説明

少なくとも2つの細胞集団を区別する方法及び応用

少なくとも2つの細胞集団の間を区別するための方法及びその使用。本発明の主題は、場合により試料中に存在する、特定の特徴を担持する生物学的エレメントの少なくとも2つの集団の間を区別し、カウントするための方法である。本発明は、たった2つの検出手段の使用によって、生物学的エレメントの少なくとも3つの集団の明確かつ明瞭な検出を可能にし、それは、生物学的エレメントの少なくとも2つの集団がある検出手段及び同じ検出手段によって検出されることを意味する。本発明は、3つの異なるプローブを使用する場合に実行され、それぞれは、検出されるべき生物学的エレメントの集団の1つを認識し、それに固定されるようになり、プローブの各々は、それ自体、異なるマーカーによって検出可能にされ、2つの発光スペクトルを有する該マーカーの2つは少なくとも1つの共通部分(重複発光スペクトル)を有し、発光スペクトルを有する第3のものは他の2つとは本質的に共通する部分を持たない(非重複スペクトル)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液学において日常的に使用されている装置に適合可能なフローサイトメトリーの原理を用いて、液体に存在する複数の生物学的エレメントを検出し、それらを区別し、カウントするための方法に関する。
【0002】
現在市販されている自動化血液学分析器(自動化血液学機械)は、分析させるエレメントの分析及び分類に対して益々の可能性を提供している。
【0003】
蛍光測定は、既にフローサイトメトリーに普及しているが、主に、免疫表現型によるエレメントの分類のために使用されている。日常的に使用されている自動化血液学機械において、それは、とりわけ、核酸又は他の細胞成分の定量のために、分子プローブとして使用される超生体色素の検出に貢献している。
【0004】
日常的な血液学における免疫学的プローブの使用は、未だに普及しておらず、2、3の胚試験が別々の設計者によって日の目に見られている。
【0005】
例えば、バイエル(BAYER)(Bayer Diagnostics,Tarrytown,ニューヨーク州,米国)は、BAYER−TECHNICON H*1と共に、リンパ球型において、異なった型のリンパ球を区別するための抗体のカクテルの使用を初めて提案した。この場合、抗体発現の測定は、蛍光によらず、抗体にそれ自体が結合したビオチンの大きなアフィニティーを有するアビジン−ペルオキシダーゼ化合物によって生じる光吸収の測定によって実行される。この抗体は、特徴付けられた細胞型(CD4、CD8、CD2、CD19)に特異的な表面分子の標的抗原に特異的である。
【0006】
ABBOTT(Abbott Laboratories,Abbott Park,イリノイ州,米国)から提供されるABBOTT CD4000は、特に、免疫表現型を実行するための2つの蛍光波長を用いた分析を提案する。Abbott Laboratoriesの特許WO98/02727は、このタイプの装置を記載し、全血液試料に抗体でマーカーすることを可能にしている。ABBOTTは、この特許の中で詳細に、全血液試料の抗体−抗原反応を生じさせるために意図された装置を記載している。
【0007】
単純であり、迅速であり、効果的でしかも特異的な表現型方法は、自動化血液学機械タイプの非常に単純な自動化機械において使用しなければならず、制限的な数の検出器による作業を可能にする。この技術は、実質的には同じであるとしても、血液学に日常的に使用される自動化機械は、特に日常的な測定では、特に、厳密に必要とされるものに減らされる測定パラメータの数に基づいて、フローサイトメーターとは異なる特徴を有する。さらに、費用が、非常に重大な限定要因であるため、実行を可能にする装置及び分析の単純化が全体の節約を唯一改善することができる。
【0008】
フローサイトメトリーは、例えば、細胞又は細胞オルガネラなどの生物学的エレメントの種々の物理的な特徴に対応する複数のパラメータを同時に測定することができる。生物学的エレメントは、液体フローに取り込まれ、装置は、光源の前に測定チャンバーを通過させる場合、それらの各々の挙動を記録する。
【0009】
この技術は、実際には、3つのシステムの組合せである。
1)流動システム:生物学的エレメントを測定チャンバー中で光源の前に一つずつ通過させることを可能にした層流。
2)光学システム:レーザービーム又は他の光源、及び適切な励起波長及び発光波長を選択可能な様々なフィルター。
3)電子システム:発光した光を捕捉し、電気シグナル、次にデジタルシグナルに変換することができるPMT(光電子増倍管)又は光ダイオード。
【0010】
要約すると、光源は、レンズを通過させ、測定チャンバーを通過する生物学的エレメントを照射する光を発生させることができる。生物学的エレメントと接触すると、光の一部が拡散する。この光は、いくつかのレンズ及びダイアフラムを通過し、光ダイオード型センサーに集められ、FSC(前方散乱)測定を生じさせる。この測定は、選択された角度の範囲内で、生物学的エレメントのサイズの表示を与える。
【0011】
別の部分の光は、直角に屈折され、別のレンズセット及び半反射鏡を通過し、SSC(側面散乱)シグナルを発生させるセンサーレベルで測定される。この直角光測定は、生物学的エレメントの密度及びその粒度(構造)の表示を与える。
【0012】
最後に、光強度測定は、分析されるべき波長及び光シグナルが存在するため、多くの光電子増倍管又は光ダイオードの手段によって実行可能である。
【0013】
サイトメーターへの生物学的エレメントの通過は、該生物学的エレメントの構造又は機能に特異的なプローブによって検出可能にし、したがって、マークする前段階を必要とし、該プローブは予め検出可能にされている。
