説明

少なくとも3価のスペーサーにより保有される少なくとも2つの疎水性基により官能化されたアニオン性多糖類

【課題】少なくとも3価のスペーサーにより保有される少なくとも2つの疎水性基により官能化されたアニオン性多糖類に基づいた新規な生体適合性ポリマーを提供する。
【解決手段】本発明は、少なくとも2つの近接した疎水基により部分的に官能化された新規なアニオン性多糖類誘導体に関し、前記同一の又は異なった疎水基は、少なくとも3価の基又はスペーサーにより支持されている。本発明はまた、アニオン性多糖類誘導体の合成方法にも関する。本発明はさらに、本発明に従う多糖類の1種及び少なくとも1種の有効成分を含有する医薬組成物を製造するための、本発明に従う官能化された多糖類の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも3価のスペーサーにより保有される少なくとも2つの疎水性基により官能化されたアニオン性多糖類に基づいた新規な生体適合性ポリマーであって、治療目的及び/又は予防目的でのヒト又は動物に対する有効成分(群)(AP)の投与のために特に用いられ得る、生体適合性ポリマーに関する。
【背景技術】
【0002】
少なくとも2つの近接した疎水性基により官能化されたアニオン性多糖類が、それらの構造及びそれらの生体適合性の結果として、医薬分野において、そしてより特に、複合体の形成によるタンパク質有効成分の安定化の分野において、特に有利である。
【0003】
少なくとも2つの近接した疎水性鎖、即ち、1つずつ且つ同じ基に結合された鎖を保有するリン脂質及びトリグリセリドのような分子化合物は、特に細胞膜の天然の構成成分より既知である。これら化合物は、特に、膜貫通タンパク質の安定化のために非常に重要である。しかしながら、それらは低分子量であり、且つ、小胞のように複合体構造中においてのみ溶解する高い疎水性の分子である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
2つの近接する生体適合性の疎水性鎖を保有する基により官能化された多糖類を合成したことは、出願人の会社の信念によるものである。疎水性が調節され得るこれらポリマー化合物は、医薬有効成分の製剤において主要な利点を有する。
【0005】
本発明は、少なくとも2つの近接する疎水性基であって、当該疎水性基は同一又は異なっており、少なくとも3価の基又はスペーサーにより保有されている疎水性基により官能化された、新規なアニオン性多糖類に関する。一の態様においては、多糖類のカルボキシル基は、少なくとも2つの疎水性基により部分的に置換されており、前記疎水性基は同一又は異なっており、少なくとも3価の基又はスペーサーにより保有されている。一の態様において、多糖類のヒドロキシル基は、少なくとも2つの疎水性基により部分的に置換されており、当該疎水性基は、同一又は異なるものであって、少なくとも3価の基又はスペーサーにより保有されている。疎水性基を有するこれら新規なアニオン性多糖類は、良好な生体適合性を有し、且つ、それらの疎水性が、生体適合性及び安定性に悪影響を与えることなく、容易に調節され得る。
本発明はまた、それらの合成方法にも関する。
【0006】
一の態様において、多糖類は、カルボキシル基を有する多糖類より選択され、前記多糖類は、カルボキシル基を天然に有する多糖類より選択されるか、又は、カルボキシル基を天然に有する多糖類より得られた合成多糖類、若しくはヒドロキシル基がカルボキシル基に転換された中性多糖類より得られる合成多糖類から選択され、且つ、カルボキシル基の少なくとも1つ又はヒドロキシル基の少なくとも1つが、同一又は異なる少なくとも2つの疎水性基(−Hyと示す)により置換されており:
前記疎水性基(−Hy)は、結合アームRにより前記アニオン性多糖類にグラフトしているか又は結合しており、前記結合アームRは、少なくとも3つの反応性官能基を有し、且つ、結合アームの前駆体R’の反応性官能基と、前記アニオン性多糖類のカルボキシル基又はヒドロキシル基との間のカップリングから生じた結合Fによって前記多糖類に結合しており、及び、前記疎水性基(−Hy)は、疎水性化合物の反応性官能基(Hy’)と、結合アームの前駆体R’の反応性官能基との間のカップリングから生じた少なくとも1つの官能基Gによって結合アームRに結合しており、
前記アニオン性多糖類の官能化されていないカルボキシル基は、カルボン酸カチオンの形態にあり、前記カチオンは好ましくは、Na又はKのようなアルカリ金属カチオンであり、
Fは、アミド、エステル又はカルバメート官能基であり、
Gは、アミド、エステル又はカルバメート官能基であり、
Hyは、疎水性化合物の反応性官能基(Hy’)と、枝分れしていても及び/又は不飽和であっても、O、N及びSより選択される1つ以上のヘテロ原子を有していても、及び1つ以上の飽和の、不飽和の又は芳香族環又はヘテロ環を有していてもよい、4ないし50個の炭素原子を有する炭素鎖から成る、結合アームの前駆体R’の反応性官能基との間のカップリングから生じた基であり、
Rは、枝分れしていても及び/又は不飽和であっても、O、N及びSより選択される1つ以上のヘテロ原子を有していても、及び1つ以上の飽和の、不飽和の又は芳香族環又はヘテロ環を有していてもよい、1ないし15個の炭素原子を有する炭素鎖から成り、アルコール、酸及びアミン官能基から成る群より選択される同一の又は異なる少なくとも3つの反応性官能基を有する前駆体R’の反応から生じた、3価の基である。
【0007】
従って、本発明は、式I:
【化1】


{式中、
及びnは、−F−R−[G−Hyrc及び/又は−F−R−[G−Hyrhによる前記多糖類の糖単位の官能化度を表すものであって、n≧0及びn≧0であるとともに0.01≦n+n≦0.5であり、
は、アミド官能基又はエステル官能基を表し、
は、カルバメート官能基を表し、
前記アニオン性多糖類の官能化されていないカルボキシル基は、カルボン酸カチオン形態にあり、当該カチオンは、好ましくは、Na又はKのようなアルカリ金属カチオンであり、
又はGは、アミド官能基又はエステル官能基、又は、疎水性化合物の反応性官能基(Hy’又はHy’)と、結合アームの前駆体R’又はR’の反応性官能基との間のカップリングから生じたカルバメート官能基を表し、
Hy又はHyは、同一又は異なる基であって、疎水性化合物の反応性官能基(Hy’又はHy’)と、結合アームの前駆体R’又はR’の反応性官能基との間のカップリングから生じたものであり、Hy又はHyは、枝分れしていても及び/又は不飽和であってもよく、O、N及びSより選択される1つ以上のヘテロ原子を有していてもよく、1つ以上の、飽和の、不飽和の又は芳香族環又はヘテロ環を有していてもよい、4ないし50の炭素原子を有する炭素鎖から成り、
は、アルコール、酸及びアミン官能基から成る群より選択される、同一の又は異なった少なくとも3つの反応性官能基を有する前駆体R’の反応より生じた、枝分れしていても及び/又は不飽和であってもよく、O、N及びSより選択される1つ以上のヘテロ原子を有していてもよく、且つ、1つ以上の、飽和の不飽和の又は芳香族環又はヘテロ環を有していてもよい、1ないし15個の炭素原子を有する炭素鎖から成る3価基を表し、
は、1つがアミンであり、且つその他がアルコール、酸及びアミン官能基から成る群より選択される少なくとも3つの反応性官能基を有する前駆体R’の反応より生じた、枝分れしていても及び/又は不飽和であってもよく、O、N及び/又はSより選択される1つ以上のヘテロ原子を有していてもよく、且つ、1つ以上の、飽和の、不飽和の又は芳香族環又はヘテロ環を有していてもよい、1ないし15個の炭素原子を有する炭素鎖から成る3価基を表し、
は、少なくとも3価の結合アームRにグラフトした疎水性基の数を表す整数であって、2≦r≦4であり、
は、少なくとも3価の結合アームRにグラフトした疎水性基の数を表す整数であって、2≦r≦4である}
で表される、カルボキシル基を有する多糖類より選択されるアニオン性多糖類であって、前記多糖類は、カルボキシル基を天然に有する多糖類より選択されるか、又はカルボキシル基を天然に有する多糖類から得られる合成多糖類か、若しくはヒドロキシル基がカルボキシル基に転換されている中性多糖類より得られる合成多糖類より選択され、且つ、ヒドロキシル基の少なくとも1つが少なくとも2つの疎水性基(−Hyと示す)により置換されているか、又はカルボキシル基の少なくとも1つが少なくとも2つの疎水性基(−Hyと示す)であって、同一の又は異なった疎水性基により置換された多糖類より選択される、アニオン性多糖類に関する。
【0008】
一の態様において、n+nは0.02ないし0.4である。
一の態様において、n+nは0.03ないし0.3である。
【0009】
一の態様において、本発明に従う多糖類は、式II:
【化2】



{式中、
は、−F−R−[G−Hyrc配列による前記多糖類のカルボキシル基の官能化度を表すものであって、0.01ないし0.5であり、
、R、G、Hy及びrは、上記定義に対応し、
前記多糖類のカルボキシル基が−F−R−[G−Hyrcにより官能化されていない場合、前記多糖類のカルボキシル基又はカルボキシル基群はカルボン酸カチオンであって、前記カチオンは、好ましくは、Na又はKのようなアルカリ金属カチオンであり、及び
前記結合アームRの官能化されていない反応性官能基が酸官能基である場合、当該反応性官能基は、塩化形態、即ちカルボン酸カチオン形態であって、前記カチオンは、好ましくは、Na又はKのような、アルカリ金属カチオンであり、及び、前記結合アームRの官能化されていない反応性官能基がアミン官能基である場合、当該官能基は、アニオン塩の形態であって、前記アニオンが好ましくはハライドアニオンである}
で表される多糖類群より選択される。
【0010】
一の態様において、本発明に従う多糖類は、式III:
【化3】



(式中、
、F及びRは、上記定義に対応し、
c1及びGc2は、同一又は異なるものであって、Gの定義に対応し、
Hyc1及びHyc2は、同一又は異なるものであって、Hyの定義に対応する)
で表される多糖類群より選択される。
【0011】
一の態様において、式IV:
【化4】



(式中、
、F及びRは、上記定義に対応し、
c1、Gc2及びGc3は、同一又は異なるものであって、Gの定義に対応し、
Hyc1、Hyc2及びHyc3は、同一又は異なるものであって、Hyの定義に対応する)
で表される多糖類群より選択される。
【0012】
一の態様において、本発明に従う多糖類は、式V:
【化5】



