説明

屋外用表示装置

【課題】 風力を利用して省電力化を図り、容易に電力供給できる屋外用表示装置を提供する。
【解決手段】 風力を受けて回転する回転部3の回転により発電する風力発電部2と、風力発電部2から供給される電力により点灯する表示素子9を有した表示部8とを備えた屋外用表示装置1において、回転部3の回転力を表示部8に伝えて表示部8を移動させるとともに、表示部8の移動に同期して表示素子9を点滅し、表示素子9の残像による画像を表示した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外の広告等に用いられる屋外用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
屋外の広告等に用いられる従来の屋外用表示装置は特許文献1に開示されている。この屋外用表示装置はLED等の表示素子を設けた移動体を移動する。表示素子は移動体に同期して点滅し、残像による画像表示が可能となる。特許文献1、2には軸方向に並ぶ表示素子を回転移動させる表示装置が開示されている。また、特許文献3には径方向に並ぶ表示素子を揺動させる表示装置が開示されている。これにより、表示素子の点数を削減して省電力化を図ることができる。
【特許文献1】特開平02−61693号公報(第1頁−第3頁、第8図)
【特許文献2】特開平08−179711号公報(第2頁−第4頁、第1図)
【特許文献3】特開2001−242813号公報(第2頁−第3頁、第1図)
【非特許文献1】神鋼電機株式会社、”小型風力発電装置 そよ風くん”、[online]、神鋼電機株式会社、[平成17年9月26日検索]、インターネット<URL:http://www.shinko-elec.co.jp/windpower/product/index.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の屋外用表示装置は屋外で使用するため電力供給が困難である。このため、上記非特許文献1に開示されるような小型風力発電装置により低コストで電力供給することができる。しかしながら、移動体の移動に大きな電力を必要とするため上記小型風力発電装置では充分電力を供給できない問題があった。
【0004】
本発明は、省電力化を図り、容易に電力供給できる屋外用表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために本発明は、風力を受けて回転する回転部の回転により発電する風力発電部と、前記風力発電部から供給される電力により点灯する表示素子を有した表示部とを備えた屋外用表示装置において、前記回転部の回転力を前記表示部に伝えて前記表示部を移動させるとともに、前記表示部の移動に同期して前記表示素子を点滅させることを特徴としている。
【0006】
この構成によると、風力により回転部が回転すると回転力を伝達して表示部が例えば回転する。回転部の回転によって風力発電部で発電された電力は表示部の表示素子に供給される。表示素子は表示部の移動に同期して点滅し、残像により文字や絵等の画像が表示される。表示部は回転部と一体に回転してもよく、回転部の回転を伝達機構により表示部に伝達して表示部を回転や揺動等してもよい。
【0007】
また本発明は、上記の屋外用表示装置において、前記表示部は回転運動、揺動運動または往復直線運動することを特徴としている。
【0008】
また本発明は、上記の屋外用表示装置において、前記表示部を前記回転部と一体に設け、前記表示素子が前記回転部とともに回転運動することを特徴としている。この構成よると、回転部により表示部が構成され、回転部に設けられた表示素子が風力により回転する。
【0009】
また本発明は、上記の屋外用表示装置において、前記風力発電部の電力を充電するバッテリを備えたことを特徴としている。この構成によると、風力が弱く回転部が低速回転して発電できない場合にバッテリに蓄えられた電力で表示素子が点灯する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、回転部の回転力を伝えて表示部を移動し、表示部の移動に同期して表示素子を点滅させるので、残像により広告等の画像を表示することができる。また、表示部の移動に対して電力が不要となり省電力化を図ることができる。従って、風力発電部の発電電力で屋外用表示装置の電力を確保して、利便性の高い屋外用表示装置を得ることができる。
【0011】
また本発明によると、表示部を回転運動、揺動運動または往復直線運動させるので、簡単な機構で回転部の回転を変換して表示部を移動させることができる。
