説明

少なくとも2個以上の嵌合口を有するシェルの連結構造及び該連結構造により形成されたシェル、該シェルを備えるコネクタ

【課題】基板占有面積も小さく、1連増やしたいという要求にも直ぐに対応でき、かつ、部品も共有化でき、設備費用も抑えることができるシェルの連結構造を提供する。
【解決手段】少なくとも2個以上の嵌合口5を有するシェル16,18の連結構造のように、少なくとも2個以上の嵌合口5を有するシェルの連結構造において、嵌合口5がロ字形状の第1シェル16と嵌合口5がコ字形状の第2シェル18とを備え、第1シェル16に所要数の第2シェル18を連結されることにより少なくとも2個以上の嵌合口5を有するシェルを形成することを特徴とする少なくとも2個以上の嵌合口5を有するシェルの連結構造により達成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信機器や電気機器や電子機器に使用されるシェルやコネクタに関するもので、特に、少なくとも2個以上の嵌合口を有するシェルの連結構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コネクタは、一般的に、少なくとも金属製の複数のコンタクトと該コンタクトが配列・保持される絶縁物であるハウジングとを有するコネクタ本体と、該コネクタ本体を覆うシェルとを備えている。前記シェルには接続対象物(相手コネクタや基板や光トランシーバやモジュールやカード等)が入る嵌合口が設けられている。前記コンタクトは、前記接続対象物と接触する接触部と前記ハウジングに保持される固定部と基板に半田付けされる接続部を有している。このようなコネクタを複数配置したいという要求がでてきている。
複数配置された特許文献として、特許文献1(US7,357,673 B2)や特許文献2(US7,445,554 B2)と特許文献3(US6,558,191 B2)を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】US7,357,673 B2
【特許文献2】US7,445,554 B2
【特許文献3】US6,558,191 B2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、上述のように、同一のコネクタを複数配置したいという要求と出来る限り基板占有面積も少なくしたいという要求が強くなってきている。
特許文献3のように、1つのコネクタを複数並べただけでは、シェルの板厚分だけ大きくなり、基板占有面積を小さく出来ない。
また、特許文献1や特許文献2のように、複数のシェルを連結させて使用する場合、連数に応じた設備を用意する必要が生じ、設備費用が膨大になってしまう。さらに、客先より、1連増やしたいという要求の際にも、特許文献1や特許文献2のような構造では、直ぐに対応することが出来なかった。
【0005】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたもので、基板占有面積も小さく、1連増やしたいという要求にも直ぐに対応でき、かつ、部品も共有化でき、設備費用も抑えることができるシェルの連結構造を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本目的は、請求項1記載の記載の少なくとも2個以上の嵌合口を有するシェルの連結構造のように、少なくとも2個以上の嵌合口を有するシェルの連結構造において、前記嵌合口がロ字形状の第1シェルと前記嵌合口がコ字形状の第2シェルとを備え、前記第1シェルに所要数の前記第2シェルを連結されることにより少なくとも2個以上の嵌合口を有するシェルを形成することを特徴とする少なくとも2個以上の嵌合口を有するシェルの連結構造により達成できる。
【0007】
請求項2記載の少なくとも2個以上の嵌合口を有するシェルの連結構造は、前記第2シェルに係合部を設けるとともに前記第1シェル及び前記第2シェルに係止部を設け、前記係合部と前記係止部を係合させることを特徴とする請求項1記載の少なくとも2個以上の嵌合口を有するシェルの連結構造にある。
また、請求項3記載の少なくとも2個以上の嵌合口を有するシェルの連結構造は、前記係合部として、開口方向に突出する突出片を設けるとともに前記突出片に係止孔を設け、
前記係止部として、突起及び端子部を形成し、
前記突出片の係止孔と前記突起及び前記端子部を係合させることを特徴とする請求項1または2記載の少なくとも2個以上の嵌合口を有するシェルの連結構造にある。
