説明

少なくとも1種の塩基性化学官能基を含む有機ケイ素含有化合物、疎水性フィルム形成ポリマー、顔料及び揮発性溶媒を含有する化粧料組成物

【課題】本発明は、ケラチン繊維を処置するための、直ちに使用できる化粧料組成物、及び特定の組成物の、該組成物に対する、前処理としての使用に係わる。
【解決手段】1、2又は3個のケイ素原子を含むシランから選択される、1種又はそれ以上の有機ケイ素含有化合物、ここで、該有機ケイ素含有化合物は、さらに1分子当たり、1種又はそれ以上の塩基性化学官能基及び1種又はそれ以上のヒドロキシル基又は加水分解性の基をも含み;1種又はそれ以上の疎水性フィルム形成ポリマー;1種又はそれ以上の顔料;及び1種又はそれ以上の揮発性溶媒を含む、ケラチン繊維を処置するための化粧料組成物。
化粧学的に許容される媒体中に、1種又はそれ以上の該有機ケイ素含有化合物を含む化粧料組成物の、1種又はそれ以上の疎水性フィルム形成ポリマー、1種又はそれ以上の顔料及び1種又はそれ以上の揮発性溶媒を含有する化粧料組成物に対する、前処理としての使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケラチン繊維、特にヒトのケラチン繊維、例えば毛髪を処置するための、直ちに使用できる化粧料組成物に係り、該組成物は、1種又はそれ以上の適切に選択された有機ケイ素含有化合物、1種又はそれ以上の疎水性フィルム形成ポリマー、1種又はそれ以上の顔料及び1種又はそれ以上の揮発性溶媒を含有する。本発明は、またケラチン繊維を処置するための化粧学的方法及び該組成物を用いた使用にも係わる。
本発明は、同様に化粧学的に許容される媒体中に、1種又はそれ以上の上記の如き有機ケイ素含有化合物を含む化粧料組成物の、1種又はそれ以上の疎水性フィルム形成ポリマー、1種又はそれ以上の顔料及び1種又はそれ以上の揮発性溶媒を含有する組成物に対する、前処理としての使用にも係わる。
【背景技術】
【0002】
毛髪は、一般に外部大気中の因子、例えば光及び悪天候、及び機械的又は化学的な処置、例えばブロー乾燥、櫛掛け、漂白、パーマネント-ウエーブ掛け及び/又は染色の作用によって、損傷を受けまた脆性化される。結果的に、毛髪はその取扱いが困難となり、特に毛髪を解きほぐし又はスタイリングすることを困難にし、また頭髪、また太い頭髪は、活力、ボディ及び精彩さに欠けるために、見栄えの良いスタイリングを維持することが困難である。
毛髪のこの劣化は、さらに、毛髪に1種又はそれ以上の染料プリカーサ及び酸化剤を適用することからなる、該毛髪の永久染色処理の繰返しによって一層悪化する。
従って、この問題を克服するために、今日では、毛髪をコンディショニングし、一方でとりわけボディ、量感又は嵩を与える、スタイリング製品を適用することが、一般的な実務となっている。
【0003】
これらスタイリング製品は、一般的に化粧学的なヘアケア組成物であり、該組成物は、毛髪に対して強い親和性を持ち、かつ通常は該毛髪の表面上にフィルムを生成して、該表面の諸特性を改善し、特にこれをコンディショニングし、あるいはこれに特別な光学的特性を付与する、1種又はそれ以上のポリマーを含む。
これらのヘアケア組成物の使用に係る一つの欠点は、このような組成物によって付与される化粧学的な効果が、とりわけ、正に最初のシャンプー洗浄時点から消失する傾向を持つという事実にある。
さらに、ケラチン繊維の染色の分野において、非-永久染色のための、直接染料を用いる、あるいは永久染色のための、染料プリカーサを用いる、様々な技術により、ケラチン繊維を染色することは、既に公知の実務である。
【0004】
非-永久染色又は直接染色は、直接染料を含有する染色組成物で、ケラチン繊維を染色することからなる。これらの染料は、ケラチン繊維に対してアフィニティーを持つ、有色のまた染色性の分子である。これらは、所定の染色を達成するに要する期間に渡り、該ケラチン繊維に適用され、次いで洗い流される。
使用される標準的な染料は、特にニトロベンゼン、アンスラキノン、ニトロピリジン、アゾ、キサンテン、アクリジン、アジン又はトリアリールメタン型の染料、又は天然染料である。
これら染料の幾つかは、光照射条件下で使用することができ、これは、黒い毛髪上で見ることのできる染め色の生成を可能とする。
【0005】
また、酸化染色によってケラチン染料を永続的に染色することも、公知の実務である。この染色技術は、該ケラチン繊維に、染料プリカーサ、例えば酸化塩基及びカップラーを含む組成物を適用することからなる。これらのプリカーサは、酸化剤の存在下で、毛髪内に1種又はそれ以上の着色物質を生成する。
酸化塩基及びカップラーとして使用される様々な分子が、広範囲に及ぶ色彩を得ることを可能とし、またこれにより得られる染め色は、一般的に強力であり、また外的因子、特に光、悪天候、洗浄、発汗及び擦れに対して抵抗性である。
黒い毛髪上で見ることができるためには、これら2つの染色技術は、予備的又は同時の該ケラチン繊維の漂白を必要とする。過酸化水素又は過酸塩等の酸化剤を用いて行われる、この漂白段階は、ケラチン繊維の著しい劣化をもたらし、これは該繊維の化粧学的な諸特性を損なう。従って、この毛髪は、粗悪化され、また解きほぐしをより困難にし、しかも毛髪を脆弱化する傾向を持つ。
【0006】
もう一つの染色法は、顔料を使用することからなる。具体的には、ケラチン繊維の表面における顔料の使用は、一般的に黒い毛髪上で可視性の、染め色の実現を可能とする。というのは、該表面の顔料が、該ケラチン繊維の自然な色彩を隠蔽するからである。ケラチン繊維を染色するための顔料の使用は、例えばフランス国特許出願:FR 2,741,530に記載されており、該特許出願では、ケラチン繊維の一時的な染色に対して、少なくとも1種の酸性官能基を含むフィルム形成ポリマー粒子及び少なくとも1種の顔料を、分散液用連続相内に分散された状態で含む、少なくとも1種の分散液を含有する組成物を用いることを推奨している。
この染色法によって得られる色彩は、正に最初のシャンプー洗浄によって除去されてしまうという欠点を持つ。
これら諸欠点を克服するために、フランス特許出願:FR 2,907,677においては、疎水性フィルム形成ポリマー、特にポリシロキサン/ポリウレアブロックコポリマーを含む組成物を、毛髪に適用することによって、被覆を行うことが提案されている。このような組成物は、完全に被覆された、非-脂肪性の毛髪を生成する。得られる該被覆は、シャンプーに対する良好な抵抗性を示すが、毛髪が敏感化された場合には、貧弱な持久力を持つという欠点を持つ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、ケラチン繊維を処置するための、特に毛髪等のヒトのケラチン繊維を染色するための、化粧料組成物を開発し、またシャンプー-堅牢性であり、外部の攻撃因子に対して抵抗性であり、一方同時に、該処置された毛髪が敏感化されているかどうかに拘らず、長期持続的様式で、良好な化粧学的特性(該毛髪にボディ、量感又は嵩を与える)を維持する、着色された被覆を与えることのできる、毛髪染色法を利用することに対する、実際の需要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ところで、驚いたことに、また有利にも、本出願人は、1種又はそれ以上の適切に選択された有機ケイ素含有化合物、1種又はそれ以上の疎水性フィルム形成ポリマー、1種又はそれ以上の顔料、及び1種又はそれ以上の揮発性溶媒を含む、ケラチン繊維、特に毛髪等のヒトのケラチン繊維を処置するための化粧料組成物の使用が、シャンプー-堅牢性であり、外部の攻撃因子に対して抵抗性であり、一方同時に、該処置された毛髪が敏感化されているかどうかにかかわらず、良好な化粧学的特性を維持する、着色された被覆をもたらし得ることを見出した。
【0009】
さらに、本出願人は、1種又はそれ以上の、以下に定義するような有機ケイ素含有化合物を含む化粧料組成物を、1種又はそれ以上の疎水性フィルム形成ポリマー、1種又はそれ以上の顔料及び1種又はそれ以上の揮発性溶媒を含有する、化粧料組成物に対する前処理として、ケラチン繊維に対して使用して、同様に外的な攻撃因子、例えばブロー乾燥、摩擦又は発汗に関して満足な堅牢性を示す、着色毛髪被覆を得ることが可能であることをも見出した。
このようにして得られた該被覆は、毛髪に対する優れた接着性を呈する平滑で均一な堆積物の形状にある。
その上、該毛髪は、完全に個々バラバラの状態にあることをも見出した。
該「個々バラバラの毛髪」なる用語は、該組成物の適用及びその乾燥後に、各毛髪が相互に接着されておらず(あるいは相互に別々の状態にあり)、また結果として毛髪の塊を形成しないことを意味する。というのは、該被覆は、ほぼ完全に各毛髪の周りに形成されているからである。
【0010】
さらに、1種又はそれ以上の疎水性フィルム形成ポリマー、1種又はそれ以上の顔料、及び1種又はそれ以上の揮発性溶媒を含有する化粧料組成物による処理の前処理として、上記の如き有機ケイ素含有化合物を含む化粧料組成物を、ケラチン繊維に使用することが、該毛髪が敏感化されているかどうかにかかわらず、該ケラチン繊維と該疎水性フィルム形成ポリマー/顔料錯体との間のアフィニティーを改善し得ることを見出した。
また、1種又はそれ以上の疎水性フィルム形成ポリマー、1種又はそれ以上の顔料及び1種又はそれ以上の揮発性溶媒を含有する組成物による処理の前処理として、1種又はそれ以上の、以下に定義するような有機ケイ素含有化合物を含有する化粧料組成物を、ケラチン繊維に対して使用することにより、特にシャンプー処理に関して、長期間持続する量感及びボディを、毛髪に付与し得ることをも観測した。
【0011】
さらに、上記前処理組成物が、水を含む場合、又は該組成物が、水の存在下で、例えば湿った毛髪に適用される場合、該有機ケイ素含有化合物は、加水分解され、次いで縮合されて、該オルガノシランの毛髪への接着を助長する、ハイブリッドポリマーを生成する可能性がある。
また、該着色のシャンプー-堅牢性が、疎水性フィルム形成ポリマー及び揮発性溶媒のみを主成分とする化粧料組成物によって得られる堅牢性に比して、改善されることをも観測した。
従って、本発明の課題の一つは、特に、ケラチン繊維、とりわけ毛髪等のヒトのケラチン繊維を処置するための、直ちに使用できる化粧料組成物を提供することにあり、該組成物は、以下に列挙する成分を含む:
− 1、2又は3個のケイ素原子を含むシランから選択される、1種又はそれ以上の有機ケイ素含有化合物、ここで、該有機ケイ素含有化合物は、さらに1分子当たり、1種又はそれ以上の塩基性化学官能基及び1種又はそれ以上のヒドロキシル基又は加水分解性の基をも含み;
− 1種又はそれ以上の疎水性フィルム形成ポリマー;
− 1種又はそれ以上の顔料;及び
− 1種又はそれ以上の揮発性溶媒。
【0012】
本発明は、また毛髪を処置するための化粧学的方法にも係わり、該方法は、上記本発明の化粧料組成物を、該繊維に適用する工程を含む。
同様に、本発明は、ケラチン繊維、とりわけ毛髪等のヒトのケラチン繊維を染色するための、本発明による該組成物の使用にも係わる。
さらに、本発明は、1種又はそれ以上の疎水性フィルム形成ポリマー、1種又はそれ以上の顔料及び1種又はそれ以上の揮発性溶媒を含有する化粧料組成物による処理に対する前処理として、化粧学的に許容される媒体中に、1、2又は3個のケイ素原子を含むシランから選択され、1分子当たり1又はそれ以上の塩基性化学官能基及び1又はそれ以上のヒドロキシル基又は加水分解性の基を含有する、1種又はそれ以上の有機ケイ素含有化合物を含む化粧料組成物を使用することにも関連する。
【0013】
換言すれば、上記の如き有機ケイ素含有化合物を含む本発明の化粧料組成物は、該疎水性フィルム形成ポリマー、1種又はそれ以上の顔料及び該揮発性溶媒を含有する化粧料組成物による処理前に、補助的に使用される。
従って、上記の如き有機ケイ素含有化合物を含む本発明の化粧料組成物は、該疎水性フィルム形成ポリマー、該顔料及び該揮発性溶媒を含有する上記化粧料組成物の適用前に、該ケラチン繊維の予備処理のために使用される。
本発明の他の目的並びに特徴、局面及び利点は、以下の説明及び例を読むことによって、より一層明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明による該有機ケイ素含有化合物は、1、2又は3個のケイ素原子、好ましくは2個のケイ素原子を含むオルガノシランから選択される。これらは、1種又はそれ以上の塩基性化学官能基を含む必要がある。該塩基性化学官能基は、該ケイ素含有化合物に塩基性特性を与える任意の官能基であり得、また好ましくはアミン官能基、例えば第一、第二又は第三アミン官能基である。本発明による該ケイ素原子含有化合物の、該塩基性化学官能基は、場合により他の官能基、例えば他のアミン官能基、酸性官能基又はハロゲン官能基を含むことができる。
本発明で使用する該有機ケイ素含有化合物は、また1分子当たり、1種又はそれ以上の加水分解性の基又はヒドロキシル基をも含む。該加水分解性の基は、好ましくはアルコキシ基、アリールオキシ基、又はハロゲン原子である。これらは、また場合により酸性官能基等の他の化学官能基を含むことができる。
特定の一態様によれば、本発明で使用する該有機ケイ素含有化合物は、以下の一般式(I)で表される化合物から選択される:
【0015】
【化1】

【0016】
該一般式(I)において、
R4は、ハロゲン原子又はOR'基又はR'1基を表し;
R5は、ハロゲン原子又はOR''基又はR'2基を表し;
R6は、ハロゲン原子又はOR'''基又はR'3基を表し;
R1、R2、R3、R'、R''、R'''、R'1、R'2、R'3が、夫々相互に独立に、飽和又は不飽和で、直鎖又は分岐鎖の、場合により追加の化学基を持つ、炭化水素を基本とする基を表し、R1、R2、R'、R''及びR'''は、また水素原子を表すこともでき、さらに基R4、R5及びR6の少なくとも2つは、該基R'1、R'2、R'3以外の基である。
好ましくは、該基R1、R2、R'、R'1、R'2、R'3、R''及びR'''は、C1-C12アルキル基、C5-C14アリール基、(C1-C8)アルキル(C5-C14)アリール基及び(C5-C14)アリール(C1-C8)アルキル基から選択される。
好ましくは、該基R1、R2、R'、R'1、R'2、R'3、R''及びR'''は、場合によりアミノ基で置換されている、C1-C12アルキレン基、C5-C14アリーレン基、(C1-C8)アルキレン(C5-C14)アリーレン基及び(C5-C14)アリーレン(C1-C8)アルキレン基から選択される。
一特定の態様によれば、上記の直ちに使用できる化粧料組成物及び本発明に従って前処理として使用される該組成物に存在する、上記式(I)で表される化合物に相当する、上記有機ケイ素含有化合物は、3-アミノプロピル-トリエトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン及び3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルメチルジエトキシシランである。
【0017】
本発明のもう一つの態様によれば、該直ちに使用できる化粧料組成物及び本発明に従って前処理として使用される該組成物に存在する、該有機ケイ素含有化合物は、以下の式(II)で表される化合物から選択される:
(R21O)x(R22)ySi - (B)p - [N R23 - (B')p']q - [N R'23 - (B'')p'']q' - Si - (R'22)y'(OR'21)x' (II)
該一般式(II)において、R21、R22、R'21及びR'22は、各々独立に、場合により1種又はそれ以上のヘテロ原子を含み、また場合により、エーテル、エステル、アミン、アミド、カルボキシル、ヒドロキシル及びカルボニル基から選択される1又はそれ以上の基で中断されあるいは置換された、飽和又は不飽和で、直鎖又は分岐鎖の炭化水素を基本とする基を表し、
xは1〜3なる範囲の整数であり、y=3-xであり、x'は1〜3なる範囲の整数であり、y' = 3-x'であり、p=0又は1であり、p'=0又は1であり、p''=0又は1であり、q=0又は1であり、q'=0又は1であり、但しq又はq'の少なくとも一方は零以外の値であり、
B、B'及びB"は、各々独立に、直鎖又は分岐鎖で、二価のC1-C20アルキレン基を表し、
R23及びR'23は、各々独立に、水素原子、又は場合により1種又はそれ以上のヘテロ原子を含み、場合により1種又はそれ以上のエーテル、C1-C20アルコールのエステル、アミン、カルボキシル、アルコキシシラン、C6-C30アリール、ヒドロキシル又はカルボニル基により中断されあるいは置換されている、飽和又は不飽和で、直鎖又は分岐鎖の炭化水素を基本とする鎖、又は場合により1種又はそれ以上のC3-C20アルコールのエステル、アミン、アミド、カルボキシル、アルコキシシラン、ヒドロキシル、カルボニル又はアシル基により置換された、ヘテロ環式又は非-ヘテロ環式芳香族リングを表す。
【0018】
前に説明したように、R21、R22、R'21及びR'22は、各々独立に、炭化水素を基本とする基(鎖)を表す。好ましくは、該用語「炭化水素を基本とする基(鎖)」とは、1〜30個及び好ましくは1〜10個の炭素原子を含む連鎖を意味する。
同様に、R23及びR'23は、炭化水素を基本とする基(鎖)を表すことができる。この場合には、1〜30個及び好ましくは1〜10個の炭素原子を含む連鎖が、好ましいものとして意図されている。
好ましくは、該芳香族リングは、6〜30個の炭素原子を含む。より一層好ましくは、該リングは、場合により置換されたフェニル基を表す。
好ましくは、R21=R'21、R22=R'22、x=x'、y=y'、p=p'、A=A'、q=1及びq'=0である。
上記式(II)の有機ケイ素含有化合物は、また単独で又は組合せとして、以下に列挙する特徴を持つことができる:
【0019】
− 同一若しくは異なっていてもよい、R21、R22、R'21及びR'22は、C1-C4アルキル基を表し;
− p=p'=1であり;
− 同一又は異なっていてもよいB及びB'は、直鎖C1-C4アルキレン基を表し;及び
− R23は、水素原子である。
例えば、該有機ケイ素含有化合物は、第二アミン官能基を含有する置換基を含むことができ、該化合物は、例えばフルオロケム(Fluorochem)社により市販されている、式:(CH3CH2O)3-Si(CH2)3NH(CH2)3SI(OCH2CH3)3で表される、ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミン、ゲレスト(Gelest)社によって市販されている、式:(CH3O)3-Si(CH2)3NH(CH2)3Si(OCH3)3で表される、ビス[トリメトキシシリルプロピル]アミン、ゲレスト(Gelest)社によって市販されている、式:(CH3CH2O)2CH3Si(CH2)3NH(CH2)3SiCH3(OCH2CH3)2で表される、ビス[メチルジエトキシシリルプロピル]アミン、及びゲレスト(Gelest)社によって市販されている、式:(CH3O)3Si(CH2)3NH(CH)2NH(CH2)3Si(OCH3)3で表される、ビス[3-トリメトキシシリルプロピル]エチレンジアミンであり得る。これら化合物の中では、ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミン及びビス[メチルジエトキシシリルプロピル]アミンが好ましい。
本発明のもう一つの態様によれば、該有機ケイ素含有化合物は、以下の一般式(III)で表される化合物から選択される:
【0020】
【化2】