【0014】
プローブマーカーが蛍光分子である場合、後者は、それに特異的な波長範囲(励起スペクトル)で光子を吸収することができる。このように励起されると、蛍光分子は、その基底状態に戻り、低エネルギーを有する光子が放出される。したがって、蛍光分子は、それに特異的な励起波長スペクトルを有し、そこでは、特徴的でもある励起スペクトルに従って、蛍光(発光した蛍光)の形態で再発光するためにエネルギーを吸収する。この発光した蛍光波長は、通常、励起波長よりも大きい(より低い周波数)。
【0015】
散乱(FSC、SSC)及び蛍光シグナルは、適切な検出器によって電気信号に変換され、次に、コンピュータシステムによって分析される。
【0016】
このように、フローサイトメトリーでは、蛍光波長バンドは、通常、使用されるプローブの各々又はそれらのカクテルと関連する。したがって、各プローブは、蛍光色素(蛍光マーカー)に結合し、そのシグナルは、単一の蛍光チャネルで、この蛍光色素が1以上のプローブタイプにグラフトされるかどうかを測定する。
【0017】
費用削減は、軸方向分散(前方散乱、即ちFSC)、直角分散(側面散乱、即ちSSC)、インピーダンス測定容積などから選択される標準的な物理的パラメータに加えて、制限された数の蛍光測定チャネルを有する免疫表現型パラメータの日常的な使用によって達成することができる。
【0018】
蛍光応答の加算可能性は、同じ測定チャネルにいくつかの異なったマーキングを表し、このようにしてシステムの分析能力、したがって価格/性能比を増やすことができるが、しかしながら、測定チャネルの追加による装置の複雑さを増加させない。
【0019】
いくつかのプローブが同じ蛍光色素と結合する場合の困難性は、異なるプローブによってそれぞれ認識される生物学的特徴の発現が、発光される蛍光の全量を直接的に増加させることである。
【0020】
したがって、例えば、生物学的特徴は、強く存在する場合(例えば、細胞表面での抗原)、マークされしかも固定されたプローブ量は、この生物学的特徴の量に比例する。結論として、このプローブによって発光される蛍光量は、それ自体が固定されしかもマークされたプローブを有する生物学的特徴の量に比例し、より高い。
【0021】
並行して、同じ試料の別の生物学的特徴が弱く表される場合、同じ蛍光色素に結合した対応するプローブによって発光される蛍光量は、低く過ぎ、気付かずに通過し、第1プローブの蛍光によってマークされる。
【0022】
当然に、同じ困難性は、他のタイプのマーキングの使用中に出くわされる。
【発明の開示】
【0023】
本発明の目的の1つは、正確には、たった2つの検出手段の使用によって、少なくとも3つのプローブの明確かつ一義的な検出を可能にすることである。したがって、これは、少なくとも2つのプローブが1つの及び同じ検出手段によって検出されることを意味する。これは、3つの異なるプローブを使用する場合に達成することができ、各々は、検出されるべき生物学的エレメントの1つ、又は生物学的エレメント(単数又は複数)の特徴を認識し、固定され、プローブの各々は、それ自体、異なるマーカーによって検出されるようになり、2つの発光スペクトルを有するこれらのマーカーのうちの2つは、少なくとも1つの共通部分(発光スペクトルの重複)を有し、発光スペクトルを有する第3のものは、本質的には、他の2つ(スペクトルが重複しない)と共通する部分を有しない。重複発光スペクトルを有する2個(又はn個)のマーカーは、第1検出手段によって測定され、重複しない発光スペクトルを有するマーカーは、第2検出手段によって測定される。
【0024】
したがって、本発明は、
(1)−1つ及び同じ検出バンドで測定されるn個のマーカーに結合したn個のプローブの発光生成による抗原発現又は細胞の特徴における相違を均衡に保つこと;
(2)−マトリックスを構成する軸として用いるために、1つのバンドにおいて第2検出手段に由来するシグナルと、他のバンドにおける第1検出手段由来のシグナルとの間の比を創出すること;
(3)−図解を改善し、したがって対象とする生物学的エレメントの特徴付け及び定量を改善することを目的として、1つのバンドの(2)項由来の比と、他のバンドの第1検出手段由来のシグナルとを二次元で合わせること
を伴う。
【0025】
「生物学的エレメント」とは、本発明によれば、例えば、真核又は原核細胞、細胞群、細胞断片を意味する。
【0026】
「生物学的特徴」とは、試験される生物学的エレメントに特異的な成分、例えば、細胞オルガネラ、タンパク質、脂質、糖質、又は核酸(RNA若しくはDNA)などの細胞の生物学的成分を意味する。
【0027】
「プローブ」とは、本発明によれば、試験される生物学的エレメントに又はその上に存在する生物学的又は化学的特徴を特異的に同定することを可能にするいずれかの手段を意味する。本発明に従って使用可能なこの手段は、特に細胞生物学、分子生物学、免疫学及びフローサイトメトリーの分野において完全に知られている。限定されないが、抗体、核酸(DNA若しくはRNA)、化合物、特にインターカレート化合物、イオン性環境(H+、Ca++など)に反応するもの、レクチン、リガンド又は他の細胞生存性の色素に言及することができる。
【0028】
「プローブのマーカー」とは、その性質によって、視覚的に、若しくは適切な装置を用いて直接的に測定可能であるか、又は励起後に検出可能であるいずれかの化合物を意味する。このような化合物は、一度プローブに結合すると、後者を検出可能にする。蛍光分子は、これらが、例えば、化合物又はタンパク質などの生物学的分子であるかどうかを言及することができる。これらの全ての生成物は市販され、大部分の実験室の化学生成物の配布者、例えば、Sigma、Aldrich、Fluka、Riedel de Haen等によって供給される。