さらに、請求項4記載の少なくとも2個以上の嵌合口を有するシェルの連結構造は、前記第1シェルと前記第2シェルの所定箇所を溶接することにより前記第1シェルと前記第2シェルとを固定することを特徴とする請求項1〜3項のうちいずれか1項記載の少なくとも2個以上の嵌合口を有するシェルの連結構造にある。
【0008】
請求項5記載のシェルは、請求項1〜4項のうちいずれか1項記載の少なくとも2個以上の嵌合口を有するシェルの連結構造を用いた少なくとも2個以上の嵌合口を有するシェルにある。
また、請求項6記載のコネクタは、請求項5項記載のシェルと、該シェル内に複数のコンタクトがハウジングに保持・配列されたコネクタ本体とを備えるコネクタにある。
【発明の効果】
【0009】
以上の説明から明らかなように、本発明の少なくとも2個以上の嵌合口を有するシェルの連結構造及び該連結構造により作成されたシェル、該シェルを備えるコネクタによると、次のような優れた効果が得られる。
(1)請求項1記載の記載の少なくとも2個以上の嵌合口を有するシェルの連結構造のように、少なくとも2個以上の嵌合口を有するシェルの連結構造において、前記嵌合口がロ字形状の第1シェルと前記嵌合口がコ字形状の第2シェルとを備え、前記第1シェルに所要数の前記第2シェルを連結されることにより少なくとも2個以上の嵌合口を有するシェルを形成することを特徴とする少なくとも2個以上の嵌合口を有するシェルの連結構造にしているので、基板占有面積も小さく、1連増やしたいという要求にも直ぐに対応でき、かつ、部品も共有化でき、設備費用も抑えることができる。
(2)請求項2記載の少なくとも2個以上の嵌合口を有するシェルの連結構造は、前記第2シェルに係合部を設けるとともに前記第1シェル及び前記第2シェルに係止部を設け、前記係合部と前記係止部を係合させることを特徴とする請求項1記載の少なくとも2個以上の嵌合口を有するシェルの連結構造にしているので、基板占有面積も小さく、1連増やしたいという要求にも直ぐに対応でき、かつ、部品も共有化でき、設備費用も抑えることができる。
(3)請求項3記載の少なくとも2個以上の嵌合口を有するシェルの連結構造は、前記係合部として、開口方向に突出する突出片を設けるとともに前記突出片に係止孔を設け、前記係止部として、突起及び端子部を形成し、前記突出片の係止孔と前記突起及び前記端子部を係合させることを特徴とする請求項1または2記載の少なくとも2個以上の嵌合口を有するシェルの連結構造にしているので、簡単な構造で、基板占有面積も小さく、1連増やしたいという要求にも直ぐに対応でき、かつ、部品も共有化でき、設備費用も抑えることができる。
(4)請求項4記載の少なくとも2個以上の嵌合口を有するシェルの連結構造は、前記第1シェルと前記第2シェルの所定箇所を溶接することにより前記第1シェルと前記第2シェルとを固定することを特徴とする請求項1〜3項のうちいずれか1項記載の少なくとも2個以上の嵌合口を有するシェルの連結構造にしているので、簡単な構造で、確実に連結でき、基板占有面積も小さく、1連増やしたいという要求にも直ぐに対応でき、かつ、部品も共有化でき、設備費用も抑えることができる。
【0010】
(5)請求項5記載のシェルは、請求項1〜4項のうちいずれか1項記載の少なくとも2個以上の嵌合口を有するシェルの連結構造を用いた少なくとも2個以上の嵌合口を有するシェルにしているので、簡単な構造で、確実に連結でき、基板占有面積も小さく、1連増やしたいという要求にも直ぐに対応でき、かつ、部品も共有化でき、設備費用も抑えることができる。
(6)請求項6記載のコネクタは、請求項5項記載のシェルと、該シェル内に複数のコンタクトがハウジングに保持・配列されたコネクタ本体とを備えるコネクタにしているので、簡単な構造で、確実に連結でき、基板占有面積も小さく、1連増やしたいという要求にも直ぐに対応でき、かつ、部品も共有化でき、設備費用も抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】(A) 本発明の連結されたシェルを嵌合口方向からみた斜視図である。(B) 本発明の連結されたシェルを接続方向からみた斜視図である。(C) 本発明の連結されたシェルが基板に実装された状態を、嵌合口方向からみた斜視図である。
【図2】(A) 本発明の連結されたシェルとコネクタ本体を嵌合口方向からみた斜視図である。(B) 本発明の連結されたシェルとコネクタ本体を接続方向からみた斜視図である。(C) 本発明の連結されたシェルとコネクタ本体が基板に実装された状態を、嵌合口方向からみた斜視図である。