【0021】
一般式(III)の化合物において、R24及びR25は、各々独立に、場合により1種又はそれ以上のヘテロ原子を含み、場合により1種又はそれ以上のエーテル、エステル、アミン、アミド、カルボキシル、ヒドロキシル及びカルボニル基から選択される基により中断されあるいは置換されている、飽和又は不飽和で、直鎖又は分岐鎖の炭化水素を基本とする鎖を表し、
x''は2又は3であり;y''は3-x''であり;nは0又は1であり;n''は、0又は1であり;
E及びE'は、各々独立に、直鎖又は分岐鎖で、二価のC1-C20アルキレン基を表し;
R26及びR27は、各々独立に、水素原子又は場合により1種又はそれ以上のヘテロ原子を含み、場合により1種又はそれ以上のエーテル、C1-C20アルコールのエステル、アミン、カルボキシル、アルコキシシラン、C6-C30アリール、ヒドロキシル又はカルボニル基により中断されあるいは置換されている、飽和又は不飽和で、直鎖又は分岐鎖の炭化水素を基本とする鎖、又は場合により1種又はそれ以上のC1-C20アルコールのエステル、アミン、アミド、カルボキシル、アルコキシシラン、ヒドロキシル、カルボニル又はアシル基により置換された、ヘテロ環式又は非-ヘテロ環式芳香族リングを表し;
【0022】
rは、0〜4なる範囲内の整数であり;
r'は、0又は1であり;
1又は複数の基R28は、各々独立に、水素原子又は飽和又は不飽和で、直鎖又は分岐鎖の炭化水素を基本とする鎖、好ましくは場合により1種又はそれ以上のヘテロ原子を含み、場合により1種又はそれ以上のエーテル、C1-C20アルコールのエステル、アミン、カルボキシル、アルコキシシラン、C6-C30アリール、ヒドロキシル又はカルボニル基により中断されあるいは置換されている、C1-C10の該炭化水素を基本とする鎖、又は場合により1種又はそれ以上のC1-C20アルコールのエステル、アミン、アミド、カルボキシル、アルコキシシラン、ヒドロキシル、カルボニル又はアシル基により置換された、ヘテロ環式又は非-ヘテロ環式芳香族リングを表す。
前に説明したように、R24及びR25は、各々独立に、炭化水素を基本とする鎖を表す。好ましくは、該用語「炭化水素を基本とする鎖」とは、1〜30個及び好ましくは1〜10個の炭素原子を含む鎖を意味する。
【0023】
同様に、R26及びR27も、炭化水素を基本とする鎖を表すことができる。この場合、好ましくは、該鎖は1〜30個及び好ましくは1〜10個の炭素原子を含むものである。
好ましくは、上記芳香族リングは、6〜30個の炭素原子を含む。より一層好ましくは、該リングは、場合により置換されているフェニル基を表す。
上記式(III)の該有機ケイ素含有化合物は、単独で又は組合せとして以下に列挙する特徴を持つことができる:
・基R24は、C1-C4アルキル基であり;
・x"=3;n'=n"=1;r=r'=0であり、
R26及びR27は、独立に、水素原子又はC1-C4アルキル基、C1-C4ヒドロキシアルキル基及びC1-C4アミノアルキル基を表す。
特に、上記式(III)の該有機ケイ素含有化合物は、以下に列挙するものから選択することができる:
− 以下の式で表される3-(m-アミノフェノキシ)プロピルトリメトキシシラン:
【0024】
【化3】

【0025】
− 以下の式で表されるp-アミノフェニルトリメトキシシラン:
【0026】
【化4】

【0027】
− 以下の式で表されるN-(2-アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン:
【0028】
【化5】

