説明

居室の暖房装置

【課題】床暖房用の温水マットと壁暖房用の温水パネルとを組み合わせた方式の暖房装置であって、エネルギーを浪費することなく、居室内をより快適に暖房できる居室の暖房装置を提供する。
【解決手段】居室の暖房装置は、床仕上材の下地として敷設される床暖房用の温水マット(1)と、壁面に敷設される壁暖房用の温水パネル(2)と、温水マット(1)及び温水パネル(2)に温水を供給する給湯装置とから成る。給湯装置は、温水供給操作を制御する制御手段の機能により、暖房運転の開始と共に温水マット(1)及び温水パネル(2)へ温水を供給し、暖房運転の開始から5〜60分経過した後は温水マット(1)だけに温水を供給する様に構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、暖房装置に関するものであり、詳しくは、床暖房用の温水マットと壁暖房用の温水パネルとを組み合わせた方式の暖房装置であって、エネルギーを浪費することなく暖房効果を高める様にした居室の暖房装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
居室の床暖房においては、給湯装置から供給した温水を循環させる構造の温水マットがフローリング等の下地として使用される。温水マットは、「床暖房マット」や「温水シート」と称して種々提案されており、発泡樹脂成形体から成る板状基材と、当該板状基材の表側の溝に配置された通水管と、板状基材の表側表面に貼着された放熱シートとから主に構成され、給湯装置から供給した温水を通水管に循環させることにより、温水の熱を放熱シートによってフローリングに伝達する様になされている。
【特許文献1】特開2000−65365号公報
【特許文献2】特開2002−115854号公報
【0003】
また、居室の暖房手段としては、上記の温水マットと同様の構造を備えた温水パネルを居室の壁に適用することにより、温水パネルからの輻射熱によって暖房を行ういわゆる壁暖房も検討されている。壁暖房に関する技術としては、前述の「温水シート」を居室の壁に組み込んだ「壁暖房システム」の他、壁面に取り付ける様にした「壁暖房パネル」等が提案されている。
【特許文献3】特開2006−234341号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、温水マットを使用した床暖房は、足元の加温には効果的であるが、部屋全体を暖房するには長時間に渡って稼働させる必要がある。これに対して、壁パネルを使用した壁暖房は、輻射熱によって身体を加温するため、即効性はあるが、足元周辺に対する暖房効果が少ないと言う特性がある。従って、床暖房と壁暖房を併用するならば、より暖房効果を高められ、居室の快適性を向上できると考えられる。
【0005】
しかしながら、床暖房と壁暖房を併用した場合には、実際、給湯装置において消費する総熱量が大きくなるばかりか、長時間経過後は過剰暖房になることが確認された。具体的には、運転開始から2時間程度を経過した以降は、居室の空気自体が高温に感じられ、不快感を生じる様になる。勿論、センサー等で室温を検出し、温水マットや温水パネルへの給湯量を室温に応じて調節する様な制御方法も考えられるが、斯かる制御方法も、給湯量の調節に対する室温の応答が遅いため、実用性に欠けると言う問題がある。
【0006】
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、床暖房用の温水マットと壁暖房用の温水パネルとを組み合わせた方式の暖房装置であって、エネルギーを浪費することなく、居室内をより快適に暖房できる居室の暖房装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明では、床暖房用の温水マットと壁暖房用の温水パネルを併用して暖房するに当たり、運転当初は給湯装置から温水マットと温水パネルの両方へ温水を供給する操作により、主に温水パネルからの輻射熱によって暖房効果を得ると共に、温水マットによってフローリング等の床仕上材を徐々に加温し、運転開始から特定時間経過した時点で給湯装置から温水パネルへの温水供給を停止し且つ温水マットだけに温水を供給する操作に切り替えることより、温水マットによって予め加温された床仕上材からの熱伝導および床仕上材からの輻射熱によって暖房効果を得る様にした。
【0008】
