説明

層内のゲスト材料を含む電子デバイス、およびそれを形成するためのプロセス

電子デバイスを形成するための方法が、第1の層を基板の上に形成する工程と、第1の液体組成物を第1の層の第1の部分の上に配置する工程とを含む。第1の液体組成物は、少なくとも、第1のゲスト材料と、第1の液体媒体とを含む。第1の液体組成物は第1の層と接触し、実質的な量の第1のゲスト材料が第1の層と混合する。電子デバイスが、基板と、基板の上にある連続した第1の層とを含む。連続層は、電子構成要素がある第1の部分と、電子構成要素がない第2の部分とを含む。第1の部分は、厚さが少なくとも30nmであり、第1のゲスト材料を含み、第2の部分は、厚さが40nm以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、電子デバイス、およびそれらを形成するためのプロセスに関し、より特定的には、層内の1つまたは複数のゲスト材料を含む電子デバイス、およびそれらを形成するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
有機電子デバイスを含む電子デバイスが、日常生活でより広く使用され続けている。有機電子デバイスの例としては、有機発光ダイオード(「OLED」)が挙げられる。フルカラーOLEDの製造における現在の研究は、カラーピクセルを製造するための費用効果的高処理量プロセスの開発の方に向けられる。モノクロディスプレイの製造の場合、スピンコーティングプロセスが広く採用されている。しかし、フルカラーディスプレイの製造は、通常、モノクロディスプレイの製造で用いられる手順への特定の修正を必要とする。たとえば、フルカラー画像を有するディスプレイを製造するために、各ディスプレイピクセルが、各々が、3つの原色、すなわち、赤色、緑色、および青色のうちの1つを発する、3つのサブピクセルに分けられる。フルカラーピクセルの3つのサブピクセルへのこの分割は、OLEDディスプレイの製造の間、異なった有機ポリマー材料を1つの基板上に堆積させるための現在のプロセスを修正する必要をもたらしている。
【0003】
有機材料層を基板上に堆積させるための1つのそのようなプロセスは、インクジェット印刷である。図1を参照すると、第1の電極120(たとえば、アノード)が基板100の上に形成される。さらに、ピクセルおよびサブピクセルを形成するために、ウェル構造130が基板100上に形成されて、インク滴を基板100上の特定の位置に閉じ込める。ウェル構造130は、典型的には、厚さが1から5ミクロンであり、電気絶縁体から製造される。電荷輸送層140(たとえば、正孔輸送層)および有機活性層150を、順次、層140および150の各々を第1の電極120の上にインクジェット印刷することによって形成することができる。
【0004】
1つまたは複数のゲスト材料を有機活性層150と混合してもしなくてもよい。たとえば、図1の左側に最も近いウェル構造130の開口部内の有機活性層150が、赤色ゲスト材料を含むことができ、図1の中心に近いウェル構造130の開口部内の有機活性層150が、緑色ゲスト材料を含むことができ、図1の右側に最も近いウェル構造130の開口部内の有機活性層150が、青色ゲスト材料を含むことができる。ウェル構造130は、ディスプレイの開口率を低減する傾向があり、したがって、ディスプレイの使用者によって見られるような十分な発光強度を達成するために、より高い電流が必要である。
【0005】
代替プロセスにおいて、電荷輸送層140および有機活性層150を、ウェル構造を伴ってまたは伴わずに形成することができる。異なったゲスト材料を有するインクを有機活性層150の領域上に配置することができる。インクは共役ポリマーを含むことができる。インクを有機活性層150上に配置した後、ゲスト材料を、上にあるポリマーから有機活性層150内に駆動するために、拡散工程が行われる。第2の電極(図示せず)が有機活性層150およびインクの上に形成される。
【0006】
【特許文献1】米国特許第4,356,429号明細書
【特許文献2】米国特許第4,539,507号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2002/0121638号明細書
【特許文献4】米国特許第6,459,199号明細書
【特許文献5】米国特許第5,247,190号明細書
【特許文献6】米国特許第5,408,109号明細書
【特許文献7】米国特許第5,317,169号明細書
【特許文献8】国際公開第02/02714号パンフレット
【特許文献9】米国特許出願公開第2001/0019782号明細書
【特許文献10】EP 1191612号明細書
【特許文献11】国際公開第02/15645号パンフレット
【特許文献12】国際公開第02/31896号パンフレット
【特許文献13】EP 1191614号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このプロセスをそのようなプロセスによって形成される有機電子デバイスのために用いるとき、多くの問題が生じる。第1に、ゲスト材料のほとんどが有機活性層150内に拡散しない。典型的には、インクからのゲスト材料の25%以下が有機活性層150内に拡散される。したがって、ゲスト材料のほとんどが有機活性層150の外側にある。
【0008】
第2に、このインク拡散プロセスを用いて形成された電子構成要素は、劣った効率を有する。比較の基礎として、有機活性層が基板の上に形成される前、同じホスト材料(有機活性層150として)およびゲスト材料を混合することができる。ホスト材料およびゲスト材料の組合せをスピンコーティングし、その後処理して、電子構成要素を形成することができる。スピンコーティングされた電子構成要素は、対応する従来の電子構成要素と呼ばれ、というのは、有機活性層が、拡散された構成要素と同じホスト材料およびゲスト材料を有するからである。インク拡散プロセスによって形成された電子構成要素は、それらの対応する従来の電子構成要素より低い効率を有する。より低い効率によって、インク拡散プロセスを用いて形成された電子構成要素は、市販のディスプレイのために使用されるには低すぎる強度を有する。
【0009】
第3に、このインク拡散プロセスは、ゲスト材料濃度の非常に不均一な分布を引起し、電子デバイスで、電極間の高濃度勾配(濃度の変化を距離で割ったもの)をもたらす。第2の電極に近い有機活性層150内のゲスト材料濃度は、典型的には、少なくとも2であり、通常、第1の電極120に近い有機活性層150内のゲスト材料濃度より数桁高い。高いゲスト材料濃度勾配は、ディスプレイを、特に経時的に、使用することをほとんど不可能にする。第1の電極と第2の電極との間の電位差が変えられると、有機活性層150内の電子および正孔の再結合のための位置も変わり、第1の電極120により近くまたは第1の電極120からより遠く移動する(電位差の相対変化によって)。再結合が第2の電極により近い場合、より多いゲスト材料が再結合位置に存在する。再結合が第1の電極120により近い場合、より少ないゲスト材料が再結合位置に存在する。
【0010】
有機活性層150内のこのゲスト材料濃度勾配は、第1の電極と第2の電極との間の電位差が変化すると、異なったスペクトルが電子構成要素から発されることを引起す。より高い強度が、典型的には、電流を増加させることによって達成され、これが、典型的には、第1の電極と第2の電極との間の電位差を増加させることによって生じることに留意されたい。したがって、1つの色(すなわち、「グレースケール」)の強度制御が困難であり、というのは、発光スペクトルが強度の変化とともにシフトし、これらの両方が、第1の電極と第2の電極との間の電位差の変化によって引起されるからである。
【0011】
構成要素が老化するにつれて、同じ強度のために必要な電流の量は、典型的には増加する。ホスト材料が青色光を発することができる場合、強度が経時的に衰え、電流が増加される(強度を経時的に比較的一定に保とう試みるために)につれて、赤色および緑色ドープピクセルの発光は、それらの初期の特徴的な発光に対してより青色になることがある。構成要素が老化するにつれて、一定の輝度を維持するために動作電圧が増加される。ホスト材料内のゲスト材料濃度プロファイルが十分に均一でない場合、輝度減衰を相殺するために動作電圧が増加されるにつれて、赤色および緑色ピクセルの発光スペクトルは、発光層内の再結合ゾーン位置および幅の変化の結果として、青色成分を含み始めることがある。
【0012】
第4に、インク拡散プロセスは、有機活性層150の厚さに対する感度のため、製造に用いることがほとんど不可能である。厚さの比較的小さい変化が、有機活性層150内のゲスト材料濃度プロファイルに大きい影響を与えることがある。ディスプレイの場合、製造プロセスの間の有機活性層150の厚さの変化によって、使用者が、ディスプレイからディスプレイへの、または1つのディスプレイのアレイ内でさえ、変化を観察する。
【0013】
異なった従来のプロセスが、蒸気相または固相拡散プロセスを用いる。両方のプロセスに、先に説明された同様の問題がある。拡散が、ゲスト材料の濃度を層の厚さ全体にわたってより均一にする(すなわち、電極間の濃度勾配を低減する)のに十分に長い場合、横方向の拡散が大きすぎ、低解像度をもたらすことがあり、というのは、ピクセルが、大きい必要があるからである。あるいは、横方向の拡散を高解像度のための受入れられるレベルに保つことができる場合、有機層の厚さ全体にわたるゲスト材料濃度勾配が、受入れられないほど大きいことがある。いくつかの場合、両方の問題が生じることがある(すなわち、厳しすぎる電子デバイスの電極間の濃度勾配を有しながら、受入れられないほど大きい横方向に拡散)。
【課題を解決するための手段】
【0014】
電子デバイスを形成するための方法が、第1の層を基板の上に形成する工程と、第1の液体組成物を第1の層の第1の部分の上に配置する工程とを含む。第1の液体組成物は、少なくとも、第1のゲスト材料と、第1の液体媒体とを含む。第1の液体組成物は第1の層と接触し、実質的な量の第1のゲスト材料が第1の層と混合する。
【0015】
電子デバイスが、基板と、基板の上にある連続した第1の層とを含む。連続層は、電子構成要素がある第1の部分と、電子構成要素がない第2の部分とを含む。第1の部分は、厚さが少なくとも30nmであり、第1のゲスト材料を含み、第2の部分は、厚さが40nm以下である。
【0016】
先の一般的な説明および次の詳細な説明は、例示および説明にすぎず、特許請求の範囲に規定されるような本発明を限定するものではない。
【0017】
本発明を、添付の図において、限定ではなく例として示す。
【0018】
当業者は、図の要素が、簡単かつ明確にするために示されており、必ずしも同じ割合で描かれていないことを理解する。たとえば、本発明の実施形態の理解を向上させるのを助けるために、図の要素のいくつかの寸法を他の要素に対して誇張することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
電子デバイスを形成するための方法が、第1の層を基板の上に形成する工程と、第1の液体組成物を第1の層の第1の部分の上に配置する工程とを含む。第1の液体組成物は、少なくとも、第1のゲスト材料と、第1の液体媒体とを含む。第1の液体組成物は第1の層と接触し、実質的な量の第1のゲスト材料が第1の層と混合する。
【0020】
一実施形態において、第1の層は、(1)目標波長においてまたは目標波長スペクトル内で放出最大を有する放射線を放出することができるか、(2)目標波長におけるまたは目標波長スペクトル内の放射線に応答するように設計され、目標スペクトルは、150nm以下の幅を有する。第1のゲスト材料は、(1)目標波長または目標波長スペクトルにおいて放出最大を有する放射線を放出することができるか、(2)目標波長におけるまたは目標波長スペクトル内の放射線に応答するように設計される。特定の実施形態において、第1の層および第1のゲスト材料の各々は、青色光スペクトル内で放出最大を有する。
【0021】
別の実施形態において、方法は、第1の層を形成する前、第2の層を基板の上に形成する工程と、第2の層の少なくとも一部を高密度化する工程とをさらに含む。高密度化後、第1の層は第2の層の上に形成される。特定の実施形態において、第1および第2の層は、実質的に同じ組成物を有する。別の特定の実施形態において、第2の層は、第1のゲスト材料が基板と混合するのを実質的に防止する。さらに別の特定の実施形態において、高密度化工程は、第2の層を架橋する工程を含む。より特定の実施形態において、方法は、第1の層を架橋する工程をさらに含み、第1の層は第1の材料を含み、第2の層は第2の材料を含む。第1の層を架橋する工程は、いくらかであるがすべてでない第1の材料が架橋されるように行われ、第2の材料を架橋する工程は、少なくとも、第2の材料の実質的にすべてが架橋されるまで、行われる。
【0022】
さらに別の実施形態において、方法は、第2の液体組成物を第1の層の第2の部分の上に配置する工程を含む。第2の液体組成物は、少なくとも、第2のゲスト材料と、第2の液体媒体とを含む。第2のゲスト材料は第1のゲスト材料と異なり、第2の液体組成物は第1の層と接触し、実質的な量の第2のゲスト材料が第1の層と混合する。方法は、また、第3の液体組成物を第1の層の第3の部分の上に配置する工程を含む。第3の液体組成物は、少なくとも、第3のゲスト材料と、第3の液体媒体とを含み、第3のゲスト材料は、第1および第2のゲスト材料の各々と異なる。第3の液体組成物は第1の層と接触し、実質的な量の第3のゲスト材料が第1の層と混合する。特定の実施形態において、形成されたままの状態の第1の層は、40nm以下の厚さを有する。第1の層および第1のゲスト材料の第1の組合せが、少なくとも60nmの厚さを有し、第1の層および第2のゲスト材料の第2の組合せが、少なくとも30nmの厚さを有し、第1の層および第3のゲスト材料の第3の組合せが、少なくとも60nmの厚さを有する。
【0023】
一実施形態において、第1のゲスト材料の実質的にすべてが、第1の層と混合する。別の実施形態において、第1の液体組成物を第1の層の上に配置する工程が、精密堆積技術を用いて行われる。さらに別の実施形態において、第1の層を形成する工程が、連続層を形成する工程を含む。さらなる実施形態において、第1の層は、フィルタ層の少なくとも一部である。さらなる実施形態において、方法によって形成された電子デバイス。電子デバイスにおいて、第1の層内の第1のゲスト材料は、放射線放出電子構成要素または放射線応答電子構成要素の一部である。
【0024】
電子デバイスが、基板と、基板の上にある連続した第1の層とを含む。連続層は、電子構成要素がある第1の部分と、電子構成要素がない第2の部分とを含む。第1の部分は、厚さが少なくとも30nmであり、第1のゲスト材料を含み、第2の部分は、厚さが40nm以下である。
【0025】
一実施形態において、連続した第1の層は、付加的な第1の部分を含み、電子デバイスは、第1の電子構成要素を含む。第1の電子構成要素の各々は、第1の電極と、第2の電極と、第1の電極と第2の電極との間にある第1の部分の少なくとも1つとを含む。特定の実施形態において、連続した第1の層は、第3の部分と、第4の部分とを含む。第3の部分は、厚さが少なくとも30nmであり、第2のゲスト材料を含み、第4の部分は、厚さが少なくとも30nmであり、第3のゲスト材料を含む。電子デバイスは、第2の電子構成要素と、第3の電子構成要素とを含む。第2の電子構成要素の各々は、第3の電極と、第4の電極と、第3の電極と第4の電極との間にある第2の部分の少なくとも1つとを含む。第3の電子構成要素の各々は、第5の電極と、第6の電極と、第5の電極と第6の電極との間にある第3の部分の少なくとも1つとを含む。より特定の実施形態において、第1の電子構成要素は、放射線放出電子構成要素または放射線応答電子構成要素である。
