説明

局所的な複屈折情報を抽出可能な偏光感受光画像計測装置

【課題】試料の深さ方向の局所的な複屈折情報の取得において、スペックル雑音等に起因する測定雑音による影響を抑制し、高コントラストに局所偏光特性を計測し、可視化する。
【解決手段】偏光感受光画像計測装置1の参照アーム6からの参照光と試料アーム7からの物体光が重畳された干渉光を、回折格子19で分光し、光検出器22、23は、回折格子19で分光されたスペクトル干渉成分を測定し、試料の深さ方向に累積した複屈折情報からなる断層像を示す画像情報として取得し、その画像情報を画像処理装置に入力させ、画像処理装置において、画像情報から、深さ方向に離れた2カ所間の領域の局所的な複屈折情報を抽出して、該複屈折情報を可視化することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光コヒーレンストモグラフィー(OCT:Optical coherence tomography)に関し、特に、局所的な複屈折(偏光)情報を抽出可能な偏光感受光画像計測装置に関する。
【0002】
即ち、偏光を入射光として用い、試料(被検物体)のもつ複屈折による偏光依存性を試料の偏光情報として捉え、試料のより微細な構造を計測可能とする偏光感受型光コヒーレンストモグラフィー装置(PS−OCT。「偏光感受光画像計測装置」、あるいは「偏光感受型光干渉断層計」ともいう。)において、上記偏光情報から局所的な偏光情報を抽出することを特徴とする偏光感受光画像計測装置(局所複屈折トモグラフィー)に関する。
【背景技術】
【0003】
従来、物体の内部情報、つまり屈折率分布の微分構造を非破壊、高分解能で捉えるために、OCTを用いることが行われている。
【0004】
医療分野等で用いられる非破壊断層計測技術の1つとして、光断層画像化法「光コヒーレンストモグラフィー」(OCT)がある(特許文献1参照)。OCTは、光を計測プローブとして用いるため、被計測物体の屈折率分布、分光情報、偏光情報(複屈折率分布)等が計測できるという利点がある。
【0005】
基本的なOCT43は、マイケルソン干渉計を基本としており、その原理を図4で説明する。光源44から射出された光は、コリメートレンズ45で平行化された後に、ビームスプリッター46により参照光と物体光に分割される。物体光は、物体アーム内の対物レンズ47によって被計測物体48に集光され、そこで散乱・反射された後に再び対物レンズ47、ビームスプリッター46に戻る。
【0006】
一方、参照光は参照アーム内の対物レンズ49を通過した後に参照鏡50によって反射され、再び対物レンズ49を通してビームスプリッター46に戻る。このようにビームスプリッター46に戻った物体光と参照光は、物体光とともに集光レンズ51に入射し光検出器52(フォトダイオード等)に集光される。
【0007】
OCTの光源44は、時間的に低コヒーレンスな光(異なった時刻に光源から出た光同士は極めて干渉しにくい光)の光源を利用する。時間的低コヒーレンス光を光源としたマイケルソン型の干渉計では、参照アームと物体アームの距離がほぼ等しいときにのみ干渉信号が現れる。この結果、参照アームと物体アームの光路長差(τ)を変化させながら、光検出器52で干渉信号の強度を計測すると、光路長差に対する干渉信号(インターフェログラム)が得られる。
【0008】
そのインターフェログラムの形状が、被計測物体48の奥行き方向の反射率分布を示しており、1次元の軸方向走査により被計測物体48の奥行き方向の構造を得ることができる。このように、OCT43では、光路長走査により、被計測物体48の奥行き方向の構造を計測できる。
【0009】
このような軸方向の走査のほかに、横方向の機械的走査を加え、2次元の走査を行うことで被計測物体の2次元断面画像が得られる。この横方向の走査を行う走査装置としては、被計測物体を直接移動させる構成、物体は固定したままで対物レンズをシフトさせる構成、被計測物体も対物レンズも固定したままで、対物レンズの瞳面付近においたガルバノミラーの角度を回転させる構成等が用いられている。
【0010】
以上の基本的なOCTが発展したものとして、光源の波長を走査してスペクトル干渉信号を得る波長走査型OCT(Swept Source OCT、略して「SS−OCT」という。)と、分光器を用いてスペクトル信号を得るスペクトルドメインOCT(フーリエドメインOCT(Fourier Domain OCT、略して「FD−OCT」という。特許文献2参照)ともいう)があり、それらに偏光感受機能を付与した偏光感受型OCT(Polarization-Sensitive OCT、略して「PS−OCT」という。特許文献3参照)がある。
【0011】
波長走査型OCTは、高速波長スキャニングレーザーにより光源の波長を変え、スペクトル信号と同期取得された光源走査信号を用いて干渉信号を最配列し、信号処理を加えることで3次元光断層画像を得るものである。なお、光源の波長を変える手段として、モノクロメーターを利用したものでも、波長走査型OCTとして利用可能である。この波長走査型OCTは、Aスキャン(奥行き方向の走査)を行う必要がなく、Bスキャン(試料の奥行方向に垂直な平面上の一方向、例えばx軸方向の走査)を行うことで被計測物体の断面構造を計測可能である。