すなわち、本発明の要旨は、居室の床に床仕上材の下地として敷設され且つ温水の循環によって床仕上材を加温する床暖房用の温水マットと、居室の壁に敷設され且つ温水の循環によって居室空間を加温する壁暖房用の温水パネルと、前記温水マット及び前記温水パネルに温水を供給する給湯装置とから成る居室の暖房装置であって、前記給湯装置における温水供給操作を制御する制御手段を含み、前記給湯装置は、前記制御手段の機能により、暖房運転の開始と共に前記温水マット及び前記温水パネルへ温水を供給し、暖房運転の開始から5〜60分経過した後は前記温水マットだけに温水を供給する様に構成されていることを特徴とする居室の暖房装置に存する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、運転開始から特定の時間は壁暖房用の温水パネルによる急速な暖房効果が得られ、運転開始から特定時間経過した後は床暖房用の温水マットだけを稼働させて当該温水マットによる暖房効果が得られるため、必要以上にエネルギーを消費することなく、かつ、過剰な加温を防止でき、居室内をより快適に暖房できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明に係る居室の暖房装置(以下、「暖房装置」と略記する。)の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
本発明の暖房装置は、図1に示す様に、居室の床に床仕上材の下地として敷設され且つ温水の循環によって床仕上材を加温する床暖房用の温水マット(1)と、居室の壁面に敷設され且つ温水の循環によって居室空間を加温する壁暖房用の温水パネル(2)と、温水マット(1)及び温水パネル(2)に温水を供給する給湯装置(3)(図2参照)とから主に構成される。
【0012】
床暖房用の温水マット(1)は、フローリング等の床仕上材の下地として、ベニヤ等の構造用合板やパーティクルボード或いはコンクリートスラブ等から成る床下地の上に敷設される。温水マット(1)は、図3に示す様に、発泡樹脂成形体から成る断熱材としての板状基材(11)と、当該板状基材の表側の溝(13)に配置された温水循環路としての通水管(14)と、板状基材(11)の表側表面に貼着された放熱シート(15)とから主として構成される。そして、給湯装置(3)から供給した温水を通水管(14)に循環させることにより、温水の熱を放熱シート(15)によって全面に拡散し且つ床仕上材に伝達する様になされている。
【0013】
板状基材(11)は、平面形状が例えば細長の長方形に形成された厚さ7〜20mm程度の薄板状の発泡樹脂成形体の小片を多数配列して構成される。板状基材(11)を構成する発泡樹脂成形体としては、硬質ポリウレタン発泡体、硬質ポリエチレン発泡体、硬質ポリプロピレン発泡体、ポリスチレン発泡体、フェノール樹脂発泡体、硬質ポリ塩化ビニル発泡体、ポリメチルメタクリレート発泡体、ポリカーボネート発泡体、ポリフェニレンオキサイド発泡体、ポリスチレンとポリエチレン混合物の発泡体などが挙げられる。
【0014】
板状基材(11)には、上方からの鉛直荷重を支持すると共に、釘や接着剤で床仕上材を固定し且つビスや釘で温水マット(1)を床下地に固定するため、根太状部材(12)が所定の間隔で平行に挿入される。根太状部材(12)は、スギ、サクラ、ヒノキ、ラワン及び合板などの木材または硬質発泡樹脂から成る幅40〜50mm程度の小割り状の部材である。なお、板状基材(11)は、取扱いの際に折り畳める様に分断されていてもよく、また、裏面には、遮音材として不織布などが貼設されてもよい。
【0015】
通水管(14)は、板状基材(11)の成型時にその表面に形成された溝(13)に対し、放熱シート(15)に接触する状態で配置される。通水管(14)としては、外径4〜10mm、内径4〜7mmの架橋ポリエチレン管、ポリブテン管、ポリプロピレン管、ポリエチレン管などの樹脂管が使用される。温水マット(1)の上面側への出力を高め且つ放熱効率を高めるため、通水管(14)の少なくとも一部分、例えば直線部は、その長さ方向に直交する断面がU字状に形成された樋状の金属製伝熱部材(図示省略)に収容して上記の溝(13)に配置されてもよい。
【0016】
板状基材(11)上においては、当該板状基材の両端部で多数回折り返すパターンで少なくとも1本の通水管(4)を配置することにより、当該板状基材の略全面に亘って循環する温水循環路が少なくとも1系統、例えば図示する様に4系統構成される。そして、各系統の通水管(14)は、温水分配回収用ヘッダー(図示省略)に繋ぎ込まれる。なお、温水分配回収用ヘッダーは、板状基材(11)の例えば1つの角部(図3(b)では左下隅部)に設けられた切込み構造のヘッダー取付部(16)に取り付けられる。温水循環路を複数組構成した場合には、各系統における温水の温度低下を少なくしてマット全体で均一に放熱し且つ出力を高めることが出来る。