【0026】
別の実施形態において、連続した第1の層は、(1)目標波長においてまたは目標波長スペクトル内で放出最大を有する放射線を放出することができるか、(2)目標波長におけるまたは目標波長スペクトル内の放射線に応答するように設計され、目標スペクトルは、150nm以下の幅を有する。第1のゲスト材料は、(1)目標波長または目標波長スペクトルにおいて放出最大を有する放射線を放出することができるか、(2)目標波長におけるまたは目標波長スペクトル内の放射線に応答するように設計される。特定の実施形態において、連続した第1の層および前記第1のゲスト材料の各々は、青色光スペクトル内で放出最大を有する。
【0027】
さらなる実施形態において、電子デバイスは、基板と連続した第1の層との間にある第2の層をさらに含む。連続した第1の層は、第1の材料を含み、いくらかであるがすべてでない第1の材料が架橋される。第2の層は、第2の材料を含み、第2の材料の実質的にすべてが架橋される。さらなる実施形態において、連続した第1の層は、フィルタ層の少なくとも一部である。
【0028】
本発明の他の特徴および利点は、次の詳細な説明から、および特許請求の範囲から明らかであろう。詳細な説明は、最初に、用語の定義および明確化、次いで、液体組成物を使用する混合、液体組成物の導入前の製造、液体組成物の導入、製造の残り、代替実施形態、電子デバイスの電子動作、利点、最後に、実施例を扱う。
【0029】
(1.用語の定義および明確化)
以下で説明される実施形態の詳細を扱う前、いくつかの用語を定義または明確化する。「アレイ」、「周辺回路」、および「遠隔回路」という用語は、電子デバイスの異なった領域または構成要素を意味することが意図される。たとえば、アレイは、規則的な配列(通常、列および行によって示される)内のピクセル、セル、または他の構造を含むことができる。アレイ内のピクセル、セル、または他の構造は、アレイと同じ電子デバイス内であるがアレイ自体の外側にあることができる周辺回路によって、局所的に制御することができる。遠隔回路は、典型的には、周辺回路から離れてあり、かつ、アレイに信号を送るか、アレイから信号を受けることができる(典型的には、周辺回路を介して)。遠隔回路は、また、アレイに無関係の機能を行うことができる。遠隔回路は、アレイを有する基板上に存在してもしなくてもよい。
【0030】
「青色光」という用語は、約400から500nmの範囲内の波長において放出最大を有する放射線を意味することが意図される。
【0031】
「バッファ層」または「バッファ材料」という用語は、1つまたは複数の導電性材料または半導性材料を意味することが意図され、下にある層の平面化、電荷輸送特性または電荷注入特性、酸素または金属イオンなどの1つまたは複数の不純物の捕捉(scavenging)、または電子デバイスの性能を促進するか向上させるための別の態様を含む、電子デバイスの1つまたは複数の機能を有することができる。バッファ材料は、ポリマー、溶液、分散液、懸濁液、エマルション、コロイド混合物、別の組成物、またはそれらの任意の組合せであることができる。
【0032】
層、材料、部材、または構造に言及するときの「電荷阻止」という用語は、そのような層、材料、部材、または構造が、電荷が、別の層、材料、部材、または構造と混合する可能性を著しく低減することを意味することが意図される。
【0033】
層、材料、部材、または構造に言及するときの「電荷注入」という用語は、そのような層、材料、部材、または構造が、隣接した層、材料、部材、または構造内への電荷移動を促進することを意味することが意図される。
【0034】
層、材料、部材、または構造に言及するときの「電荷輸送」という用語は、そのような層、材料、部材、または構造が、相対効率および小さい電荷損失で、そのような層、材料、部材、または構造の厚さを通る、そのような電荷の移動を促進することを意味することが意図される。
【0035】
層に言及するときの「連続した」という用語は、層内のいかなる途切れもなく基板全体または基板の一部(たとえば、アレイ)を被覆する層を意味することが意図される。連続層が、層内に途切れも間隙もない場合、別の部分より局所的に薄い部分を有することができ、依然として連続していることができることに留意されたい。
【0036】
「架橋」という用語は、複合分子内の2つの隣接した原子鎖を連結する結合を形成することを意味することが意図される。
【0037】
層、部材、または構造に言及するときの「高密度化」という用語は、層、部材、または構造を、そのような層、部材、または構造が、そのような層、部材、または構造と接触するか、そうでなければ、そのような層、部材、または構造に曝される1つまたは複数の材料との相互作用を受けにくい状態にすることを意味することが意図される。高密度化としては、アニール、架橋または他の重合、硬化、不動態化(ダングリングボンドの数を低減すること)、またはそれらの任意の組合せを挙げることができる。
【0038】
「電子構成要素」という用語は、電気機能または電気放射(たとえば、電気光学)機能を行う回路の最低レベルの単位を意味することが意図される。電子構成要素としては、トランジスタ、ダイオード、抵抗器、キャパシタ、インダクタ、半導体レーザ、光学スイッチなどを挙げることができる。電子構成要素は、寄生抵抗(たとえば、ワイヤの抵抗)または寄生キャパシタンス(たとえば、導体間のキャパシタが意図されないか偶発的である、異なった電子構成要素に接続された2つの導体の間の容量結合)を含まない。
【0039】
「電子デバイス」という用語は、適切に接続され適切な電位が供給されると、集合的に機能を行う、回路、電子構成要素、またはそれらの組合せの集まりを意味することが意図される。電子デバイスは、システムを含むか、システムの一部であることができる。電子デバイスの例としては、ディスプレイ、センサアレイ、コンピュータシステム、アビオニクスシステム、自動車、携帯電話、または他の消費者用または産業用電子製品が挙げられる。
【0040】
「放出最大」という用語は、放出される放射線の最高強度を意味することが意図される。放出最大は、対応する波長または波長スペクトル(たとえば、赤色光、緑色光、または青色光)を有する。
【0041】
層、材料、部材、または構造に言及するときの「フィルタ」という用語は、放射線放出層または放射線応答層と別個の層、材料、部材、または構造を意味することが意図され、フィルタは、そのような層、材料、部材、または構造を透過される放射線の波長を制限するために使用される。たとえば、赤色フィルタ層が、実質的に可視光スペクトルからの赤色光のみが赤色フィルタ層を通過することを可能にすることができる。したがって、赤色フィルタ層は、緑色光および青色光をフィルタリング除去する。
【0042】
「緑色光」という用語は、約500から600nmの範囲内の波長において放出最大を有する放射線を意味することが意図される。
【0043】
「ゲスト材料」という用語は、ホスト材料を含む層内の材料であって、そのような材料がないときの層の電子特徴または放射線放出、受容、またはフィルタリングの波長と比較して、層の電子特徴または放射線放出、受容、またはフィルタリングの目標波長を変える材料を意味することが意図される。
【0044】
「ホスト材料」という用語は、ゲスト材料を加えることができる、通常層の形態の材料を意味することが意図される。ホスト材料は、電子特徴、または放射線を放出するか、受けるか、フィルタリングする能力を有しても有さなくてもよい。
【0045】
「混合する」いう用語およびその変形は、外部電界を使用しない、材料と、層、部材、構造、または別の材料との混合と広く解釈されることが意図され、撹拌、溶解、拡散、乳化、懸濁(懸濁液のため)、またはそれらの組合せを網羅する。材料は、層、部材、構造、または他方の材料に入ることができるか、層、部材、構造、または他の材料は、材料に入ることができるか、それらの組合せである。したがって、移動の「方向」は、混合と無関係である。混合は、層、部材、構造、または他の材料内の材料の均質なまたは実質的に均一な濃度を達成することを必要としない。混合はイオン注入を含まない。
【0046】
「液体組成物」という用語は、液体媒体に溶解されて溶液を形成するか、液体媒体中に分散されて分散液を形成するか、液体媒体中に懸濁されて懸濁液またはエマルションを形成する有機活性材料を意味することが意図される。
【0047】
「液体媒体」という用語は、溶液、分散液、懸濁液、またはエマルション中の液体を意味することが意図される。液体媒体は、1つまたは複数の溶媒が存在するかどうかにかかわらず使用され、したがって、液体媒体(liquid medium)は、この用語の単数形または複数形(すなわち、液体媒体(liquid media))として使用される。
【0048】
「有機活性層」という用語は、有機層の少なくとも1つが、単独で、または異なる材料と接触するとき、整流接合を形成することができる、1つまたは複数の有機層を意味することが意図される。
【0049】
「精密堆積技術」という用語は、1つまたは複数の材料を、基板の上に、約1ミリメートル以下の厚さに堆積させることができる堆積技術を意味することが意図される。ステンシルマスク、フレーム、ウェル構造、パターニングされた層、または他の構造が、そのような堆積の間存在することができる。そのような技術の非限定的な例としては、スクリーン印刷、インクジェット印刷、溶液分配、針吸引、選択的な印刷、およびそれらの組合せが挙げられる。
【0050】
「放射線放出構成要素」という用語は、適切にバイアスされると、目標波長または波長スペクトルにおける放射線を放出する電子構成要素を意味することが意図される。放射線は、可視光スペクトル内または可視光スペクトルの外側(紫外(「UV」)または赤外(「IR」))であることができる。発光ダイオードが、放射線放出構成要素の例である。
【0051】
「放射線応答構成要素」という用語は、電子構成要素が、目標波長または波長スペクトルにおける放射線を検知するかこれに応答することができることを意味することが意図される。放射線は、可視光スペクトル内または可視光スペクトルの外側(UVまたはIR)であることができる。光検出器、IRセンサ、バイオセンサ、および光起電力セルが、放射線応答構成要素の例である。
【0052】
「整流接合」という用語は、1つのタイプの電荷キャリヤが、接合を介して、1つの方向に、反対方向と比較して、より容易に流れる、半導体層内の接合、または半導体層と異なる材料との間の界面によって形成された接合を意味することが意図される。pn接合が、ダイオードとして用いることができる整流接合の例である。
【0053】
「赤色光」という用語は、約600〜700nmの範囲内の波長において放出最大を有する放射線を意味することが意図される。
【0054】
「スペクトル」という句は、1つを超える波長を意味することが意図される。スペクトルは、1つまたは複数の波長範囲に対応することができる。範囲は、連続しているか、重なっているか、間隔をあけられるか、それらの任意の組合せであることができる。
【0055】
「実質的な量」という用語は、質量ベースで、元の量の少なくとも3分の1を意味することが意図される。たとえば、実質的な量のゲスト材料が有機層内にあるとき、有機層の上に配置された流れまたは滴の体積中のゲスト材料(ゲスト材料の元の量)の少なくとも3分の1が、その有機層内にある。
【0056】
ここで使用されるように、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」という用語、またはそれらのいかなる他の変形も、非排他的な包含を網羅することが意図される。たとえば、要素のリストを含むプロセス、方法、物品、または装置が、必ずしも、それらの要素のみに限定されないが、明白に記載されていないか、そのようなプロセス、方法、物品、または装置に固有の他の要素を含むことができる。さらに、そうでないと明白に記載されていない限り、「または」は、排他的なまたはではなく、包含的なまたはを指す。たとえば、条件AまたはBが、次のいずれか1つによって満たされる。Aが真であり(または存在し)、かつBが偽である(または存在しない)、Aが偽であり(または存在せず)、かつBが真である(または存在する)、ならびに、AおよびBの両方が真である(または存在する)。
【0057】
さらに、明確にするため、および、ここで説明される実施形態の範囲の一般的な意味を与えるために、「a」または「an」の使用は、「a」または「an」が指す1つまたは複数の物品を説明するために使用される。したがって、説明は、「a」または「an」が使用されるときはいつでも、1つまたは少なくとも1つを含むように読まれるべきであり、単数形は、反対のことがそうでないように意味されることが明らかでない限り、また、複数形を含む。元素の周期表内の列に対応する族番号は、CRC化学物理学ハンドブック(CRC Handbook of Chemistry and Physics)、第81版(2000)に見られるような「新表記(New Notation)」法を使用する。
【0058】
特に定義されない限り、ここで使用される技術用語および科学用語はすべて、本発明が属する技術における当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。適切な方法および材料を、本発明の実施形態、またはそれらを製造または使用するための方法について、ここで説明するが、説明されるものと同様のまたは同等の他の方法および材料を、本発明の範囲から逸脱することなく用いることができる。ここで挙げられる刊行物、特許出願、特許、および他の引例をすべて、それらの全体を引用により援用する。矛盾する場合は、本明細書は、定義を含めて、優先する。さらに、材料、方法、および例は、例示にすぎず、限定することは意図されない。
【0059】
本発明の他の特徴および利点は、次の詳細な説明から、および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0060】
ここで説明されない程度に、特定の材料、処理行為、および回路に関する多くの詳細が、従来のものであり、有機発光ダイオードディスプレイ技術、光検出器技術、光起電力技術、および半導体技術の範囲内のテキストブックおよび他のソースに見出されるであろう。
【0061】
(2.液体組成物を使用する混合)
本明細書において教示されるような概念を、電子デバイスに適用して、1つまたは複数のゲスト材料の実質的な量が、少なくとも1つのホスト材料を含む層内に少なくとも部分的に組入れられた1つまたは複数の層を形成することができる。層は、有機層であってもなくてもよい。一実施形態において、実質的な量が、少なくとも約40パーセントであり、別の実施形態において、少なくとも約50パーセントである。さらなる実施形態において、1つまたは複数のゲスト材料の実質的にすべてを、液体組成物が接触する層と混合することができる。組入れプロセスの間、ウェル構造が存在してもしなくてもよい。より特定的には、1つまたは複数のゲスト材料と、液体媒体とを含む1つまたは複数の液体組成物が、溶液、分散液、エマルション、または懸濁液の形態であることができる。
【0062】
