説明

尿素の製造方法

一酸化炭素含有ガスにメタノールを加え、この一酸化炭素含有ガス、メタノール及び水を、銅、亜鉛及びアルミニウム及び/またはクロムを含む触媒の存在下に少なくとも一つのシフト段階において接触させて、二酸化炭素富化流を生じせしめ、上記二酸化炭素富化流を上記の少なくとも一つのシフト段階から尿素反応器に移し、そしてその二酸化炭素をアンモニアと反応させて、尿素を製造することを含む、尿素の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿素の製造方法に関し、燃料に基づく水素プラント並びにアンモニア及び/または尿素プラントの能力を高めるための簡単な方法を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
水素プラント並びにアンモニアプラントは、天然ガス、液状炭化水素または固形燃料、例えば石炭もしくはバイオマスなどの燃料を利用することができる。これらのプラントでは、水素の生産は、四つの連続的な手順、すなわち供給材料の精製、水蒸気改質(またはガス化)、水性ガスシフト反応(WGS)及び精製によって行われる。これらの手順は、カークオスマー及びウルマンに詳しい。アンモニアの生産は、Ib DybkjaerによってAmmonia、Catalysis and Manufacture(アンモニア、触媒作用及び製造)、Springer−Verlag,Berlin Heidelberg,第6章,1995,Ed.A.Nielsenに詳しく記載されている。慣用の方法を用いた尿素の製造は、ウルマンズ・エンサイクロペディア・オブ・インダストリアル・ケミストリー,第6版,2002,Wiley−VCHに記載されている。
【0003】
WGS反応は、以下の式で表される。
CO + H2O → CO2 + H2 (1)
これは、より多くの水素の製造に使用される僅かに発熱性の反応である。工業的な高温シフト(HTS)の用途における公知のWGS触媒は、クロムに担持された鉄に基づく高温触媒であり、そしてこれらは、時折、促進剤として銅を含む。このHTSの操業範囲は典型的には340〜360℃の入口温度及び約100℃以上の出口温度である。低温シフト(LTS)触媒のための入口温度の操業範囲は200℃以上(またはガスの露点よりも20℃高い温度)である。入口温度はできる限り低く抑えるべきである。シフト反応用触媒及び操業温度についての更なる詳細は、Catalyst Handbook,第二版,Manson Publishing Ltd.England 1996に記載されている。
【0004】
これらの触媒の他に、ハルドールトプサーA/Sは、中温シフト触媒を販売している。この触媒は、銅に基づきそして310℃までの温度で使用可能である。様々なベンダーが、ガス化に基づくプラントのための耐硫黄触媒を提供している。しかし、これらのプラントは、水素製造のためには広くは使用されていない。
【0005】
メタノールは、30MMt/yを超える大きな規模で製造されている。基本的に、メタノールは、天然ガスが安価に手に入る場所で2000MTPDを超える能力を有する非常に大きなプラントで製造されている。天然ガスが安価な場所でのメタノールの製造コストは、60〜80USD/MT程度であると見積もられる。
【0006】
将来、メタノールは、エネルギーベースで油の価格よりもかなり安価であろう価格でしかも大量に入手できるようになるであろうと期待されている。
【0007】
近年では、水素、特に燃料電池用の水素を製造するためのメタノールの水蒸気改質についての多くの研究がされている。水蒸気改質プロセスの欠点は、反応熱を壁を介して供給しなければならず、そして装置それ自体が扱い難いものとなることである。
【0008】
メタノールの低温水蒸気改質のための触媒は、銅に基づくか、または場合によっては貴金属に基づく。一部の企業、例えばハルドールトプサーA/Sは、商業製品を供給している。
【0009】
米国特許第5,221,524号は、改質したガスを先ず冷却して、その後に、205℃の入口温度で銅触媒によって触媒された低温シフト反応に付す、水素製造方法を開示している。液状のメタノールを、シフトコンバーターに分配供給し、そして未転化のメタノールを、メタノール供給源及びシフト反応器にリサイクルする。触媒は、一酸化炭素の低温シフト転化、及びメタノールから水素及び二酸化炭素への水蒸気改質反応の両方に活性を示す。シフト転化反応から生ずる熱は、メタノール分解のための吸熱性反応を加速するために利用される。
【0010】
米国特許出願第2001/0038816号は、改質ガスと、氷結防止のためのメタノールを少量含む水とが供給されたシフト反応器を利用する水素製造のためのガス発生器を開示している。このガス発生器は、燃料電池装置に接続される。
【0011】
特開昭59-203702号は、メタノール及び水蒸気をシフト反応器で反応させ、流出ガスを精製しそして水素を除去する、水素製造方法を開示している。残りのガスは燃焼し、そして発生した熱は、シフト反応器におけるメタノールの分解のための熱源として使用される。