【図3】(A) ロ字形状のシェルを嵌合口方向よりみた斜視図である。(B) ロ字形状のシェルを接続方向よりみた斜視図である。(C) コ字形状のシェルを嵌合口方向よりみた斜視図である。(D) コ字形状のシェルを接続方向よりみた斜視図である。(E) 最終端のコ字形状のシェルを嵌合口方向よりみた斜視図である。(F) 最終端のコ字形状のシェルを接続方向よりみた斜視図である。
【図4】(A) コネクタ本体を嵌合口方向よりみた斜視図である。(B) コネクタ本体を接続方向よりみた斜視図である。(C) コネクタ本体をあるコンタクト部分で断面した断面図である。
【図5】(A) 第1コンタクトの斜視図である。(B) 第2コンタクトの斜視図である。
【図6】(A) ハウジングを嵌合方向からみた斜視図である。(B) ハウジングを接続方向からみた斜視図である。(C) あるコンタクト挿入孔部分で断面した断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の特徴は、請求項1記載のように、少なくとも2個以上の嵌合口5を有するシェルの連結構造のように、少なくとも2個以上の嵌合口5を有するシェルの連結構造において、前記嵌合口5がロ字形状の第1シェル16と前記嵌合口5がコ字形状の第2シェル18とを備え、前記第1シェル16に所要数の前記第2シェル18を連結されることにより少なくとも2個以上の嵌合口5を有するシェルを形成することを特徴とする少なくとも2個以上の嵌合口5を有するシェルの連結構造である。
つまり、ロ字形状の第1シェル16に、共通のコ字形状の第2シェル18を必要数だけ連結させたものである。
【0013】
図に基づいて、本発明のコネクタの一実施例を説明する。図1(A)は本発明の連結されたシェルを嵌合口方向からみた斜視図であり、(B)は本発明の連結されたシェルを接続方向からみた斜視図であり、(C)は本発明の連結されたシェルが基板に実装された状態を、嵌合口方向からみた斜視図である。図2(A)は本発明の連結されたシェルとコネクタ本体を嵌合口方向からみた斜視図であり、(B)は本発明の連結されたシェルとコネクタ本体を接続方向からみた斜視図であり、(C)は本発明の連結されたシェルとコネクタ本体が基板に実装された状態を、嵌合口方向からみた斜視図である。図3(A)はロ字形状のシェルを嵌合口方向よりみた斜視図であり、(B)はロ字形状のシェルを接続方向よりみた斜視図であり、(C)はコ字形状のシェルを嵌合口方向よりみた斜視図であり、(D)はコ字形状のシェルを接続方向よりみた斜視図であり、(E)は最終端のコ字形状のシェルを嵌合口方向よりみた斜視図であり、(F)は最終端のコ字形状のシェルを接続方向よりみた斜視図である。図4(A)はコネクタ本体を嵌合口方向よりみた斜視図であり、(B)はコネクタ本体を接続方向よりみた斜視図であり、(C)はコネクタ本体をあるコンタクト部分で断面した断面図である。図5(A)は第1コンタクトの斜視図であり、(B)は第2コンタクトの斜視図である。図6(A)はハウジングを嵌合方向からみた斜視図であり、(B)はハウジングを接続方向からみた斜視図であり、(C)はあるコンタクト挿入孔部分で断面した断面図である。
本発明のコネクタ10は、少なくとも2種類のコンタクト(第1コンタクト14、第2コンタクト15)とハウジング12を有するコネクタ本体11と2種類のシェル(第1シェル16、第2シェル18)とを備えている。以下で、それぞれの部位について説明する。
【0014】
まず、2種類の第1シェル16及び第2シェル18について説明する。前記第1シェル16及び前記第2シェル18は金属製であり、公知技術のプレス加工によって製作されている。前記第1シェル16及び前記第2シェル18の材質としては、バネ性や導電性などが要求されるので、黄銅やベリリウム銅やリン青銅等を挙げることができる。本実施例における前記第1シェル16及び前記第2シェル18は、図3のように、前記第1シェル16は断面略ロ字形状の筒状をし、前記第2シェル18は断面略コ字形状をしている。以下で、それぞれのシェル16、18について説明する。
【0015】
前記第1シェル16は、上面20と2つの側面22、22と底面24と背面26とを有しており、前記底面24の一部は前記コネクタ本体11を逃げる(入る)ために開口している。前記第1シェル16には、一方側に接続対象物が入る嵌合口5が形成されている。つまり、前記嵌合口5は上面20、2つの側面22、22と底面24で覆われることで形成され、前記嵌合口5の大きさ・形状は、接続対象物が入ればよく、接続対象物の大きさ・形状や相手物とのクリアランスやEMC特性等を考慮して適宜設計する。