【0012】
フーリエドメインOCTは、広帯域光源を使用し、被計測物体からの反射光の波長スペクトルを、スペクトロメーター(スペクトル分光器)で取得し、このスペクトル強度分布に対してフーリエ変換することで、実空間(OCT信号空間)上での信号を取り出すことを特徴とするものであり、このフーリエドメインOCTは、Aスキャン(奥行き方向の走査)を行う必要がなく、Bスキャン(試料の奥行方向に垂直な平面上の一方向、例えばx軸方向の走査)を行うことで被計測物体の断面構造を計測可能である。
【0013】
偏光感受型OCTは、波長走査型OCTおよびフーリエドメインOCTと同様に、広帯域光源を使用し、被計測物体からの反射光の波長スペクトルを光源波長走査あるいはスペクトル分光器で取得するものであるが、入射光及び参照光をそれぞれ1/2波長板、1/4波長板等を通して水平直線偏光、垂直直線偏光、45°直線偏光、円偏光として、被計測物体からの反射光と参照光を重ねて1/2波長板、1/4波長板等を通して、例えば水平偏光成分だけをスペクトル分光器に入射させて干渉させ、物体光の特定偏光状態をもつ成分だけを取り出してフーリエ変換するものである。この偏光感受型OCTも、奥行き方向の走査を行う必要がない。
【0014】
ドップラーOCTは、スペクトル干渉情報のフーリエ変換によって得られる位相の変化量がドップラー信号として被検体の移動速度に対応することを利用し、血流などの速度を求める方法であり、波長走査型OCT、フーリエドメインOCTなどに摘要することができる(非特許文献1参照)。
【0015】
以上、従来のOCTの概略を説明したが、物体の屈折率分布の微分構造は、非破壊、高分解能で捉えることはできるものの、物体そのものが本来持っている偏光依存性を十分捉えることはできない。
【0016】
特に、OCTを生体計測へ応用することを考える場合、繊維状の構造(繊維の伸長方向等)や歯のエナメル質の相違に起因する複屈折による偏光依存性を持つ生物試料の、当該偏光情報の測定においては、解像度の低下とともに、構造を捉えられないなどの問題が生じてしまう。
【0017】
この問題を解決するために、すでに、OCTのような低コヒーレンス干渉計で、ある特定部分からの散乱光成分とある偏光状態の参照光とを干渉させて、その干渉成分には偏光特性が強く反映され、その結果、奥行き方向の断面のある特定部分の偏光情報を捉える偏光感受光画像計測装置が提案されている(特許文献3参照)。
【0018】
ところで、従来提案されている偏光感受光画像計測装置では、偏光情報を取得するためには、異なった偏光状態毎にそれぞれ断層画像を計測し、複数枚の断層画像を入手しなければならないという問題があったが、本発明者らは、計測に用いる入射ビーム光の偏光状態を、EO変調器(偏光変調器、電気光学変調器)を用いて連続的に変調し、1回のBスキャン(試料の奥行方向に垂直な平面上の一方向、例えばx軸方向のスキャン)によって、試料の偏光情報(試料の複屈折(分布)による偏光依存性)を計測する偏光感受光画像計測装置を提案している(特許文献4参照)。
【0019】
【特許文献1】特開2002−310897号公報
【特許文献2】特開平11−325849号公報
【特許文献3】特開2004−028970号公報
【特許文献4】特開2007−298461号公報
【非特許文献1】B. R. White他, Optics Express, 11巻25号(2003年)3490頁
【非特許文献2】M. Todorovi'c, S. Jiao, L. V. Wang, and G. Stoica. Opt. Lett., 29(25), 2402−2404 (2004)
【非特許文献3】N. Kemp, H. Zaatari, J. Park, H. G. R. III, and T. Milner. Opt. Express, 13(12), 4507−4518 (2005)
【非特許文献4】S. Makita, Y. Yasuno, T. Endo, M. Itoh, and T. Yatagai. Appl. Opt., 45(6), 1142−1147 (2006)
【非特許文献5】S. Guo, J. Zhang, L. Wang, J. S. Nelson, and Z. Chen. Opt. Lett., 29(17), 2025−2027 (2004)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
従来の偏光感受光画像計測装置(PS−OCT)では、特定の深さまでの累積した複屈折(偏光)情報が断層像として得られる。つまり、試料の複屈折情報を光計測する場合、偏光特性として可視化された情報は、光が通過して得られる部分の情報が累積されたものとなり、偏光画像情報は、当該局所より上部(当該局所より試料の入射表面側の部分)の影響を受けていて、表示されている箇所(局所)そのものの偏光情報ではない。
【0021】