このパラグラフは、有機層と液体組成物との間の1つの相互作用の説明を含む。有機層が、基板の上にある層であることができることに留意されたい。あるいは、基板は存在しないことがあるか、有機層は基板である。このパラグラフにおける説明が、理解を簡単にするために、1つのゲスト材料を有する液体組成物に言及するが、1つを超えるゲスト材料を使用することができ、分散液、エマルション、または懸濁液のための原理は同様である。あるいは、液体組成物は、また、1つまたは複数のゲスト材料に加えて、また有機層中に存在するホスト材料を含むことができる。液体組成物を、ゲスト材料が有機層と混合すべきである厳密な領域の上に配置することができる。液体組成物の液体媒体は、有機層と、溶液、分散液、エマルション、または懸濁液を形成して、有機層を、実質的に固体の状態から、そのような溶液、分散液、エマルション、または懸濁液の形態の実質的に液体の状態に変えることができる。有機層は、液体組成物のために使用される液体媒体と良好な混和性特徴を有する。液体媒体が、有機層の局所化領域を実質的に液体の状態に変えると、ゲスト材料は有機層と混合することができる。予想外に、ゲスト材料のほとんどが有機層と混合する。一実施形態において、液体組成物からのゲスト材料の実質的にすべてが、有機層と混合する。ゲスト材料は、有機層の電子特徴から放出されるか、有機層の電子特徴によって応答されるか、有機層の電子特徴を透過される放射線をもたらす。
【0063】
有機層を形成するためのホスト材料は、電子デバイスの用途、および電子デバイス内の有機層の使用に基いて変わる。有機層の少なくとも一部を、放射線放出有機活性層、放射線応答有機活性層、フィルタ層、または電子構成要素内の層(たとえば、抵抗器、トランジスタ、キャパシタなどの少なくとも一部)として使用することができる。
【0064】
(3.液体組成物)
印刷装置を使用して、液体組成物を含むさまざまな異なった材料を堆積させることができる。次のパラグラフは、いくつかだけであるがすべてでない、使用することができる材料を含む。一実施形態において、電子デバイス内の有機層または無機層のための1つまたは複数の材料が、印刷装置を使用して形成される。
【0065】
本明細書と同時に出願された、マクファーソン(MacPherson)らによる、「電子デバイス、およびそれらを形成するためのプロセス(Electronic Devices and Processes For Forming the Same)」という名称の、代理人整理番号UC0456に記載されているような連続印刷装置が、液体組成物を印刷するのに十分に適している。印刷装置は、従来のインクジェットプリンタと比較して、より広い範囲の動作パラメータおよび液体組成物が使用されることを可能にする。一実施形態において、1つまたは複数のパラメータが、液体組成物の流動特徴に影響を及ぼすことができる。粘度が、流動特徴に影響を及ぼすことができるパラメータである。粘度は、液体媒体の選択、液体媒体中の固体含有量、液体組成物の温度、または潜在的に1つまたは複数の他の要因、またはそれらの任意の組合せによって影響を及ぼすことができる。粘度は、温度によって直接影響を及ぼすことができる(液体媒体の粘度は、低下する温度とともに増加するか、上昇する温度とともに減少する)か、液体組成物中の液体媒体の蒸発速度を変える(すなわち、より低いまたはより高い沸点を有する液体媒体を使用するか、液体組成物の温度を変えるか、またはそれらの組合せ)ことによって間接的に影響を及ぼすことができる。本明細書を読んだ後、当業者は、液体媒体の著しくより大きい選択、使用されるべき液体組成物の固体濃度のより大きい範囲、またはそれらの組合せを可能にするための多くの異なった方法を有することを理解するであろう。
【0066】
液体組成物は、溶液、分散液、エマルション、または懸濁液の形態であることができる。次のパラグラフにおいて、固体材料および液体媒体の非限定的な例が与えられる。固体材料は、その後形成される層の電子特性または電気放射特性に基いて選択することができる。液体媒体は、本明細書中で後で説明される基準に基いて選択することができる。
【0067】
印刷装置を使用するとき、液体組成物は、詰まりについて心配する必要なく、約2.0重量パーセントを超える固体含有量を有することができる。一実施形態において、固体含有量は、約2.0から3.0重量パーセントの範囲内である。さらに、印刷装置は、精密に形成された滴が使用されることを必要としない。したがって、印刷装置は、従来のインクジェットプリンタと比較して、より高い粘度、またはより低い沸点を有する液体組成物を使用することができる。さらに、印刷装置は、従来のインクジェットプリンタと比較して、より低い粘度、またはより高い沸点を有する液体組成物を使用することができる。さらに、液体組成物中の液体媒体は、印刷前、脱気される必要はない。たとえば、水溶液中の導電性有機材料を分配するために使用される従来のインクジェットプリンタは、水性溶媒が脱気されることを必要とする。しかし、印刷装置がより大きい処理マージンを考慮するので、液体媒体の脱気は、印刷装置の適切な動作に必要でない。
【0068】
印刷装置を使用して印刷される有機層としては、有機活性層(たとえば、放射線放出有機活性層または放射線応答有機活性層)、フィルタ層、バッファ層、電荷注入層、電荷輸送層、電荷阻止層、またはそれらの任意の組合せを挙げることができる。有機層は、抵抗器、トランジスタ、キャパシタ、ダイオードなどの一部として使用することができる。
【0069】
放射線放出有機活性層の場合、適切な放射線放出材料としては、1つまたは複数の小分子材料、1つまたは複数のポリマー材料、またはそれらの組合せが挙げられる。小分子材料としては、たとえば、米国特許公報(特許文献1)(「タン(Tang)」);米国特許公報(特許文献2)(「バン・スライク(Van Slyke)」);米国特許公報(特許文献3)(「グルシン(Grushin)」);または米国特許公報(特許文献4)(「キド(Kido)」)に記載されたもののいずれか1つまたは複数を挙げることができる。あるいは、ポリマー材料としては、米国特許公報(特許文献5)(「フレンド(Friend)」);米国特許公報(特許文献6)(「ヒーガー(Heeger)」);または米国特許公報(特許文献7)(「ナカノ(Nakano)」)に記載されたもののいずれか1つまたは複数を挙げることができる。例示的な材料は、半導性共役ポリマーである。そのようなポリマーの例としては、ポリ(パラフェニレンビニレン)(PPV)、PPVコポリマー、ポリフルオレン、ポリフェニレン、ポリアセチレン、ポリアルキルチオフェン、ポリ(n−ビニルカルバゾール)(PVK)などが挙げられる。1つの特定の実施形態において、いかなるゲスト材料もない放射線放出活性層が、青色光を発することができる。
【0070】
放射線応答有機活性層の場合、適切な放射線応答材料としては、多くの共役ポリマーまたはエレクトロルミネセンス材料を挙げることができる。そのような材料としては、たとえば、共役ポリマーまたはエレクトロルミネセンス材料およびフォトルミネセンス材料が挙げられる。特定の例としては、ポリ(2−メトキシ,5−(2−エチル−ヘキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン)(「MEH−PPV」)、またはCN−PPVとのMEH−PPV複合体が挙げられる。
【0071】
フィルタ層の位置は、有機活性層と電子デバイスの使用者側との間であることができる。フィルタ層が、基板、電極(たとえば、アノードまたはカソード)、電荷輸送層、電荷注入層、電荷阻止層の一部であることができるか、フィルタ層は、基板、電極、電荷輸送層、電荷注入層、電荷阻止層、またはそれらの任意の組合せのいずれか1つまたは複数の間にあることができるか、それらの任意の組合せである。別の実施形態において、フィルタ層は、別個に製造され(基板に取付けられない間)、電子デバイス内の電子構成要素を製造する前、間、または後、いつでも、後で基板に取付けられる層であることができる。この実施形態において、フィルタ層は、基板と電子デバイスの使用者との間にあることができる。
【0072】
フィルタ層が基板と別個であるか基板の一部である場合、または、フィルタが基板と基板に最も近い電極との間にある場合、適切な材料としては、ポリオレフィン(たとえば、ポリエチレンまたはポリプロピレン);ポリエステル(たとえば、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレート);ポリイミド;ポリアミド;ポリアクリロニトリルまたはポリメタクリロニトリル;ペルフルオロ化または部分フッ素化ポリマー(たとえば、ポリテトラフルオロエチレン、またはテトラフルオロエチレンおよびポリスチレンのコポリマー);ポリカーボネート;ポリ塩化ビニル;ポリウレタン;アクリル酸またはメタクリル酸のエステルのホモポリマーまたはコポリマーを含むポリアクリル樹脂;エポキシ樹脂;ノボラック樹脂;またはそれらの任意の組合せを含む有機材料が挙げられる。
【0073】
正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、またはそれらの任意の組合せの場合、適切な材料としては、ポリアニリン(「PANI」)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(「PEDOT」)、ポリピロール、テトラチアフルバレンテトラシアノキノジメタン(「TTF−TCQN」)などの有機電荷移動化合物、キド(Kido)に記載されているような正孔輸送材料、またはそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0074】
電子注入層、電子輸送層、正孔阻止層、またはそれらの任意の組合せの場合、適切な材料としては、金属キレート化オキシノイド(oxinoid)化合物(たとえば、Alq3またはアルミニウム(III)ビス(2−メチル−8−キノリナト)4−フェニルフェノレート(「BAlq」));フェナントロリンベースの化合物(たとえば、2,9ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(「DDPA」)または9,10−ジフェニルアントラセンス(diphenylanthracence)(「DPA」));アゾール化合物(たとえば、2−tert−ブチルフェニル−5−ビフェニル−1,3,4−オキサジアゾール(「PBD」)または3−(4−ビフェニル)−4−フェニル−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(「TAZ」);キド(Kido)に記載されているような電子輸送材料;ジフェニルアントラセン誘導体;ジナフチルアントラセン誘導体;4,4−ビス(2,2−ジフェニル−エテン−1−イル)−ビフェニル(「DPVBI」);9,10−ジ−ベータ−ナフチルアントラセン;9,10−ジ−(ナフェンチル(naphenthyl))アントラセン;9,10−ジ−(2−ナフチル)アントラセン(「ADN」);4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)ビフェニル(「CBP」);9,10−ビス−[4−(2,2−ジフェニルビニル)−フェニル]−アントラセン(「BDPVPA」);アントラセン、N−アリールベンゾイミダゾール(「TPBI」など);1,4−ビス[2−(9−エチル−3−カルバゾイル)ビニレニル]ベンゼン;4,4’−ビス[2−(9−エチル−3−カルバゾイル)ビニレニル]−1,1’−ビフェニル;9,10−ビス[2,2−(9,9−フルオレニレン)ビニレニル]アントラセン;1,4−ビス[2,2−(9,9−フルオレニレン)ビニレニル]ベンゼン;4,4’−ビス[2,2−(9,9−フルオレニレン)ビニレニル]−1,1’−ビフェニル;ペリレン、置換ペリレン;テトラ−tert−ブチルペリレン(「TBPe」);ビス(3,5−ジフルオロ−2−(2−ピリジル)フェニル−(2−カルボキシピリジル)イリジウムIII(「F(Ir)Pic」);ピレン、置換ピレン;スチリルアミン;フッ素化フェニレン;オキシダゾール;1,8−ナフタルイミド;ポリキノリン;PPV中の1つまたは複数のカーボンナノチューブ;またはそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0075】
抵抗器、トランジスタ、キャパシタなどの電子構成要素の場合、有機層は、チオフェン(たとえば、ポリチオフェン、ポリ(アルキルチオフェン)、アルキルチオフェン、ビス(ジチエンチオフェン(dithienthiophene))、アルキルアントラジチオフェンなど)、ポリアセチレン、ペンタセン、フタロシアニン、またはそれらの任意の組合せの1つまたは複数を含むことができる。
【0076】
有機染料の例としては、4−ジシアンメチレン−2−メチル−6− (p−ジメチアミノスチリル(dimethyaminostyryl))−4H−ピラン(DCM)、クマリン、ピレン、ペリレン、ルブレン、それらの誘導体、またはそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0077】
有機金属材料の例としては、少なくとも1つの金属に配位結合された1つまたは複数の官能基を含む官能基化ポリマーが挙げられる。使用のために企図される例示的な官能基としては、カルボン酸、カルボン酸塩、スルホン酸基、スルホン酸塩、OH部分を有する基、アミン、イミン、ジイミン、N−オキシド、ホスフィン、ホスフィンオキシド、β−ジカルボニル基、またはそれらの任意の組合せが挙げられる。使用のために企図される例示的な金属としては、ランタニド金属(たとえば、Eu、Tb)、7族金属(たとえば、Re)、8族金属(たとえば、Ru、Os)、9族金属(たとえば、Rh、Ir)、10族金属(たとえば、Pd、Pt)、11族金属(たとえば、Au)、12族金属(たとえば、Zn)、13族金属(たとえば、Al)、またはそれらの任意の組合せが挙げられる。そのような有機金属材料としては、トリス(8−ヒドロキシキノラト)アルミニウム(Alq3)などの金属キレート化オキシノイド化合物;(特許文献8)に開示されているような、イリジウムと、フェニルピリジン配位子、フェニルキノリン配位子、またはフェニルピリミジン配位子との錯体などの、シクロメタル化(cyclometalated)イリジウムエレクトロルミネセンス化合物またはシクロメタル化白金エレクトロルミネセンス化合物、たとえば、公開された米国特許公報(特許文献9)、(特許文献10)、(特許文献11)、(特許文献12)、および(特許文献13)に記載された有機金属錯体;またはそれらの任意の混合物が挙げられる。
【0078】
共役ポリマーの例としては、ポリ(フェニレンビニレン)、ポリフルオレン、ポリ(スピロビフルオレン)、それらのコポリマー、またはそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0079】
液体媒体を選択することも、液体組成物の1つまたは複数の適切な特徴を達成するための重要な要因であることができる。液体媒体を選択するときに考慮されるべき要因としては、たとえば、結果として生じる溶液、エマルション、懸濁液、または分散液の粘度、ポリマー材料の分子量、固体ローディング、液体媒体のタイプ、液体媒体の沸点、下にある基板の温度、ゲスト材料を受ける有機層の厚さ、またはそれらの任意の組合せが挙げられる
【0080】
いくつかの実施形態において、液体媒体は少なくとも1つの溶媒を含む。例示的な有機溶媒としては、ハロゲン化溶媒、コロイド形成ポリマー酸、炭化水素溶媒、芳香族炭化水素溶媒、エーテル溶媒、環状エーテル溶媒、アルコール溶媒、グリコール溶媒、ケトン溶媒、ニトリル溶媒、スルホキシド溶媒、アミド溶媒、またはそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0081】
例示的なハロゲン化溶媒としては、四塩化炭素、塩化メチレン、クロロホルム、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、ビス(2−クロロエチル)エーテル、クロロメチルエチルエーテル、クロロメチルメチルエーテル、2−クロロエチルエチルエーテル、2−クロロエチルプロピルエーテル、2−クロロエチルメチルエーテル、またはそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0082】