【0012】
また本発明によると、表示部を回転部と一体に設けたので、回転の伝達機構が不要となり、屋外用表示装置の省スペース化を図ることができる。
【0013】
また本発明によると、風力発電部の電力を充電するバッテリを備えたので、回転部が低速回転して発電できない場合であっても広告等を表示することができる。従って、屋外用表示装置の利便性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は第1実施形態の屋外用表示装置を示す外観図である。屋外用表示装置1は屋外に設置された支柱15に風力により発電する風力発電部2(図3参照)及び広告等を表示する表示部8が取り付けられている。風力発電部2は回転部3及び発電機4を有している。
【0015】
回転部3は鉛直に延びた回転軸3aに連結された複数の羽根3bを有し、羽根3bが風を受けて回転する。発電機4は回転部3の回転によって発電する。羽根3bは水平断面が流線形の翼状に形成されている。羽根3bの軸方向の長さは2mであり、回転半径は2mである。これにより、毎秒4mの風が吹くと48kwhの月間発電量を得ることができる。尚、羽根3bの形状を瞬間風速計のようなドーム状にしてもよく、回転軸3aを水平に配置して羽根3bをプロペラ状にしてもよい。
【0016】
回転部3には回転伝達機構10が連結されている。回転伝達機構10は支柱15に取り付けられ、回転部3に連結されるギヤ10aの支軸10bを支持する。支軸10bは伝達ギヤ(不図示)を介して表示部8の支軸8aに連結されている。これにより、表示部8が回動可能に支持されている。
【0017】
図2は表示部8の斜視図を示している。支軸8aには水平に延びたアーム8bが上下に設けられ、アーム8bの先端には表示パネル16が取り付けられる。表示パネル16にはLED等から成る複数の表示素子9が軸方向に並んで配されている。
【0018】
図3は屋外用表示装置1の構成を示すブロック図である。屋外用表示装置1は回転速度検知部6及び制御回路7を有している。回転速度検知部6は近接スイッチ等から成り、風力によって変化する回転部3の回転速度を検知する。制御回路7は回転速度検知部6の検知結果に基づいて所定のタイミングで表示素子9を点滅させる。
【0019】
回転速度検知部6、制御回路7及び表示素子9は発電機4から電力が供給される。また、発電機4にはバッテリ5が接続され、電力を蓄えることができる。発電機4が発電できない場合には、バッテリ5から回転速度検知部6、制御回路7及び表示素子9に電力が供給される。
【0020】
上記構成の屋外用表示装置1において、羽根3bが風を受けて回転部3が回転すると、回転伝達機構10を介して表示部8が矢印A(図2参照)に示すように回転する。この時、表示部8の回転に同期して回転位置に応じて所定の表示素子9が制御回路7の制御により点滅する。図4は表示素子9が点滅した残像を周方向に展開して示している。同図に示すように、表示素子9の回転によって残像による文字(図4の例では「ABC」)や絵等の画像による広告等を表示することができる。
【0021】
表示素子9は軸方向に約500mmの範囲に約200Wの消費電力になるように配列されている。上記したように、風力発電部2の月間発電量は毎秒4mの風が吹いた場合に48kwhであるため、表示素子9を1日当たり約8時間点灯することができる。従って、風力発電部2の発電量で夜間に広告表示する屋外用表示装置1の電力を賄うことができる。表示素子9は全て点灯状態にはならないため、平均的な点灯数の時の消費電力を約200Wにすればよい。尚、回転速度検知部6及び制御回路7の消費電力は表示素子9に比して小さいので無視している。
【0022】
本実施形態によると、表示部8の移動に同期して表示素子9を点滅させるので、残像により広告等の画像を表示することができる。また、表示部8は回転部3の回転力を伝えて回転するため、表示部8の回転に対して電力が不要となり省電力化を図ることができる。従って、風力発電部2の発電電力で屋外用表示装置1の電力を確保して、利便性の高い屋外用表示装置1を得ることができる。
【0023】
次に、図5は第2実施形態の屋外用表示装置1を示す上面図である。説明の便宜上、前述の図1、図2に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。回転伝達機構10(図1参照)は一端を回転自在に回転部3に連結し、他端を回転自在に表示部8に連結される連結部11を有している。表示部8の先端には複数の表示素子9(図2参照)を軸方向に並設した表示パネル16が設けられている。
