説明

屋根断熱構造

【課題】軽量で厚みが薄くても断熱性に富む屋根断熱構造を提供する。
【解決手段】屋根断熱構造1は、屋根材12と、該屋根材12の下側に配置される凹凸樹脂板2とからなり、該凹凸樹脂板2の上面に熱反射層21を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物や車両の屋根断熱構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
屋根には、屋根の熱を室内に伝えないための断熱手段を付することが要求されている。上記断熱手段としては、屋根構造内に合成樹脂発泡体等を配置させる手段が提供されている。
また、該屋根には、雨音を遮断する遮音手段を付することも要求されている。上記遮音手段としては、屋根材と下地材とを制振性接着剤によって接着する手段等が提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−64512号公報
【特許文献2】特開2001−173164号公報
【特許文献3】特開2005−9205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来構成は、充分な断熱および/または遮音性を得るためには合成樹脂発泡シート、繊維シート、アスファルトシート、ゴムアスファルトシート、あるいは制振性接着剤層の厚みを増大せしめることが必要であって、このように断熱および/または遮音手段の厚みを増大させると、材料コストアップにつながり、更に該断熱および/または遮音手段の質量が増加し、屋根の強度や、車両にあっては燃費に悪影響が及ぼされる。また、屋根にあっては断熱および/または遮音手段を取り付けるためのスペースが狭く、この点においても断熱および/または遮音手段の厚みを増大させることが非常に困難となっている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決し、断熱性に優れた屋根断熱構造1を提供することを目的とするものであり、屋根材12と、該屋根材12の下側に配置される凹凸樹脂板2とからなり、該凹凸樹脂板2の上面および/または下面には熱反射層21が形成されていることを特徴とする屋根断熱構造1である。
該凹凸樹脂板2には、該凹凸樹脂板2の谷部によって構成される通気溝2Aが形成されていることが望ましい。
また、該凹凸樹脂板2は、熱可塑性樹脂シートを射出成形、又は、真空および/または圧空成形して凹凸を形成した成形品であることが望ましい。
また、該凹凸樹脂板2の下側に多孔質シートまたは多孔質マット25,25Aを配置した構成が望ましい。
さらに、該多孔質シートまたは該多孔質マット25,25Aの片面又は両面に、通気抵抗が0.06〜3.0kPa・s/mの紙材29を配置した構成が望ましい。
【0006】
また、建物用の屋根断熱構造1であって、該凹凸樹脂板2は複数の垂木6,6上に差し渡され、該凹凸樹脂板上面に野地板3が配置され、該野地板3の上側に建物用の屋根材12が配置されている構成としてもよい。
また、各垂木間には断熱材8が介装されていることが望ましい。
さらに、該凹凸樹脂板2と該断熱材8との間に多孔質シートまたは多孔質マット25,25Aを配置してもよく、該多孔質シートまたは該多孔質マット25,25Aの片面又は両面に、通気抵抗が0.06〜3.0kPa・s/mの紙材29を配置した構成が望ましい。
【0007】
また、車両用の屋根断熱構造1であって、該凹凸樹脂板2の上側に屋根材12としての車両用天井パネルが配置され、該凹凸樹脂板2の下側に車両用成形天井材が配置されている構成としてもよい。
【発明の効果】
【0008】
〔作用〕
本発明において、直射日光に曝されることによって蓄えられた屋根材12の輻射熱は、下方へ伝わる際に上記凹凸樹脂板2上面の熱反射層21で熱反射するため、該凹凸樹脂板2より下方にある室内へはほとんど伝わらない。かくして、該輻射熱に起因する該室内の温度上昇が抑制される。
また、該凹凸樹脂板2の下側(例えば室内)にある熱源から発せられた熱は、上方へ伝わる際に該凹凸樹脂板2下面の熱反射層21で熱反射するため、該凹凸樹脂板2より上方へは伝わらない。かくして、該熱源の熱が屋根材12に伝わることが抑制される。
また該凹凸樹脂板2に通気溝2Aが形成された場合、屋根構造の通気性が確保される。
【0009】
また、上記屋根材12から発生する雨音、風切り音等の騒音(音波)は上記凹凸樹脂板2に伝わるが、該音波は該凹凸樹脂板2の通気溝2Aの溝壁に反射することによってエネルギーを減衰せしめられる。
【0010】
また、該凹凸樹脂板2は、射出成形、又は、真空および/または圧空成形によって効率良く生産される。
【0011】
また、該凹凸樹脂板2の下側に多孔質シート(または多孔質マット)25,25Aを配置した場合は、上記通気溝2Aの溝壁によってエネルギーが減衰された音波が多孔質シート(または多孔質マット)25,25Aに達し、該多孔質シート(または多孔質マット)25,25Aによって吸収される。
更に、該屋根材12からの熱も、該多孔質シート(または多孔質マット)25,25Aが含有する空気によって吸収される。
【0012】
更に、該多孔質シート(または多孔質マット)25,25Aの片面又は両面に、通気抵抗が0.06〜3.0kPa・s/mの紙材29を配置した場合は、上記紙材29は優れた吸音性を有するので、該凹凸樹脂板2を通過することでエネルギーが減衰された音波が該紙材29によって更に効果的に吸収される。
また該紙材29は吸熱作用も有するので、該屋根材12の輻射熱は該紙材29によって更に効果的に吸収される。
【0013】