この問題を解決するために、ジョーンズマトリックスを用いた局所複屈折(local birefringence)と光学軸方向の差分(differential optical axis orientation)の計算アルゴリズムを用いて、深さ方向の局所偏光情報を得るために、表面から1画素ごとに補正していく補正手段(非特許文献2〜4参照)、あるいは、2つの連続した画素で補正していく補正手段が知られている(非特許文献1参照)。
【0022】
しかしながら、上記従来補正手段はいずれも、互いに隣接又は近接した画素間の偏光情報の信号強度の差(微分値等)を取得して補正する手段であるから、信号強度が低い箇所、あるいは信号強度差が微差では、スペックル雑音等に影響され、また測定誤差と区別できず、実用的な画像を得ることができないという問題がある。
【0023】
本発明は、試料の深さ方向の局所的な複屈折(偏光)情報の取得において、スペックル雑音等に起因する測定雑音による影響を抑制し、高コントラストに局所偏光特性を計測することを目的とするものであり、この断層情報を高精度に解析し、上記断層情報から試料の局所的(ローカル)な複屈折情報を抽出し、可視化しようとするものである。
【0024】
即ち、本発明は、上記従来の補正手段のように、互いに隣接又は近接した画素間の複屈折情報の信号強度の差(微分値等)を取得して補正するのではなく、所定の領域(例えば、試料の深さ方向に100μm幅のエリア)の局所偏光場を計測することにより、具体的には、深さ方向にある程度離れた画素の2つの累積されたジョーンズマトリックスを用いることで計算される位相遅延量を増大させ、高コントラストで深さ方向の局所的な複屈折(偏光)情報の取得する画像処理手段を備えた局所複屈折トモグラフィーを実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明は上記課題を解決するために、光源、偏光手段、カプラー、参照アーム、試料アーム、分光器及び画像処理装置を備え、偏光手段で偏光されたビームで試料をスキャンして、試料の深さ方向に累積した複屈折情報からなる断層像を示す画像情報を取得する偏光感受光画像計測装置であって、前記画像処理装置は、前記画像情報から、深さ方向に離れた2カ所間の領域の累積した複屈折情報を抽出して、該深さの局所的な複屈折情報を可視化することを特徴とする偏光感受光画像計測装置を提供する。
【0026】
本発明は上記課題を解決するために、光源、偏光手段、カプラー、参照アーム、試料アーム、分光器及び画像処理装置を備えた偏光感受光画像計測装置であって、前記試料アームは、前記偏光手段で偏光されたビームで試料の深さ方向に直交する方向にスキャンし、前記分光器は、回折格子と光検出器を備えており、前記回折格子は、前記参照アームからの参照光と前記試料アームからの物体光が重畳された干渉光を分光し、前記光検出器は、前記回折格子で分光されたスペクトル干渉成分を測定し、試料の深さ方向に累積した複屈折情報からなる断層像を示す画像情報として取得し、該画像情報を画像処理装置に入力させ、前記画像処理装置において、前記画像情報から、深さ方向に離れた2カ所間の領域の累積的な複屈折情報を抽出して、該深さの局所的な複屈折情報を可視化することを特徴とする偏光感受光画像計測装置を提供する。
【0027】
本発明は上記課題を解決するために、光源、偏光子、EO変調器、カプラー、参照アーム、試料アーム及び分光器を備えた偏光感受光画像計測装置であって、前記偏光子は、前記光源からのビームを直線偏光し、前記EO変調器は、前記直線偏光されたビームの偏光状態を試料の深さ方向に直交する一方向のスキャンと同時に連続的に変調し、前記試料アームは、前記連続的に変調したビームをガルバノ鏡で前記試料の前記一方向のスキャンを行い、前記分光器は、回折格子と光検出器を備えており、前記回折格子は、前記参照アームからの参照光と前記試料アームからの物体光が重畳された干渉光を分光し、前記光検出器は、前記回折格子で分光されたスペクトル干渉成分を測定し、試料の深さ方向に累積した複屈折情報からなる断層像を示す画像情報として取得し、該画像情報を画像処理装置に入力させ、画像処理装置において、前記画像情報から、深さ方向に離れた2カ所間の領域の累積的な複屈折情報を抽出して、該深さの局所的な複屈折情報を可視化することを特徴とする偏光感受光画像計測装置を提供する。
【0028】
前記複屈折情報は、位相遅延量差及び複屈折の光学軸方向の変化量であることが好ましい。
【0029】
前記深さ方向に離れた2カ所間の領域は、試料の深さ方向に複数の画素に分けた場合に、少なくとも1画素をおいた間隔を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係る局所偏光感受光画像計測装置(局所複屈折トモグラフィー)によれば、次のような効果が生じる。
(1)試料の断層情報から、所定の領域(例えば、試料の深さ方向に100μm幅のエリア)の局所偏光場を計測する画像処理手段、即ち、深さ方向にある程度離れた画素の2つの累積されたジョーンズマトリックスを用いることで計算される局所位相遅延量を増大させ、高コントラストの深さ方向の局所偏光情報(局所的な複屈折情報)を抽出する画像処理手段を備えた局所複屈折トモグラフィーを実現することができる。
