説明

局所パージングシステム

【課題】局所パージングシステムを提供する。
【解決手段】本発明による局所パージングシステムは、パイプ内部を密閉してパージングするパイプ内部の局所パージングシステムであって、互いに連結された一対のシリンダ本体と、一対のシリンダ本体のそれぞれに設けられたエアバッグと、パイプ内部のバックビードをモニタリングするために、一対のシリンダ本体のそれぞれに回動可能に設けられたカメラ部と、カメラ部を回動させるDCモータ部と、DCモータ部に駆動信号を提供する制御部と、を含み、制御部は、作業者の操作によりアナログ信号を生成する入力ユニットと、アナログ信号が入力され、PWM信号を生成するマイクロプロセッサと、上記PWM信号が入力され、上記DCモータ部に提供する駆動信号を生成するドライバ部と、を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイプの内部を局所的にパージングするシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、パイプ溶接時のビードの酸化防止及び溶接品質の確保のために溶接パイプの両端に遮断膜を設ける。溶接しようとするパイプに遮断膜を挿入し、溶接継ぎ手パイプ間の取付作業(Fit−up)を行い、その後、パイプの溶接部位をテーピング作業して密閉し、その後、溶接ビードの酸化防止のためにアルゴン(Ar)等の不活性ガスを注入する。このような作業をパージング作業といい、この作業は溶接パイプにおける内部溶接部位の酸化防止のための重要な作業である。
【0003】
上記のようなパージング作業を行った後に溶接を行い、その後、遮断膜を除去し、作業者がパイプの内部に直接進入して溶接パイプのバックビード状態を肉眼で確認する作業が行われる。上記の遮断膜としては、通常スポンジが使用されており、パージングのためのガス量は、作業者の経験に依存して決定する実情である。
【0004】
以上のように、パージング作業を行うに当たって、一般に遮断膜としてスポンジを使用しているが、パイプの長さの長い船舶のパイプの溶接与件上、スポンジを設置及び除去するのに非常に手間がかかる。
【0005】
また、作業者がスポンジ素材の遮断膜を設けるに当たって、パイプ内部の場所的な制限のために、遮断膜により密閉されるパイプ内部の空間が必要以上に広くなるので、パージングのためのアルゴンガス等の要求量を注入する時間(以下、パージング待機時間という)が非常に長くなり、遮断膜を解体する際に、スポンジが消費される等の資材消費も深刻な問題点となっていた。
【0006】
そして、パージング作業後の溶接が終わった後に、バックビードを肉眼で検査するためにパイプ内部へ作業者が進入する場合、低い酸素濃度のために、作業者の生命に致命的な脅威となる恐れが常に存在するという問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、作業者が所望する適切な速度でモータを駆動させ、望ましくなくバックビード領域を通り過ぎてしまう問題点を解決でき、モータを無理させないので、寿命が短縮される問題点を解決できる局所パージングシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面によれば、パイプ内部を密閉してパージングするパイプ内部の局所パージングシステムであって、互いに連結された一対のシリンダ本体と、上記一対のシリンダ本体のそれぞれに設けられたエアバッグと、上記パイプ内部のバックビードをモニタリングするために、上記一対のシリンダ本体のそれぞれに回動可能に設けられたカメラ部と、上記カメラ部を回動させるDCモータ部と、上記DCモータ部に駆動信号を提供する制御部と、を含み、上記制御部は、作業者の操作によりアナログ信号を生成する入力ユニットと、上記アナログ信号が入力され、PWM信号を生成するマイクロプロセッサと、上記PWM信号が入力され、上記DCモータ部に提供する駆動信号を生成するドライバ部と、を含む局所パージングシステムが提供される。
【0009】
上記一対のシリンダ本体は、連結リンクにより互いに連結されることが可能である。
【0010】
上記連結リンクは、弾性体であってもよい。
【0011】
上記カメラ部は、照明のためのランプをさらに含むことができる。
【0012】
上記DCモータ部による上記カメラ部の正方向及び逆方向の回転を制御する近接センサ部をさらに含むことができる。
【0013】
上記近接センサ部は、上記シリンダ本体の一側に位置固定されるか、または上記カメラ部の回転時に一体に回転可能に形成される近接センサと、上記カメラ部の回転時に一体に回転可能に形成されるか、または上記シリンダ本体の一側に位置固定され、上記カメラ部の回転時に所定の位置で上記近接センサにより感知される感知部と、を含むことができる。