上記屋根断熱構造1を建物に適用した場合、上記屋根材12の輻射熱が熱反射するため居住空間(室内)の温度上昇が抑制される。
また、該凹凸樹脂板2の下側に配置される垂木6,6間に断熱材8が介装されると、上記屋根材12の輻射熱の一部が凹凸樹脂板2に伝わったとしても該熱が該断熱材8によって遮断されるため、居住空間の温度上昇が抑制される。また、居住空間の熱が屋根材側へ伝わることも抑制される。
【0014】
また、該凹凸樹脂板2と該断熱材8との間に多孔質シート(または多孔質マット)25,25Aが配置され、さらに該多孔質シート(または多孔質マット)25,25Aの片面又は両面に、通気抵抗が0.06〜3.0kPa・s/mの紙材29が配置されると、該屋根断熱構造の音波の吸収性能、及び熱の吸収性能が更に向上する。
【0015】
また、上記屋根断熱構造1を車両に適用した場合も、車内の温度上昇が抑制される。
【0016】
〔効果〕
本発明の屋根断熱構造は厚みを薄くしても優れた断熱性を有するので軽量化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】a)は凹凸樹脂板の外観斜視図、b)は該凹凸樹脂板の拡大断面図
【図2】実施例1の屋根断熱構造を示す断面図
【図3】実施例1の屋根断熱構造を示す断面図
【図4】実施例2の屋根断熱構造を示す断面図
【図5】実施例3の屋根断熱構造を示す断面図
【図6】実施例4の屋根断熱構造を示す断面図
【図7】実施例5の屋根断熱構造を示す断面図
【図8】実施例6の屋根断熱構造を示す断面図
【図9】実施例7の屋根断熱構造を示す断面図
【図10】実施例8の屋根断熱構造を示す断面図
【図11】通気抵抗の測定方法を説明する概略図
【図12】断熱試験の測定方法を説明する概略図
【発明を実施するための形態】
【0018】
〔屋根材〕
本発明の屋根材12(図2参照)としては、主として鋼板、亜鉛メッキ鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム鋼板、銅板、銅合金板等の周知の金属を材料とするが、例えばポリプロピレン板、ポリスチロール板、ポリ塩化ビニル板、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)板、ポリフェニレンエーテル(PPE)板等の硬質プラスチックを材料とするもの、木板、ハードボード、パーチクルボード等の木質板、石膏板、炭酸マグネシウム板、ケイ酸カルシウム板、アルミナ板、陶板等の無機質を材料とするものが含まれる。また、該屋根材12の表面には、防錆や意匠上から塗料が塗布されていてもよい。
【0019】
〔凹凸樹脂板〕
本発明の凹凸樹脂板2の基材20(図1b参照)は、主として熱可塑性樹脂シートを材料とするものである。
該凹凸樹脂板2に使用される熱可塑性樹脂としては、次に示す熱可塑性プラスチックが使用される。すなわち、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、アクリロニトリル-スチレン−共重合体(AS)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)、アクリロニトリル-エチレン-スチレン共重合体(AES)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、エチレン-プロピレン共重合体(EPR)、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩化ビニリデン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等である。また、上記ポリプロピレンには、PEおよび/またはEPRによって変性したポリプロピレン(変性PP)を用いてもよい。また上記熱可塑性樹脂の二種以上を含むポリマーアロイまたはポリマーブレンドを使用してもよい。あるいは熱可塑性樹脂として、トウモロコシやサトウキビ等の澱粉から得られるポリ乳酸を原料とした生分解性樹脂を使用してもよい。
【0020】
また、真空および/または圧空成形性を考慮して上記凹凸樹脂板2に使用される熱可塑性樹脂として望ましいものは、PP又は変性PPであり、特に上記変性PPは望ましい真空および/または圧空成形性を有し、深絞り成形が容易な材料である。
【0021】
上記変性PPにおいて、PEとしては密度が0.941以上の高密度PE、密度が0.926〜0.940の中密度PE、密度が0.910〜0.925の低密度PE、密度が0.909以下の超低密度PEのいずれも使用可能であるが、PPとの混和性が良くかつ伸びの改良効果が大きい低密度PEの使用が好ましい。
上記EPRとしてはエチレンとプロピレンのゴム状共重合体(以下EPMと略す)、エチレン、プロピレン、更にジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン、1,4−ヘキサジエン等のジエン成分を共重合したエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(以下EPDMと略す)のいずれもが使用される。
【0022】
上記変性PPにおいて、PEおよび/またはEPRはPP中に5〜30質量%の範囲で配合される。PEおよび/またはEPRの配合量が5質量%未満の場合はPPの伸び性が充分改良されず、良好な成形性が得られない。またPEおよび/またはEPRの配合量が30質量%を超えると、得られる変性PPの硬さが不足し、形状及び寸法安定性や耐熱性が悪くなる。