【0016】
前記第1シェル16には、上面20で、かつ、一方の側面22側に少なくとも1個以上の突起161が設けられている。前記突起161は前記第2シェル18の係合部と係合することで固定や仮止めするためのものである。本実施例では、係合のバランスを考えて、長手方向の両側に2つ設けている。前記突起161の大きさや形状は、固定や仮止めできればよく、保持力や係合性や強度や加工性等を考慮して適宜設計する。
【0017】
前記第1シェル16には、基板に実装するための複数の端子部162、163が設けられている。複数の端子部のうちの前記第2シェル18側の数本は、前記第2シェル18の突出片181の係止孔182と係合するためのものである。本実施例では、前記嵌合口5側の2本が、係合する端子部162であり、他の端子部163は基板に実装するためだけのものである。前記端子部162は、前記係止孔182と係合でき、かつ、基板80に実装できればよく、形状や大きさは実装強度や保持力や加工性等を考慮して適宜設計する。前記端子部163は、基板80に実装できればよく、形状や大きさは実装強度や加工性等を考慮して適宜設計する。
【0018】
本実施例において、前記第2シェル18側を除いた前記第1シェル16の嵌合口5側の全周(外周)には、曲げ加工により形成された複数の接触片28、第3接触片32が設けられている。また、本実施例では、前記上面20(基板接続と反対側)に配置された前記接触片28の間に切起し加工により形成された前記接触片28と同一の高さの第2接触片30を設けらている。さらに、底面26には前記接触片28の間に、相手物とのロックのために第4接触片34が設けられている。このように、前記接触片28や前記第2接触片30や前記第3接触片32を設けたのは、EMC特性を考慮したためである。本実施例では、前記第2シェル18側を除いた側面22は、全て曲げ加工により形成した第3接触片32にしたが、3つある前記第3接触片32の中央を、切起し加工により形成した接触片にしてもよい。そうすることで、EMC特性はさらに向上する。前記接触片28、前記第2接触片30、前記第3接触片32の形状・大きさは、筐体に接触できればよく、EMC特性や強度や加工性等を考慮して適宜設計する。
【0019】
前記第2シェル18は、上面20と側面22と底面24と背面26とを有しており、前記底面24の一部は前記コネクタ本体11を逃げる(入る)ために開口している。前記第2シェル18には、一方側に接続対象物が入る嵌合口5(完全には、もう一つのシェルを係合した際に形成される)が形成されている。つまり、前記嵌合口5は上面28、側面22と底面24ともう一つのシェル(第1シェル16か第2シェル18)の側面22で覆われることで形成され、前記嵌合口5の大きさ・形状は、接続対象物が入ればよく、接続対象物の大きさ・形状や相手物とのクリアランスやEMC特性等を考慮して適宜設計する。
【0020】
前記第2シェル18には、上面20及び底面24で、かつ、開口している側面側に少なくとも1個以上の係合部である突出片181が設けられている。また、前記突出片181には、係止孔182が設けられている。前記突出片181の係止孔182は、前記第1シェル若しくは前記第2シェル18の突起161、185及び端子部162、183と係合することで固定や仮止めするためのものである。本実施例では、係合のバランスを考えて、上面20側は長手方向の両側に2つ設け、底面24側は強度を考えて底面24のほぼ半分の大きさで、その中に前記係止孔182を2箇所設けている。前記突出片181及び前記係止孔182の大きさや形状は、固定や仮止めできればよく、保持力や係合性や強度や加工性等を考慮して適宜設計する。
【0021】
前記第2シェル18には、上面20で、かつ、側面22側に少なくとも1個以上の突起185が設けられている。前記突起185は前記第2シェル18の係合部と係合することで固定や仮止めするためのものである。本実施例では、係合のバランスを考えて、長手方向の両側に2つ設けている。前記突起185の大きさや形状は、固定や仮止めできればよく、保持力や係合性や強度や加工性等を考慮して適宜設計する。
【0022】
