説明

局所空調システム、その制御装置

【課題】複数の局所空調機に係る各所の現在温度及び予測温度ステータスを、視覚的に把握し易いように表示する。
【解決手段】全体画面50には、各局所空調機の物理的配置を矩形で示すと共にその現在の温度状態を示す色を矩形内に表示する(51)。更にシミュレーション結果に基づいてシミュレーション結果表示画面52を表示する。この画面52では、所定時間後の各局所空調機の予測温度状態を上記矩形と色とで表示する(71,72)と共に、コールドゾーンの予測温度状態を示す色分け表示する(73)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の局所空調機を監視等する為の装置に関する。
【背景技術】
【0002】
サーバ装置等の電算機は、稼動中は発熱するものであり(主にそのCPU等が発熱する)、多数の電算機を収容している電算機室は、平均発熱密度が高い空間となると共に、電算機の設置位置や台数、稼動状態等に応じて、局所的に発熱密度が高いエリアや低いエリアが生じる場合がある。尚、上記のことから、サーバ装置等の電算機等を(特に稼動中の状態では)発熱体と呼ぶ場合もあるものとする。また、サーバ装置等の電算機等は、ラックに搭載されている場合が多い。通常は、複数のラックが設置され、更にラック列を形成しており、このラック列が複数列存在する場合も少なくない。
【0003】
この様な電算機室の冷却を行う空調システムの一例として、複数の局所冷却装置を電算機室内の各所に配置して成る局所空調システムが知られている。この様な局所空調システムは、例えば、局所的に発生する高温問題を解決する為に、冷熱源ユニットと冷媒配管で接続した複数の局所冷却装置(局所空調機)を、上記各ラック上に分散設置して、局所的に発生する熱を除去している。
【0004】
図9に、従来の一般的な局所空調システム構成を示す。
図9において、電算機室内(IDC;インターネット・データセンタ等)には、各種発熱体(サーバ装置等の電算機や各種電子機器等)が収納されたラックが、複数配置されている。複数のラックは、通常、整然と列を成して配置されてラック列を形成している。複数のラック列が配置されている場合が多く、図では各々が8個のラックから成るラック列が2列存在しているが、この例に限らない。また、尚、図9に示すように、各ラック毎に対応して、各ラックの上方に局所空調機が設置される場合が多いが、この例に限らない。
【0005】
局所空調システムは、基本的に、上記ラック列の上方に設けられた複数台の局所冷却装置(局所空調機)1と、これら複数台の局所冷却装置1に共通の冷熱源ユニット2と、冷熱源ユニット2から複数の局所冷却装置1に冷媒を供給する為の冷媒往路配管3と、冷熱源ユニット2が各局所冷却装置1から冷媒を回収する為の冷媒復路配管4、コントローラ5等から構成される。尚、図上、配管3,4近辺に示す矢印は、冷媒の流れる方向を示すものである。
【0006】
尚、上記のように符号‘1’に対して局所冷却装置(局所空調機)1等と記したが、これ以降の説明では“局所空調機1”に統一するものとする。
冷熱源ユニット2は、1つのラック列の局所空調機群に対応して設けられる。よって、仮にラック列が3列あれば冷熱源ユニット2は3台設けられる。図示の例ではラック列は2列であるので、図示の通り、冷熱源ユニット2は各ラック列の局所空調機群毎に1台ずつ、計2台設けられている。図示のように、それぞれが8個のラックから成る2つのラック列をA列、B列と記すものとし、A列に対応する冷熱源ユニット2Aと、B列に対応する冷熱源ユニット2Bとが設けられている。
【0007】
各冷熱源ユニット2は、凝縮器2aや冷媒圧送ユニット2b(ポンプ等)、インバータ2c等から成る。凝縮器2aには、上記冷媒復路配管4を介して各局所空調機1から回収した冷媒が流入すると共に、不図示の外部装置から冷水が供給されている。凝縮器2aにおいて冷媒と冷水との熱交換が行われた後、この冷媒は冷媒圧送ユニット2bによって冷媒往路配管3に圧送されて複数の局所空調機1に供給される。
【0008】
尚、図示の例では冷媒圧送ユニット2bは、2台のポンプを有するが、ポンプは1台のみでもよい。また、尚、冷熱源ユニット2には更に圧縮機や冷媒貯留槽等があってもよいが、ここでは特に説明しない。
【0009】
上記冷熱源ユニット2は、例えば上記電算機室に隣接する機械室内に設置される。また、上記冷媒往路配管3と冷媒復路配管4は、例えば天井裏等を介して配設される。尚、勿論のこと、冷熱源ユニット2及び各局所空調機1は、予め冷媒往路配管3及び冷媒復路配管4に接続されているものである。
【0010】
コントローラ5は、局所空調システム全体を管理・制御する為の制御装置であり、CPU/MPU等の演算プロセッサ、メモリ、入出力インタフェース等から成る。また、特に図示/説明しないが、各局所空調機1はそれぞれ小型のコントローラ(局所コントローラという)を有している。
【0011】
コントローラ5は、全ての局所空調機1(ここではA列、B列合わせて16台)、及び各列毎に対応した計2台の冷熱源ユニット2A、2Bを、通信線6や不図示の通信線を介して制御する。冷熱源ユニット2に関しては、通信線6を介して主にインバータ2cを制御する。各局所空調機1に関しては、不図示の通信線を介して上記不図示の局所コントローラと通信を行って、各局所コントローラから状態データ(現在の温度、風量、正常/異常、稼動/停止等)を取得したり、任意の指令(設定温度、運転/停止指令等)を送信する。各局所コントローラは、この指令に応じた制御を実行する。
【0012】
ここで、コントローラ5は、不図示のディスプレイを備えており、ディスプレイ上に任意の各種情報を表示する。例えば、上記のように不図示の通信線を介して各局所コントローラから収集した状態データ等を一覧表示する。
【0013】
ここで、各局所コントローラには、予め所定の識別用ID(局番というものとする)が割り当てられており、上記通信の際にはこの局番を用いる。例えば、局所コントローラは、コントローラ5からの所定の要求に応じて、自己の局所空調機1の状態データ(計測温度、風量、正常/異常、稼動/停止等)に自己の局番を付加して返信する。
【0014】
これより、コントローラ5は、例えば局番の番号順通りに、各局所空調機1の状態データをその局番と共に表示する。あるいは、局番を表示することなく、局番の番号順(局番=1,2,3、・・・)通りに各状態データを一覧表示する。
【0015】
また、コントローラ5においてユーザが局所空調機1の設定作業を行う場合、各局所空調機1の局番が一覧表示され、ユーザはこの一覧リストの中から任意の局番を選択・指定することで設定対象の局所空調機1を指定する。コントローラ5は、指定された局所空調機1に対する任意の設定(設定温度の変更など)を行わせる設定画面を表示する。
【0016】
また、特許文献1の発明は、空調機の補完運転や省エネ運転などをコントローラで制御する空調機監視システム・監視方法であり、温度状態の色分け画面表示の記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2006−64254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
ここで、上述したように、各ラックに収納されるサーバ装置等の電算機は、稼動中は発熱するものであり(主にそのCPU等が発熱する)、発熱量はサーバ装置等の処理負荷によって変動する。サーバの負荷はユーザに依存する。
【0019】
この為、上記局所空調システムの場合、任意のときに任意のラック内のサーバ装置等の処理負荷が高くなり、現在温度が設定温度より高くなった(又は高くなりつつある)場合、管理者は、このラックに対応する局所空調機1の設定温度を下げたり、風量を上げるなどの対応を行う必要がある(個別設定)。
【0020】
サーバ装置等の電算機は、充分に適切な冷却が行われないと故障する可能性が高くなり、サーバの故障はデータ損失という大きな問題に繋がる可能性が高いため、局所空調機を間違えないで設定変更する必要がある。
【0021】
しかしながら、上記従来技術のようにコントローラ5が各局所空調機1の状態データを局番順等に従って表示する場合、実際の物理的配置が分からないという問題点があった。例えば、全体画面で設定変更対象の局所空調機を決めて、別の画面の局所空調機リスト一覧から設定変更すべき局所空調機を選択する場合は、局所空調機の選択間違いが発生し易い。
【0022】
また、上記従来技術では上記のように各局所空調機1の局番と状態データを一覧表示する為、どの位置にある局所空調機1の状態データであるのかが、視覚的に分かり易いものとは言い難かった。
【0023】
また、上記のように特許文献1には温度状態の色分け表示が開示されており、例えば「赤=高温、・・・、青=低温」等の表示が行われるものであり、数値を読むことなく色を見るだけで大体の温度を把握できるようになる。
【0024】
しかしながら、上記局所空調システムに限らず空調システムの場合、管理者等は温度自体のチェック(管理)を行うが、温度が設定温度通りになっているかのチェック(管理)もするものである。特許文献1では、温度自体は容易に把握できても、温度状況(把握した温度が設定温度通りか否か(適正な温度か否か)、適正ではない場合には更に冷却不足か冷却過剰か等)は、分からない。
【0025】
この為、管理者等は、色分け表示によって把握した現在温度と設定温度とに基づいて、上記温度状況を判断する必要がある(尚、設定温度は例えば別途表示される)。特に、上記局所空調システムの場合には、複数の局所空調機1の設定温度がそれぞれ異なる場合も有り得るので、色表示によって現在温度を把握して、これと設定温度に基づいて上記温度状況を判断する必要があり、手間が掛かることになる。特に、局所空調機1が多数設置されている場合には、非常に手間が掛かることになる。
【0026】
また、上記局所空調システムに関して、複数の局所空調機1に関して上記温度状況だけでなく他の状態(正常/異常(故障)、運転/停止、設置の有無等)や設置位置を容易に把握できることが要望されている。
【0027】
また、上記図9に示す例では全てのラック上に局所空調機1が設置されている。この様な場合、例えば局番を1,2,3,4、・・・等のシリアルな番号とした場合には、例えば局番=3であったならばラック列の端から数えて3番目のラックの位置であるものと推測することも可能である。しかしながら、この様な例に限るものではなく、局所空調機1が設置されないラックがあるケースもある。この様な場合には、局番から位置を推測することもできなくなる。