【0014】
上記近接センサ及び感知部は、2つで構成され、上記2つの近接センサは、上記カメラ部の回転方向に並んで配置され、上記上下に配置された2つの近接センサにより感知される2つの感知部は、上記2つの近接センサに対応して上下に配置され、上記パイプ内周面の円周方向に所定の角度だけ離隔して形成されることができる。
【0015】
上記2つの感知部の一つは、上記カメラ部の正方向回転の開始位置及び逆方向回転の停止位置を示し、他の一つは、上記カメラ部の正方向回転の停止位置及び逆方向回転の開始位置を示すことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の好ましい実施例によれば、作業者が所望する適切な速度でモータを駆動させることにより、望ましくなくバックビード領域を通り過ぎてしまう問題点を解決でき、モータを無理させないので寿命が短縮される問題点を解決できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施例に係る局所パージングシステムを示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施例に係る局所パージングシステムの作動モジュールを示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施例に係る局所パージングシステムのカメラ部及びDCモータ部を示す斜視図である。
【図4】図3の近接センサ部を示す斜視図である。
【図5】図4に示された近接センサの配置を示す断面図である。
【図6】本発明の一実施例に係る局所パージングシステムを用いて曲管部を検査する状態を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は多様な変換を加えることができ、様々な実施例を有することができるため、特定の実施例を図面に例示し、詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の実施形態に限定するものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるあらゆる変換、均等物及び代替物を含むものとして理解されるべきである。本発明を説明するに当たって、係る公知技術に対する具体的な説明が本発明の要旨をかえって不明にすると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0019】
以下、本発明に係る局所パージングシステムの好ましい実施例を添付図面に基づいて詳細に説明し、本発明を説明するに当たって、同一のまたは対応する構成要素には同一の符号を付し、これに対する重複説明は省略する。
【0020】
本発明の一実施例に係る局所パージングシステムは、パイプ内部を密閉してパージングするために、互いに連結された一対の作動モジュール100A、100Bを含む。それぞれの作動モジュール100A、100Bは、シリンダ本体110と、これに設けられたエアバッグ122とを含む。また、パイプ内部のバックビードをモニタリングするために、シリンダ本体110にはカメラ部130が回動可能に結合され、カメラ部130を回動させるDCモータ部140がさらに含まれる。
【0021】
一方、本実施例に係る局所パージングシステムは、それぞれの作動モジュールに設けられたカメラ部130の回転により撮影された映像がリアルタイムで表示されるディスプレイ部210と、各作動モジュール100A、100BのDCモータ部140及び近接センサ部(図3の150参照)を制御するための制御部220とを備えた操作盤200を含む。このような構成により、局所パージングシステムは、パイプの外部に設けられた操作盤200を介して作動モジュール100A、100Bの移動、エアバッグの設置及びパージングなどを行うことができる。その他にも、操作盤200には、パイプ内部の局所パージングシステムを作動するための様々な種類の制御装置及び操作スイッチが含まれ得ることは明らかである。このような操作盤200は、パイプの外部に設けられ、作業者により操作される。
【0022】
一方、DCモータ部140に駆動信号を提供する制御部220は、作業者の操作により、アナログ信号を生成する入力ユニット222と、上記アナログ信号が入力され、PWM信号を生成するマイクロプロセッサ224と、上記PWM信号が入力され、上記DCモータ部140に提供する駆動信号を生成するドライバ部226とを含む。
【0023】