上記変性PPには、必要に応じ、塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、メタクリレート系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、プロピオン酸ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂等の熱可塑性樹脂の一種又は二種以上が混合されてもよい。
上記変性PPは通常シート状にされるが、該変性PPシートの片面または両面には更にPE、無変性PP、EPR、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、メタクリレート系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、スチレン系樹脂、プロピオン酸ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリエステル系樹脂等の熱可塑性樹脂の被膜または該熱可塑性樹脂の発泡体の被膜を形成してもよい。層間密着性、耐熱性の観点から無変性PPは望ましい被膜である。上記被膜は変性PPに特に無機充填材を添加混合した場合、芯材の表面の平滑性が確保されかつ耐薬品性も向上する。
【0023】
上記変性PPの他、本発明の凹凸樹脂板2に使用される熱可塑性樹脂として望ましいものは、エンジニアリングプラスチックのポリマーアロイである。特に直射日光に曝される屋根断熱構造1に使用される場合には、耐熱性を有する熱可塑性樹脂を使用することが好ましく、このような耐熱性熱可塑性樹脂としてエンジニアリングプラスチックが好ましい。該エンジニアリングプラスチックとして、エンジニアリングプラスチックのみ、またはエンジニアリングプラスチックと上記変性PP等の熱可塑性プラスチック、またはエンジニアリングプラスチックと該エンジニアリングプラスチック以外の熱可塑性樹脂とのポリマーアロイまたはエンジニアリングプラスチックと該エンジニアリングプラスチック以外の熱可塑性樹脂とゴム状物質とのポリマーアロイを用いてもよい。なお該ゴム状物質としては、天然ゴム、合成ゴム、熱可塑性エラストマーが挙げられる。
【0024】
上記エンジニアリングプラスチックとしては、例えば、ポリアミド(PA)、ポリエステル、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリアリレート(PAR)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアミノビスマレイミド、メチルペンテンコポリマー(TPX)、セルロースアセテート(CA)等の熱可塑性エンジニアリングプラスチック、ポリアリルエーテル等の液晶性エンジニアリングプラスチック、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂等の圧縮成形性エンジニアリングプラスチック、結晶性ポリエチレンテレフタレートや結晶性ポリブチレンテレフタレート等の結晶性ポリエステル、シンジオタクチックポリスチレンやアイソタクチックポリスチレン等の立体規則性ポリスチレン等の望ましくは融点が200℃以上のエンジニアリングプラスチックが挙げられる。これらのエンジニアリングプラスチックは、それぞれ単独でまたは2種以上組み合わせて使用される。
【0025】
なお上記変性PPEとは、PPEにスチレン、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、α−メチルビニルトルエン、α−メチルジアルキルスチレン、o−、m−またはp−ビニルトルエン、o−エチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、o−クロロスチレン、p−クロロスチレン、o−ブロモスチレン、2,4−ジクロロスチレン、2−クロロ−4−メチルスチレン、2,6−ジクロロスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等のスチレン系モノマーをグラフト重合したり、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS)、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)等のスチレン系樹脂を混合してポリマーアロイ化したものである。
【0026】
本発明の凹凸樹脂板2が上記エンジニアリングプラスチックと該エンジニアリングプラスチック以外の熱可塑性樹脂とのポリマーアロイからなる場合、該ポリマーアロイに使用される熱可塑性樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂等のポリスチレン系樹脂、ポリカプロラクタム(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリウンデカ1ラクタム(ナイロン11)、ポリドデカ1ラクタム(ナイロン12)等のポリアミド系樹脂があり、これらの熱可塑性樹脂はそれぞれ単独でまたは2種以上組合せて使用される。
【0027】
更に上記ポリマーアロイには、各々の成分の相溶性を改良する目的で相溶化剤が添加されてもよい。
該相溶化剤はポリマーアロイの各成分に親和性を有する化合物からなるので、各成分を仲介してポリマーアロイ中の各成分の混和状態を均一にする。従って各成分の特性が有効に発現し、耐熱性、成形性共に極めて良好な材料となり、真空成形等によって複雑形状の芯材が容易に製造されるようになる。
