固定領域(11)における外被管(3)とハニカム構造物(2)との好適な摩擦結合および/またはかみ合い結合に基づいて、外被管(3)とセラミックスハニカム構造物(2)との永久的結合を有し、凹所(14)の形成にもかかわらず、測定センサ領域(13)におけるハニカム構造物(2)の徐々に進行する損傷が有利に防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、外被管の中に配置され空洞を有し流体が貫流できる少なくとも部分的にセラミックスのハニカム構造物を備えているハニカム体にある。かかるハニカム体は、好適には、自動輸送機器の排気装置に、特に触媒担体やフィルタ体として使用される。また本発明はそのハニカム体の製造方法に関する。
【0002】
ハニカム体は、通常、金属ハニカム構造物あるいはセラミックハニカム構造物で形成されている。これらのハニカム体は、例えば自動車のような自動輸送機器の排気装置に特に触媒担体やフィルタ体として採用されている。世界的に多くの国々で、自動輸送機器の排気ガスに含まれる所定の成分に対して限界値が定められている。これらの限界値は、内燃機関の排気ガスに触媒処理が施されることでしか規定通りに守れない。排気ガスの所定の成分に対してますます厳しく要求される極めて高い転換率は、排気ガスに対して広い反応面積が用立てられることでしか守れない。従って、過大なハニカム体を形成する必要がないようにするため、非常に高いセル密度(通路密度)のハニカム体、即ち、単位面積当たり多数の空洞あるいは通路を有するハニカム体が開発される趨勢にある。しかしこれは、空洞を画成する壁が小さなセル密度のハニカム体に比べてかなり薄く形成されることを条件づける。同時に多くの排気装置は、法規制された限界値を遵守するために、排気装置内における測定センサによる排気ガスの組成測定を必須要件とするエンジン制御装置の制御を必要とする。例えば通常、空燃比についての情報を得るために、排気装置内にラムダ・ゾンデ(ラムダセンサ)が採用されている。
【0003】
しかし正にセラミックスハニカム構造物の場合、ラムダセンサあるいは全般的な測定センサのハニカム構造物への設置は、ハニカム構造物の部分部位に測定センサがはめ込まれる凹所を設けねばならないため、ハニカム構造物に弱点部を生じさせる。しかしハニカム構造物のそのような初めからの弱点部は、特に外被管がハニカム構造物に摩擦結合および/またはかみ合い結合されている場合、既に存在する弱点部のためにハニカム構造物を徐々に損傷させる。これは、排気装置におけるハニカム体の運転中にハニカム体に大きな熱的勾配および/または過渡現象を生じさせる加熱過程および冷却過程が定常的に存在するので、ハニカム構造物に外被管により外側から作用する変動力のために、ハニカム構造物の損傷を徐々に進行させる。
【0004】
本発明の課題は、従来技術について述べた問題を少なくとも低減すること、および、特にハニカム構造物に測定センサ用凹所を形成するにもかかわらず、ハニカム構造物が外被管の中に確実に保持され、他方でハニカム構造物の徐々に進行する損傷が防止されるように外被管がハニカム構造物に結合されているハニカム体およびその製造方法を提案することにある。
【0005】
この課題は、独立請求項に記載の特徴を有するハニカム体および製造方法によって解決される。有利な実施態様がそれぞれの従属請求項に記載されている。
【0006】
本発明に基づくハニカム体は特に自動輸送機器の排気装置に使用される。本発明に基づくハニカム体は、外被管の中に流体が貫流できる少なくとも部分的にセラミックスのハニカム構造物を備え、ハニカム構造物が空洞を有している。ハニカム体はその長手方向に少なくとも2つの軸方向部分領域を有し、ハニカム構造物が少なくとも1つの軸方向の固定領域において外被管に結合され、ハニカム構造物に少なくとも1つの測定センサを収容するための凹所を備えた少なくとも1つの軸方向の測定センサ領域が形成されている。
【0007】
特に本発明に基づくハニカム体において、ハニカム構造物は固定領域だけで外被管に結合されている。また測定センサ領域では外被管とハニカム構造物との直接結合部が形成されていないと有利である。本発明において、“自動輸送機器”とは、乗用車やトラックのような自動車、自動2輪、4輪バイク、船舶および/または航空機を意味する。本発明における“少なくとも部分的にセラミックスのハニカム構造物”は、金属部分も有し、例えばセラミック壁に組み入れられた金属補強構成要素あるいは金属線要素も有する。押出し成形で製造されたハニカム構造物が有利である。ハニカム構造物は例えば排気ガスのような流体が透過できない壁を有し、従ってここでは空洞、例えば通路が流体で貫流される。しかし壁の少なくとも一部を多孔質材料、特に多孔性セラミックスで形成することもできる。ハニカム構造物の少なくとも一部の空洞を閉鎖することもできる。本発明に基づくハニカム体は特に触媒担体としてあるいはフィルタ体として、特に好適にディーゼル粒子フィルタとしても適している。