例示的なコロイド形成ポリマー酸としては、フッ素化スルホン酸(たとえば、ペルフルオロ化エチレンスルホン酸などのフッ素化アルキルスルホン酸)またはその任意の組合せが挙げられる。
【0083】
例示的な炭化水素溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカヒドロナフタレン、石油エーテル、リグロイン、またはそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0084】
例示的な芳香族炭化水素溶媒としては、ベンゼン、ナフタレン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン(イソ−プロピルベンゼン)メシチレン(トリメチルベンゼン)、エチルトルエン、ブチルベンゼン、シメン(イソ−プロピルトルエン)、ジエチルベンゼン、イソ−ブチルベンゼン、テトラメチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、アニソール、4−メチルアニソール、3,4−ジメチルアニソール、またはそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0085】
例示的なエーテル溶媒としては、ジエチルエーテル、エチルプロピルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、グリム、ジグリム、ベンジルメチルエーテル、イソクロマン(isochroman)、2−フェニルエチルメチルエーテル、n−ブチルエチルエーテル、1,2−ジエトキシエタン、sec−ブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、エチルn−プロピルエーテル、エチルイソプロピルエーテル、n−ヘキシルメチルエーテル、n−ブチルメチルエーテル、メチルn−プロピルエーテル、またはそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0086】
例示的な環状エーテル溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、テトラヒドロピラン、4メチル−1,3−ジオキサン、4−フェニル−1,3−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、2−メチル−1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキサン、2,5−ジメトキシテトラヒドロフラン、2,5−ジメトキシ−2,5−ジヒドロフラン、またはそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0087】
例示的なアルコール溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール(すなわち、イソ−ブタノール)、2−メチル−2−プロパノール(すなわち、tert−ブタノール)、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2,2−ジメチル−1−プロパノール、1−ヘキサノール、シクロペンタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、2,2−ジメチル−1−プロパノール、3−ヘキサノール、2−ヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−エチルブタノール、2,4−ジメチル−3−ペンタノール、3−ヘプタノール、4−ヘプタノール、2−ヘプタノール、1−ヘプタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、2,6−ジメチル−4−ヘプタノール、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロヘキサノール、4−メチルシクロヘキサノール、またはそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0088】
アルコールエーテル溶媒も使用することができる。例示的なアルコールエーテル溶媒としては、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、1−メトキシ−2−ブタノール、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、1−エトキシ−2−プロパノール、3−メトキシ−1−ブタノール、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、3−メトキシ−3−メチルブタノール、エチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル、またはそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0089】
例示的なグリコール溶媒としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(DPGME)、またはそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0090】
例示的なケトン溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソ−ブチルケトン、シクロヘキサノン、イソプロピルメチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、3−ヘキサノン、ジイソプロピルケトン、2−ヘキサノン、シクロペンタノン、4−ヘプタノン、イソ−アミルメチルケトン、3−ヘプタノン、2−ヘプタノン、4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン、5−メチル−3−ヘプタノン、2−メチルシクロヘキサノン、ジイソブチルケトン、5−メチル−2−オクタノン、3−メチルシクロヘキサノン、2−シクロヘキセン−1−オン、4−メチルシクロヘキサノン、シクロヘプタノン、4−tert−ブチルシクロヘキサノン、イソホロン、ベンジルアセトン、またはそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0091】
例示的なニトリル溶媒としては、アセトニトリル、アクリロニトリル、トリクロロアセトニトリル、プロピオニトリル、ピバロニトリル、イソブチロニトリル、n−ブチロニトリル、メトキシアセトニトリル、2−メチルブチロニトリル、イソバレロニトリル、N−バレロニトリル、n−カプロニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、3−エトキシプロピオニトリル、3,3’−オキシジプロピオニトリル、n−ヘプタンニトリル、グリコロニトリル(glycolonitrile)、ベンゾニトリル、エチレンシアノヒドリン、スクシノニトリル、アセトンシアノヒドリン、3−n−ブトキシプロピオニトリル、またはそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0092】
例示的なスルホキシド溶媒としては、ジメチルスルホキシド、ジ−n−ブチルスルホキシド、テトラメチレンスルホキシド、メチルフェニルスルホキシド、またはそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0093】
例示的なアミド溶媒としては、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アシルアミド、2−アセトアミドエタノール、N,N−ジメチル−m−トルアミド、トリフルオロアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルドデカンアミド、エプシロン−カプロラクタム、N,N−ジエチルアセトアミド、N−tert−ブチルホルムアミド、ホルムアミド、ピバルアミド、N−ブチルアミド、N,N−ジメチルアセトアセトアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−ホルミルエチルアミン、アセトアミド、N,N−ジイソプロピルホルムアミド、1−ホルミルピペリジン、N−メチルホルムアニリド、またはそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0094】
企図されるクラウンエーテルとしては、本発明によって処理されている組合せの一部としてのエポキシ化合物出発材料の塩化物含有量の低減を助けるように機能することができるいずれか1つまたは複数のクラウンエーテルが挙げられる。例示的なクラウンエーテルとしては、ベンゾ−15−クラウン−5;ベンゾ−18−クラウン−6;12−クラウン−4;15−クラウン−5;18−クラウン−6;シクロヘキサノ−15−クラウン−5;4’,4”(5”)−ジtert−ブチルジベンゾ−18−クラウン−6;4’,4”(5”)−ジtert−ブチルジシクロヘキサノ−18−クラウン−6;ジシクロヘキサノ−18−クラウン−6;ジシクロヘキサノ−24−クラウン−8;4’−アミノベンゾ−15−クラウン−5;4’−アミノベンゾ−18−クラウン−6;2−(アミノメチル)−15−クラウン−5;2−(アミノメチル)−18−クラウン−6;4’−アミノ−5’−ニトロベンゾ−15−クラウン−5;1−アザ−12−クラウン−4;1−アザ−15−クラウン−5;1−アザ−18−クラウン−6;ベンゾ−12−クラウン−4;ベンゾ−15−クラウン−5;ベンゾ−18−クラウン−6;ビス((ベンゾ−15−クラウン−5)−15−イルメチル)ピメレート;4−ブロモベンゾ−18−クラウン−6;(+)−(18−クラウン−6)−2,3,11,12−テトラ−カルボン酸;ジベンゾ−18−クラウン−6;ジベンゾ−24−クラウン−8;ジベンゾ−30−クラウン−10;ar−ar’−ジ−tert−ブチルジベンゾ−18−クラウン−6;4’−ホルミルベンゾ−15−クラウン−5;2−(ヒドロキシメチル)−12−クラウン−4;2−(ヒドロキシメチル)−15−クラウン−5;2−(ヒドロキシメチル)−18−クラウン−6;4’−ニトロベンゾ−15−クラウン−5;ポリ−[(ジベンゾ−18−クラウン−6)−コ−ホルムアルデヒド];1,1−ジメチルシラ(dimethylsila)−11−クラウン−4;1,1−ジメチルシラ−14−クラウン−5;1,1−ジメチルシラ−17−クラウン−5;シクラム(cyclam);1,4,10,13−テトラチア−7,16−ジアザシクロオクタデカン;ポルフィン;またはそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0095】
別の実施形態において、液体媒体としては水が挙げられる。水不溶性コロイド形成ポリマー酸と複合された(complexed)導電性ポリマーを、基板の上に堆積させ、電荷輸送層として使用することができる。
【0096】
多くの異なった種類の液体媒体(たとえば、ハロゲン化溶媒、炭化水素溶媒、芳香族炭化水素溶媒、水など)を上で説明する。異なった種類からの1つを超える液体媒体の混合物も使用することができる。
【0097】
液体組成物は、また、バインダー材料、充填剤材料、またはそれらの組合せなどの不活性材料を含むことができる。液体組成物に対して、不活性材料は、液体組成物の少なくとも一部によって形成されるか液体組成物の少なくとも一部を受ける層の電子特性、放射線放出特性、または放射線応答特性に著しく影響を及ぼさない。
【0098】
(4.液体組成物の導入前の製造)
ここで、注意を、図2から5に説明され示された例示的な実施形態の詳細に向ける。図2を参照すると、第1の電極220が基板200の部分の上に形成される。基板200は、有機電子デバイス技術において使用されるような従来の基板であることができる。基板200は、可撓性または剛性、有機または無機であることができる。一般に、ガラスまたは可撓性有機フィルムが使用される。ピクセルドライバまたは別の回路(図示せず)を、従来の技術を用いて基板200内にまたは基板200の上に形成することができる。アレイの外側の他の回路としては、アレイ内のピクセルの1つまたは複数を制御するために使用される周辺回路または遠隔回路を挙げることができる。製造の焦点は、周辺回路または遠隔回路ではなく、ピクセルアレイにある。基板200は、約12から2500ミクロンの範囲内の厚さを有することができる。
【0099】
第1の電極220は、アノードとして作用し、1つまたは複数の導電層を含むことができる。第1の電極220の、基板200から最も遠い表面は、高仕事関数材料を含む。この例示的な例において、第1の電極220は、酸化インジウムスズ、酸化アルミニウムスズ、または電子デバイス内のアノードのために従来使用される他の材料の層の1つまたは複数を含む。この実施形態において、第1の電極220は、その後形成された有機活性層から放出されるかその後形成された有機活性層によって応答されるべき放射線の少なくとも70%を透過する。一実施形態において、第1の電極220の厚さは約100から200nmの範囲内である。放射線が第1の電極220を透過される必要がない場合、厚さは、1000nmまで、またはさらに厚いなど、より大きいことができる。第1の電極220は、蒸着および追加的なパターン配列を含む任意の数の従来技術の1つ又は複数を用いて形成されてもよい。
【0100】
図2に示されているように、有機層230を第1の電極220の上に形成することができる。有機層230は、1つまたは複数の層を含むことができる。たとえば、有機層は、有機活性層と、バッファ層、電荷注入層、電荷輸送層、または電荷阻止層のいずれか1つまたは複数とを含むことができる。電荷阻止層は、電子阻止層または正孔阻止層であることができ、電荷注入層は、電子注入層または正孔注入層であることができ、電荷輸送層は、電子輸送層または正孔輸送層であることができる。一実施形態において、有機層230は、電荷輸送層240と、有機活性層250とを含むことができる。
【0101】
電荷輸送層240および有機活性層250は、第1の電極220の上に順次形成される。電荷輸送層240および有機活性層250の各々は、以下で説明されるような適切な材料のための、スピンコーティング、キャスト、蒸着(化学または蒸気)、印刷(インクジェット印刷、スクリーン印刷、溶液分配(平面図から見られるような、ストリップまたは他の所定の幾何学的形状またはパターンで、液体組成物を分配すること)、またはそれらの任意の組合せ)、他の堆積技術、またはそれらの任意の組合せを含む、1つまたは複数の任意の数の異なった技術によって形成することができる。電荷輸送層240および有機活性層250の一方または両方を、堆積後、硬化させることができる。
【0102】
電荷輸送層240が正孔輸送層として作用する場合、材料の1つまたは複数を使用することができ(その選択は、デバイスおよび有機活性層250の材料による)、この例示的な例において、それは、ポリアニリン(「PANI」)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(「PEDOT」)、ポリピロール、または電子デバイスに使用されるような正孔輸送層として従来使用される材料の1つまたは複数を含むことができる。正孔輸送層は、典型的には、第1の電極220の中心の上で測定されるような約50から250nmの範囲内の厚さを有する。
【0103】