【0028】
ここで、上記局所空調機1の温度状態データは、局所空調機1の吹出口の冷気の温度や吸込口の温度を計測したものである。しかしながら、通常、各ラック内に流入する空気は、上記ラック列間の空間(コールドゾーン等と呼ばれる)の冷気である。これは、各局所空調機1の吹出口から送出された冷気が、コールドゾーンに溜まった後、ラック列の各ラック内に吸い込まれるものである。そして、通常、各ラック内に流入する空気の温度は、局所空調機1の吹出口から送出される冷気の温度と同じであるとは限らない。これは、例えば、他の局所空調機1からの冷気温度が自機とは異なる(設定値が異なる)為、混合することで温度が変わるからである。あるいは例えば、ラック内の発熱体(サーバ装置、そのCPU等)による熱の影響を、ラック外においてもある程度の影響を受けるからである。あるいは、例えば、不図示の全体空調装置から供給される冷気が、床下空間から床開口部を通ってコールドゾーンに流入する構成も存在するからである。
【0029】
尚、上記のことから上記コールドゾーンは、例えば、複数のラックによって形成される所定空間であって、複数台の局所空調機1からの冷気供給先であると共に各ラックの空気吸込面が面している空間であると言うこともできる。
【0030】
あるいは、上記コールドゾーンの空気は、複数の局所空調機1から送出される冷気が混合するものであるから、例えばある局所空調機1から送出される空気の温度が18℃であっても、別の局所空調機1から送出される空気の温度が22℃であったならば、これらが混ざり合う空気の温度は、当然、18℃よりも高くなる。
【0031】
何れにしても、局所空調機1の吹出口の冷気の温度だけでなく、コールドゾーンの空気の温度も知りたいものであり、また視覚的に分かり易く表示されることが望まれる。しかしながら、コールドゾーンは、通常、作業員が通行したり作業を行ったりする役割も兼ねているので、コールドゾーンの各所に温度計を設置すると、通行や作業の妨げになってしまう。
【0032】
ここで、従来より、例えばサーバの負荷や環境の変化があったとき等、その他何らかの理由によって、管理者等の判断で上記局所空調機1の冷気吹出温度や風量の設定値を変更する場合がある。この場合、新たな設定値の妥当性(例えば、コールドゾーンの温度状態が所望の状態となったか否か)は、ある程度の時間が経過しないと分からず、更に、もし設定値が妥当ではないと判断された場合、更に設定値の変更を行ったうえで所定時間経過するまで待って妥当性を判断する必要があり、場合によっては非常に時間が掛かることになっていた。
【0033】
この為、局所空調機1の設定温度等を変更した場合に、コールドゾーンの空気の温度状態がどの様になるのかを事前に知りたいという要望がある。例えば現状では設定温度が20℃であり、特に問題はないが、省エネの為に設定温度を21℃にした場合に、コールドゾーンの温度状態に問題が生じないのかを、事前に知りたい場合がある。もし事前の予測によって問題が生じそうであると判断するならば、設定温度を21℃にすることを止め、現状維持することができる。一方、事前に予測できないと、設定温度を実際に21℃に変えて様子を見て、問題がある為に(コールドゾーンの温度が高すぎる)再び設定温度を20℃に戻す等の、余計な手間が生じることになる。
【0034】
本発明の課題は、それぞれが任意の位置に設置される複数の局所空調機とこれら複数の局所空調機を管理・制御する制御装置を有する局所空調システムにおいて、各局所空調機の現在の温度状況及び予測温度状態等を視覚的に分かり易く表示すると共に、複数の前記局所空調機に係る特定領域の予測温度状態も視覚的に分かり易く表示することができる局所空調システム、その局所空調機管理装置等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0035】
本発明の局所空調システムは、各々に発熱体が搭載された複数台のラックが設置された電算機室内において前記複数のラックに対応して設置される複数台の局所空調機と、該複数台の局所空調機を監視・制御する制御装置を有する局所空調システムであって、前記制御装置は、前記各局所空調機の物理的配置を示す各特定図形を、全体画面上に表示すると共に該全体画面内またはその近傍に配置される予測結果表示画面内にも表示する特定図形表示手段と、前記各局所空調機に係る測定温度を含む測定データを収集して、該測定データに基づいて各局所空調機に係る現在の温度ステータスを示す色を判定し、該判定した色をその局所空調機に対応する前記全体画面上の特定図形に表示する現在ステータス色分け表示手段と、前記測定データと任意の設定温度に応じて、前記各局所空調機に係る所定時間後の予測温度と、前記複数のラックによって形成される所定空間の前記所定時間後の予測温度とをシミュレーションにより求めるシミュレーション手段と、前記各局所空調機に係る前記所定時間後の予測温度に応じた色を判定して、該判定した色を前記予測結果表示画面内の前記特定図形に表示すると共に、前記所定空間の前記所定時間後の予測温度に応じた色を判定し、該判定した色を前記予測結果表示画面内の該当領域に表示する予測温度色分け表示手段とを有する。
【0036】
また、上記局所空調システムにおいて、例えば、前記シミュレーション手段は、前記各局所空調機に係る前記所定時間後の予測温度が前記設定温度であるものとする。
また、上記局所空調システムにおいて、例えば、前記複数のラックによって形成される前記所定空間は、前記複数台の局所空調機からの冷気供給先であると共に前記各ラックの空気吸込口が面している空間であるコールドゾーンである。
【0037】
上記局所空調システムによれば、各局所空調機に係る現在の温度ステータス及び予測される温度ステータスを、特定図形表示及び色表示により視覚的に分かり易く表示できると共に、更に、例えばコールドゾーン等の所定空間の予測温度状況も求めて視覚的に分かり易く表示できる。例えば、設定温度変更に応じたコールドゾーン等の所定空間の温度状況を予測して、この予測温度状況を視覚的に分かり易く表示できる。
【発明の効果】
【0038】
本発明の局所空調システム、その局所空調機管理装置等によれば、それぞれが任意の位置に設置される複数の局所空調機とこれら複数の局所空調機を管理・制御する制御装置を有する局所空調システムにおいて、各局所空調機の現在の温度状況及び予測温度状態等を視覚的に分かり易く表示すると共に、複数の前記局所空調機に係る特定領域の予測温度状態も視覚的に分かり易く表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】(a)は本例の局所空調システム全体の構成図、(b)は監視画面例である。
【図2】設定テーブルの一例である。
【図3】ステータス表示処理のフローチャート図である。
【図4】設定動作に係る各種画面例である。
【図5】設定動作に係る処理フローチャート図である。
【図6】任意の設定に応じたシミュレーションとその結果の表示に関して説明する為の図である。
【図7】シミュレーション結果表示画面の具体例を示す図である。
【図8】コントローラの構成・機能ブロック図である。
【図9】従来の一般的な局所空調システム構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1(a)は、本例の局所空調システム全体の概略構成図である。
また、図1(b)には本例の局所空調機管理装置における監視画面の一例を示す。
【0041】
一例としては、図1(a)の局所空調システムのコントローラ10は、局所空調機管理装置としての機能も有するが、他の機能も有する。他の機能については特に説明しないが、例えば上記従来のコントローラ5と略同様の機能であってよい。本説明では、主に局所空調機管理装置としての機能について説明する。
【0042】
本例では、コントローラ10の不図示のディスプレイに、図1(b)の監視画面(全体画面)20が表示される。
図1(a)に示す局所空調システムの全体構成自体は、従来と略同様であり、略同一の構成要素には同一符号を付し、その説明は省略または簡略化する。従来と異なる点は、基本的に、従来では上記コントローラ5であったのに対して、本例ではコントローラ10になっている点である。コントローラ10は、コントローラ5には無い機能を有しており、それによって従来では得られなかった効果が得られる。
【0043】
尚、以下の説明では、それぞれが12個のラックより成る2列のラック列A、ラック列Bを例にし、各ラック列A,B毎に8台ずつ合計16台の局所空調機1が設置されており、各局所空調機1には上記シリアルな局番が付与されており、局番=1の局所空調機1は局所空調機(1)、局番=2の局所空調機1は局所空調機(2)、・・・、局番=16の局所空調機1は局所空調機(16)等と記すものとする。
【0044】
本例の局所空調システムも、基本的には上記従来システムと略同様に、各ラック列の上方に設けられた複数台の局所空調機1と、これら複数台の局所空調機1に共通の冷熱源ユニット2と、冷熱源ユニット2から複数の局所空調機1に冷媒を供給する為の冷媒往路配管3と、冷熱源ユニット2が各局所空調機1から冷媒を回収する為の冷媒復路配管4とから構成され、更に従来のコントローラ5の代わりにコントローラ10が設けられている。冷熱源ユニット2は、従来と同様、凝縮器2aや冷媒圧送ユニット2b(ポンプ等)、インバータ2c等から成る。
【0045】
尚、コントローラ10は、上記コントローラ5と略同様の機能(冷熱源ユニット2や各局所空調機1を制御・管理する機能)も備えるが、監視画面表示・設定に関してはコントローラ5とは異なる表示・設定機能を備える。この表示・設定機能は、各局所空調機1の物理的配置やステータス(現在の温度状態、更に未来の温度状態(予測温度))を視覚的に分かり易く表示するものである。また、後述するコールドゾーンの未来の温度状態(予測温度)も視覚的に分かり易く表示するものである。また、ミスのないオペレーションで局所空調機の個別設定や一括設定を行えるようにしたものである。詳しくは後述する。
【0046】
尚、上記“ミス”とは特に、誤って設定対象の局所空調機1とは違う局所空調機1に対して設定を行ってしまうことである。あるいは、任意の局所空調機1のステータス情報を表示した際に、この局所空調機1の位置を勘違いしてしまうこと等である。上記“ステータス情報”は、従来技術で述べたように、温度、風量、正常/異常、稼動/停止等の情報である。