【0008】
好適には、外被管は測定センサが通される孔を有している。この孔の寸法は、好適には、ハニカム構造物の凹所の寸法と実質的に一致している。また、測定センサをハニカム体に結合する手段、特に気密結合する手段が、有利な様式で形成され、特に測定センサのねじに対応したねじが形成される。
【0009】
本発明に基づくハニカム体において、測定センサはハニカム構造物の凹所に入れられ、その凹所は確かにハニカム構造物の弱点部となるが、この弱点部は、固定領域に相応の固定部が形成されることにより、ハニカム構造物を徐々に損傷させることはない。特に固定領域に、外被管とハニカム構造物との摩擦結合部、かみ合い結合部および/または物質結合部が形成される。さらに本発明に基づいて、特に外被管とハニカム構造物との間にそれらの結合も生じさせる中間要素を配置することもできる。この中間要素は例えば膨張マットである。膨張マットは特に種々のセラミック繊維と鉱物との混合物から成り、鉱物は場合によっては取扱い性を向上するために紙繊維と結合されている。鉱物成分として例えばバーミキュライト粒子が膨張マットに混入されている。この粒子は、高温時に膨張による可逆的水放出によって膨張マットの厚さを変化させる層状珪酸塩である。この膨張マットは特に運転温度の上昇時にハニカム構造物を外被管に能動的に締付け固定する。従って、外被管とハニカム構造物とが摩擦結合および/またはかみ合い結合されている場合、その結合は触媒担体の運転温度のような高温時でも保たれる。本発明に基づくハニカム体は、外被管とハニカム構造物との結合を形成する保持力が好適に固定領域にしか加えられないので、長期間にわたりハニカム体の損傷のない高い運転安全性が得られる。
【0010】
本発明に基づくハニカム体の有利な実施態様において、ハニカム体は、ハニカム構造物と外被管との間にシール手段が配置されている軸方向のシール領域を有する。
【0011】
このシール手段はハニカム構造物の周りに迂回する排気ガスのバイパス流を有利に防止する。全周範囲にわたって漏れ止め作用をするシール手段を形成すると特に有利である。このような場合、シール手段は好適に全周にわたって形成される。シール手段として特に、セラミック繊維マット、膨張マットおよび/またはマイカ(雲母)が適している。特に、シール手段が、シール領域において外被管とハニカム構造物との間に摩擦結合および/またはかみ合い結合が発生されないように形成されていると有利である。もっとも本発明に基づいてこのシール領域に非常に弱い結合部を設け、それにより、シール手段として形成された膨張マットの加熱時に生ずる力が、シール領域および/または測定センサ領域においてハニカム体を損傷させないほど小さくなるようにすることもできる。
【0012】
本発明に基づくハニカム体の他の有利な実施態様において、測定センサ領域が長手方向においてシール領域と固定領域との間に形成されている。特にシール領域はハニカム体の端面の部位に形成されている。
【0013】
その場合、シール領域によって特に有利に、ハニカム体の前方部位に後方部位におけるより低い転換率を生じさせてしまうハニカム構造物を迂回する排気ガスのバイパス流が防止される。この関係において、シール領域がハニカム体の端面の方向への吹き出し防止体を有していると有利である。吹き出し防止体はシール領域の吹き出しを防止するために用いられる。かかる吹き出しは例えば、激しく脈動する排気ガスがシール領域の端面に衝突することによって生ずる。吹き出し防止体は例えば、シール領域の端面側終端部の周りに敷設され、好適にはそこに接合技術的に結合される薄い金属箔で構成される。吹き出し防止体とシール領域との摩擦結合および/またはかみ合い結合も本発明に基づいて可能である。例えば吹き出し防止体とシール領域とをフランジ結合あるいは他の機械式クランプ結合することができる。特に、ハニカム体の排気ガス入口側端面の部位に吹き出し防止体を配置すると有利である。
【0014】
本発明に基づくハニカム体の他の有利な実施態様において、ハニカム構造物と外被管との結合が、
a)摩擦結合、
b)かみ合い結合、
c)物質結合、