作業者がジョイスティックのような入力ユニット222を操作してアナログ信号を生成すると、該アナログ信号は、マイクロプロセッサ224によりデジタル化されてPWM信号に変換される。このように変換されたPWM信号は、さらにドライバ部226に提供され、PWM信号を受けたドライバ部226は、DCモータ部を駆動させるための駆動信号を生成してDCモータ部140に提供する。
【0024】
このように、本実施例によれば、操作盤200において、作業者がジョイスティックのような入力ユニット222を用いて生成したアナログ操作信号がマイクロプロセッサ224によりデジタル化された後にドライバ部226を介してDCモータ部140に提供されるので、作業者が所望する適切な速度でDCモータを駆動させることができ、これにより、望ましくなくバックビード領域を通り過ぎてしまう問題点を解決することができる。また、DCモータが最大速度にだけ駆動される問題を解決できるので、DCモータの動作に無理させなく、寿命が短縮される問題点も解決できるようになる。
【0025】
図2は、このような一対の作動モジュールのうちのいずれかの作動モジュール100Aの構成を示すものである。図2を参照すると、本発明の一実施例に係る局所パージングシステムの作動モジュール100Aは、作動モジュール100Aの中心に位置したシリンダ本体110と、上記シリンダ本体110に連結された複数の脚部112と、上記シリンダ本体110の一側に結合され、パイプの内部面側に拡張されるためのエアバッグ拡張部120とを含んで形成される。
【0026】
シリンダ本体110には、脚部112を作動するためのシリンダ(図示せず)が設けられ、その内部にパイプ内部のパージングのための気体を供給することができる導管(図示せず)などが設けられている。
【0027】
シリンダ本体110を移動するための手段として、複数の脚部112及び上記脚部112に設けられたガイドローラ部114が提供される。
【0028】
複数の脚部112のそれぞれは、シリンダ本体110に対して放射状に拡張可能に形成される。このとき、パイプ内部の局所パージングシステムのシリンダ本体110に設けられた複数の脚部112は、それぞれの脚部に連結された複数のシリンダにより個別的に拡張及び伸縮可能で形成されてもよく、または複数の脚部112が連結されている一つのシリンダにより、同時にパイプの内部面側に拡張及び伸縮可能に形成されてもよい。
【0029】
上記脚部112の一端部側には、ガイドローラ部114が形成される。
【0030】
ガイドローラ部114は、シリンダ本体110の走行を可能にするために、脚部の端部側に設けられたホイール114aと、上記ホイール114aを駆動させるための駆動モータ114bとを含む。
ホイール114aは、複数、例えば2つのホイールが走行方向に並んで配列されるように形成されてもよく、このような複数のホイール114aは、ホイールのカバーにより保護される。
【0031】
図2を参照すると、脚部112に装着されるガイドローラ部114に設けられたホイール114aの駆動モータ114bは、ホイールカバー114cに装着され、駆動プーリを介してホイールを駆動させるように作動し、このとき、駆動モータ114bの回転は、図示されていない制御手段により、回転が制御されるように形成されることが可能である。
【0032】
一方、図2に示すように、シリンダ本体110の左側にはエアバッグ拡張部120が設けられる。エアバッグ拡張部120は、シリンダ本体110に連結されたエアバッグ支持部124と、上記エアバッグ支持部124の周りに固定されたエアバッグブラケット126と、上記エアバッグブラケット126に設けられたエアバッグ122とで構成される。
【0033】
エアバッグ122は、図示されていないエア注入口を介して空気が注入されたり、排出されたりすることができるように形成される。
【0034】
本実施例に係るパイプ内部の局所パージングシステムは、移動時にはエアバッグ122に空気が注入されていない状態を維持し、パイプ内部における密閉が必要な位置でエアバッグ122に空気が注入されるように形成される。
【0035】
作動モジュール100Aは、シリンダ本体110がパイプ内部の中心に位置した状態でエアバッグ122が拡張すると、エアバッグ122は傾くことなく均一な状態で円形を維持しながら、外周面全体がパイプの内部面に接するように拡張される。これにより、パイプ内部の局所パージングシステムのエアバッグ122によるパイプ内部の気密な密閉が達成される。
【0036】
一方、図2に示すように、シリンダ本体110の右側端には、リンク固定部162が形成され、上記リンク固定部162の端部には連結リンク160が固定される。連結リンク160の他側は、他の一つの作動モジュールに位置したリンク固定部に結合される。