【0029】
該有機ケイ素含有化合物は、前記直ちに使用できる化粧料組成物及び前処理組成物において、該組成物の全質量に対して、0.1〜40質量%なる範囲、より好ましくは0.2〜20質量%なる範囲、及びより一層好ましくは0.5〜20質量%なる範囲の割合で、該組成物中に存在することができる。
該有機ケイ素含有化合物は、中和度が1/1000〜99/100及びさらに良好には0.2/100〜70/100なる範囲に達するように、中和剤又はpH調節剤により、部分的に中和することができる。より好ましくは、該中和度は、0.2/100〜60/100なる範囲にある。
該pH調節剤は、該組成物の媒体に対して溶解性の、任意の化粧学的に許容される酸又は酸の混合物であり得る。使用し得る該酸としては、塩酸、リン酸、硫酸及び有機酸を挙げることができる。本発明で使用することのできる該組成物は、また1種又はそれ以上の他の有機酸を含むこともできる。
【0030】
該有機酸は、一般的に、1種又はそれ以上のカルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸、リン酸官能基を含む酸から選択される。これらは、他の官能基、特にヒドロキシ又はアミノ官能基を含むことができる。これらは、飽和又は不飽和のものであり得る。その例としては、特に酢酸、プロパン酸、ブタン酸、乳酸、グリコール酸、アスコルビン酸、マレイン酸、フタール酸、コハク酸、タウリン、酒石酸、グルコン酸、グルクロン酸及びクエン酸を挙げることができる。好ましい有機酸は、乳酸、酢酸及びクエン酸である。
本発明の組成物の、殆ど重合されておらず又は全く重合されていない該有機ケイ素含有化合物の、この部分的中和は、該組成物に関する所望の特性を得るために重要な局面である。
本発明の目的にとって、該用語「ポリマー」とは、1種又はそれ以上の単位(これら単位は、モノマーとして知られる化合物から誘導される)の繰返しに相当する化合物を意味する。この又はこれらの単位は、少なくとも2回、及び好ましくは少なくとも3回繰り返される。
【0031】
上記用語「疎水性ポリマー」とは、1質量%未満の、25℃における水に対する溶解度を持つポリマーを意味する。
上記用語「フィルム形成」ポリマーとは、単独で又は補助的なフィルム形成剤の存在下で、支持体、特にケラチン物質上に、巨視的な連続フィルム及び好ましくは凝集性のフィルムを形成し得るポリマーを意味する。
一態様において、該疎水性フィルム形成ポリマーは、以下に列挙するポリマー群から選択される、少なくとも1種のポリマーである:
− 媒体としての有機溶媒に対して溶解性のフィルム形成ポリマー、特に油溶性のポリマー;これは、該ポリマーが、該有機媒体中に可溶性又は混和性であり、また該媒体に配合された際に、単一の均質な相を形成することを意味する;
− 媒体としての有機溶媒に対して分散性のフィルム形成ポリマー、ここで該媒体に分散性とは、該ポリマーが、該有機媒体中で不溶性の層を形成することを意味し、該ポリマーは、このものが一旦該媒体に配合された際には、その安定性及び/又は相溶性を維持する。特に、このようなポリマーは、ポリマー粒子の非水性分散液、好ましくはシリコーンオイル又は炭化水素を主成分とするオイル中の分散液の形状にあり;一態様においては、該非水性ポリマー分散液は、少なくとも1種の安定化剤によってその表面において安定化されたポリマー粒子を含み、これらの非水性分散液は、しばしばNADと呼ばれる;
【0032】
− ポリマー粒子の水性分散液の形状にあるフィルム形成ポリマー、ここで該水性分散液とは、該ポリマーが水中で不溶性の層を形成することを意味し、該ポリマーは、水に配合された際に、その安定性及び/又は相溶性を維持しており、該ポリマー粒子は、少なくとも1種の安定化剤によって、その表面において安定化されていてもよい。これらのポリマー粒子は、しばしばラテックスと呼ばれ、この場合、該組成物は水性相を含む必要がある。
本発明の組成物において使用できる、該疎水性フィルム形成ポリマーとしては、ラジカル重合型又は重縮合型の合成ポリマー、天然起源のポリマー、及びこれらの混合物を挙げることができる。特に例示することのできる疎水性フィルム形成ポリマーは、アクリル系ポリマー、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレア、ニトロセルロース等のセルロースを主成分とするポリマー、シリコーンポリマー、ポリアミドポリマー及びコポリマー、及びポリイソプレンを包含する。
該フィルム形成ポリマーは、特許出願WO 04/028487に記載されているフィルム形成ポリマーから選択することができる。該特許出願の内容を、参照することにより、本特許出願に組入れる。
【0033】
該疎水性フィルム形成ポリマーは、特に以下に列挙するものから選ぶことができる:
a) オレフィン、シクロオレフィン、ブタジエン、イソプレン、スチレン、ビニルエーテル、エステル又はアミド、直鎖、分岐又は環式C1-C20アルキル基、C6-C10アリール基又はC2-C6ヒドロキシアルキル基を含む(メタ)アクリル酸エステル又はアミドの、ホモポリマー及びコポリマー。
このようなホモポリマー及びコポリマーは、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ベンジルアクリレート及びフェニルアクリレート、又はこれらの混合物からなる群から選択されるモノマーから得ることができる。例示できる該酸性モノマーのアミドは、(メタ)アクリルアミド、及び特にN-アルキル(メタ)アクリルアミド、とりわけC2-C12アルキルのN-アルキル(メタ)アクリルアミド、例えばN-エチルアクリルアミド、N-t-ブチルアクリルアミド及びN-オクチルアクリルアミド;N-ジ(C1-C4)アルキル(メタ)アクリルアミド及びパーフルオロアルキル(メタ)アクリレート。上記ポリマーは、また、該ポリマーの全体的な特性が、疎水性を維持することを条件に、モノマーとして、少量の不飽和カルボン酸又はスルホン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸又はAMPSを含むことができる。
【0034】
使用可能な他のビニルモノマーとして、以下に列挙するものをも挙げることができる:
− N-ビニルピロリドン、ビニルカプロラクタム、ビニルN-(Cl-C6)アルキルピロール、ビニルオキサゾール、ビニルチアゾール、ビニルピリミジン及びビニルイミダゾール;
− オレフィン、例えばエチレン、プロピレン、ブテン、イソプレン及びブタジエン。
該ビニルポリマーは、1種又はそれ以上の二官能性モノマー、特に少なくとも2つのエチレン性不飽和を含むモノマー、例えばエチレングリコールジメタクリレート又はジアリルフタレートを用いて架橋することができる。
例えば、商品名ジオバレッツ(Giovarez)AC-5099 MLの下で、フェニックスケム(Phoenix Chem.)社により市販されているアルキルアクリレート/シクロアルキルアクリレートコポリマー、ソルテックス(Soltex) OPTなる商品名の下でローム&ハース(Rohm & Haas)社により市販されているアクリレート/C12-22アルキルメタクリレートコポリマー及びビニルピロリドンコポリマー、例えばC3-C22アルケン等のC2-C30アルケン及びこれらの組合せのコポリマーが挙げられる。本発明において使用できるVPコポリマーの例としては、VP/ビニルラウレートコポリマー、VP/ビニルステアレートコポリマー、ブチレート化ポリビニルピロリドン(PVP)コポリマー、ガネックス(Ganex)V216なる名称の下で、ISP社により市販されているVP/ヘキサデセンコポリマー、ガネックス(Ganex)V220なる名称の下で、ISP社により市販されているVP/エイコセンコポリマー、VP/トリアコンテンコポリマー又はVP/アクリル酸/ラウリルメタクリレートコポリマーをも挙げることができる。また、CTFA名(第4版、1991)が、オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマーであるコポリマー、例えばナショナルスターチ(National Starch)社により、アンフォマー(AmphomerTM)又はロボクリル(LovocrylTM)47なる名称の下で市販されている製品及び、さらにCTFA名が、アクリレート/オクチルアクリルアミドコポリマーであるコポリマー、例えばナショナルスターチ社により、デルマクリル(DermacrylTM) LT又はデルマクリル79を挙げることができる。
【0035】
特に例示できるポリマーは、以下に列挙するものを含む:
i) 上記テキストに記載されている群の一つに属するフルオロ基を含むポリマー、特にUS 5,948,393に記載されているフォンブリン(Fomblin)製品、及び特許EP 0,815,836及びUS 5,849,318に記載されているアルキル(メタ)アクリレート/パーフルオロアルキル(メタ)アクリレートのコポリマー;
ii) 好ましくは共役の(又はジエン)、1種又はそれ以上のエチレン結合を含む、エチレン系モノマーの重合又は共重合により得られるポリマー又はコポリマー。エチレン系モノマーの重合又は共重合により得られるポリマー又はコポリマーとしては、ビニル、アクリル又はメタクリルコポリマーを使用することができる。
【0036】
一態様において、該フィルム形成ポリマーは、スチレン単位又はスチレン誘導体(例えば、メチルスチレン、クロロスチレン又はクロロメチルスチレン)で構成される少なくとも一つのブロックを含むブロックコポリマーである。少なくとも一つのスチレンブロックを含むコポリマーは、ジ-ブロック又はトリ-ブロックコポリマー、あるいはさらにマルチブロック、星型又は放射状コポリマーであり得る。少なくとも一つのスチレンブロックを含むコポリマーは、また例えばアルキルスチレン(AS)ブロック、エチレン/ブチレン(EB)ブロック、エチレン/プロピレン(EP)ブロック、ブタジエン(B)ブロック、イソプレン(I)ブロック、アクリレート(A)ブロック又はメタクリレート(MA)ブロック、あるいはこれらブロックの組合せをも含むことができる。スチレン単位又はスチレン誘導体で構成される少なくとも一つのブロックを含むコポリマーは、ジ-ブロック又はトリ-ブロックコポリマー、及び特にポリスチレン/ポリイソプレン又はポリスチレン/ポリブタジエン型のもの、例えばバスフ(BASF)社からルビトール(Luvitol) HSBなる名称の下で製造販売されているもの、及びポリスチレン/コポリ(エチレン-プロピレン)型あるいはまたポリスチレン/コポリ(エチレン/ブチレン)型のもの、例えばシェルケミカル社(Shell Chemical Co.)から商品名クラトン(Kraton)なる名称の下で、又はペンレコ(Penreco)社により、ゲルドパーメチル(Gelled Permethyl) 99Aなる名称の下で製造販売されているものであり得る。
【0037】
該フィルム形成ポリマーの例は、例えばクラトンG1650(SEBS)、クラトンG1651(SEBS)、クラトンG1652(SEBS)、クラトンG1657X(SEBS)、クラトンG1701X(SEP)、クラトンG1702X(SEP)、クラトンG1726X(SEB)、クラトンD-1101(SBS)、クラトンD-1102(SBS)、クラトンD-1107(SIS)、ゲルドパーメチル99A-750、ゲルドパーメチル99A-753-58(星型ブロックポリマーとトリ-ブロックポリマーとの混合物)、ゲルドパーメチル99A-753-59(星型ブロックポリマーとトリ-ブロックポリマーとの混合物)、ペンレコ(Penreco)社から入手できるバーサゲル(Versagel)MD 970及びバーサゲルMD 960(イソドデカン中の星型ブロックポリマーとトリ-ブロックポリマーとの混合物)を挙げることができる。
スチレン-メタクリレートコポリマーを使用することも可能であり、その例はルブリゾール(Lubrizol)社から入手できる商品番号OS 129880、OS 129881及びOS 84383の下で市販されているポリマー(スチレン-メタクリレートコポリマー)である。
【0038】
一態様において、該フィルム形成ポリマーは、ビニルエステル(該ビニル基は、該エステル基の酸素原子に直接結合しており、また該ビニルエステルは、該エステル基のカルボニル基に結合している、1〜19個の炭素原子を持つ、飽和、直鎖又は分岐鎖の炭化水素を基本とする基を持つ)と、ビニルエステル(既に存在するビニルエステル以外の)、α-オレフィン(8〜28個の炭素原子を含む)、アルキルビニルエーテル(ここで、該アルキル基は、2〜18個の炭素原子を含む)又はアリル又はメタアリルエステル(該エステル基のカルボニル基に結合している、1〜19個の炭素原子を持つ、飽和、直鎖又は分岐鎖の炭化水素を基本とする基を含む)から選択される少なくとも1種の他のモノマーとのコポリマーから選択される。
これらコポリマーは、ビニル型又はアリル又はメタアリル型の何れかであり得る架橋剤、例えばテトラアリルオキシエタン、ジビニルベンゼン、ジビニルオクタンジオエート、ジビニルドデカンジオエート及びジビニルオクタデカンジオエートを用いて、部分的に架橋することができる。
【0039】
例示できるこれらコポリマーの例は、以下のコポリマーを包含する:酢酸ビニル/アリルステアレート、酢酸ビニル/ビニルラウレート、酢酸ビニル/ビニルステアレート、酢酸ビニル/オクタデセン、酢酸ビニル/オクタデシルビニルエーテル、ビニルプロピオネート/アリルラウレート、ビニルプロピオネート/ビニルラウレート、ビニルステアレート/1-オクタデセン、酢酸ビニル/1-ドデセン、ビニルステアレート/エチルビニルエーテル、ビニルプロピオネート/セチルビニルエーテル、ビニルステアレート/アリルアセテート、ビニル2,2-ジメチルオクタノエート/ビニルラウレート、アリル2,2-ジメチルペンタノエート/ビニルラウレート、ビニルジメチルプロピオネート/ビニルステアレート、アリルジメチルプロピオネート/ビニルステアレート、0.2%ジビニルベンゼンで架橋されたビニルプロピオネート/ビニルステアレート、0.2%ジビニルベンゼンで架橋されたビニルジメチルプロピオネート/ビニルラウレート、0.2%テトラアリルオキシエタンで架橋された酢酸ビニル/オクタデシルビニルエーテル、0.2%ジビニルベンゼンで架橋された酢酸ビニル/アリルステアレート、0.2%ジビニルベンゼンで架橋された酢酸ビニル/1-オクタデセン、及び0.2%ジビニルベンゼンで架橋されたアリルプロピオネート/アリルステアレート。
【0040】
iii) ポリアルケン及びC2-C20アルケンのコポリマー、特にポリブテン。
iv) 場合により変性されている、天然起源のポリマー、これはセラック樹脂、サンダラックゴム、ダマール樹脂、エレミガム、及びコパル樹脂、アルキル側鎖(エーテル又はエステル)を持つ多糖類、特に直鎖又は分岐鎖で、飽和又は不飽和の、C1-C8アルキル基を含むアルキルセルロース、例えばエチルセルロース及びプロピルセルロースから選択することができる。
該天然起源のフィルム形成ポリマーは、特にセルロースを主成分とするポリマー、例えばニトロセルロース、酢酸セルロース、セルロースアセトブチレート又はセルロースアセトプロピオネートから選択することができる。その例示可能な例は、商品名アクアロンエチルセルロース(Aqualon Ethylcellulose) N200の下でアクアロン(Aqualon)社により市販されているエチルセルロース、CAB-381-0.5なる商品名の下にイーストマンケミカル(Eastman Chemical)社により市販されているセルロースアセトブチレート及びCAP-482-20及びCAP-504-0.2なる商品名の下にイーストマンケミカル社により市販されているセルロースアセトプロピオネートを含む。
v) 重縮合物。
【0041】
列挙可能な該重縮合物は、ノニオン性ポリウレタン、ポリウレタン-アクリル樹脂、ポリウレタン-ポリビニルピロリドン、ポリエステル-ポリウレタン、ポリエーテル-ポリウレタン、ポリウレア及びポリウレア-ポリウレタン、並びにこれらの混合物である。
該ポリウレタンは、例えば脂肪族、環式脂肪族又は芳香族ポリウレタンのコポリマー又はポリウレア-ポリウレタンコポリマーであり得る。
本発明において定義した如き該ポリウレタンは、また分岐又は非-分岐ポリエステルから、あるいはジイソシアネート及び有機二官能性(例えば、ジヒドロ、ジアミノ又はヒドロキシアミノ)補助試薬による、多重付加によって変性されている、移動性水素原子を含むアルキド樹脂から得ることも可能である。
また、ポリエステル、ポリエステルアミド、脂肪鎖-ポリエステル、ポリアミド及びエポキシエステル樹脂を挙げることもできる。
【0042】
該ポリエステルは、脂肪族又は芳香族二酸と、脂肪族又は芳香族ジオール又はポリオールとを重縮合することにより、公知の方法で得ることができる。脂肪族二酸としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、又はセバシン酸を使用することができる。テレフタール酸又はイソフタール酸、あるいはさらにその誘導体、例えば無水フタール酸を、芳香族二酸として使用することができる。エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール及び4,4-N-(1-メチルプロピリデン)ビスフェノールを、脂肪族ジオールとして使用することができる。
前記ポリエステルアミドは、該ポリエステルと同様な方法で、二酸とアミノアルコールとの重縮合によって得ることができる。該ポリアミドは、該ポリエステルと同様な方法で、二酸とジアミンとの重縮合によって得ることができる。
特に例示することのできるポリエステルは、C4-50アルキル側鎖を含むポリエステル又は脂肪酸ダイマーの縮合により得られるポリエステル、又はさらに特許出願FR 0,113,920において定義されているような、末端ブロック、グラフト又は基として、シリコーンセグメントを含むポリエステルを含む。
b) シリコーン化合物。
該疎水性フィルム形成ポリマーは、また少なくとも一つのシリコーン部分を含むポリマーである。
【0043】
本明細書の以下において、一般に受入れられている通り、該用語「シリコーン」及び「ポリシロキサン」とは、直鎖又は環式で、分岐又は架橋された構造を持つ、任意の有機ケイ素含有ポリマー又はオリゴマーを意味し、該ポリマー又はオリゴマーは、変動する分子量を持ち、適当に官能基が付与されたシランの重合及び/又は重縮合によって得られ、また酸素原子を介してケイ素原子が相互に結合されている主単位(シロキサン結合:≡Si-O-Si≡)の繰返しから本質的になり、またそこでは、場合により置換された炭化水素を基本とする基が、炭素原子を介して該ケイ素原子と直接結合している。最も一般的な該炭化水素を基本とする基は、アルキル基、特にC1-C10のアルキル基、及び特にメチル基、フルオロアルキル基、アリール基及び特にフェニル基、及びアルケニル基及び特にビニル基であり;直接又は炭化水素を基本とする基を介して、該シロキサン鎖に結合することのできる他の型の基は、特に水素原子、ハロゲン原子及び特に塩素、臭素又はフッ素原子、チオール、アルコキシ基、ポリオキシアルキレン(又はポリエーテル)基及び特にポリオキシエチレン及び/又はポリオキシプロピレン基、ヒドロキシル又はヒドロキシアルキル基、置換又は無置換のアミノ基、アミド基、アシルオキシ基又はアシルオキシアルキル基、ヒドロキシアルキルアミノ又はアミノアルキル基、四級アンモニウム基、両性又はベタイン基、アニオン性基、例えばカルボキシレート、チオグリコレート、スルホサクシネート、チオサルフェート、ホスフェート及びサルフェートであるが、このリストは、明らかに何ら限定的なものではない(「有機変性」シリコーン)。
【0044】
少なくとも一つのシリコーン部分を含む疎水性フィルム形成ポリマーとしては、特に以下に列挙するものを挙げることができる:
i) 一般にシリコーンオイルに溶解又はそこで膨潤し得る、シリコーン樹脂。
これら樹脂は、ポリオルガノシロキサンの架橋されたポリマーである。
シリコーン樹脂命名法による名称は、MDTQなる名称の下に知られており、該樹脂は、これが含有する様々なシロキサンモノマー単位の関数として記載され、文字MDTQの各々は、各単位の型を特徴付ける。
該文字Mは、式:(CH3)3SiO1/2で表される単官能性単位を表し、このケイ素原子は、この単位を含む該ポリマー中で、ただ一つの酸素原子と結合している。
該文字Dは、二官能性単位:(CH3)2SiO2/2を意味し、ここで該ケイ素原子は、2つの酸素原子と結合している。
該文字Tは、式:(CH3)SiO3/2で表される、三官能性単位を表す。
前に定義した該単位M、D及びTにおいて、含まれる該メチル基の少なくとも一つは、メチル基以外の基R、例えば2〜10個の炭素原子を含む炭化水素を基本とする基(特にアルキル基)又はフェニル基、あるいはまたヒドロキシル基で置換されていてもよい。
最後に、該文字Qは、四官能性単位:SiO4/2を意味し、ここで該ケイ素原子は、4個の酸素原子と結合しており、該酸素原子自体は、該ポリマーの残部と結合している。
【0045】
様々な特性を持つ様々な樹脂が、これら種々の単位から得られ、得られるこれらポリマーの諸特性は、モノマー(又は単位)の型、置換基の型及び数、該ポリマー鎖の長さ、分岐の程度及び該側鎖のサイズの関数として変動する。
列挙し得るこれらシリコーン樹脂の例は、以下に記載するものを含む:
− シロキシシリケート、これは式:[(CH3)3・Si・O]x・(SiO4/2)y(単位:MQ)で表されるトリメチルシロキシシリケートであり得、ここでx及びyは、50〜80なる範囲内の整数である;
− 式:(CH3SiO3/2)x(単位:T)で表されるポリシルセスキオキサン、ここでxは100を越え、また少なくとも一つの該メチル基は、上記定義したような基Rにより置換されていてもよい;
− ポリメチルシルセスキオキサン、これはポリシルセスキオキサンであり、そのメチル基の何れも他の基で置換されていないものである。このようなポリメチルシルセスキオキサンは、文献US 5,246,694に記載されている。この特許の内容を、参照することによりここに組入れる。
【0046】
列挙可能な、市販品として入手できるポリメチルシルセスキオキサン樹脂の例は、以下に列挙する市販品を含む:
− ワッカー(Wacker)社により、商品名レジン(Resin) MK、例えばベルシル(Belsil)PMS MK:繰返し単位:CH3SiO3/2(単位:T)を含むポリマー、これは、また1質量%までの単位:CH3SiO2/2(単位:D)をも含むことができ、また約10,000なる平均分子量を持つ;
− シン-エツ(Shin-Etsu)社により、式:CH3SiO3/2で表される単位Tと、Si-OH(シラノール)末端基を持つ化合物である、KR-220L、98%の単位T及び2%のジメチル単位Dを含み、かつSi-OH末端基を持つKR-242A、あるいはまた88%の単位T及び12%のジメチル単位Dを含み、かつSi-OH末端基を持つKR-251なる商品名の下に市販されているもの。
列挙可能なシロキシシリケート樹脂は、場合により粉末形状にあるトリメチルシロキシシリケート(TMS)樹脂を含む。このような樹脂は、ゼネラルエレクトリック(General Electric)社により商品名SR1000又はワッカー(Wacker)社により、商品名TMS 803の下に市販されている。同様に、シン-エツ(Shin-Etsu)社により商品名KF-7312J又はダウコーニング(Dow Corning)社により商品名DC 749又はDC 593の下に市販されている、シクロメチコーン等の溶媒に分散された状態で市販されている、トリメチルシロキシシリケート樹脂をも挙げることができる。
【0047】
ii) ポリオルガノシロキサン型のシリコーンポリアミド、例えばUS-A-5,874,069、US-A-5,919,441、US-A-6,051,216及びUS-A-5,981,680に記載されているもの。これら文献の内容を、参照することにより本件特許出願に組入れる。
iii) グラフト化シリコーン化合物:
本発明の組成物は、またグラフト化シリコーンポリマーをも含むことができる。本発明の内容において、該用語「グラフト化シリコーンポリマー」とは、ポリシロキサン部分及び非-シリコーン系有機鎖で構成される部分を含むポリマーを意味し、これら2種の部分の一方は、該ポリマーの主鎖であり、また他方は、該主鎖にグラフトされている。
本発明による化粧料組成物において使用される該グラフト化シリコーンポリマーは、好ましくは、ポリシロキサンを含むモノマーでグラフトされた非-シリコーン系有機主鎖を持つポリマー、及び非-シリコーン系有機モノマーでグラフトされたポリシロキサン主鎖を持つポリマー、及びこれらの混合物により構成される群から選択される。
該グラフト化シリコーンポリマーの主鎖を構成する、該非-シリコーン系有機モノマーは、ラジカル重合性エチレン系不飽和モノマー、重縮合-重合性モノマー、例えばポリアミド、ポリエステル又はポリウレタンを形成するモノマー、及び開環性モノマー、例えばオキサゾリン又はカプロラクトン型の開環モノマーから選択することができる。
【0048】
本発明による、該ポリシロキサンを含むモノマーでグラフトされた非-シリコーン系有機主鎖を含むポリマーは、特許US 4,693,935、US 4,728,571及びUS 4,972,037及び特許出願EP-A-0,412,704、EP-A-0,412,707、EP-A-0,640,105及びWO 95/00578に記載されているものから選択することができる。これらは、エチレン系不飽和モノマーとビニル末端基を含むシリコーンマクロマーから出発して、ラジカル重合することにより得られるコポリマー、あるいはまた官能化された基を含むポリオレフィンと、該官能化された基と反応性の末端官能基を含むポリシロキサンマクロマーとの反応により得られるコポリマーである。
ポリシロキサンを含むモノマーでグラフトされた非-シリコーン系有機主鎖を含む該ポリマーは、例えば以下のような構造を持つことができる:
【0049】
【化6】

【0050】
このようなポリマーは、シン-エツ(Shin-Etsu)社によって、KP 561なる名称の下で市販されている。
ポリシロキサンを含むモノマーでグラフトされた非-シリコーン系有機主鎖を含む該コポリマーは、また以下の構造を持つこともできる:
【0051】
【化7】

【0052】
このようなポリマー、ポリシリコーン(Polysilicone) 7は、3M社によりSA70なる名称の下で市販されている。
ポリシロキサンを含むモノマーでグラフトされた非-シリコーン系有機主鎖を含む他のコポリマーは、またシン-エツ(Shin-Etsu)社により市販されている、KP545、KP574及びKP575であり得る。
同様に列挙可能なグラフト化シリコーン化合物は、グラントインダストリーズ(Grant Industries)社により、グランアクリシル(Granacrysil) BMASなる名称の下で市販されている、イソブチルメタクリレート/ビス-ヒドロキシプロピルジメチコーンアクリレートコポリマーである。
本発明によれば、非-シリコーン系有機モノマーでグラフトされたポリシロキサン主鎖を含む該グラフト化シリコーンポリマーは、シリコーン主鎖(又はポリシロキサン:(≡Si-O-)n)を含み、その上には、該鎖内及び場合によってはその末端の少なくとも一つの上で、シリコーンを含まない少なくとも一つの有機基でグラフトされている。
【0053】
この定義に対応するシリコーンポリマーの例は、特に、チオプロピレン型の連結鎖単位を介して、ポリ(メタ)アクリル酸型及びポリアルキル(メタ)アクリレート型の混合ポリマー単位によってグラフト化されている、ポリジメチルシロキサン(PDMS)である。例示可能な、この定義に対応する化合物は、メチル3-チオプロピルアクリレート/メチルメタクリレート/メタクリル酸基を含むポリジメチル/メチルシロキサン又は3M社によってVS80なる名称の下で市販されている、ポリシリコーン(Polysilicone)-8である。
シリコーンポリマーの他の例は、特に、チオプロピレン型の連結鎖単位を介して、ポリイソブチル(メタ)アクリレート型のポリマー単位によってグラフト化されている、ポリジメチルシロキサン(PDMS)である。
好ましくは、本発明の非-シリコーン系有機モノマーでグラフトされたポリシロキサン主鎖を含む該シリコーンポリマーの数平均分子量は、約10,000〜1,000,000なる範囲、及びより一層好ましくは凡そ10,000〜100,000なる範囲内にある。
【0054】
好ましくは、該グラフト化されたシリコーンポリマーは、ポリジメチルシロキサン-グラフト化アルキルメタクリレートのコポリマー、イソブチルメタクリレート、アクリル酸及びシリコーンマクロマーのコポリマー、及びメチル3-チオプロピルアクリレート/メチルメタクリレート/メタクリル酸基を含む、ポリジメチル/メチルシロキサンで構成される群から選択される。
iv) ポリウレア/ウレタンシリコーン
本発明のコポリマーは、該ポリシロキサン/ポリウレアに加えて、異なる単位の他のブロックを含むことができる。その例としては、特にポリシロキサン/ポリウレア/ポリウレタンターポリマーが挙げられる。
一変法によれば、該コポリマーは、専ら1種又はそれ以上のシリコーンブロック及び1種又はそれ以上のポリウレアブロックを含む。
本発明によれば、該コポリマーは、以下の一般式(IV)に相当するものであり得る:
【0055】
【化8】