{式中、
は、−F−R−[G−Hyrh配列による前記多糖類のヒドロキシル基の官能化度を表すものであって、0.01ないし0.5であり、
、R、G、Hy及びrは、上記定義に対応し、
前記多糖類のカルボキシル基は、カルボン酸カチオン形態であって、当該カチオンは、好ましくは、Na又はKのようなアルカリ金属カチオンであり、及び
前記結合アームRの官能化されていない反応性官能基が酸官能基である場合、当該酸官能基は、塩化形態、即ちカルボン酸カチオン形態であって、当該カチオンは、好ましくは、Na又はKのようなアルカリ金属カチオンであり、及び、前記結合アームRの官能化されていない反応性官能基がアミン官能基である場合、当該官能基は、アニオン塩形態であって、当該アニオンは、好ましくはハライドアニオンである}
で表される多糖類群より選択される。
【0013】
一の態様において、本発明に従う多糖類は、式VI:
【化5】


(式中、
、F及びRは、上記定義に対応し、
h1及びGh2は、同一又は異なるものであって、Gの定義に対応し、
Hyh1及びHyh2は、同一又は異なるものであって、Hyの定義に対応する)
で表される多糖類群より選択される。
【0014】
一の態様において、本発明に従う多糖類は、式VII:
【化7】


(式中、
、F及びRは、上記定義に対応し、
h1、Gh2及びGh3は、同一又は異なるものであって、Ghの定義に対応し、
Hyh1、Hyh2及びHyh3は、同一又は異なるものであって、Hyの定義に対応する)
で表される多糖類群より選択される。
【0015】
用語“群”又は“誘導体”又は“基”、特にHy、R又はQは、前駆体間の、又は前駆体と多糖類間の反応から生じる一価又は多価配列を意味するものと理解される。
【0016】
Hy’、R’及びQ’のような前駆体は、例えば、反応して一価若しくは多価基又は誘導体又は上記定義された基Hy、R及びQを与える、疎水性アルコール、疎水性アミン、疎水性酸又はアミノ酸であり得る、定義された化合物である。
【0017】
用語“アニオン性”とは、官能化されていない、且つ塩化し得るカルボキシル基を有する多糖類を意味するものと理解される。
【0018】
用語“官能化度”とは、糖単位当りの−F−R−[G−Hyrc及び/又は−F−R−[G−Hyrh基の数、言い換えれば、糖単位の総数に対する−F−R−[G−Hyrc及び/又は−F−R−[G−Hyrh基の総数を意味するものと理解される。かかる概念はまた、−F−R−[G−Hyrc及び/又は−F−R−[G−Hyrhにより官能化される多糖類のヒドロキシル基又はカルボキシル基のモル分率としても表され得る。
【0019】
用語“転換度”とは、糖単位当りの、カルボキシル基に転換したヒドロキシル基の数、又は言い換えると、糖単位の総数に対する、カルボキシル基に転換したヒドロキシル基の総数を意味するものと理解される。かかる概念はまた、モル分率としても表現され得る。例えば、糖単位当りの、カルボキシル基へのヒドロキシル基の転換度が0.15以上の多糖類は、100の糖単位当り少なくとも15のカルボキシル基がグラフトした多糖類である。
【0020】
用語“重合度m”とは、ポリマー鎖当りの繰り返し単位(モノマー)の数平均を意味するものと理解される。重合度mは、数平均分子量を、繰り返し単位の平均質量で除すことによって算出される。
【0021】
用語“数平均分子量(Mn)”とは、各々のポリマー鎖の質量の算術平均を意味するものと理解される。従って、分子量Mの鎖iの数nについては、Mn=(Σ)/(Σ)である。
【0022】
質量平均分子量(M)は、Mw=(Σ)/(Σ)(nは、分子量Mのポリマー鎖iの数である)で与えられる。
【0023】
ポリマーはまた、Mで除したMである、多分散性インデックス(PI)としても既知である、鎖長の分布によっても特徴づけられ得る。
【0024】
一の態様において、カルボキシル基を有する多糖類は、カルボキシル基を天然に有する多糖類であって、且つ、アルギネート、ヒアルロナン及びガラクツロナンから成る群より選択される。
【0025】
一の態様において、カルボキシル基を有する多糖類は、カルボキシル基を天然に有する多糖類から得られた合成多糖類であり、又は中性多糖類から得られた合成多糖類であり、糖単位当りのカルボキシル基へのヒドロキシル基の転換度が0.15以上であり、一般式VIII:
【化8】


{式中、
中性多糖類は、大部分が(1,6)型及び/又(1,4)型及び/又は(1,3)型及び/又は(1,2)型のグリコシド結合を介して結合したモノマーから成る多糖類群より選択され、
Lは、結合アームQの前駆体と、前記多糖類の−OH官能基との間のカップリングにより生じた結合基であって、エステル、カルバメート又はエーテル官能基であり、
iは、前記多糖類の糖単位当りの、L−Q配列へのヒドロキシル基の転換度を表し、
Qは、式IX:
【化9】


[式中、
1≦a+b+c≦6であり、0≦a≦3であり、且つ0≦c≦3であり、
及びRは、同一又は異なるものであって、−H、直鎖状の又は枝分れ状の炭素原子数1ないし3のアルキル基、−COOH及び一般式X:
【化10】


(式中、
0≦d≦3であり、且つ、
R’及びR’は、同一又は異なるものであって、−H及び直鎖状の又は枝分れ状の炭素原子数1ないし3のアルキル基から成る群より選択される)
を表す]}
で表される、合成多糖類である。
【0026】
一の態様において、a+b+c≦5である。
一の態様において、a+b+c≦4である。
一の態様において、iは0.1ないし3である。
一の態様において、iは0.2ないし2.5である。
一の態様において、iは0.5ないし1.7である。
一の態様において、iは0.8ないし1.2である。
【0027】
一の態様において、多糖類は、大部分が(1,6)型のグリコシド結合を介して結合したモノマーから成る。
一の態様において、大部分が(1,6)型のグリコシド結合を介して結合したモノマーから成る多糖類は、デキストランである。
【0028】
一の態様において、多糖類は、大部分が(1,4)型のグリコシド結合を介して結合したモノマーから成る。
一の態様において、大部分が(1,4)型のグリコシド結合を介して結合したモノマーから成る多糖類は、プルラン、アルギネート、ヒアルロナン、キシラン、ガラクツロナン及び水溶性セルロースから成る群より選択される。
【0029】
一の態様において、多糖類は、プルランである。
一の態様において、多糖類は、アルギネートである。
一の態様において、多糖類は、ヒアルロナンである。
一の態様において、多糖類は、キシランである。
一の態様において、多糖類は、ガラクツロナンである。
一の態様において、多糖類は、水溶性セルロースである。
【0030】
一の態様において、多糖類は、大部分が(1,3)型のグリコシド結合を介して結合したモノマーから成る。
一の態様において、大部分が(1,3)型のグリコシド結合を介して結合したモノマーから成る多糖類は、カードランである。
【0031】
一の態様において、多糖類は、大部分が(1,2)型のグリコシド結合を介して結合したモノマーから成る。
一の態様において、大部分が(1,2)型のグリコシド結合を介して結合したモノマーから成る多糖類は、イヌリンである。
【0032】
一の態様において、多糖類は、大部分が(1,4)型及び(1,3)型のグリコシド結合を介して結合したモノマーから成る。
一の態様において、大部分が(1,4)型及び(1,3)型のグリコシド結合を介して結合したモノマーから成る多糖類は、グルカンである。
【0033】
一の態様において、多糖類は、大部分が(1,4)型及び(1,3)型及び(1,2)型のグリコシド結合を介して結合したモノマーから成る。
一の態様において、大部分が(1,4)型及び(1,3)型及び(1,2)型のグリコシド結合を介して結合したモノマーから成る多糖類は、マンナンである。
【0034】
一の態様において、本発明に従う多糖類のL−Q配列は、下記配列:
【化11】