【0029】
本発明に係る方法を用いた生物学的エレメントの集団の間での区別における同じ実験において、それらの検出が、本発明に従って定義される基準(少なくとも2つの重複した発光スペクトル及び1つの重複していないスペクトル)により一度実行されると、異なる性質のプローブ(結合した抗体及びマークした核酸又は細胞生存率など)を用いることが可能である。
【0030】
「検出手段」とは、本発明によれば、プローブのマーカーを検出し、又はさらに定量するいずれかの手段を意味する。この検出手段は、全ての場合において、特定のプローブのマーカーを検出することができる物理的成分の全てで構成されている。例えば、それが蛍光発光マーカーである場合、検出は、試料を観察するための光学用レンズ、特別なフィルター(ダイアフラム、「ピンホール」など)、分光(2色性、干渉性)フィルター(マーカー又は複数のマーカーに特異的な「検出バンド」と呼ばれるスペクトルの部分のみを測定可能にし、光電子工学センサーそれ自体(光ダイオード、光電子増倍管など)をセンサーに通過可能にするために特にアレンジされている)を含むアセンブリである。次に、このセンサーは、アナログ及び/又はデジタルシグナルのプロセッシングを実行し、最終的にはコンピュータを介したデータプロセッシングを実行する電子取得鎖(electronic acquisition chain)に電気的に連結される。
【0031】
例えば、プローブが蛍光マーカーを用いてマークされる場合、若しくはプローブがそれ自体で蛍光である場合は蛍光検出器、又はプローブが、励起光の色スペクトルの特別な部分に存在しないマーカーである場合は分光光度計でもあり得る。
【0032】
「発光スペクトル」とは、本発明によれば、マーカー又はプローブそれ自体のバンド特性において波長に応じた蛍光強度の分布を意味する。一般に、このようなスペクトルは、発光最大に対応する強度ピークを有する。検出は、2つの波長の間に含まれる範囲で実行され得て、概して、発光した最大の蛍光ピーク(最大検出ピーク)に対応する所定の中間波長を形成する。
【0033】
「検出バンド」とは、考慮されるマーカー又は複数のマーカーの発光スペクトルから選択される波長の範囲を意味する(例えば、蛍光発光マーカーであれば、検出バンドは、好ましくは最大蛍光発光ピーク周辺で選択されるバンドである)。この検出バンドは、場合によっては1以上の2色性ミラーの後ろで集合される少なくとも1つの干渉又はバンドパスフィルターを介して、検出手段に組み込まれた分光フィルタリングによって定義される。
【0034】
「重複した発光スペクトル」とは、同じ検出手段において、2つの異なるマーカーの場合で、それらの発光スペクトルが共通のゾーンにあることを意味する。例えば、2つの蛍光発光マーカーが存在する場合、それらの発光スペクトルは、それらの2つの発光スペクトルに共通する2つの波長の間に含まれる共通の発光範囲を有する場合に重複した発光スペクトルと呼ばれる。一般に、このようなスペクトルは、好ましくは別の最大発光スペクトルを有する。
【0035】
「本質的には重複しない発光スペクトル」とは、2つが重複した発光スペクトルを有する3つの異なるマーカーの場合、第3のものは、他の2つのマーカーのスペクトルのいずれかと有意な重複/重複ゾーンを持たない発光スペクトルを有することを意味する。
【0036】
上記を読めば、したがって、3つのマーカーでマークされ、各々が異なった発光スペクトルを有するが、そのうち2つは重複し、1つは重複しない、3つの異なった生物学的特徴を認識する3つのプローブが用いられる場合、本方法は、重複スペクトルを有するマーカーが共通の検出バンドを有する程度で2つだけの検出手段を使用する。
【0037】
これは、3つの生物学的特徴を検出するために、3つの異なった検出手段によって分析される3つの個別の発光スペクトルを有するプローブを使用する、従来技術において知られた方法と比較して、本発明の対象である方法の大きな独自性を構築するものである。
【0038】
重複マーカーに関して、それらの検出に関するマーカーの慎重な選択は、同じ検出バンドにおいて、1つは他方よりもより効果的である、対応し得る2つのマーカーの選択へと導く。
【0039】
本発明の変形によれば、検出バンドにおける発光産生は、考えられる生物学的特性の発現と反比例するように選択することができる。検出バンドの選択は、弱い正の発現をマスクしないようにするために、この発現に応じて測定されもする(これは、本発明の第1調整段階である)。
【0040】
したがって、例えば、弱く発現される抗原については、選択される検出バンドにおいて高い発現産生を有するマーカーが選択され、強く発現する抗原については、及び/又は同じ検出バンドにおいてより低い発現産生を有するマーカーが選択される。これは、考えられる抗原又はプローブの発現レベルに反比例して、発光の平衡を保つために、測定されるマーカーの量を制御することができる。
【0041】
本発明に係る方法は、簡単、迅速かつ効果的に生物学的エレメントの間を区別し、カウントすることができる。また、製造コスト、並びに使用及び維持のコストの両方を低減させる結果を有する単純な装置を用いることができる。さらに、自動化分析が促進される。
【0042】
このようにして、本発明の対象は、場合により試料中に存在する、特定の特徴を担持する生物学的エレメントの少なくとも2つの集団を区別する方法であって、
− 3種の異なるマーカーによって検出できるか又は検出できるようにさせる3種のプローブによる生物学的エレメントの前記集団を同時にマークすること、ここで、前記マーカーのうち2つは、各々(重複マーカー又はOM)は、互いに重複する発光スペクトルを有し、第3のもの(非重複マーカー又はnOM)は、他の2つのマーカーのスペクトルに本質的に重複しない発光マーカー(非重複発光スペクトル)を有する;