【0056】
該一般式(IV)において、
Rは、炭素原子1〜20個を含み、適当にはフッ素又は塩素原子で置換されている、一価の炭化水素を基本とする基を表し、
Xは、1〜20個の炭素原子を含み、隣接関係にないメチレン単位が、-O-基によって置換されていてもよい、アルキレン基を表し、
Aは、酸素原子又はアミノ基:-NR'-を表し、
Zは、酸素原子又はアミノ基:-NR'-を表し、
R'は、水素原子又は1〜10個の炭素原子を含むアルキル基を表し、
Yは、炭素原子1〜20個を含み、適当にはフッ素又は塩素原子で置換されている、二価の炭化水素を基本とする基を表し、
Dは、炭素原子1〜700個を含み、適当にはフッ素、塩素、C1-C6アルキル又はC1-C6アルキルエステルで置換されており、隣接関係にないメチレン単位が、-O-、-COO-、-OCO-又はOCOO-基によって置換されていてもよい、アルキレン基を表し、
nは、1〜4,000なる範囲内の数であり、
aは、少なくとも1に等しい数であり、
bは、0〜40なる範囲の数であり、
cは、0〜30なる範囲の数であり、及び
dは、0を越える数である。
但し、Aは、該単位の少なくとも一つにおいて、NH基を表すことを条件とする。
【0057】
好ましくは、Rは、1〜6個の炭素原子を含む、一価の炭化水素を基本とする基、例えばメチル、エチル、ビニル及びフェニル基を表す。一特定の態様によれば、Rは無置換のアルキル基である。
好ましくは、Xは、2〜10個の炭素原子を含むアルキレン基を表す。好ましくは、該アルキレン基Xは、中断されていない。
一特定の態様によれば、該基Aは、該単位(b)及び(c)の全てにおいて、これらが存在する場合には、NH基を表す。
一特定の好ましい態様によれば、全ての該基Aは、NH基を表す。
好ましくは、Zは、酸素原子又はNH基を表す。
好ましくは、Yは、3〜13個の炭素原子を含み、好ましくは無置換の、炭化水素を基本とする基を表す。好ましくは、Yは、直鎖又は環式のアラルキレン又はアルキレン基を表す。
好ましくは、Dは、少なくとも2個及び特に少なくとも4個の炭素原子、及び12個以下の炭素原子を含むアルキレン基を表す。
【0058】
同様に好ましくは、Dは、少なくとも20個及び特に少なくとも100個の炭素原子、及び800個以下及び特に200個以下の炭素原子を含む、ポリオキシアルキレン基、特にポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレン基を表す。
好ましくは、該基Dは、無置換の基である。
好ましくは、nは、少なくとも3及び特に少なくとも25に等しい、及び好ましくは800以下、特に400以下及び特に好ましくは250以下の数を表す。
好ましくは、aは、50を越える数を表す。
bが0以外である場合、bは、好ましくは50以下及び特に25以下の数を表す。
好ましくは、cは、10以下及び特に5以下の数を表す。
本発明のコポリマーは、特許出願US 2004/0,254,325又は特許出願WO 03/014,194に記載されている重合法に従って得ることができる。
もう一つの態様によれば、該コポリマーは、ノニオン性ポリシロキサン/ポリウレアコポリマーである。即ち、これは如何なるイオン化された基、あるいはイオン化し得る基をも含まないものである。
【0059】
例示可能なコポリマーの一例は、ポリウレアジメチコーンなるINCI名を持つ、ジメチルポリシロキサン/ウレアコポリマーである。
このようなポリマーは、特にα,ω-アミノシリコーンとジイソシアネートとの共重合によって得ることができる。これらの特徴を持つ対応するポリマーは、例えばワッカー(Wacker)社により、商品名ワッカー-ベルシル(Wacker-BelsilTM) UD 60、ワッカー-ベルシル(Wacker-BelsilTM) UD 80、ワッカー-ベルシル(Wacker-BelsilTM) UD 140、ワッカー-ベルシル(Wacker-BelsilTM) UD 200の下に市販されている製品である。
v) シリコーン樹脂及び流動性シリコーンを基本とするコポリマー
これらのシリコーンコポリマーは、シリコーン樹脂と流動性シリコーンとを反応させることにより得られる。
このようなコポリマーは、例えばシリコーン感圧接着剤(Silicone Pressure Sensitive Adhesive), Sobieski及びTangney, 感圧接着剤技術ハンドブック(Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology),(D. Satas編),フォンノストランドラインホルド(von Nostrand Reinhold),N.Y.に記載されている。
【0060】
該コポリマーにおいて、該シリコーン樹脂は、45%〜75%(シリコーンの全質量に対して)なる範囲の量で存在し、また該流動性シリコーンは、25%〜55%なる範囲の量で存在し、ここでシリコーン樹脂及び流動性シリコーンの百分率の総和は、100に等しい。好ましくは、該シリコーン樹脂は、55%〜65%(シリコーンの全質量に対して)なる範囲の量で存在し、また該流動性シリコーンは、35%〜45%なる範囲の量で存在し、ここでシリコーン樹脂及び流動性シリコーンの百分率の総和は、100に等しい。
好ましくは、本発明による該シリコーン樹脂は、基SiO2及びR3(SiO)1/2(トリオルガノシリル)基の縮合生成物であり、該基における各置換基Rは、夫々独立に、メチル、エチル、プロピル及びビニル基から選択され、また該シリコーン樹脂の該SiO2官能基と該R3(SiO)1/2官能基との間の比は、0.6〜0.9なる範囲内にある。該シリコーン樹脂を形成するのに使用できるトリオルガノシリル基は、トリメチルシリル、トリエチルシリル、メチルメチルプロピルシリル、及びジメチルビニルシリル単位、及びこれらの混合物であり得る。トリメチルシリル基が、本発明に関しては、好ましい。
【0061】
好ましくは、本発明による該流動性シリコーンは、OH末端官能基を含み、25℃において100〜100,000cStなる範囲の粘度を持つジオルガノポリシロキサンであり、ここで該ジオルガノポリシロキサンの置換基は、各々独立にメチル、エチル、プロピル及びビニル基から選択される。該ジオルガノポリシロキサンは、好ましくは線形ポリマーである。ジオルガノポリシロキサンの例は、非-限定的に、ポリジメチルシロキサン、エチルメチルポリシロキサン、ジメチルシロキサンとメチルビニルシロキサンのコポリマー、及びOH末端基を含むこのようなポリマー又はコポリマーの混合物であり得る。好ましい該ジオルガノポリシロキサンは、ポリジメチルシロキサンである。
このようなコポリマーの合成例は、例えば特許US 5,162,410号又は特許CA 711,756号に記載されている。
【0062】
本発明による好ましいコポリマーは、ダウコーニング(Dow Corning)社により、BIO-PSATMなる商品名の下に市販されており、これらコポリマーBIO-PSATM自体は、恐らく2つの形状、即ち標準又はアミン-相溶性の状態にあり、また幾つかのシリコーン樹脂/流動性シリコーン比で、種々の溶媒中に分散された状態で供給されている。特に、7-4400、7-4500及び7-4600なるグレードのものを挙げることができる。本発明において特に好ましい該BIO-PSATMは、7-4400なるグレードのものである。
本発明による該フィルム形成ポリマーが、有機溶媒中に分散されている場合、本発明の組成物は、有利には1種又はそれ以上のポリマーの、本質的に球形ポリマー粒子の、少なくとも1種の安定な分散液を含む。これらを本発明の組成物に配合する前に、該粒子は、一般に生理的に許容される液状脂肪相、例えば炭化水素を主成分とするオイル又はシリコーンオイルに分散されている。一態様によれば、これら分散液は、一般的に、ポリマーの水性分散液であるネットワークとは逆に、ポリマーの「NAD」(非-水性分散液)として知られている。
【0063】
これら分散液は、特に、該液状有機相内に安定に分散された、ポリマーナノ粒子の状態であり得る。該ナノ粒子は、好ましくは5〜800nmなる範囲及びより好ましくはさらに50〜500nmなる範囲の平均粒径を持つ。しかし、1μmまでの範囲のポリマー粒子径を得ることも可能である。
本発明の組成物において使用できる分散液中の該ポリマーは、好ましくは約2000〜10,000,000なる範囲内の分子量及び100℃〜300℃なる範囲及び好ましくは-10℃〜80℃なる範囲のTgを持つ。
分散液中の該フィルム形成ポリマーとしては、好ましくは40℃以下の、及び特に-10℃〜30℃なる範囲のTgを持つ、アクリル系又はビニル系ラジカル重合ホモポリマー又はコポリマーを挙げることができ、これらは単独で又は混合物として使用できる。
一態様によれば、該ポリマー粒子は、室温にて固体であり、ブロックポリマー、グラフトポリマー及び/又はランダムコポリマー単独又はその混合物であり得る、安定化剤で安定化されている。この安定化は、任意の公知の手段、及び特に該重合中に該安定化ポリマーを直接添加することによって、達成することができる。
【0064】
ポリマー粒子の水性分散液を使用する場合、該水性分散液の固形分含有率は、3質量%〜60質量%なる範囲及び好ましくは10質量%〜50質量%なる範囲であり得る。
該水性分散液中の該ポリマー粒子の粒径は、10〜500nmなる範囲及び好ましくは20〜150nmなる範囲内にあり、これにより、かなりの光沢をもつフィルムを製造することができる。しかし、1μmまでの範囲の粒径を使用することができる。
非-限定的に、好ましい該疎水性フィルム形成ポリマーは、ポリウレタン;ポリウレタン-アクリル樹脂;ポリウレア;ポリウレア-ポリウレタン;ポリエステル-ポリウレタン;ポリエーテル-ポリウレタン;ポリエステル;ポリエステルアミド;アクリル系ポリエステル;アクリル系及び/又はビニル系ポリマー又はコポリマー;ポリアクリルアミド;アクリル系ポリエステル;ポリビニルピロリドンを主成分とするポリマー又はコポリマー;シリコーンポリマー;ポリウレタン、ポリウレア又はアクリル系樹脂部分を含むシリコーンポリマー;シリコーン樹脂;シリコーン樹脂及びジメチコノール(dimethiconol)を主成分とするコポリマー;フルオロポリマー;セルロース及びその混合物から選択される。特定の一態様によれば、該疎水性フィルム形成ポリマーは、アクリル系ポリマー又はコポリマー、アクリル系ポリエステル、ポリビニルピロリドンを主成分とするポリマー又はコポリマー、シリコーン樹脂、シリコーン樹脂及びジメチコノールを主成分とするコポリマー、ポリウレタン、ポリウレア又はアクリル系樹脂部分を含むシリコーンポリマー、セルロース及びその混合物から選択される。
【0065】
本発明による該疎水性フィルム形成ポリマーは、その機械的な諸特性に基いて選択することができる。このような諸特性は、可撓性、硬さ、接着性、残存性、水又は他の化合物に対する耐性、及び耐摩耗性であり得る。ブロックポリマー(2又はそれ以上の別々のポリマーセグメントで構成されるポリマー)、グラフト化されたポリマー(ホモポリマー又はコポリマー主鎖上にグラフトされたポリマー側鎖を含むポリマー)又はヘテロポリマー(2又はそれ以上の異なるモノマーを含むポリマー)の、より多彩な諸特性を利用することも可能である。例えば、該コポリマーにおいて、硬質及び軟質ブロックの量は、該ポリマーの諸特性に重大な影響を与える。
さらに、所望の特性を達成するために、2種又はそれ以上のポリマーを混合することも可能である。組合せの例は、ポリウレタンとポリアクリレート、ポリウレタンとポリエステル、シリコーン部分を持つ2種のポリマー、又はポリウレタンとシリコーン部分を持つポリマーであり得る。
一特定の態様によれば、該疎水性フィルム形成ポリマーは、ノニオン性ポリマーである。もう一つの態様によれば、該疎水性フィルム形成ポリマーは、1時間後に肉眼による流動が観測されないという意味で、25℃において固体である。
【0066】
該疎水性フィルム形成ポリマーは、本発明の組成物において、該組成物の全質量に対して、0.1〜40質量%なる範囲、好ましくは0.1〜30質量%なる範囲、好ましくは0.5〜20質量%なる範囲、優先的には1〜20質量%なる範囲及びより優先的には1〜15質量%なる範囲の量で存在し得る。
該ポリマーのガラス転移点が、所望の用途に対して高すぎる場合、これと可塑剤とを組み合わせて、使用する該混合物のこの温度を下げることができる。該可塑剤は、適用分野において通常使用されている可塑剤から選択でき、及び特に該ポリマーに対する溶媒であり得る化合物から選択することができる。
好ましくは、該可塑剤は、5,000g/モル以下、好ましくは2,000g/モル以下、優先的には1,000g/モル以下及びより一層優先的には900g/モル以下なる分子量を持つ。該可塑剤は、有利には100g/モル以上の分子量を持つ。
従って、本発明の化粧料組成物は、また1種又はそれ以上の可塑剤を含むことができる。単独又は混合物としての、以下のような一般的な可塑剤を例示することができる:
【0067】
− グリコール及びその誘導体、例えばジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル又はジエチレングリコールヘキシルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル又はエチレングリコールヘキシルエーテル;
− ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコールコポリマー、及びこれらの混合物、特に高分子量ポリプロピレングリコール、例えば500〜15,000なる範囲の分子量を持つもの等;
− グリコールエステル;
− プロピレングリコール誘導体及び特にプロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル及びジエチレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル。このような化合物は、ダウケミカル(Dow Chemical)社から、ダウアノール(Dowanol) PPH及びダウアノールDPnBなる名称の下で市販されている;
【0068】
− 酸エステル、特にカルボン酸エステル、例えばシトレート、フタレート、アジペート、カーボネート、タルタレート、ホスフェート及びセバケート;
・式:R11COOHで表されるモノカルボン酸と、式:HOR12OHで表されるジオールとの反応により誘導されるエステル、ここでR11及びR12は、同一でも異なっていてもよく、好ましくは3〜15個の炭素原子を含み、場合により1種又はそれ以上のヘテロ原子、例えばN、O又はSを含む、直鎖、分岐鎖又は環状で、飽和又は不飽和の、炭化水素を基本とする鎖を表し、該酸エステルは、特にイソ酪酸及びオクタンジオール、例えば2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールの反応により得られるモノエステル、例えばイーストマンケミカル(Eastman Chemical)社により、テキサノールエスターアルコール(Texanol Ester Alcohol)なる商品名の下で市販されている製品;
− オキシエチレン化誘導体、例えばオキシエチレン化オイル、特に植物油、例えばヒマシ油;
− これらの混合物。
【0069】
より詳しくは、該可塑剤は、1〜7個の炭素原子を含む、少なくとも1種のカルボン酸と、少なくとも4個のヒドロキシル基を含むポリオールとのエステルから選択することができる。
本発明による該ポリオールは、環化された又は環化されていない糖類、即ちポリヒドロキシアルデヒド(アルドース)又はポリヒドロキシケトン(ケトース)であり得る。該ポリオールは、好ましくはヘミアセタール形状に環化された糖である。
該ポリオールは、単糖又は1〜10個の糖、好ましくは1〜4個の糖及びより好ましくは1又は2個の糖を含む多糖であり得る。該ポリオールは、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、グルコース、スクロース、ラクトース及びマルトースから選択することができる。
本発明による該ポリオールは、好ましくは二糖である。二糖としては、スクロース(α-D-グルコピラノシル-(1-2)-β-D-フルクトフラノースとしても知られている)、ラクトース(β-D-ガラクトピラノシル-(1-4)-β-D-グルコピラノースとしても知られている)及びマルトース(α-D-グルコピラノシル-(1-4)-β-D-グルコピラノースとしても知られている)、及び好ましくはスクロースを挙げることができる。
【0070】
本発明による該エステルは、少なくとも2つの異なるモノカルボン酸、又は少なくとも3個の異なるモノカルボン酸でエステル化されたポリオールで構成されるものであり得る。
本発明によるエステルは、2種のエステルのコポリマー、特にi) ベンゾイル-基で置換されたスクロース及びii) アセチル及び/又はイソブチリル基で置換されたスクロースのコポリマーであり得る。
該カルボン酸は、好ましくは、1〜7個の炭素原子及び好ましくは1〜5個の炭素原子を含むモノカルボン酸であり、例えば酢酸、n-プロピオン酸、イソプロピオン酸、n-ブタン酸、イソブタン酸、tert-ブタン酸、n-ペンタン酸及び安息香酸から選択される。
該エステルは、少なくとも2種の異なるモノカルボン酸から得ることができる。一態様によれば、該酸は無置換の直鎖又は分岐酸である。
該酸は、好ましくは酢酸、イソ酪酸及び安息香酸、及びこれらの混合物から選択され、及びより好ましくは。
【0071】
好ましい一態様によれば、該エステルは、スクロースジアセテートヘキサキス(2-メチルプロパノエート)、例えばイーストマンケミカル(Eastman Chemical)社により、サスタンSAIBフードグレードコシャー(Sustane Food Grade Kosher)なる名称の下で市販されている製品である。
もう一つの態様によれば、上記可塑剤は、1〜10個の炭素原子を含む脂肪族又は芳香族アルコールと、脂肪族又は芳香族ポリカルボン酸とのエステルから選択することができる。
該脂肪族又は芳香族アルコールは、1〜10個及び好ましくは1〜8個の炭素原子、例えば1〜6個の炭素原子を含む。これは、アルコール:R1OHであって、R1がメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル、エチルヘキシル、デシル、イソデシル、ベンジル、又は1〜3個の炭素原子を含むアルキル基で置換されたベンジル基を表すような該アルコール、及びこれらの混合物から選択することができる。
【0072】
好ましくは、該脂肪族又は芳香族ポリカルボン酸は、3〜12個の炭素原子、好ましくは3〜10個の炭素原子及び好ましくは3〜8個の炭素原子、例えば6又は8個の炭素原子を含む。
該脂肪族又は芳香族ポリカルボン酸は、有利にはジカルボン酸及びトリカルボン酸から選択される。
例示可能な該脂肪族ジカルボン酸は、式:HOOC-(CH2)n-COOHで表される脂肪族ジカルボン酸であり、ここでnは1〜10なる範囲、及び好ましくは2〜8なる範囲、例えば2、4、6又は8に等しい整数である。
コハク酸、アジピン酸及びセバシン酸から選択される該ジカルボン酸が好ましい。
該芳香族ジカルボン酸としては、フタール酸を挙げることができる。
該トリカルボン酸としては、以下の式で表される酸に相当するトリアシッドを挙げることができる:
【0073】
【化9】