のうちの少なくとも1つの結合方式で形成されている。
【0015】
ここでは、固定領域において外被管とハニカム構造物との間に圧力嵌めによる摩擦結合あるいはかみ合い結合が形成されると有利である。この場合、少なくとも固定領域においてハニカム構造物と外被管との間に膨張マットが配置されると有利である。
【0016】
外被管とハニカム構造物との結合部は、固定領域に加えられた保持力が場合によりシール領域および/または測定センサ領域においてハニカム構造物に加えられた保持力より大きい、好適にはかなり大きいように形成されると特に有利である。これは特に、ハニカム体が受ける考え得る温度範囲にわたって平均化された平均保持力に対しても当てはまる。特にその結合部は、固定領域における保持力がシール領域および/または測定センサ領域における保持力より小さいか又はそれと同じとなる温度範囲内の温度、特に900℃までの温度が存在しないように形成されている。また、シール領域および/または測定センサ領域における保持力に対する固定領域における保持力の商が1.5であるかそれより大きく、好適には、2であるかそれより大きく、特に3又は4であるかそれより大きくなるように、外被管とハニカム構造物との結合部が形成されていると有利である。またこの関係は平均保持力に対しても適用され、その平均は、軸方向、半径方向および/または円周方向において行われ、あるいは温度範囲にわたっても、特に自動輸送機器の排気装置において運転中にハニカム体が受ける温度範囲にわたっても行われる。
【0017】
本発明に基づくハニカム体の他の有利な実施態様において、固定領域において外被管とハニカム構造物との結合が、軸方向および/または円周方向部分部位に形成されている。
【0018】
その結果、外被管が固定領域全体においてハニカム構造物に結合される必要はない。結合が生じさせられている円周方向部分部位並びに軸方向部分領域が形成される。これは特に、外被管の相応の部分部位が他の部分部位より小さな内径を有するか、あるいは外被管とハニカム構造物との間に位置するマットが異なった膨張挙動の部分部位あるいは異なった厚さの部分部位を有していることによって行われる。また、その代わりにあるいはそれに加えて、ハニカム構造物に大きな外径の相応の部位を形成すると有利である。
【0019】
本発明に基づくハニカム体の他の有利な実施態様において、少なくとも1つの部分領域においてハニカム構造物と外被管との間にフレキシブルマットおよび/または弾性マットが配置されている。
【0020】
そのマットは好適には、膨張マット、繊維マット、特にセラミック繊維マットおよび/またはマイカを含むマットである。
【0021】
本発明に基づくハニカム体の他の有利な実施態様において、少なくとも1つの部分領域においてハニカム構造物と外被管との間に、膨張マット、セラミック繊維マットおよび/またはマイカ中間層が配置されている。
【0022】
特にここでは、ハニカム構造物全体が、固定領域に相当する部分領域を有するマットで取り囲まれる。この部分領域に相応に膨張する部分部位が形成され、この部分部位が、ハニカム構造物および/または外被管が加熱されたときも外被管とハニカム構造物との摩擦結合および/またはかみ合い結合を生じさせる。かかるマットは測定センサ領域に相当する別の部分領域を有する。この部分領域に膨張可能な部位は形成されず、またこの部分領域は測定センサを通すための孔を有している。場合によっては例えばシール領域に相当する他の部分領域に、膨張可能な部位が配置される。
【0023】
本発明に基づくハニカム体の他の有利な実施態様において、外被管は測定センサ領域に固定領域の第1内径より大きい第2内径を有している。
【0024】
これは、外被管とハニカム構造物との摩擦結合を主に固定領域に限定する本発明に基づく他の手段となる。このような場合において、外被管とハニカム構造物との間に膨張マットが配置されているとき、測定センサ領域における大きな第2内径は、膨張マットの膨張特性を相応に形成すると、常温時に摩擦結合が固定領域だけに生じさせられ、測定センサ領域には外被管とハニカム構造物との摩擦結合が形成されないようにさせる。これは、ハニカム体の加熱時も、加熱状態における膨張マットの厚さと常温時における厚さとの差が第2内径と第1内径との差に一致しているとき、測定センサ領域における力の付与を生じさせない。
【0025】
本発明に基づくハニカム体の他の有利な実施態様において、少なくとも測定センサ領域における外被管の少なくとも円周方向および/または軸方向部分部位が外側に湾曲されている。この場合、測定センサ用凹所の領域に外側に湾曲された円周方向部分部位が存在すると特に有利である。即ち、この敏感な部分部位に、外被管とハニカム構造物との異なった熱膨張に基づいて力が導入されることが一層確実に防止される。