【0037】
本発明の一実施例に係るパイプ内部の局所パージングシステムの一対の作動モジュール100A、100Bは、それぞれが駆動モータ114bによるホイール114aの回転に応じて個別に移動できるように形成される。このとき、スプリングのような弾性体からなる連結リンク160を用いると、作動モジュール間の距離が変わっても二つの作動モジュール間の連結状態を維持することができる。しかし、このような連結リンク160としては、スプリング以外にも様々な連結手段、例えば、ワイヤなどを用いることが可能である。
【0038】
一方、図2に示すように、パイプ内部の局所パージングシステムのシリンダ本体110の右側部には、バックビードを検査するためのカメラ部130が設けられる。以下に、カメラ部130について異なる図面を参照して、より詳細に説明する。図3には、カメラ部130及びDCモータ部140が示されている。
【0039】
図3を参照すると、カメラ部130は、シリンダ本体110に設けられた回転本体155の外部側壁155−3に設けられたカメラハウジング134を含み、上記カメラハウジング134の内部にはカメラモジュール132及びLED照明等のランプ136が設けられる。
【0040】
回転本体155は、シリンダ本体110を中心にパイプの内周面に沿って回転し、カメラ部130を回転させることになる。カメラ部130及び回転本体155は、回転本体の内側に設けられたDCモータ部140により回転する。
【0041】
カメラモジュール132は、カメラ部130の回転時のパイプ内部面を撮影し、撮影された映像をディスプレイ部へ(図1の210参照)伝送するように形成される。このとき、パイプ内部が暗くて十分な映像が得られない場合は、パイプ内部を照らすために、LED照明等のランプ136が使用される。
【0042】
上記カメラハウジング134は、後述する駆動モータ142により回転する回転本体155とともに回転するように一体に形成されることが可能である。
【0043】
上記回転本体155の内部側には、回転本体155を回転させるためにDCモータ部140が設けられる。DCモータ部140は、駆動モータ142及び動力伝達のための各種ギアを含む。駆動モータ142の回転軸上にはギア144が設けられており、上記ギア144は、回転本体155に設けられたリングギア146とかみ合うことにより、回転本体155に駆動モータ142の回転力を伝達するように形成される。
【0044】
駆動モータ142が駆動されることにより、カメラ部130は、正回転及びその反対方向への逆回転をするように形成される。このような正回転及び逆回転を制御するために、回転本体の底面には近接センサ部150が設けられる。
【0045】
図4は、近接センサ部150が回転本体155の底面155−1に設けられた状態を示す斜視図であり、図5は、近接センサ部150の側面図である。
【0046】
図4及び図5を参照すると、近接センサ部150は、近接センサ151、152及び上記近接センサ151、152により感知可能な感知部153、154を含む。以下に、説明の便宜上、図に示すように、上側に位置した近接センサを第1近接センサ151と規定し、下側に位置した近接センサを第2近接センサ152と規定して説明する。
【0047】
近接センサ151、152及びこれに対応する感知部153、154は、それぞれ2つが互いに対応するように形成される。
【0048】
図4及び図5から分かるように、2つの近接センサ151、152は、回転本体155の回転方向に並んで配置される。第1及び第2近接センサ151、152は、回転本体155の回転する内側面155−2に隣接した位置に位置固定されるように形成される。
【0049】
一方、上記第1及び第2近接センサ151、152に対応する高さの内側面155−2に、2つの近接センサ151、152に対応する第1及び第2感知部153、154が形成される。このとき、感知部153、154は、回転本体155の内側面に設けられているので、回転本体が回転することにより360度回転可能になる。
【0050】
第1及び第2感知部153、154は、上記第1及び第2感知部153、154が回転本体155に従って360度回転する間に、上記第1及び第2近接センサ151、152をそれぞれ1回感知できるように形成される。
【0051】
図4を参照すると、上記の上下配置された2つの近接センサ151、152に感知される第1及び第2感知部153、154は、上記2つの近接センサ151、152に対応して並んで配置され、円周方向に所定の角度だけ離隔するように形成される。このとき、上記第1及び第2感知部153、154の離隔角度は、5〜10度であることが好ましい。