【0074】
該一般式において、Rは、基:-H、-OH又はOCOR'を表し、ここでR'は、1〜6個の炭素原子を含むアルキル基を表す。好ましくは、Rは基:-OCOCH3を表す。
該トリカルボン酸は、特にアセチルクエン酸、ブチロイルクエン酸及びクエン酸から選択される。
使用可能な該トリカルボン酸エステルは、クエン酸から誘導されるエステル(又はシトレート)、例えばトリブチルアセチルシトレート、トリエチルアセチルシトレート、トリエチルヘキシルアセチルシトレート、トリヘキシルアセチルシトレート、トリヘキシルブチロイルシトレート、トリイソデシルシトレート、トリイソプロピルシトレート、トリブチルシトレート及びトリ(2-エチルヘキシル)シトレートである。上記可塑剤の市販品としては、バーテラス(Vertellus)社により市販されているシトロフレックス(Citroflex)系列、特にシトロフレックスA4及びシトロフレックスC2を挙げることができる。
列挙可能なアジピン酸エステルは、ジブチルアジペート及びビス(2-エチルヘキシル)アジペートである。
列挙可能なセバシン酸エステルは、ジブチルセバケート、ビス(2-エチルヘキシル)セバケート、ジエチルセバケート及びジイソプロピルセバケートである。
【0075】
列挙可能なコハク酸エステルは、ビス(2-エチルヘキシル)サクシネート及びジエチルサクシネートである。
列挙可能なフタール酸エステルは、ブチルベンジルフタレート、ジブチルフタレート、ジエチルヘキシルフタレート、ジエチルフタレート及びジメチルフタレートである。
有利には、該可塑剤は、本発明の組成物中に、上記疎水性フィルム形成ポリマーと該可塑剤との間の質量比が、0.5〜100なる範囲、好ましくは1〜50なる範囲及び好ましくは1〜10なる範囲となるような量で存在し得る。
本発明による、該疎水性フィルム形成ポリマーを含有する、該直ちに使用できる化粧料組成物及び該化粧料組成物は、1種又はそれ以上の顔料を含む。
該用語「顔料」とは、ケラチン物質に色彩を与えるあらゆる顔料を意味する。25℃及び大気圧(0.1013MPa(760mmHg))における水中での安定性は、0.05%未満及び好ましくは0.01%未満である。
使用可能な該顔料は、特に当分野において公知の有機及び/又は無機顔料、特に化学技術に関するカーク-オスマー事典(Kirk-Othmer's Encyclopaedia of Chemical Technology)及び工業化学に関するウルマン事典(Ullmann's Encyclopaedia of Industrial Chemistry)に記載されているものから選択される。
【0076】
これら顔料は、粉末又は顔料ペーストの形状であり得る。これらは被覆されていても被覆されていなくてもよい。
該顔料は、例えば無機顔料、有機顔料、レーキ、特殊な効果を持つ顔料、例えば真珠光沢又は光輝性フレーク、及びこれらの混合物から選択することができる。
該顔料は、無機顔料であり得る。該用語「無機顔料」とは、ウルマン事典の無機顔料に関する章における定義を満たす、任意の顔料を意味する。本発明において有用な該無機顔料としては、酸化鉄、酸化クロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、クロムハイドレート(chromium hydrate)、鉄青(ferric blue)及び酸化チタンを挙げることができる。
該顔料は、有機顔料であり得る。該用語「有機顔料」とは、ウルマン事典の有機顔料に関する章における定義を満たす、任意の顔料を意味する。該有機顔料は、特にニトロソ、ニトロ、アゾ、キサンテン、キノリン、アンスラキノン、フタロシアニン、金属-錯体、イソインドリノン、イソインドリン、キナクリドン、ペリノン、ペリレン、ジケトピロロピロール、チオインジゴ、ジオキサジン、トリフェニルメタン及びキノフタロン化合物から選択することができる。
【0077】
特に、白色又は着色有機顔料は、カルミン、カーボンブラック、アニリンブラック、メラニン、アゾイエロー、キナクリドン、フタロシアニンブルー、ソーガムレッド、カラーインデックス(Color Index)において、CI 42090、69800、69825、73000、74100及び74160なる名称の下に分類されている青色顔料;カラーインデックスにおいて、CI 11680、11710、15985、19140、20040、21100、21108、47000及び47005なる名称の下に分類されている黄色顔料;カラーインデックスにおいて、CI 61565、61570及び74260なる名称の下に分類されている緑色顔料;カラーインデックスにおいて、CI 11725、15510、45370及び71105なる名称の下に分類されている橙色顔料;カラーインデックスにおいて、CI 12085、12120、12370、12420、12490、14700、15525、15580、15620、15630、15800、15850、15865、15880、17200、26100、45380、45410、58000、73360、73915及び75470なる名称の下に分類されている赤色顔料;及び特許:FR 2,679,771に記載されているようなインドール又はフェノール誘導体の酸化的重合により得られる顔料から選択することができる。
【0078】
本発明による該顔料は、また特許:EP 1,184,426に記載されているような、複合顔料の形状にあってもよい。これらの複合顔料は、無機コア、少なくとも1種の、少なくとも部分的に該コアを覆っている有機顔料及び少なくとも1種の該有機顔料と該コアとの結合を保証するバインダを含む、特に粒子としての配合物であり得る。
該有機顔料は、またレーキであってもよい。該「レーキ」なる用語は、不溶性粒子上に吸着された染料を意味し、このようにして得られたアセンブリーは、使用中不溶性を維持する。
該染料が吸着されている該無機物質は、例えばアルミナ、シリカ、硼珪酸カルシウムナトリウム又は硼珪酸カルシウムアルミニウム、及びアルミニウムである。
該染料としては、コチニールカルミンを挙げることができる。同様に、以下のような名称の下で知られている染料を持挙げることができる:D&Cレッド(Red)21(CI 45 380)、D&Cオレンジ(Orange)5(CI 45 370)、D&Cレッド(Red)27(CI 45 410)、D&Cオレンジ(Orange)10(CI 45 425)、D&Cレッド(Red)3(CI 45 430)、D&Cレッド(Red)4(CI 15 510)、D&Cレッド(Red)33(CI 17 200)、D&Cイエロー(Yellow)5 (CI 19 140)、D&Cイエロー(Yellow)6(CI 15 985)、D&Cグリーン(Green)(CI 61 570)、D&Cイエロー(Yellow)10(CI 77 002)、D&Cグリーン(Green)3(CI 42 053)、D&Cブルー(Blue)1(CI 42 090)。
【0079】
列挙可能なレーキの例は、以下の名称の下に知られている製品である:D&Cレッド(Red)7(CI 15 850:1)。
該顔料は、また特別な効果を持つ顔料であってもよい。該用語「特別な効果を持つ顔料」とは、一般に、測定条件(光、温度、観測角度等)の関数として変化する、不均一な色彩を持つ外観(一定の色合い、一定の快活性、及び一定の優雅さによって特徴付けられる)を生み出す顔料を意味する。従って、該効果は、標準的な均一性を持つ、不透明、半透明又は透明な色合いを与える、白又は有色の顔料と対比をなしている。
特別な効果を持つ幾つかの型の顔料が存在する。即ち、低屈折率を持つもの、例えば蛍光性、フォトクロミック又はサーモクロミック顔料、及び高屈折率を持つもの、例えば真珠光沢剤又は光輝性フレーク等が存在する。
列挙可能な特別な効果を持つ顔料の例は、真珠光沢顔料、例えば酸化鉄で被覆したチタンマイカ、酸化鉄で被覆したマイカ、ビスマスオキシクロリドで被覆したマイカ、酸化クロムで被覆したチタンマイカ、特に上記した型の有機染料で被覆したチタンマイカ、及びビスマスオキシクロリドを主成分とする真珠光沢顔料を含む。これらは、またマイカ粒子であって、その表面が、金属酸化物及び/又は有機色素の、少なくとも2つの連続する層と重ねられたものであり得る。
該真珠光沢剤は、より詳しくは、黄色、ピンク、赤、ブロンズ色、オレンジ色、褐色、金色及び/又は赤褐色の色彩又は色合いを持つことができる。
【0080】
本発明との関連で使用できる真珠光沢剤の例としては、特に以下に列挙するものを挙げることができる:殊にエンゲルハード(Engelhard)社により、ゴールド(Gold) 222C(クロワソン(Cloisonne))、スパークルゴールド(Sparkle gold)(ティミカ(Timica))、ゴールド(Gold)4504(クロマライト(Chromalite))、及びモナークゴールド(Monarch gold) 233X(クロワソン(Cloisonne))なる名称の下で市販されている金色の真珠光沢剤;特にメルク(Merck)社により、ブロンズファイン(Bronze fine)(17384)(コロロナ(Colorona))及びブロンズ(Bronze)(17353)(コロロナ(Colorona))なる名称の下で、またエンゲルハード(Engelhard)社により、スーパーブロンズ(Super bronze)(クロワソン(Cloisonne))なる名称の下で市販されているブロンズ色の真珠光沢剤;特にエンゲルハード(Engelhard)社により、オレンジ(Orange)363C(クロワソン(Cloisonne))及びオレンジMCR 101(コスミカ(Cosmica))及びメルク(Merck)社により、パッションオレンジ(Passion orange)(コロロナ(Colorona))及びマットオレンジ(Matte orange)(17449)(ミクロナ(Microna))なる名称の下で市販されている、オレンジ色の真珠光沢剤;特にエンゲルハード(Engelhard)社により、ヌ-アンティークカッパー(Nu-antique copper)340XB(クロワソン(Cloisonne))及びブラウン(Brown)CL4509(クロマライト(Chromalite))なる名称の下で市販されている、褐色真珠光沢剤;特にエンゲルハード(Engelhard)社により、カッパー(Copper)340A(ティミカ(Timica))なる名称の下で市販されている、赤褐色の色合いを持つ真珠光沢剤;特にメルク(Merck)社により、シエンナファイン(Sienna fine)(17386)(コロロナ(Colorona))なる名称の下で市販されている、赤色の色合いを持つ真珠光沢剤;特にエンゲルハード(Engelhard)社により、イエロー(Yellow)(4502)(クロマライト(Chromalite))なる名称の下で市販されている、黄色の色合いを持つ真珠光沢剤;特にエンゲルハード(Engelhard)社により、サンストーン(Sunstone)G012(ジェムトン(Gemtone))なる名称の下で市販されている、金色の色合いを持つ赤色真珠光沢剤;特にエンゲルハード(Engelhard)社により、タンオパール(Tan opale)G005(ジェムトン(Gemtone))なる名称の下で市販されている、桃色の真珠光沢剤; 特にエンゲルハード(Engelhard)社により、ヌ-アンティークブロンズ(Nu-antique bronze) 240 AB(ティミカ(Timica))なる名称の下で市販されている、金色の色合いを持つ黒色真珠光沢剤;特にメルク(Merck)社により、マットブルー(Matte blue)(17433)(ミクロナ(Microna))、ダークブルー(Dark Blue)(117324)(コロロナ(Colorona))なる名称の下で市販されている、青色真珠光沢剤、特にメルク(Merck)社により、キシロナシルバー(Xirona Silver)なる名称の下で市販されている、銀色の色合いを持つ白色真珠光沢剤、及び特にメルク(Merck)社により、インディアンサマー(Indian summer)(キシロナ(Xirona))なる名称の下で市販されている、金色-緑ピンク-オレンジ真珠光沢剤、及びこれらの混合物。
【0081】
マイカ支持体上の真珠光沢剤に加えて、アルミナ、シリカ、硼珪酸ナトリウムカルシウム又は硼珪酸カルシウムアルミニウム、及びアルミニウム等の合成支持体を主成分とする、多層顔料を目論むこともできる。
同様に、支持体上に固定されていない干渉作用を持つ顔料、例えば液晶(例えば、ワッカー(Wacker)社からのヘリコン(Helicones) HC、ホログラフィ干渉性フレーク(スペクトラテック(Spectratech)社からのジョメトリックピグメント(Geometric Pigments)又はスペクトラ(Spectra) f/x)を挙げることもできる。特別な効果を持つ顔料は、また蛍光性顔料(日光照射下で蛍光性の、又は紫外光による蛍光性を生じる物質何れであってもよい)、リン光性顔料、フォトクロミック顔料、サーモクロミック顔料、及び例えばカンタムドット(Quantum Dots)社により市販されている、カンタムドット(quantum dots)を含む。
本発明において使用できるこれら種々の顔料は、広範囲に渡る色彩、及び特に光学的作用、例えば金属光沢作用又は干渉作用を得ることを可能とする。
【0082】
該疎水性フィルム形成ポリマーを含む化粧料組成物において使用される該顔料のサイズは、一般に10nm〜200μmなる範囲、好ましくは20nm〜80μmなる範囲及びより好ましくは30nm〜50μmなる範囲内にある。
該顔料は、分散剤によって、該製品中に分散させることができる。
該分散剤は、該分散されて粒子を、凝集又は凝結に対して保護するように作用する。この分散剤は、分散すべき該粒子の表面に対して強力なアフィニティーを持つ、1種又はそれ以上の官能基を持つ、界面活性剤、オリゴマー、ポリマー又はこれらの数種の混合物であり得る。特に、該分散剤は、該顔料の表面に、物理的又は化学的に結合することができる。これらの分散剤は、また連続相に対して相溶性又は溶解性の、少なくとも1種の官能基をも含む。特に、グリセロール又はジグリセロール等のポリオールの、12-ヒドロキシステアリン酸エステル及びC8〜C20脂肪酸エステル、例えばアベシア(Avecia)社により、ソルスパース(Solsperse) 21000なる名称の下に市販されているもの等の、約750g/モルなる分子量を持つポリ(12-ヒドロキシステアリン酸)ステアレート、ヘンケル(Henkel)社によりデヒミル(Dehymyls) PGPHなる名称の下に市販されているポリグリセリル-2ジポリヒドロキシステアレート(CTFA名)、又はユニケマ(Uniquema)社により商品名アルラセル(Arlacel) P100の下に市販されている製品等のポリヒドロキシステアリン酸、及びこれらの混合物が使用される。
【0083】
本発明の組成物において使用することのできる他の分散剤としては、重縮合された脂肪酸の四級アンモニウム誘導体、例えばアベシア(Avecia)社により市販されている、ソルスパース(Solsperse) 17000、及びダウコーニング(Dow Corning)社により、商品名DC2-5185及びDC2-5225 Cの下に市販されているもの等の、ポリジメチルシロキサン/オキシプロピレン混合物を挙げることができる。
該疎水性フィルム形成ポリマーを含有する本発明の組成物において使用される上記顔料は、有機薬剤で表面処理することができる。
【0084】
従って、予め表面処理されており、本発明との関連で有用な該顔料は、本発明による組成物中に分散される前に、特に化粧料及び化粧品類(Cosmetics and Toiletries)、1990年2月、Vol.105, pp.53-64に記載されているような有機試薬で、完全に又は部分的に化学的、電子的、電気化学的、メカノケミカル又は機械的な表面処理に付されている、顔料である。これらの有機薬剤は、例えばアミノ酸;ワックス、例えばカルナウバロウ及び蜜蝋;脂肪酸、脂肪アルコール及びこれらの誘導体、例えばステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、ステアリルアルコール、ヒドロキシステアリルアルコール及びラウリン酸並びにこれらの誘導体;アニオン性界面活性剤;レシチン;脂肪酸のナトリウム、カリウム、マグネシウム、鉄、チタン、亜塩又はアルミニウム塩、例えばアルミニウムステアレート又はラウレート;金属アルコキシド;多糖類、例えばキトサン、セルロース及びその誘導体;ポリエチレン;(メタ)アクリル酸ポリマー、例えばポリメチルメタクリレート;アクリレート単位を含むポリマー及びコポリマー;タンパク質;アルカノールアミン;シリコーン化合物、例えばシリコーン、ポリジメチルシロキサン、アルコキシシラン、アルキルシラン及びシロキシシリケート;有機フッ素含有化合物、例えばパーフルオロアルキルエーテル;フルオロシリコーン化合物から選択することができる。
【0085】
該疎水性フィルム形成ポリマーを含有する本発明の化粧料組成物において有用な、該表面処理された顔料は、またこれら化合物の混合物で処理されていてもよく、及び/又は数種の表面処理に付されていてもよい。
本発明に関連して有用な、該表面処理された顔料は、当業者には周知の表面処理技術に従って製造することができ、あるいは必要とされる形状にて市販品として入手できる。
好ましくは、該表面処理された顔料は、有機層で被覆されている。
該顔料を処理するのに使用する該有機薬剤は、溶剤の蒸発により、該表面処理剤分子間の化学反応により、あるいは該表面処理剤と該顔料との間の共有結合の生成により、該顔料上に堆積することができる。
従って、該表面処理は、例えば表面処理剤と該顔料の表面との化学反応により、及び該表面処理剤と該顔料又はフィラーとの間に、共有結合を生成することにより、実施することができる。この方法は、特に特許:US 4,578,266に記載されている。
該顔料と共有結合により結合している有機薬剤を使用することが好ましい。
【0086】
該表面処理用の薬剤は、該表面処理された顔料の全質量に対して、0.1〜50質量%なる範囲、好ましくは0.5〜30質量%なる範囲及びより一層好ましくは1〜10質量%なる範囲を占めることができる。
好ましくは、該顔料の該表面処理は、以下に列挙する処理から選択される:
− PEG-シリコーン処理、例えばLCWにより市販されているAQ表面処理剤による処理;
− キトサン処理、例えばLCWにより市販されているCTS表面処理剤による処理;
− トリエトキシカプリリルシラン処理、例えばLCWにより市販されているAS表面処理剤による処理;
− メチコーン処理、例えばLCWにより市販されているSI表面処理剤による処理;
− ジメチコーン処理、例えばLCWにより市販されている、コバシル(Covasil) 3.05表面処理剤による処理;
− ジメチコーン/トリメチルシロキシシリケート処理、例えばLCWにより市販されている、コバシル(Covasil) 4.05表面処理剤による処理;
− ラウロイルリジン処理、例えばLCWにより市販されている、LL表面処理剤による処理;
− ラウロイルリジンジメチコーン処理、例えばLCWにより市販されている、LL/SI表面処理剤による処理;
【0087】
− マグネシウムミリステート処理、例えばLCWにより市販されている、MM表面処理剤による処理;
− アルミニウムジミリステート処理、例えばミヨシ(Miyoshi)により市販されている、MI表面処理剤による処理;
− パーフルオロポリメチルイソプロピルエーテル処理、例えばLCWにより市販されている、FHC表面処理剤による処理;
− イソステアリルセバケート処理、例えばミヨシ(Miyoshi)により市販されている、HS表面処理剤による処理;
− 二ナトリウムステアロイルグルタメート処理、例えばミヨシ(Miyoshi)により市販されている、NAI表面処理剤による処理;
− ジメチコーン/二ナトリウムステアロイルグルタメート処理、例えばミヨシ(Miyoshi)により市販されている、SA/NAI表面処理剤による処理;
− パーフルオロアルキルホスフェート処理、例えばダイトー(Daito)により市販されている、PF表面処理剤による処理;
− アクリレート/ジメチコーンコポリマー及びパーフルオロアルキルホスフェート処理、例えばダイトー(Daito)により市販されている、FSA表面処理剤による処理;
− ポリメチルハイドロジェノシロキサン/パーフルオロアルキルホスフェート処理、例えばダイトー(Daito)により市販されている、FS01表面処理剤による処理;
【0088】
− ラウロイルリジン/アルミニウムトリステアレート処理、例えばダイトー(Daito)により市販されている、LL-AlSt表面処理剤による処理;
− オクチルトリエチルシラン処理、例えばダイトー(Daito)により市販されている、OTS表面処理剤による処理;
− オクチルトリエチルシラン/パーフルオロアルキルホスフェート処理、例えばダイトー(Daito)により市販されている、FOTS表面処理剤による処理;
− アクリレート/ジメチコーンコポリマー処理、例えばダイトー(Daito)により市販されている、ASC表面処理剤による処理;
− イソプロピルチタントリイソステアレート処理、例えばダイトー(Daito)により市販されている、ITT表面処理剤による処理;
− ミクロクリスタリンセルロース及びカルボキシメチルセルロース処理、例えばダイトー(Daito)により市販されている、AC表面処理剤による処理;
− セルロース処理、例えばダイトー(Daito)により市販されている、C2表面処理剤による処理;
− アクリレートコポリマー処理、例えばダイトー(Daito)により市販されている、APD表面処理剤による処理;
− パーフルオロアルキルホスフェート/イソプロピルチタントリイソステアレート処理、例えばダイトー(Daito)により市販されている、PF+ITT表面処理剤による処理。
【0089】
本発明による、該疎水性フィルム形成ポリマーを含有する該組成物は、さらに1種又はそれ以上の表面未処理顔料を含むことができる。
好ましくは、該顔料は真珠光沢剤である。
これらの顔料は、本発明による組成物の全質量に対して、0.5〜40質量%なる範囲、及び好ましくは1〜20質量%なる範囲の含有率で、該組成物に含めることができる。
本発明によれば、毛髪に適用される、該疎水性フィルム形成ポリマー及び顔料を含有する、本発明の直ちに使用できる組成物及び本発明の化粧料組成物は、1種又はそれ以上の揮発性溶媒を含む。本発明に関連して、該用語「揮発性溶媒」とは、室温(20℃)及び大気圧条件下で液体であり、約0.013Pa(0.1mmHg)を越える、好ましくは約0.013Pa(0.1mmHg)〜約40Pa(300mmHg)なる範囲、及びより一層好ましくは0.065Pa(0.5mmHg)〜約26.7Pa(200mmHg)なる範囲の、20℃における蒸気圧を持つ化合物を意味する。
この揮発性溶媒は、水、非-シリコーン系有機溶媒、又はシリコーン系有機溶媒、又はこれらの組合せであり得る。列挙可能な揮発性の非-シリコーン系有機溶媒は、以下に記載するものを含む:
【0090】
− 揮発性C1-C4アルカノール、例えばエタノール又はイソプロパノール;
− 揮発性C5-C7アルカン、例えばn-ペンタン、ヘキサン、シクロペンタン、2,3-ジメチルブタン、2,2-ジメチルブタン、2-メチルペンタン又は3-メチルペンタン;
− 液状C1-C20酸と揮発性C1-C8アルコールとのエステル、例えば酢酸メチル、酢酸n-ブチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソペンチル、又はエチル3-エトキシプロピオネート;
− 室温において液体であり、揮発性であるケトン、例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン又はアセトン;
− ジメトキシメタン、ジエトキシエタン又はジエチルエーテル等の揮発性エーテル;
− 揮発性グリコールエーテル、例えば2-ブトキシエタノール、ブチルジグリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールn-ブチルエーテル又はプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート;
【0091】
− 揮発性の炭化水素を主成分とするオイル、例えば8〜16個の炭素原子を含む、揮発性の炭化水素を主成分とするオイル、及びこれらの混合物、及び特に分岐C8-C16アルカン、例えばC8-C16イソアルカン(イソパラフィンとしても知られている)、イソドデカン、イソデカン、及び例えばアイソパー(Isopar)又はパーメチル(Permethyl)なる商品名の下で市販されているオイル、及びこれらの混合物。同様に、イソヘキシル又はイソデシルネオペンタノエートを挙げることもできる;
− 揮発性C4-C10パーフルオロアルカン、例えばドデカフルオロペンタン、テトラデカフルオロヘキサン又はデカフルオロペンタン;
− 揮発性パーフルオロシクロアルキル、例えばF2ケミカルズ(F2 Chemicals)社により、夫々フルテック(Flutec) PC1TM、フルテックPC3TM及びフルテックPC6TMなる名称の下に市販されている、パーフルオロメチルシクロペンタン、1,3-パーフルオロジメチルシクロヘキサン及びパーフルオロデカリン、及びさらにパーフルオロジメチルシクロブタン及びパーフルオロモルホリン;
− 以下の式に相当する揮発性フルオロアルキル又はヘテロフルオロアルキル化合物:
【0092】
CH3-(CH2)n[Z]t-X-CF3
上記式において、tは0又は1であり、nは0、1、2又は3であり、Xは2〜5個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖で、二価のパーフルオロアルキル基であり、またZはO、S又はNRを表し、ここでRは水素原子又は基:-(CH2)n-CH3又は(CF2)m-CF3であり、mは2、3、4又は5である。
特に述べることのできる該揮発性フルオロアルキル又はヘテロフルオロアルキル化合物は、3M社によりMSX 4518TM及びHFE-7100TMなる名称の下で市販されているメトキシノナフルオロブタン、及び3M社によりHFE-7200TMなる名称の下で市販されているエトキシノナフルオロブタンである。
好ましくは、該溶媒はその沸点が200℃未満となるように選択される。
一特定の態様によれば、上記非-シリコーン系有機溶媒は、エタノール、イソプロパノール、アセトン及びイソドデカンから選択される。
【0093】
列挙可能な揮発性シリコーン溶媒は、2〜7個のケイ素原子を含む直鎖又は環式シリコーンから選択される低粘度のシリコーン化合物を含み、これらシリコーンは場合により1〜10個の炭素原子を含むアルキル又はアルコキシ基を含み、該化合物の例は、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルエチルトリシロキサン、オクタメチルトリシロキサン及びデカメチルテトラシロキサン、及びこれらの混合物を含む。一特定の態様によれば、該シリコーン化合物は、シクロペンタジメチルシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、オクタメチルトリシロキサン及びデカメチルテトラシロキサンから選択される。
挙げることのできる例は、ダウコーニング(Dow Corning)社によりDC-245なる名称の下で市販されているデカメチルシクロペンタシロキサン、ダウコーニング社によりDC-200フルード(Fluid) 1cStなる名称の下で市販されているオクタメチルトリシロキサン、及びダウコーニング社によりDC-200フルード(Fluid) 1.5cStなる名称の下で市販されているデカメチルテトラシロキサンを含む。
【0094】
該揮発性溶媒は、該フィルム形成ポリマー及び該顔料を含有する、本発明の容易に使用できる化粧料組成物及び組成物において、該組成物の全質量に対して、0.1〜95質量%なる範囲、好ましくは1〜90質量%なる範囲、及び優先的には該組成物の全質量に対して、5〜90質量%なる範囲の含有率で存在し得る。
本発明による、該フィルム形成ポリマー、該顔料及び該揮発性溶媒を含有する、本発明の直ちに使用できる化粧料組成物及び組成物は、また他の不揮発性有機溶媒、例えば以下に列挙するものを含むことができる:
− 不揮発性芳香族アルコール、例えばベンジルアルコール又はフェノキシエタノール;
− 液状C1-C20酸と不揮発性C1-C8アルコールとのエステル、例えばイソプロピルミリステート;
− エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート又はブチレンカーボネート;
− 不揮発性ポリオール、例えばグリセロール、エチレングリコール、ジプロピレングリコール又はブチレングリコール;
− 不揮発性グリコールエーテル、例えばジエチレングリコールモノメチルエーテル又はジプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル;
【0095】
− 不揮発性の炭化水素を主成分とするオイル、例えばイソヘキサデカン;
− 不揮発性液状C10-C30脂肪アルコール、例えばオレイルアルコール;液状C10-C30脂肪アルコールのエステル、例えばC10-C30脂肪アルコールのベンゾエート及びこれらの混合物;ポリブテンオイル、イソノニルイソノナノエート、イソステアリルマレート、ペンタエリスリチルテトライソステアレート又はトリデシルトリメリテート;
− 不揮発性パーフルオロ溶媒、例えばF2ケミカルズ(F2 Chemicals)社により、フルテック(Flutec) PC11TMなる名称で市販されている、パーフルオロパーヒドロフェナンスレン。
該疎水性フィルム形成ポリマー、該顔料及び該揮発性溶媒を含有する、本発明の直ちに使用できる化粧料組成物及び組成物は、他の有色の又は着色性の種、例えば親水性又は疎水性直接染料又は染料プリカーサを含むことができる。
【0096】
該疎水性フィルム形成ポリマー、該顔料及び該揮発性溶媒を含有する、本発明の直ちに使用できる化粧料組成物及び組成物の、良好な展開状態及び改善された被覆を得るためには、本発明による該組成物は、また1種又はそれ以上の、100cStを越える及び好ましくは300cStを越える粘度を持つポリシロキサンを含むことができる。これらポリシロキサンの粘度は、ASTM標準D-445に従って測定できる。このようなポリシロキサンは、シリコーンオイル、ガム又は樹脂、あるいは架橋されたシリコーンであり得る。
本発明による該組成物中に存在することのできる該ポリシロキサンは、該疎水性フィルム形成ポリマーとは異なるものである。
さらに、本発明による該組成物中に存在し得る該ポリシロキサンは、上記揮発性シリコーン溶媒とは異なるものである。
100cStを越える粘度を持つポリシロキサンとしては、特にポリジメチルシロキサン;アルキルジメチコン;ポリフェニルメチルシロキサン、例えばフェニルジメチコン、フェニルトリメチコン、及びビニルメチルメチコン;及びさらに場合によりフッ素化された脂肪族及び/又は芳香族基で、あるいは官能基、例えばヒドロキシル、チオール及び/又はアミノ基で変性されたシリコーンを挙げることができる。
このようなポリシロキサンは、以下の式(V)で表されるシリコーンから選択することができる:
【0097】
【化10】