【0031】
(2)深さ方向の局所偏光情報の抽出において、スペックル雑音等に起因する測定雑音による影響を抑制して高コントラストに局所偏光特性を計測することでき可視化可能であり、試料の断層情報を高精度に解析することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明に係る偏光感受光画像計測装置(複屈折トモグラフィー)を実施するための最良の形態を実施例に基づいて図面を参照して説明する。
【実施例】
【0033】
(全体構成)
本発明に係る偏光感受光画像計測装置は、計測光として偏光を利用したコヒーレンストモグラフィー装置を前提とするものであり、ここでは、本発明の光感受光画像計測装置は、「背景技術」の項で説明した偏光感受光画像計測装置(参考文献4)と同様の構成に適用したもので説明する。よって、まず、本発明の偏光感受光画像計測装置(複屈折トモグラフィー)の前提となる偏光感受光画像計測装置の全体構成について説明する。
【0034】
本発明に係る偏光感受光画像計測装置は、Bスキャンと同時に(同期して)光源からの偏光ビーム(偏光子により直線的に偏光されたビーム)をEO変調器(偏光変調器、電気光学変調器)によって連続的に変調し、この連続的に偏光を変調した偏光ビームを分けて、一方を入射ビームとして走査して試料に照射し、その反射光(物体光)を得ると共に、他方を参照光として、両者のスペクトル干渉によりOCT計測を行うものである。
【0035】
そして、このスペクトル干渉成分のうち、垂直偏光成分(H)と水平偏光成分(V)を同時に2つの光検出器で測定することにより、試料の偏光特性を表すジョーンズベクトルを得る(H画像とV画像)構成を特徴とするものである。
【0036】
図1は、本発明の複屈折トモグラフィーの前提となる偏光感受光画像計測装置の光学系の全体構成を示す図である。図1に示す偏光感受光画像計測装置1は、光源2、偏光子3、EO変調器4、ファイバーカプラー(光カプラー)5、参照アーム6、試料アーム7、分光器8等の光学要素を備えている。この偏光感受光画像計測装置1の光学系は、光学要素が互いにファイバー9で結合されているが、ファイバーで結合されていないタイプの構造(フリースペース型)であってもよい。
【0037】
光源2は、広帯域スペクトルを有するスーパールミネッセントダイオード(SLD:Super Luminescent Diode)を使用する。なお、光源2は、パルスレーザでもよい。光源2には、コリメートレンズ11、光源2からの光を直線偏光にする偏光子3、進相軸を45°の方向にセットされたEO変調器(偏光変調器、電気光学変調器)4、集光レンズ13及びファイバーカプラー5が、順次、接続されている。
【0038】
EO変調器4は、進相軸を45°の方向に固定して、該EO変調器4にかける電圧を正弦的に変調することで、進相軸とそれに直交する遅相軸との間の位相差(リタデーション)を連続的に変えるもので、これにより、光源2から出て偏光子3で(縦)直線偏光となった光がEO変調器4に入射すると、上記変調の周期で、直線偏光→楕円偏光→直線偏光………などのように変調される。EO変調器4は、市販されているEO変調器を使用すればよい。
【0039】
ファイバーカプラー5には分岐するファイバー9を介して、参照アーム6と試料アーム7が接続されている。参照アーム6には、偏波コントローラ(polarization controller)10、コリメートレンズ11、偏光子12、集光レンズ13及び参照鏡(固定鏡)14が、順次、設けられている。参照アーム6の偏光子12は、上記のとおり偏光状態を変調しても参照アーム6から戻ってくる光の強度が変化しないような方向を選択するために用いている。この偏光子12の方向(直線偏光の偏光方向)の調整は偏波コントローラ10とセットで行う。
【0040】
試料アーム7では、偏波コントローラ15、コリメートレンズ11、固定鏡24、ガルバノ鏡16、集光レンズ13が、順次、設けられ、ファイバーカプラー5からの入射ビームが2軸のガルバノ鏡16により走査されて試料17に照射される。試料17からの反射光は物体光として再びファイバーカプラー5に戻り、参照光と重畳されて干渉ビームとして分光器8に送られる。
【0041】
分光器8は、順次接続される偏波コントローラ18、コリメートレンズ11、(偏光感受型体積位相ホログラフィック)回折格子19、フーリエ変換レンズ20、偏光ビームスプリッター21及び2つの光検出器22、23を備えている。この実施例では、光検出器22、23として、ラインCCDカメラ(1次元CCDカメラ)を利用する。ファイバーカプラー5から送られてくる干渉ビームは、コリメートレンズ11でコリメートされ、回折格子19によって干渉スペクトルに分光される。
【0042】
回折格子19で分光された干渉スペクトルビームは、フーリエ変換レンズ20でフーリエ変換され偏光ビームスプリッター21で水平及び垂直成分に分けられ、それぞれ2つラインCCDカメラ(光検出器)22、23で検出される。この2つラインCCDカメラ22、23は、水平および垂直偏光信号両方の位相情報を検知するために使われるので、2つのラインCCDカメラ22、23は同一の分光器の形成に寄与するものでなくてはならない。
