説明

屋根上設置構造物の延焼防止構造

【課題】非平坦面屋根の上に設置される屋根上設置構造物の一部に火がついた場合に、屋根上設置構造物全体が延焼するのを防止する屋根上設置構造物の延焼防止構造を提供する。
【解決手段】非平坦面屋根Rの上に設置された平面状に延在する可燃性の屋根上設置構造物11を、非平坦面屋根Rの上に設けた不燃性の隔壁部材31によって複数の領域に区画する。これにより、非平坦面屋根Rと屋根上設置構造物11との間の空間部A1に火が入り込み、屋根上設置構造物11の一部に着火した場合に、隔壁部材31で火を堰き止めて、隣接する領域に火が移動するのを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば複数の山形部が所定ピッチで連続する折板屋根等の非平坦面屋根の上に設置された平面状に延在する屋根上設置構造物の延焼を防止する構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、折板屋根を断熱防水改修するために、防水処理された複数枚の改修用パネルを、かかる折板屋根の上に敷設する技術事項が示されている。このように、例えば複数の山形部が所定ピッチで連続する折板屋根や波形スレート屋根等の非平坦面屋根の上に、断熱防水改修工事、太陽光発電パネル等の設備機器の設置工事、屋根緑化工事を行うべく、屋根上設置構造物を設置することが従来から行われている。屋根上設置構造物を非平坦面屋根の上に設置した場合、非平坦面屋根と屋根上設置構造物との間には空間部が形成される。そして、屋根上設置構造物には、軽量で取り扱いが容易な発泡樹脂等の合成樹脂成形体が用いられることが多い。
【0003】
【特許文献1】特開2001−123587号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非平坦面屋根の上に設置された屋根上設置構造物は、建物に火災が発生した場合に、屋根の端部や継ぎ目から非平坦面屋根と屋根上設置構造物との間の空間部に火が入り込むおそれがある。屋根上設置構造物に用いられる合成樹脂成形体は可燃性であることから、空間部に入り込んだ火が屋根上設置構造物の一部に着火し、屋根上設置構造物全体に火が燃え広がるおそれがあり、火災被害の拡大が懸念される。
【0005】
例えば、非平坦面屋根が折板屋根や波形スレート屋根等のように所定ピッチで連続する複数の山形部を有している場合には、非平坦面屋根と屋根上設置構造物との間に溝状空間部が形成されており、この溝状空間部が火の通路になって燃え広がりやすいという問題を有している。
【0006】
そして特に、非平坦面屋根が雨水を排出するための勾配を有しており、複数の山形部がその勾配方向に沿って延在して設けられている場合には、溝状空間部が勾配方向下側から上側に向かって上向きに傾斜して連続するように形成される。従って、屋根上設置構造物の勾配方向下側の箇所に火がついた場合に、空間部を勾配方向下側から上側に向かって火が移動し易いという問題を有している。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、非平坦面屋根と屋根上設置構造物との間に火が入り込み、屋根上設置構造物の一部に着火した場合に、燃え広がりを所定の範囲内に留めることができ、屋根上設置構造物全体の延焼を防止する延焼防止構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による屋根上設置構造物の延焼防止構造は、非平坦面屋根の上に設置された平面状に延在する可燃性の屋根上設置構造物の延焼を防止する延焼防止構造において、非平坦面屋根の上に不燃性の隔壁部材を設けて、その隔壁部材により屋根上設置構造物を複数の領域に区画することを特徴としている(請求項1)。上記した構成によれば、非平坦面屋根と屋根上設置構造物との間の空間部に火が入り込み、屋根上設置構造物の一部に着火した場合に、隔壁部材で火を堰き止めて、隣接する領域に火が移動するのを防止し、屋根上設置構造物の延焼範囲を着火箇所を含む領域内に留めることができる。
【0009】
本発明の屋根上設置構造物の延焼防止構造が有する好ましい態様の一つとして、上記の隔壁部材は、屋根上設置構造物の上下に亘って延在する縦壁部と、縦壁部の下端で折曲されて所定幅に亘って前記屋根上設置構造物の下面に沿う下壁部を有する(請求項2)。かかる構成によれば、屋根上設置構造物の互いに隣接する領域の間に沿って、屋根上設置構造物の下面を所定幅に亘って下壁部で覆うことができる。従って、例えば火が非平坦面屋根と屋根上設置構造物との間の空間部を通過して、ある領域から隣接する領域に燃え移るのを抑制することができる。