【0012】
特開平3-254071号は、アルコールを変性しそして燃料電池用の水素を発生させる方法を開示している。天然ガスを、メタノール変成器中で空気と反応させ、そして発生した熱をメタノール/水混合物の転化に使用する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の課題の一つは、広い温度範囲で使用可能な触媒を利用することによる、尿素の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によって、請求項1に記載の尿素の製造方法が提供される。
【0015】
上記方法は、亜鉛、アルミニウム及び/またはクロムを含む銅に基づく触媒を含む水性ガスシフト反応器への供給物流にメタノールを加え、そして水性ガスシフト反応と共にメタノールの接触分解を起こすことによって行うことができる。等温(isothermal)の場合には、発熱性水性ガスシフト反応によって放出される熱は、メタノールの吸熱性水蒸気改質に使用される熱と釣り合う。供給物流中の顕熱は更に工程に使用することができ、それによってかなりより多量のメタノールを水蒸気改質することができる。
【0016】
本発明の方法に使用される触媒は、低温及び350℃を超える温度の両方で使用することができる。
【0017】
上記触媒は尿素の製造に適しており、そしてこの触媒の使用は、二酸化炭素の製造量を増加する。
【0018】
その他、上記触媒を本方法に使用することによって、装置からの水素の製造量を1〜3倍増加することができる。また、本方法は、改質区域への負荷を減少するために使用することができる。更に、本発明の方法を、アンモニアプラントに使用することによって、このようなプラントの能力が高められる。
【0019】
次の式
CH3OH + H2O → 3H2 + CO2 (2)
の吸熱性メタノール水蒸気改質反応は、ガス中の顕熱から並びにWGS反応からの潜熱から必要な反応熱を得る。本発明の方法で利用される触媒は、最大入口温度に耐え、そして出口メタノール濃度をできる限り低く抑える必要から主に決定されるかなりより低い温度(典型的には240〜320℃の温度範囲)においてもなお活性を示す。
【0020】
鉄に基づくシフト触媒にメタノールを加えた実験では、かなりの量のメタン生成がこれらの触媒上で起こることが確認された。またこれは、Lurgiによって開発されたハイタノール法(Hytanol process)を用いた大規模な都市ガスの製造の結果でもある。
【0021】
本発明は、任意の規模の水素プラント及び尿素プラントに使用することができる。加えて、本発明は、例えば自熱式改質器の後に(液状)メタノール水混合物を導入することによって、ガス化に基づくコンバインドサイクル発電プラントや、または燃料プロセッサにおけるピークシェービングの目的のためにも特に有用であることが判明した。
【0022】
図1は、本発明の方法を例示するものである。合成ガス1は、シフト域2に導入される。メタノール3及び水4の流れもシフト域2中に導入され、そこでシフト段階が起こる。メタノール流3は、液状の形または蒸気の形のいずれでも加えることができる。水4は蒸気として加えることができる。このシフト域は、一酸化炭素のシフト転化反応及びメタノールの水蒸気改質反応の両方に活性を有する触媒を含む。メタノールの吸熱性水蒸気改質反応に必要な熱は、シフト転化反応において得られる熱によって供される。生成物は、水素富化流5である。
【0023】
本方法に好適な触媒は、銅、亜鉛、アルミニウム及び/またはクロムを含む。この触媒を使用することによって生産能力が高まり、そしてこの触媒は、低温及び350℃を超える温度の両方において活性を示す。
【0024】
蒸気の形でメタノール及び水を加えることは、シフト域中に液状メタノールを行き渡らせるのに必要な煩雑な分配要素が不要であるという利点を有する。追加の利点の一つは、シフト域全体に高い反応体分圧が発生することである。メタノールは単一の流れとして加えることができ、これも利点の一つである。
【0025】
シフト域は、単一のシフト段階かまたは複数のシフト段階の組み合わせからなることができる。本発明の態様の一つは、少なくとも一つのシフト段階が中温もしくは高温シフト段階である方法からなる。本発明の他の態様の一つは、中温もしくは高温シフト段階の後に低温シフト段階が行われる方法からなる。シフト段階の他の組み合わせも可能であり、このような場合も本発明の方法に含まれる。
【0026】
合成ガス流1は、様々な源、例えば水蒸気改質したガス、第二の改質器、自熱式改質器、または部分酸化ユニット、例えば油もしくは石炭ガス化装置から得ることができる。
【0027】
本発明の特定の態様の一つは、シフト段階の前に、先ず炭化水素流及び水蒸気を予備改質してメタンを得、次いで水蒸気改質して一酸化炭素含有ガスを得る、方法からなる。シフト反応の後に、製造された水素を分離し、そして未転化のメタノールを予備改質器に再循環する。
【0028】