【0043】
なお、光源2、参照アーム6、試料アーム7及び分光器8には、それぞれ偏波コントローラ10、15、18が設けられているが、これらは、光源2から参照アーム6、試料アーム7、分光器8に送られるそれぞれのビームの初期偏光状態を調整して、EO変調器4で連続的に変調された偏光状態が、参照光と物体光においても互いに一定の振幅と一定の相対偏光状態の関係が維持され、さらにファイバーカプラー5に接続された分光器8において一定の振幅と一定の相対偏光状態を保たれるようにコントロールする。
【0044】
また、2つラインCCDカメラ22、23を含む分光器8を校正するときはEO変調器4は止める。参照光をブロックし、スライドガラスと反射鏡を試料アーム7におく。この配置は水平および垂直偏光成分のピークの位置が同じであることを保証する。そして、スライドガラスの後ろの面と反射鏡からのOCT信号は2つの分光器8で検知される。OCT信号のピークの位相差はモニターされる。
【0045】
この位相差はすべての光軸方向の深さでゼロであるべきである。次に、信号は2つラインCCDカメラ22、23を含む分光器8で複素スペクトルを得るために、ウィンドウされ逆フーリエ変換される。この位相差はすべての周波数でゼロであるべきなので、これらの値をモニターすることによって2つラインCCDカメラ22、23の物理的な位置は位相差が最小になるようにアライメントされる。
【0046】
上記偏光感受光画像計測装置では、次のように複屈折(偏光)情報を取得できる。光源2からの光を直線偏光し、この直線偏光されたビームをEO変調器4により連続的に偏光状態の変調を行う。即ち、EO変調器4は、進相軸を45°の方向に固定して、該EO変調器4にかける電圧を正弦的に変調することで、進相軸とそれに直交する遅相軸との間の位相差(偏光角:リタデーション)を連続的に変えるもので、これにより、光源2から出て直線偏光子で(縦)直線偏光となった光がEO変調器4に入射すると、上記変調の周期で、直線偏光→楕円偏光→直線偏光………などのように変調される。
【0047】
そして、直線偏光された偏光ビームをEO変調器4により連続的に偏光状態の変調を行うと同時に、Bスキャンを同期して行う。即ち、1回のBスキャンの間に、EO変調器4による偏光の連続的な変調を複数周期行う。ここで、1周期とは、偏光角(リターデーション)φが0〜2πと変化する期間である。要するに、この1周期の間に、偏光子からの光の偏光が、直線偏光(垂直偏光)→楕円偏光→直線偏光(水平偏光)………などのように連続的に変調する。
【0048】
このように偏光ビームの偏光を連続的に変調しながら、試料アーム7では、入射ビームをガルバノ鏡16により試料17に走査してBスキャンを行い、分光器8において、その反射光である物体光と参照光の干渉スペクトルについて、その水平偏光成分および垂直偏光成分を2つのラインCCDカメラ22、23で検出する。これにより、1回のBスキャンによって、それぞれ水平偏光成分及び垂直偏光成分に対応する2枚のA−Bスキャン画像が得られる。
【0049】
上記のとおり、1回のBスキャンの間に、偏光ビームの偏光の連続的な変調を複数周期行うが、各周期(1周期)の連続的な変調の間に2つのラインCCDカメラ22、23で検出した水平偏光成分および垂直偏光成分それぞれの複屈折情報が1画素分の複屈折情報となる。1周期の連続的な変調の間に2つのラインCCDカメラ22、23で複屈折情報を検出タイミング信号に同期して行い、1周期に検出回数(取込回数)を、4回、8回等、適宜決めればよい。
【0050】
このようにして1回のBスキャンの間に得た2枚のA−Bスキャン画像のデータを、Bスキャン方向に1次元フーリエ変換を行う。すると、0次、1次、−1次のピークが出る。ここで、0次のピークをそれぞれ抽出し、そのデータのみを用いて逆フーリエ変換すると、H0、V0画像が得られる。同様に、1次のピークをそれぞれ抽出し、そのデータのみを用いて逆フーリエ変換すると、H1、V1画像が得られる。
【0051】
H0、H1画像から、試料17の偏光特性であるジョーンズマトリックスの成分のうち、J(1,1)およびJ(1,2)を求める事ができる。そして、V0、V1画像から、試料17の偏光特性である式(1)のジョーンズマトリックスの成分のうち、J(2,1)およびJ(2,2)を求める事ができる。
【0052】
このようにして、1回のBスキャンにおついて4つの偏光特性を含む情報が得られる。そして、この4つの情報をそれぞれ、通常のFD−OCTと同様にAスキャン方向にフーリエ変換すると、1次のピークが試料17の深さ方向の情報を有し、しかもそれぞれ偏光特性に応じた断層像の画像情報(画像信号)である4枚のA−B画像の情報が得られる。光源として波長走査型光源を用いてもよい。その場合は分光器は用いない。
【0053】
(特徴的構成)