【0047】
コントローラ10は、局所空調システム全体を制御する制御装置であり、CPU/MPU等の演算プロセッサ、メモリ、入出力インタフェース等から成る。本説明のコントローラ10の処理機能は、予めメモリ等に記憶されているアプリケーションプログラムを、CPU/MPU等の演算プロセッサが実行することにより実現される。
【0048】
また、従来技術等で説明したように、各局所空調機1はそれぞれ不図示の局所コントローラを有している。局所コントローラについては、既に従来技術等で説明済みであるので、ここでは説明しない。
【0049】
コントローラ10は、全ての局所空調機1(ここではA列、B列合わせて16台)、及び各列毎に対応した計2台の冷熱源ユニット2A、2Bを、通信線6や通信線7を介して制御する。冷熱源ユニット2に関しては、通信線6を介して主にインバータ2cを制御する。各局所空調機1に関しては、通信線7を介して上記不図示の局所コントローラと通信を行って、各局所コントローラから所定の情報(上記ステータス情報等)を取得したり、任意の指令(設定温度等)を送信する。各局所コントローラは、この指令に応じた制御を実行する。
【0050】
コントローラ10は、上記の通り局所空調システム全体を制御する制御装置であり、それによって特定エリアの温度制御を行うものである。この特定エリアとは、例えば図1(b)の監視画面(全体画面)20に示すエリアであり、すなわちA列、B列の2つのラック列と、このラック列の間の空間(図示のコールドゾーン)を含むエリアであり、“アイル”と呼ばれる場合もある。
【0051】
ここで、コントローラ10は、不図示のタッチパネル付きディスプレイを備えており、ディスプレイ上に例えば上記図1(b)の監視画面(全体画面)20を表示すると共に、タッチパネルによる入力を受け付ける。尚、タッチパネル付きディスプレイではなく、通常のディスプレイとマウス等の入力装置等としてもよいが、本例ではタッチパネルを用いるものとする。
【0052】
上記タッチパネルによる入力は、タッチパネル上(ディスプレイ上)の任意の位置がタッチされる操作であり、このタッチ位置座標が検出される。
詳しくは後述するが、監視画面(全体画面)20では、各局所空調機1の物理的配置を示す表示が行われると共に、任意の局所空調機1を上記タッチ操作等によって指定することができ、指定された局所空調機1の設定を行うことができる設定画面が表示される。また、指定された局所空調機1の状態を示す詳細な情報等を示す画面が表示される。
【0053】
また、監視画面(全体画面)20上では、上記各局所空調機1の物理的配置を示す表示において、更に、各局所空調機1の現在のステータスを示す色を表示する。ステータスには、例えば、設定温度と測定温度を比較することで判定される現在の温度状況(適温/冷却不足/冷却過剰の何れか)が含まれ、これら何れかの温度状況を示す色が表示される。後述する一例では、青色、水色、肌色の何れか一色が表示されることになる。
【0054】
但し、上記ステータスは、上記温度状況に限らず、後述するように異常、停止中等も含まれ、これらに応じた色(後述する例では赤、白)も表示される。
また、上記ステータスは、例えば、上記のように通信線7を介して各局所コントローラから収集した状態データ等に基づいて判定される。この状態データは、例えば局所空調機1の稼動/停止状態、測定温度、風量、正常/異常等である。特に上記現在の温度状況(適温/冷却不足/冷却過剰の何れか)は、測定温度と設定温度(所定のマージンを含む設定温度範囲)とに基づいて判定される。詳しくは後述する。
【0055】
ここで、本例では上記の通り局所空調機1は各列毎に8台ずつ計16台あるものとし、図1(b)に示すように、A列に関しては局所空調機(1)〜局所空調機(8)の8台があり、B列に関しては局所空調機(9)〜局所空調機(16)の8台があるものとする。
【0056】
但し、各列毎に8台ずつある構成自体は上記図9の構成と同じであるが、図9では各列毎に8つのラックがあった。つまり、全てのラックに対応して局所空調機1が設けられた構成となっていた。これに対して、本例では、各列毎に12個のラックがあるものとする。よって、各列毎に、12個のラックのうちの任意の8個のラック上に局所空調機1が設けられていることになり、逆に言えば、任意の4個のラック上には局所空調機1が存在しないことになる。
【0057】
この様に、各列毎の局所空調機1群は、所謂“ハヌケ(歯抜け)”で設置される場合も有り得る。これは、例えば下記の場合に対応する構成である。
・サーバの追加設置に応じて、局所空調機が増設される場合;
・全てのラックに局所空調機が必要でない場合(例えば2つのラック毎に1台の局所空調機1を設置すれば、充分に冷却可能な場合等);
これに対応して、本例では例えば上記現在のステータスを示す色の表示には、“局所空調機1の設置無し”を示す色の表示(後述する一例では灰色)も含まれている。詳しくは後述する。
【0058】
例えば上記のような一例の場合、コントローラ10の不図示のディスプレイには、例えば図1(b)に示すような監視画面20が表示される。
監視画面20上には、各局所空調機1の物理的配置を矩形で示している。但し、本例においては、この物理的配置とは、現在実際に配置されている位置だけでなく、局所空調機1を配置し得る位置も含まれているものである。つまり、本例では、各ラックの物理的配置を示しているものと見做すこともできる。
【0059】
本例では、各列毎に12個のラックがあり、12個全てに対して局所空調機1を配置し得るが、そのうちの8個のラック上に局所空調機1が配置され、残りの4個のラック上には局所空調機1は配置されていない。勿論、これは一例であるし、またこの一例において後に、局所空調機1が未配置であった4個のラックの任意の1つ以上(場合によっては4個全て)のラック上に、新たな局所空調機1を追加設置する可能性もある。
【0060】
上記のように、監視画面20には各局所空調機1の物理的配置を矩形で示しているが、これは、局所空調機1が現在配置されている位置に限らず、配置される可能性がある位置も含まれており、上記の例では、実質的に各ラックの物理的な配置位置を示すものと同義となる。
【0061】
上記のことから図1(b)に示すように監視画面20には、各局所空調機1の物理的配置を示すものとして、上記A列の12個のラックの配置位置をそれぞれ矩形で示すと共に、上記B列の12個のラックの配置位置をそれぞれ矩形で示している。本例では、当然図示のように、各列毎に、12個の矩形が整列して1つの列を成すように表示されることになる。
【0062】
また、図示の表示例における“A”は上記A列、“B”は上記B列を意味している。
また、図示の表示例におけるa1,a2,・・・a12は、A列の各矩形の物理的配置番号を示している。同様に、図示の表示例におけるb1,b2,・・・b12は、B列の各矩形の物理的配置番号を示している。この物理的配置番号は、監視画面20上に描画される各矩形の作成時等に各矩形に任意に割り当てられる識別番号である。
【0063】
尚、特に図示しないが、コントローラ10はその不図示のメモリに予め監視画面20上の各矩形の表示情報(不図示)を記憶している。この表示情報(不図示)は、各矩形毎に、その矩形の表示座標(XY座標、X方向の長さ、Y方向の長さ等)をその矩形の物理的配置番号に対応付けて記憶しているものである。
【0064】
尚、実際の構成においては、上記各矩形で示す位置に各局所空調機1が設けられ(但し、上記の通り、全ての矩形に設けられるわけではない)、これら局所空調機1群によってラック列Aとラック列Bの間の空間(通常、通路として用いられる空間)である図示のコールドゾーンを、冷却することになる。コールドゾーンの冷気は、ラック列Aとラック列Bの各ラック内に流入して、ラック内に搭載されているサーバ装置等の電算機や各種電子機器等を冷却することになる。
【0065】
コールドゾーンの空間は、区分けされているわけではないので、複数の局所空調機1から供給される冷気は、ある程度は混ざり合うが、コールドゾーンの空間の温度が均一化されるほどではなく、更に各ラック毎に搭載機器の負荷(つまり発熱量)が異なる可能性があることから、コールドゾーンの空間内には、比較的温度が高い部分と低い部分とが存在することになる。各局所空調機1は、自装置近辺の温度(例えば、局所空調機1の吹出口付近の温度であり、これを吹出温度というものとする)を測定しており、コントローラ10は各局所空調機1の測定温度等を定期的に収集している。
【0066】
これによって、コントローラ10は上記監視画面20上で上述した(そして詳しくは後述する)各局所空調機1の現在の温度状況を示す色分け表示(各各局所空調機1近辺の温度状況(適温/冷却不足/冷却過剰)が分かり易い表示)等を行うことになる。
【0067】
また、特に図示しないが、コントローラ10はその不図示のメモリに各局所空調機1の管理情報(不図示)を記憶している。この局所空調機の管理情報は、従来のコントローラ5でも記憶管理していた情報であり、その内容も従来と略同様であってよいので、ここでは特に図示することなく簡単に説明しておく。
【0068】
まず、各局所空調機1は、上述した不図示の局所コントローラを備えている。この局所コントローラは、不図示のCPU/MPU等の演算プロセッサ、メモリ、通信インタフェース、センサユニット等を備えている。各局所空調機には予め一意の識別番号(局番と呼ぶ)が割り当てられており、上記局所コントローラのメモリには予め自機の局番が記憶されており、局所コントローラは任意のデータを任意の相手に送信する際に、自機の局番も含めて送信する。
【0069】
ここで、上記センサユニットは、例えば上述した“各局所空調機1の自装置近辺の温度(冷気の吹出温度等)を測定”する為の温度センサ等であり、局所コントローラはこの計測温度(吹出温度)を収集・記憶している。また、局所コントローラは、自己診断機能も備えており、自機(局所空調機1)の状態が正常であるか異常(故障)であるかを判定して、判定結果を記憶している。また、局所コントローラは、例えばコントローラ10からの指令(運転/停止指令、設定温度、設定風量などの設定値)に応じて、自機(局所空調機1)を運転状態/停止状態にし、運転状態においては上記指令に応じて冷媒流入量や風量等を制御する(この制御方法は、既存技術であり、特に説明しない)。