− 任意の適切な手段による、前記非重複マーカーの発光スペクトルから選択される検出バンドにおいて、非重複マーカー(qnOM)の全量を測定すること;
− 任意の適切な手段による、前記重複マーカーの発光スペクトルに共通している検出バンドにおいて、重複マーカー(qOM)の全量を測定すること;
− 分析される各生物学的エレメントに対して、非重複マーカーの全量と重複マーカーの全量の比(R)[R=(qnOM)/(qOM)]を確定すること;
− 任意の手段による、重複マーカーによってマークされた生物学的エレメントの関数として比(R)[R=f(qOM)]を示すダイアグラム(diagram)を確定すること;及び/又は
− 任意の手段、概してコンピュータによる、前記ダイアグラム(単数又は複数)及び対応する統計学的データにある生物学的エレメントを定量することを含む。
【0043】
本発明に係る方法は、肯定的に又は他に、所定の基準に対応する生物学的エレメントの間の区別及びカウントを可能にする方法である。本発明の目的は、生物学的エレメント当り固定されたプローブ数を定量することではない。本方法は、試料中、特に生物学的試料において、探求される特徴(単数又は複数)を有する生物学的エレメントの集団を不明確さなしに検出することができる。
【0044】
本発明に係る方法の最終段階によれば、y軸R及び横軸qOMである2パラメータマトリックスの分析は、図解を改善し、したがって、対象とする生物学的エレメントの特徴付け及び定量を改善することができる。
【0045】
本発明によれば、試料は、天然の生物試料、特に液体の天然の生物試料であり得る。例えば培地などの天然ではない細胞懸濁液であり得る。天然の生物学的液体として、限定されないが、血液、尿、分離組織、脊髄、頭部脊椎(cephalorachidian)液、胸膜液若しくは滑膜液、アフェレーシス(apheresisi)プロセスから得られる生成物、又は合成の細胞懸濁液、細胞若しくは微生物の細胞培地に言及することができる。
【0046】
本発明によれば、試料に含まれる生物学的エレメントは、真核細胞若しくは原核細胞、又はこの2つの混合物、あるいは前記細胞の断片、オルガネラであり得る。本発明の方法に従って使用することができるプローブは、同一であるか又は異なっている、抗体、核酸(DNA若しくはRNA)、又は核酸を特異的に認識する色素、酵素基質などのいずれかの分子プローブ、又はタンパク質、受容体リガンド、イオン環境(pH、Ca++など)若しくは標的とされる生物学的特徴に特異的ないずれかの他の分子に感受性のある分子であり得る。
【0047】
プローブが抗体である場合、これらは、モノクローナル若しくはポリクローナル、天然若しくは組換え、ヒト若しくは動物の抗体であり得る。
【0048】
プローブは、自然には検出できない場合、検出できるようにするために、選択される検出バンドにおいて、検出手段によって認識され得るマーカーに結合しなければならない。
【0049】
本発明によれば、検出可能なプローブを与える役割を果たすマーカーは、プローブにグラフトすることができる検出可能な化合物、核酸のインターカレーティング若しくは非インターカレーティングマーカー、又はタンパク質に特異的なマーカー、標的とされる生物学的エレメントに特異的な任意の他の分子であり得る。これに関連して、蛍光色素又は吸収色素に言及することができる:例えば、アレキサ・フルオル(Alexa Fluor)(登録商標)350、アレキサ・フルオル(登録商標)488、アレキサ・フルオル(登録商標)532、アレキサ・フルオル(登録商標)633、アレキサ・フルオル(登録商標)647、アレキサ・フルオル(登録商標)660、アレキサ・フルオル(登録商標)680、アロフィコシアニン、アミノメチルクマリン酢酸、Cy2(登録商標)、Cy5.1(登録商標)、Cy5(登録商標)、Cy5.5(登録商標)、ジクロロフルオレセイン(DCFH)、ジヒドロローダミン(DHR)、「増強したGFP」(EGFP)、フルオ(Fluo)−3、フルオX(登録商標)、フルオレセイン、5−マレイミド・フルオレセイン、フルオレセイン・イソチオシアネート(FITC)、PerCP、r−フィコエリトリン(PE)、r−フィコエリトリン−シアニン5タンデム若しくはスペクトラルレッド(SpectralRed)(登録商標)若しくはサイクロ(登録商標)ム(CyChrome)(登録商標)、R−フィコエリトリン−シアニン5.5(PE−CY5.5(登録商標))、r−フィコエリトリン−シアニン7(PE−CY7(登録商標))、R−フィコエリトリン−テキサス・レッド−x(登録商標)、レッド(Red)613(登録商標)、ローダミン110、ローダミン123、S56L、S65T、テトラメチルローダミン・イソチオシアネート、テキサス−レッド−x(登録商標)、トルレッド(TruRed)(登録商標)、インド(indo)1、ナノクリスタルズ(クォータム・ドッズ(Quantum Dots))、フラ(Fura)2、フラ3、クイン(quin)、DSレッド、並びに、特に核酸に特異的なマーカー(DNA又はRNAのいずれかの形態で)、例えば、インターカレーティング又は他の細胞生存性色素、例えばエチジウムブロミド、又はチアゾールオレンジ、チアゾールブルー及びそれらの誘導体、チオフラビンS、チオフラビンT、チオフラビンTCN(登録商標)、ジエチル−キノリトシアニン(quinolythocyanine)ヨウ化物(DEQTC)、トト(TOTO)−1(登録商標)、ト−プロ(TO−PRO)−1(登録商標)、又はヨーヨー(YOYO)−1(登録商標)、ヘキスト(Hoechst)(登録商標)33258、ヘキスト(登録商標)33342、ヘキスト(登録商標)34580、ジアミノフェニルインドール(DAPI)、ヨウ化プロピジウム、ピロニンY、7−アミノアクチノマイシンD(7AAD)、アクリジンオレンジ、オーラミンO、カルセイン、ニュー・メチレンブルー(New Methylene Blue)、オーラミン−O、オキサジン750、アストラブルー、SYTOX(登録商標)グリーン、SYTO11(登録商標)、SYTO12(登録商標)、SYTO13(登録商標)、SYTO16(登録商標)、SYTO18(登録商標)、SYTO80(登録商標)、SYTO81(登録商標)など。