例えば、PPE、変性PPE、PPS等の芳香族系エンジニアリングプラスチックと、ポリプロピレン等のポリオレフィンからなるポリマーアロイ(ゴム状物質を含むポリマーアロイも含む)の相溶化剤としては、例えば、PPEとポリプロピレンとを化学結合で結合させたブロックまたはグラフト共重合体、ポリプロピレンとポリスチレンとのブロックまたはグラフト共重合体、PPEとエチレン−ブテン共重合体とのブロックまたはグラフト共重合体、アルケニル芳香族化合物(例えばスチレン)と共役ジエン(例えばブタジエン、イソプレン)とのジブロック共重合体またはトリブロック共重合体を水素添加したポリマー等が使用される。
また上記芳香族系エンジニアリングプラスチックとポリアミド系樹脂からなるポリマーアロイ(ゴム状物質を含むポリマーアロイも含む)の相溶化剤としては、例えば、(a)(i)エチレン性炭素−炭素二重結合又は炭素−炭素三重結合及び;(ii)カルボン酸、酸無水物、酸アミド、イミド、カルボン酸エステル、アミン又はヒドロキシル基;の両者を含む化合物;(b)液状ジエン重合体;(c)エポキシ化合物;(d)ポリカルボン酸又はそれらの誘導体;(e)酸化ポリオレフィンワックス;(f)アシル官能基含有化合物;(g)クロルエポキシトリアジン化合物;及び(h)マレイン酸又はフマル酸のトリアルキルアミン塩が例示される。
上記相溶化剤(a)〜(h)の詳細は特開平9−12497号公報に示されており、更に各相溶化剤(a)〜(h)は米国特許第4,315,086号明細書((a)、(b)および(c)に関する文献)、米国特許第4,873,286号明細書((d)に関する文献)、米国特許第4,659,760号明細書((e)に関する文献)、米国特許第4,642,358号明細書および米国特許第4,600,741号明細書((f)に関する文献)、米国特許第4,895,945号明細書、米国特許第5,096,979号明細書、米国特許第5,089,566号明細書および5,041,504号明細書((g)に関する文献、米国特許第4,755,566号明細書((h)に関する文献)で開示される。
上記相溶化剤は、ポリマーアロイに対して通常、0.1〜60質量%添加される。
【0028】
本発明の凹凸樹脂板2の材料として使用される上記熱可塑性樹脂には、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、燐酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、アルミナ、シリカ、珪藻土、ドロマイト、石膏、タルク、クレー、アスベスト、マイカ、ケイ酸カルシウム、ベントナイト、ホワイトカーボン、カーボンブラック、鉄粉、アルミニウム粉、ガラス粉、石粉、高炉スラグ、フライアッシュ、セメント、ジルコニア粉等の無機充填材の一種または二種以上を添加して、機械的強度や耐熱性を向上せしめてもよい。
【0029】
更に上記熱可塑性樹脂には、リンター、リネン、サイザル、木粉、ヤシ粉、クルミ粉、デン粉、小麦粉等の有機充填材、木綿、麻、竹繊維、ヤシ繊維、羊毛、石綿、ケナフ繊維等の天然繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維、アクリル繊維、塩化ビニル繊維、塩化ビニリデン繊維等の合成繊維、ビスコース繊維、アセテート繊維等の半合成繊維、アスベスト繊維、ガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、金属繊維、ウィスカー等の無機繊維等の繊維状充填材の一種または二種以上を添加して形状保持性、寸法安定性、圧縮および引張強度等を向上せしめてもよい。上記無機あるいは有機充填材あるいは繊維状充填材は通常上記熱可塑性プラスチックに対して0.05〜200質量%程度添加される。
【0030】
上記熱可塑性樹脂は、顔料や染料等により着色され色分けされてもよく、更にDOP、DBP等の可塑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶化促進剤、難燃剤、防炎剤、防虫剤、防腐剤、ワックス類、滑剤、安定剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、化学発泡剤またはカプセル型発泡剤等の発泡剤等が添加されてもよい。これらの成分は一種または二種以上相互に混合して添加されてもよい。
【0031】
また、雨漏り防止の観点から、該凹凸樹脂板2の上面を耐水性とすることが望ましい。例えば、該凹凸樹脂板2を耐水性熱可塑性樹脂シートで構成してもよいし、該凹凸樹脂板2の表面に防水加工を施してもよい。該耐水性熱可塑性樹脂シートとしては、上記した材料のうちPPが特に望ましい。
【0032】
本発明の凹凸樹脂板2は、図1aに示すように矩形波の形状に成形されている。そして、該凹凸樹脂板2においては、上下両面に形成された谷部によって複数の通気溝2Aが構成されている。
また、図1bに示すように、基材20の上面には熱反射層21が形成されている。このように図1bに示す構成は基材20の上面のみに熱反射層21が形成されているが、該熱反射層21は基材20の上面および/または下面に形成されていてもよい。
【0033】
〔熱反射層〕
本発明の熱反射層21は、基材シートの表面にアルミ箔をラミネートした熱反射シートで構成することができる。例えば該熱反射シートは、ポリエチレンフィルムの表裏にポリエチレン多孔質シートをそれぞれ積層し、このような積層体の上下両面に、アルミ純度99%のアルミシート(ポリエチレンシートにアルミニウムを被覆したもの)をそれぞれ配置したものが使用できる。該熱反射層21の熱反射率は97%以上であることが望ましい。また、成形後に該基材シートの表面にアルミニウムの分散溶液をスプレー塗布してもよい。
【0034】