【0070】
ここで、コントローラ10は、例えば定期的に各局所空調機1の状態データを収集する。これは、通信線7を介して各局所空調機1に対して所定のコマンド(データ収集コマンドというものとする)を送信するものである。
【0071】
各局所空調機1の上記局所コントローラは、このデータ収集コマンドを受信したら、自己の状態データ(上記正常/異常(故障)、上記運転状態/停止状態、上記計測温度(吹出温度)等)を、自己の局番と共にコントローラ10に返信する。
【0072】
コントローラ10は、自己の不図示のメモリに、上記局所空調機の管理情報(不図示)を記憶している。この管理情報は、特に図示しないが、各局所空調機毎に、その局番に対応付けて、上記状態データ(上記正常/異常(故障)、上記運転状態/停止状態、上記計測温度(吹出温度)等)が記憶され、更に上記設定値データ(設定温度、設定風量など)が記憶されている。
【0073】
コントローラ10は、新たに収集した上記状態データによって、管理情報(その上記状態データ)を更新する。勿論、その際、局番を用いて、更新すべき管理情報を判別することになる。また、コントローラ10は、新たな指令を送信した際に、その上記設定値(設定温度、設定風量など)によって、管理情報(その上記設定値データ)を更新する。
【0074】
再び、図1(b)に示す監視画面20について説明する。
監視画面20では、既に述べたように各局所空調機1の物理的配置が容易に分かるような表示が行われるが、更に、アイルの(特に各局所空調機1の)現在のステータスが容易に分かるような表示が行われる。これは、各矩形毎に、その矩形内にアイルの(特にその矩形に対応する位置の局所空調機1の)現在のステータスを示す色が表示される。但し、図1(b)では色の代わりに模様で示している。これら各模様が意味する色、及びこの色が示す上記“現在のステータス”を、図1(b)の下側に示す。
【0075】
図1(b)の下側に示す通り、本例では、各色が示す上記“現在のステータス”は以下に列挙する通りであるが、勿論、この例に限らない。
青色: 現在温度=設定温度−1℃未満
水色: 現在温度=設定温度±1℃範囲
肌色: 現在温度=設定温度+1℃超過
赤色: 異常
白色: 停止中
灰色: 局所空調機なし
尚、上記各ステータスと各色とを対応付けた不図示のテーブル(色分けテーブルというものとする)が、予めコントローラ10の不図示のメモリに格納されている。
【0076】
上記の通り、まず、灰色は「局所空調機なし」を意味する。上述したように本例ではA列、B列の各列毎に12個のラックに対して8台の局所空調機を設置している為、各列毎に4個のラック上には局所空調機が設置されていないことになる。従って、監視画面20において各列毎に12個の矩形のうち4個の矩形については、灰色で表示されることになる。図示の例では、例えばA列を例にすると、物理的配置番号=‘a2’、‘a5’、‘a8’、‘a11’の4つの矩形が、灰色表示されている。尚、「局所空調機なし」の物理的配置番号は、後述する図2に示す設定テーブル30を参照すれば分かる。
【0077】
上記灰色以外の他の色が対応する“現在のステータス”は、上記局所空調機の管理情報(不図示)を参照すれば認識/判定できる。すなわち、この管理情報は上記の通り、各局所空調機の局番に対応付けて、各局所空調機の最新の状態データ(正常/異常(故障)、運転状態/停止状態、計測温度(吹出温度)等)や設定値データ(設定温度、設定風量など)が記憶されている。そして、上記色分けテーブルを参照すれば、認識/判定した“現在のステータス”の対応する色を、判定することができる。
【0078】
この判定処理については特にフローチャート図等は示さないが、まず、上記管理情報を参照することで、正常/異常(故障)が“異常(故障)”であった場合には“赤色”と判定し、正常/異常(故障)が“正常”であり且つ運転状態/停止状態が“停止状態”の場合には白色と判定する。また、正常/異常(故障)が“正常”であり且つ運転状態/停止状態が“運転状態”の場合には、計測温度(吹出温度)と設定温度と所定のマージン(本例では±1℃)に基づいて、現在の温度状況を示す色(上記青色、水色、肌色の何れかの色)を判定する。
【0079】
上記の通り、水色の意味は「現在温度=設定温度±1℃範囲」であり、これは現在の吹出温度がほぼ設定温度通りとなっている(適温である)ことを意味している。これに対して、青色と肌色は、現在の吹出温度が適温ではないことを意味しており、青色は冷却過剰、肌色は冷却不足を意味している。
【0080】
すなわち、青色の意味は「現在温度=設定温度−1℃未満」であり、現在の吹出温度が、適正な温度範囲(設定温度±1℃範囲)よりも低い温度となっており、従って冷却過剰状態を意味するものである。肌色の意味は「現在温度=設定温度+1℃超過」であり、現在の吹出温度が、適正な温度範囲(設定温度±1℃範囲)よりも高い温度となっており、従って冷却不足状態を意味するものである。
【0081】
この様に、上記既存の管理情報(不図示)を参照することで、各局所空調機1をその局番によって識別しつつその現在のステータスを示す色を判定することはできるが、物理的配置番号は分からない。この為、予め図2に示す設定テーブル30を登録しておく。設定テーブル30は、コントローラ10の不図示のメモリに記憶されている。
【0082】
図2に示す設定テーブル30は、物理的配置番号と局番とを対応付けて登録したテーブルである。例えば、物理的配置番号=‘a1’と局番=‘1’とが対応付けられている。これより、これを参照することで、局番=‘1’の局所空調機1の現在のステータスを示す色を、図1(b)に示す物理的配置番号=‘a1’の矩形内に表示することができ、本例ではこの色は‘水色’となっている。尚、各物理的配置番号に対応する各矩形の表示座標は、上述した各矩形の表示情報(不図示)を参照すれば分かる。
【0083】
また、尚、図2において物理的配置番号に対応する局番が登録されていないもの(−で示す)は、「局所空調機なし」を意味する。「局所空調機なし」となっている物理的配置番号の矩形は、本例では‘灰色’で表示する。
【0084】
図3に、コントローラ10における上記ステータス表示処理のフローチャート図を示す。
図3において、コントローラ10は、上記のように定期的に各局所空調機1の状態データを収集する(ステップS1)。
【0085】
そして、各局所空調機1毎に、収集した状態データに基づいてステータス判定を行う(ステップS2)。これは、上記局所空調機の管理情報を参照してステータス判定を行うようにしてもよい。
【0086】
判定するステータスの具体例は、正常/異常、運転/停止、温度状況(適温/冷却不足/冷却過剰)等)などである。これは、まず、正常/異常の判定を行い、異常と判定したならば判定結果を保持して本判定処理を終了する。正常と判定した場合には、続いて、運転/停止の判定を行い、停止と判定したならば判定結果を保持して本判定処理を終了する。運転と判定したならば、更に、温度状況(適温/冷却不足/冷却過剰)の判定を行う。これは、上記の通り、測定温度を設置温度と比較することで、適温、冷却不足、冷却過剰の何れかに判定する。
【0087】
続いて、各局所空調機1毎に、上述した不図示の色分けテーブル(上記各ステータスと各色とを対応付けたテーブル)を参照して、上記ステップS2で判定したステータスに対応する色を判別する(ステップS3)。
【0088】
また、各局所空調機1毎に、その局番を用いて上記図2の設定テーブル30を検索して、局番に対応する物理的配置番号を判別する。更に、上述した表示情報を参照して、当該判別した物理的配置番号に対応する矩形の表示座標(XY座標等)を取得する(ステップS4)。
【0089】
そして、各局所空調機1毎に、ステップS3で判別した色を、ステップS4で得た表示座標(XY座標)内に(矩形に)表示する(ステップS5)。
また、特に図示しないが、ステップS5の処理の後に更に、設定テーブル30を参照して、局所空調機1の設置無しの物理的配置番号(対応する局番が登録されていない物理的配置番号)を抽出して、上述した表示情報を参照して、当該設置無しの物理的配置番号に対応する矩形の表示座標(XY座標)を取得し、この矩形内に“灰色”を表示する処理を行いようにしてよい。
【0090】
上述したことから、例えば図1(b)に示す監視画面20を監視者等が見ることで、例えば、局所空調機1の物理的配置(設置の有無も含む)、各局所空調機1の現在のステータス(正常/異常、運転/停止、温度状況(適温/冷却不足/冷却過剰)等)を容易に把握できるようになる。物理的配置で、局所空調機の有無、異常や現在の温度状況等が視覚的に分かり易く把握できるようになる。これは、特に、局番などの機器構成と実際のラックへの配置順番が異なる場合や、局所空調機が設置されていないラックがある場合等に極めて効果的なものとなる。また、メンテ時では異常の機器の配置をすぐに特定でき、迅速な対応が可能となる。
【0091】
また、上記ステップS2のステータス判定で説明したことから、異常がある場合は(または運転停止の場合は)、当該異常(または運転停止)状態を優先表示することになる(温度状況の表示は優先しない)。
【0092】
次に、以下、図4、図5を参照して、監視画面20における設定動作について説明する。
図4に示す監視画面20は、図1(b)に示したものと略同様であり、局所空調機1の設置対象位置である各ラックの物理的配置を示す各矩形が表示されると共に、各矩形毎に、局所空調機1の設置の有無や、局所空調機1のステータス(正常/異常、運転/停止、温度状況(適温/冷却不足/冷却過剰)等)を示す“色”が表示されている。
【0093】
但し、ここで説明する設定動作は、この様な色分け表示は必ずしも必要としない。一方、各ラック(各局所空調機1)の物理的配置を示す各矩形の表示は、必ず必要となる。尚、以下の説明における(1)〜(6)は、図4の図上に示す(1)〜(6)に対応するものである。
【0094】
そして、コントローラ10は、ユーザによる入力装置として例えばタッチパネルを供えている。尚、入力装置としては、キーボード、マウス等であってもよいが、ここではタッチパネルを例にして説明する。尚、勿論、タッチパネルは、上記監視画面20が表示されるディスプレイ上に重ね合わせるようにして配置されるものである。
【0095】