有機活性層250の組成物は、典型的には、電子デバイスの用途による。図2に示された実施形態において、有機活性層250は放射線放出構成要素に使用される。有機活性層250は、電子デバイス内の有機活性層として従来使用されるような材料を含むことができ、1つまたは複数の小分子材料、1つまたは複数のポリマー材料、またはそれらの任意の組合せも含むことができる。本明細書を読んだ後、当業者は、有機活性層250のための、適切な材料、層、または両方を選択することができるであろう。一実施形態において、有機活性層250は40nm以下である。別の実施形態において、有機活性層250は、第1の電極220の中心の上で測定されるような約20から40nmの範囲内の厚さを有する。
【0104】
形成されるように、有機層230(電荷輸送層240と、有機活性層250とを含む)は、形成されている電子構成要素のアレイの上で実質的に連続している。一実施形態において、有機層230は、周辺回路領域、遠隔回路領域、または両方の領域を含む基板全体の上で実質的に連続していることができる。有機層230が、有機層230が局所的により薄い1つまたは複数の領域を有するが、有機層230が形成されることが意図される基板200の領域(たとえば、アレイ)の上で不連続でないことに留意されたい。図2を参照すると、電荷輸送層240および有機活性層250の一方または両方を含む有機層230は、第1の電極220の上で局所的により薄く、第1の電極220から離れて局所的により厚い。一実施形態において、有機層230は、第1の電極220の中心の上で測定されるような約10から290nmの範囲内の厚さを有する。
【0105】
電子デバイスが放射線放出微小空洞デバイスである場合、所望の放出波長スペクトルが得られるように、有機層230の厚さを選択する際に注意する。
【0106】
別の実施形態において、図1に示されているようなウェル構造130と同様のウェル構造を形成することができる。この実施形態において、有機層230を基板200およびウェル構造の上に形成することができる。有機層230が、ウェル構造の頂部に近い側に沿って局所的により薄いことができるが、有機層230が、第1の電極220の間のウェル構造の上で不連続を有さないことに留意されたい。後で説明される図7および図8は、ウェル構造を使用することができるさらに別の実施形態を含む。
【0107】
代替実施形態において、有機層230は、厚さとともに変わる組成物を有する1つの層を含むことができる。たとえば、第1の電極220に最も近い組成物が正孔輸送体(hole transporter)として作用することができ、隣の組成物が有機活性層として作用することができ、第1の電極220から最も遠い組成物が電子輸送体として作用することができる。同様に、電荷注入、電荷阻止、または、電荷注入、電荷輸送、および電荷阻止の任意の組合せの機能を、有機層230に組入れることができる。1つまたは複数の材料が、有機層の厚さのすべてにわたってまたは一部のみ存在することができる。
【0108】
(5.液体組成物の導入)
図3に示されているように、1つまたは複数の液体組成物(円322、324、および326として示されている)を有機層230の部分の上に配置することができる。一実施形態において、有機活性層250は、青色光を発することができるホスト材料を含み、液体組成物322は、赤色ゲスト材料を含むことができ、液体組成物324は、緑色ゲスト材料を含むことができ、液体組成物326は、青色ホスト材料と同じまたは異なることができる青色ゲスト材料を含むことができる。1つまたは複数の液体組成物322、324、および326の配置前、有機層230は、実質的に固体であってもなくてもよい。液体組成物322、324、および326を、精密堆積技術を用いて有機層230の上に配置することができる。そのような堆積の間、ステンシルマスク、フレーム、ウェル構造、パターニングされた層、または他の構造が、存在してもしなくてもよい。精密堆積技術の非限定的な例としては、スクリーン印刷、インクジェット印刷、溶液分配、針吸引、選択的なめっき、およびそれらの組合せが挙げられる。
【0109】
液体組成物322、324、および326を、順次または同時に有機層230の上に配置することができる。簡単にするため、図3の液体組成物322、324、および326の各々を、液体組成物322、324、および326のいずれか1つまたは複数が、流れとして導入されるか否かにかかわらず、「流れ」と呼ぶ。液体組成物322、324、および326によって影響される有機層230の初期領域に影響を及ぼす1つまたは複数のパラメータを変えることができる。たとえば、そのようなパラメータは、流れの体積または幅、電子構成要素間の間隔、粘度、有機層230の架橋度、またはそれらの任意の組合せからなる群から選択される。
【0110】
液体組成物322、324、および326からの液体媒体は、有機層230の局所化領域と接触し、有機層230の局所化領域を実質的に固体の状態から実質的に液体の状態に変えることができる。各流れからの液体媒体が有機層230の局所化領域と接触すると、液体媒体は、有機層230の局所化領域の厚さの一部またはすべてを溶解して、溶液を形成するか、有機層230の厚さの一部またはすべてを分散させて、分散液を形成するか、エマルションを形成するか、有機層230の厚さの一部またはすべてを懸濁して、懸濁液を形成することができる。一実施形態において、電荷輸送層240が、完全に架橋されるか、液体溶液のために使用される液体媒体への劣った可溶性を有する場合、溶液、分散液、エマルション、または懸濁液の形成は、有機活性層250に限られる。より多くの液体媒体が有機層230の局所化領域と相互作用すると、液体組成物および有機層230の局所化領域の「混合物」の粘度が増加することに留意されたい。増加された粘度は、効果的に、流れの横方向の移動(基板200の主面に実質的に平行な移動)を抑制する。一実施形態において、ゲスト材料の、有機層230の局所化領域との混合を、40℃以下の温度で行うことができ、別の実施形態において、実質的に室温で行うことができる。
【0111】
液体組成物322、324、または326、またはそれらの組合せが、滴として有機層230上に配置されるべきである場合、滴のために選択される体積は、有機層230またはその一部の厚さによって、有機層230内のホスト材料、またはそれらの組合せによって影響を及ぼすことができる。一実施形態において、滴からのゲスト材料は、有機活性層250の局所化領域と混合さえすればよい。滴体積が小さすぎる場合、有機活性層250の局所化領域の厚さのすべてが影響されるわけではないことがある。流量と印刷ヘッドスキャン速度との比が低すぎる場合、同様の影響(affects)が流れで見られることがある。また、有機活性層250の局所化領域内のゲスト材料濃度が低すぎる場合、目標輝度効率が達成されないことがある。動作の間、有機活性層250の局所化領域についての放射線の放出波長または放出スペクトルまたは応答波長または応答スペクトルは、第1の電極と第2の電極との間の電圧差によって著しく影響を及ぼすことができる。
【0112】
滴体積が大きすぎる場合、液体組成物の望まれない横方向の広がりが生じることがあり、ゲスト材料は、局所化領域を越えて延在し、隣接する領域に達することがあり、そのような隣接する領域内のゲスト材料は望まれない。たとえば、赤色滴の体積が大きすぎる場合、それは、緑色または青色発光を有するべきである領域に入ることがある。そのようなことが起こる場合、隣接する領域は、赤色を発するか、そうでなければ、サブピクセルからの色発光を変えることがある。したがって、液体組成物の体積と有機層230(または、この実施形態においてより特定的には、有機活性層250)の厚さとの比を用いることができる。再び、液体組成物322、324、または326、またはそれらの任意の組合せが、流れとして分配される場合、同様の概念が適用される。
【0113】
ウェル構造の使用は、横方向の移行の可能性を低減することができるが、液体組成物の体積は、ウェル構造によって形成された「堤防」が氾濫し、隣接したウェル内に移行するほどであってはならない。液体組成物が、(1)液体組成物が意図される1つまたは複数の開口部と(2)液体組成物が意図されない他の1つまたは複数の開口部との間のウェル構造の頂面に沿ってあるか流れることができることに留意されたい。一実施形態において、ウェル構造の壁は、開口部の底部に垂直であることができるか、壁は、負傾斜を有することができる(すなわち、ウェル構造の一部が、開口部の底部の上にある)。ウェル構造の頂面および開口部の壁によって規定された比較的鋭いコーナが、液体組成物をウェル構造の頂面に沿って「固定する(pin)」のを助けて、液体組成物が、液体組成物が意図されない隣接した開口部のいずれか1つまたは複数内に流れる可能性を低減する。
【0114】
液体組成物322、324、および326が有機層230の上に配置され、液体組成物322、324、および326内の実質的な量(本明細書において後で扱われる)のゲスト材料が有機活性層250と混合した後、液体組成物322、324、および326の液体媒体が蒸発されて、図4に示されているような、混合領域422、424、および426を有する有機層230を与える。この実施形態において、混合領域422は、赤色光を発するように設計され、混合領域424は、緑色光を発するように設計され、混合領域426は、青色光を発するように設計される。蒸発を、約20から240℃の範囲内の温度で、約5秒から5分の範囲内の時間の間、行うことができる。一実施形態において、蒸発を、約30から50℃の範囲内の温度で、約0.5から1.5分の範囲内の時間の間、行うことができる。一実施形態において、蒸発を周囲温度で行うことができる。別の実施形態において、蒸発を、オーブンまたはホットプレートを使用して行うことができる。蒸発を1つまたは複数の圧力で行うことができる。一実施形態において、蒸発を実質的に大気圧で行うことができる。別の実施形態において、真空圧力(大気圧より著しく低い)を用いることができる。真空が使用される場合、沸騰が生じる場合に、有機層230内に永久的な気泡を発生させること、または、材料を隣接した領域に吐き出すことを回避するように、注意しなければならない。
【0115】
蒸発後、混合領域422、424、および426を含む有機層230は、実質的に固体である。有機活性層250の上に配置される前に流れ322、324、および326の中にあったゲスト材料は、部分的にまたは全体的に、溶解された、分散された、乳化された、または懸濁された有機活性層250と組合されて、混合領域422、424、および426を作る。混合領域422、424、および426が形成された後、それらの厚さは互いに比較的近い。一実施形態において、混合領域422、424、および426のすべては、互いの10nm以内の厚さを有する。1つの特定の実施形態において、混合領域422、424、および426の各々は、少なくとも60nmの厚さを有する。別の実施形態において、混合領域422、424、および426の各々は、約50から100nmの範囲内の、より特定の実施形態において、約70から90nmの範囲内の厚さを有する。一実施形態において、混合領域422、424、および426は、混合領域422、424、および426と同じ位置に最初形成されたような、少なくとも20nmより厚いその有機層230である。別の実施形態において、いずれか1つまたは複数の混合領域の厚さは、50nm未満であるか、100nmを超えることができる。
【0116】
1つまたは複数の液体組成物322、324、または326を有機層230の上に繰返して配置することによって、ゲスト材料を有機活性層250に導入する場合、液体組成物の連続堆積間に液体媒体を完全に蒸発させることは必要でないであろう。
【0117】
有機活性層250が、架橋されるべきであるホスト材料を含む場合、スピンコーティング、キャスト、蒸着(化学または蒸気)、印刷((インクジェット印刷、スクリーン印刷、溶液分配、またはそれらの任意の組合せ)、他の堆積技術、またはそれらの任意の組合せを含む、1つまたは複数の任意の数の異なった技術によって、有機活性層250を形成することができる。ゲスト材料を有する流れを導入する前、一実施形態において、有機活性層250を部分的に架橋することができる。本発明の範囲内であるが、有機活性層250が架橋されない場合、有機活性層250内のゲスト材料の横方向の移行が大きすぎることがあり、有機活性層250が完全に架橋される場合、液体媒体は、溶液、エマルション、懸濁液、または分散液を形成する可能性が低いことがある。ゲスト材料を有する流れを導入した後、必要であれば、加熱を用いて、堆積の間使用された液体媒体を蒸発させて、有機活性層250を実質的に固体にすることができる。しかし、温度または他の条件は、さらなる架橋が生じるほどアグレッシブであってはならない。液体組成物は、有機活性層250の上に配置されて有機活性層250と接触すると、組成物内のゲスト材料を、有機活性層250と混合させることができる。次に、液体組成物のための液体媒体を蒸発させることができ、有機活性層250を架橋することを実質的に完全にするのに十分な条件に有機活性層250を曝すことができる。用いられる実際の温度および圧力は、架橋のために使用される材料によることができる。そのような架橋条件は、架橋材料の販売業者によって得ることができるか、1つまたは複数のテストを行うことによって、実験的に定めることができる。架橋度は、溶媒をスピンする前および後、層厚さを測定することによって、別個の実験で定めることができる。架橋が多いほど、溶媒スピンで失われる材料が少ない。
【0118】
液体媒体は、液体媒体および有機層230の組合せによって形成された溶液、分散液、エマルション、または懸濁液として、ゲスト材料を有機層230と混合するのを助ける。したがって、液体組成物内の実質的な量のゲスト材料が、ゲスト材料が、実質的な横方向の移行または拡散を伴わずに、第1の電極220の方に移行するように見えるように、混合することができる。有機層230の表面(この上に第2の電極がその後形成される)に近いゲスト材料の濃度は、反対側の表面(第1の電極220に近い)に近いゲスト材料の濃度と1桁未満異なることができる。有機活性層250の両側に近いゲスト材料の濃度は、互いにより近い。熱駆動工程が必要でない。第1の電極220とその後形成される第2の電極との間の濃度勾配(基板の主面に垂直な方向に測定された濃度勾配)は、従来の熱拡散プロセスによって形成された、より低い濃度勾配である。そのような技術によって形成された電子デバイスからの発光スペクトルは、第1の電極と第2の電極との間の電位差を変えることによって、著しく影響されないことがある。
【0119】
(6.製造の残り)
示されていないが、任意の電荷注入層、電荷輸送層、または電荷阻止層を、有機活性層250の上に形成することができる。図5に示されているように、第2の電極502が、電荷輸送層240と、有機活性層250とを含む有機層230の上に形成される。この特定の実施形態において、第2の電極502は、アレイのための共通カソードとして作用する。任意の電荷注入層、電荷輸送層、電荷阻止層、またはそれらの任意の組合せ、および第2の電極502についての、形成(たとえば、堆積、エッチングなど)、材料、および厚さは、従来のものである。
【0120】
図5に示されていない他の回路を、先に説明された層または付加的な層の1つまたは複数を使用して形成することができる。示されていないが、付加的な絶縁層および相互接続レベルを形成して、アレイの外側にあることができる周辺領域内の回路(図示せず)を考慮することができる。そのような回路としては、行または列デコーダ、ストローブ(たとえば、行アレイストローブ、列アレイストローブ)、センス増幅器、またはそれらの任意の組合せを挙げることができる。あるいは、そのような回路を、図5に示された層のいずれかの形成の前、間、または後、形成することができる。