【0024】
回転部3が回転すると、連結部11を介して矢印Bに示すように表示部8が揺動する。表示部3の揺動に同期して表示素子9を点滅することにより、残像による文字や絵等の画像による広告等を表示することができる。従って、第1実施形態と同様に、表示部8は回転部3の回転を伝えて揺動するため、表示部8の回転に対して電力が不要となり省電力化を図ることができる。
【0025】
次に、図6は第3実施形態の屋外用表示装置を示す側面図である。説明の便宜上、前述の図1、図2に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態は回転部3の回転軸3aが水平に配置されている。回転伝達機構10は(図1参照)は一端を回転自在に回転部3に連結し、他端を回転自在に表示部8に連結される連結部11を有している。
【0026】
表示部8の上下には表示部8を案内するガイド12、13が配置される。表示部8には鉛直に並ぶ複数の表示素子9が設けられ、上部及び下部にガイド12、13と摺動するローラー14が設けられている。
【0027】
回転部3が回転すると、連結部11を介して矢印Cに示すようにクランク運動によって表示部8が往復直線運動する。表示部8の移動に同期して表示素子9を点滅することにより、残像による文字や絵等の画像による広告等を表示することができる。従って、第1実施形態と同様に、表示部8は回転部3の回転を伝えて往復直線運動するため、表示部8の回転に対して電力が不要となり省電力化を図ることができる。
【0028】
尚、第1〜第3実施形態において、回転部3の羽根3bに表示素子9を設けて、回転部3と表示部8とを一体にしてもよい。これにより、回転伝達機構10を省くことができ、省スペース化を図ることができる。
【0029】
また、表示部8を回転運動、揺動運動または往復直線運動させているので、簡単な機構で回転部3の回転を伝達して表示部8を移動させることができる。カム機構等を設けて回転部3の回転をより複雑な運動に変換して表示部8を移動させてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、屋外の広告等に用いられる屋外用表示装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1実施形態の屋外用表示装置を示す外観図
【図2】本発明の第1実施形態の屋外用表示装置の表示部を示す斜視図
【図3】本発明の第1実施形態の屋外用表示装置の構成を示すブロック図
【図4】本発明の第1実施形態の屋外用表示装置の表示素子による画像を示す図
【図5】本発明の第2実施形態の屋外用表示装置を示す上面図
【図6】本発明の第3実施形態の屋外用表示装置を示す側面図
【符号の説明】
【0032】
1 屋外用表示装置
2 風力発電部
3 回転部
3a 回転軸
3b 羽根
4 発電機
5 バッテリ
6 回転速度検知部
7 制御回路
8 表示部
8a 支軸
9 表示素子
10 回転伝達機構
11 連結部
12、13 ガイド
15 支柱
16 表示パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力を受けて回転する回転部の回転により発電する風力発電部と、前記風力発電部から供給される電力により点灯する表示素子を有した表示部とを備えた屋外用表示装置において、前記回転部の回転力を前記表示部に伝えて前記表示部を移動させるとともに、前記表示部の移動に同期して前記表示素子を点滅させることを特徴とする屋外用表示装置。
【請求項2】
前記表示部は回転運動、揺動運動または往復直線運動することを特徴とする請求項1に記載の屋外用表示装置。
【請求項3】
前記表示部を前記回転部と一体に設け、前記表示素子が前記回転部とともに回転運動することを特徴とする請求項1に記載の屋外用表示装置。
【請求項4】
前記風力発電部の電力を充電するバッテリを備えたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の屋外用表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−121431(P2007−121431A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−310037(P2005−310037)
【出願日】平成17年10月25日(2005.10.25)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】