【0098】
該一般式(V)において、R1、R2、R5及びR6は、一緒に又は別々に、1〜6個の炭素原子を含むアルキル基を表し、R3及びR4は、一緒に又は別々に、1〜6個の炭素原子を含むアルキル基、ビニル基、アリール基、アミノ基又はヒドロキシル基を表し、Xは1〜6個の炭素原子を含むアルキル基、ヒドロキシル基、ビニル基又はアミノ基を表し、n及びpは、300cStを越える粘度を与えるように選択される整数である。
列挙可能な例は、以下のポリジメチルシロキサンを含む:
− 該置換基R1〜R6及びXが、メチル基を表す上記式(V)のポリジメチルシロキサン、例えばゼネラルエレクトリック(General Electric)社により、ベイシリコーン(Baysilicone) TP3898なる名称の下に市販されている製品、及びワッカー(Wacker)社によりAK 500,000なる名称の下に市販されている製品;
− 該置換基R1〜R6及びXが、メチル基を表し、かつp及びnが、分子量を120,000g/モルとするような値である、上記式(V)のポリジメチルシロキサン、例えばダウコーニング(Dow Corning)社により、ダウコーニング(Dow Corning) 200フルード(Fluid) 60,000 CSなる名称の下に市販されている製品;
− 該置換基R1〜R6及びXが、メチル基を表し、かつp及びnが、分子量を250,000g/モルとするような値である、上記式(V)のポリジメチルシロキサン、例えばロディア(Rhodia)社により、ミラシル(Mirasil) DM500,000なる名称の下に市販されている製品、及びダウコーニング(Dow Corning)社により、ダウコーニング(Dow Corning) 200フルード(Fluid) 500,000cStなる名称の下に市販されている製品;
【0099】
− 該置換基R1〜R6が、メチル基を表し、かつXが、ヒドロキシル基を表し、しかもp及びnが、該ポリマーの分子量を600,000g/モルとするような値である、上記式(V)のポリジメチルシロキサン、例えばダウコーニング(Dow Corning)社により、SMG 36なる名称の下に市販されている製品;
− (ポリジメチルシロキサン)(メチルビニルシロキサン)型ジメチコン、例えばGEバイエルシリコーン(GE Bayer Silicones)社により市販されているSE63、及びポリ(ジメチルシロキサン)(ジフェニル)(メチルビニルシロキサン)コポリマー、及びこれらの混合物。
該ポリシロキサンが、フルオロ基を含む場合、以下の式で表される構造を持つコポリマーを選択することができる:
【0100】
【化11】