【0017】
放熱シート(15)は、厚さが通常は10μm〜200μm、好ましくは30μm〜100μmで且つ熱伝導性に優れた可撓性のフィルム又はシート、例えば、アルミニウム箔、錫箔、銅箔、ステンレス鋼箔などの金属箔、金属製の織布や不織布、樹脂フィルム又は樹脂シート、あるいは、これらを組合せた積層シート等によって構成される。放熱シート(15)は、板状基材(11)及び根太状部材(12)の表面に接着剤や接着剤フイルム等よって貼着される。
【0018】
壁暖房用の温水パネル(2)は、居室の壁面に組み込むことも出来るが、施工性を高める観点から、通常は壁面に取り付けられる。温水パネル(2)は、図4に示す様に、上記の温水マット(1)と略同様の構造を備えており、断熱材としての板状基材(21)と、当該板状基材の表側の溝(23)に配置された温水循環路としての通水管(24)と、板状基材(21)の表側表面に貼着された放熱シート(25)とから主として構成される。そして、給湯装置(3)から供給した温水を通水管(24)に循環させることにより、温水の熱を放熱シート(25)によって全面に拡散し且つ室内に放射する様になされている。
【0019】
板状基材(21)は、前述の温水マット(1)の板状基材(11)と同様の厚さ7〜20mm程度の薄板状の発泡樹脂成形体によって構成される。図示しないが、板状基材(21)には、前述の根太状部材(12)に代えて、前述と同様の木材または硬質発泡樹脂から成る補強用の桟が挿入されてもよい。また、板状基材(21)の裏面には補強用薄板が積層されてもよい。
【0020】
通水管(24)は、前述の温水マット(1)の通水管(14)と同様の管で構成され、板状基材(21)の表面に形成された溝(23)に対して放熱シート(25)に接触する状態で配置される。そして、前述の通水管(14)と同様に、通水管(24)の少なくとも一部分は、前述と同様の樋状の金属製伝熱部材(図示省略)に収容して上記の溝(23)に配置されてもよい。板状基材(21)における通水管(24)の配置パターン、温水循環路の構成、温水分配回収用ヘッダーを使用した繋ぎ込み構造は、前述の温水マット(1)におけるのと同様である。また、放熱シート(25)も、前述の温水マット(1)におけるのと同様の材料で構成され、接着剤などによって板状基材(21)の表面に貼着される。
【0021】
上記の温水パネル(2)においては、パネルとしての剛性を確保し且つ意匠性を高めるため、板状基材(21)の外周部に額縁状の見切り縁(27)が取り付けられる。また、放熱シート(25)は、居室内に露出するため、その表側表面が塗装、フィルムコーティング、研磨仕上などによって意匠面として構成される。
【0022】
更に、図示しないが、温水パネル(2)の表側表面には、放熱シート(25)として、その投影面積よりも表面積の大きな立体的意匠面を備えたシートが貼着されてもよい。立体的意匠面としては、凹凸模様が形成された意匠面、植物や自然を模った造形物が配置された意匠面などが挙げられる。斯かる立体的意匠面は、上記の意匠部分が予め設けられたシートをフィルム状の放熱シート(25)に積層することにより構成されてもよいし、あるいは、放熱シート(25)に意匠部分を予め一体的に形成することにより構成されてもよい。
【0023】
また、温水パネル(2)の表側表面および/または背面側表面には、居室の湿度に応じて水蒸気を吸脱着する湿度調整材料が塗布されてもよい。湿度調整材料としては、室温の範囲内において水蒸気を吸脱着する特性のゼオライト、シリカゲル、活性炭などの吸着材、あるいは、珪藻土、漆喰などが挙げられる。上記の湿度調整材料は、通常、前述の放熱シート(25)(意匠面)の表面に塗布される。また、後述する様に、壁面との間に隙間(29)(図4参照)を設けて温水パネル(2)が配置される場合には、湿度調整材料が温水パネル(2)の背面側表面、または、表側表面(放熱シート(25)の表面)及び背面側表面に塗布されてもよい。湿度調整材料を塗布した場合には、室内の湿度調整に寄与できる。
【0024】