【0050】
本発明の特定の態様では、細胞の特徴、例えば抗原が、重複マーカーによって検出可能になっているプローブによって認識される場合、いわゆる第1の一般的な細胞の特徴、即ち、考えられる生物学的エレメントの存在及び特徴を選択することができる。この細胞の特徴の発現は、生物学的エレメントにおいて通常高い場合、それを認識するプローブにグラフトされるマーカーは、2つの重複マーカー(OM)に共通した検出バンドにより弱く対応するものである。このようなプローブは、良好な細胞集団が確かに関係することの検証を可能にする。
【0051】
他の重複マーカーによって検出可能にされるプローブによって認識される第2の細胞の特徴は、試験される生物学的エレメントのみの集団にあまり発現しない細胞の特徴であってもよい。このプローブにグラフトされるマーカーは、2つの重複マーカー(OM)に共通した検出バンドにおいてより強く対応するマーカーでなければならない。
【0052】
それとは重複しない第3のマーカー(nOM)であって、第1とは異なる第2の検出バンドにおいて検出される第3のマーカーによってマークされるプローブは、試験される第3の細胞の特徴に対応する。
【0053】
本発明に係る方法は、マーカーの検出を可能にするいずれかの装置において実施することができる。この点において、例として、抗体などの分子プローブに結合した色素、又は核酸に特異的なインターカレーティング若しくは非インターカレーティング色素などの超生体蛍光色素によって直接的に、発光される蛍光の検出、あるいはこれらの検出が波長の範囲の励起若しくは拡散によって、又は紫外から赤外で選択されるバンドの分光分析によって、特にスペクトルの所定の波長の範囲で光吸収又は散乱の検出に言及されてもよい。この吸収は、抗体などの分子プローブに結合した色素によって、又は核酸に特異的なインターカレート若しくは非インターカレート色素などの超生体色素によって直接的に生成されるものであり得る。
【0054】
本発明の対象は、場合により試料中に存在する、特定の特徴を担持する少なくとも2つの細胞群の間の区別に関して前述の方法の使用でもある。本発明の使用は、例えば、抗CD45、抗CD19及び抗CD5抗体を用いた慢性リンパ性白血病(CLL)及び急性白血病(AL)の分野で;抗CD45、抗CD16及び抗CD11b抗体を用いた余病(最小余病、MRD)及び白血球分化の検出の分野で;抗CD45、抗CD34及び抗CD33抗体、及び7−AAD若しくはDAPI又は他の生存率マーカーを用いた造血前駆体の分野で;抗CD45、抗CD64及び抗CD163抗体を用いた炎症及び細胞活性化の分野で;抗CD45、抗CD8又は抗CD4及び抗CD3抗体を用いたHIVによる感染の検出又はモニターの分野で;抗CD45、抗CD19及び抗CD10抗体を用いた脊髄の観察の分野で、あるいは抗CD19、抗CD10及び抗CD38抗体を用いたBリンパ球(血球小芽細胞)の前駆体の分化の分野などの医学的診断において予測することができる。
【0055】
本発明の他の特徴は、後述され、本発明の制限なしに例示の一例によってのみ提供される図面及び実施例を読めば明らかとなる。
【実施例】
【0056】
実施例1
腫瘍血液学(onco−haematology)における最も頻度の高い病因は、異なったタイプの急性白血病(AL)及びBリンパ球様血液病であり、それらのうち、慢性リンパ性白血病(CLL)は、不変進行における発症率を示す(30/106)。
【0057】
急性白血病(LA)は、悪性造血細胞の増殖による延髄浸潤によって特徴付けることができる。
【0058】
慢性リンパ性白血病(CLL)は、モノクローナルリンパ球細胞、異型B系のリンパ球様細胞の増殖によって特徴付けることができる。
【0059】
LAの白血病芽細胞(leukaemic blast)は、正常な血液リンパ球及び単球と比較して、CD45の中程度の発現によって特徴付けられる。
【0060】
B型CLLの異常なリンパ球は、同じ細胞上で抗原CD5及びCD19の異常な同時発現によって特徴付けられ、正常なリンパ球は、CD5(T系リンパ球)又はCD19(B系リンパ球)のいずれかを発現する。
【0061】
これらの細胞の表現型は、下記の表に要約することができる。
【0062】
【表1】

【0063】
これまで、フローサイトメトリーによる、血液試料中のこれらの様々な集団の分析及び同定は、3つの抗原CD5、CD19及びCD45に対する3種の抗体、並びにSSC直交拡散の使用を必要としてきた。この分析では、各抗体は、異なった蛍光色素に結合され、各発現は、異なった光電子増倍管を用いた異なった波長で測定される。
【0064】
本発明に係る方法の使用は、マーキングシステムを提案し、同じ血液試料であってかつ同じ測定中に、たった2つの光電子増倍管及びSSC直交拡散を用いた白血病細胞の可能性のある存在を検出及び定量することができる。
【0065】
フローサイトメトリーでは、光シグナルの光学フィルターは、発光最大に集中した波長バンドにおける傾向を測定するために所定の発光色素に対して最適化される:蛍光(FITC)は、概して、525nmで分析され、R−フィコエリトリン(PE)は575nmで、R−フィコエリトリン−シアニン5タンデム(PC5)は675nmで分析され、約30nmのバンド幅を有する。