ユーザが、上記監視画面20上の多数の矩形のうちの所望の矩形の表示位置を指先等でタッチすると、タッチパネルとその制御装置(何れも不図示)によってこのタッチ位置座標が検出される。上記のように、各矩形の位置座標(XY座標)は登録されているので、どの矩形が指定されたのかを判別できる。
【0096】
この様にして、ユーザ(管理者等)によって任意の矩形が指定されると(1)、コントローラ10は、ディスプレイ上の任意の位置に(例えば監視画面20の横に)、図示のポップアップ画面21(個別状態表示画面21というものとする)を表示する(2)。この個別状態表示画面21には、上記ユーザによって指定された矩形に対応する局所空調機1に関する各種情報(異常の有無、運転/停止、風量設定値、温度設定値、吹出温度等)が表示される。これは、例えば上記局所空調機の管理情報(不図示)に記憶されている情報が、表示されるものである。
【0097】
尚、ユーザ(管理者等)によって“灰色”の矩形が指定された場合には、上記の通りこのラックには局所空調機1は設置されていないので、上記個別状態表示画面21の表示は行われない。
【0098】
ユーザは、上記個別状態表示画面21を参照することで、局所空調機1の現在の状態の詳細や設定内容を知ることができる。そして、設定内容を変更したい場合には、個別状態表示画面21内の「設定へ」ボタン21aを操作する。この操作に応じて、コントローラ10は、図示の個別設定画面22を表示する(3)。
【0099】
この個別設定画面22は、上記ユーザが指定した矩形に対応する局所空調機1の設定画面である。図示の例では、風量設定値と吹出温度設定値とを任意に設定可能なものとなっている。ユーザが、これら風量設定値、吹出温度設定値を設定後、図示の「実行」ボタン22aを操作すると、コントローラ10は、これらの設定値を通信線7を介して設定対象の局所空調機1へ送信する(4)。更に、これらの設定値によって上記管理情報を更新するようにしてもよい。
【0100】
尚、必ずしも上記個別状態表示画面21と個別設定画面22のような状態表示用と設定用の画面に分ける必要はなく、1つの画面上で状態表示と設定の両方が行われるようにしてもよい。例えば、上記個別設定画面22において局所空調機1の状態データを更に表示するような画面を、上記ユーザ操作(任意の矩形の指定)に応じてポップアップ表示するようにしてもよい。
【0101】
また、アイル全体で設定を一括設定(全局所空調機同一設定)したい場合がある。
全ての局所空調機1を同一の設定としたい場合、上記個別設定で各局所空調機1毎に設定すると、時間が掛かるという問題が生じる。更に、ユーザが任意の矩形の指定を忘れることで、設定抜けとなる局所空調機1が発生する可能性がある等の、オペレーションミスが発生しやすくなる等の問題がある。
【0102】
これより、本例では、図4に示すように、監視画面(全体画面)20上に「一括設定へ」ボタン20aを設けている。ユーザが、この「一括設定へ」ボタン20aを操作することで、図示の一括設定画面23が表示される(5)。図示の例では風量設定値、吹出温度設定値を設定可能となっているが、この例に限らない。
【0103】
ユーザ(管理者等)は、この一括設定画面23上で任意の設定値を入力する。そして、図示の「実行」ボタン23aを操作する。これによって、コントローラ10は、これら設定値を通信線7を介して全ての局所空調機1に対して送信する(例えば、ブロードキャストで送信する)(6)。これより、各局所空調機1は、自己が保持する設定値を、新たに指令された設定値へと更新する。これは、図示の例では、風量設定値、吹出温度設定値を更新することになるが、この例に限らない。
【0104】
尚、当然のことならが、上記各種ボタン(20a等)の表示座標は予め記憶されており、コントローラ10は、ユーザによって操作された位置の座標を検出すると、上記表示座標と比較することで、操作されたボタンを判別する。
【0105】
図5は、上記監視画面上での設定動作に係るコントローラ10の処理フローチャート図である。
図5において、上記監視画面20上でユーザが任意の操作を行うと、コントローラ10は、タッチパネル上で任意の操作(タッチ)があったことを検知して操作された位置の座標を検出すると(ステップS11,YES)、この操作位置座標を、上記予め登録されている各矩形、各ボタンの表示座標と比較することで、ユーザ指示内容を判別する(ステップS12)。例えば、ボタン操作であった場合には、操作されたボタンに割り当てられているコマンドを判別する。任意の矩形の指定であった場合には、指定された矩形に対応する物理的配置番号を判別する。物理的配置番号の判別方法は既に述べた通りである。
【0106】
そして、ステップS12でコマンドを判別した場合には(ステップS13,NO)ステップS14の処理を実行し、ステップS12で物理的配置番号を判別した場合には(ステップS13,YES)ステップS15,S16の処理を実行する。
【0107】
ここで、図4の監視画面20上にはボタンは1つのみであるので(「一括設定へ」ボタン20a)、ステップS12でコマンドを判別した場合には(ステップS13,NO)、これは「一括設定へ」ボタン20aによるコマンドとなる。よって、ステップS14では、上記一括設定画面23を表示する処理を行う。一括設定画面23を表示後の動作については、既に説明してあるので、ここでは説明しない。
【0108】
一方、ステップS12で物理的配置番号を判別した場合には(ステップS13,YES)、まず、上記設定テーブル30を参照することで、この物理的配置番号に対応する局番を判別する(ステップS15)。そして、ステップS15で判別した局番の局所空調機1に関する各種情報(状態データや設定値;異常の有無、運転/停止、風量設定値、温度設定値、吹出温度等)を、上記ポップアップ画面21に表示する(ステップS16)。これは、例えば上記局所空調機の管理情報(不図示)から、上記判別した局番の情報を取得して表示するものである。
【0109】
上述したように、各ラックに収納されるサーバ装置等の電算機は、稼動中は発熱するものであり(主にそのCPU等が発熱する)、発熱量はサーバ装置等の処理負荷によって変動する。サーバの負荷はユーザに依存する。
【0110】
この為、上記局所空調システムの場合、任意のときに任意のラック内のサーバ装置等の処理負荷が高くなり、現在温度が設定温度より高くなった(又は高くなりつつある)場合、管理者は、このラックに対応する局所空調機1の設定温度を下げたり、風量を上げるなどの対応を行う必要がある(個別設定)。
【0111】
サーバの故障はデータ損失という大きな問題となるため、局所空調機を間違えないで設定変更する必要がある。
しかしながら、上記従来技術のようにコントローラ5が各局所空調機1の状態データを局番順(機器構成)等で表示する場合、実際の物理的配置が分からないという問題点があった。例えば、全体画面で設定変更対象の局所空調機を決めて、別の画面の局所空調機リスト一覧から設定変更すべき局所空調機を選択する場合は、局所空調機の選択間違いが発生し易い。
【0112】
また、上記従来技術では上記のように各局所空調機1の状態データをその局番に対応付けて一覧表示する為、どの位置にある局所空調機1の状態データであるのかが、視覚的に分かり易いものとは言い難かった。
【0113】
これに対して、本例のコントローラ10(監視装置)によれば、局所空調機1を物理的配置へ割り付ける設定テーブル30を用意することで、各局所空調機1の物理的配置を示す画面表示を行う。これにより、物理的配置から選択した局所空調機1に対して個別設定を操作ミスなく確実に出来るようになる。また、一括設定を行うこともできる。
【0114】
また、上記のように、設定動作に関しては色分け表示は必ずしも必要としないが、色分け表示も行うようにすることで、設定変更すべき局所空調機1が視覚的に分かり易くなると共に、そのままその局所空調機1(矩形)を指定することで、操作ミスなく確実に、設定変更すべき局所空調機1を指定して設定変更を行うことができる。
【0115】
例えば、上記“肌色”で表示された矩形を指定することで、冷却不足となっている局所空調機1をダイレクトに確実に指定して、例えばその風量設定値を大きくする設定変更を行うことで、冷却不足を解消することが期待できる。
【0116】
また、例えば、図4に示す例では、上記“肌色”で表示された矩形は、物理的配置番号が‘a6’、‘a7’、‘b6’の3つであり、これは図示のアイルにおける中央近辺のエリアが冷却不足となっていることを意味する。これは、このエリアにおけるラック内のサーバ装置等の処理負荷が高くなり、発熱量が増大していることが原因である可能性が高い。
【0117】
よって、このエリアに近い例えば物理的配置番号=‘b7’の局所空調機1は、現在は“水色”(適正)であるが、近い将来、“肌色”(冷却不足)となることが予想される。よって、物理的配置番号=‘b7’の局所空調機1に関しても、例えばその風量設定値を大きくする設定変更を行うこと等も考えられる。尚、その際も、物理的配置番号=‘b7’の局所空調機1を、ダイレクトに確実に指定して設定変更を行うことができる。
【0118】
この様に、物理的配置と共にステータスを色分け表示することで、ユーザはアイルの状態を把握し易くなり設定対象とすべき局所空調機1を的確に判断し易くなり、更に設定対象とすべき局所空調機1をダイレクトに間違いなく指定して適切な設定変更を行うことができ、アイルの状態を迅速に適切な状態に保つことができる。
【0119】
また、尚、ここで、図2に示す例では、B列に関しては局番が‘9’、‘10’、・・・‘15’、‘16’というように、‘9’〜‘16’まで順番に並んでおり、局番などの機器構成と実際のラックへの配置順番が同じである(灰色(設置なし)は無視して考える)。これに対して、A列に関しては図示のように局番が‘1’、‘5’、‘2’、‘6’・・・等というようにバラバラであり、局番などの機器構成と実際のラックへの配置順番が異なるものである。
【0120】
上記B列のように順番通りであるが、全てのラック上に局所空調機が配置されている場合には、上記従来のように局所空調機リスト(局番によるリスト)一覧から設定変更すべき局所空調機を選択する場合でも、局番と物理的配置(設置位置)との関係が分かり易いので、局所空調機の選択間違いが比較的発生し難い。
【0121】
しかしながら、上記B列のように順番通りで且つ“灰色(設置なし)”がある場合には、上記従来のように局所空調機リストを表示する場合、例えば局番=‘9’〜‘16’までを一覧表示するが、ユーザが例えばB列のラック群の図上左から3番目のラックの位置に設置された局所空調機1(物理的配置番号=‘b3’)を選択したい場合に、本来は局番=‘10’を選択すべきところを、上記一覧表示における3番目の局番である局番=‘11’を、誤って選択する可能性がある。