【0026】
本発明に基づくハニカム体の他の有利な実施態様において、測定センサ領域は、ハニカム体の前方端面からその後方に、20〜60mm、好適には30〜50mm、特に有利に35〜45mmの距離を隔てて形成されている。
【0027】
この距離は、測定センサ用凹所の中央点で計算されるが、全く同様に、その凹所の周縁点を基準点として利用することもできる。特に長いハニカム体の場合、ハニカム体の前方3分の1の範囲に測定センサを配置すると有利である。
【0028】
本発明の他の課題に応じて、
a)測定センサを収容するための少なくとも1つの凹所を備え流体が貫流できる少なくとも部分的にセラミックスのハニカム構造物が準備され、
b)外被管に測定センサを挿入するための少なくとも1つの孔が開けられ、
c)ハニカム構造物が外被管の中に入れられ、ハニカム構造物が少なくとも1つの軸方向固定領域において外被管に結合され、
前記c)工程前あるいはc)工程中、外被管の孔とハニカム構造物の凹所とがc)工程後に少なくとも部分的に重なり合うように、ハニカム構造物と外被管とが互いに相対的に位置合わせされる。
【0029】
前記c)工程前あるいはc)工程中、ハニカム構造物と外被管とが互いに相対的に位置合わせされ、c)工程後に外被管の孔は、その孔を通して凹所の中に測定センサを挿入することができ、即ち、孔と凹所とが互いに特に少なくとも部分的に重なり合っているようにハニカム構造物の凹所の上に位置していることが保証される。そのようにして、外被管へのハニカム構造物の挿入前に、まず、ハニカム構造物の長手軸線と外被管の長手軸線とが平行に整列され、続いて、外被管へのハニカム構造物の挿入後に孔と凹所とが互いに重なり合うように孔と凹所とが一致するまで、ハニカム構造物および/または外被管の回転が行われる。その後、外被管へのハニカム構造物の挿入が行われる。
【0030】
特に、c)工程中および/またはc)工程前、ハニカム構造物と外被管との間に中間層が設けられる。その中間層は、好適には、
膨張マット
セラミック繊維マット
マイカ中間層、
多孔性金属マット、
弾性マット、
フレキシブルマット、
のうちの少なくとも1つの材料を有している。
【0031】
好適には、中間層は非均質である。特に、圧縮率、中間層厚および/または膨張挙動の温度依存性が中間層にわたって変化し、これにより、かかる中間層によって、外被管とハニカム構造物との間の立体的選択的結合が、特に専ら少なくとも1つの固定領域に形成される。基本的には外被管とハニカム構造物との結合は好適にはかみ合い結合で行われる。固定領域に対応した中間層の部分は、外被管とハニカム構造物との結合が外被管および/またはハニカム構造物の加熱時でも維持されるように形成されている。多孔性金属マットとは特にワイヤ織物マットを意味する。
【0032】
本発明に基づくハニカム体の他の有利な実施態様において、c)工程は、ハニカム構造物の周りに少なくとも2つの外被管部分の結合部を含んでいる。それは特に二重殻缶詰(canning)として採用されるいわゆる多重殻缶詰である。この場合、外被管は互いに結合される2つの管半部から構成される。外被管部分間の結合は特に溶接によって物質結合で行われる。外被管部分の結合によって有利に、外被管部分とハニカム構造物との間における少なくとも1つの部分領域に位置する中間層、例えば膨張マットが、外被管とハニカム構造物との摩擦結合を中間層によって生じさせるように圧縮される。
【0033】
本発明に基づく方法の他の有利な実施態様において、c)工程において、
ハニカム構造物が圧縮性マットで取り囲まれ、
マットで取り囲まれたハニカム構造物が、マットを圧縮した状態で外被管の中に押し込まれる。
【0034】
それはいわゆる詰め込み缶詰(plug canning)である。マットの圧縮によって、外被管とハニカム構造物との摩擦結合が生じさせられる。
【0035】
本発明に基づく方法の他の有利な実施態様において、外被管がc)工程においてハニカム構造物の周りに少なくとも1つの層で巻回される。
【0036】
本発明に基づくハニカム体に対して開示された詳細と利点は、本発明に基づく方法に適用および転用される。同様に本発明に基づく方法に対して開示された詳細と利点は、本発明に基づくハニカム体に転用および適用できる。
【0037】