前記第2シェル18には、基板に実装するための複数の端子部183、184が設けられている。複数の端子部のうちの前記第2シェル18側の数本は、第2シェル18の突出片181の係止孔182と係合するためのものである。本実施例では、前記嵌合口5側の2本が、係合する端子部183であり、他の端子部184は基板に実装するためだけのものである。前記端子部183は、前記係止孔182と係合でき、かつ、基板80に実装できればよく、形状や大きさは実装強度や保持力や加工性等を考慮して適宜設計する。前記端子部184は、基板80に実装できればよく、形状や大きさは実装強度や加工性等を考慮して適宜設計する。
【0023】
本実施例において、前記第2シェル18の上面20及び底面24には、曲げ加工により形成された複数の接触片28が設けられている。また、本実施例では、前記上面20(基板接続と反対側)に配置された前記接触片28の間に切起し加工により形成された前記接触片28と同一の高さの第2接触片30を設けらている。さらに、底面26には前記接触片28の間に、相手物とのロックのために第4接触片34が設けられている。このように、前記接触片28や前記第2接触片30を設けたのは、EMC特性を考慮したためである。前記接触片28、前記第2接触片30の形状・大きさは、筐体に接触できればよく、EMC特性や強度や加工性等を考慮して適宜設計する。
【0024】
本実施例において、前記第1シェル16の反対側の最終端側に配置する前記第2シェル18の側面22には、他の前記第2シェル18の接触片28や第2シェル30や第4シェル34に加え、曲げ加工により形成された複数の第3接触片32が設けられている。このように、前記第3接触片32を設けたのは、EMC特性を考慮したためである。本実施例では、全て曲げ加工により形成した第3接触片32にしたが、3つある前記第3接触片32の中央を、前記第3接触片32と同一の高さの切起し加工により形成した接触片にしてもよい。そうすることで、EMC特性はさらに向上する。前記第3接触片32の形状・大きさは、筐体に接触できればよく、EMC特性や強度や加工性等を考慮して適宜設計する。
【0025】
ここで、前記第1シェル16と前記第2シェル18との連結構造及び2つの前記第2シェル18同士の連結構造について説明する。
前記第1シェル16と前記第2シェル18との連結構造は、まず、前記第2シェルの上面20側より突出した突出片181の係止孔182と前記第1シェル16の上面20側に設けられた突起161とを係合させ、かつ、前記第2シェルの底面24側より突出した突出片181の係止孔182と前記第1シェル16の底面24側に設けられた1つの端子部163とを係合(前記端子部163を係止孔182に入れる)させる。このようにすることで、前記第1シェル16と前記第2シェル18とが固定や仮止めさせる。
2つの前記第2シェル18同士の連結構造は、まず、前記第2シェルの上面20側より突出した突出片181の係止孔182と前記第2シェル18の上面20側に設けられた突起185(前記突出片181の反対側)とを係合させ、かつ、前記第2シェルの底面24側より突出した突出片181の係止孔182と前記第2シェル18の底面24側(前記突出片181の反対側)に設けられた1つの端子部183とを係合(前記端子部183を係止孔182に入れる)させる。このようにすることで、前記第2シェル18同士とが固定や仮止めさせる。
仮止めの場合の、仮止めされた状態の2つのシェルの所定の箇所を、溶接により固定する。2つのシェルとは、前記第1シェル16と前記第2シェル18や前記第2シェル18、18同士の場合がある。本実施例では、溶接している箇所は、全ての前記突出片181の全周でも良いし、全ての前記突出片181の2つの角部分でも良いし、全ての前記突出片181内の任意の箇所(1つ以上)でもよい。溶接には、レーザ溶接やアーク溶接やスポット溶接等が考えられる。任意の箇所とは、前記突出片181内で、固定強度が満足できる箇所という意味で、数量も固定強度が満足できれば1箇所でも2箇所でも3箇所以上の複数でも良い。
まず、前記第1シェル16と前記第2シェル18とを連結すると2連になり、次に、前記第2シェル18と前記第2シェル18とを連結すると3連になる。前記第2シェル18と前記第2シェル18との連結を繰り返すことで、要求される複数連にすることが可能になる。
【0026】
次に、前記ハウジング12について説明する。このハウジング12は電気絶縁性のプラスチックであり、公知技術の射出成形によって製作され、この材質としては寸法安定性や加工性やコスト等を考慮して適宜選択するが、一般的にはポリブチレンテレフタレート(PBT)やポリアミド(66PA、46PA)や液晶ポリマー(LCP)やポリカーボネート(PC)やこれらの合成材料を挙げることができる。
【0027】