(式中、Lは上記の意味を有する)
から成る群より選択される。
【0035】
一の態様において、本発明に従う多糖類のL−Q配列は、下記配列:
【化12】


(式中、Lは上記の意味を有する)
から成る群より選択される。
【0036】
一の態様において、本発明に従う多糖類のL−Q配列は、下記配列:
【化13】


(式中、Lは上記の意味を有する)
から成る群より選択される。
【0037】
一の態様において、本発明に従う多糖類のL−Q配列は、下記配列:
【化14】


(式中、Lは上記の意味を有する)
である。
【0038】
一の態様において、本発明に従う多糖類のL−Q配列は、下記配列:
【化15】


(式中、Lは上記の意味を有する)
である。
【0039】
一の態様において、多糖類は、式中、−Hy基が、疎水性アルコールのヒドロキシル官能基と、少なくとも3価の基Rの前駆体R’により保有される少なくとも1つの反応性官能基との間のカップリングから生じた疎水性アルコール由来の基であり、且つ、Gが、エステル官能基又はカルバメート官能基であり、R及びFが上記定義を有する、式II、III及びIVで表される多糖類より選択される。
【0040】
一の態様において、多糖類は、式中、−Hy基が、疎水性アルコールのヒドロキシル官能基と、少なくとも3価の基Rの前駆体R’により保有される少なくとも1つの反応性官能基との間のカップリングから生じた疎水性アルコール由来の基であり、且つ、Gが、エステル官能基又はカルバメート官能基であり、R及びFが上記定義を有する、式V、VI及びVIIで表される多糖類より選択される。
【0041】
一の態様において、疎水性アルコールは、脂肪アルコールより選択される。
【0042】
一の態様において、疎水性アルコールは、飽和の又は不飽和の、及び枝分れ状の又は枝分れしていないアルキル鎖から成る、4ないし18個の炭素原子を有するアルコールより選択される。
【0043】
一の態様において、疎水性アルコールは、飽和の又は不飽和の、及び枝分れ状の又は枝分れしていない、18個より多くの炭素原子を有するアルキル鎖から成るアルコールより選択される。
【0044】
一の態様において、疎水性アルコールはオクタノールである。
【0045】
一の態様において、疎水性アルコールはドデカノールである。
【0046】
一の態様において、疎水性アルコールは2−エチルブタノールである。
【0047】
一の態様において、疎水性アルコールは、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール、ブチルアルコール、オレイルアルコール及びラノリンアルコールより選択される。
【0048】
一の態様において、疎水性アルコールは、コレステロール誘導体である。
【0049】
一の態様において、コレステロール誘導体は、コレステロールである。
【0050】
一の態様において、疎水性アルコールは、メントール誘導体より選択される。
【0051】
一の態様において、疎水性アルコールは、ラセミ形態にあるメントールである。
【0052】
一の態様において、疎水性アルコールは、メントールのD異性体である。
【0053】
一の態様において、疎水性アルコールは、メントールのL異性体である。
【0054】
一の態様において、疎水性アルコールは、トコフェロールより選択される。
【0055】
一の態様において、トコフェロールは、α−トコフェロールである。
【0056】
一の態様において、α−トコフェロールは、α−トコフェロールのラセミ体である。
【0057】
一の態様において、トコフェロールは、α−トコフェロールのD異性体である。
【0058】
一の態様において、トコフェロールは、α−トコフェロールのL異性体である。
【0059】
一の態様において、疎水性アルコールは、アリール基を保有するアルコールより選択される。
【0060】
一の態様において、アリール基を保有するアルコールは、ベンジルアルコール又はフェネチルアルコールより選択される。
【0061】
一の態様において、疎水性アルコールは、不飽和脂肪アルコールより選択される。
【0062】
一の態様において、不飽和脂肪アルコールは、ゲラニオール、β−シトロネロール及びファルネソールから成る群より選択される。
【0063】
一の態様において、疎水性アルコールは、3,7−ジメチル−1−オクタノールである。
【0064】
一の態様において、多糖類は、式中、−Hy基が、疎水性酸のカルボキシル官能基と、少なくとも3価の基Rの前駆体R’により保有される少なくとも1つの反応性官能基との間のカップリングから生じた疎水性酸由来の基であり、且つ、Gが、エステル官能基又はアミド官能基であり、R及びFが上記定義を有する、式II、III及びIVで表される多糖類より選択される。
【0065】
一の態様において、多糖類は、式中、−Hy基が、疎水性酸のカルボキシル官能基と、少なくとも3価の基Rの前駆体R’により保有される少なくとも1つの反応性官能基との間のカップリングより生じた疎水性酸由来の基であり、且つ、Gが、エステル官能基又はアミド官能基であり、R及びFが上記定義を有する、式V、VI及びVIIで表される多糖類より選択される。
【0066】
一の態様において、疎水性酸は、脂肪酸より選択される。
【0067】
一の態様において、脂肪酸は、飽和の又は不飽和の、及び枝分れ状の又は枝分れしていない、6ないし50個の炭素原子を有するアルキル鎖から成る酸から成る群より選択される。
【0068】
一の態様において、脂肪酸は、直鎖状脂肪酸から成る群より選択される。
【0069】
一の態様において、直鎖状脂肪酸は、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、カプリン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、トリコサン酸、リグノセリン酸、ヘプタコサン酸、オクタコサン酸及びメリシン酸から成る群より選択される。
【0070】
一の態様において、脂肪酸は、不飽和脂肪酸から成る群より選択される。
【0071】
一の態様において、不飽和脂肪酸は、ミリストレイン酸、パルミトオレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、α−リノール酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸及びドコサヘキサエン酸から成る群より選択される。
【0072】
一の態様において、脂肪酸は、胆汁酸及びその誘導体から成る群より選択される。
【0073】
一の態様において、胆汁酸及びその誘導体は、コール酸、デヒドロコール酸、デオキシコール酸及びケノデオキシコール酸から成る群より選択される。
【0074】
一の態様において、脂肪酸は、アリール基を保有する酸より選択される。
【0075】
一の態様において、アリール基を保有する脂肪酸は、フェニル酢酸である。
【0076】
一の態様において、多糖類は、式中、−Hy基が、疎水性アミンのアミン官能基と、少なくとも3価の基Rの前駆体R’により保有される少なくとも1つの反応性官能基との間のカップリングから生じた疎水性アミン由来の基であり、且つ、Gが、アミド官能基又はカルバメート官能基であり、R及びFが上記定義を有する、式II,III及びIVで表される多糖類より選択される。
【0077】
一の態様において、多糖類は、式中、−Hy基が、疎水性アミンのアミン官能基と、少なくとも3価の基Rの前駆体R’により保有される少なくとも1つの反応性官能基との間のカップリングから生じた疎水性アミン由来の基であり、且つ、Gが、アミド官能基又はカルバメート官能基であり、R及びFが上記定義を有する、式V、VI及びVIIで表される多糖類より選択される。
【0078】
一の態様において、疎水性アミンは、脂肪アミンより選択される。
【0079】
一の態様において、疎水性アミンは、飽和の又は不飽和の、及び直鎖状の又は枝分れ状の、6ないし18個の炭素原子を有するアルキル鎖から成るアミンより選択される。
【0080】
一の態様において、脂肪アミンは、ドデシルアミンである。
【0081】
一の態様において、脂肪アミンは、ミリスチルアミン、セチルアミン、ステアリルアミン、セテアリルアミン、ブチルアミン及びオレイルアミンより選択される。
【0082】
一の態様において、疎水性アミンは、アリール基を保有するアミンより選択される。
【0083】
一の態様において、アリール基を保有するアミンは、ベンジルアミン又はフェネチルアミンより選択される。
【0084】
下記の前駆体は、それらの反応性官能基の性質に従い分類され;後者は、少なくとも全部で3つであるが、下記前駆体の幾つかは、4つ以上の反応性官能基を有し得る。
【0085】
一の態様において、少なくとも3価の前駆体R’及びR’は、2つの酸官能基を保有するアミノ酸より選択される。
【0086】
2つの酸官能基を保有するアミノ酸は、アスパラギン酸、グルタミン酸、メチルアスパラギン酸、γ−カルボキシグルタミン酸、2−アミノピメリン酸、2−アミノアジピン酸及びO−スクシニルホモセリンから成る群より選択される。
【0087】
一の態様において、少なくとも3価の前駆体R’及びR’は、アスパラギン酸である。
【0088】
一の態様において、少なくとも3価の前駆体R’及びR’は、2つのアミン官能基を保有するアミノ酸より選択される。
【0089】
2つのアミン官能基を保有するアミノ酸は、リシン、5−ヒドロキシリシン、2,4−ジアミノ酪酸、2,3−ジアミノプロピオン酸、オルニチン及びp−アミノフェニルアラニンから成る群より選択される。
【0090】
一の態様において、少なくとも3価の前駆体R’及びR’は、リシンである。
【0091】
一の態様において、少なくとも3価の前駆体R’及びR’は、アルコール官能基を保有するアミノ酸より選択される。
【0092】
アルコール官能基を保有するアミノ酸は、セリン、スレオニン、チロシン、ホモセリン及びα−メチルセリンから成る群より選択される。
【0093】
一の態様において、少なくとも3価の前駆体R’及びR’は、セリンである。
【0094】
一の態様において、少なくとも3価の前駆体R’及びR’は、アルコールアミンより選択される。
【0095】
アルコールアミンは、トロメタミン(トリス)、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、トリエタノールアミン、ヒドロキシメチルチロシン、チロシノール、セリノール(2−アミノ−1,3−プロパンジオール)及びスレオニノールから成る群より選択される。
【0096】
一の態様において、少なくとも3価の前駆体R’及びR’は、トロメタミン又は3−アミノ−1,2−プロパンジオールである。
【0097】
一の態様において、少なくとも3価の前駆体R’は、二酸アルコールより選択される。
【0098】
一の態様において、二酸アルコールは、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタル酸、リンゴ酸及びN−(2−ヒドロキシエチル)イミノジ酢酸から成る群より選択される。
【0099】
一の態様において、少なくとも3価の前駆体R’は、ジアルコール酸より選択される。
【0100】
一の態様において、ジアルコール酸は、ビシン(bicine)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,4−ジヒドロキシケイ皮酸、3,4−ジヒドロキシヒドロケイ皮酸及び4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)吉草酸から成る群より選択される。
【0101】
一の態様において、少なくとも3価の前駆体R’は、トリアミンより選択される。
【0102】
一の態様において、トリアミンは、2−(アミノメチル)−2−メチル−1,3−プロパンジアミン及びトリス(2−アミノエチル)アミンから成る群より選択される。
【0103】
一の態様において、トリアミンは、2つのアミド官能基を有するトリアミンが形成するように、二酸アミンと2つのジアミンとの間の反応により得られる。
【0104】
二酸アミンンは、アスパラギン酸、グルタミン酸、メチルアスパラギン酸、γ−カルボキシグルタミン酸、2−アミノピメリン酸、2−アミノアジピン酸及びO−スクシニルホモセリンから成る群より選択される。
【0105】
一の態様において、二酸アミンは、アスパラギン酸である。
【0106】
一の態様において、ジアミンは、エチレンジアミン及びデカルボキシル化リシン及びその誘導体である。
【0107】
一の態様において、ジアミンは、ジエチレングリコールジアミン及びトリエチレングリコールジアミンから成る群より選択される。
【0108】
一の態様において、トリアミンは、ジ(2−アミノエチル)アスパルトアミドである。
【0109】
一の態様において、少なくとも3価の前駆体R’は、三酸アルコールより選択される。
【0110】
一の態様において、三酸アルコールは、クエン酸から成る群より選択される。
【0111】
一の態様において、少なくとも三価の前駆体R’は、トリアルコールより選択される。
【0112】
一の態様において、トリアルコールは、2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、フロログルシノール及び1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)−プロパンから成る群より選択される。
【0113】
一の態様において、少なくとも3価の前駆体R’は、トリアルコール酸より選択される。
【0114】
一の態様において、トリアルコール酸は、アロイリチン酸から成る群より選択される。
【0115】
一の態様において、少なくとも3価の前駆体R’は、ポリオールより選択される。
【0116】
一の態様において、ポリオールは、グリセロール、ジグリセロール、トリグリセロール、ペンタエリスリトール及びα,α’−ジグリセロールから成る群より選択される。
【0117】