本発明は、以上のとおりの全体構成を備えた偏光感受光画像計測装置において、CCDカメラで取得した試料の偏光特性(複屈折)に応じた断層像の画像情報を画像処理装置(具体的には、コンピュータが使用される)に入力して、上記断層像の画像情報から、試料の所定の深さ方向のそれぞれの箇所の局所的な複屈折情報を算出し、この複屈折情報に基づいて、試料の断層像を画像化する画像処理を行う構成を備えた装置である。
【0054】
本発明では、このような画像処理を行う画像処理装置は、所定のアルゴリズムに基づくソフトによって、コンピュータの演算機能を利用して動作する。このような本発明の特徴的な構成を以下、説明する。
【0055】
上記全体構成を示す偏光感受光画像計測装置(PS-OCT)(その全体構成は特許文献4に記載ものと同じである)によって、試料の深さ方向の偏光特性(複屈折)に応じた断層像を示す画像情報が得られるが、試料の断層像におけるある箇所についての複屈折情報(偏光情報)は、従来の偏光感受光画像計測装置では、当該箇所の深さまでの累積した複屈折情報が断層像の画像情報として得られていた。
【0056】
つまり、試料の複屈折情報を光計測する場合、偏光特性として可視化された情報は、光が通過して得られる部分の複屈折情報が累積されたものとなり、局所偏光情報は、試料の当該箇所より上部(当該箇所より試料の入射表面側の部分)の影響を受けていて、表示されている箇所(局所)そのものの複屈折情報ではない。
【0057】
本発明の偏光感受光画像計測装置における画像処理装置では、断層像におけるある箇所についての複屈折情報を、当該箇所の深さまでの累積した複屈折情報ではなく、深さ方向の当該箇所について、断層像の画像信号から試料の局所(ローカル)における複屈折情報、より具体的には、局所的な偏光特性(複屈折)として抽出することを特徴とするものである。
【0058】
例えば、試料の深さ方向に、100μm離れた2つの画素ついて、それぞれ複屈折を示す位相差(リタデーション)を抽出し、それらの差を2つの画素のうち深い箇所の複屈折情報とし、当該箇所の断層像の可視化データとする構成に特徴を有するものである。
【0059】
このような局所的な偏光特性の抽出手段は、本発明の偏光感受光画像計測装置の画像処理装置においては、具体的には、上記のとおり所定のアルゴリズムに基づいたソフトにより、コンピュータの演算部が機能する手段として構成されるものであるが、そのアルゴリズムについて説明する。上記全体構成で得られた試料の深さ方向の所定の箇所の複屈折情報は次のように求められる。
【0060】
試料の深さ方向の所定の箇所における、試料表面から反射して射出までの往復の累積された位相遅延量(複屈折を示す量)及び光学軸方向(複屈折の方向を示す)を、ジョーンズマトリックス(local round-trip Jones matrix)で示す点については、上記非特許文献5(S. Guo, J. Zhang, L. Wang, J. S. Nelson, and Z. Chen. Opt. Lett., 29(17), 2025-2027 (2004))にも記載されており、次のとおりである。
【0061】
深さ方向の所定の箇所における測定されるジョーンズマトリックスJmeasuredは、行きのファイバー光学系Jffiberと帰りの光学系Jbfiber、および、試料の影響Jsample(Zk)をうけ、
measured(Zi)=Jbfibersample(Z)Jffiberとなる。ここで、Zkは試料の特定していない深さ(厚さ)を示し、Ziは試料の深さ方向のiという特定した箇所での深さ(厚さ)を示している。
【0062】
ところで、試料の深さ方向iにおける試料からの寄与は、次の数式1で表される。
【0063】
【数1】

【0064】
ここで、Jsample(Zk)が、本発明において求めたい局所(試料表面から当該局所までの往復)ジョーンズマトリックス(local round-trip Jones matrix)である。
【0065】
本発明では、試料の局所ジョーンズマトリックスを求めるために、n画素離れた(正確にはn画素おいて離れた)ジョーンズマトリックスの逆行列を乗ずる。つまり、次の数式2となる。
【0066】
【数2】

【0067】
ここで、次の数式3で示す部分が、Zi+(n+1)/2の深さの位置でのZi+n−Zの厚さ(n画素分の厚さ)の局所(往復)ジョーンズマトリックス(局所的な偏光特性(局所位相遅延量(複屈折)及び複屈折光学軸の方向)を示すもの)となる。
【0068】
【数3】

【0069】
そして、局所的な複屈折の量を示す局所位相遅延量R(Zi+(n+1)/2, n)は、上記非特許文献(S.-Y. Lu and R. A. Chipman, Opt. Soc. Am. A, 11(2), 766-773 (1994))に基づいて、次の数式4のように計算される。
【0070】
【数4】

【0071】
本発明は、このように、深さ方向にn画素おいて離れた2箇所の厚さ(2カ所間の領域)についての局所(往復)ジョーンズマトリックスを、局所的な偏光特性として抽出するものであるが、この2箇所は隣接した画素同士では近接しすぎており、nは、深さ方向の画素の大きさ(深さ方向の計測点数)にもよるが、例えば10以上、要するに、少なくとも1画素以上はあけた2箇所であることが望ましい。