以下において図を参照して本発明の他の利点および実施例を詳細に説明する。なお本発明は図示された実施例、利点および詳細に限定されない。
【0038】
図1は外被管3内にセラミックハニカム構造物2を有する本発明に基づくハニカム体1を示している。ハニカム構造物2は流体が貫流できる多数の空洞(通路)4を有している。この実施例において、空洞4はハニカム体1の第1端面5から第2端面6まで通して延びている。しかし少なくとも一部の空洞4が少なくとも部分的に閉じられていることも可能である。特に、空洞4を形成する壁7が少なくとも部分的に流体が貫流でき、特に多孔質であるようにすることもできる。このようにして、本発明に基づくハニカム体1は、例えば触媒担体としての機能のほかに粒子フィルタの機能も果たすように形成できる。壁7上に被覆、特にウォッシュコートを基礎とする触媒活性被覆を設けることができる。
【0039】
ハニカム体1はさらに測定センサ8を有している。測定センサ8は好適にはラムダセンサであるが、この測定センサ8はその代わりにあるいはそれに加えて例えば温度センサ、ガス濃度センサなどの別の機能を果たすこともできる。第1端面5の部位にシール手段9が配置されている。
【0040】
図2は本発明に基づくハニカム体1の異なった実施例の縦断面図を概略的に示している。この実施例において、ハニカム体1は長手方向10に3つの軸方向の部分領域11,12,13を有している。軸方向の固定領域11において外被管3がハニカム構造物2に結合されている。またハニカム体1は軸方向の測定センサ領域12を有し、軸方向の測定センサ領域12に、ハニカム構造物2の中に測定センサ8を収容するための凹所14が形成されている。またこの実施例において軸方向のシール領域13が形成され、軸方向のシール領域13において外被管3とハニカム構造物2との間にシール手段9が配置されている。
【0041】
この実施例において、外被管3とハニカム構造物2との間の固定領域11に支持マット15が配置されている。この支持マット15は例えば膨張マット、繊維マット、特にセラミック繊維マットおよび/またはマイカ層である。好適には、この支持マット15は温度上昇時に膨張する特性を有している。これは例えばマットにバーミキュライトが混入されていることによって達成される。バーミキュライトは高温時、特に300℃〜700℃の範囲において膨張する。支持マット15のこの熱膨張挙動は、外被管3とハニカム構造物2との異なった熱膨張を相殺するために利用される。ハニカム構造物2が外被管3に摩擦結合および/またはかみ合い結合されているとき、かかる支持マット15は、ハニカム体の加熱状態においても摩擦結合および/またはかみ合い結合を生じさせるために用いられる。
【0042】
支持マット15は、特にこれが膨張しているとき、即ち、熱膨張しているとき、ハニカム構造物2に熱に応じた力を作用させる。ハニカム構造物2、特にその壁7は、加熱時に支持マット15がハニカム構造物2に与える最大力を少なくとも受けるように設計されている。
【0043】
測定センサ領域12に凹所縁16付きの凹所14が形成されている。凹所14は測定センサ18をハニカム構造物2の中に収容するために用いられる。また凹所14はハニカム構造物2において測定センサ領域12を弱くさせ、このために、ハニカム構造物2はその領域では固定領域11におけるより小さな力しか受けられない。ここでは測定センサ領域12におけるハニカム構造物2の損傷を防止するために、本発明に基づいて、ハニカム構造物2の測定センサ領域12への力導入を固定領域11に比べて減少させること、あるいは測定センサ領域12に相応の力を導入させないことを提案する。これは、本発明に基づいて、例えば測定センサ領域12において少なくとも凹所14の周辺領域および場合によっては適当な大きさに定めるべき隣接領域に、支持マット15が配置されないか、又はこの領域に非膨張マットが配置されることによって実行される。これは例えば、相応の支持マット15が凹所の領域に孔が開けられるか、又は多分割構造マット15が利用されることによって行える。
【0044】
その代わりにあるいはそれに加えて、本発明に基づいて、測定センサ領域12における外被管3の少なくとも部分部位17を外側に湾曲することができる。特にその部分部位17は測定センサ領域12の周辺部位および/または軸方向部位17である。これによっても、測定センサ領域12におけるハニカム構造物2への力導入が有利に減少および/または防止される。
【0045】