一の態様において、本発明に従う多糖類は、同一であるか又は異なるが同様の反応性官能基を有する2つの−Hyc1及び−Hyc2又は−Hyh1及び−Hyh2を保有し、且つ、Gc1及びGc2又はGh1及びGh2は同一である。
【0118】
例として下記組み合わせが製造される。
【0119】
一の態様において、Fcはエステル官能基であり、Gc1及びGc2はエステル官能基であり、R’は二酸アルコールであり、且つ、Hyc1及びHyc2は疎水性アルコール由来の基である。
【0120】
一の態様において、Fはエステル官能基であり、Gc1及びGc2はエステル官能基であり、R’はトリアルコールであり、且つ、Hyc1及びHyc2は疎水性酸由来の基である。
【0121】
一の態様において、Fはエステル官能基であり、Gc1及びGc2はアミド官能基であり、R’はアルコールジアミンであり、且つ、Hyc1及びHyc2は疎水性酸由来の基である。
【0122】
一の態様において、Fはエステル官能基であり、Gc1及びGc2はカルバメート官能基であり、R’はアルコールジアミンであり、且つ、Hyc1及びHyc2は疎水性アルコール由来の基である。
【0123】
一の態様において、Fはエステル官能基であり、Gc1及びGc2はアミド官能基であり、R’はアルコール二酸であり、且つ、Hyc1及びHyc2は疎水性アミン由来の基である。
【0124】
一の態様において、Fはエステル官能基であり、Gc1及びGc2はカルバメート官能基であり、Rc’はトリアルコールであり、且つ、Hyc1及びHyc2は疎水性アミン由来の基である。
【0125】
一の態様において、Fはアミド官能基であり、Gc1及びGc2はエステル官能基であり、R’は二酸アミンであり、且つ、Hyc1及びHyc2は疎水性アルコール由来の基である。
【0126】
一の態様において、Fはアミド官能基であり、Gc1及びGc2はエステル官能基であり、R’はジアルコールアミンであり、且つ、Hyc1及びHyc2は疎水性酸由来の基である。
【0127】
一の態様において、Fはアミド官能基であり、Gc1及びGc2はアミド官能基であり、R’はトリアミンであり、且つ、Hyc1及びHyc2は疎水性酸由来の基である。
【0128】
一の態様において、Fはアミド官能基であり、Gc1及びGc2はアミド官能基であり、R’は二酸アミンであり、且つ、Hyc1及びHyc2は疎水性アミン由来の基である。
【0129】
一の態様において、Fはアミド官能基であり、Gc1及びGc2はカルバメート官能基であり、R’はジアルコールアミンであり、且つ、Hyc1及びHyc2は疎水性アミン由来の基である。
【0130】
一の態様において、Fはアミド官能基であり、Gc1及びGc2はカルバメート官能基であり、R’はトリアミンであり、且つ、Hyc1及びHyc2は疎水性アルコール由来の基である。
【0131】
一の態様において、Fはカルバメート官能基であり、Gh1及びGh2はエステル官能基であり、R’は二酸アミンであり、且つ、Hyh1及びHyh2は疎水性アルコール由来の基である。
【0132】
一の態様において、Fはカルバメート官能基であり、Gh1及びGh2はエステル官能基であり、R’はジアルコールアミンであり、且つ、Hyh1及びHyh2は疎水性酸由来の基である。
【0133】
一の態様において、Fはカルバメート官能基であり、Gh1及びGh2はアミド官能基であり、R’はトリアミンであり、且つ、Hyh1及びHyh2は疎水性酸由来の基である。
【0134】
一の態様において、Fはカルバメート官能基であり、Gh1及びGh2はカルバメート官能基であり、R’はトリアミンであり、且つ、Hyh1及びHyh2は疎水性アルコール由来の基である。
【0135】
一の態様において、Fはカルバメート官能基であり、Gh1及びGh2はアミド官能基であり、R’は二酸アミンであり、且つ、Hyh1及びHyh2は疎水性アミン由来の基である。
【0136】
一の態様において、Fはカルバメート官能基であり、Gh1及びGh2はカルバメート官能基であり、R’はジアルコールアミンであり、且つ、Hyh1及びHyh2は疎水性アミン由来の基である。
【0137】
一の態様において、本発明に従う多糖類は、2つの異なるHyc1及びHyc2又はHyh1及びHyh2基を保有するが、Gc1及びGc2又はGh1及びGh2結合は同一である。
【0138】
例として下記組み合わせが製造される。
【0139】
一の態様において、Fはエステル官能基であり、Gc1及びGc2はエステル官能基であり、R’はジアルコール酸であり、並びに、Hyc1は疎水性アルコール由来の基であり且つHyc2は疎水性酸由来の基である。
【0140】
一の態様において、Fはエステル官能基であり、Gc1及びGc2はアミド官能基であり、R’は酸アルコールアミンであり、並びに、Hyc1は疎水性酸由来の基であり且つHyc2は疎水性アミン由来の基である。
【0141】
一の態様において、Fはアミド官能基であり、Gc1及びGc2はエステル官能基であり、R’は酸アルコールアミンであり、並びに、Hyc1は疎水性アルコール由来の基であり且つHyc2は疎水性酸由来の基である。
【0142】
一の態様において、Fはアミド官能基であり、Gc1及びGc2はアミド官能基であり、R’はジアミン酸であり、並びに、Hyc1は疎水性酸であり且つHyc2は疎水性アミン由来の基である。
【0143】
一の態様において、Fはカルバメート官能基であり、Gh1及びGh2はエステル官能基であり、R’は酸アルコールアミンであり、並びに、Hyh1は疎水性アルコール由来の基であり且つHyh2は疎水性酸由来の基である。
【0144】
一の態様において、Fはカルバメート官能基であり、Gh1及びGh2はアミド官能基であり、R’は二酸アミンであり、並びに、Hyh1は疎水性酸由来の基であり且つHyh2は疎水性アミン由来の基である。
【0145】
一の態様において、Fはカルバメート官能基であり、Gh1及びGh2はカルバメート官能基であり、R’はジアミンアルコールであり、並びに、Hyh1は疎水性アルコール由来の基であり且つHyh2は疎水性アミン由来の基である。
【0146】
一の態様において、本発明に従う多糖類は、同一であるか又は異なるが同様の反応性官能基を有する2つのHyc1及びHyc2又はHyh1及びHyh2を保有しており、且つ、Gc1及びGc2又はGh1及びGh2結合は異なっている。
【0147】
例として下記組み合わせが製造される。
【0148】
一の態様において、Fはエステル官能基であり、Gc1はエステル官能基であり、R’はジアルコールアミンであり、Gc2はアミド官能基であり、並びに、Hyc1及びHyc2は疎水性酸由来の基である。
【0149】
一の態様において、Fはエステル官能基であり、Gc1はエステル官能基であり、R’はアルコール酸アミンであり、Gc2はカルバメート官能基であり、並びに、Hyc1且つHyc2は疎水性アルコール由来の基である。
【0150】
一の態様において、Fはアミド官能基であり、Gc1はエステル官能基であり、R’はジアミンアルコールであり、Gc2はアミド官能基であり、並びに、Hyc1且つHyc2は疎水性酸由来の基である。
【0151】
一の態様において、Fはアミド官能基であり、Gc1はエステル官能基であり、R’はジアミン酸であり、Gc2はカルバメート官能基であり、並びに、Hyc1及びHyc2は疎水性アルコール由来の基である。
【0152】
一の態様において、Fはエステル官能基であり、Gc1はアミド官能基であり、R’はジアルコール酸であり、Gc2はカルバメート官能基であり、並びに、Hyc1及びHyc2は疎水性アミン由来の基である。
【0153】
一の態様において、Fはカルバメート官能基であり、Gh1はエステル官能基であり、R’はジアミンアルコールであり、Gh2はアミド官能基であり、並びに、Hyh1及びHyh2は疎水性酸由来の基である。
【0154】
一の態様において、Fはカルバメート官能基であり、Gh1はエステル官能基であり、R’はジアミン酸であり、Gh2はカルバメート官能基であり、並びに、Hyh1及びHyh2は疎水性アルコール由来の基である。
【0155】
一の態様において、Fはカルバメート官能基であり、Gh1はアミド官能基であり、R’はアルコール酸アミンであり、Gh2はカルバメート官能基であり、並びに、Hyh1及びHyh2は疎水性アミン由来の基である。
【0156】
一の態様において、本発明に従う多糖類は、2つの異なるHyc1及びHyc2又はHyh1及びHyh2基を保有し、且つ、Gc1及びGc2又はGh1及びGh2結合が異なる。
【0157】
例として以下の組み合わせが製造される。
【0158】
一の態様において、Fはエステル官能基であり、Gc1はエステル官能基であり、R’はジアルコールアミンであり、及びHyc1は疎水性酸由来の基であり、Gc2はカルバメート官能基であり、及びHyc2は疎水性アルコール由来の基である。
【0159】
一の態様において、Fはエステル官能基であり、Gc1はエステル官能基であり、R’は酸アルコールアミンであり、及びHyc1は疎水性アルコール由来の基であり、Gc2はアミド官能基であり、及びHyc2は疎水性酸由来の基である。
【0160】
一の態様において、Fはエステル官能基であり、Gc1はアミド官能基であり、R’はアルコールジアミンであり、及びHyc1は疎水性酸由来の基であり、Gc2はカルバメート官能基であり、及びHyc2は疎水性アルコール由来の基である。
【0161】
一の態様において、Fはエステル官能基であり、Gc1はエステル官能基であり、R’はアルコール二酸であり、及びHyc1は疎水性アルコール由来の基であり、Gc2はアミド官能基であり、及びHyc2は疎水性アミン由来の基である。
【0162】
一の態様において、Fはエステル官能基であり、Gc1はエステル官能基であり、R’はジアルコール酸であり、及びHyc1は疎水性酸由来の基であり、Gc2はアミド官能基であり、及びHyc2は疎水性アミン由来の基である。
【0163】
一の態様において、Fはエステル官能基であり、Gc1はアミド官能基であり、R’はジアルコールアミンであり、及びHyc1は疎水性酸由来の基であり、Gc2はカルバメート官能基であり、及びHyc2は疎水性アミン由来の基である。
【0164】
一の態様において、Fはエステル官能基であり、Gc1はエステル官能基であり、R’はトリアルコールであり、及びHyc1は疎水性酸由来の基であり、Gc2はカルバメート官能基であり、及びHyc2は疎水性アミン由来の基である。
【0165】
一の態様において、Fはエステル官能基であり、Gc1はエステル官能基であり、R’は酸ジアルコールであり、及びHyc1は疎水性アルコール由来の基であり、Gc2はカルバメート官能基であり、及びHyc2は疎水性アミン由来の基である。
【0166】
一の態様において、Fはアミド官能基であり、Gc1はエステル官能基であり、R’はジアミン酸であり、及びHyc1は疎水性アルコール由来の基であり、Gc2はアミド官能基であり、及びHyc2は疎水性酸由来の基である。
【0167】
一の態様において、Fはアミド官能基であり、Gc1はエステル官能基であり、R’はアルコールジアミンであり、及びHyc1は疎水性酸由来の基であり、Gc2はカルバメート官能基であり、及びHyc2は疎水性アルコール由来の基である。
【0168】
一の態様において、Fはアミド官能基であり、Gc1はアミド官能基であり、R’はトリアミンであり、及びHyc1は疎水性酸由来の基であり、Gc2はカルバメート官能基であり、及びHyc2は疎水性アルコール由来の基である。
【0169】
一の態様において、Fはアミド官能基であり、Gc1はエステル官能基であり、R’二酸アミンであり、及びHyc1は疎水性アルコール由来の基であり、Gc2はアミド官能基であり、及びHyc2は疎水性アミン由来の基である。
【0170】
一の態様において、Fはアミド官能基であり、Gc1はエステル官能基であり、R’はアルコール酸アミンであり、及びHyc1は疎水性酸由来の基であり、Gc2はアミド官能基であり、及びHyc2は疎水性アミン由来の基である。
【0171】
一の態様において、Fはアミド官能基であり、Gc1はアミド官能基であり、R’はアルコールジアミンであり、及びHyc1は疎水性酸由来の基であり、Gc2はカルバメート官能基であり、及びHyc2は疎水性アミン由来の基である。
【0172】
一の態様において、Fはアミド官能基であり、Gc1はエステル官能基であり、R’はジアルコールアミンであり、及びHyc1は疎水性酸由来の基であり、Gc2はカルバメート官能基であり、及びHyc2は疎水性アミン由来の基である。
【0173】
一の態様において、Fはアミド官能基であり、Gc1はエステル官能基であり、R’は酸アルコールアミンであり、及びHyc1は疎水性アルコール由来の基であり、Gc2はカルバメート官能基であり、及びHyc2は疎水性アミン由来の基である。
【0174】
一の態様において、Fはカルバメート官能基であり、Gh1はエステル官能基であり、R’はジアミン酸であり、及びHyh1は疎水性アルコール由来の基であり、Gh2はアミド官能基であり、及びHyh2は疎水性酸由来の基である。
【0175】
一の態様において、Fはカルバメート官能基であり、Gh1はエステル官能基であり、R’はアルコールジアミンであり、及びHyh1は疎水性酸由来の基であり、Gh2はカルバメート官能基であり、及びHyh2は疎水性アルコール由来の基である。
【0176】
一の態様において、Fはカルバメート官能基であり、Gh1はアミド官能基であり、R’はトリアミンであり、及びHyh1は疎水性酸由来の基であり、Gh2はカルバメート官能基であり、及びHyh2は疎水性アルコール由来の基である。
【0177】
一の態様において、Fはカルバメート官能基であり、Gh1はエステル官能基であり、R’は二酸アミンであり、及びHyh1は疎水性アルコール由来の基であり、Gh2はアミド官能基であり、及びHyh2は疎水性アミン由来の基である。
【0178】