【0121】
乾燥剤524を有するリッド522が、アレイの外側の位置(図示せず)で基板200に取付けられて、実質的に完成されたデバイスを形成する。間隙526が第2の電極502と乾燥剤524との間にある。リッド522および乾燥剤524のために使用される材料、ならびに取付けプロセスは、従来のものである。
【0122】
図5は、各々が、赤色、緑色、および青色放射線放出構成要素を有する、2つのピクセルを含む。赤色放射線放出構成要素は赤色混合領域422を含み、緑色放射線放出構成要素は緑色混合領域424を含み、青色放射線放出構成要素は、有機活性層250の青色混合領域426を含む。
【0123】
(7.代替実施形態)
図6は、有機層230が有機層630と取替えられる以外は、上のセクション2で説明されたプロセスと同様に形成される代替実施形態の図を含む。有機層630は電子阻止層650を含む。層240および250の材料および形成は上で説明される。電荷輸送層240を形成した後、電子阻止層650は形成される。電子阻止層650は、先に説明されたような材料の1つまたは複数を含む。電子阻止層650は、従来のコーティング、キャスト、蒸着(化学または蒸気)、印刷(インクジェット印刷、スクリーン印刷、溶液分配、またはそれらの任意の組合せ)、他の堆積技術、またはそれらの任意の組合せを含む、1つまたは複数の任意の数の異なった技術を用いて形成することができる。電子阻止層650は、第1の電極220の中心の上で測定されるような約5から200nmの範囲内の厚さを有する。
【0124】
一実施形態において、電子阻止層650は、架橋することができる1つまたは複数の材料を含む。電子阻止層650のための材料が堆積された後、材料を実質的に完全に架橋することができる。架橋は従来の技術を用いて行われる。
【0125】
有機層630の形成後、先に説明された技術のいずれか1つまたは複数を用いて、1つまたは複数の液体組成物(円322および324として示されている)が有機層630の上に配置される。一実施形態において、有機活性層250は、青色光を発することができるホスト材料を含み、液体組成物322は、赤色ゲスト材料を含むことができ、液体組成物324は、緑色ゲスト材料を含むことができる。液体組成物のいずれか1つまたは複数の配置前、有機活性層250は、実質的に固体であってもなくてもよい。液体組成物322および324を、順次または同時に有機層630の上に配置することができる。
【0126】
液体組成物322および324からの液体媒体は、電子阻止層650ではなく、有機層250の局所化領域と接触することができ、電子阻止層650ではなく、有機層250の局所化領域を、実質的に固体の状態から実質的に液体の状態に変えることだけできる。
【0127】
液体組成物322および324が有機層630の上に配置された後、液体組成物322および324内の実質的な量(本明細書において先に扱われる)のゲスト材料が、有機活性層250の局所化領域と混合する。一実施形態において、実質的に完全に架橋された電子阻止層650は、液体組成物322および324からの液体媒体が電荷輸送層240または第1の電極220に達する可能性を低減するのを助けることができる。液体組成物322および324の液体媒体は、先に説明されたように蒸発されて、混合領域722および724を有する有機活性層250の局所化領域を与える。この実施形態において、図7に示されているように、領域722は、赤色光を発するように設計され、領域724は、緑色光を発するように設計される。
【0128】
図7は、第2の電極502(図7に示されていない)およびその後の処理が先に説明されたように行われた後の、各々が、赤色、緑色、および青色放射線放出構成要素を有する、2つのピクセルになるものを含む。赤色放射線放出構成要素は赤色混合領域722を含み、緑色放射線放出構成要素は緑色混合領域724を含み、青色構成要素は、第1の電極220の2つと第2の電極502との間にある有機活性層250の未混合部分(実質的に赤色および緑色ゲスト材料がない)を含む。一実施形態において、青色放射線放出構成要素は、40nm以下の有機活性層250の厚さを有し、有機活性層2350が厚さ70〜80nmであった場合、依然として、1つまたは複数の光電子特性を達成することができる。たとえば、有機活性層2350は、約8から10cd/Aの範囲内の効率で青色光を発する。別の実施形態において、赤色混合領域722および緑色混合領域724は、約90から100nmの範囲内の厚さを有し、他の領域(青色発光構成要素のための)は、約70から80nmの範囲内の厚さを有する。さらに別の実施形態において、説明される厚さは、説明されるものより薄いまたは厚いことができる。
【0129】
さらなる実施形態において、有機層を形成する前、液体組成物を基板の上に配置することができる。図8を参照すると、第1の電極220が基板200の上に形成される。その部分が図8に示されているウェル構造830が、フォトレジスト層をコーティングし、それをパターニングするなどの従来のプロセスを用いて形成される。ウェル構造830は、約1から5ミクロンの範囲内の厚さを有することができる。先に説明された技術を用いて、電荷輸送層802を、第1の電極220の上に、およびウェル構造830の開口部内に形成することができる。先に説明された技術のいずれか1つまたは複数を用いて、液体組成物322、324、および326が、電荷輸送層802の上に配置される。この時に、液体組成物322、324、および326内の液体媒体を蒸発させてもさせなくてもよい。
【0130】
図9に示されているように、一実施形態において有機活性層250の組成物および厚さを有する有機活性層が、電荷輸送層802の上に、およびウェル構造830の開口部内に形成される。液体組成物322、324、および326内のゲスト材料は、電荷輸送層802および有機活性層の両方と混合して、(1)赤色放射線放出構成要素902のための、赤色混合有機層932をともに構成する赤色混合電荷輸送層942および赤色混合有機活性層952を形成し、(2)緑色放射線放出構成要素904のための、緑色混合有機層934をともに構成する緑色混合電荷輸送層944および緑色混合有機活性層954を形成し、(3)青色放射線放出構成要素906のための、青色混合有機層936をともに構成する青色混合電荷輸送層946および青色混合有機活性層956を形成する。有機活性層952、954、および956を硬化させて、有機活性層952、954、および956を実質的に固体にすることができる。第2の電極502(図9に示されていない)およびその後の処理を、先に説明されたように行うことができる。
【0131】
この実施形態において、液体組成物322、324、および326を第1の電極220の上に配置した後、有機活性層250の形成を可能にする処理自由がある。ウェル構造830は、組成物322、324、および326内のゲスト材料を、望まれない領域と混合しないようにするのを助ける。
【0132】
別の実施形態において、ゲスト材料は、電荷輸送層802と著しく混合しない。しかし、著しい量のゲスト材料が、依然として、有機活性層と混合する。
【0133】
さらなる実施形態(図示せず)において、有機層230が形成される前、ゲスト材料を含む液体組成物を第1の電極220上に配置することができる。有機層230が第1の電極220の上に形成される前、液体組成物内の液体媒体を、実質的に固体になるように蒸発させることができる。有機層230は、ゲスト材料と、溶液、分散液、エマルション、または懸濁液を形成することができる液体媒体を含み、その横方向の移行を制限することができる。
【0134】
さらなる実施形態(図示せず)において、ゲスト材料を、有機活性層以外の層に導入することができる。図6を参照すると、有機活性層250を、電子阻止層650を形成するために使用されたのと同じ材料と取替えることができる。より特定的には、電子阻止層650を形成した後、完全に架橋された電子阻止層650と同じ材料を、電子阻止層650の上に、約100nm以下の厚さに堆積させることができる。
【0135】
同じ材料の層を部分的に架橋することができる。当業者、架橋度をいずれか1つまたは複数の異なった実験的方法で定めることができること。層を異なったテスト基板上に堆積させることができる。堆積後、厚さ、体積、または質量を測定することができる。層を有する基板を、異なった量のエネルギー(温度、時間、放射線、またはそれらの任意の組合せ)に曝すことができる。溶媒を使用して、架橋された層の著しい部分を洗い流すことなく、層の、著しく架橋されていない部分を洗い流すことができる。溶媒の選択は、当業者には従来のものである。次に、測定が行われる。一実施形態において、両方の測定のセットが、厚さ、体積、または質量に基いていたか否かにかかわらず、残っている層の量は、初期測定(部分架橋前)の約50〜90%の範囲内である。架橋レベルに対応する放射線の量を用いて、中に電子構成要素が形成されているワークピースのための部分的に架橋された層を達成することができる。
【0136】
液体組成物322、324、および326を、部分架橋された層の上に配置することができる。部分架橋は、液体媒体が、溶液、分散液、懸濁液、またはエマルションを形成して、形成することを可能にするが、電子阻止層650内の実質的に完全にされた架橋は、液体組成物322、324、および326のいずれか1つまたは複数が、電子阻止層650と混合するか、電荷輸送層240内にか、第1の電極220に達するか、それらの任意の組合せを、実質的に防止する。製造プロセスは、先に説明されたように続いて、混合領域および実質的に完成された電子デバイスを形成する。
【0137】
さらなる実施形態において、混合領域の下の境界を実質的に止めるかそうでなければ規定するために、電子阻止層650と同様の層を形成する際に、他の材料および他のタイプの高密度化を行うことができる。高密度化は、材料を、材料から形成された層、部材、または構造が、ゲスト材料を含む液体組成物との相互作用を受けにくい状態にするのを助ける。高密度化としては、アニール、架橋または他の重合、硬化、不動態化(ダングリングボンドの数を低減すること)、またはそれらの任意の組合せを挙げることができる。
【0138】
さらに別の実施形態において、フィルタ層が、有機活性層と電子デバイスの使用者側との間にあることができる。フィルタは、ある波長または波長スペクトルにおける放射線がフィルタ層を透過されることを可能にする。フィルタ層は、そのような波長または波長スペクトルの外側の著しい量の放射線が透過されることを可能にしない。したがって、フィルタ層は、望まれない波長における放射線を「遮断する」ことができる。
【0139】
図10に示されているように、有機層1020を基板200の上に形成することができる。有機層1020は、基板200の一部を形成するために使用されるほとんどいかなる有機材料(たとえば、ポリマーフィルム)の1つまたは複数の層を含むことができる。有機層1020は、理論的には、ほとんどいかなる厚さ(1nmから数百ミクロン以上)も有することができる。しかし、厚さが薄すぎる場合、フィルタ層は、良質なフィルタ層を提供するのに十分でないことがある。範囲の他の端において、フィルタ層がより厚くなるにつれて、フィルタ層を透過されるべき放射線の強度が低減される。一実施形態において、有機層1020は約1から10ミクロンの範囲内の厚さを有する。
【0140】
有機層1020は、有機材料のための、スピンコーティング、キャスト、蒸着(化学または蒸気)、印刷(インクジェット印刷、スクリーン印刷、溶液分配、またはそれらの任意の組合せ)、他の堆積技術、またはそれらの任意の組合せを含む、1つまたは複数の任意の数の異なった技術によって形成することができる。あるいは、機械的プロセスを用いて、有機層1020を基板200の上に形成することができる。1つの機械的プロセスは、基板200または有機層1020上の接着剤層(図示せず)を使用することと、接着剤層が有機層1020と基板200との間にあるように、有機層1020を基板200の近くに配置することとを含むことができる。あるいは、有機層1020を、基板200の上に配置し、加熱して、有機層1020および基板200がともに溶融することを可能にすることができる。説明されたプロセスは、用いることができる潜在的に他の機械的プロセスのうちのわずか2つである。
【0141】
液体組成物に関して先に説明されたようなプロセスのいずれか1つまたは複数を用いて、ゲスト材料を有機層1020に導入することができる。赤色混合領域1022は赤色ゲスト材料を含み、緑色混合領域1024は緑色ゲスト材料を含み、青色混合領域1026は青色ゲスト材料を含む。
【0142】
電子デバイスの残りの形成は、ゲスト材料を有機層1030に加えても加えなくてもよい以外は、上で先に説明されたプロセスのいずれかと同様である。一実施形態において、有機層1030は、実質的に白色光を発することができる有機活性層1050を含む。赤色混合領域1022は、緑色光または青色光ではなく、赤色光が、有機層1020を通って電子デバイスの使用者側に透過されることを可能にすることができる。緑色混合領域1024および青色混合領域1026は、それぞれ、緑色光および青色光のための同様の機能を行う。
【0143】
電子デバイスが放射線応答構成要素を含む場合、赤色混合領域1022は、緑色光および青色光ではなく、赤色光が、有機層1020を通って有機活性層1050に透過されることを可能にすることができる。緑色混合領域1024および青色混合領域1026は、それぞれ、緑色光および青色光のための同様の機能を行う。
【0144】
さらなる実施形態(図示せず)において、フィルタ層の製造を基板200と別個に行うことができる。有機層1020と同様の有機層のための製造プロセスを行うことができ、電子構成要素の形成の前、間、または後、フィルタ領域を有する有機層を基板200に取付けることができる。一実施形態において、フィルタ層が取付けられる前、ドライバまたは他の回路を基板200の上に形成することができる。フィルタ層が取付けられた後、電子構成要素のための有機層(たとえば、有機活性層)を形成することができる。このように、フィルタ層を基板200に取付けるために用いることができる比較的より高い温度に、有機活性層を曝さなくてもよい。
【0145】
示されていない別の実施形態において、有機活性層250ではなく、電荷輸送層240が、ゲスト材料を含むことができる。理論上は電荷輸送層240はフィルタ層であるが、電荷輸送層240内のゲスト材料は、国際照明委員会(Commission Internationale de l’Eclairage)(「CIE」)標準で特定されるような波長により近い、有機活性層250による色発光または色受光を得るのを助けることができる。さらに他の実施形態において、電荷注入層、電荷阻止層、またはそれらの組合せを、電荷輸送層240の代わりに、または電荷輸送層240と関連して使用することができる。
【0146】
さらに別の実施形態において、第1および第2の電極の位置を逆にすることができる。第2の電極502は、第1の電極220と比較して、基板200により近いことができる。放射線が第2の電極502を透過されるべきである場合、第2の電極502の厚さを低減して、十分な放射線(少なくとも70%)がそれを透過されることを可能にすることができる。
【0147】
さらに別の実施形態において、放射線が電子デバイスの基板側を通って放出されるか受けられる代わりに、またはこれに加えて、放射線を、電子デバイスの、基板200と反対の側を通って放出するか受けることができる。そのようなデバイスにおいて、第2の電極502およびリッド522の各々は、放射線の少なくとも70%が、有機活性層250から放出されるか、有機活性層250によって受けられることを可能にすることができる。乾燥剤524の位置を、それが第1の電極220の上にないように変えることができる。あるいは、乾燥剤524は、放射線の少なくとも70%が、有機活性層250から放出されるか、有機活性層250によって受けられて、乾燥剤524を通過する厚さの1つまたは複数の材料を含むことができる。