〔成形品〕
上記凹凸樹脂板2は、通常、上記熱可塑性樹脂シートを真空および/または圧空成形あるいはプレス成形によって製造する。該熱可塑性樹脂シートの厚みは通常0.1〜0.8mmであることが好ましい。
【0035】
また、上記凹凸樹脂板2は、射出成形によって製造することができる。このように射出成形を採用すると、該凹凸樹脂板2を1工程で複雑かつ精巧に大量生産することができる。
【0036】
〔多孔質シート(多孔質マット)〕
本発明の多孔質シート(多孔質マット)25,25Aとしては不織布、繊維編織物等の繊維シートあるいは繊維マット、ポリウレタン発泡体、ポリエチレン発泡体、ポリプロピレン発泡体、ポリスチレン発泡体、ポリ塩化ビニル発泡体、エポキシ樹脂発泡体、メラミン樹脂発泡体、尿素樹脂発泡体、フェノール樹脂発泡体等の樹脂発泡体のうち通気性を有する樹脂発泡体、上記プラスチックのビーズの焼結体等が使用される。
【0037】
上記多孔質シート(多孔質マット)25,25Aが繊維シートからなる場合には、該繊維シートに使用される繊維材料として例えばポリエステル繊維、芯鞘構成のポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維、ウレタン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、アセテート繊維等の合成繊維、パルプ、木綿、ヤシ繊維、麻繊維、竹繊維、ケナフ繊維等の天然繊維、ガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、石綿繊維等の無機繊維、あるいはこれらの繊維を使用した繊維製品のスクラップを解繊して得られた再生繊維の1種または2種以上の繊維が使用されるが、例えばガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、石綿繊維、ステンレス繊維等の無機繊維やポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維、ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド繊維等のアラミド繊維、ポリアリレート繊維、ポリエーテルエーテルケトン繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維等の望ましくは融点が250℃以上の耐熱性合成繊維を使用すれば、耐熱性の極めて高い多孔質シート(多孔質マット)25,25Aが得られる。その中でも炭素繊維は焼却処理が可能で細片が飛散しにくい点で有用な無機繊維であり、アラミド繊維は比較的安価で入手し易い点で有用な合成繊維である。
【0038】
上記多孔質シート(多孔質マット)25,25Aの単位面積あたりの質量は200〜1400g/m、好ましくは200〜1000g/mに設定する。多孔質シート(多孔質マット)25,25Aの密度は5〜300kg/m、好ましくは10〜250kg/m、更に好ましくは20〜200kg/mに設定する。上記多孔質シート(多孔質マット)25,25Aの通気抵抗は、好ましくは0.03〜5kPa・s/mに設定する。
【0039】
ここで、通気抵抗R(Pa・s/m)とは、通気性材料の通気の程度を表す尺度である。この通気抵抗Rの測定は定常流差圧測定方式により行われる。図11に示すように、シリンダー状の通気路W内に試験片Tを配置し、一定の通気量V(図中矢印の向き)の状態で図中矢印の始点側の通気路W内の圧力P1と、図中矢印の終点P2の圧力差を測定し、次式より通気抵抗Rを求めることが出来る。
R=ΔP/V
ここで、ΔP(=P1−P2):圧力差(Pa)、V:単位面積当りの通気量(m/m・s)である。なお通気抵抗R(Pa・s/m)は通気度C(m/Pa・s)とC=1/Rの関係にある。
通気抵抗は、例えば、通気性試験機(製品名:KES−F8−AP1、カトーテック株式会社製、定常流差圧測定方式)によって測定することが出来る。
【0040】
上記多孔質シート(多孔質マット)25,25Aは、上記繊維シート、樹脂発泡体、焼結体等の二種以上の積層体であってもよい。例えば上記多孔質シート(多孔質マット)25,25Aとしては、樹脂含浸ポリウレタン発泡体シートの片面または両面に補強のためにガラスチョップドストランドマット、ガラスペーパー等のガラス繊維シートを積層した積層多孔質シート(多孔質マット)が挙げられる。
【0041】
〔紙材〕
本発明に使用される上記多孔質シート(多孔質マット)25,25Aの片面又は両面には、通気抵抗が0.06〜3.0kPa・s/mの紙材29を配置してもよい。
上記紙材29として望ましいものには、適度に叩解されたパルプ繊維を材料とするものがある。望ましい叩解度の範囲はJIS P 8121−1995の4.カナディアン・スタンダード・フリーネスに規定されるカナダ標準型ろ水度で350〜650ml(CSF)の範囲であり、該繊維の単位面積あたりの質量は15〜50g/mの範囲である。
上記紙材29にはクレープ加工および/またはエンボス加工が施されてもよい。上記紙材29にクレープ加工および/またはエンボス加工が施されていると、紙材29が伸び易くなって成形性が向上する。
望ましいクレープ率は10〜50%、望ましいエンボス加工は突起高さ0.02〜2.00mmでかつ突起数が20〜200個/cmの範囲である。
【0042】
〔合成樹脂含浸〕
上記多孔質シート(多孔質マット)25,25Aおよび/または上記紙材29には剛性付与、通気抵抗調節の目的で合成樹脂が塗布または含浸されてもよい。上記合成樹脂としては熱可塑性樹脂および/または熱硬化性樹脂が使用される。
【0043】