【0066】
PE及びPC5の発光スペクトルは重複している。それらは、例えば、共通して波長675nmを有し、PEは、PC5よりも非常に低い蛍光収率を有する。本発明に係る方法の元来の特徴の1つは、最大発光のものとは異なった波長で蛍光色素(PE)の1つの蛍光の測定にあり、この場合、PEの測定は675nmである。したがって、この波長で、分析される抗原の発現における重大な相違を補うために、この目的で選択された2つの蛍光色素に関して、測定システムの異なった効率に作用することによって可能となる。
【0067】
この原理は、PE(λmax=575nm)に結合した抗CD45抗体、PC5(λmax=675nm)に結合した抗CD5抗体、及びFITC(λmax=525nm)に結合した抗CD19抗体でマークした後、血液白血球の分析に適用される。
【0068】
これらのマーキングは、PC5の最大発光波長である675nmに集中した第1検出バンドにおいて分析される。PEのスペクトルは、PC5のスペクトルと重複する。したがって、675nmでの分析は、PC5及びPE(qOM)によって発光される蛍光の全量を決定する。
【0069】
他方、525nmでのFITCに結合した抗CD19抗体によって発光される蛍光量が分析される。
【0070】
多核細胞及び単核細胞は、それらの光拡散特性に基づいてウィンドウ分析から排除される。
【0071】
プロトコール:
1)数マイクロリットル(5〜50)の血液のアリコートは、全末梢血試料から取り出され、上述した3つの結合した抗体の溶液の数マイクロリットル(3〜50)のアリコートと混合される。
【0072】
2)混合物は、周囲温度又は規定の温度で、光から遠ざけ、数分間(1〜30)インキュベートされる。
【0073】
3)インキュベーション時間後、赤血球溶解試薬を混合物に添加し、所定の特定濃度(1/40、1/80、1/100など)で血液の最終溶液を得る。
【0074】
4)したがって、得られる溶解した血液溶液は、溶解試薬及びインキュベーション温度(典型的には15〜30秒)に依存して、数秒間インキュベートを続ける。
【0075】
5)次に、溶液をフローサイトメーターの測定アセンブリに注入し、光学ビーム(大部分では、特定される色素に対して488nm)を通過させて各細胞を測定し、FSC軸における拡散、SSC直交拡散、525nmの緑色蛍光のパラメータ(FL1)、及び675nmでの赤色蛍光(FL2)のパラメータである。工程3〜5は、半自動化フローサイトメトリー装置又は特別に設計された自動化血液学機器において自動的に実行可能であり、工程1〜5は、特別に実行された自動化フローサイトメトリー装置で自動化し得る。
【0076】
SSC直交拡散に基づいて675nmでの蛍光分析は、下記の間を区別することができる:
・CD45を弱く発現しているLA芽細胞に対応する非常に弱い蛍光集団、
・CD45を発現するがCD5を発現しなしリンパ球(Bリンパ球及びNK細胞)に対応する中間の蛍光の集団、及び
・CD5も発現しているリンパ球(Tリンパ球及びCLL細胞)に対応する非常な蛍光集団。
【0077】
この最後の集団では、525nmの蛍光の分析は、CD19も発現しているCLL細胞を同定することができる。
【0078】
本発明に係る方法の応用は、非Tリンパ球、Tリンパ球及びCLL細胞の間を区別することができ、それは、各細胞に対して、525nmの蛍光と675nmの蛍光の比(qnOM/qOM)を考慮することによる。この非は、下記の真偽表に従って表わされる:
【0079】
【表2】

【0080】
本発明により得られる分布ヒストグラム[(qnOM)/(qOM)=f(qOM)](図2Cを参照されたい)は、3つの非常にはっきりとした別々の集団を同定し、分離し及び定量することができる。
【0081】
・正常なTリンパ球(T.L.)は、525nmで蛍光を発しないが、675nmでは有意に蛍光を発する;したがって、それらは、非常に低い比である。
・正常なBリンパ球(B.L.)は、675nmで中間の蛍光を有し、525nmで蛍光を発し、したがって、それらは、高い比である。
・CLL細胞は、CD5、C45及びCD19を発現し、525nm及び675nmで蛍光を発し、したがって、それらの比は中間的である(図2)。
・CD5もCD19も発現していないNK細胞は、675nmでのそれらの蛍光に基づいて分析から排除される(CD45+、CD5−及びCD19−)。
【0082】
このようにして、血液の1つの試料から、3つの蛍光抗体によってマークし、赤血球の溶解後に、たった2つの蛍光波長での測定によって、Tリンパ球、Bリンパ球、及びNK細胞の間を区別し、カウントすることが、1回の分析で可能となる。
【0083】
本発明に係る方法の応用は、従来の分析によって得られる1つの集団の形態で見られるTリンパ球とCLL細胞(図2B)とを区別することができる。同じことが、Bリンパ球及びNK細胞の場合に当てはまる。
【0084】
さらに、急性白血病芽細胞又は慢性リンパ球性白血病細胞及びこれらの細胞の潜在的な存在は、カウントすることができる。
【0085】
本発明に係る方法の使用は、慢性Bリンパ球様病体、急性白血病を診断及びモニターし、治療中の余病のモニターに適用することができる。
【0086】
実施例2:
本発明に係る方法は、PEに結合した抗CD45、PC5に結合した抗CD3、及びFITCに結合した抗CD8でマークした後、血液Tリンパ球の分析に適用することもできる(図3)。
【0087】
1)数マイクロリットル(5〜50)の血液のアリコートは、全末梢血試料から取り出され、上述した3つの結合した抗体の溶液の数マイクロリットル(3〜50)のアリコートと混合される。
【0088】