一の態様において、Fはカルバメート官能基であり、Gh1はエステル官能基であり、R’はアルコール酸アミンであり、及びHyh1は疎水性酸由来の基であり、Gh2はアミド官能基であり、及びHyh2は疎水性アミン由来の基である。
【0179】
一の態様において、Fはカルバメート官能基であり、Gh1はアミド官能基であり、R’はアルコールジアミンであり、及びHyh1は疎水性酸由来の基であり、Gh2はカルバメート官能基であり、及びHyh2は疎水性アミン由来の基である。
【0180】
一の態様において、Fはカルバメート官能基であり、Gh1はエステル官能基であり、R’はジアルコールアミンであり、及びHyh1は疎水性酸由来の基であり、Gh2はカルバメート官能基であり、及びHyh2は疎水性アミン由来の基である。
【0181】
一の態様において、Fはカルバメート官能基であり、Gh1はエステル官能基であり、R’は酸アルコールアミンであり、及びHyh1は疎水性アルコール由来の基であり、Gh2はカルバメート官能基であり、及びHyh2は疎水性アミン由来の基である。
【0182】
多糖類は、5ないし10000の重合度mを有し得る。
【0183】
一の態様において、多糖類は、10ないし1000の重合度mを有する。
【0184】
別の態様において、多糖類は、10ないし500の重合度mを有する。
【0185】
本発明はまた、本発明に従う多糖類の合成にも関する。
【0186】
本発明はまた、少なくとも1つが、同一又は異なった少なくとも2つの疎水基(Hyc1及びHyc2、及び/又は、Hyh1及びHyh2と記す)により官能化されたカルボキシル基を有する多糖類の合成にも関する。
【0187】
多糖類が、一般式II、III及びIVで表される多糖類より選択される場合、前記合成は、アミン中間体[Hy−Grc−R−NH、又は、対イオンが、ハロゲン化物塩、硫酸塩、スルホン酸塩及びカルボン酸塩より選択されるアニオンであるアンモニウム塩[Hy−Grc−R−NHを製造する段階、並びに、当該アミン中間体を、多糖類のカルボキシル官能基にグラフトする段階を含む(R、G、Hy及びrは上記定義に対応する)。
【0188】
一の態様において、多糖類のヒドロキシル基の、100の糖単位当り少なくとも15のカルボキシル官能基への転換段階は、式Q−L’で表される化合物を、多糖類の100の糖単位当り少なくとも15のヒドロキシル官能基にグラフトすることによって行われる(Q−L’は、Q−L配列の前駆体であり、Q及びLは上記定義に対応する)。
【0189】
好ましい態様において、式[Hy−Grc−R−NH又は[Hy−Grc−R−NHで表されるアミン中間体は、式[G’]rc−R−NH(G’は、カルボン酸、アミン又はアルコール官能基である)で表される化合物と、疎水性化合物の反応性官能基(R、G、Hy及びrは上記定義に対応する)との反応によって、得られる。
【0190】
カルボジイミドを使用するもののような、当業者に良く知られている他の合成法がまた、用いられ得る。
【0191】
必要であれば、アミン中間体を製造するこの段階において、当業者に良く知られている保護及び脱保護技術が用いられる。
【0192】
好ましくは、アミン中間体を多糖類のカルボキシル基にグラフトさせる段階は、有機媒体中で行われる。
【0193】
多糖類が、一般式V、VI又はVIIで表される多糖類より選択される場合、前記合成は、アミン中間体[Hy−Grh−R−NH、又は、対イオンが、ハロゲン化物塩、硫酸塩、スルホン酸塩及びカルボン酸塩より選択されるアニオンであるアンモニウム塩[Hy−Grh−R−NHを製造する段階、並びに、当該アミン中間体を、多糖類のヒドロキシル基にグラフトする段階(R、G、Hy及びrは、上記定義に対応する)を含む。
【0194】
一の態様において、多糖類のヒドロキシル基の、100の糖単位当り少なくとも15のカルボキシル基への転換の段階は、式Q−L’で表される化合物を、多糖類の100の糖単位当り少なくとも15のヒドロキシル基にグラフトすることによって行われる(Q−L’はQ−L配列の前駆体であり、Q及びLは上記定義に対応する)。
【0195】
好ましい態様において、式[Hy−Grh−R−NH又は[Hy−Grh−R−NHで表されるアミン中間体は、式[G’]rh−R−NH(G’は、カルボン酸、アミン又はアルコール官能基である)で表される化合物と、疎水性化合物の反応性官能基との反応によって得られる(R、G、Hy及びrは、上記定義に対応する)。
【0196】
カルボジイミドを用いるもののような、当業者に良く知られた他の合成法がまた用いられ得る。
【0197】
必要であれば、アミン中間体を製造する当該段階において、当業者に良く知られた保護及び脱保護技術が用いられる。
【0198】
好ましくは、アミン中間体を、多糖類のカルボキシル基にグラフトする段階は、有機媒体中で行われる。
【0199】
一の態様において、本発明は、下記多糖類:
− ジヘキシルアスパルテートにより変性されたナトリウムデキストランメチルカルボキシレート
− ジベンジルアスパルテートにより変性されたナトリウムデキストランメチルカルボキシレート
− ジラウリルアスパルテートにより変性されたナトリウムデキストランメチルカルボキシレート(デキストラン10kDa)
− 3−アミノ−1,2−プロパンジオールジラウレートエステルにより変性されたナトリウムデキストランメチルカルボキシレート
− ジオクチルアスパルテートにより変性されたナトリウムデキストランメチルカルボキシレート
− ジラウリルアスパルテートにより変性されたナトリウムデキストランメチルカルボキシレート(デキストラン5kDa)
− 2−[(2−ドデカノイルアミノ−6−(ドデカノイルアミノ)ヘキサノイル)アミノ]エタンアミンにより変性されたナトリウムデキストランメチルカルボキシレート
− ジオクチルアスパルテートにより変性されたナトリウムデキストランスクシネート
− 2,2’,2”−(アミノ−ビス[メチルフェニルアセテート])エチルフェニルアセテートにより変性されたナトリウムデキストランメチルカルボキシレート
− ベンジル2−アミノ−3−(オクタノイルオキシ)プロパノエートにより変性されたナトリウムデキストランメチルカルボキシレート
− ジオクチルアスパルテートにより変性されたN−(ナトリウムメチルカルボキシレート)デキストランカルバメート
− N−(ナトリウムメチルカルボキシレート)カルバメート及びジヘキシルアスパルテートカルバメートにより変性されたデキストラン
− ジラウリルグルタムアミドにより変性されたナトリウムデキストランメチルカルボキシレート
− ジ(エチル−2−ドデカンアミド)アスパルトアミドにより変性されたナトリウムデキストランメチルカルボキシレート
から成る群より選択される。
【実施例】
【0200】
実施例1:ジヘキシルアスパルテートにより変性されたナトリウムデキストランメチルカルボキシレート ポリマー1
およそ40kg/molの質量平均分子量を有するデキストラン(ファルマコスモス(Pharmacosmos))の16g(即ち、ヒドロキシル基の296mmol)を水中に溶解して、42g/Lとした。10N NaOHの30mL(NaOHの296mmol)を当該溶液に添加した。混合物を35℃とし、そしてその後、クロロ酢酸ナトリウムの46g(396mmol)を添加した。反応媒体の温度を0.5℃/分にて60℃まで上げ、そしてその後、60℃にて100分間維持した。当該反応媒体を、200mLの水で希釈し、酢酸で中和し、そして6倍量の水に対する5kDのPESメンブランに通した限外濾過により精製した。乾燥抽出物により最終溶液を定量的に決定してポリマーの濃度を決定し、そしてその後、50/50(v/v)の水/アセトンの酸/塩基滴定により定量的に決定して、メチルカルボキシレートへの転換度を決定した。
乾燥抽出物に従うと、[ポリマー]=31.5mg/gであった。
酸/塩基滴定に従うと、メチルカルボキシレートへのヒドロキシル基の転換度は、糖単位当り1.07であった。
【0201】
ナトリウムデキストランメチルカルボキシレート溶液をプロライト(Purolite)樹脂(アニオン性)に通して、デキストランメチルカルボン酸を得、その後18時間凍結乾燥した。
特許文献(森憲治他,米国特許第4826818号)に記載されている方法に従い、ジヘキシルアスパルテートパラトルエンスルホン酸塩を得た。
デキストランメチルカルボン酸の10g(メチルカルボン酸の47.76mmol)をDMF中に溶解して60g/Lとし、そしてその後、0℃まで冷却した。ジヘキシルアスパルテートパラトルエンスルホン酸塩の2.0g(4.46mmol)をDMF中に懸濁して100g/Lとした。その後、トリエチルアミンの0.45g(4.46mmol)を当該懸濁液に添加した。一旦、ポリマー溶液を0℃とし、その後、DMF中のNMM(1.35g、13.39mmol)の溶液(530g/L)及びEtOCOClの1.45g(13.39mmol)を添加した。10分間の反応後、ジヘキシルアスパルテート溶液を添加した。その後、当該媒体を10℃にて45分間維持した。その後、当該媒体を30℃まで加熱した。イミダゾール溶液(水9mL中の3.04g)及び水52mLを当該反応媒体に添加した。当該ポリマー溶液を、15倍量の0.9%NaCl溶液及び5倍量の水に対する10kDのPESメンブランに通して限外濾過した。当該ポリマー溶液の濃度を乾燥抽出物により決定した。溶液のフラクションを凍結乾燥し、そしてDO中のH NMRにより解析して、ジヘキシルアスパルテートアミドに転換したカルボキシル基の量を決定した。
乾燥抽出物に従うと、[ポリマー1]=31.1mg/gであった。
H NMRに従うと、糖単位当りの、ジヘキシルアスパルテートによる酸の官能化度は、0.075であった。
【0202】
実施例2:ジベンジルアスパルテートにより変性されたナトリウムデキストランメチルカルボキシレート ポリマー2
特許文献(森憲治他,米国特許第4826818号)に記載されている方法に従い、ジベンジルアスパルテートパラトルエンスルホン酸塩を得た。
実施例1に記載されるのと同様の方法により、ジベンジルアスパルテートにより変性されたナトリウムデキストランメチルカルボキシレートを得た。
乾燥抽出物に従うと、[ポリマー2]=35mg/gであった。
H NMRに従うと、ジベンジルアスパルテートによる酸の官能化度は、0.085であった。
【0203】
実施例3:ジラウリルアスパルテートにより変性されたナトリウムデキストランメチルカルボキシレート(デキストラン10kDa) ポリマー3
特許文献(森憲治他,米国特許第4826818号)に記載されている方法に従い、ジラウリルアスパルテートパラトルエンスルホン酸塩を得た。
およそ10kg/molの質量平均分子量を有するデキストラン(ファルマコスモス)を用いて、実施例1に記載される方法に従いナトリウムデキストランメチルカルボキシレートを合成し、実施例1に記載されるのと同様の方法によってジラウリルアスパルテートにより変性した。
乾燥抽出物に従うと、[ポリマー3]=17.8mg/gであった。
H NMRに従うと、ジラウリルアスパルテートによる酸の官能化度は、0.05であった。
【0204】
実施例4:3−アミノ−1,2−プロパンジオールジラウレートエステルにより変性されたナトリウムデキストランメチルカルボキシレート ポリマー4
特許文献(森憲治他,米国特許第4826818号)に記載されている方法に従い、3−アミノ−1,2−プロパンジオールジラウレートエステルパラトルエンスルホン酸塩を得た。
実施例1に記載されるのと同様の方法により、3−アミノ−1,2−プロパンジオールジラウレートエステルにより変性されたナトリウムデキストランメチルカルボキシレートを得た。
乾燥抽出物に従うと、[ポリマー4]=18.5mg/gであった。
H NMRに従うと、糖単位当りの、3−アミノ−1,2−プロパンジオールジラウレートエステルによる酸の官能化度は、0.045であった。
【0205】
実施例5:ジオクチルアスパルテートにより変性されたナトリウムデキストランメチルカルボキシレート ポリマー5
特許文献(森憲治他,米国特許第4826818号)に記載されている方法に従い、ジオクチルアスパルテートパラトルエンスルホン酸塩を得た。
およそ10kg/molの質量平均分子量を有するデキストラン(ファルマコスモス)を用いて、実施例1に記載された方法に従いナトリウムデキストランメチルカルボキシレートを合成し、実施例1に記載されるのと同様の方法によってジオクチルアスパルテートにより変性した。
乾燥抽出物に従うと、[ポリマー5]=22.2mg/gであった。
H NMRに従うと、ジオクチルアスパルテートによる酸の官能化度は、0.05であった。
【0206】
実施例6:ジラウリルアスパルテートにより変性されたナトリウムデキストランメチルカルボキシレート(デキストラン5kDa) ポリマー6
特許文献(森憲治他,米国特許第4826818号)に記載されている方法に従い、ジラウリルアスパルテートパラトルエンスルホン酸塩を得た。
およそ5kgmolの質量平均分子量を有するデキストラン(ファルマコスモス)を用いて、実施例1に記載の方法に従いナトリウムデキストランメチルカルボキシレートを合成し、実施例1に記載されるのと同様の方法によってジラウリルアスパルテートにより変性した。
乾燥抽出物に従うと、[ポリマー6]=8.9mg/gであった。
H NMRに従うと、ジラウリルアスパルテートによる酸の官能化度は、0.05であった。
【0207】
実施例7:2−[(2−ドデカノイルアミノ−6−(ドデカノイルアミノ)ヘキサノイル)アミノ]エタンアミンにより変性されたナトリウムデキストランメチルカルボキシレート ポリマー7
文献(Pal,A他,Tetrahedron,2007,63,7334−7348)に記載される方法に従い、L−リシンエチルエステル塩酸塩(バケム(Bachem))及びドデカン酸(シグマ(Sigma))から、N,N’−ビス(ドデカノイル)リシンを得た。
文献(Paul,R他,J.Org.Chem.,1962,27,2094−2099、及びDale,D.J.他,Org.Process.Res.Dev.,2002,6,767−772)に記載される方法に従い、N,N’−ビス(ドデカノイル)リシン及びエチレンジアミン(ロス(Roth))から、2−[(2−ドデカノイルアミノ−6−(ドデカノイルアミノ)ヘキサノイル)アミノ]エタンアミン塩酸塩を得た。