【0122】
上記A列のように局番の順番がバラバラな場合には、当然、従来では、誤って選択する可能性が更に高くなる。
これに対して、上述したように、本例では、設定対象とすべき局所空調機1をダイレクトに間違いなく指定して、設定変更を行うことができる。
【0123】
ここで、上述した各種機能をベースにして、更に、所定時間後(5分後、10分後、30分後等)の温度状態の予測結果(シミュレーション結果)も一緒に、色分け表示する例について、以下に説明する。
【0124】
本例では、上記コントローラ10は、更に後述する(図6に示す)シミュレータ40の機能も有する。尚、シミュレータ40の機能も、上述したコントローラ10の各種機能と同様に、予め上記メモリ等に記憶されているアプリケーションプログラムを、上記CPU/MPU等の演算プロセッサが実行することにより実現される。また、本例では、上記ステップS1の処理の際に当該S1の処理で収集したデータを、データベース(DB)41(上記メモリやハードディスク等)に格納して、収集データを蓄積しておく。収集データの最新値は、リアルタイムデータとして上記監視画面20の表示に利用することになる。
【0125】
ここで、上記温度状態の予測結果とは、上記各局所空調機毎の温度(冷気の吹出温度)だけでなく、コールドゾーンの温度の予測結果も含まれる。この機能は、例えば、設定温度を変更したときに、新たな設定値に応じて所定時間後(5分後、10分後、30分後等)にコールドゾーンの温度がどの様な状態になるのかについて、事前に知りたい場合に、ユーザにとって分かり易い形で予測結果を表示するものである。コールドゾーンの温度とは、例えばコールドゾーン空間において特に床面近くの温度あるいはラック近傍の温度(ラックに吸い込まれる直前の温度)等であるが、これらの例に限定されるものではない。
【0126】
尚、本手法では、所定時間後(5分後、10分後、30分後等)の各局所空調機毎の温度(冷気の吹出温度)は、新たな設定値通りになるものとする。
尚、既に述べたように、上記コールドゾーンは、例えば、複数のラックによって形成される所定空間であって、複数台の局所空調機1からの冷気供給先であると共に各ラックの冷気吸込面が面している空間であると言うこともできる。
【0127】
ここで、本例ではコントローラ10は、例えば上記図4で説明したユーザ操作等に応じて、上記一括設定画面23や個別設定画面22を表示させる代わりに、例えば図6に示す一括設定画面23’や個別設定画面22’を表示させる。これら一括設定画面23’や個別設定画面22’は、上記一括設定画面23や個別設定画面22と殆ど同じであるが、違いとしては図示のように更に「シミュレーション」ボタン23bや「シミュレーション」ボタン22bが設けられていることである。
【0128】
ユーザが、上記一括設定画面23や個別設定画面22の場合と略同様に吹出温度設定値や吹出風量等の設定を任意に行ったうえで、「シミュレーション」ボタン23bや「シミュレーション」ボタン22bを押下すると、シミュレータ40がこれら温度や風量等の設定データや上記ステップS1による収集データ(上記DB41への蓄積データ)や、予め設定されているパラメータ等に基づいて、シミュレーションを実行して予測温度を求める。この予測温度は、各局所空調機1の吹出温度やコールドゾ−ンの温度の所定時間後の予測値である。尚、本例では、各局所空調機1の吹出温度の予測値は、設定温度と同じであるものと見做すものとするが、この例に限らない。
【0129】
上記収集データは、例えば各局所空調機1の吹出温度や吹出風量の設定値と現在値、各局所空調機1への吸込温度/湿度(各ラックからの排気の温度や湿度)等である(センサ計測値の他に、収集先機器が保持している設定値も収集するので、収集データの中に設定値がある)。各ラックはその正面(冷気吸込面)がコールドゾーンに面しており、コールドゾーンの冷気は、正面からラック内に流入してラック内の発熱体(サーバ装置等)を冷却する。そして、発熱体を冷却することで温度上昇して暖気となって排気面(ラック背面または上面)から排出される。排出される暖気は、局所空調機1に吸い込まれて冷却されて、冷気となって吹き出される。例えば上記局所空調機1に吸い込まれる暖気の温度が、上記各局所空調機1への吸込温度(各ラックからの排気の温度)である。尚、上記ラック内に流入する冷気の温度とラックから排出される暖気の温度とに基づいて、発熱体の発熱量を推定できる。
【0130】
更に、不図示の全体空調装置による冷気が、不図示の床下から不図示の床開口部を通ってコールドゾーンに供給される構成の場合には、この冷気の吹出温度、風量(風速)も上記収集データに含まれてよい。また、この場合、上記パラメータとして、例えば床下における冷気の風速、上記床開口部のサイズ(または開口率等)が、予め設定されて記憶されていてもよい。
【0131】
尚、上記パラメータとして、例えば各ラックに収納されるサーバ装置等の電算機の発熱量等があってもよい(発熱量一定と見做す場合等)。勿論、パラメータや収集データは、上述した例に限らず、シミュレーションに必要なものが適宜用いられるものであればよい。
【0132】
尚、ここでは、各局所空調機1の所定時間後(5分後、10分後、30分後等)の吹出温度は、設定温度通りになっていると見做してシミュレーションを実行するものとする。これは、風量に関しても同様であり設定値通りの風量となっているものと見做す。
【0133】
上記シミュレータ40の機能は、既存技術であり、ここでは特に説明しないが、既存技術の一例について簡単に示しておく。例えば参考文献1(特開2010−139119号公報)には、センサの測定データ及びシミュレーションモデルに基づいて、空調室全体の温度分布を求める技術が開示されている。例えば以下に述べる従来技術が開示されている。
・シミュレーションパラメータ部は、入力データ(測定データ及びシミュレーションモデルデータ)をシミュレーションソフトへ送信する。シミュレーションソフトは、下記のシミュレーションを実行する。
(1)パラメータを取得し、実行コマンドを入手する。
(2)室内レイアウトをメッシュ分割する。
(3)パラメータ(室内機器(サーバ/ラック、ファン、空調機)の発熱量、空調機吹出温度、風量、初期室内温度)より、シミュレーションを実行し、室内の温度分布、サーバ/ラックの吸込温度を算出する。
(4)メッシュ単位での温度分布を算出し、サーバ/ラックの吸込温度の結果を出力する。
【0134】
また、例えば、参考文献2(特開2008−82597号公報)には、シミュレーション処理部が、取得された温度状態(各機器の周辺温度)に基づいて調整可能な温調条件(強弱2段階の冷却度及び強弱2段階の冷却用空気吹出強さ)を当初条件から変更しつつ機器室の温度状態を予測することが開示されている。
【0135】
あるいは、例えば参考文献3(「高発熱データサーバに対応した効率的iDC空調システムの検討」;諏訪好英、井口日文; 大林組技術研究所報 No.72 2008)には、パッケージエアコンから床下を介して送風を行い、コールドアイルに設置した床吹き出し口から室内に給気し、サーバラックからの熱排気を含む空気はホットアイルを介してパッケージエアコンに回収する空調システムを対象として、熱気流シミュレーションを実施することが開示されている。
【0136】
この参考文献3には、サーバルームをモデル化し、非等温型SGSモデル等を用いる熱気流シミュレーションを行うことが開示されている。また、シミュレーション結果として、コールドアイル中央、ラック吸い込み面(コールドアイル)、ラック中央、ラック排気面(ホットアイル)それぞれにおける気流分布、温度分布が示されている。コールドアイルに関するシミュレーション結果では、床下から冷気が吹き出してコールドアイル空間の温度を下げる様子が示されている。コールドアイルの床には、各所に孔(吹き出し口)が設けられており、この吹き出し口から冷気が吹き出されてコールドアイル空間に流入する。
【0137】
本手法では、例えば、上記床の各孔から冷気が供給されるモデルを、上述した各局所空調機1から冷気が供給されるモデルに置き換えて、上記参考文献3と略同様のシミュレーションを行えばよい。但し、参考文献3には、更に、「天井吹き出し方式」についても開示されている。この「天井吹き出し方式」では、コールドアイルの天井に空調吹き出し口を設け、ホットアイルの天井にレターン吸い込み口を設けた方式であり、そのシミュレーション結果が示されている。このシミュレーション結果では、天井の空調吹き出し口から供給された気流は、床面まで到達・衝突する。本手法では、この様な「天井吹き出し方式」に係るシミュレーション方法を、ほぼそのまま利用することで(天井の空調吹き出し口からの冷気供給を、各局所空調機1からの冷気供給に置き換えることで)、シミュレーションを実現可能である。
【0138】
また、上記参考文献3には、上記冷気の上記吹き出し口からの風速に応じて、風速が不十分な場合、適正な場合、過大な場合のシミュレーション結果も示されており、本手法においても上記各局所空調機1から吹き出される冷気の風速を任意に変えながら、シミュレーションを行うようにしてもよい。
【0139】
上記「天井吹き出し方式」に係るシミュレーションに関しては、更に、例えば参考文献4(「データセンタ向け高効率空調システム「Cool Air Capture」の開発」;諏訪好英、井口日文; 大林組技術研究所報 No.73 2009)に開示がある。
【0140】
参考文献4には、例えばサーバルーム規準モデルの緒元として、床面積、床吹出し温度、床吹出し口の数、空調風量、発熱量、ラック寸法、ラックの風量等が示されており、また、シミュレーションの基礎方程式や上記の非等温型SGSモデル等が示されている。そして、上記「天井吹き出し方式」に係るシミュレーション結果として、コールドアイル中央、ラック吸い込み面(コールドアイル)、ラック排気面(ホットアイル)それぞれにおける気流分布、温度分布が示されている。
【0141】
上述した参考文献1〜3の従来技術は、空調システムの室内温度分布シミュレーション技術の一例を示すものであり、本例のシミュレータ40が実行するシミュレーション手法は、これらの例に限らない。参考文献1〜3は、従来技術の一例を紹介したものであり、その技術内容の詳細についてはここでは特に記載しない。