【0010】
そして、隔壁部材が非平坦面屋根の屋根勾配方向に交差する方向に延在して設けられている場合に、下壁部が屋根上設置構造物の下面に沿って屋根勾配方向下側から上側に突出する姿勢状態で隔壁部材が取り付けられていることが好ましい(請求項3)。非平坦面屋根が勾配を有している場合には、空間部が勾配方向下側から上側に向かって上向きに傾斜して連続するように形成されるので、この空間部を通過して勾配方向下側から上側に向かって火が移動するおそれがある。これに対し、本発明は、隔壁部材が非平坦面屋根の屋根勾配方向に交差する方向に延在し且つ下壁部が屋根勾配方向下側から上側に向かって所定幅に亘って突出する姿勢状態で取り付けられているので、空間部を通過して勾配方向下側から上側に向かって火が移動した場合に、屋根勾配方向下側の領域を燃やす火が、隔壁部材の下側を通過して屋根勾配方向上側の領域に燃え移るのを抑制することができる。
【0011】
本発明の屋根上設置構造物の延焼防止構造が有する好ましい態様の一つとして、上記した隔壁部材は、屋根上設置構造物の上下に亘って延在する縦壁部と、縦壁部の下端に連続して屋根上設置構造物の下面よりも下方に突出する突出壁部を有する(請求項4)。かかる構成によれば、突出壁部は、非平坦面屋根と屋根上設置構造物との間の空間部を、屋根上設置構造物の互いに隣接する領域の間で仕切ることができる。従って、例えば火が非平坦面屋根と屋根上設置構造物との間の空間部を通過して、ある領域から隣接する領域に燃え移るのを抑制することができる。
【0012】
本発明の屋根上設置構造物の延焼防止構造が有する好ましい態様の一つとして、非平坦面屋根が該非平坦面屋根の屋根勾配方向に交差する屋根横幅方向に所定ピッチで連続する複数の山形部を有し、隔壁部材が屋根横幅方向に沿って延在して設けられている場合に、突出壁部は、非平坦面屋根と屋根上設置構造物との間に形成される溝状空間部内に突出して、溝状空間部を屋根勾配方向上側と下側に仕切る構成を有することを特徴としている(請求項5)。かかる構成によれば、溝状空間部を通過して屋根勾配方向下側から上側に向かって移動する火を、溝状空間部内に突出する突出壁部で堰き止めることができ、屋根勾配方向下側の領域を燃やす火が、隔壁部材の下側を通過して屋根勾配方向上側の領域に燃え移るのを抑制することができる。
【0013】
本発明の屋根上設置構造物の延焼防止構造が有する好ましい態様の一つとして、突出壁部は、溝状空間部内で上下に亘って延在して、溝状空間部を屋根勾配方向上側と下側に仕切ることを特徴としている(請求項6)。かかる構成によれば、屋根勾配方向下側の領域と上側の領域とを完全に区画することができ、溝状空間部を通過して屋根勾配方向下側から上側に向かって移動する火や煙を、溝状空間部内に突出する突出壁部で堰き止めることができる。
【0014】
本発明の屋根上設置構造物の延焼防止構造が有する好ましい態様の一つとして、突出壁部は、複数の山形部の頭頂部を互いに結ぶ線よりも下方の位置まで突出して、溝状空間部の上部を屋根勾配方向上側と下側に仕切ることを特徴としている(請求項7)。かかる構成によれば、溝状空間部の上部を屋根勾配方向上側と下側に仕切ることによって、溝状空間部の上部を移動する火を堰き止める一方、溝状空間部の下部を流れる雨水等を堰き止めることなく、屋根勾配方向上側から下側に向かって移動させることができ、非平坦面屋根の良好な排水性を維持することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、非平坦面屋根と屋根上設置構造物との間の空間部に火が進入して屋根上設置構造物の一部に着火した場合に、屋根上設置構造物の燃える範囲を隔壁部材によって区画された領域内に留めることができ、隣接する他の領域に火が移るのを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明の実施の形態について図を用いて以下に説明する。
[第1実施の形態]
図1は、本実施の形態における屋根上設置構造物10の延焼防止構造を示す断面図であり、屋根勾配方向に直交する断面を示す図、図2は、図1のI−I線矢視図である。
【0017】