2)混合物は、周囲温度又は規定の温度で、光から遠ざけ、数分間(1〜30)インキュベートされる。
【0089】
3)インキュベーション時間後、赤血球溶解試薬を混合物に添加し、所定の特定濃度(1/40、1/80、1/100など)で血液の最終溶液を得る。
【0090】
4)したがって、得られる溶液は、溶解試薬及びインキュベーション温度(典型的には15〜30秒)に依存して、数秒間インキュベートを続ける。
【0091】
5)次に、溶液をフローサイトメーターの測定アセンブリに注入し、光学ビーム(大部分では、特定される色素に対して488nm)を通過させて各細胞を測定し、FSC軸における拡散、SSC直交拡散、525nmの緑色蛍光のパラメータ(FL1)、及び675nmでの赤色蛍光(FL2)のパラメータである。
【0092】
工程3〜5は、半自動化フローサイトメトリー装置又は特別に設計された自動化血液学機器において自動的に実行可能であり、工程1〜5は、特別に実行された自動化フローサイトメトリー装置で自動化し得る。
【0093】
PE及びPC5を用いたマーキングは、675nmで分析される(qOM)。FITCを用いたマーキングは、525nmで分析される(qnOM)。
【0094】
多核細胞及び単核白血球は、それらのSSC直交拡散特性による分析からは排除される。
【0095】
SSC直交拡散に基づく675nmでの蛍光の標準的な方法(図3A)によって得られる図は、CD45を発現しているが、CD3(B白血球及びNK細胞)を発現していないリンパ球の中程度の蛍光集団を表わす一団を検出することができ、非常な蛍光集団は、CD3(Tリンパ球)も発現しているリンパ球に対応する。
【0096】
本発明に係る方法の応用は、異なった集団を完全に区別することができる(図3B)。
【0097】
特に、これは、CD3も発現しているリンパ球に対応する顕著な蛍光集団においてCD8+リンパ球を同定することができる。
【0098】
CD4+Tリンパ球は、525nmで発光しないが、675nmでは顕著に発光し、唯一非常に低い525/675nmを示す。
【0099】
CD8+Tリンパ球は、525nm及び675nmで蛍光を発し、したがって、より高い比を有する。
【0100】
CD3を発現しないNK細胞及びB細胞は、675nmでのそれらの中程度の蛍光に基づいて同定される(非T)。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】図1は、A及びBが重複マーカーであり、Cが重複マーカーでない生物学的エレメントの表現型の図解であり、それらのマーカーは、それぞれ検出可能にされたプローブ(SA、SB及びSC)に対応し、考えられる生物学的エレメントの特定の特徴(PCA、PCB及びPCC)を認識する。パート1Aは、Cの蛍光(qnOM)の関数として、A+B(qOM)の蛍光の標準的な図式的なフローサイトメトリーの表示を示す。パート1Bは、A+B(qOM)の全蛍光[qnOM/qOM=f(qOM)]の関数として、C(qnOM)の蛍光とA+B(qOM)の全蛍光の比[qnOM/qOM]の、本発明に従って得られる図式的なフローサイトメトリー表示を示す。本発明の実施は、第1に(A+B+)、第2に(A−B−)及び第3に(A+B−)又は(A−B+)を表現する生物学的エレメントの間の同じ蛍光軸(x軸)上での区別を示す。
【図2】図2は、R−フィコエリトリン(PE)に結合した抗CD45抗体、フィコエリトリン−シアニン5(PC5)に結合した抗CD5抗体、及びFITCに結合した抗CD19抗体でマークした後、正常な血液試料(2a)、及び急性白血病に病んでいる患者由来の血液試料(2b)における血液白血球の分析に適合させた本発明に係る方法を示す。
【図3】図3は、正常な血液の試料及び慢性リンパ性白血病に病んでいる患者由来の血液の試料を示す(A2及びB2)。図3A1及び3A2は、フローサイトメトリー分析の結果を示し、図3B1及び3B2は、本発明に係る方法の適用後に、同じ結果を示す。
【図4】図4は、PEに結合し抗CD45抗体、PC5に結合した抗CD3抗体、及びFITCに結合した抗CD8抗体でマークした後、血液Tリンパ球の分析に適合させた本発明に係る方法を示す。図4Aはフローサイトメトリーの結果を示し、図4Bは、本発明に係る方法の適用後の同じ結果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中に場合により存在する特定の特徴を担持する生物学的エレメントの少なくとも2つの集団の間を区別し、及びカウントする方法であって、
− 3種の異なるマーカーによって検出できるか又は検出できるようにさせる3種のプローブによる生物学的エレメントの前記集団を同時にマークすること、ここで、前記マーカーのうち2つは、各々(重複マーカー又はOM)は、互いに重複する発光スペクトルを有し、第3のもの(非重複マーカー又はnOM)は、他の2つのマーカーのスペクトルに重複しない発光スペクトル(非重複発光スペクトル)を有する;
− 任意の適切な手段による、前記非重複マーカーの発光スペクトルで選択される検出バンドにおいて、非重複マーカー(qnOM)の全量を測定すること;
− 任意の適切な手段による、前記重複マーカーの発光スペクトルに共通している検出バンドにおいて、重複マーカー(qOM)の全量を測定すること;
− 非重複マーカーの全量と重複マーカーの全量の比(R)[R=(qnOM)/(qOM)]を確定すること;
− 任意の手段による、重複マーカーによってマークされた生物学的エレメントの全量の関数としての比(R)[R=f(qOM)]を示すダイアグラム(diagram)を確定すること;及び/又は
− 任意の手段による、前記ダイアグラムに存在する生物学的エレメントの集団を定量すること
を含む前記方法。
【請求項2】