およそ10kg/molの質量平均分子量を有するデキストラン(ファルマコスモス)を用いて、実施例1に記載される方法に従い、ナトリウムデキストランメチルカルボキシレートを合成し、実施例1に記載されるのと同様の方法によって、2−[(2−ドデカノイルアミノ−6−(ドデカノイルアミノ)ヘキサノイル)アミノ]エタンアミンにより変性した。
乾燥抽出物に従うと、[ポリマー7]=16.9mg/gであった。
H NMRに従うと、2−[(2−ドデカノイルアミノ−6−(ドデカノイルアミノ)ヘキサノイル)アミノ]エタンアミンによる酸の官能化度は、0.02であった。
【0208】
実施例8:ジオクチルアスパルテートにより変性されたナトリウムデキストランスクシネート ポリマー8
特許文献(森憲治他,米国特許第4826818号)に記載されている方法に従い、ジオクチルアスパルテートパラトルエンスルホン酸塩を得た。
Sanchez−Chaves他による文献に記載される方法(Sanchez−Chaves,Manuel他,Polymer,1998,39(13),2751−2757)に従い、デキストラン10(ファルマコスモス)からナトリウムデキストランスクシネートを得た。DO/NaOD中のH NMRに従うと、糖単位当りのカルボキシル基の量は、1.41である。
実施例1に記載されるのと同様の方法により、ジオクチルアスパルテートで変性されたナトリウムデキストランスクシネートを得た。
乾燥抽出物に従うと、[ポリマー8]=19.3mg/gであった。
H NMRに従うと、糖単位当りのジオクチルアスパルテートによる酸の官能化度は、0.05であった。
【0209】
実施例9:2,2’,2”−(アミノ−ビス[メチルフェニルアセテート])エチルフェニルアセテートにより変性されたナトリウムデキストランメチルカルボキシレート ポリマー9
特許文献(森憲治他,米国特許第4826818号)に記載されている方法に従い、2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール(トリス)(アルドリッチ(Aldrich))及びフェニル酢酸(アルドリッチ)から、2,2’,2”−(アミノ−ビス[メチルフェニルアセテート])エチルフェニルアセテートパラトルエンスルホン酸塩を得た。
およそ10kg/molの質量平均分子量を有するデキストランを用いて、実施例1に記載される方法に従い、ナトリウムデキストランメチルカルボキシレートを合成し、実施例1に記載されるのと同様の方法によって、2,2’,2”−(アミノ−ビス[メチルフェニルアセテート])エチルフェニルアセテートにより変性した。
乾燥抽出物に従うと、[ポリマー9]=15.4mg/gであった。
H NMRに従うと、2,2’,2”−(アミノ−ビス[メチルフェニルアセテート])エチルフェニルアセテートによる酸の官能化度は、0.04であった。
【0210】
実施例10:ベンジル2−アミノ−3−(オクタノイルオキシ)プロパノエートにより変性されたナトリウムデキストランメチルカルボキシレート ポリマー10
特許文献(森憲治他,米国特許第4826818号)に記載されている方法に従い、L−リシンベンジルエステル塩酸塩及びオクタン酸から、ベンジル2−アミノ−3−(オクタノイルオキシ)プロパノエートパラトルエンスルホン酸塩を得た。
およそ10kg/molの質量平均分子量を有するデキストラン(ファルマコスモス)を用いて、実施例1に記載されるのと同様の方法によって、ベンジル2−アミノ−3−(オクタノイルオキシ)プロパノエートにより変性した。
乾燥抽出物に従うと、[ポリマー10]=21.2mg/gであった。
H NMRに従うと、糖単位当りのベンジル2−アミノ−3−(オクタノイルオキシ)プロパノエートによる酸の官能化度は、0.045であった。
【0211】
実施例11:ジオクチルアスパルテートにより変性したN−(ナトリウムメチルカルボキシレート)デキストランカルバメート ポリマー11
特許文献(森憲治他,米国特許第4826818号)に記載されている方法に従い、ジオクチルアスパルテートパラトルエンスルホン酸塩を得た。およそ10kg/molの質量平均分子量を有するデキストラン(バケム)の11.5g(即ち、ヒドロキシル基の0.21mol)を、DMF/DMSO混合物中に溶解した。当該混合物を、攪拌しながら130℃まで上げ、そしてエチルイソシアナートアセテートの13.75g(0.11mol)を段階的に導入した。1時間の反応後、当該媒体を水中に希釈し、そして0.1N NaOH、0.9%NaCl及び水に対する5kDのPESメンブランに通すダイアフィルトレーション(diafiltration)により精製した。最終溶液を乾燥抽出物により定量的に決定して、ポリマーの濃度を決定し、そしてその後、50/50(v/v)水/アセトン中の酸/塩基滴定によって定量的に決定して、N−メチルカルボキシレートカルバメートへのヒドロキシル基の転換度を決定した。
乾燥抽出物に従うと、[ポリマー]=38.9mg/gであった。
N−メチルカルボキシレートカルバメート官能基へのヒドロキシル基の転換度は、糖単位当り1.08であった。
【0212】
N−(ナトリウムメチルカルボキシレート)デキストランカルバメートの溶液を、プロライト樹脂(アニオン性)に通して、N−(メチルカルボン酸)デキストランカルバメートを得、その後、18時間凍結乾燥した。
N−(メチルカルボン酸)デキストランカルバメートの5g(N−(メチルカルボン酸)の20mmol)をDMF中に溶解して、50g/Lとし、そしてその後、0℃に冷却した。ジオクチルアスパルテートパラトルエンスルホン酸塩の0.95g(0.18mol)をDMF中に懸濁して、100g/Lとした。その後、トリエチルアミンの0.02g(0.18mmol)を当該懸濁液に添加した。その後、NMMの2.22g(22mmol)及びEtOCOClの2.38g(22mmol)を添加した。10分間の反応後、ジオクチルアスパルテート懸濁液を添加した。その後、当該媒体を10℃にて45分間維持した。その後、当該媒体を50℃に加熱した。600g/Lのイミダゾール水溶液及び水25mLを30℃にて添加した。50℃にて1時間30分間攪拌した後、得られた溶液を、0.1N NaOH、0.9%NaCl及び水に対する10kDのPESメンブランに通して限外濾過した。ポリマー溶液の濃度を乾燥抽出物により決定した。溶液のフラクションを凍結乾燥し、そしてDO中のH NMRにより解析して、ジオクチルアスパルテートアミドに転換したカルボキシル基の量を決定した。
乾燥抽出物に従うと、[ポリマー11]=21.2mg/gであった。
H NMRに従うと、糖単位当りのジオクチルアスパルテートによる酸の官能化度は、0.09であった。
【0213】
実施例12:N−(ナトリウムメチルカルボキシレート)カルバメート及びジヘキシルアスパルテートカルバメートにより変性されたデキストラン ポリマー12
特許文献(森憲治他,米国特許第4826818号)に記載されている方法に従い、ジヘキシルアスパルテートパラトルエンスルホン酸塩を得た。
文献に記載される方法(Knockler,H.−J.他,Synlett,1997,925−928)に従い、ジヘキシルアスパルテートからジヘキシル2−イソシアナートブタンジオエートを得た。
およそ10kg/molの質量平均分子量を有するデキストラン(バケム)の2.7g(即ち、ヒドロキシル基の50mmol)をDMF/DMSO混合物中に溶解した。当該混合物を、攪拌しながら130℃まで上げ、そしてエチルイソシアナートアセテートの3.2g(25mmol)及びその後にジヘキシル2−イソシアナートブタンジオエートの3.9g(8mmol)を段階的に導入した。1時間の反応後、当該媒体を水中に希釈し、そして、0.1N NaOH、0.9%NaCl及び水に対する5kDのPESメンブランに通すダイアフィルトレーションにより精製した。最終溶液を乾燥抽出物により定量的に決定して、ポリマーの濃度を決定した。溶液のフラクションを凍結乾燥し、そしてD2O中のH NMRにより解析して、N−(ナトリウムメチルカルボキシレート)カルバメートに対するヒドロキシル基の転換度及びジヘキシルアスパルテートカルバメートに対するヒドロキシル基の官能化度を決定した。
乾燥抽出物に従うと、[ポリマー12]=8.2mg/gであった。
H NMRに従うと、N−(ナトリウムメチルカルボキシレート)カルバメートに対するヒドロキシル基の転換度は1.1であり、且つ、ジヘキシルアスパルテートカルバメートに対するヒドロキシル基の官能化度は0.05であった。
【0214】
実施例13:ジラウリルアスパルテートにより変性されたナトリウムデキストランメチルカルボキシレート(デキストラン5kDa) ポリマー13
特許文献(森憲治他,米国特許第4826818号)に記載されている方法に従い、ジラウリルアスパルテートパラトルエンスルホン酸塩を得た。
およそ5kg/molの質量平均分子量を有するデキストラン(ファルマコスモス)を用いて、実施例1に記載される、デキストランのメチルカルボキシル化についての方法を2回繰り返し、糖単位当り1.66の、メチルカルボキシレートに対するヒドロキシル基の転換度を有するナトリウムデキストランメチルカルボキシレートを得た。実施例1に記載されるのと同様の方法によって、当該ナトリウムデキストランメチルカルボキシレートから、ジラウリルアスパルテートにより変性されたナトリウムデキストランメチルカルボキシレートを得た。
乾燥抽出物に従うと、[ポリマー13]=10.1mg/gであった。
H NMRに従うと、ジラウリルアスパルテートによる酸の官能化度は、0.05であった。
【0215】
実施例14:ジラウリルグルタムアミドにより変性されたナトリウムデキストランメチルカルボキシレート ポリマー14
文献に記載の方法(Pal,A他,Tetrahedron,2007,63,7334−7348)に従い、Fmoc−L−グルタミン酸(バケム)及びドデシルアミンから、Fmocにより保護されたα−アミンであるL−ジラウリルグルタムアミドを得た。その後、ピペリジン溶液中での処理によってFmoc基を除去して、ジラウリルグルタムアミドを得た。
およそ10kg/molの質量平均分子量を有するデキストラン(ファルマコスモス)を用いて、実施例1に記載される方法に従い、ナトリウムデキストランメチルカルボキシレートを合成し、実施例1に記載されるのと同様の方法によって、ジラウリルグルタムアミドにより変性した。
乾燥抽出物に従うと、[ポリマー14]=15.6mg/gであった。
H NMRに従うと、ジラウリルグルタムアミドによる酸の官能化度は、0.07であった。
【0216】
実施例15:ジ(エチル−2−ドデカンアミド)アスパルトアミドにより変性されたナトリウムデキストランメチルカルボキシレート ポリマー15
特許文献に記載される方法(Weiner,N.他,米国特許第2387201号)に従い、ドデカン酸のメチルエステル(Sigma(シグマ))及びエチレンジアミン(ロス(Roth))から、N−(2−アミノエチル)ドデカンアミドを得た。
文献に記載される方法(Pal,A他,Tetrahedron,2007,63,7334−7348)に従い、Fmoc−L−アスパラギン酸(バケム)及びN−(2−アミノエチル)ドデカンアミドから、Fmocで保護されたα−アミンであるジ(エチル−2−ドデカンアミド)L−アスパルトアミドを得た。その後、ピペリジン溶液中の処理によってFmoc基を除去して、ジ(エチル−2−ドデカンアミド)アスパルトアミドを得た。
およそ5kg/molの質量平均分子量を有するデキストラン(ファルマコスモス)を用いて、実施例1に記載される方法に従い、ナトリウムデキストランメチルカルボキシレートを合成し、実施例1に記載されるのと同様の方法によって、ジ(エチル−2−ドデカンアミド)アスパルトアミドにより変性した。
乾燥抽出物に従うと、[ポリマー15]=9.2mg/gであった。
H NMRに従うと、ジ(エチル−2−ドデカンアミド)アスパルトアミドによる酸の官能化度は、0.05であった。
【0217】
本発明はまた、医薬組成物の製造における、本発明に従い官能化された多糖類の使用にも関する。
【0218】
本発明はまた、上記の本発明に従う多糖類の1種及び少なくとも1種の有効成分を含有する医薬組成物にも関する。
【0219】
本発明はまた、有効成分が、タンパク質、糖タンパク質、ペプチド及び非ペプチド治療分子から成る群より選択される、上記の本発明に従う医薬組成物にも関する。
【0220】
用語“有効成分”とは、単一の化学物質の形態にあるか、又は生理的活性を有する組み合わせの形態にある生成物を意味するものと理解される。前記有効成分は、外因性であり得、即ち本発明に従う組成物により導入され得る。有効成分はまた内因性でもあり得、例えば、治癒の初期段階の間の創傷において分泌され、且つ本発明に従う組成物により前記創傷上に維持され得る成長因子であり得る。
【0221】
標的とする病状に応じて、有効成分は、局所的又は全身的治療が意図される。
【0222】
局所的及び全身的放出の場合において、考えられる投与方法は、静脈内、皮下、皮内、経皮、筋肉内、経口、経鼻、膣内、眼内、口腔又は肺経路等による。
【0223】
本発明に従う医薬組成物は、液体形態、水溶液、又は粉末、インプラント又はフィルム形態にある。それらは、当業者に良く知られている慣用の医薬賦形剤をさらに包含する。
【0224】
病状及び投与方法に応じて、医薬組成物はさらに、ゲル、スポンジ、注射液、経口用溶液、凍結乾燥されたタブレット等の形態に配合せしめる賦形剤を有利に含有し得る。
【0225】
本発明はまた、ステントの、インプラント可能な生体材料のフィルムの若しくはコーティングの、又はインプラントの形態で投与され得る、上記本発明に従う医薬組成物にも関する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】