本実施の形態は、折板屋根Rの上に屋根緑化工事を行う場合を例に説明するものである。折板屋根Rは、金属製の薄板部材を折り曲げて断面が略コ字状に形成された長尺状の屋根板1を、梁5の上に取り付けられたタイトフレーム6の上に載せて、隣の屋根板1の互いに重なり合う端縁部同士をボルト結合し、タイトフレーム6にボルト止めすることによって固定されており、屋根勾配方向に走る複数の山形部3を有し、各山形部3は、屋根勾配方向に交差する方向である屋根横幅方向に所定のピッチ間隔をおいて連続して形成されている。また、各山形部3の頭頂部2は、平坦面になっている。
【0018】
折板屋根Rの上には、可燃性材料からなる合成樹脂発泡断熱材11が敷き詰められて平面状に延在し、折板屋根Rの上面が平坦化されている。合成樹脂発泡断熱材11は、一対の山形部3の頭頂部2間に亘って架設される横幅と、山形部3の頭頂部2に沿って延在する縦幅を有する平面視略矩形状を有している。合成樹脂発泡断熱材11は、図示していない固定手段によって折板屋根Rの上に固定されており、折板屋根Rとの間に、屋根勾配方向に沿って延在する溝状の空間部(溝状空間部)A1を形成している。
【0019】
合成樹脂発泡断熱材11の上には、屋根緑化構造体12が設けられている。屋根緑化構造体12は、合成樹脂発泡断熱材11の上に敷設される保水排水基盤材13と、保水排水基盤材13の上に被せられる透水シート14と、透水シート14の上に植物の根が絡み合うことによって土壌を保持してなる植生マット15とからなる。保水排水基盤材13は、複数個が屋根勾配方向及び屋根横幅方向に互いに密接するように配置される。これら保水排水基盤材13群は、その周囲を見切り材(図示せず)によって取り囲まれており、各見切り材を適宜の手段により折板屋根Rに固定することによって保水排水基盤材13の安定化を図っている。
【0020】
各保水排水基盤材13は、可燃性材料によって構成されており、本実施の形態では、全体が発泡樹脂(例えば発泡ポリスチレン)で構成された一体成形品である。保水排水基盤材13は、合成樹脂発泡断熱材11と略同一の横幅(図1を参照)と、合成樹脂発泡断熱材11の縦幅の半分に設定された縦幅(図2を参照)を有しており、上面には周壁で囲まれた保水用凹部21が形成され、その保水用凹部21内に複数本の支柱22が立設された構成を有している。
【0021】
植生マット15は、重量物であり、その重量により、先に取り付けた透水シート14を下方に押しつけ、支柱22によって下方から支持された状態となり、図1に示すように、全体として波の打った状態、すなわち下に凸である複数個の大きな湾曲面を備えた状態となる。その状態で、透水シート14と保水排水基盤材13との間に間隙を形成し、植物の根の呼吸に必要な空気を確保している。
【0022】
上記した合成樹脂発泡断熱材11及び屋根緑化構造体12によって屋根上設置構造物10が構成されており、該屋根上設置構造物10は、隔壁部材31によって複数の領域に区画されている。隔壁部材31は、例えばアルミニウム合金やスレート部材等の不燃性材料からなり、折板屋根Rの上で屋根勾配方向及び屋根横幅方向に延在して設けられている。
【0023】
隔壁部材31は、図2に示すように、折板屋根Rに取り付けた状態で、屋根上設置構造物10の上下に亘って延在する縦壁部32と、縦壁部32の下端で折曲されて屋根上設置構造物10の下面に沿うように突出する下壁部33を有する断面が略L字形状を有しており、折板屋根Rの上に載せて下壁部33を山形部3の頭頂部2に接面させた状態でボルト固定され、屋根上設置構造物10を屋根勾配方向及び屋根横幅方向に仕切り、複数の領域に区画している。
【0024】
従って、例えば建物の火災により、折板屋根Rと合成樹脂発泡断熱材11との間の空間部A1から火が進入して、合成樹脂発泡断熱材11の一部に着火した場合に、隔壁部材31で火を堰き止めて、隣接する合成樹脂発泡断熱材11に火が燃え広がるのを抑制し、その延焼範囲を隔壁部材31で区画された領域内に留まらせることができる。
【0025】
そして、屋根横幅方向に延在して設けられた隔壁部材31は、屋根勾配方向下側から上側に向かって燃え広がる火を堰き止めることができ、屋根勾配方向上側に隣接する合成樹脂発泡断熱材11に火が燃え移り難くすることができ、屋根上設置構造物10の延焼を防止することができる。
【0026】
隔壁部材31は、互いに隣り合う合成樹脂発泡断熱材11の間に沿って下壁部33が一定幅で延在して合成樹脂発泡断熱材11の下面の一部を覆っており、特に、屋根横幅方向に延在して設けられた隔壁部材31は、図2に示すように、下壁部33が屋根勾配方向下側から上側に向かって突出する姿勢状態で折板屋根Rの上に取り付けられている。従って、空間部A1を通過して屋根勾配方向下側から上側に向かって火が移動した場合に、屋根勾配方向下側の合成樹脂発泡断熱材11を燃やす火が、隔壁部材31の下方を潜り抜けて回り込み、屋根勾配方向上側の合成樹脂発泡断熱材11に燃え移るのを効果的に抑制することができる。