メタノールの他に、他の類似の種、例えば蟻酸メチル、ホルムアルデヒドまたは蟻酸も使用することができる。
【0029】
更に本発明は、任意の規模のアンモニアまたは尿素プラントに使用可能である。メタノールは、燃料代替物として、またはプラントの能力を高めるために使用することができる。
【0030】
慣用のアンモニアプラントでは、窒素は第二改質器に空気として供給される。その供給量は、ガスがアンモニア合成ループに入る前にH2/N2比が3に近くなるような均衡量である。このループにおけるシフト域へのメタノールの添加は、製造される水素量を増大させる。H2/N2比は、第二改質器に加えられる空気の量を高めることによって3に維持することができる。これは、第一改質器における加熱(firing)の減少を必要とする。
【0031】
メタノールは、尿素に関して化学量論的である。
CH3OH + H2O→ 3H2 + CO2 (2)
3H2 + N2 → 2NH3 (3)
2NH3 + CO2 → (NH22CO + H2O (4)
軽質天然ガスの水蒸気改質から生じる合成ガスは、CO2が不足している。多量のメタノールを加えることで、主改質器における加熱は不要になる。すなわち加熱は余分である。この工程(反応(2))で生成する二酸化炭素は、追加の尿素製造(反応(3及び4))のためにアンモニアプラントに使用することができる。本発明の方法では、尿素は、慣用の方法を用いて反応(4)に従いアンモニア及び二酸化炭素を反応させることによって製造される。それゆえ、メタノールを使用して、アンモニアプラントの燃料の柔軟性を高め、そしてこれと同時に尿素の製造のためにCO2を供給することができる。
【0032】
水素及び二酸化炭素を添加することに基づく、部分酸化に基づくアンモニアの製造は、類似の方法で供することができる。
【0033】
本発明方法の利点を以下の例に例示する。
【実施例】
【0034】
以下の例ではハルドールトプサーA/S製の次の触媒を使用した。
触媒A: SK201−2: 銅、鉄及びクロムの各々の酸化物からなる高温シフト触媒
触媒B: MK101: 銅、亜鉛及びアルミニウムの各々の酸化物からなるメタノール合成触媒
触媒C: MK121: 銅、亜鉛及びアルミニウムの各々の酸化物からなるメタノール合成触媒
反応は全て、0〜10MPag、好ましくは2〜6MPagの圧力で行う。この圧力は、その表示通り大気圧を超えた分の値である。
【0035】
例1は、比較例であり、これは、触媒Aなどの触媒がメタノール分解から水素を製造するのには適していないことを示すものである。例2〜13は、銅に基づく触媒を使用した本発明の範囲を示すものである。これらの例では、本発明の方法により、どのように水素の製造が有意にかつ極めて高い効率をもって改善し得るかが示される。例14〜18は比較例であり、これらは、通常の水性ガスシフト条件下での触媒性能を示す。これらの例では触媒Cを使用する。
【0036】
例1(比較例)
触媒A 10gを、水蒸気と、CO15%、CO210%及びH275%を含む乾燥ガスとで活性化する。これを更に、50Nl/hの乾燥ガス流量及び45Nl/hの水蒸気流量で、2.3MPaの圧力下に380℃で試験する。70時間後、乾燥出口ガス中のCO濃度は3.7%である。更に、メタノール0.5Nl/hを加えると、CO出口濃度が4.0%に高まり、そして出口CH4濃度が20ppmから1000ppmに高まる。更に、反応器を出た後に凝縮した水は、添加したメタノールの約50%に相当する、かなりの量の未転化のメタノールを含んでいた。メタノールを除くと、CH4の生成が25ppmに減少し、COの生成は3.9%に減少した。
【0037】
結果は、明らかに、この触媒は、水素及び炭素酸化物類を生成するための接触メタノール分解には不適であることを示している。
【0038】
例2
触媒B 15.2gを、希釈水素(1〜5体積%)中で、185℃及び0.1MPaの圧力下に還元し、そして水素43.1%、一酸化炭素14.3%、二酸化炭素11.1%及び窒素31.5%からなる合成ガスを導入する。圧力を2.5MPaに高め、そして温度を235℃に高める。水中19.63%wt/wtのメタノールの溶液を蒸発し、そして前記合成ガスと一緒に導入する。この乾燥ガス流量は100Nl/hであり、他方、液体流量は、41.6Nl/hの水蒸気流量及び5.7Nl/hのメタノール流量に相当する、41.6g/hである。出口ガスは、残留水蒸気及びメタノールの凝縮後に分析する。これらの条件の下に、CO出口濃度は0.90%に達し、そしてCO2出口濃度は21.7%であり、そして乾燥ガス流量は130Nl/hに高められる。約1ppmの検出限界において、どの時点においてもCH4は観察されない。
【0039】
これらの条件において、出口温度は、触媒床の直ぐ後のところで242℃と測定され、そして反応器を出る液体流量は20.8g/hである(メタノール濃度は8.14%wt/wt)。メタノール出口流量はそれゆえ1.18Nl/hである。これは、次のメタノール転化率(C(M))に相当する。
【0040】
【数1】