さらに本発明の実施例においてシール領域13が形成されている。シール領域13において外被管3とハニカム構造物2との間にシール手段9が配置されている。シール手段9は、好適には、膨張マット、繊維マットおよび/またはマイカである。特に支持マット15とシール手段9は、一体形成され測定センサ領域12に相応の切欠き開口を備えた単一マットでもよい。シール手段9は特にハニカム構造物2を迂回して流れる排気ガスのバイパス流を減少あるいは防止するために用いられる。場合によってシール手段9の少なくとも部分部位は膨張できる。ここでは特に、ハニカム体1の端面5,6に形成された部分部位を膨張可能に形成することを提案する。これにより、この部分部位において特に良好な漏れ止め作用が得られる。そのような場合においてシール手段9は、この部分部位における膨張に起因する力導入がハニカム構造物2の損傷を生じさせないように形成されなければならない。特にこの関係において、シール手段の相応の部位をできるだけ小さくすると有利である。
【0046】
またシール手段9は、好適には、ハニカム体1の端面5,6の方向への吹き出し防止体18を有している。この吹き出し防止体18は例えばシール手段9のこの部位において、相応の摩擦結合、かみ合い結合および/または物質結合された特に薄板金によって形成される。
【0047】
図3は本発明に基づくハニカム体1の異なった実施例の縦断面図を示している。このハニカム体1は外被管3内に保持されたハニカム構造物2を有している。ハニカム体1は長手方向10に固定領域11と測定センサ領域12とを有している。固定領域11において外被管3とハニカム構造物2との間に支持マット15が配置され、この支持マット15は加熱時に外被管3とハニカム構造物2との異なった熱膨張を補償するために膨張する。測定センサ領域12に測定センサ8を収容するための凹所縁16付き凹所14が設けられている。ハニカム構造物2への力導入を一層減少させるために、外被管3は本発明に基づいて異なった2つの内径19,20を有している。その第1内径19は固定領域11に存在し、第2内径20は測定センサ領域12に存在している。第1内径19は第2内径20より小さく、これにより、外被管3からの力は固定領域11でしかハニカム構造物2に作用しない。この実施例において支持マット15の縁は、第1内径19の内径が第2内径20に変化していることによって外被管3の部位と一致していない。しかしこれらの両点は一致させることもできる。図3において、外被管3における孔縁29付きの孔28も例示されている。孔28と凹所14とは少なくとも部分的に互いに重なり合い、これにより、測定センサが孔28を通して凹所14に入れられる。他の詳細は図2についての説明を参照されたい。
【0048】
図4は本発明に基づくハニカム体の異なった実施例を横断面図で示している。その断面箇所は固定領域11に位置している。ハニカム体1は外被管3とハニカム構造物2とを有し、このハニカム構造物2は明瞭にするために部分部位しか示されていない壁7によって画成された空洞4を備えている。外被管3とハニカム構造物2との間に支持マット15が配置されている。固定領域11において外被管3は第1部分部位21および第2部分部位22を有している。第1部分部位21は第2部分部位22より小さな内径を有している。これによって、ハニカム体1の特定の円周部分部位21だけに保持力がハニカム構造物2に加えられる。その部分部位21,22の立体的形成は、軸方向並びに円周方向に対称的並びに非対称的に行える。本発明において、円周方向における部分部位とは、ハニカム構造物2の横断面の全周にわたって形成されておらず部分円周にのみ形成されている部分部位を意味する。また部分部位21,22の特に円周方向における立体的膨張も部分部位21,22ごとに変化する。
【0049】
図5は特に本発明に基づくハニカム体1を形成するために利用されるマット23を示している。このマット23は好適には膨張マットおよび/またはセラミック繊維マットである。さらに好適には、その代わりにあるいはそれに加えて、少なくとも部分的にマイカ(雲母)から成る層が形成される。本発明に基づくハニカム体1においてマット23は外被管3とハニカム構造物2との間に置かれる。ハニカム体1の長手方向10に位置する部分領域11,12がマット23において既に認識できる。基本的にマット23は膨張できないが、膨張可能な部位24が配置されている。この膨張可能な部位24は例えば温度上昇時に膨張するバーミキュライトを含んでいる。これにより、固定領域11において外被管3とハニカム構造物2との特に摩擦結合および/またはかみ合い結合が生じさせられる。