【0027】
隔壁部材31の形状は、上記した断面略L字型に限定されるものではない。例えば、図4は、屋根横幅方向に延在して取り付けられる他の実施例の隔壁部材41を示す斜視図である。隔壁部材41は、図3に示す隔壁部材31の下壁部33の代わりに、縦壁部42の下端に連続して下方に突出する突出壁部43を有している。縦壁部42は、隔壁部材31の縦壁部32と同様に、折板屋根Rに取り付けた状態で、屋根上設置構造物10の上下に亘って延在し、屋根上設置構造物10を屋根勾配方向下側と上側に仕切るように構成されている。
【0028】
突出壁部43は、隔壁部材41を折板屋根Rの上に取り付けた場合に、屋根上設置構造物10の下面、すなわち合成樹脂発泡断熱材11の下面よりも下方に突出する形状を有している。突出壁部43の左右両側には、山形部3の頭頂部2にボルト止めするためのフランジ片44が設けられている。
【0029】
上記構成を有する隔壁部材41によれば、突出壁部43によって空間部A1を屋根勾配方向上側と下側に仕切ることができる。従って、火が空間部A1を通過して屋根勾配方向下側の合成樹脂発泡断熱材11から屋根勾配方向上側の合成樹脂発泡断熱材11に燃え移るのを防ぐことができる。
【0030】
特に、突出壁部43は、空間部A1内で上下に亘って延在しているので、空間部A1を屋根勾配方向下側の領域と屋根勾配方向上側の領域に完全に区画することができ、空間部A1を通過して屋根勾配方向下側から上側に向かって移動する火や熱、煙等を突出壁部43で堰き止めることができる。
【0031】
また、突出壁部43の端縁部43aと屋根板1との隙間に予め遮熱発泡体(図示せず)を介在させておき、合成樹脂発泡断熱材11が着火した場合に、その熱によって遮熱発泡体を反応膨張させて、突出壁部43の端縁部43aと屋根板1との隙間を閉塞し、火及び熱、煙等の進入を防ぐように構成してもよい。遮熱発泡体には、例えば積水化学工業株式会社製のフィブロック(登録商標)が用いられる。
【0032】
また、突出壁部43は、山形部3の間に亘って延在して空間部A1内に突出するものであればよく、空間部A1内で上下に亘って延在して屋根勾配方向下側と上側に完全に仕切るものでなくてもよい。例えば、突出壁部43を複数の山形部の頭頂部を互いに結ぶ線よりも下方の位置である、図4に仮想線L1で示す位置まで突出するように形成し、折板屋根Rの上に取り付けた場合に空間部A1の上部のみを仕切る構成としてもよい。突出壁部43が山形部3の間に亘って延在して空間部A1に突出するものであれば、空間部A1内を屋根勾配方向下側から上側に移動してきた火を堰き止めることができ、空間部A1を通過して屋根勾配方向下側の合成樹脂発泡断熱材11から屋根勾配方向上側の合成樹脂発泡断熱材11に燃え移るのを防ぐことができる。
【0033】
また、空間部A1の下部を連通させることによって、空間部A1を流れる雨水を堰き止めることなく、屋根勾配方向上側から下側に向かって流すことができ、折板屋根Rの良好な排水性を維持することができる。合成樹脂発泡断熱材11には、その耐火性をさらに高めるべく、合成樹脂発泡断熱材11の下面にモルタルを塗布したものを用いてもよい。
【0034】
[第2実施の形態]
図5は、第2実施の形態における屋根上設置構造物60の延焼防止構造を示す断面図である。本実施の形態は、ルーフデッキDの上に断熱防水改修工事を行う場合を例に説明するものである。ルーフデッキDは、複数の山形部52が所定ピッチで連続し、各山形部52の間に溝部53が形成されたデッキプレート51を横梁54の上に載せて、隣のデッキプレート51の互いに重なり合う端縁部同士を結合し、横梁54に固定することによって構成されている。ルーフデッキDの上には、改修用パネル61が敷き詰められており、ルーフデッキDの上面が平坦化されている。各改修用パネル61は、可燃性材料からなる合成樹脂発泡断熱材を防水処理することによって構成されており、ルーフデッキDの上面にタッピンネジ(図示せず)によって固定されて、屋根上設置構造物60を構成している。
【0035】