【0052】
このとき、上記第1及び第2感知部153、154のうちの一つは上記カメラ部130の正方向回転の開始位置及び逆方向回転の停止位置を示し、他の一つの感知部は上記カメラ部の逆方向回転の停止位置または逆方向回転の開始位置を示す。
【0053】
本実施例において、カメラ部130が設けられた回転本体155の回転は、第1近接センサ151が第1感知部153を感知する位置から正回転をし、第2近接センサ152が第2感知部154を感知する位置で正回転が終了するように形成されてもよく、または第2近接センサ152が第2感知部154を感知する位置から逆回転をし、第1近接センサ151が第1感知部153を感知する位置で終了するように形成されてもよい。
【0054】
このとき、上述したように、第1及び第2感知部153、154の隔離距離が、5〜10度だけ離隔していても、カメラモジュールが1回に撮影できる視野角が5〜10度以上になるので、カメラモジュールが第1感知部から回転し、第2感知部で回転を終了してもパイプ内部の360度領域の全体を撮影することができる。
【0055】
本発明の一実施例によれば、このように、一対の作動モジュール100A、100Bにそれぞれ設けられたカメラ部130は、同じ開始位置から、一対の作動モジュール100A、100Bに設けられたカメラ部130が同時に回転を開始するように形成される。
【0056】
このとき、二つの互いに異なる作動モジュールに設けられたカメラ部の回転速度は理想的には同様であるが、作動状態の差により、例えば、それぞれのモジュールのギア間の摩擦力、潤滑状態及びモータの回転速度の差などにより互いに異なる回転速度を有することができる。
【0057】
このように、カメラ部130の回転速度が互いに異なる場合、一対の作動モジュール100A、100Bに設けられたカメラ部130が同じ位置、例えば、第1感知部153から正回転を開始したとしても、終了地点、つまり、それぞれの作動モジュールにおいて第2感知部154に到逹する時間は互いに異なり得る。
【0058】
このとき、仮に一対の作動モジュール100A、100Bにおいて、回転する回転本体の回転動作がそれぞれのカメラ部の回転動作に互いに拘束されると、つまり、第1作動モジュール100Aにおいて回転するカメラ部130が回転を停止した場合、第2作動モジュール100Bにおいて回転するカメラ部が回転を停止するように形成されると、一つの作動モジュールのカメラ部が、第1感知部153から第2感知部154までの回転を完了し、360度の検査を行う間に、他の一つの作動モジュールのカメラ部は、第1感知部153から第2感知部154までの回転を完了できずに回転を終了することになり、他の一つの作動モジュールにおいては、パイプ内部面の360度全体を検査することができない場合が生じ得る。
【0059】
したがって、本発明では、このような問題点が生じないように、パイプ内部の局所パージングシステムにおける一対の作動モジュールのそれぞれのカメラ部が動作する間に、それぞれの作動モジュールに設けられたカメラ部の回転速度に関係なく、一対の作動モジュールに設けられたカメラ部のそれぞれが、それぞれの作動モジュールにおいて正方向に、またはその逆方向に第1感知部から第2感知部まで完全に移動できるようにした。このように、カメラ部が第1感知部から第2感知部まで完全に移動すると、それぞれのカメラ部は、当該位置のパイプ内面ビードを360度全体にわたって検査することができる。
【0060】
一方、船舶などに設置されるパイプの曲げ部は、互いに垂直した二つのパイプの端部に、90度曲がった形状のパイプを溶接により結合させる作業により形成されるが、このような形状の曲げ部の場合、曲がった形状のパイプの両端部の溶接部位に対する状態点検が必要となる。このように、曲がった部分の溶接部位を検査する場合には、本発明の一実施例に係るパイプパージング装置を用いることが可能である。曲がった位置に設けられたパイプ内部の局所パージングシステムの概略図が図6に示されている。
【0061】
図6を参照すると、曲がったパイプPの溶接部位Wa、Wbを検査するために、本発明の一実施例に係るパイプ内部の局所パージングシステムは、曲がった溶接部位Wa、Wbに作動モジュールのカメラ部130が位置した状態で、パイプ内部の曲がったパイプPの溶接部位の外側位置でエアバッグが膨脹し、曲がったパイプ内部の全体を密閉して、パージングが行われるようにする。
【0062】
このとき、本発明の一実施例に係るパイプパージング装置は、一対の作動モジュール100A、100Bが個別に移動可能に形成され、またスプリングのような弾性材質の連結リンクにより、互いの距離が遠くなった状態を維持することができ、曲がったパイプの曲律半径に関係なく、パージングに適した位置を確保して設けることができる。
