説明

層厚測定装置を備える道路舗装機

【課題】舗装走行中に層厚を正確に決定でき、且つ層厚を柔軟に記録するのに適した道路舗装機を提供する。
【解決手段】牽引機50と、スクリード4と、スクリード4によって新たに敷設した道路舗装6の層厚9を決定するために設ける測定装置60とを有する道路舗装機100。測定装置60を、進行方向Vに関して見てスクリード4の後縁部10の後ろの意図する場所で層厚9を決定するように構成し、層厚9をスクリード4の幾何学形状及び/又は移動と無関係に決定できるように、測定装置60を道路舗装機100に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の導入部分に記載の道路舗装機に関する。この種の道路舗装機は、新たに敷設した道路舗装の層厚を舗装走行中に決定するのに実際に使用される。
【背景技術】
【0002】
好ましくは、敷設される道路舗装は瀝青材料であり、同様に、砂質若しくは石質層又はコンクリートとすることもある。従って、層厚の決定が、新たに敷設した道路舗装の品質を検査するために重要となる。例えば、算出した瀝青質層の層厚が薄過ぎると、道路舗装が早期に分裂し、その場所にポットホールが残る恐れがある。その結果、後に道路舗装に高コストの改善が必要となる。一方、不必要に過剰な材料を敷設して、製造費が高くなるのを避けるために、許容最大寸法に従っているか否かに関して層厚を検査することも、重要である。
【0003】
実際には、新たに敷設した道路舗装の層厚を決定するのに、例えば、超音波又はレーダシステムが使用されている。そうしたシステムは、新たに敷設した舗道上の異なる場所に、該場所の層厚を決定するために配置される。同システムを再三移動しなければならず、更なるオペレータ員が必要となるという欠点がある。その上、他の場所の層厚から結論を出すために、サンプリングベースでのみ層厚が決定されるので、そうした測定は条件付きでのみ有意な結果を出せるだけである。また、堆積された層の限定領域、例えば、平面と新たに敷設した道路舗装との間の領域、又は構築した道路舗装の表面も、記録するのが難しく、不正確にしか記録できないという欠点がある。従って、殆どの場合、不正確な測定結果しか決定できない。従って、改善措置として、実際には、新たに敷設した層をより正確に局所化できるように、反射体を、新たに構築した道路舗装の表面上に、又は新たに構築した道路舗装の下に配設する。しかしながら、これは、反射体を提供するための追加費用に繋がり、且つ反射体を配置するのにかなりの時間が要求される。最後に、反射体を設置することで、道路舗装に修復不可能な損傷を齎すこともある。
【0004】
層厚を決定する従来の更なる方法は、単に新たに敷設した道路舗装層に測定体を挿入し、平面又は平面下に存在する層に達したと感じるまで、測定体を挿入するものである。しかしながら、挿入の結果、穴が層中に残り、水がこれらの穴に集まる可能性があり、その結果更なる損傷を齎してしまう。
【0005】
それに代わる手段として、外部に設置した基準と比較して道路舗装の層厚を決定できる。その結果、該基準は、道路舗装機又はスクリードに取付けられた、この目的のために提供された装置と共に、トランシーバユニットとして機能する。最小寸法又は最大寸法を超えたか否かを決定するために、トランシーバで層厚について検査することが、特に可能である。しかしながら、外部基準の使用には、舗装走行中に舗装部分に沿って外部基準を移転する必要があり、特に、例えば坂道又は傾斜等難しい舗装部分の場合には、位置決めが難しいという技術的な欠点がある。
【0006】
独国特許第DE10025474A1号では、道路舗装機のトラクタと牽引アームとの間の相対位置を記録することによって層厚を決定することについて、記載している。層厚を、高さセンサと比べたスクリードでの高さ変化を使用して、決定する。それに代わる手段として、傾斜基準を、スクリードの後縁部での層厚を決定するのに使用する。この場合、スクリードの幾何学形状とスクリードの移動の両方を、層厚を計算するために可能にする必要があるという欠点がある。しかしながら、この方法では、特にスクリード組立体を振動させるので、スクリードが汚れていたり、舗装走行中に振動があったりする場合にだけ、測定結果が不正確になる。