上記熱可塑性樹脂としては、例えばアクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸エチル(EEA)樹脂、アクリロニトリル・スチレン・アクリルゴム共重合(ASA)樹脂、アクリロニトリル・スチレン共重合(AS)樹脂、アクリロニトリル・塩素化ポリエチレン・スチレン共重合(ACS)樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合(EVA)樹脂、エチレン・ビニルアルコール共重合(EVOH)樹脂、メタクリル樹脂(PMMA)、ポリブタジエン(BDR)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合(ABS)樹脂、塩素化ポリエチレン(CPE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリプロピレン(PP)、酢酸繊維素(セルロースアセテート:CA)樹脂、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)、ポリオキシメチレン(=ポリアセタール)(POM)、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアリレート(PAR)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)エラストマー、熱可塑性エラストマー(TPE)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリサルフォン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、フッ素樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、変性PPE、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリベンゾイダゾール(PBI)、全芳香族ポリエステル(POB)、等が例示される。
上記熱可塑性樹脂は、2種以上混合使用されてもよく、また多孔質シート(多孔質マット)25,25Aの熱可塑性を阻害しない程度で若干量の熱硬化性樹脂の1種または2種以上を混合使用してもよい。
該熱可塑性樹脂は取扱いが容易な点から、水溶液、水性エマルジョン、水性ディスパージョンの形のものを使用することが好ましいが、有機溶剤溶液の形のものを使用してもよい。
【0044】
上記熱硬化性樹脂としては、例えばウレタン樹脂、メラミン樹脂、熱硬化型アクリル樹脂、特に加熱によりエステル結合を形成して硬化する熱硬化型アクリル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、熱硬化型ポリエステル等が使用されるが、該合成樹脂を生成するウレタン樹脂プレポリマー、尿素樹脂プレポリマー(初期縮合体)、フェノール樹脂プレポリマー(初期縮合体)、ジアリルフタレートプレポリマー、アクリルオリゴマー、多価イソシアナート、メタクリルエステルモノマー、ジアリルフタレートモノマー等のプレポリマー、オリゴマー、モノマー等の合成樹脂前駆体が使用されてもよい。該熱硬化性樹脂も取扱いが容易な点から、水溶液、水性エマルジョン、水性ディスパージョンの形のものを使用することが好ましいが、有機溶剤溶液の形のものを使用してもよい。
本発明で使用される樹脂として望ましいのは、フェノール系樹脂である。該フェノール系樹脂は、フェノール系化合物とホルムアルデヒドおよび/またはホルムアルデヒド供与体とを縮合させることによって得られる。
上記フェノール系樹脂に使用されるフェノール系化合物としては、一価フェノールであってもよいし、多価フェノールであってもよいし、一価フェノールと多価フェノールとの混合物であってもよいが、一価フェノールのみを使用した場合、硬化時および硬化後にホルムアルデヒドが放出され易いため、好ましくは多価フェノールまたは一価フェノールと多価フェノールとの混合物を使用する。
上記合成樹脂、特に熱硬化性樹脂の添加は、上記多孔質シート(多孔質マット)25,25Aの成形形状保持性と剛性とを共に向上せしめる。
【0045】
上記多孔質シート(多孔質マット)25,25Aまたは上記紙材29に上記合成樹脂を含浸させるには、スプレー、ロールコーター、ナイフコーター、カーテンフローコーター等の塗工機による塗布、ディッピング等の公知の方法が適用され、合成樹脂の含浸量を調節するには、合成樹脂を塗布または含浸した上記多孔質シート(多孔質マット)25,25Aまたは上記紙材29を絞りロールによって絞る方法が一般的である。
上記合成樹脂を多孔質シート(多孔質マット)25,25Aまたは上記紙材29に塗布または含浸した後は、常温あるいは加熱乾燥を行なう。
【0046】
〔屋根断熱構造〕
以下に本発明の屋根断熱構造1(1A〜1H)の実施例を記載するが、本発明は該実施例にのみ限定されるものではない。
【0047】
〈実施例1〉
図2に示すように、屋根断熱構造1Aにおいては、垂木6が軒桁7A、母屋7B、棟木7Cによって支持されている。また、棟木7Cの上方であって左右から垂木6,6が突き合わされる部位には、断熱性シール材10が充填されている。
【0048】
また、図3に示すように、複数の垂木6上には、上記凹凸樹脂板2が差し渡されている。具体的には、該凹凸樹脂板2の下面における通気溝2Aの溝巾を該垂木6の横巾と等しくなるように設定し、該垂木6の上部に該通気溝2Aをそれぞれ嵌め込んで該垂木6上に該凹凸樹脂板2を差し渡している。該凹凸樹脂板2を垂木6に取り付ける際には、垂木6,6間の長さや垂木形状等に応じて該凹凸樹脂板2を適宜切削し、またラップ処理しながら、釘やビスなどの固定手段によって野地板3と共に垂木6に対して固定する。