【0142】
何れにしても、シミュレータ40によって、新たな設定値と、DB41に蓄積された収集データと、予め定義されているパラメータなどに基づいて、所定時間後(5分後、10分後、30分後等)のサーバルーム内の各所の温度分布が得られることになる。ここでは一例として、所定時間後のコールドゾーンの温度分布が、シミュレーション結果として得られるものとする。これは、例えば、コールドゾーン内の各所の床面近傍部分(あるいはラック吸い込み面近傍)の温度分布を意味するものとするが、この例に限らない。
【0143】
また、上記の通り、各局所空調機1からの冷気吹き出し温度は、設定温度になっているものとする。
これより、コントローラ10は、上記シミュレータ40によるシミュレーション結果等も更に用いて、上記監視画面20の表示処理と略同様の処理等も行いながら、以下に説明するようにして後述する全体画面50の表示を行う。
【0144】
すなわち、まず、上記シミュレーション結果(各所の予測温度;コールドゾーンの温度分布や各局所空調機1からの冷気吹出温度)を、所定時間後(5分後、10分後、30分後等)の温度ステータス(未来の温度ステータス)として、上記図3のステップS3と略同様の処理によって、これら未来の温度ステータスに対応する色を判別する。但し、ステップS3では、現在温度と設定温度との差を示す色を判定したが、ここでは上記各予測温度に応じた色を判定する。
【0145】
すなわち、例えば、予め下記のように、各温度範囲とこの各温度範囲に応じた色を記憶しておく。
藍色 : 10℃以下
青色 : 11℃〜14℃
水色 : 15℃〜18℃
黄色 : 19℃〜22℃
橙色 : 23℃〜26℃
赤色 : 27℃以上
そして、上記シミュレーション結果(各所の予測温度;コールドゾーンの温度分布や各局所空調機1からの冷気吹出温度)それぞれについて、その温度が該当する温度範囲を求め、この温度範囲に対応する色を求める。
【0146】
そして、上記求めた色を用いてシミュレーション結果を表示する。これは、例えば図6に示す全体画面50のように、上述した監視画面20(現在の温度ステータスを示す色表示画面)内に、シミュレーション結果表示画面52を挿入する形で、現在と未来の両方の温度ステータスを一緒に色分け表示するものである。
【0147】
すなわち、図6に示す全体画面50において、現在ステータス表示部分51が、上記監視画面20の表示内容に相当し、図示の通り、A列、B列それぞれの温度状況を示す色分け表示(各列毎にその列の各局所空調機1の吹出口付近の温度に応じた色分け表示)が行われている。そして、本例では上記監視画面20では空白部分となっていたコールドゾーンの領域に、シミュレーション結果表示画面52を挿入する形で表示を行っている。
【0148】
ここで、図7に、シミュレーション結果表示画面52の具体例を示す。
図7には、上記全体画面50の具体例を示すと共に、そのシミュレーション結果表示画面52の拡大図を示している。この拡大図に示す例では、シミュレーション結果表示画面52は、操作(送り/戻り)ボタン61、時間情報62、シミュレーション結果画面70等から成る。但し、操作(送り/戻り)ボタン61と時間情報62は、必ずしも必要なものでない(例えば5分後のみをシミュレーションすると決まっている場合等は、必要なくなる)。
【0149】
ここでは、上記シミュレータ40によって、各所定時間後(5分後、10分後、30分後等)の未来の温度ステータスが求められて、それぞれに応じた色分け表示画面が作成されているものとする。ユーザは、操作(送り/戻り)ボタン61を操作することで任意の時間5分後、10分後、30分後等)を指定することができ、これによって指定された時間(5分後、10分後、30分後等)が時間情報62に表示されると共に、指定された時間に応じた上記色分け表示画面が、シミュレーション結果画面70(予測結果画面70)として表示される。尚、例えば、初期設定値は例えば5分となっており、ユーザが操作しなくても5分後の各温度予測値に応じた色分け表示が、シミュレーション結果画面70で行われるようになっていてもよい。
【0150】
尚、シミュレーション結果画面70は、上記監視画面20の上に重ねて表示されるポップアップ画面であってもよい。
上記色分け表示画面(シミュレーション結果画面70)自体は、上記監視画面20と略同様であってよく、上記の通り各局所空調機1の物理的配置を矩形で示すと共に、各矩形内に対応する色(上記シミュレーション結果として得られた、各局所空調機1の冷気吹出温度の予測値に対応する色)を表示するものである(図示の符号71、72で示す予測ステータス表示)。各矩形に対応する色は、上記の通り既に求められている。但し、監視画面20ではコールドゾーンに関する色分け表示は行っていない。これに対して、上記シミュレーション結果ではコールドゾーンの温度分布も求められており、この温度に応じた色も求められているので、図示のコールドゾーン温度表示部73のようにコールドゾーン内の各所の予測温度を色分け表示する。
【0151】
但し、コールドゾーン温度表示部73の表示に関しては、上記の例に限らない。例えば、各局所空調機1からの冷気吹出温度が、設定温度通りとなっているならば、コールドゾーンの温度も設定温度とほぼ同じ(もしくはプラス1,2℃程度の温度)となっていることが、正常な状態と考えることもできる。この場合、コールドゾーンの予測温度と設定温度(もしくはプラス1,2℃程度)とを比較することで、上記「適温/冷却不足/冷却過剰」の何れかの温度状況を判定するようにしてもよい。そして、判定した温度状況に応じた色を、コールドゾーン温度表示部73に表示するようにしてもよい。
【0152】
尚、コールドゾーンは、通常、作業員等が通行したり作業を行ったりする役割も兼ねているので、コールドゾーンの温度を測定する温度センサを設置することは(作業員等の妨げになるために)現実上は困難である。この為、上記監視画面20ではコールドゾーンの現在温度を示す色分け表示は行っていないが、これはシミュレーションでは予測できるので、シミュレーション結果画面70ではコールドゾーンの色分け表示も行っている。
【0153】
上述した現在及び未来の温度状態の色分け表示を行うコンピュータ装置(コントローラ10等)を、例えば局所空調機管理装置や制御装置等と呼ぶ場合もあるものとする。
本例の局所空調機管理装置(制御装置)では、上述したように、例えば、各特定図形(例えば矩形等)毎に、その特定図形に対応する局所空調機1の現在の温度ステータスを示す色分け表示を行うと共に、シミュレーション結果に基づいて、任意の時間後(5分後、10分後等)の各局所空調機1の予測温度ステータス(予測温度状態等)を示す色分け表示も行い、更に、任意の時間後の複数の局所空調機1(複数のラック)に係る特定領域(コールドゾーン等)の予測温度状態を示す色分け表示も行うものである。
【0154】
上記現在の温度ステータスには、設定温度と測定温度を比較することで判定される適温/冷却不足/冷却過剰の何れかの温度状況が含まれ、これら適温/冷却不足/冷却過剰の何れかの温度状況を示す色を表示する。
【0155】
一方、上記予測温度ステータスや特定領域に係る色分け表示は、予め各温度範囲とこの各温度範囲に応じた色が登録されており、予測温度に応じた(該当する温度範囲に応じた)色が表示される。但し、この例に限らず、特定領域に係る色分け表示は、上記現在の温度ステータスの場合と略同様にして、設定温度と予測温度を比較することで適温/冷却不足/冷却過剰の何れかの温度状況を判定して、これら適温/冷却不足/冷却過剰の何れかの温度状況を示す色を表示するようにしてもよい。
【0156】
各局所空調機の物理的配置を示す画面上で、各局所空調機の現状が、適正かあるいは冷却不足/冷却過剰となっているのか、更に未来の温度状態(コールドゾーンも含む)がどの様になるのか等を、色分け表示によって視覚的に分かり易く表示することができ、ユーザは現在及び未来の空調状態を把握し易くなる。温度状況に関して、現在の温度状態と未来の温度状態とを比較することもできる。
【0157】
また、一般的に、各局所空調機1から吹き出される冷気の温度(吹出温度)は、設定値通りとなっていても、コールドゾーンの空気の温度が所望の温度となっているとは限らないので、この点を視覚的に容易に確認することもできる。コールドゾーンの空気の温度が所望の温度とならないと予測された場合には(例えば、黄色や橙色の表示が行われたならば)、更に設定温度を下げる等して、所望の温度となるまで(例えば水色の表示になるまで)、設定変更を行う等の対応を行うこともできるようになる。
【0158】
尚、上述した説明では、吹出温度の設定温度を変更した場合を例にしているが、この例に限らず、局所空調機1からの冷気の吹出風量の設定値を変更した場合、または吹出温度と吹出風量の両方の設定値を変更した場合にも、上記シミュレーションを行って、シミュレーション結果に応じた表示を行うことができる。
【0159】
この様な表示を行うことで、吹出温度または/及び吹出風量の設定値を変更した場合に、新しい設定値でのコールドゾーン等の温度分布(予測)が分かり、新たな設定値の妥当性を事前に評価できるようになる(従来では、変更後、ある程度の時間が経過しないと分からなかった)。結果的に、新たな設定値が妥当ではない(適切とは言えない)と評価されるならば、直ちに、別の設定値に変えて再度シミュレーションを行うことで、短時間で適切な設定値を探し出すことができる。例えば、サーバ装置の負荷が増大したので(よって発熱量が増大する)、設定温度を1℃下げたとき、それによって発熱量の増大に対応できるのか(コールドゾーンの温度が、サーバ装置を適切に冷却できるような温度であるのか)等を、判断できる。
【0160】
図8は、上記コントローラ10の構成・機能ブロック図である。
図8において、コントローラ10は、通信インタフェース101、メモリ102、CPU/MPU等の演算プロセッサ103、表示部104、入力部105等を有する。
【0161】
通信インタフェース101は、上記通信線6や通信線7に接続して、通信線6または通信線7を介して、冷熱源ユニット2を制御したり、各局所空調機1を監視・制御する為の通信を行う為の通信モジュールである。
【0162】
表示部104は、ディスプレイ等であり、例えば上記監視画面(全体画面)20、個別状態表示画面21、個別設定画面22、一括設定画面23等の各種画面を表示する。