自然の生体液体が、血液、尿、分離組織、脊髄、頭部脊椎(cephalorachidian)液、胸膜液、滑膜液、又はアフェレーシス(apheresis)プロセスから得られる生成物であることによって特徴付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記液体に場合により存在する生物学的エレメントが、真核細胞若しくは原核細胞、又はこの2つの混合物、あるいは前記細胞の断片であることによって特徴付けられる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
同一であるか又は異なっているプローブが、抗体、又は核酸(DNA若しくはRNA)、又はそれらの核酸に特異的な色素、又は酵素基質、又はタンパク質若しくは受容体リガンドに特異的なマーカー、又はイオン環境若しくは標的とされる生物学的エレメントの任意の他の分子的特徴に感受性のあるマーカーである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記抗体が、モノクローナル若しくはポリクローナル、天然若しくは組換え、ヒト若しくは動物の抗体であることによって特徴付けられる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
検出可能なプローブを与える役割を果たすマーカーが、核酸のインターカレーティング若しくは非インターカレーティングマーカー、又は標的とされる生物学的エレメントのタンパク質若しくは任意の他の分子的特徴に特異的なマーカーであることによって特徴付けられる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記マーカーが、蛍光又は非蛍光マーカーであることによって特徴付けられる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記マーカーが、アレキサ・フルオル(Alexa Fluor)(登録商標)350、アレキサ・フルオル(登録商標)488、アレキサ・フルオル(登録商標)532、アレキサ・フルオル(登録商標)633、アレキサ・フルオル(登録商標)647、アレキサ・フルオル(登録商標)660、アレキサ・フルオル(登録商標)680、アロフィコシアニン、アミノメチルクマリン酢酸、Cy2(登録商標)、Cy5.1(登録商標)、Cy5(登録商標)、Cy5.5(登録商標)、ジクロロフルオレセイン(DCFH)、ジヒドロローダミン(DHR)、「増強したGFP」(EGFP)、フルオ(Fluo)−3、フルオX(登録商標)、フルオレセイン、5−マレイミド・フルオレセイン、フルオレセイン・イソチオシアネート(FITC)、PerCP、r−フィコエリトリン(PE)、r−フィコエリトリン−シアニン5タンデム若しくはスペクトラルレッド(SpectralRed)(登録商標)若しくはサイクロ(登録商標)ム(CyChrome)(登録商標)、r−フィコエリトリン−シアニン5.5(PE−CY5.5(登録商標))、r−フィコエリトリン−シアニン7(PE−CY7(登録商標))、r−フィコエリトリン−テキサス・レッド−x(登録商標)、レッド(Red)613(登録商標)、ローダミン110、ローダミン123、S56L、S65T、テトラメチルローダミン・イソチオシアネート、テキサス−レッド−x(登録商標)、トルレッド(TruRed)(登録商標)、インド(indo)1、ナノクリスタルズ(クォータム・ドッズ(Quantum Dots))、フラ(Fura)2、フラ3、クイン(quin)、DSレッド、インターカレーティング化合物、例えばエチジウムブロミド、又はチアゾールオレンジ、チアゾールブルー、チオフラビンS、チオフラビンT、チオフラビンTCN(登録商標)、ジエチル−キノリトシアニン(quinolythocyanine)ヨウ化物(DEQTC)、トト(TOTO)−1(登録商標)、トプロ(TOPRO)−1(登録商標)、又はヨーヨー(YOYO)−1(登録商標)、ヘキスト(Hoechst)(登録商標)33258、ヘキスト(登録商標)33342、ヘキスト(登録商標)34580、ジアミジノフェニルインドール(DAPI)、ヨウ化プロピジウム、ピロニンY、7−アミノアクチノマイシンD(7AAD)、アクリジンオレンジ、オーラミンO、カルセイン、ニュー・メチレンブルー(New Methylene Blue)、オーラミン−O、オキサジン750、アストラブルー、SYTOX(登録商標)グリーン、SYTO11(登録商標)、SYTO12(登録商標)、SYTO13(登録商標)、SYTO16(登録商標)、SYTO18(登録商標)、SYTO80(登録商標)、SYTO81(登録商標)から選択されることによって特徴付けられる、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
場合により試料中に存在する、特定の特徴を担持する生物学的エレメントの少なくとも2つの集団の間を区別するための請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−520198(P2009−520198A)
【公表日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−546504(P2008−546504)
【出願日】平成18年12月5日(2006.12.5)
【国際出願番号】PCT/FR2006/002645
【国際公開番号】WO2007/080245
【国際公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(508185409)ホリバ アーベーイクス ソシエテ パ アクシオンス シンプリフィエ (2)
【Fターム(参考)】