膨張可能な部位24は加熱時に外被管3とハニカム構造物2の異なった熱膨張挙動を補償し、これにより、加熱状態においても、外被管3とハニカム構造物2との特に摩擦結合および/またはかみ合い結合が保たれる。マット23は後の測定センサ領域12に孔縁26によって画成された孔25を有している。この孔25はハニカム体1を構成する際、この孔25がハニカム構造物2の凹所14の上に位置決めされるように置かれ、これにより、測定センサ8をハニカム体1に組み込む際、測定センサ8は孔25を通して凹所14の中に入れられる。孔25は、測定センサ8の通過を可能にするほかに、凹所14の領域でハニカム構造物2に加えられる力も減少させる。これにより、孔25は、特に測定センサ領域12におけるマット23の非膨張特性との相互作用によっても、運転中におけるハニカム構造物2の損傷を防止する。
【0050】
マット23は後のシール領域13に気密特性を有している。このためにマット23は例えばシール領域13において測定センサ領域12より大きな厚さを有している。さらにシール領域13の縁にも膨張可能な部位24が配置され、この膨張可能な部位24は外被管3とハニカム構造物2との間に隙間を生じ、この隙間が加熱時にハニカム構造物2を迂回する排気ガスのバイパスを可能にするために用意されている。好適には、この膨張可能な部位24の長手方向10における膨張は長手方向10におけるシール領域13の全膨張に比べて小さい。また、その代わりにあるいはそれに加えて、マット23の端面部位に、例えば激しい脈動的排気ガス流に基づくマット23の吹き出しを防止するために、上述したように吹き出し防止体18が形成される。
【0051】
本発明に基づくハニカム体1は、固定領域11における外被管3とハニカム構造物2との有利な摩擦結合および/またはかみ合い結合に基づいて、外被管3とセラミックハニカム構造物2との永久的結合を有し、凹所14の形成にもかかわらず、測定センサ領域12におけるハニカム構造物2の徐々に進行する損傷が有利に防止される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に基づくハニカム体の実施例の概略斜視図。
【図2】本発明に基づくハニカム体の異なった実施例の概略縦断面図。
【図3】本発明に基づくハニカム体の異なった実施例の概略縦断面図。
【図4】本発明に基づくハニカム体の異なった実施例の概略横断面図。
【図5】本発明に基づくハニカム体の外被管とハニカム構造物との結合を特に生じさせるためのマットの概略図。
【符号の説明】
【0053】
1 ハニカム体
2 ハニカム構造物
3 外被管
4 空洞(通路)
5 第1端面
6 第2端面
7 壁
8 測定センサ
9 シール手段
10 長手方向
11 固定領域
12 測定センサ領域
13 シール領域
14 凹所
15 支持マット
16 凹所縁
17 部分部位
18 吹き出し防止体
19 第1内径
20 第2内径
21 第1部分部位
22 第2部分部位
23 マット
24 膨張可能な部位
25 孔
26 孔縁
27 距離
28 孔
29 孔縁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外被管(2)の中に流体が貫流できる少なくとも部分的にセラミックスのハニカム構造物(2)を備え、ハニカム構造物(2)が空洞(4)を有しているハニカム体(1)において、
ハニカム体(1)がその長手方向(10)に少なくとも2つの軸方向の部分領域(11,12,13)を有し、ハニカム構造物(2)が少なくとも1つの軸方向の固定領域(11)において外被管(3)に結合され、ハニカム構造物(2)に少なくとも1つの測定センサ(8)を収容するための凹所(14)を備えた少なくとも1つの軸方向の測定センサ領域(12)が形成されていることを特徴とするハニカム体。
【請求項2】
ハニカム体(1)が、ハニカム構造物(2)と外被管(3)との間にシール手段(19)が配置されている軸方向のシール領域(13)を有することを特徴とする請求項1に記載のハニカム体。
【請求項3】
測定センサ領域(12)が長手方向(10)においてシール領域(13)と固定領域(11)との間に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のハニカム体。
【請求項4】
シール領域(13)がハニカム体(1)の端面(5,6)の部位に形成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載のハニカム体。
【請求項5】
シール領域(13)がハニカム体(1)の端面(5,6)の方向への吹き出し防止体(18)を有していることを特徴とする請求項4に記載のハニカム体。