【0072】
また、nはあまり大きすぎても偏光特性の厚さ方向の累積量が大きくなりすぎたり深さ方向の分解能が低下するので、適宜画素数を上限とするべきである。2箇所の厚さは、例えば、上記したように100μm等である。
【0073】
以上のとおり、本発明の特徴は、試料の複屈折量が小さい場合、大きなnをとることにより、大きな位相遅延量Rを得ることができる点である。これにより高いS/N(信号対雑音)比が得られ鮮明な画像となる。nの値は深さ方向の空間分解能、S/N比、複屈折情報の変化量などを観点から最適値を決める。これまでの方法と比較して、平均化等による情報量の低下をもたらすことなく高いコントラストの偏光像が得られる
【0074】
なお、連続した局所(画素)間ではなくn画素離れた局所間(2カ所間)の光学軸方向の角度の深さ方向の変化量は、次の数式5で計算される。
【0075】
【数5】

【0076】
なお、ここでの「光学軸」は、光が進行する方向の光軸ではなく、偏光軸(例.直線偏光軸、楕円偏光の主軸)である。そして、局所間の光学軸方向の角度の深さ方向の変化量(差分)は、ある深さの光学軸方向と、そこからn画素深さ方向に進んだ点での光学軸方向の差である。これを差分あるいは微分と言っている。局所的(特定の深さの)光学軸方向は回転(変化)していくわけである。
【0077】
(測定例)
本発明の偏光感受光画像計測装置による測定例を、以下、説明する。この測定では、上記実施例に示した波長走査型光源とファイバー光学系を用いた偏光感受光画像計測装置(偏光感受型光干渉断層計(PS-OCT))を使用し、試料は、ヒト前眼部の生体を生体内で測定(in-vivo測定)した。
【0078】
詳細な測定条件は、次のとおりである。光源は、中心波長1310nm、波長走査幅110nm、走査速度20kHzで測定点でのパワーは2.0mWである。深さ方向の分解能は空気換算で11.9μm、深さ570μmでの感度は102dBである。
【0079】
ヒト前眼部の測定結果を、図2において説明する。図2A〜Cは、従来の偏光感受光画像計測装置で求めた断層像であり、図2Aは偏光強度像、図2Bは累積的位相遅延像(累積的複屈折像)、図2Cは相対的光学軸像(光学軸方向の差分像)である。
【0080】
図2D、Eは、本発明の偏光感受光画像計測装置によって、100μm離れた深さ領域のジョーンズマトリックスから求められた断層像であり、Dは局所位相遅延像(局所複屈折像)であり、Eは相対的光学軸像(光学軸方向の差分像)である。
【0081】
ところで、本発明の偏光感受光画像計測装置で得られた局所位相遅延像(局所複屈折像)に、位相遅延量毎に色を割り振り(例えば、位相遅延量0〜5°は赤、5〜10°は橙、10〜15°は黄色、15〜20°は青等)、着色し疑似カラー画像とすることで、一目で試料の内部構造を区分けできるようにしてもよい。相対的光学軸像(光学軸方向の差分像)についても同様に疑似カラー画像としてもよい。
【0082】
このように、図2Dの局所位相遅延像(局所複屈折像)を疑似カラー画像とし、これを図2Aの偏光強度像と合成した図を図3Aに示す。同様に、図2Eの相対的光学軸像(光学軸方向の差分像)を疑似カラー画像とし、これを図2Aの偏光強度像と合成した図を図3Bに示す。
【0083】
なお、本願添付の図3A、Bはカラー画像ではないが、実際はカラー画像として得られ、図3Cの解剖学的画像と比較しても、これまでの偏光感受光画像計測装置では観測することができなかった構造が観測でき、試料の内部構造の判別にきわめて有用である。解剖学的画像は、摘出した試料を薬品などで固定、染色してスライスしたものを顕微鏡で観測してものである。
【0084】
なお、図3AのBirefringenceは複屈折であり画像の各部の濃度と位相遅延量の関連を示す。また、図3BのDifferential orientationは複屈折光学軸の方向の変化量であり画像の各部の濃度と光学軸の方向(角度)の関連を示す。また、図3C中のSCはシュレム管を示し、Tは線維柱帯を示し、CBは毛様体を示し、Sは強膜を示し、Iは虹彩を示し、画像中のCは角膜を示す。
【0085】
以上のとおり、本発明の偏光感受光画像計測装置は、生体試料等の有する偏光特性について、深さ方向の分布を可視化することができる新規なOCT技術である。
【0086】
以上、本発明に係る偏光感受光画像計測装置を実施するための最良の形態を実施例に基づいて説明したが、本発明はこのような実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的事項の範囲内でいろいろな実施例があることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明に係る偏光感受光画像計測装置は、生体試料等の有する偏光特性の深さ方向の分布を可視化することができるので、眼科における網膜の可視化や、歯科におけるエナメル質の検査等、きめ細かい検査を要する医療分野等に最適であり、また、各種の工業技術分野で試料の内部構造や応力状況の検査、分析に適用も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明に係る偏光感受光画像計測装置の全体構成を示す図である。