【0101】
該構造において、Rは、1〜6個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖で、二価のアルキル基、好ましくは二価のメチル、エチル、プロピル又はブチル基を表し、Rfは、1〜12個の炭素原子及び好ましくは1〜9個の炭素原子を含む、フルオロアルキル基、特にパーフルオロアルキル基を表し、R1は、各々独立にC1-C20アルキル基、ヒドロキシル基又はフェニル基を表し、R2はR1又はRfを表し、mは、0〜500なる範囲及び好ましくは0〜200なる範囲の値から選択され、及びnは、1〜1000なる範囲及び好ましくは1〜500なる範囲の値から選択される。
好ましくは、複数ある該基R1は同一であり、またメチル基を表す。
このようなポリシロキサンは、特にシン-エツ(Shin-Etsu)社によりFL-5、FL-10、X22-821及びX22-822なる名称の下に、又はダウコーニング(Dow Corning)社により、FL-100なる名称の下に、フェニックスケミカル(Phoenix Chemical)社により、FS-1265フルード(Fluid)なる名称の下に、ペコシル(Pecosil) FS又はペコシルFSL-150、ペコシルFSL-300、ペコシルFSH-150、ペコシルFSH-300、ペコシルFSU-150及びペコシルFSU-300、なる名称の下に市販されているものである。
【0102】
該ポリシロキサンの質量平均分子量は、1,000〜1,500,000g/モルなる範囲、及び特に20,000〜1,000,000g/モルなる範囲内であり得る。
該ポリシロキサンは、樹脂の形状であり得る。該用語「樹脂」とは、架橋された又は架橋されていない三次元構造を意味する。列挙できるポリシロキサン樹脂の例は、シルセスキオキサン及びシロキシシリケートを含む。
本発明の一態様において、本発明の組成物において有用な該ポリシロキサンは、本発明の組成物に対して溶解性又は分散性である。一態様において、該シリコーン樹脂は、25℃において固体である。
本発明による、該疎水性フィルム形成ポリマー、該顔料及び該揮発性溶媒を含有する、直ちに使用できる化粧料組成物及び組成物は、また架橋シリコーン、例えば柔軟な固体物質の粘弾性特性を有し、三次元構造を持つ高分子量シリコーン化合物である、架橋されたエラストマーオルガノポリシロキサンを含むことができる。従って、これらのオルガノポリシロキサンは、乾燥粉末状態であり得、あるいは溶媒中で膨潤した状態にあり、得られる製品は一般的にゲル状態であり得る。これらの製品は、また水性溶液中で分散状態にあるものであり得る。
【0103】
これらオルガノポリシロキサンの合成は、以下に列挙する特許に記載されている:
− コバヤシコーセイ(Kobayashi Kose)社によるUS 5,266,321;
− トーレシリコーン(Toray Silicone)社によるUS 4,742,142;
− ダウコーニング社(Dow Corning Corp.)による、US 5,654,362。
− 特許出願:FR 2,864,784。
本発明の組成物において使用する該弾性オルガノポリシロキサンは、部分的に又は完全に架橋されていてもよい。これらは、一般に粒子の形状にある。特に、該弾性オルガノポリシロキサン粒子は、0.1〜500μmなる範囲、好ましくは3〜200μmなる範囲及びより一層好ましくは3〜50μmなる範囲の数平均粒径を持つ。これら粒子は、任意の形状を持つことができ、また例えば球状、平坦形状又はアモルファス形状であり得る。
得られる該架橋されたオルガノポリシロキサンは、非-乳化性化合物又は乳化性化合物であり得る。該用語「非-乳化性」とは、ポリオキシアルキレン単位を含まない、架橋されたオルガノポリシロキサンを定義するものである。該用語「乳化性」とは、少なくとも1種のポリオキシアルキレン単位、特にポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレンを含む、架橋されたオルガノポリシロキサン化合物を意味する。
【0104】
該架橋されたオルガノポリシロキサン粒子は、少なくとも1種の炭化水素を主成分とするオイル及び/又は一種のシリコーンオイル中に含まれる、架橋されたオルガノポリシロキサンからなるゲルとして搬送し得る。これらゲルにおいて、該オルガノポリシロキサン粒子は、しばしば非-球形粒子である。該架橋オルガノポリシロキサン粒子は、また粉末、特に球形粉末形状であり得る。
非-乳化性架橋オルガノポリシロキサンは、特に特許:US 4,970,252、US 4,987,169、US 5,412,004、US 5,654,362、及びUS 5,760,116、及び特許出願:JP-A-61-194,009に記載されている。
使用可能な非-乳化性架橋オルガノポリシロキサンは、シン-エツ(Shin-Etsu)社により、KSG-6、KSG-15、KSG-16、KSG-18、KSG-31、KSG-32、KSG-33、KSG-41、KSG-42、KSG-43、KSG-44及びUSG-103なる名称の下で市販されているもの;ダウコーニング(Dow Corning)社により、DC9040、DC9041、DC9509、DC9505、DC9506及びDC9045なる名称の下で市販されているもの;グラントインダストリーズ(Grant Industries)社により、グランシル(Gransil)なる名称で市販されているもの;及びゼネラルエレクトリック(General Electric)社により、SFE 839なる名称で市販されているものを含む。
【0105】
有利には、該乳化性架橋オルガノポリシロキサンは、ジビニル化合物から形成された、ポリオキシアルキレン-変性オルガノポリシロキサン、特に少なくとも2つのビニル基を含み、ポリシロキサンのSi-H結合と反応する、ポリシロキサンを含む。該乳化性架橋オルガノポリシロキサンは、特に特許:US 5,236,986、US 5,412,004、US 5,837,793及びUS 5,811,487に記載されている。
使用できる該乳化性架橋オルガノポリシロキサンは、シン-エツ(Shin-Etsu)社により、KSG-21、KSG-20、KSG-30及びX-226146なる名称で市販されているもの、及びダウコーニング(Dow Corning)社により、DC9010及びDC9011なる名称で市販されているものを含む。
該弾性架橋オルガノポリシロキサン粒子は、また、例えば特許:US 5,538,793に記載されているように、シリコーン樹脂、特にシルセスキオキサン樹脂で被覆された、弾性架橋オルガノポリシロキサンの粉末形状であってもよい。
このようなエラストマーは、シン-エツ(Shin-Etsu)社により、KSP-100、KSP-101、KSP-102、KSP-103、KSP-104及びKSP-105なる名称で市販されている。
【0106】
これらが存在する場合、これらシリコーン化合物の量は、一般的に0.1〜30質量%なる範囲、特に0.1〜20質量%なる範囲及び好ましくは0.1〜10質量%なる範囲にある。
該疎水性フィルム形成ポリマーを含有する本発明の前処理用組成物及び化粧料組成物は、本発明の該疎水性フィルム形成ポリマー以外の、ポリマー増粘剤、及び無機増粘剤、及びこれらの混合物から選択される、1種又はそれ以上の増粘剤を含むことができる。
該増粘剤は、無機又は有機系、及びポリマー型又は非-ポリマー型のものであり得る。該増粘剤は、事例毎に、該組成物の水性相又は脂肪相を増粘するように選択することができる。
該用語「増粘剤」とは、これが配合される媒体のレオロジー特性を調節する化合物を意味する。
該水性媒体用の増粘剤は、以下に列挙するものから選択することができる:
− 親水性クレー;
− 親水性ヒュームドシリカ;
− 水溶性のセルロースを主成分とする増粘剤、例えばヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース又はヒドロキシプロピルセルロース。これらとしては、特にアマーコール(Amerchol)社により、セロサイズ(Cellosize) QP4400 Hなる名称で市販されているガムを挙げることができる;
【0107】
− C1-C6ヒドロキシアルキル基を含む、ノニオン性グアーガム。列挙可能なその例は、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシプロピル基及びヒドロキシブチル基を含むものを包含する。このようなグアーガムは、特にメイホール(Meyhall)社により、ジャガー(Jaguar) HP8、ジャガーHP60、ジャガーHP120及びジャガーHP105なる商品名の下で、又はアクアロン(Aqualon)社により、ガラクタソール(Galactasol) 40H4FD2なる名称の下で市販されている;
− カラギーナン;
− ローカストビーンガム、スクレログルカン(scleroglucan)ガム、ジェランガム、ラムサン(rhamsan)ガム又はカラヤガム;
− アルギネート、マルトデキストリン、デンプン及びその誘導体、及びヒアルロン酸及びその塩;
− ヒスパノキミカ又はガーディアン(Hispano Quimica or Guardian)社により、ヒスパゲル(Hispagel)及びルブラゲル(Lubragel)なる名称の下で市販されている、ポリグリセリル(メタ)アクリレートポリマー;
【0108】
− ポリビニルアルコール;
− 架橋されたアクリルアミドポリマー及びコポリマー、例えばヘキスト(Hoechst)社により、PAS 5161又はボーズポール(Bozepol) Cなる名称の下で、SEPPIC社により、セピゲル(Sepigel) 305なる名称の下で、アライドコロイド(Allied Colloid)社により、市販されているもの;
− アライドコロイド(Allied Colloid)社により、サルケア(Salcare) SC95なる名称の下で市販されている、架橋メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドホモポリマー;
− 会合性ポリマー及び特に会合性ポリウレタン。
このような増粘剤は、特に特許出願:EP-A-1,400,234に記載されている。この特許出願の内容を、参照することによりここに組入れる。
【0109】
上記油性媒体用の増粘剤は、以下に列挙するものから選択することができる:
− 親有機性クレー;
− 疎水性ヒュームドシリカ;
− アルキルグアーガム(C1-C6アルキル基を持つ)、例えばEP-A-708,114に記載されているもの;
− オイル-ゲル化ポリマー、例えばエチレン基を含む少なくとも1種のモノマーの重合又は共重合により得られるトリ-ブロックポリマー又は星型ポリマー、例えばクラトン(Kraton)なる名称の下に市販されているポリマー;
− 100,000未満の重量平均分子量を持つポリマーであって、特許出願:WO-A-02/056847及びWO-A-02/47619(これらの内容を参照することによりここに組入れる)に記載されているように、a) 少なくとも1種のヘテロ原子を含む、炭化水素を基本とする繰返し単位を含む主鎖、及び場合によりb) 場合により官能化されており、6〜120個の炭素原子を含み、これらの炭化水素を基本とする単位に結合している、少なくとも1種のペンダント脂肪鎖及び/又は少なくとも1種の末端脂肪鎖を含むポリマー;特にポリアミド樹脂(とりわけ、12〜22個の炭素原子を含むアルキル基を含む)、例えばUS-A-5,783,657(この内容を参照することによりここに組入れる)に記載されているもの;
− 特許出願:EP-A-1,266,647及びフランス特許出願No.0,216,039(これらの内容を参照することによりここに組入れる)に記載されているような、シリコーンを主成分とするポリアミド樹脂。
【0110】
このような増粘剤は、特に特許出願:EP-A-1,400,234に記載されている。この特許出願の内容を、参照することによりここに組入れる。
該増粘剤は、有機ゲル化剤、即ち少なくとも1種の有機化合物を含む薬剤であり得る。該有機ゲル化剤は、特許出願:WO-A-03/105,788に記載されているものから選択することができる。この特許出願の内容を、参照することによりここに組入れる。
より正確には、本発明の組成物中に存在する該ポリマー増粘剤は、オレフィンの重合によって生成されるアモルファスポリマーである。該オレフィンは、特に弾性のエチレン性不飽和モノマーであり得る。
列挙可能なオレフィンの例は、エチレン系カーバイドモノマー、特に1又は2個のエチレン性不飽和を含み、かつ2〜5個の炭素原子を含む該モノマー、例えばエチレン、プロピレン、ブタジエン又はイソプレンを包含する。
該ポリマー型増粘剤は、該組成物を増粘又はゲル化することができる。該用語「アモルファスポリマー」とは、結晶形を持たないポリマーを意味する。該ポリマー型増粘剤は、またフィルム形成性であり得る。
【0111】
該ポリマー型増粘剤は、特にジブロック、トリブロック、マルチブロック、放射状又は星型コポリマー又はその混合物であり得る。
このようなポリマー型増粘剤は、特許出願:US-A-2002/005,562及び特許:US-A-5,221,534に記載されている。
有利には、該ポリマー型増粘剤は、スチレン及びオレフィンのアモルファス型のブロックコポリマーである。
該ポリマー型増粘剤は、好ましくは該モノマーの重合後の、残留エチレン性不飽和を減らすために、水素添加される。
特に、該ポリマー型増粘剤は、スチレンブロック及びエチレン/C3-C4アルキレンブロックを含む、場合により水素添加されたコポリマーである。
列挙可能な、好ましくは水素添加された、ジブロックコポリマーは、スチレン-エチレン/プロピレンコポリマー及びスチレン-エチレン/ブタジエンコポリマーを含む。ジブロックポリマーは、特にクラトンポリマー(Kraton Polymers)社により、クラトン(KratonTM) G1701Eなる名称の下に市販されている。
列挙可能な、好ましくは水素添加された、トリブロックコポリマーは、スチレン-エチレン/プロピレン-スチレンコポリマー、スチレン-エチレン/ブタジエン-スチレンコポリマー、スチレン/イソプレン/スチレンコポリマー及びスチレン/ブタジエン/スチレンコポリマーを含む。トリブロックポリマーは、特にクラトンポリマー(Kraton Polymers)社により、クラトン(KratonTM) G1650、クラトン(KratonTM) G1652、クラトン(KratonTM) D1101、クラトン(KratonTM) D1102及びクラトン(KratonTM) D1160なる名称の下に市販されている。
【0112】
スチレン-ブチレン/エチレン-スチレントリブロック水添コポリマー及びエチレン-プロピレン-スチレン水添星型ポリマーの混合物を使用することも可能であり、このような混合物は、特にイソドデカン中に分散されている。このような混合物は、例えばペンレコ(Penreco)社によって、ベルサゲル(VersagelTM) M5960及びベルサゲル(VersagelTM) M5670なる商品名の下に市販されている。
有利には、前に記載したもの等のジブロックコポリマー、特にスチレン-エチレン/プロピレンジブロックコポリマーを、ポリマー型増粘剤として使用する。
より正確に言えば、親有機クレーは、該クレーを膨潤可能なものとする化合物で、変性されたクレーである。
クレーは、それ自体既に周知のものであり、これらは、例えば「ミネラロジーデアージル(Mineralogie des argiles)[クレー鉱物学(Clay mineralogy)]」と題する書物,S. Caillere, S. Henin, M. Rautureau, 第2版, 1982, Massonに記載されている。この書物の教示を、参照することによりここに組入れる。
【0113】
クレーは、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、ナトリウム、カリウム及びリチウムカチオン及びこれらの混合物から選択することのできるカチオンを含有するシリケートである。
列挙可能なこの種の製品の例は、モンモリロナイト、ヘクトライト、ベントナイト、バイデライト及びサポナイト等のスメクタイト群、及びさらにバーミキュライト、スチーブンサイト及びクロライト群のクレーを包含する。
これらのクレーは、天然又は合成起源のものであり得る。好ましくは、ケラチン物質と化粧学的に相溶性の及びこれに対して許容されるクレーを使用する。
該親有機クレーは、モンモリロナイト、ベントナイト、ヘクトライト、アタパルジャイト、及びセピオライト、及びこれらの混合物から選択できる。該クレーは、好ましくはベントナイト又はヘクトライトである。
これらクレーは、四級アミン、第三アミン、アミンアセテート、イミダゾリン、アミンソープ、脂肪の硫酸塩、アルキルアリールスルホネート、及びアミンオキサイド、及びこれらの混合物から選択される化合物で変性することができる。
【0114】
列挙可能な親有機クレーは、クオータニウム-18(quaterniumu-18)ベントナイト、例えばレオックス(Rheox)社により、ベントン(Bentone) 3、ベントン38、及びベントン38V、ユナイテッドキャタリスト(United Catalyst)社によりチクソゲル(Tixogel) VP、サザーンクレー(Southern Clay)社により、クレイトン(Claytone) 34、クレイトン40及びクレイトンXLなる名称の下に市販されているもの;ステアラルコニウム(stearalkonium)ベントナイト、例えばレオックス(Rheox)社により、ベントン(Bentone) 27、ユナイテッドキャタリスト(United Catalyst)社によりチクソゲル(Tixogel) LG、及びサザーンクレー(Southern Clay)社により、クレイトン(Claytone) AF及びクレイトンAPAなる名称の下に市販されているもの;クオータニウム-18/ベンザルコニウムベントナイト、例えばサザーンクレー(Southern Clay)社により、クレイトン(Claytone) HT及びクレイトンPSなる名称の下に市販されているものを包含する。
【0115】
上記ヒュームドシリカは、微粉砕されたシリカを生成する、酸素-水素炎中での、揮発性ケイ素含有化合物の、高温加水分解により得ることができる。この方法は、特に表面に多数のシラノール基を持つ親水性シリカを得ることを可能とする。このような親水性シリカは、例えばデグッサ(Degussa)社によりエーロジル(Aerosil)130TM、エーロジル200TM、エーロジル255TM、エーロジル300TM及びエーロジル380TM及びカボット(Cabot)社によりCab-O-Sil HS-5TM、Cab-O-Sil EH-5TM、Cab-O-Sil LM-130TM、Cab-O-Sil MS-55TM、及びCab-O-Sil M-5TMなる名称の下に市販されている。
該シリカの表面を、シラノール基数の減少を生じる化学反応を介して、化学的に変性することが可能である。特に、シラノール基を、疎水性の基で置換することができ、かくして疎水性シリカを得る。
【0116】
該疎水性の基は以下に列挙するものであり得る:
− トリメチルシロキシ基、これは特にヘキサメチルジシラザンの存在下で、ヒュームドシリカを処理することにより得られる。このようにして処理されたシリカは、CTFA(第6版、1995)によれば、「シリカシリレート」として知られている。これらは、例えばデグッサ(Degussa)社によりエーロジル(Aerosil)R812TMなる名称、及びカボット(Cabot)社によりCab-O-Sil TS-530TMなる名称の下に市販されている;
− ジメチルシリルオキシ又はポリジメチルシロキサン基、これらは特にポリジメチルシロキサン又はジメチルジクロロシランの存在下で、ヒュームドシリカを処理することにより得られる。このようにして処理されたシリカは、CTFA(第6版、1995)によれば、「シリカジメチルシリレート」として知られている。これらは、例えばデグッサ(Degussa)社によりエーロジル(Aerosil)R972TM及びエーロジル(Aerosil)R974TMなる名称、及びカボット(Cabot)社によりCab-O-Sil TS-610TM及びCab-O-Sil TS-720TMなる名称の下に市販されている。
該ヒュームドシリカは、好ましくはnm〜μmのオーダー、例えば約5〜200nmなる範囲であり得る、粒径を持つ。
有機変性ベントナイト又はヘクトライトが、好ましい無機増粘剤として使用される。
【0117】
該増粘剤は、本発明の組成物中に、該疎水性フィルム形成ポリマーを含む本発明の組成物の全質量に対して、0.1〜10質量%なる範囲、好ましくは0.5〜7質量%なる範囲及びより好ましくは0.5〜5質量%なる範囲の全含有率として存在する。
前記用語「化粧学的に許容される媒体」とは、ケラチン繊維、例えば毛髪に対して相溶性の媒体を意味する。
本発明による前処理用組成物の、該化粧学的に許容される媒体は、水、化粧学的に許容される溶媒、又は水と1種又はそれ以上の化粧学的に許容される溶媒との混合物で構成される。これらの化粧学的に許容される媒体は、C1-C4低級アルコール、例えばエタノール又はイソプロパノール、ポリオール及びポリオールエーテル、例えば2-ブトキシエタノール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル及びモノ-エチルエーテル、及びまた芳香族アルコール、例えばベンジルアルコール又はフェノキシエタノール、及びこれらの混合物から選択することができる。
【0118】
好ましくは、該化粧学的前処理用組成物の該化粧学的に許容される媒体は、水、エタノール又は水とエタノールとで生成される混合物で構成される。
上記有機ケイ素含有化合物は、該化粧学的に許容される媒体に対して溶解性であり、またさらに好ましくは、25℃±5℃なる温度及び大気圧下で、水に対して、1質量%なる濃度まで、より一層好ましくは2質量%なる濃度まで、及びさらに一層好ましくは5質量%なる濃度まで、溶解性である。該用語「溶解性」とは、単一の巨視的な層の形成を意味する。
該化粧学的前処理用組成物における該化粧学的に許容される媒体の含有率は、該前処理用組成物の全質量に対して、0.1〜99質量%なる範囲及び好ましくは5〜98質量%なる範囲の値であり得る。
本発明の組成物は、また例えば還元剤、脂肪物質、柔軟剤、消泡剤、モイスチャライザー、UV-遮断剤、無機コロイド、解膠剤、可溶化剤、香料、アニオン性、カチオン性、ノニオン性又は両性界面活性剤、タンパク質、ビタミン、噴射剤、オキシエチレン化又は非-オキシエチレン化ワックス、パラフィン、C10-C30脂肪酸、例えばステアリン酸又はラウリン酸、及びC10-C30脂肪アミド、例えばラウリン酸ジエタノールアミドから選択される、1種又はそれ以上の化粧料賦形剤を含むこともできる。
【0119】
上記添加剤は、一般的に該組成物の質量に対して、各々0.01〜20質量%なる範囲の量で存在する。
当然のことながら、当業者は、本発明による被覆の形成に係る固有の有利な諸特性が、全く又は実質的に悪影響を受けないように、この又はこれらの随意の添加剤を選択すべく注意を払うであろう。
本発明による組成物は、特に懸濁液、分散液、溶液、ゲル、エマルション、特に水中油型(O/W)又は油中水型(W/O)エマルション、あるいは多相エマルション(W/O/W又はポリオール/O/W又はO/W/O)の形状、あるいはクリーム、ムース、スティック、小胞体、特にイオン性又は非-イオン性脂質の分散液、2-層又は多層ローションスプレー、粉末又はペーストの形状であり得る。また、該組成物は、ラッカーの形状であってもよい。
当業者は、その一般的な知見に基いて、第一に、まず使用する成分の特性、特にその支持体に対する溶解度、及び第二に、該組成物の意図した用途を考慮して、適当なガレノス剤形、及びさらにその製法を選択することができる。
【0120】
本発明のもう一つの目的は、毛髪等のケラチン繊維を処置するための化粧学的方法であり、該方法は、上記の如き直ちに使用できる組成物の有効量を、該繊維に適用する工程からなる。一変法によれば、該毛髪に適用する前に、場合により揮発性溶媒に溶解された該有機ケイ素含有化合物を、1種又はそれ以上の疎水性フィルム形成ポリマー、1種又はそれ以上の顔料及び1種又はそれ以上の揮発性溶媒を含む組成物と、その場で混合することができる。
上記の直ちに使用できる組成物は、湿潤状態にある又は乾燥状態にある毛髪、及びさらに金髪又は黒髪、自然の又は染色された毛髪、パーマがけした、又は漂白された又は弛緩状態にある任意の型の毛髪に対して使用することができる。
好ましくは、本発明による直ちに使用できる組成物は、湿った毛髪に適用される。
本発明の方法の一特定の態様によれば、該毛髪は、上記組成物を適用する前に、洗髪される。
該毛髪に対する該直ちに使用できる組成物の適用は、例えば櫛、細かいブラシ、粗いブラシ又は指を用いて行うことができる。
【0121】
本発明は、また毛髪等のケラチン繊維を処置するための化粧学的方法に関連し、該方法は、化粧学的に許容される媒体中に、1種又はそれ以上の上記の如き有機ケイ素含有化合物を含む化粧学的前処理用組成物を、該ケラチン繊維に適用し、次いで上記の如き、1種又はそれ以上の疎水性フィルム形成ポリマー、1種又はそれ以上の顔料及び1種又はそれ以上の揮発性溶媒を含む化粧料組成物を、該繊維に適用することからなる。
より詳しくは、該処置法は、該ケラチン繊維に、化粧学的に許容される媒体中に、1種又はそれ以上の上記の如き有機ケイ素含有化合物を含む、化粧学的前処理用組成物を適用し、場合により随意の放置期間の経過後、該繊維を濯ぎ、及び場合により該繊維を乾燥し、引続き上記の如き、1種又はそれ以上の疎水性フィルム形成ポリマー、1種又はそれ以上の顔料及び1種又はそれ以上の揮発性溶媒を含む化粧料組成物を、該繊維に適用することからなる。
上記化粧料組成物は、あらゆる型の毛髪、即ち淡色又は暗色の毛髪、自然の毛髪又はパーマかけ処置、染髪、漂泊又は弛緩処理等の化粧学的な処置に掛けられた毛髪に対して使用することができる。
【0122】
上記化粧学的前処理用の組成物は、湿った又は乾燥した毛髪に対して使用することができる。好ましくは、該化粧学的前処理用組成物は、清浄な毛髪に対して適用される。
好ましくは、該前処理用組成物による処置と、該疎水性フィルム形成ポリマーを含む該化粧料組成物による処置との間の放置期間は、数秒乃至60分間、好ましくは30秒乃至15分間及びより一層好ましくは1分乃至5分間であり得る。
該前処理用組成物は、該疎水性フィルム形成ポリマーを含む該組成物の適用前に、洗い流しても、洗い流さなくてもよい。
好ましくは、該前処理用組成物は、洗い流され、即ちその適用は、濯ぎ工程を伴う。
該疎水性フィルム形成ポリマー、該顔料及び該揮発性溶媒を含む該化粧料組成物は、湿った又は乾燥した毛髪に対して使用することができる。該処理後の毛髪の乾燥工程実施の選択は、該組成物において使用された該疎水性ポリマーに依存する。上記組成物の毛髪への適用は、例えば櫛、細かいブラシ、粗いブラシ又は指を用いて行うことができる。
【0123】
一特定の態様によれば、該フィルム形成ポリマーを含む、該直ちに使用できる組成物及び該化粧料組成物の適用は、次いで40℃以上の温度における乾燥工程を伴う。一特定の態様によれば、この温度は45℃を越える。一特定の態様によれば、この温度は45℃を越えかつ220℃未満である。
乾燥は、該適用の直後又は1〜30分間なる範囲であり得る、放置期間の経過後に行うことができる。
好ましくは、熱の供給に加えて、空気流を用いて、毛髪を乾燥することができる。乾燥中のこの空気流は、被覆の独立性を改善することを可能とする。
乾燥中、毛髪の房に、例えば梳り、ブラシがけ、又は指を通す等して、機械的作用を及ぼすことができる。
【0124】
本発明の方法の該乾燥段階は、フード、ヘアドライヤー、平滑化アイロン、クライマゾン(Climazon)等を用いて行うことができる。
該乾燥段階を、フード又はヘアドライヤーを用いて行う場合、該乾燥温度は、40〜110℃及び好ましくは50〜90℃なる範囲内とする。
該乾燥段階を、平滑化アイロンを用いて行う場合、該乾燥温度は、110〜220℃なる範囲及び好ましくは140〜200℃なる範囲内とする。
該乾燥段階を完了した後、場合によっては、最終的なリンス処理及びシャンプー洗浄を行うことができる。
【0125】
I. 直ちに使用できる組成物に関する例
例1:
以下の組成物を調製した。
【0126】
【表1】