なお、該凹凸樹脂板2の大きさは通常、巾500〜1000mm、長さ700〜2000mm程度が好ましい。
【0049】
さらに、該凹凸樹脂板2上面には、野地板3が被着されている。さらに、該野地板3上に防水シート4が配置され、該防水シート4上に瓦などの屋根材12が葺設されている。
【0050】
また、図2に示す屋根構造1Aにおける棟部にあっては、笠木13を介して水切り板14が被着されていると共に、該棟部の所定箇所には棟換気部材16が被着されている。そして、上記凹凸樹脂板2の通気溝2Aの上端(棟部側)は、該棟部に沿って形成されている通気路11に連通されて外気に開放されている。
一方、該通気溝2Aの下端(軒先側)は、軒先において直接外気に開放されている。
【0051】
また、該凹凸樹脂板2の厚さh(図1a参照)は、該垂木6の厚さよりも小さく設定されている。したがって、該凹凸樹脂板2と、該垂木6の下側にある母屋7Bとの間には、垂木6上に該凹凸樹脂板2を差し渡した状態で隙間Sが形成される。
【0052】
上記構成において、屋根材12の輻射熱は、該凹凸樹脂板2上面の熱反射層21によって反射されるため、該輻射熱は該凹凸樹脂板2よりも下方にある室内には伝わらない。
また、該凹凸樹脂板2の通気溝2Aが外気に開放されているから、屋根裏の通気を確実に行うことが出来る。
【0053】
さらに、屋根材12から発生する雨音等の騒音(音波)は、該凹凸樹脂板2の通気溝2Aの溝壁に反射してエネルギーを減衰せしめられる。また、該凹凸樹脂板2の下側には、上述のように隙間Sが形成されて空気層が設けられているため、該空気層がいわば断熱遮音材となって屋根材12と室内との熱及び音の伝導を好適に遮断している。
【0054】
〈実施例2〉
また、図4に示すように、屋根断熱構造1Bは、凹凸樹脂板2の厚さhを一律に垂木6の厚さにほぼ等しく設定した構成である。
【0055】
〈実施例3〉
また、図5に示すように、屋根断熱構造1Cは、凹凸樹脂板2の厚さhを、垂木6が嵌る部分を大きく設定し、垂木6,6の間に介在する部分を小さく設定し、垂木6上に該凹凸樹脂板2を差し渡した状態で該垂木6,6間において該凹凸樹脂板2の上下両側に隙間Sをそれぞれ形成した構成である。
【0056】
〈実施例4〉
また、図6に示すように、屋根断熱構造1Dは、垂木6,6間に位置する凹凸樹脂板2の下面に断熱材8を配置して、垂木6,6間に断熱材8を介装した構成である。
【0057】
〈実施例5〉
また、図7に示すように、屋根断熱構造1Eは、凹凸樹脂板2の厚さhを、垂木6が嵌る部分を大きく設定し、垂木6,6の間に介在する部分を小さく設定した構成である。このような構成において、垂木6上に該凹凸樹脂板2を差し渡すと、該垂木6,6間において該凹凸樹脂板2の上側に隙間Sが形成される。また該屋根断熱構造1Eは、凹凸樹脂板2の下面に断熱材8を配置し、垂木6,6間に該断熱材8を介装させている。
【0058】
〈実施例6〉
また、図8に示すように、屋根断熱構造1Fは、上記凹凸樹脂板2の下側に多孔質シート(または多孔質マット)25を接着した構成である。
【0059】
〈実施例7〉
また、図9に示すように、屋根断熱構造1Gは、上記凹凸樹脂板2の下側に不織布、スパンボンド等の繊維シート26を接着し、該繊維シート26の下面に多孔質シート(または多孔質マット)25Aを接着した構成である。
該多孔質シート(または多孔質マット)25Aは、樹脂含浸ポリウレタン発泡体シート、ガラス繊維含有ポリエステル発泡体シート、ガラス繊維含有ポリプロピレン発泡体シート等の樹脂発泡体27Aの両表面に樹脂含浸ガラス繊維シート27B,27Bが接着された積層体である。上記ガラス繊維シート27B,27Bは、例えばガラスペーパー、ガラスチョップドストランドマット等が好ましい。
更に上記多孔質シート(または多孔質マット)25Aの下側には、不織布、繊維編織物等の繊維シートからなる表皮材28が接着されている。
【0060】
〈実施例8〉
また、図10に示すように、屋根断熱構造1Hは、上記凹凸樹脂板2の下側に、上記紙材29を上面に接着した多孔質シート(または多孔質マット)25を配置した構成である。
【0061】
多孔質シート(または多孔質マット)25,25Aと紙材29との接着は融着または通気性接着剤層を介して行うことが望ましい。また、部分的に接着してもよい。
上記通気性接着剤層は、例えば粉末状ホットメルト接着剤の散布層、くもの巣状ホットメルト接着剤層、あるいは溶液状、エマルジョン状のホットメルト接着剤や通常の接着剤を斑点状、縞状等に塗布した不連続接着剤塗布層等である。
【0062】
〈実施例10〉(紙材)
実施例8に使用する紙材29として、針葉樹パルプからなるパルプ繊維原料をディスクリファイナーにより叩解し、カナディアン・スタンダード・フリーネスに規定されるカナダ標準ろ水度で450ml(CSF)で叩解、抄紙した後、通常のヤンキードライヤー方式により乾燥させ、単位面積あたりの質量25g/m、クレープ率20%、通気抵抗0.67kPa・s/mの紙材を作製した。
【0063】
〔断熱遮音試験〕
試料として、図8および図10に示す構造のものを選択する。
図8に示す試料1では、屋根材12として厚さ3mmの鋼板を使用し、野地板3として厚さ10mmの面材を使用し、凹凸樹脂板2として図1に示す構造の厚さ0.3mmのポリプロピレンシートの真空成形品を使用し、該凹凸樹脂板2の厚さhを10mmとし、該凹凸樹脂板2の両面にアルミニウムの蒸着を施した。