【図2】本発明の測定例を説明する図である。
【図3】本発明の測定例を説明する図である。
【図4】従来のOCTを説明する図である。
【符号の説明】
【0089】
1 偏光感受光画像計測装置
2 光源
3、12 偏光子
4 EO変調器(偏光変調器、電気光学変調器)
5 ファイバーカプラー(光カプラー)
6 参照アーム
7 試料アーム
8 分光器
9 ファイバー
10、15、18 偏波コントローラ(polarization controller)
11 コリメートレンズ
13 集光レンズ
14 参照鏡(固定鏡)
16 ガルバノ鏡
17 試料
19 回折格子
20 フーリエ変換レンズ
21 偏光ビームスプリッター
22、23 光検出器(ラインCCDカメラ)
24 固定鏡

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源、偏光手段、カプラー、参照アーム、試料アーム、分光器及び画像処理装置を備え、偏光手段で偏光されたビームで試料をスキャンして、試料の深さ方向に累積した複屈折情報からなる断層像を示す画像情報を取得する偏光感受光画像計測装置であって、
前記画像処理装置は、前記画像情報から、深さ方向に離れた2カ所間の領域の累積した複屈折情報を抽出して、該深さの局所的な複屈折情報を可視化することを特徴とする偏光感受光画像計測装置。
【請求項2】
光源、偏光手段、カプラー、参照アーム、試料アーム、分光器及び画像処理装置を備えた偏光感受光画像計測装置であって、
前記試料アームは、前記偏光手段で偏光されたビームで試料の深さ方向に直交する方向にスキャンし、
前記分光器は、回折格子と光検出器を備えており、
前記回折格子は、前記参照アームからの参照光と前記試料アームからの物体光が重畳された干渉光を分光し、
前記光検出器は、前記回折格子で分光されたスペクトル干渉成分を測定し、試料の深さ方向に累積した複屈折情報からなる断層像を示す画像情報として取得し、該画像情報を画像処理装置に入力させ、
前記画像処理装置において、前記画像情報から、深さ方向に離れた2カ所間の領域の累積的な複屈折情報を抽出して、該深さの局所的な複屈折情報を可視化することを特徴とする偏光感受光画像計測装置。
【請求項3】
光源、偏光子、EO変調器、カプラー、参照アーム、試料アーム及び分光器を備えた偏光感受光画像計測装置であって、
前記偏光子は、前記光源からのビームを直線偏光し、
前記EO変調器は、前記直線偏光されたビームの偏光状態を試料の深さ方向に直交する一方向のスキャンと同時に連続的に変調し、
前記試料アームは、前記連続的に変調したビームをガルバノ鏡で前記試料の前記一方向のスキャンを行い、
前記分光器は、回折格子と光検出器を備えており、
前記回折格子は、前記参照アームからの参照光と前記試料アームからの物体光が重畳された干渉光を分光し、
前記光検出器は、前記回折格子で分光されたスペクトル干渉成分を測定し、試料の深さ方向に累積した複屈折情報からなる断層像を示す画像情報として取得し、該画像情報を画像処理装置に入力させ、
画像処理装置において、前記画像情報から、深さ方向に離れた2カ所間の領域の累積的な複屈折情報を抽出して、該深さの局所的な複屈折情報を可視化することを特徴とする偏光感受光画像計測装置。
【請求項4】
前記複屈折情報は、位相遅延量差であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の偏光感受光画像計測装置。
【請求項5】
前記複屈折情報は、複屈折の光学軸の方向の変化量であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の偏光感受光画像計測装置。
【請求項6】
前記深さ方向に離れた2カ所間の領域は、試料の深さ方向に複数の画素に分けた場合に、少なくとも1画素をおいた間隔を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の偏光感受光画像計測装置。

【図1】
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【図4】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−151684(P2010−151684A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−331431(P2008−331431)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成17年度〜平成19年度、文部科学省、先端計測分析技術・機器開発事業に関する委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(504171134)国立大学法人 筑波大学 (510)
【Fターム(参考)】