入力部105は、例えば上記一例ではタッチパネルであるが、この例に限らず、キーボード、マウス等であってもよい。
【0163】
メモリ102には、上述した各種情報(設定テーブル30や局所空調機1の管理情報(不図示)等)が記憶される。
また、メモリ102には予め所定のアプリケーションプログラムが格納されており、演算プロセッサ103は、このアプリケーションプログラムを読出・実行することにより、図示の各種処理機能部の処理を実現する。
【0164】
すなわち、演算プロセッサ103は、全体画面制御部111、個別設定支援部112、一括設定支援部113、シミュレーション部114の各処理機能部を実現する。また、全体画面制御部111は、色分け表示部111aを有する。
【0165】
全体画面制御部111は、各局所空調機1(あるいは各ラック)の物理的配置を示す各特定図形(上記の例は矩形であるが、この例に限らない)を全体画面(監視画面)20上に表示する。
【0166】
個別設定支援部112は、全体画面20上で任意の特定図形(矩形等)をユーザが指定する操作があってこれを検出した場合、この指定された特定図形に対応する局所空調機1を判別して(上記の通り、設定テーブル30を参照すれば判別できる)、この判別した局所空調機1の設定を任意に行わせる為の個別設定画面22を表示する。
【0167】
尚、上記の例ではまず個別状態表示画面21を表示した後に個別設定画面22を表示したが、既に述べたようにこの様な例に限らず、例えば上記特定図形(矩形等)の指定に応じて個別設定画面22を表示するようにしてもよく、その後に個別状態表示画面21を表示するようにしてもよく、あるいはこの様に2つの画面を用いることなく、個別設定画面22と個別状態表示画面21を1つの画面上でまとめて表示するようにしてもよい。
【0168】
何れにしても、各局所空調機1の物理的配置を示す全体画面上でユーザが任意の位置を指定するだけで、その位置に対応する局所空調機1の設定や状態表示を行うことができ、間違いなく確実に設定を行うこと等ができる。
【0169】
一括設定支援部113は、全体画面20上で一括設定コマンドを指定する操作があった場合(上記「一括設定へ」ボタン20aが操作された場合)、複数台の局所空調機1全てに同一の設定を行わせる為の一括設定画面23を表示する。上記の通り、ユーザは、この一括設定画面23上で所望の設定を行える。
【0170】
また、上記全体画面制御部111(その色分け表示部111a)は、上記各特定図形(矩形等)毎にその特定図形に対応する局所空調機1の現在のステータスを示す色を表示する。現在のステータスには、設定温度と測定温度を比較することで判定される温度状況(適温/冷却不足/冷却過剰の何れか)が含まれ、色分け表示部111aは当該適温/冷却不足/冷却過剰の何れかを示す色を表示する。尚、上記の例では、適温は水色、冷却不足は肌色、冷却過剰は青色で表示したが、勿論、この様な例に限るものではなく、色は自由に設定できる。
【0171】
また、上記全体画面制御部111(その色分け表示部111a)による色の表示には、上記ステータスを示す色の表示以外に、局所空調機1が設置されていないことを示す色(本例では灰色であるが、この例に限るものではない)の表示も含まれる。また、上記の通り、異常や停止中を示す色(赤、白)等の表示も含まれる。
【0172】
また、上記シミュレーション部114は、上記シミュレータ40に相当する処理機能部であり、上記シミュレーション結果(5分後結果、10分後結果など)を上記全体画面制御部111に渡して、現在の温度ステータスだけでなく未来の温度ステータス、更に未来のコールドゾーンの温度ステータスも、色分け表示させる。
【0173】
すなわち、上記全体画面制御部111は、更に、上記シミュレーション部114から渡されたシミュレーション結果に基づいて、上記現在の温度ステータスと同様に上記ステップS3〜S5と略同様の処理により色分け表示を行う。この表示は、例えば、シミュレーション結果を用いて上記監視画面20と略同様の画面を作成し、この画面を所定の縮小率で縮小して上記画面70を作成したうえで、この画面を上記現在のステータスの色分け表示画面(監視画面20)内の所定位置に嵌め込むようにして表示させる(例えば図7に示すように表示させる)。勿論、この様な例に限らず、例えば、上記現在の温度ステータスの色分け表示画面(監視画面20)の近傍(方向は上下左右方向の何れか)に、上記シミュレーション結果に基づく色分け表示画面70を表示させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0174】
1 局所空調機
2 冷熱源ユニット
2a 凝縮器
2b 冷媒圧送ユニット
2c インバータ
3 冷媒往路配管
4 冷媒復路配管
6 通信線
7 通信線
10 コントローラ
20 監視画面
20a 「一括設定へ」ボタン
21 個別状態表示画面
21a 「設定へ」ボタン
22 個別設定画面
22’ 個別設定画面
22a 「実行」ボタン
22b 「シミュレーション」ボタン
23 一括設定画面
23’ 一括設定画面
23a 「実行」ボタン
23b 「シミュレーション」ボタン
30 設定テーブル
40 シミュレータ
50 全体画面
51 現在ステータス表示部分
52 シミュレーション結果表示画面
61 操作(送り/戻り)ボタン
62 時間情報
70 シミュレーション結果画面
71 予測ステータス表示
72 予測ステータス表示
73 コールドゾーン温度表示部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々に発熱体が搭載された複数台のラックが設置された電算機室内において前記複数のラックに対応して設置される複数台の局所空調機と、該複数台の局所空調機を監視・制御する制御装置を有する局所空調システムであって、
前記制御装置は、
前記各局所空調機の物理的配置を示す各特定図形を、全体画面上に表示すると共に該全体画面内またはその近傍に配置される予測結果表示画面内にも表示する特定図形表示手段と、
前記各局所空調機に係る測定温度を含む測定データを収集して、該測定データに基づいて各局所空調機に係る現在の温度ステータスを示す色を判定し、該判定した色をその局所空調機に対応する前記全体画面上の特定図形に表示する現在ステータス色分け表示手段と、
前記測定データと任意の設定温度に応じて、前記各局所空調機に係る所定時間後の予測温度と、前記複数のラックによって形成される所定空間の前記所定時間後の予測温度とをシミュレーションにより求めるシミュレーション手段と、
前記各局所空調機に係る前記所定時間後の予測温度に応じた色を判定して、該判定した色を前記予測結果表示画面内の前記特定図形に表示すると共に、前記所定空間の前記所定時間後の予測温度に応じた色を判定し、該判定した色を前記予測結果表示画面内の該当領域に表示する予測温度色分け表示手段と、
を有することを特徴とする局所空調システム。
【請求項2】
前記シミュレーション手段は、前記各局所空調機に係る前記所定時間後の予測温度が前記設定温度であるものとすることを特徴とする請求項1記載の局所空調システム。
【請求項3】
前記複数のラックによって形成される前記所定空間は、前記複数台の局所空調機からの冷気供給先であると共に前記各ラックの空気吸込口が面している空間であるコールドゾーンであることを特徴とする請求項1記載の局所空調システム。
【請求項4】
前記全体画面上で任意の前記特定図形を指定する操作があった場合、該指定された特定図形に対応する前記局所空調機を判別して、該判別した局所空調機の温度設定を任意に行わせる為の個別設定画面を表示する個別設定支援手段を更に有することを特徴とする請求項1記載の局所空調システム。
【請求項5】
前記全体画面上で一括設定コマンドを指定する操作があった場合、前記複数台の局所空調機全てに同一の温度設定を行わせる為の一括設定画面を表示する一括設定支援手段を更に有することを特徴とする請求項1記載の局所空調システム。
【請求項6】
前記現在の温度ステータスを示す色は、前記設定温度と前記測定温度とを比較することで判定される適温/冷却不足/冷却過剰の何れかの温度状況を示す色であることを特徴とする請求項1記載の局所空調システム。
【請求項7】
各々に発熱体が搭載された複数台のラックが設置された電算機室内において前記複数のラックに対応して設置される複数台の局所空調機と、該複数台の局所空調機を監視・制御する制御装置を有する局所空調システムにおける前記制御装置であって、
前記各局所空調機の物理的配置を示す各特定図形を、全体画面上に表示すると共に該全体画面内またはその近傍に配置される予測結果表示画面内にも表示する特定図形表示手段と、
前記各局所空調機に係る測定温度を含む測定データを収集して、該測定データに基づいて各局所空調機に係る現在の温度ステータスを示す色を判定し、該判定した色をその局所空調機に対応する前記全体画面上の特定図形に表示する現在ステータス色分け表示手段と、
前記測定データと任意の設定温度に応じて、前記各局所空調機に係る所定時間後の予測温度と、前記複数のラックによって形成される所定空間の前記所定時間後の予測温度とをシミュレーションにより求めるシミュレーション手段と、
前記各局所空調機に係る前記所定時間後の予測温度に応じた色を判定して、該判定した色を前記予測結果表示画面内の前記特定図形に表示すると共に、前記所定空間の前記所定時間後の予測温度に応じた色を判定し、該判定した色を前記予測結果表示画面内の該当領域に表示する予測温度色分け表示手段と、
を有することを特徴とする局所空調システムの制御装置。



【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図8】
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【図1】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−225590(P2012−225590A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−94500(P2011−94500)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(000005234)富士電機株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】