温水パネル(2)は、通常は壁面の天井下1m以上の高さ、好ましくは床から1.8m以上の高さで且つ壁の全周に亘って配置される。造付けの家具などがある場合は壁の一部に配置される。温水パネル(2)の設置高さを上記の範囲とすることにより、窓や家具に干渉されることが少ないため、温水パネル(2)の設置面積を大きくすることが出来、暖房効果を高めることが出来る。温水パネル(2)は、例えば、板状基材(21)の背面外周部に固定された取付金物(28)によって壁面に設置される。そして、壁面に設置される場合、温水パネル(2)の背面側には、居室内の空気を流通させる20〜30mm程度の隙間(29)が壁面との間に設けられる。上記の様な隙間(29)を設けた場合には、壁側へ熱損失を低減でき、室内に対する暖房効率を高めることが出来る。
【0025】
給湯装置(3)としては、ガスの燃焼や電力によって温水を製造する湯沸し装置やボイラー装置が使用される。給湯装置(3)は、例えば、ガスの燃焼により熱媒体としての温水を製造し、上記の温水マット(1)及び温水パネル(2)に温水を循環させる様になされている。具体的には、給湯装置(3)は、蛇管構造の通水管を加熱して温水を製造する加熱装置、当該加熱装置で得られた温水を熱利用機器へ分配供給し且つ熱利用機器から回収された温水を集約して加熱装置へ戻すヘッダー装置、温水を循環させるためのポンプ、ならびに、マイクロコンピュータ等の演算処理装置および制御回路から成り且つ加熱装置から供給される温水の温度を検出して加熱装置における火力および流量を制御する制御装置などから構成される。
【0026】
上記のヘッダー装置は、主管および当該主管から分岐された配管接続用の分岐管から成り、図2に示す様に、給湯装置(3)(ヘッダー装置)には、温水マット(1)及び温水パネル(2)へ40〜80℃程度の温水を各供給する往き配管(51)、(61)、ならびに、温水マット(1)及び温水パネル(2)から循環後の30〜60℃程度の温水を回収する戻り配管(52)、(62)が接続される。上記の往き配管(51)と戻り配管(52)、および、往き配管(61)と戻り配管(62)は、可撓性樹脂から成り且つそれぞれ1組に纏められたいわゆるペアチューブである。また、ヘッダー装置には、温水マット(1)及び温水パネル(2)への温水供給を制御する制御弁が付設される。
【0027】
本発明においては、運転開始から所定時間の間は急速に暖房を行い、運転開始から特定時間経過後は室温を維持して過剰暖房を防止するため、温水マット(1)及び温水パネル(2)に対する温水の供給を時間に応じて制御する様になされている。すなわち、図2に示す様に、本発明の暖房装置には、上記の給湯装置(3)における温水供給操作を制御する制御手段(4)が備えられており、給湯装置(3)は、制御手段(4)の機能により、暖房運転の開始と共に温水マット(1)及び温水パネル(2)へ温水を供給し、暖房運転の開始から5〜60分、好ましくは20〜60分経過した後は温水マット(1)だけに温水を供給する様に構成される。
【0028】
制御手段(4)は、給湯装置(3)の前述の制御装置と別個に設けることも出来るが、通常は前記の制御装置の一部として構成される。そして、内部タイマーの機能により、給湯装置(3)のヘッダー装置に付設された制御弁を開閉する様に構成される。具体的には、本発明では、給湯装置(3)を操作するための操作パネルが室内に配置され、斯かる操作パネルの操作により給湯装置(3)の制御装置と共に制御手段(4)を機能させ、以下の様な暖房操作を行う様になされている。
【0029】
すなわち、操作パネルの操作によって暖房運転を開始すると、給湯装置(3)が稼働して温水マット(1)及び温水パネル(2)へ前述の高温の温水を供給する。そして、斯かる温水の供給操作により、主に温水パネル(2)からの輻射熱によって暖房効果を得る。同時に、温水マット(1)によってフローリング等の床仕上材を徐々に加温する。
【0030】
次いで、暖房運転の開始から5〜60分経過すると、温水パネル(2)への温水供給を停止し、温水マット(1)だけに高温の温水を供給する。そして、斯かる切替え操作により、上記の時間経過後は温水マット(1)によって暖房を維持する。換言すれば、温水マット(1)によって予め加温され且つ所定時間経過後は温水マット(1)によって一定の熱量が供給される床仕上材からの熱伝導および床仕上材からの輻射熱によって暖房効果を得る。
【0031】