{式中、
及びnは、−F−R−[G−Hyrc及び/又は−F−R−[G−Hyrhによる前記多糖類の糖単位の官能化度を表すものであって、n≧0及びn≧0であるとともに0.01≦n+n≦0.5であり、
は、アミド官能基又はエステル官能基を表し、
は、カルバメート官能基を表し、
前記アニオン性多糖類の官能化されていないカルボキシル基は、カルボン酸カチオン形態にあり、当該カチオンは、好ましくは、Na又はKのようなアルカリ金属カチオンであり、
又はGは、アミド官能基又はエステル官能基、又は、疎水性化合物の反応性官能基(Hy’又はHy’)と、結合アームの前駆体R’又はR’の反応性官能基との間のカップリングから生じたカルバメート官能基を表し、
Hy又はHyは、同一又は異なる基であって、疎水性化合物の反応性官能基(Hy’又はHy’)と、結合アームの前駆体R’又はR’の反応性官能基との間のカップリングから生じたものであり、Hy又はHyは、枝分れしていても及び/又は不飽和であってもよく、O、N及びSより選択される1つ以上のヘテロ原子を有していてもよく、1つ以上の、飽和の、不飽和の又は芳香族環又はヘテロ環を有していてもよい、4ないし50個の炭素原子を有する炭素鎖から成り、
は、アルコール、酸及びアミン官能基から成る群より選択される、同一の又は異なった少なくとも3つの反応性官能基を有する前駆体R’の反応より生じた、枝分れしていても及び/又は不飽和であってもよく、O、N及びSより選択される1つ以上のヘテロ原子を有していてもよく、且つ、1つ以上の、飽和の、不飽和の又は芳香族環又はヘテロ環を有していてもよい、1ないし15個の炭素原子を有する炭素鎖から成る3価基を表し、
は、1つがアミンであり、且つその他がアルコール、酸及びアミン官能基から成る群より選択される少なくとも3つの反応性官能基を有する前駆体R’の反応より生じた、枝分れしていても及び/又は不飽和であってもよく、O、N及び/又はSより選択される1つ以上のヘテロ原子を有していてもよく、且つ、1つ以上の、飽和の、不飽和の又は芳香族環又はヘテロ環を有していてもよい、1ないし15個の炭素原子を有する炭素鎖から成る3価基を表し、
は、少なくとも3価の結合アームRにグラフトした疎水性基の数を表す整数であって、2≦r≦4であり、
は、少なくとも3価の結合アームRにグラフトした疎水性基の数を表す整数であって、2≦r≦4である}
で表される、カルボキシル基を有する多糖類より選択されるアニオン性多糖類であって、前記多糖類は、カルボキシル基を天然に有する多糖類より選択されるか、又はカルボキシル基を天然に有する多糖類から得られる合成多糖類か、若しくはヒドロキシル基がカルボキシル基に転換されている中性多糖類より得られる合成多糖類より選択され、且つ、ヒドロキシル基の少なくとも1つが少なくとも2つの疎水性基(−Hyと示す)により置換されているか、又はカルボキシル基の少なくとも1つが少なくとも2つの疎水性基(−Hyと示す)であって、同一の又は異なった疎水性基により置換された多糖類より選択される、アニオン性多糖類。
【請求項2】
式II:
【化2】