【請求項6】
ハニカム構造物(2)と外被管(3)との結合が、
a)摩擦結合、
b)かみ合い結合、
c)物質結合、
のうちの少なくとも1つの結合方式で形成されていることを特徴とする請求項1乃至5の1つに記載のハニカム体。
【請求項7】
固定領域(11)において外被管(3)とハニカム構造物(2)との結合が、軸方向および/または円周方向部分部位(21,22)に形成されていることを特徴とする請求項1乃至6の1つに記載のハニカム体。
【請求項8】
少なくとも1つの部分領域においてハニカム構造物(2)と外被管(3)との間に、フレキシブルマットおよび/または弾性マット(9,15,23)が配置されていることを特徴とする請求項1乃至7の1つに記載のハニカム体。
【請求項9】
少なくとも1つの部分領域においてハニカム構造物(2)と外被管(3)との間に、膨張マット、セラミック繊維マットおよび/またはマイカ中間層が配置されていることを特徴とする請求項1乃至8の1つに記載のハニカム体)。
【請求項10】
外被管(3)が測定センサ領域(12)に、固定領域(11)の第1内径(19)より大きい第2内径(20)を有していることを特徴とする請求項1乃至9の1つに記載のハニカム体。
【請求項11】
少なくとも測定センサ領域(12)における外被管(3)の少なくとも円周方向および/または軸方向部分部位(17)が外側に湾曲されていることを特徴とする請求項10に記載のハニカム体。
【請求項12】
測定センサ領域(12)が、ハニカム体(1)の前方端面(5)からその下流に、20〜60mm、好適には30〜50mm、特に有利に35〜45mmの距離を隔てて形成されていることを特徴とする請求項1乃至11の1つに記載のハニカム体。
【請求項13】
a)測定センサ(8)を収容するための少なくとも1つの凹所(14)を備え流体が貫流できる少なくとも部分的にセラミックスのハニカム構造物(2)が準備され、
b)外被管(3)に測定センサ(8)を挿入するための少なくとも1つの孔(28)が開けられ、
c)ハニカム構造物(2)が外被管(3)の中に入れられ、ハニカム構造物(2)が少なくとも1つの軸方向の固定領域(11)において外被管(3)に結合され、
前記c)工程前あるいはc)工程中、外被管(3)の孔(28)とハニカム構造物(2)の凹所(14)とがc)工程後に少なくとも部分的に重なり合うように、ハニカム構造物(2)と外被管(3)とが互いに相対的に位置合わせされることを特徴とするハニカム体の製造方法。
【請求項14】
ハニカム構造物(2)と外被管(3)との間に、
膨張マット
セラミック繊維マット
マイカ中間層、
多孔性金属マット、
弾性マット、
フレキシブルマット、
のうちの少なくとも1つの材料を有する中間層が配置されていることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
中間層が立体的に非均質に形成されていることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
c)工程が、ハニカム構造物(2)の周りに少なくとも2つの外被管部分の結合部を含んでいることを特徴とする請求項13乃至15の1つに記載の方法。
【請求項17】
c)工程において、
ハニカム構造物(2)が圧縮性マットで取り囲まれ、
マットで取り囲まれたハニカム構造物(2)が、マットを圧縮した状態で外被管(3)の中に押し込まれる
ことを特徴とする請求項13乃至15の1つに記載の方法。
【請求項18】
外被管(3)がc)工程においてハニカム構造物(2)の周りに少なくとも1つの層で巻回されることを特徴とする請求項13乃至15の1つに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−526471(P2008−526471A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−548739(P2007−548739)
【出願日】平成17年12月23日(2005.12.23)
【国際出願番号】PCT/EP2005/013965
【国際公開番号】WO2006/072414
【国際公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願人】(500038927)エミテック ゲゼルシヤフト フユア エミツシオンス テクノロギー ミツト ベシユレンクテル ハフツング (156)
【Fターム(参考)】