上記した改修用パネル61は、隔壁部材71によって複数の領域に区画されている。隔壁部材71は、例えばアルミニウム合金やスレート部材等の不燃性材料からなり、ルーフデッキDの上でプレート長手方向及びプレート横幅方向に延在して設けられている。隔壁部材71は、断面が略L字形状を有しており、ルーフデッキDの上に取り付けた状態で、改修用パネル61の厚さ方向に亘って延在する縦壁部72と、縦壁部72の下端で折曲されて所定幅に亘って改修用パネル61の下面に沿う下壁部73を有する。そして、ルーフデッキDの上に載せて下壁部73を山形部52の頭頂部に接面させた状態でボルト固定され、改修用パネル61をプレート長手方向及びプレート横幅方向に仕切り、複数の領域に区画している。
【0036】
従って、例えば、ルーフデッキDと改修用パネル61との間に形成される溝状の空間部(溝状空間部)A2に、火が進入して改修用パネル61の一部に着火した場合に、その延焼範囲を隔壁部材71で区画された領域内に留まらせることができ、隣接する改修用パネル61に火が燃え広がるのを抑制することができる。
【0037】
以上、各実施の形態について詳述したが、本発明は上記した各実施の形態の内容に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】第1実施の形態における屋根上設置構造物の延焼防止構造を示す断面図。
【図2】図1のI−I線矢視図。
【図3】隔壁部材の一実施例を示す図。
【図4】隔壁部材の他の実施例を示す図。
【図5】第2実施の形態における屋根上設置構造物の延焼防止構造を示す断面図。
【符号の説明】
【0039】
1 屋根板
2 頭頂部
3 山形部
10 屋根上設置構造物
11 合成樹脂発泡断熱材
13 保水排水基盤材
31、41、71 隔壁部材
32、42、72 縦壁部
33、73 下壁部
43 突出壁部
51 デッキプレート
52 山形部
61 改修用パネル(屋根上設置構造物)
A1、A2 空間部(溝状空間部)
R 折板屋根

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非平坦面屋根の上に設置された平面状に延在する可燃性の屋根上設置構造物の延焼を防止する延焼防止構造において、
前記非平坦面屋根の上に不燃性の隔壁部材を設けて、該隔壁部材により前記屋根上設置構造物を複数の領域に区画することを特徴とする屋根上設置構造物の延焼防止構造。
【請求項2】
前記隔壁部材は、
前記屋根上設置構造物の上下に亘って延在する縦壁部と、
該縦壁部の下端で折曲されて所定幅に亘って前記屋根上設置構造物の下面に沿う下壁部を有することを特徴とする請求項1に記載の屋根上設置構造物の延焼防止構造。
【請求項3】
前記隔壁部材が前記非平坦面屋根の屋根勾配方向に交差する方向に延在して設けられている場合に、
前記下壁部が前記屋根上設置構造物の下面に沿って屋根勾配方向下側から上側に突出することを特徴とする請求項2に記載の屋根上設置構造物の延焼防止構造。
【請求項4】
前記隔壁部材は、
前記屋根上設置構造物の上下に亘って延在する縦壁部と、
前記縦壁部の下端に連続して前記屋根上設置構造物の下面よりも下方に突出する突出壁部を有することを特徴とする請求項1に記載の屋根上設置構造物の延焼防止構造。
【請求項5】
前記非平坦面屋根が該非平坦面屋根の屋根勾配方向に交差する屋根横幅方向に所定ピッチで連続する複数の山形部を有し、前記隔壁部材が前記屋根横幅方向に沿って延在して設けられている場合に、
前記突出壁部は、前記非平坦面屋根と前記屋根上設置構造物との間に形成される溝状空間部内に突出して、該溝状空間部を前記屋根勾配方向上側と下側に仕切ることを特徴とする請求項4に記載の屋根上設置構造物の延焼防止構造。
【請求項6】
前記突出壁部は、前記溝状空間部内で上下に亘って延在して、該溝状空間部を前記屋根勾配方向上側と下側に仕切ることを特徴とする請求項5に記載の屋根上設置構造物の延焼防止構造。
【請求項7】
前記突出壁部は、前記複数の山形部の頭頂部を互いに結ぶ線よりも下方の位置まで突出して、前記溝状空間部の上部を前記屋根勾配方向上側と下側に仕切ることを特徴とする請求項5に記載の屋根上設置構造物の延焼防止構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−31586(P2010−31586A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−196582(P2008−196582)
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】