【0041】
一酸化炭素の転化率C(CO)は次のように計算される。
【0042】
【数2】

【0043】
水素の生産率Prod(H2)は次のように計算される。
【0044】
【数3】

【0045】
炭素物質収支C(入口)/C(出口)は1.02である。結果を表1にまとめる。
【0046】
例3〜7
温度、乾燥ガス流量及び液体流量を表1に記載ように変えた以外は例2の通りに行う。触媒は、例2で使用したものと同じバッチである。例7の出口ガスの凝縮可能な部分を分析することにより、10ppm wt/wtのエタノール濃度が判明する。例3〜7のいずれにもより高級のアルコール、メタンまたは他のどのような炭化水素も観察されない。それゆえ、炭素酸化物類及び水素へのメタノール転化の選択性は、実験の精度内においては100%である。
【0047】
例8
15.1gの触媒Cを、乾燥希釈水素(1〜5体積%)中で、185℃及び0.1MPaの圧力の下に還元し、そして水素43.1%、一酸化炭素14.3%、二酸化炭素11.1%及び窒素31.5%からなる合成ガスを導入する。圧力を2.5MPaまで高め、そして温度を216℃に高める。水中22.37%のメタノールの溶液を蒸発させ、そして上記合成ガスと一緒に供給する。乾燥ガス流量は50Nl/hであり、他方、液体流量は、15.5Nl/hの水蒸気流量及び2.5Nl/hのメタノール流量に相当する16.0g/hである。残留水蒸気及びメタノールの凝縮後に出口ガスを分析する。これらの条件において、CO出口濃度は0.64%に達し、そしてCO2出口濃度は22.3%であり、そして乾燥流ガス流量は63Nl/hに高められる。約1ppmの検出限界において、いずれの時点でもCH4は観察されない。これらの条件において、出口温度は、触媒床の直ぐ後のところで219℃と測定され、そして反応器を出る液体流量は18.7g/hである(メタノール濃度は11.26%wt/wt)。それゆえ、メタノール出口流量は1.47Nl/hである。
【0048】
各濃度は上述のようにC(M)=56.9%及びC(CO)=94.3%と計算される。水素の生産率はProd(H2)=749Nl H2/g/hである。炭素物質収支は1.00である。触媒C上でメタノールにより推進したシフト反応の結果を表2に示す。
【0049】
【表1】

【0050】
例9
この実験は、乾燥ガス流量及び液体流量を表2に示す通りに変える以外は例8と同様に行う。炭素酸化物類及び水素へのメタノール転化の選択性は100%である。
【0051】
例10
例8〜9に使用した触媒を、100Nl/hの乾燥ガス流量、60g/hの液体流量、2.5MPaの圧力で及び例8〜9と同じ供給組成物を用いて、313℃の入口温度で120分間、作用させる。炭素酸化物類及び水素へのメタノール転化の選択性は100%である。一酸化炭素の出口濃度は、この期間中、1.25±0.05%で一定している。120時間の期間の後に、凝縮物を再び分析した。その結果を表2に示す。
【0052】
例11〜13
これらの実験は、温度、乾燥ガス流量及び液体流量を表2に示すように変える以外は例10と同様に行う。
【0053】
例14〜17(比較例)
これらの実験は、メタノールを液体供給物から除く以外は例10〜13と同様である。メタノールを加えない触媒Cの結果は表3に示す。
【0054】
【表2】