【0148】
さらに別の実施形態において、第2の電極502を複数の第2の電極と取替えることができる。図5の構成要素のいずれか1つまたは複数が、それ自体の第2の電極を有することができるか、アレイ内のいくつかまたはすべての他の構成要素と第2の電極を共有することができる。
【0149】
有機活性層を有するほとんどいかなる電子デバイスも、先に説明された混合技術を用いることができる。図5は、アクティブマトリックスOLEDディスプレイで使用することができる構成を含むが、第1の電極220を、第1の方向に延びる長さを有する導電性ストリップに配向させ、第2の電極502を、第1の方向に実質的に垂直な別の方向に延びる長さを有する導電性ストリップに変えることによって、構成をパッシブマトリックスOLEDディスプレイのために変えることができる。ドライバまたは他の回路(図5に示されていない)が、パッシブマトリックスOLEDディスプレイのために必要でないであろう。本明細書を読んだ後、当業者は、他の修正を他のタイプの電子デバイスのために行って、そのようなデバイス(たとえば、センサアレイ、ボルタ電池など)の適切な機能を達成することができることを理解するであろう。
【0150】
さらなる実施形態において、ゲスト材料が有機層230内に存在しない場合、有機層230を、可視光スペクトルの外側の波長における放射線を放出するか、応答するか、透過するように設計することができる。たとえば、有機活性層250に、UV、IR、他の非可視放射線、およびそれらの任意の組合せを放出させるかそれらに応答させるように、電子構成要素の1つを設計することができる。別の実施形態において、放射線放出構成要素および放射線応答構成要素を同じデバイス内で使用することができる。さらに別の実施形態において、同じ電子デバイス内で、1つまたは複数の電子構成要素が、可視光スペクトル内の放射線を放出するかそれに応答することができるか、1つまたは複数の電子構成要素が、可視光スペクトルの外側の放射線(たとえば、UV、IR、または両方)を放出するかそれに応答することができるか、それらの任意の組合せである。組合せの数はほとんど無制限である。
【0151】
ここで説明される概念を用いて、放射線を、放出、応答、またはフィルタリングするように設計されていない層に影響を及ぼすことができる。そのような適用を用いて、トランジスタ、抵抗器、キャパシタ、ダイオード、またはそれらの任意の組合せを含む回路要素を形成することができる。ゲスト材料は、有機活性層の抵抗または導電性タイプ(pタイプまたはnタイプ)を変えることができる。より特定的には、ゲスト材料を使用して、トランジスタのしきい値電圧またはゲインを調整するか、電流搬送電極(たとえば、ソース領域、ドレイン領域、ソース/ドレイン領域、エミッタ領域、コレクタ領域、不活性ベース領域、抵抗器コンタクト、キャパシタコンタクト、またはそれらの任意の組合せ)を規定するか、キャパシタまたはダイオードのためのp−n接合を形成するか、それらの任意の組合せであることができる。これらの電子構成要素のいずれも、論理回路、増幅回路、または別の回路に使用することができ、それらの放射線関連特性のために使用してもしなくてもよいことに留意されたい。
【0152】
(8.電子デバイスの電子動作)
電子デバイス内の電子構成要素が放射線放出構成要素である場合、適切な電位が第1の電極220および第2の電極502上に配置される。放射線放出構成要素の1つまたは複数が十分に順方向バイアスされるようになると、そのような順方向バイアスは、放射線が有機活性層250から放出されることを引起すことができる。電子デバイスの通常の動作の間、放射線放出構成要素の1つまたは複数がオフであることができることに留意されたい。たとえば、放射線放出構成要素のために使用される電位および電流を調整して、そのような構成要素から放出される色の強度を変えて、可視光スペクトル内のほとんどいかなる色も達成することができる。図5の右側に最も近い3つの第1の電極220を参照すると、赤色が表示されるために、混合領域422を含む放射線放出構成要素はオンになり、他の2つの放射線放出構成要素はオフである。ディスプレイにおいて、行および列に信号を与えて、適切なセットの放射線放出構成要素を活性化して、見る人へのディスプレイを、人間が理解できる形態にすることができる。
【0153】
電子デバイス内の電子構成要素が放射線応答構成要素である場合、放射線応答構成要素を所定の電位に逆バイアスすることができる(たとえば、第2の電極502は、第1の電極220より約5から15ボルト高い電位を有する)。目標波長または波長スペクトルにおける放射線が有機活性層によって受けられると、有機活性層内のキャリヤ(すなわち、電子−正孔対)の数が増加し、アレイの外側の周辺回路内のセンス増幅器(図示せず)によって検知されるような電流の増加を引起す。
【0154】
光起電力セルにおいて、光または他の放射線を、外部エネルギー源を伴わずに流れることができるエネルギーに変換することができる。導電性部材220および502をバッテリ(充電されるべき)または電気負荷に接続することができる。本明細書を読んだ後、当業者は、電子構成要素、周辺回路、および潜在的に遠隔回路を、特定の電子デバイスのための特定の要求に最もよく合うように設計することができる。
【0155】
(9.利点)
予想外に、上で説明されたプロセスを用いて、有機層を形成する前または後、有機層内に局所化領域を形成することができ、そこで、有機層の両面(すなわち、電極に近い)の間のゲスト材料濃度勾配が、従来の拡散プロセスと比較してより小さく、多くの従来の拡散プロセスで見られるような実質的な横方向の移行がない。すべてではないとしても実質的な量のゲスト材料が、有機層と混合する。ゲスト材料は、有機層と混合することができ、熱拡散プロセスを行う必要をなくすことができる。したがって、多すぎる横方向の拡散での問題が生じないはずである。また、「部分」拡散(目標層の一部のみを通る)、目標層の厚さを通るゲスト材料の急峻な濃度勾配、または両方が、生じないはずである。
【0156】
新たなプロセスを従来のプロセスと比較されたい。1つの従来のプロセスにおいて、ゲスト材料が有機層の外側のインクから拡散され、ゲスト材料の約25%以下が有機層に入る。この従来のプロセスを用いる、第1および第2の電極に近いゲスト材料の濃度は、概して2、3桁から数桁異なることがある。ここで説明される新たなプロセスにおいて、第1および第2の電極に近いゲスト材料濃度は、1桁未満異なるはずであり、おそらくはそれ未満異なるはずである。より低い濃度勾配は、電子構成要素が、発光スペクトルまたは受光スペクトルのシフトを引起すことなく、より大きい電位差にわたって動作されることを可能にする。したがって、より良好な「グレースケール」強度制御を見ることができる。また、電子デバイスをより高い電圧で動作させることができ、というのは、そのようなデバイスの効率が、発光スペクトルの著しいシフトを伴わずに年数とともに減少するからである。
【0157】
新たなプロセスを、ゲスト材料濃度勾配がゼロに近くなるまで拡散が行われる(有機層の両側に近い濃度が実質的に等しい)従来の拡散プロセスと比較されたい。この従来の拡散プロセスは、多すぎる横方向の拡散を可能にし、高解像度アレイ内のその使用を非常に困難にする。
【0158】
ゲスト材料濃度勾配を低減するために、従来のインク拡散プロセスでゲスト材料熱駆動工程が用いられる場合、ゲスト材料は、また、それが、隣接した電子構成要素の適切な放射線放出または受容を妨げることがある箇所に横方向に移行することがある。フィルタ層において、フィルタは、望まれないフィルタリング特徴を有することがある。新たなプロセスがゲスト材料駆動工程を用いないので、ゲスト材料の横方向の移行の量は比較的低く保たれる。
【0159】
また、ここで説明されるプロセスは、ゲスト材料とホスト材料との比を増加させることができる。図4および図5を参照すると、混合領域422は、赤色ゲスト材料と、青色ホスト材料とを含み、混合領域424は、緑色ゲスト材料と、青色ホスト材料とを含む。有機活性層が厚さ約40nm以下であるので、ゲスト材料:ホスト材料の比は、有機活性層250が厚さ70から90nmである場合と比較して増加する。より高い比は、混合領域422および424を有する電子構成要素が、より低い電圧で動作することを可能にすることができる。さらに、より薄い有機活性層は、また、混合領域422、424、および426の各々が、色(赤色、緑色、および青色)ごとに最適化された厚さを有することを可能にする。一実施形態において、質量ベースでのゲスト材料とホスト材料との比は、1:2以上であり、別の実施形態において、比は少なくとも1:1である。比が1:3以下であることがある従来のプロセスと比較されたい。
【0160】
新たなプロセスを用いて、ゲスト材料を有機活性層に導入し、依然として、良好な発光効率を達成することができ、というのは、インク拡散プロセスが必要でないからである。0.4cd/Aより高い効率を達成することができる。一実施形態において、赤色混合領域422の効率は少なくとも1.1cd/Aであり、緑色混合領域424の効率は少なくとも3.0cd/Aであり、青色混合領域426の効率は少なくとも1.1cd/Aである。さらに高い効率が可能である。
【0161】
新たなプロセスは、従来のインク拡散プロセスほど厚さに敏感でない。ゲスト材料濃度勾配がより低いので、液体複合物の体積を、ホスト材料を含む層の異なった厚さのために調整することができる。有機層の異なった厚さが望まれる場合、このプロセスは、より大きい柔軟性を考慮する。従来のインク拡散プロセスは、急峻な濃度勾配によって、厚さ変化に高度に敏感である。再び、熱拡散処理工程が、新たなプロセスで必要でない。
【0162】
電子デバイスを形成するとき、より急な(abrupt)p−n接合を形成することができる。より急な接合は、降伏電圧を増加させるか、接合におけるキャパシタンスを向上させるか、またはそれらの組合せを助ける。また、エンハンスメントモードトランジスタ、デプレッションモードトランジスタ、またはそれらの組合せを、同じ有機活性層を使用して形成することができる。より小さい、かつより密な空間の電子構成要素を製造することができ、それにより、回路密度を増加させる。さらに、より少ない横方向の拡散が、より小さい電子構成要素が形成されることを可能にする。
【0163】
一実施形態において、液体複合物の液体媒体は、有機層と相互作用することができ、したがって、結果として生じる溶液、分散液、エマルション、または懸濁液の粘度を上昇させる。増加された粘度は、液体媒体およびゲスト材料が有機層の厚さを通って進むとき、横方向の動きを制御下に保つのを助ける。したがって、ウェル構造は、必要でないが、望ましい場合は使用することができる。ウェル構造が形成されない場合、1つまたは複数のプロセス工程を低減することができ、それにより、製造コストを節約し、潜在的に、歩留りを向上させる。
【0164】
新たなプロセスを、既存の設備を使用して行うことができ、かつ実質的な修正を伴わずに既存のプロセスに一体化させることができる。したがって、新たなプロセスを、新たな設備を学び特徴づけなければならないか、プロセス一体化の間過度の複雑を生じさせる著しいリスクを伴わずに実現することができる。
【実施例】
【0165】
次の特定の例は、本発明の範囲を例示し、限定しないことが意図される。
【0166】
(実施例1)
この実施例は、有機活性層および液体組成物の1つまたは複数の物理的特性の適切な操作が、バンクまたはウェルの必要のない電子デバイス内の電子構成要素を提供することを実証する。
【0167】
電子構成要素を、次の構造、すなわち、ITO(第1の電極、またはアノード)/バッファポリマー/有機活性/第2の電極(カソード)を含むように製造する。基板は30×30mm(公称)のITOコーティングガラスである。電荷輸送層はPEDOT材料(ドイツのバイエルAG(Bayer AG, Germany)のバイトロン(BAYTRON)−P(商標))である。有機活性層は青色発光ポリフルオレン材料(いかなるゲスト材料も伴わずに青色光を発することができるホスト材料)を含む。PEDOTを室温で平坦なガラス/ITO基板上にスピンコーティングし、次に、約200℃で約5分間焼成する。フィルム厚さは、デクテック表面プロファイラ(Dektec surface profiler)で測定されるような約60〜80nmである。次に、青色有機活性層を、約1400rpmで約0.5%o−キシレン溶液から堆積させ、これは、約20から40nmのフィルム厚さをもたらす。
【0168】
液体組成物が、赤色ゲスト材料(赤色発光ポリ(スピロビフルオレン)材料、1.1%、11mg/ml)と、アニソールおよびo−キシレンの溶媒混合物を含む液体媒体とを含む。公称30ミクロンのノズル直径を有する単一ノズルインクジェット機械で、液体組成物を予め規定された領域上に滴下する。各滴間の間隔を約90ミクロンに設定し、滴の行の間の間隔を約200nmに設定する。滴は、合体せず、滴体積および有機活性層厚さのようなパラメータによって決定される一定の幅のままである。丸い赤色ドットのサイズは、約80ミクロン、または隣接した行の間の間隔の約3分の1である。次に、フィルムを120℃で約10分間焼成する。結果として生じる赤色混合領域は、約75nmの厚さを有する。第2の電極は、熱蒸着装置(thermal evaporator)を使用して堆積させ、約500nmのアルミニウムで被覆された約3.5nmのBaを含有する。ITOと第2の電極との間の約4Vのバイアスにおいて、発光強度は約200cd/m2である。
【0169】
代替例として、赤色液体組成物を緑色液体組成物と取替える。赤色ゲスト材料を1つまたは複数の緑色ゲスト材料(たとえば、ミシガン州ミッドランドのダウ・ケミカル・カンパニー(Dow Chemical Company, Midland, MI)のグリーン1300シリーズ(Green 1300 Series)(商標)ポリフルオレン)と取替える。用いられる処理詳細および設備は、先に説明するのと実質的に同じである。同様のピクセルサイズが緑色発光ゾーンで達成される。
【0170】
この実施例は、ここで説明されるプロセスを用いて、多数の色を有する電子デバイス(すなわち、有機活性層のホスト材料のみを有する1つまたは複数の領域が青色光を発し、ホスト材料と赤色ゲスト材料とを有する1つまたは複数の領域が赤色光を発し、ホスト材料と1つまたは複数の緑色ゲスト材料とを有する領域が緑色光を発する)を製造することができることを実証する。この実施例は、また、発光ゾーンを規定するためにウェル構造が必要でないことを実証する。
【0171】
(実施例2)
この実施例は、ここで説明されるプロセスを用いて、200ミクロンピッチ以上を有するフルカラーディスプレイを製造することができることを実証する。
【0172】
公称300ミクロンピクセルピッチを有するフルカラーディスプレイを使用して、実施例1と同様の実験を行う。インクジェットノズルの直径を約18ミクロンに低減し、このより小さい直径ノズルを使用して、予め規定されたパターンの多数の色を有するディスプレイを製造する。赤色、緑色、および青色混合領域の直径を、約65ミクロンに低減する。赤色、緑色、および青色混合領域の厚さは、約60から90nmの範囲内である。したがって、ここで説明されるプロセスを使用して、200ミクロンピッチ未満を有するフルカラーディスプレイを製造することができる。
【0173】
(実施例3)