前記ハウジング12には、前記第1コンタクト14及び前記第2コンタクト15が装着される挿入孔122が所要数だけ設けられており、圧入や引っ掛け(ランス)や溶着等によって固定されている。本実施例では、圧入によって固定されている。
【0028】
また、前記ハウジング12には、前記接続対象物が入る挿入口121が設けられている。前記挿入口121は前記接続対象物が入ればよく、その形状・大きさは前記接続対象物に沿うように適宜設計されている。
【0029】
最後に、第1コンタクト14及び第2コンタクト15について説明する。前記第1コンタクト14及び第2コンタクト15は金属製であり、公知技術のプレス加工によって作成され、バネ性などを考慮すると、黄銅やベリリウム銅やリン青銅等を挙げることができる。前記第1コンタクト14及び前記第2コンタクト15は主に相手物(基板)と接触する接触部141、151と前記ハウジング12に固定される固定部142、152と基板80に接続される接続部143、153とを具えている。前記接続部143、153の形状としては、表面実装タイプ(SMT)でも、ディップタイプでもよく、仕様等によって適宜設計する。前記接触部141、151は、相手物と接触し易いように湾曲させている。つまり、前記第1コンタクト14の接触部141と前記第2コンタクト15の接触部151とで、相手物を挟持するようにしている。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の活用例としては、通信機器や電気機器や電子機器に使用されるシェルやコネクタに活用され、特に、少なくとも2個以上の嵌合口を有するシェルの連結構造に関するものである。
【符号の説明】
【0031】
5 嵌合口
10 コネクタ
11 コネクタ本体
12 ハウジング
121 挿入口
122 挿入孔
14 第1コンタクト
141 接触部
142 固定部
143 接続部
15 第2コンタクト
151 接触部
152 固定部
153 接続部
16 第1シェル(ロ字状)
161 突起(係止部)
162 端子部(係止部)
163 端子部
18 第2シェル(コ字状)
181 突出片(係合部)
182 係止孔
183 端子部(係止部)
184 端子部
20 上面
22 側面
24 底面
26 背面
28 接触片
30 第2接触片
32 第3接触片
34 第4接触片
36 延設部
80 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2個以上の嵌合口を有するシェルの連結構造において、
前記嵌合口がロ字形状の第1シェルと前記嵌合口がコ字形状の第2シェルとを備え、
前記第1シェルに所要数の前記第2シェルを連結されることにより少なくとも2個以上の嵌合口を有するシェルを形成することを特徴とする少なくとも2個以上の嵌合口を有するシェルの連結構造。
【請求項2】
前記第2シェルに係合部を設けるとともに前記第1シェル及び前記第2シェルに係止部を設け、前記係合部と前記係止部を係合させることを特徴とする請求項1記載の少なくとも2個以上の嵌合口を有するシェルの連結構造。
【請求項3】
前記係合部として、開口方向に突出する突出片を設けるとともに前記突出片に係止孔を設け、
前記係止部として、突起及び端子部を形成し、
前記突出片の係止孔と前記突起及び前記端子部を係合させることを特徴とする請求項1または2記載の少なくとも2個以上の嵌合口を有するシェルの連結構造。
【請求項4】
前記第1シェルと前記第2シェルの所定箇所を溶接することにより前記第1シェルと前記第2シェルとを固定することを特徴とする請求項1〜3項のうちいずれか1項記載の少なくとも2個以上の嵌合口を有するシェルの連結構造。
【請求項5】
請求項1〜4項のうちいずれか1項記載の少なくとも2個以上の嵌合口を有するシェルの連結構造を用いた少なくとも2個以上の嵌合口を有するシェル。
【請求項6】
請求項5項記載のシェルと、該シェル内に複数のコンタクトがハウジングに保持・配列されたコネクタ本体とを備えるコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−134078(P2012−134078A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−286870(P2010−286870)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000208835)第一電子工業株式会社 (182)
【Fターム(参考)】