【0055】
【表3】

【0056】
上記の例は、合成ガスにメタノール加えること及び生じた混合物を銅含有触媒に曝すことによって、水素の製造を有意に向上し得ることを示している。例えば、15gの触媒MK121を、313℃の入口温度、100Nl/hの乾燥ガス流量、57Nl/hの水蒸気流量、及び25barの圧力において合成ガスに曝すと、水素の製造は1040Nl/kg/hに達する(例17)。この例では、出口温度は327℃でありそしてCO濃度は1.15%である。同じ触媒を用いて、メタノール9.4Nl/hを供給物に加え、但し他は同じ操業条件にした場合には、水素の生産率は2550Nl/kg/hに上昇する(例10)。この例では、出口温度は310℃でありそしてCO濃度は1.23%である。
【0057】
例18
この例は、尿素の生産を高めるために、天然ガスに基づくアンモニアプラントにメタノールを加えることの利点を示すものである。
【0058】
多くの状況において、水素と二酸化炭素との間のバランスは、二酸化酸素の不足のために、尿素製造の要件を完全には満足しない。本発明の方法は、新しい基本概念のプラント並びに既存のプラントのために使用することができる。
【0059】
この例は、図2に示すプロセスによって例示される。貯蔵タンク1からのメタノールを、メタノール予熱器2にポンプ輸送する。そこで、メタノールを蒸発させる。メタノールは、第二改質器からのガス流3(冷却後)と混合し、そしてシフト反応器4に送る。銅、亜鉛、アルミニウム及び/またはクロムを含む触媒が装填された反応器4では、水性ガスシフト反応(反応1)並びにメタノール分解(反応2)が起こる。
【0060】
シフト反応器4からの出口ガスは、慣用のシフト反応器プロセスからの出口ガスよりも、多量の二酸化炭素を含む。表4は、図2に示される三つの異なる位置においてガス流中に存在する各成分の濃度を示す。
【0061】
【表4】

【0062】
表5は、尿素の製造に使用される1500MTPDアンモニアプラントにおいてシフト反応器の上流に100MTPDのメタノールを加えることによって達成された製造データを示す。製造されたアンモニアの量は、尿素の生成の故に減少する。以下に見られるように、尿素の生産は、100MTPDのメタノールを加えることによって191MTPDも増加する。
【0063】
【表5】

【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】図1は、本発明の方法を例示するものである。
【図2】図2は、本発明の方法を例示するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一酸化炭素含有ガスにメタノールを加え、この一酸化炭素含有ガス、メタノール及び水を、銅、亜鉛及びアルミニウム及び/またはクロムを含む触媒の存在下に少なくとも一つのシフト段階において接触させて、二酸化炭素富化流を生じせしめ、上記二酸化炭素富化流を上記の少なくとも一つのシフト段階から尿素反応器に移し、そしてその二酸化炭素をアンモニアと反応させて、尿素を製造することを含む、尿素の製造方法。
【請求項2】
メタノール及び水が蒸気の形である、請求項1の方法。
【請求項3】
メタノール及び水が液体の形である、請求項1の方法。
【請求項4】
少なくとも一つのシフト段階が、中温もしくは高温シフト段階である、請求項1及び2または3の方法。
【請求項5】
中温もしくは高温シフト段階の次に低温シフト段階が続く、請求項4の方法。
【請求項6】
一酸化炭素含有ガスが、炭化水素供給物の改質及び/または部分酸化から得られるものである、請求項1、2、4及び5の方法。
【請求項7】
炭化水素供給物が、改質段階の前に予備改質されている、請求項6の方法。
【請求項8】
未反応メタノールを、シフト段階の流出流から分離し、そして予備改質段階に再循環する、請求項7の方法。
【請求項9】
シフト入口温度が少なくとも280℃であり、そして圧力が0〜10MPa g、好ましくは2〜6MPa gである、請求項4の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−511481(P2007−511481A)
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538796(P2006−538796)
【出願日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【国際出願番号】PCT/EP2004/012792
【国際公開番号】WO2005/049554
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(590000282)ハルドール・トプサー・アクチエゼルスカベット (50)
【Fターム(参考)】