赤色、緑色、および青色ポリマー線を有するフルカラーディスプレイを、実施例1で説明された手順と同様の手順を用いて製造する。40のノズルを有するインクジェットプリンタを、カラーピクセルを規定するために使用する。これらのノズルの直径は約35ミクロンであり、各滴間の工程移動は約85ミクロンである。基板は公称100mm×100mm(4インチ×4インチ)であり、ディスプレイ領域は約80mm×60mm(3.2インチ×2.4インチ)である。基板はウェル構造を含まない。赤色、緑色、および青色ストライプは、(1)バンク構造を使用せずに、線パターンを達成することができること、および(2)フルカラーディスプレイを100ピクセル毎インチ(pixels−per−inch)(254ミクロンピッチに等しい)で製造することができることを示す。
【0174】
フルカラーアクティブマトリックスディスプレイも、薄膜トランジスタピクセルドライバを有する基板で製造する。有機活性層をピクセルドライバとITOコンタクトとの間に構成する。実施例1および2のように、カラーインク閉じ込めのためにバンク構造が必要でない。
【0175】
(実施例4)
この実施例において、フルカラーバックライトデバイスを完全に平面の構造(すなわち、ITOが連続しており、パッドも列もない)で製造する。光学的に平坦なガラスITO基板から始まり、PEDOTおよび有機層(青色光を発することができるホスト材料)を、基板上にスピンコーティングする(先に説明されたように)。連続流印刷を用いて、赤色液体組成物および緑色液体組成物の線を形成する。使用されるいかなるウェル構造もなしで、線は幅約50ミクロンである。この実施例は、赤色および緑色ポリマー線の広がりを制限する有機層の能力を明確に実証する。
【0176】
流れの幅、流量、およびノズル速度を変えることによって、線幅を約50ミクロンから約150ミクロンに変えることができ、このプロセスを、より大きい面積のディスプレイの製造に適するようにする。
【0177】
同様に、より低い可溶性のホスト層が、液体組成物のより大きい横方向の拡散をもたらすことがあり、というのは、ゲスト材料が、ホスト層の厚さを通って完全にかつ実質的に均一に混合することを可能にするために、基板の表面積あたりのより大きい体積の液体組成物が必要なことがあるからである。
【0178】
(実施例5)
フルカラーディスプレイについて、電流の2から3桁の変化にわたって、色安定性を維持することができ、発光スペクトルの著しいシフトを伴わずに、色ごとのグレースケール制御を考慮する。
【0179】
赤色発光構成要素、緑色発光構成要素、および青色発光構成要素を、実施例1で説明された手順と同様の手順で準備する。青色ホスト材料を含む有機活性層を、約40nmの厚さにスピンコーティングする。赤色、緑色、および青色ゲスト材料を、先に説明されたように加えて、約70から90nmの範囲内の厚さを有する混合領域を与える。青色発光構成要素の発光特徴を、広い強度範囲にわたってカラーアナライザ(クロマ(Chroma)モデル71701)を使用して測定する。結果は図11から図13に示されている。青色発光構成要素は、図13において約0.16のxおよび約0.20のyにおける色座標を有する。色は、発光強度(たとえば、輝度)の3桁にわたって安定したままである。赤色発光構成要素および緑色発光構成要素の色は、それぞれ、図11および図12において、強度範囲の2から3桁にわたって同様の色安定性を示す(駆動電流が同様のスケールにわたって変わった)。これらの結果は、また、図14に示されているようなCIE1931色度図において実証される。ゲスト材料を有する緑色発光構成要素および赤色発光構成要素の色安定性は、実質的にゲスト材料がない青色発光構成要素の色安定性と同様である。
【0180】
これらの結果は、また、比較的均一な濃度プロファイルで、緑色および赤色ゲスト材料が有機活性層と混合することを実証する。2から3桁だけ変わる電流、および混合有機活性層内のデバイス再結合ゾーンの場合、既知のプロセスによって観察される劇的な色変化と対照的に、色座標(およびしたがって発光プロファイル)は一定のままである。
【0181】
電流の2から3桁の変化にわたる色安定性は、フルカラーディスプレイが、色ごとに、6ビット(64レベル)、8ビット(256レベル)、またはさらには10ビット(1024レベル)グレーレベルにわたって、電流(およびしたがって強度)を制御することによって作動されることを考慮する。対照的に、現在知られているデバイス内のカラーピクセルのグレースケール制御は、他の手段(時間領域など)によって、一定の発光ピーク強度で(色を固定するために)作動される。
【0182】
一般的な説明または例において上で説明された活動のすべてが必要とされるわけではないこと、特定の活動の一部を必要としなくてもよいこと、および、説明されたものに加えて、1つまたは複数のそのさらなる活動を行ってもよいことに留意されたい。さらに、活動が記載された順序は、必ずしも、それらが行われる順序ではない。本明細書を読んだ後、当業者は、どんな活動を特定の要求または望みのために用いることができるかを定めることができるであろう。
【0183】
先の明細書において、本発明を特定の実施形態に関して説明した。しかし、当業者は、特許請求の範囲に記載されるような本発明の範囲から逸脱することなく、1つまたは複数の修正または1つまたは複数の他の変更を行うことができることを理解する。したがって、明細書および図は、限定的な意味ではなく例示的な意味でみなされるべきであり、いかなるおよびすべてのそのような修正および他の変更が、本発明の範囲内に含まれることが意図される。
【0184】
任意の1つまたは複数の利益、1つまたは複数の他の利点、1つまたは複数の問題の1つまたは複数の解決策、またはそれらの任意の組合せを、1つまたは複数の特定の実施形態に関して上で説明した。しかし、利益、利点、問題の解決策、または、いかなる利益、利点、または解決策が生じるかより顕著になることを引起し得るいかなる要素も、特許請求の範囲のいずれかまたはすべての、重要な、必要な、または本質的な特徴または要素と解釈されるべきではない。
【0185】
明確にするため、別個の実施形態に関連して上でおよび下で説明される本発明のいくつかの特徴を、また、1つの実施形態において組合せで提供することができることが理解されるべきである。逆に、簡潔にするため、1つの実施形態に関連して説明される本発明のさまざまな特徴を、また、別個に、または任意のサブコンビネーションで提供することができる。さらに、範囲内に記載された値への言及は、その範囲内のどの値も含む。
【図面の簡単な説明】
【0186】
【図1】基板、第1の電極、ウェル構造、電荷輸送層、およびウェル構造の開口部の間にある有機活性層の一部の断面図の図を含む。(先行技術)
【図2】第1の電極を含む基板の一部、および有機層の一部の断面図の図を含む。
【図3】ゲスト材料が有機層上に堆積されるときの、図2の基板の断面図の図を含む。
【図4】ゲスト材料が有機層と混合した後の、図3の基板の断面図の図を含む。
【図5】実質的に完成された有機デバイスを形成した後の、図4の基板の断面図の図を含む。
【図6】ゲスト材料が、部分的に架橋された層を含む有機層に加えられるときの、基板の一部の断面図の図を含む。
【図7】ゲスト材料が有機層と混合した後の、図6の基板の断面図の図を含む。
【図8】基板、第1の電極、ウェル構造、電荷輸送層、およびウェル構造の開口部内にある液体組成物の一部の断面図の図を含む。
【図9】ウェル構造の開口部内にある領域内に有機層を加えた後の、図8の断面図の図を含む。
【図10】基板、フィルタを有する第1の有機層、第1の電極、第2の有機層、および第2の電極の一部の断面図の図を含む。
【図11】放射線の強度についての色座標のプロットを含む。
【図12】放射線の強度についての色座標のプロットを含む。
【図13】放射線の強度についての色座標のプロットを含む。
【図14】CIE1931色度図上の、図11から図13からの点を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイスを形成するための方法であって、
第1の層を基板の上に形成する工程と、
第1の液体組成物を前記第1の層の第1の部分の上に配置する工程であって、前記第1の液体組成物が、少なくとも、第1のゲスト材料と、第1の液体媒体とを含み、前記第1の液体組成物が前記第1の層と接触し、実質的な量の前記第1のゲスト材料が前記第1の層と混合する工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第1の層が、(1)目標波長においてまたは目標波長スペクトル内で放出最大を有する放射線を放出することができるか、(2)前記目標波長におけるまたは前記目標波長スペクトル内の放射線に応答するように設計され、前記目標スペクトルが、150nm以下の幅を有し、
前記第1のゲスト材料が、(1)前記目標波長または目標波長スペクトルにおいて放出最大を有する放射線を放出することができるか、(2)前記目標波長におけるまたは前記目標波長スペクトル内の放射線に応答するように設計されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の層および前記第1のゲスト材料の各々が、青色光スペクトル内で放出最大を有することを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の層を形成する前、第2の層を前記基板の上に形成する工程と、
前記第2の層の少なくとも一部を高密度化する工程とをさらに含み、
高密度化後、前記第1の層が前記第2の層の上に形成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1および第2の層が、実質的に同じ組成物を有することを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の層が、前記第1のゲスト材料が前記基板と混合するのを実質的に防止することを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項7】
高密度化工程が、前記第2の層を架橋する工程を含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の層を架橋する工程をさらに含み、
前記第1の層が第1の材料を含み、
前記第2の層が第2の材料を含み、
前記第1の層を架橋する工程が、いくらかであるがすべてでない前記第1の材料が架橋されるように行われ、
前記第2の材料を架橋する工程が、少なくとも、前記第2の材料の実質的にすべてが架橋されるまで行われることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
第2の液体組成物を前記第1の層の第2の部分の上に配置する工程であって、前記第2の液体組成物が、少なくとも、第2のゲスト材料と、第2の液体媒体とを含み、
前記第2のゲスト材料が前記第1のゲスト材料と異なり、
前記第2の液体組成物が前記第1の層と接触し、実質的な量の前記第2のゲスト材料が前記第1の層と混合する工程と、
第3の液体組成物を前記第1の層の第3の部分の上に配置する工程であって、前記第3の液体組成物が、少なくとも、第3のゲスト材料と、第3の液体媒体とを含み、
前記第3のゲスト材料が、前記第1および第2のゲスト材料の各々と異なり、
前記第3の液体組成物が前記第1の層と接触し、実質的な量の前記第3のゲスト材料が前記第1の層と混合する工程とをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
形成されたままの状態の前記第1の層が、40nm以下の厚さを有し、
前記第1の層および前記第1のゲスト材料の第1の組合せが、少なくとも60nmの厚さを有し、
前記第1の層および前記第2のゲスト材料の第2の組合せが、少なくとも30nmの厚さを有し、
前記第1の層および前記第3のゲスト材料の第3の組合せが、少なくとも60nmの厚さを有することを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1のゲスト材料の実質的にすべてが、前記第1の層と混合することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の層を形成する工程が、連続層を形成する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法によって形成されることを特徴とする電子デバイス。
【請求項14】
前記第1の層内の前記第1のゲスト材料が、放射線放出電子構成要素または放射線応答電子構成要素の一部であることを特徴とする請求項13に記載の電子デバイス。
【請求項15】
基板と、
前記基板の上にある連続した第1の層であって、
前記連続層が、電子構成要素がある第1の部分と、電子構成要素がない第2の部分とを含み、
前記第1の部分が、厚さが少なくとも30nmであり、第1のゲスト材料を含み、
前記第2の部分が、厚さが40nm以下である、連続した第1の層と
を含むことを特徴とする電子デバイス。
【請求項16】
前記連続した第1の層が、付加的な第1の部分を含み、
前記電子デバイスが、第1の電子構成要素を含み、
前記第1の電子構成要素の各々が、第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間にある前記第1の部分の少なくとも1つとを含むことを特徴とする請求項15に記載の電子デバイス。
【請求項17】
前記連続した第1の層が、第3の部分と、第4の部分とを含み、
前記第3の部分が、厚さが少なくとも30nmであり、第2のゲスト材料を含み、
前記第4の部分が、厚さが少なくとも30nmであり、第3のゲスト材料を含み、
前記電子デバイスが、第2の電子構成要素と、第3の電子構成要素とを含み、
前記第2の電子構成要素の各々が、第3の電極と、第4の電極と、前記第3の電極と前記第4の電極との間にある前記第2の部分の少なくとも1つとを含み、
前記第3の電子構成要素の各々が、第5の電極と、第6の電極と、前記第5の電極と前記第6の電極との間にある前記第3の部分の少なくとも1つとを含むことを特徴とする請求項16に記載の電子デバイス。
【請求項18】
前記第1の電子構成要素が、放射線放出電子構成要素または放射線応答電子構成要素であることを特徴とする請求項17に記載の電子デバイス。
【請求項19】
前記連続した第1の層が、(1)目標波長においてまたは目標波長スペクトル内で放出最大を有する放射線を放出することができるか、(2)前記目標波長におけるまたは前記目標波長スペクトル内の放射線に応答するように設計され、前記目標スペクトルが、150nm以下の幅を有し、
前記第1のゲスト材料が、(1)前記目標波長または目標波長スペクトルにおいて放出最大を有する放射線を放出することができるか、(2)前記目標波長におけるまたは前記目標波長スペクトル内の放射線に応答するように設計されることを特徴とする請求項15に記載の電子デバイス。
【請求項20】
前記連続した第1の層および前記第1のゲスト材料の各々が、青色光スペクトル内で放出最大を有することを特徴とする請求項19に記載の電子デバイス。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公表番号】特表2008−533652(P2008−533652A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−549669(P2007−549669)
【出願日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【国際出願番号】PCT/US2005/047517
【国際公開番号】WO2006/072022
【国際公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】