また多孔質シート25としては、融点が120℃の低融点ポリエステル繊維が30質量%混合されたポリエステル繊維からなり、厚さ5mm、単位面積あたりの質量500g/m、通気抵抗0.12kPa・s/mの繊維シートを選択した。
凹凸樹脂板2と多孔質シート25とは、融着により部分的に四隅および中央部で接着させた。
図10に示す試料2では、上記多孔質シート25と実施例10の紙材29とを使用した。多孔質シート25Aと紙材29との接着は、粉末状ポリアミド系ホットメルト接着剤(粒度:200〜400μm、融点:125℃)を10g/mの塗布量で散布した通気性接着剤層によって行い、上記凹凸樹脂板2と多孔質シート25とは、融着により部分的に四隅および中央部を接着させた。
さらに、比較試料1として、上記試料1において凹凸樹脂板2を除去した構造を選択した。また比較試料2として、上記試料2において凹凸樹脂板2を除去した構造を選択した。さらに比較試料3として、凹凸樹脂板2および多孔質シート25を用いずに屋根材12と野地板3のみの構造を選択した。
【0064】
〔断熱遮音試験方法〕
以下の試験方法により、試料1、試料2、比較試料1、比較試料2、比較試料3について断熱遮音試験を行なった。
【0065】
〔断熱試験〕
得られた各試料を、一辺500mmの正方形に切り取り、図12に示すように縦横が500mm、高さが200mmのスレート板からなる箱型形状の上部に上記各試料を取り付け、上記各試料の屋根材12の上部から赤外線ランプにて80℃の温度に加熱し、箱型形状内部の温度上昇を測定した。なお、比較試料1,2,3においては、凹凸樹脂板2が配置されていないため、凹凸樹脂板2の相当位置に厚さ10mm(凹凸樹脂板2の厚さhに相当)の空間部を設けた。外気温度は23℃とした。試験結果を表1に示す。
【0066】
〔遮音試験〕
得られた各試料を、一辺500mmの正方形に切り取り、20度の勾配からなる傾斜がつくように台座に取付け、屋根材12の中央部に高さ500mmから1分間に100ccの水滴を落下させ、その際に発生した屋根材12の100mm直下での騒音を騒音計を用いて測定温度23℃で測定した。また水滴を落下させない状態での室内雰囲気の騒音も測定した。試験結果を表2に示す。
【0067】
【表1】

【0068】
【表2】

【0069】
表1に示す断熱試験では、屋根材12と野地板3だけの比較試料3に比べて比較試料1,2は温度上昇が遅いが、本発明の構造を有する試料1,2は比較試料より大きな断熱効果が得られることが判る。
【0070】
表2に示す遮音試験においても、本発明の構造を有する試料1,2は従来の構造のものより高い遮音効果が得られることが判る。
【0071】
これまでに述べた屋根断熱構造1において、該凹凸樹脂板2の上側に屋根材12としての車両用天井パネルを配置し、該凹凸樹脂板2の下側に車両用成形天井材を配置して車両用の屋根断熱構造としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の屋根断熱構造は軽量でかつ断熱性に富むので、建物や車両の屋根に有利に適用できるから、産業上利用可能である。
【符号の説明】
【0073】
1(1A〜1H) 屋根断熱構造
2 凹凸樹脂板
2A 通気溝
3 野地板
6 垂木
12 屋根材
21 熱反射層
25,25A 多孔質シート(マット)
29(29A〜29E)紙材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根材と、該屋根材の下側に配置される凹凸樹脂板とからなり、
該凹凸樹脂板の上面および/または下面には熱反射層が形成されていることを特徴とする屋根断熱構造。
【請求項2】
該凹凸樹脂板には、該凹凸樹脂板の谷部によって構成される通気溝が形成されている請求項1記載の屋根断熱構造。
【請求項3】
該凹凸樹脂板は、熱可塑性樹脂シートを射出成形、又は、真空および/または圧空成形して凹凸を形成した成形品である請求項1又は請求項2記載の屋根断熱構造。
【請求項4】
該凹凸樹脂板の下側に多孔質シートまたは多孔質マットを配置した請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の屋根断熱構造。
【請求項5】
該多孔質シートまたは該多孔質マットの片面又は両面に、通気抵抗が0.06〜3.0kPa・s/mの紙材を配置した請求項4に記載の屋根断熱構造。
【請求項6】
建物用の屋根断熱構造であって、
該凹凸樹脂板は複数の垂木上に差し渡され、該凹凸樹脂板上面に野地板が配置され、該野地板の上側に建物用の屋根材が配置されている請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の屋根断熱構造。
【請求項7】
各垂木間には断熱材が介装されている請求項6記載の屋根断熱構造。
【請求項8】
該凹凸樹脂板と該断熱材との間に多孔質シートまたは多孔質マットを配置した請求項7記載の屋根断熱構造。
【請求項9】
該多孔質シートまたは該多孔質マットの片面又は両面に、通気抵抗が0.06〜3.0kPa・s/mの紙材を配置した請求項8記載の屋根断熱構造。
【請求項10】
車両用の屋根断熱構造であって、
該凹凸樹脂板の上側に屋根材としての車両用天井パネルが配置され、該凹凸樹脂板の下側に車両用成形天井材が配置されている請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の屋根断熱構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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