(*):ダウコーニング社により市販されている。
【0127】
0.6gの組成物1a、1b、1c、又は1dを、1gの清浄で、湿潤状態にあるパーマがけした毛髪一房に適用した。2分間という放置期間の経過後、該毛髪の房を、80℃なる温度にて2分間、ヘアドライヤーを用いて乾燥させた。
毛髪が個々バラバラの状態にあり、また色が、シャンプー-堅牢性を持つ、着色された毛髪の房を得た。
例2:
以下のような組成物を調製した:
【0128】
【表2】

【0129】
0.6gの組成物2を、1gの清浄で、湿潤状態にあるパーマがけした毛髪一房に適用した。2分間という放置期間の経過後、該毛髪の房を、80℃なる温度にて2分間、ヘアドライヤーを用いて乾燥させた。毛髪が個々バラバラの状態にあり、また色が、シャンプー-堅牢性を持つ、着色された毛髪の房を得た。
組成物5(第二)を、上記と同一の条件下で適用したところ、該色のシャンプー-堅牢性は、著しく低下した。
例3:
以下の組成物を調製した:
【0130】
【表3】

【0131】
0.6gの組成物3を、1gの清浄で、湿潤状態にあるパーマがけした毛髪一房に適用した。2分間という放置期間の経過後、該毛髪の房を、80℃なる温度にて2分間、ヘアドライヤーを用いて乾燥させた。毛髪が個々バラバラの状態にあり、また色が、シャンプー-堅牢性を持つ、着色された毛髪の房を得た。
組成物3(第二)を、上記と同一の条件下で適用したところ、該色のシャンプー-堅牢性は、著しく低下した。
II. 前処理用組成物の例
例1:
以下の組成物を調製した:
組成物1:
【0132】
【表4】

【0133】
組成物2:
【0134】
【表5】

【0135】
組成物3:
【0136】
【表6】

(*):ダウコーニング社により市販されている。
【0137】
0.6gの組成物1a、1b、1c、2a、2b、2c及び2dを、1gの清浄で、湿潤状態にあるパーマがけした各毛髪一房に適用した。5分間という放置期間の経過後、該毛髪の房を濯いだ。次いで、0.6gの組成物3を、該湿潤した毛髪の房に適用した。2分間なる放置期間の経過後、該毛髪の房を、80℃なる温度にて2分間、ヘアドライヤーを用いて乾燥させた。毛髪が個々バラバラの状態にあり、また色が、シャンプー-堅牢性を持つ、着色された各一房の毛髪を得た。
例2:
以下の組成物を調製した:
組成物4:
【0138】
【表7】

【0139】
0.6gの例1の組成物1a、1b又は1cを、1gの清浄で、湿潤状態にあるパーマがけした毛髪一房に適用した。5分間という放置期間の経過後、該一房の毛髪を濯ぎ、次いでヘアドライヤーで乾燥した。次に、0.6gの組成物4を、該乾燥した一房の毛髪に適用した。2分間なる放置期間の経過後、該毛髪の房を、80℃なる温度にて2分間、ヘアドライヤーを用いて乾燥させた。毛髪が個々バラバラの状態にあり、また色が、シャンプー-堅牢性を持つ、着色された各毛髪の房を得た。
組成物4のみを、前記前処理なしに適用したところ、該色のシャンプー-堅牢性は、著しく低下した。
例3:
以下の組成物を調製した:
組成物5:
【0140】
【表8】

【0141】
0.6gの例1の組成物1a、1b又は1cを、1gの清浄で、湿潤状態にあるパーマがけした毛髪一房に適用した。5分間という放置期間の経過後、該毛髪の房を濯ぎ、次いでヘアドライヤーで乾燥した。次に、0.6gの組成物5を、該乾燥した毛髪の房に適用した。2分間なる放置期間の経過後、該毛髪の房を、80℃なる温度にて2分間、ヘアドライヤーを用いて乾燥させた。毛髪が個々バラバラの状態にあり、またその色が、シャンプー-堅牢性を持つ、着色された各毛髪の房を得た。
組成物5のみを、前記前処理なしに適用したところ、該色のシャンプー-堅牢性は、著しく低下した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケラチン繊維を処置するための化粧料組成物であって、以下の各成分:
1、2又は3個のケイ素原子を含むシランから選択される、1種又はそれ以上の有機ケイ素含有化合物、ここで、該有機ケイ素含有化合物は、さらに1分子当たり、1種又はそれ以上の塩基性化学官能基及び1種又はそれ以上のヒドロキシル基又は加水分解性の基をも含み;
1種又はそれ以上の疎水性フィルム形成ポリマー;
1種又はそれ以上の顔料;及び
1種又はそれ以上の揮発性溶媒、
を含むことを特徴とする、前記化粧料組成物。
【請求項2】
前記有機ケイ素含有化合物の該塩基性化学官能基が、第一、第二及び第三アミンから選択される、請求項1記載の化粧料組成物。
【請求項3】
前記加水分解性の基が、アルコキシ基、アリールオキシ基及びハロゲン原子から選択される、請求項1又は2記載の化粧料組成物。
【請求項4】
前記有機ケイ素含有化合物が、以下の一般式(I):
【化1】

該一般式(I)において、
R4は、ハロゲン原子又はOR'基又はR'1基を表し;
R5は、ハロゲン原子又はOR''基又はR'2基を表し;
R6は、ハロゲン原子又はOR'''基又はR'3基を表し;
R1、R2、R3、R'、R''、R'''、R'1、R'2、R'3が、夫々相互に独立に、飽和又は不飽和で、直鎖又は分岐鎖の、場合により追加の化学基を持つ、炭化水素を基本とする基を表し、R1、R2、R'、R''及びR'''は、また水素原子を表すこともでき、さらに基R4、R5及びR6の少なくとも2つは、該基R'1、R'2、R'3以外の基である、
から選択されるものである、請求項1〜3の何れか1項に記載の化粧料組成物。
【請求項5】
前記基R1、R2、R'、R'1、R'2、R'3、R''及びR'''が、C1-C12アルキル基、C5-C14アリール基、(C1-C8)アルキル(C5-C14)アリール基及び(C5-C14)アリール(C1-C8)アルキル基から選択され、また前記基R3が、場合によりアミノ基で置換されている、C1-C12アルキレン基、C5-C14アリーレン基、(C1-C8)アルキレン(C5-C14)アリーレン基及び(C5-C14)アリーレン(C1-C8)アルキレン基から選択される、請求項4記載の化粧料組成物。
【請求項6】
前記有機ケイ素含有化合物が、以下の一般式(II):
(R21O)x(R22)ySi - (B)p - [N R23 - (B')p']q - [N R'23 - (B'')p'']q' - Si - (R'22)y'(OR'21)x' (II)
該一般式(II)において、R21、R22、R'21及びR'22は、各々独立に、場合により1種又はそれ以上のヘテロ原子を含み、また場合により、エーテル、エステル、アミン、アミド、カルボキシル、ヒドロキシル及びカルボニル基から選択される1又はそれ以上の基で中断されあるいは置換された、飽和又は不飽和で、直鎖又は分岐鎖の炭化水素を基本とする基を表し、
xは1〜3なる範囲の整数であり、
y=3-xであり、
x'は1〜3なる範囲の整数であり、
y' = 3-x'であり、
p=0又は1であり、
p'=0又は1であり、
p''=0又は1であり、
q=0又は1であり、
q'=0又は1であり、
但しq又はq'の少なくとも一方は零以外の値であり、
B、B'及びB"は、各々独立に、直鎖又は分岐鎖で、二価のC1-C20アルキレン基を表し、
R23及びR'23は、各々独立に、水素原子、又は場合により1種又はそれ以上のヘテロ原子を含み、場合により1種又はそれ以上のエーテル、C1-C20アルコールのエステル、アミン、カルボキシル、アルコキシシラン、C6-C30アリール、ヒドロキシル又はカルボニル基により中断されあるいは置換されている、飽和又は不飽和で、直鎖又は分岐鎖の炭化水素を基本とする鎖、又は場合により1種又はそれ以上のC3-C20アルコールのエステル、アミン、アミド、カルボキシル、アルコキシシラン、ヒドロキシル、カルボニル又はアシル基により置換されている、ヘテロ環式又は非-ヘテロ環式芳香族リングを表す、
で表される化合物から選択される、請求項1〜3の何れか1項に記載の化粧料組成物。
【請求項7】
前記有機ケイ素含有化合物が、3-アミノプロピル-トリエトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン又は3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルメチルジエトキシシランである、請求項1〜6の何れか1項に記載の化粧料組成物。
【請求項8】
前記疎水性フィルム形成ポリマーが、ポリウレタン、ポリウレタン-アクリル樹脂、ポリウレア、ポリウレア-ポリウレタン、ポリエステル-ポリウレタン、ポリエーテル-ポリウレタン、ポリエステル、ポリエステルアミド、アクリル酸ポリエステル、ポリビニルピロリドンを主成分とするポリマー又はコポリマー、アクリル酸及び/又はビニルのポリマー又はコポリマー、ポリアクリルアミド、アクリル酸部分を含むシリコーンポリマー、シリコーン樹脂、ポリウレア/ポリウレタンシリコーン、シリコーン樹脂及びジメチコノールを主成分とするコポリマー、フルオロポリマー、セルロース、及びこれらの混合物から選択される、請求項1〜7の何れか1項に記載の化粧料組成物。
【請求項9】
前記揮発性溶媒が、エタノール、イソプロパノール、アセトン、イソドデカン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルトリシロキサン及びデカメチルテトラシロキサンから選択される有機溶媒及び水、から選択される、請求項1〜8の何れか1項に記載の化粧料組成物。
【請求項10】
前記顔料が、無機顔料、有機顔料、レーキ及び特殊な効果を持つ顔料、例えば真珠光沢顔料又は光輝性フレーク、及びこれらの混合物から選択される、請求項1〜9の何れか1項に記載の化粧料組成物。
【請求項11】
前記顔料が、真珠光沢顔料である、請求項10記載の化粧料組成物。
【請求項12】
ケラチン繊維を処置するための化粧学的方法であって、請求項1〜11の何れか1項に記載の化粧料組成物を、該繊維に適用し、かつ該組成物を40℃以上の温度にて乾燥することを特徴とする、前記化粧学的方法。
【請求項13】
請求項1〜11の何れか1項に記載の化粧料組成物の、ケラチン繊維の染色ための使用。
【請求項14】
化粧学的に許容される媒体中に、1、2又は3個のケイ素原子を含むシランから選択され、1分子当たり1又はそれ以上の塩基性化学官能基及び1又はそれ以上のヒドロキシル基又は加水分解性の基を含有する、1種又はそれ以上の有機ケイ素含有化合物を含む化粧料組成物の、1種又はそれ以上の疎水性フィルム形成ポリマー、1種又はそれ以上の顔料及び1種又はそれ以上の揮発性溶媒を含有する化粧料組成物に対する、前処理としての使用。
【請求項15】
ケラチン繊維を処置するための化粧学的方法であって、該方法が、化粧学的に許容される媒体中に、請求項1〜7の何れか1項に定義した、1種又はそれ以上の有機ケイ素含有化合物を含有する化粧学的前処理用組成物を適用し、及びその後、1種又はそれ以上の疎水性フィルム形成ポリマー、1種又はそれ以上の顔料及び1種又はそれ以上の揮発性溶媒を含有する化粧料組成物を適用することからなることを特徴とする、前記化粧学的方法。

【公開番号】特開2010−83892(P2010−83892A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−243878(P2009−243878)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】