上記の様に、本発明の暖房装置においては、運転開始から特定の時間は壁暖房用の温水パネル(2)による急速な暖房効果が得られ、運転開始から特定時間経過した後は床暖房用の温水マット(1)だけを稼働させて当該温水マットによる穏やかな暖房効果が得られる。従って。本発明によれば、必要以上にエネルギーを消費することなく、かつ、過剰な加温を防止でき、居室内をより快適に暖房することが出来る。なお、本発明においては、温水マット(1)と温水パネル(2)の併用運転から温水マット(1)の単独運転への切替え時間が上記の範囲内で調節可能に構成されていることにより、環境の違いや季節変動に応じて暖房能力を調整することが出来る。
【0032】
因に、木造建物において、床面積10.2m、天井高さ2.3mの居室に温水マット(1)(通水温度60℃での出力140W/m)及び温水パネル(2)(総面積7.8m、通水温度60℃での出力140W/m)を敷設し、暖房効果を確認した。暖房効果の確認では、室内の初期温度を9.0℃に設定した後、温水マット(1)と温水パネル(2)を併用して、運転開始から30分、1時間および2時間経過後の室内温度を測定した。その結果、図5のグラフに示す様に、2時間の運転で室内全体の温度を略22℃まで高めることが出来た。これに対し、温水マット(1)だけを使用した場合には、図6のグラフに示す様に、2時間の運転で室内全体の温度は15℃に止まり、また、温水パネル(2)だけを使用した場合には、図7のグラフに示す様に、2時間の運転で室内の温度は10〜14℃に止まり、しかも、床付近と天井付近とで大きな温度差が生じた。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る居室の暖房装置において使用される温水マットと温水パネルの居室内の配置を模式的に示した透視図である。
【図2】本発明に係る居室の暖房装置における温水の供給系統および給湯装置の制御を示すブロック図である。
【図3】温水マットの構造を一部破断して示す部分的な斜視図および平面図である。
【図4】壁面に取り付けられた温水パネルの構造を示す縦断面図である。
【図5】本発明に係る居室の暖房装置による暖房効果を居室の温度変化で示したグラフである。
【図6】床暖房用の温水マットだけを使用した場合の暖房効果を居室の温度変化で示したグラフである。
【図7】壁暖房用の温水パネルだけを使用した場合の暖房効果を居室の温度変化で示したグラフである。
【符号の説明】
【0034】
1 :温水マット
11:板状基材
12:根太状部材
13:溝
14:通水管
15:放熱シート
16:ヘッダー取付部
2 :温水パネル
21:板状基材
23:溝
24:通水管
25:放熱シート
27:見切り縁
28:取付金物
29:隙間
3 :給湯装置
4 :制御手段(操作パネル)
51:往き配管
52:戻り配管
61:往き配管
62:戻り配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
居室の床に床仕上材の下地として敷設され且つ温水の循環によって床仕上材を加温する床暖房用の温水マットと、居室の壁に敷設され且つ温水の循環によって居室空間を加温する壁暖房用の温水パネルと、前記温水マット及び前記温水パネルに温水を供給する給湯装置とから成る居室の暖房装置であって、前記給湯装置における温水供給操作を制御する制御手段を含み、前記給湯装置は、前記制御手段の機能により、暖房運転の開始と共に前記温水マット及び前記温水パネルへ温水を供給し、暖房運転の開始から5〜60分経過した後は前記温水マットだけに温水を供給する様に構成されていることを特徴とする居室の暖房装置。
【請求項2】
温水パネルが、床から1.8m以上の高さに配置されている請求項1に記載の居室の暖房装置。
【請求項3】
温水パネルの表側表面には、その投影面積よりも表面積の大きな立体的意匠面を備えた放熱シートが貼着されている請求項1又は2に記載の居室の暖房装置。
【請求項4】
温水パネルの表側表面および/または背面側表面には、居室の湿度に応じて水蒸気を吸脱着する湿度調整材料が塗布されている請求項1〜3の何れかに記載の居室の暖房装置。
【請求項5】
温水パネルは、壁面に取り付けられ、前記温水パネルの背面側には、居室内の空気を流通させる隙間が壁面との間に設けられている請求項1〜4の何れかに記載の居室の暖房装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−210189(P2009−210189A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−53566(P2008−53566)
【出願日】平成20年3月4日(2008.3.4)
【出願人】(000006172)三菱樹脂株式会社 (1,977)
【Fターム(参考)】