【0063】
以上では、本発明の好ましい実施例を参照して説明したが、当該技術分野で通常の知識を有する者であれば、下記の特許請求の範囲に記載した本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正及び変更させることができることを理解できよう。
【0064】
上述した実施例以外の多くの実施例が本発明の特許請求範囲内に存在する。
【符号の説明】
【0065】
100A、100B 作動モジュール
110 シリンダ本体
122 エアバッグ
130 カメラ部
140 DCモータ部
200 操作盤
210 ディスプレイ部
220 制御部
222 入力ユニット
224 マイクロプロセッサ
226 ドライバ部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプ内部を密閉してパージングするパイプ内部の局所パージングシステムであって、
互いに連結された一対のシリンダ本体と、
前記一対のシリンダ本体のそれぞれに設けられたエアバッグと、
前記パイプ内部のバックビードをモニタリングするために、前記一対のシリンダ本体のそれぞれに回動可能設けられたカメラ部と、
前記カメラ部を回動させるDCモータ部と、
前記DCモータ部に駆動信号を提供する制御部と、を含み、
前記制御部は、
作業者の操作によりアナログ信号を生成する入力ユニットと、
前記アナログ信号が入力され、PWM信号を生成するマイクロプロセッサと、
前記PWM信号が入力され、前記DCモータ部に提供する駆動信号を生成するドライバ部と、
を含む局所パージングシステム。
【請求項2】
前記一対のシリンダ本体は、連結リンクにより互いに連結されることを特徴とする請求項1に記載の局所パージングシステム。
【請求項3】
前記連結リンクは、弾性体であることを特徴とする請求項2に記載の局所パージングシステム。
【請求項4】
前記カメラ部は、照明のためのランプをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の局所パージングシステム。
【請求項5】
前記DCモータ部による前記カメラ部の正方向及び逆方向の回転を制御する近接センサ部をさらに含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の局所パージングシステム。
【請求項6】
前記近接センサ部は、
前記シリンダ本体の一側に位置固定されるか、または前記カメラ部の回転時に一体に回転可能に形成される近接センサと、
前記カメラ部の回転時に一体に回転可能に形成されるか、または前記シリンダ本体の一側に位置固定されて、前記カメラ部の回転時に所定の位置で前記近接センサにより感知される感知部と、を含むことを特徴とする請求項5に記載の局所パージングシステム。
【請求項7】
前記近接センサ及び感知部は、2つで構成され、
前記2つの近接センサは、前記カメラ部の回転方向に並んで配置され、
前記上下に配置された2つの近接センサに感知される2つの感知部は、前記2つの近接センサに対応して上下に配置され、前記パイプ内周面の円周方向に所定の角度だけ離隔するように形成されることを特徴とする請求項6に記載の局所パージングシステム。
【請求項8】
前記2つの感知部のうちの一つは、前記カメラ部の正方向回転の開始位置及び逆方向回転の停止位置を示し、他の一つは前記カメラ部の正方向回転の停止位置及び逆方向回転の開始位置を示すことを特徴とする請求項7に記載の局所パージングシステム。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図1】
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【公表番号】特表2013−504438(P2013−504438A)
【公表日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−529657(P2012−529657)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【国際出願番号】PCT/KR2010/005877
【国際公開番号】WO2011/034298
【国際公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(511020737)サムスン ヘビー インダストリーズ カンパニー リミテッド (4)
【Fターム(参考)】