{式中、
は、−F−R−[G−Hyrc配列による前記多糖類のカルボキシル基の官能化度を表すものであって、0.01ないし0.5であり、
、R、G、Hy及びrは、上記定義に対応し、
前記多糖類のカルボキシル基が−F−R−[G−Hyrcにより官能化されていない場合、前記多糖類のカルボキシル基又はカルボキシル基群はカルボン酸カチオンであって、前記カチオンは、好ましくは、Na又はKのようなアルカリ金属カチオンであり、及び
前記結合アームRの官能化されていない反応性官能基が酸官能基である場合、当該反応性官能基は、塩化形態、即ちカルボン酸カチオン形態であって、前記カチオンは、好ましくは、Na又はKのような、アルカリ金属カチオンであり、及び、前記結合アームRの官能化されていない反応性官能基がアミン官能基である場合、当該官能基は、アニオン塩の形態であって、前記アニオンが好ましくはハライドアニオンである}
で表される多糖類群より選択される、請求項1に記載の多糖類。
【請求項3】
式III:
【化3】



(式中、
、F及びRは、上記定義に対応し、
c1及びGc2は、同一又は異なるものであって、Gの定義に対応し、
Hyc1及びHyc2は、同一又は異なるものであって、Hyの定義に対応する)
で表される多糖類群より選択される、請求項1に記載の多糖類。
【請求項4】
式V:
【化4】



{式中、
は、−F−R−[G−Hyrh配列による前記多糖類のヒドロキシル基の官能化度を表すものであって、0.01ないし0.5であり、
、R、G、Hy及びrは、上記定義に対応し、
前記多糖類のカルボキシル基は、カルボン酸カチオン形態であって、当該カチオンは、好ましくは、Na又はKのようなアルカリ金属カチオンであり、及び
前記結合アームRの官能化されていない反応性官能基が官能基である場合、当該酸官能基は、塩化形態、即ちカルボン酸カチオン形態であって、当該カチオンは、好ましくは、Na又はKのようなアルカリ金属カチオンであり、及び、前記結合アームRの官能化されていない反応性官能基がアミン官能基である場合、当該官能基は、アニオン塩形態であって、当該アニオンは、好ましくはハライドアニオンである}
で表される多糖類群より選択される、請求項1に記載の多糖類。
【請求項5】
式VI:
【化5】



(式中、
、F及びRは、上記定義に対応し、
h1及びGh2は、同一又は異なるものであって、Gの定義に対応し、
Hyh1及びHyh2は、同一又は異なるものであって、Hyの定義に対応する)
で表される多糖類群より選択される、請求項1に記載の多糖類。
【請求項6】
カルボキシル基を天然に有する多糖類から、又は中性多糖類から得られた合成多糖類より選択され、糖単位当りの、カルボキシル基へのヒドロキシル基の転換度が0.15以上である、式VIII:
【化6】



{式中、
天然多糖類は、大部分が(1,6)型及び/又は(1,4)型及び/又は(1,3)型及び/又は(1,2)型のグリコシド結合を介して結合したモノマーから成る多糖類群より選択され、
Lは、結合アームQの前駆体と、前記多糖類の−OH官能基との間のカップリングにより生じた結合基であって、エステル、カルバメート又はエーテル官能基であり、
iは、前記多糖類の糖単位当りの、L−Q配列へのヒドロキシル基の転換度を表し、
Qは、式IX:
【化7】


[式中、
1≦a+b+c≦6であり、0≦a≦3であり、且つ0≦c≦3であり、
及びRは、同一又は異なるものであって、−H、直鎖状の又は枝分れ状の炭素原子数1ないし3のアルキル基、−COOH及び一般式X:
【化8】


(式中、
0≦d≦3であり、且つ、
R’及びR’は、同一又は異なるものであって、−H及び直鎖状の又は枝分れ状の炭素原子数1ないし3のアルキル基から成る群より選択される)
を表す]}
で表される、請求項1ないし5のうちいずれか1項に記載の多糖類。
【請求項7】
大部分が(1,6)型のグリコシド結合を介して結合したモノマーから成る、請求項6に記載の多糖類。
【請求項8】
前記大部分が(1,6)型のグリコシド結合を介して結合したモノマーから成る多糖類は、デキストランである、請求項7に記載の多糖類。
【請求項9】
大部分が(1,4)型のグリコシド結合を介して結合したモノマーから成る、請求項6に記載の多糖類。
【請求項10】
前記大部分が(1,4)型のグリコシド結合を介して結合したモノマーから成る多糖類は、プルラン、アルギネート、ヒアルロナン、キシラン、ガラクツロナン及び水溶性セルロースから成る群より選択される、請求項9に記載の多糖類。
【請求項11】
前記L−Q配列は、下記配列:
【化9】


(式中、Lは上記の意味を有する)
から成る群より選択される、請求項6ないし10のうちいずれか1項に記載の多糖類。
【請求項12】
前記L−Q配列は、下記配列:
【化10】


(式中、Lは上記の意味を有する)
から成る群より選択される、請求項6ないし10のうちいずれか1項に記載の多糖類。
【請求項13】
式中、−Hy基が、疎水性アルコールのヒドロキシル官能基と、少なくとも3価の基Rの前駆体R’により保有される少なくとも1つの反応性官能基との間のカップリングから生じた疎水性アルコール由来の基であり、且つ、Gが、エステル官能基又はカルバメート官能基であり、R及びFが上記定義を有する、式II、III及びIVで表される多糖類より選択される、請求項1ないし12のうちいずれか1項に記載の多糖類。
【請求項14】
式中、−Hy基が、疎水性アルコールのヒドロキシル官能基と、少なくとも3価の基Rの前駆体R’により保有される少なくとも1つの反応性官能基との間のカップリングから生じた疎水性アルコール由来の基であり、且つ、Gが、エステル官能基又はカルバメート官能基であり、R及びFが上記定義を有する、式V、VI及びVIIで表される多糖類より選択される、請求項1ないし12のうちいずれか1項に記載の多糖類。
【請求項15】
前記疎水性アルコールは、飽和の又は不飽和の、及び枝分れ状の又は枝分れしていない、4ないし18個の炭素原子を有するアルキル鎖から成るアルコールより選択される、請求項13又は14に記載の多糖類。
【請求項16】
前記疎水性アルコールは、飽和の又は不飽和の、及び枝分れ状の又は枝分れしていない、18個より多くの炭素原子を有するアルキル鎖から成るアルコールより選択される、請求項13又は14に記載の多糖類。
【請求項17】
式中、−Hy基が、疎水性酸のカルボキシル官能基と、少なくとも3価の基Rの前駆体R’により保有される少なくとも1つの反応性官能基との間のカップリングから生じた疎水性酸由来の基であり、且つ、Gが、エステル官能基又はアミド官能基であり、R及びFが上記定義を有する、式II、III及びIVで表される多糖類より選択される、請求項1ないし12のうちいずれか1項に記載の多糖類。
【請求項18】
式中、−Hy基が、疎水性酸のカルボキシル官能基と、少なくとも3価の基Rの前駆体R’により保有される少なくとも1つの反応性官能基との間のカップリングより生じた疎水性酸由来の基であり、且つ、Gが、エステル官能基又はアミド官能基であり、R及びFが上記定義を有する、式V、VI及びVIIで表される多糖類より選択される、請求項1ないし12のうちいずれか1項に記載の多糖類。
【請求項19】
前記疎水性酸は、飽和の又は不飽和の、及び枝分れ状の又は枝分れしていない、6ないし50個の炭素原子を有するアルキル鎖から成る脂肪酸から成る群より選択される、請求項17又は18に記載の多糖類。
【請求項20】
式中、−Hy基が、疎水性アミンのアミン官能基と、少なくとも3価の基Rの前駆体R’により保有される少なくとも1つの反応性官能基との間のカップリングから生じた疎水性アミン由来の基であり、且つ、Gが、アミド官能基又はカルバメート官能基であり、R及びFが上記定義を有する、式II、III及びIVで表される多糖類群より選択される、請求項1ないし12のうちいずれか1項に記載の多糖類。
【請求項21】
式中、−Hy基が、疎水性アミンのアミン官能基と、少なくとも3価の基Rの前駆体R’により保有される少なくとも1つの反応性官能基との間のカップリングから生じた疎水性アミン由来の基であり、且つ、Gが、アミド官能基又はカルバメート官能基であり、R及びFが上記定義を有する、式V、VI及びVIIで表される多糖類より選択される、請求項1ないし12のうちいずれか1項に記載の多糖類。
【請求項22】
前記疎水性アミンは、脂肪アミン群より選択される、請求項20又は21に記載の多糖類。
【請求項23】
前記疎水性アミンは、飽和の又は不飽和の、及び直鎖状の又は枝分れ状の、6ないし18個の炭素原子を有するアルキル鎖から成るアミンから成る群より選択される、請求項20又は21に記載の多糖類。
【請求項24】
前記少なくとも3価の前駆体R’及びR’が2つの酸官能基を保有するアミノ酸より選択される多糖類より選択される、請求項1ないし23のうちいずれか1項に記載の多糖類。
【請求項25】
前記少なくとも3価の前駆体R’及びR’が2つのアミン官能基を保有するアミノ酸より選択される多糖類より選択される、請求項1ないし21のうちいずれか1項に記載の多糖類。
【請求項26】
前記少なくとも3価の前駆体R’及びR’がアルコール官能基を保有するアミノ酸より選択される多糖類より選択される、請求項1ないし21のうちいずれか1項に記載の多糖類。
【請求項27】
前記少なくとも3価の前駆体R’及びR’がアルコールアミンより選択される多糖類より選択される、請求項1ないし21のうちいずれか1項に記載の多糖類。
【請求項28】
前記少なくとも3価の前駆体R’及びR’がトリアミンより選択される多糖類より選択される、請求項1ないし21のうちいずれか1項に記載の多糖類。
【請求項29】
前記少なくとも3価の前駆体R’及びR’が二酸アルコールより選択される多糖類より選択される、請求項1ないし21のうちいずれか1項に記載の多糖類。
【請求項30】
請求項1ないし29のうちいずれか1項に記載の多糖類及び少なくとも1種の有効成分を含有する、医薬組成物。
【請求項31】
経口、経鼻、膣内又は口腔経路による投与であり得る、請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項32】
前記有効成分は、タンパク質、糖タンパク質、ペプチド及び非ペプチド治療分子から成る群より選択される、請求項30又は31に記載の医薬組成物。

【公表番号】特表2013−518978(P2013−518978A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−552512(P2012−552512)
【出願日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【国際出願番号】PCT/IB2011/050554
【国際公開番号】WO2011/098962
【国際公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(508090088)
【Fターム(参考)】