【0007】
独国特許第DE10025462A1号では、距離センサと共にスクリードの牽引アームに直接取付ける傾斜センサを使用して層厚を決定する方法について記載している。距離センサと傾斜センサにより、スクリードの後縁部と比べて層厚を決定する基準を提示する。これに関する欠点としては、スクリードを交換する場合に、全ての層厚決定用測定装置を再較正しなければならない点がある。
【0008】
欧州特許第EP0510215B1号では、走行面の舗道厚を規制する装置について記載している。該装置は、高さセンサと傾斜センサを含み、該センサ全てを、スクリードの位置に関する変化を記録するように、スクリード組立体に配設する。この装置は、規定された層厚を維持するために、該記録に基づいてスクリードの補償運動を調節する。
【0009】
米国特許第US7,172,363B2号では、舗装機について言及している。スクリードを支承する牽引アームを、舗装機に可動に取付ける。舗装機を、牽引アームに取付けたフレームで囲む。層厚を決定するのに貢献する複数のセンサを、フレームに配設する。この場合の欠点は、牽引アームの移動が原因でフレームが振動し、センサの測定結果が不正確になることがある点である。
【0010】
既知の技術水準では、特に、スクリードに直接、又はスクリードを支承する牽引アームに直接取付けられる、層厚決定用測定装置を含む。それに代わる手段として、層厚を決定するセンサを直接牽引アームに取付けることが知られている。そうした既知のシステムでは、スクリードの幾何学形状と、舗装走行中のスクリードの移動を、層厚を計算する基準として考慮に入れられる。しかしながら、これには、特に、スクリード交換があるときに、測定装置を再較正する必要があるという技術的欠点がある。場合によっては、異なるスクリードと互換性があるように測定装置を設計していないために、測定装置全体を取外す必要があることさえある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、既知の技術水準に基づき、本発明の目的は、舗装走行中に層厚を正確に決定でき、且つ層厚を柔軟に記録するのに適した道路舗装機を作製することに基づく。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的を、請求項1の技術的特徴で解決する。本発明の改良した更なる発展形については、従属請求項によって与えられるものとする。
【0013】
本発明よる道路舗装機は、とりわけ牽引機と、可動スクリードと、スクリードによって新たに敷設した道路舗装の層厚を決定するために設ける測定装置とを含む。道路舗装機の測定装置を、進行方向に関して見てスクリードの後縁部の後ろの意図する場所で層厚を決定するように構成する。本発明によると、層厚を、スクリードの幾何学形状及び/又は移動と無関係に決定できるように、測定装置を道路舗装機に設ける。
【0014】
特に、そうすることで、スクリードの全データを除外して層厚を計算できるため、層厚の決定中により柔軟に使用できるようになる。その上、スクリードの移動シーケンスを記録するための、費用がかさむ手段を無しに済ますことができる。
【0015】
同じく、本発明では、スクリードが汚れた場合に、測定結果が不正確になるという問題を解決できる。それに加えて、本発明の道路舗装機を、費用支出を抑えて、正確な層厚記録を実行できるように構成している。道路舗装機で異なるスクリードを使用しても、層厚の決定に影響はない。測定装置をスクリード交換に適合させるために、測定装置を較正する必要もない。その結果、「現場」で、つまり舗装部分において、較正作業に通常費やす時間を節約できる。
【0016】
最後に、本発明の場合、スクリード組立体における振動や角度変化によって、測定装置が妨害されず、結果的に、より良好な測定結果が得られる。
【0017】
好ましくは、測定装置を、道路舗装機の牽引機に配設する。重さのために、牽引機は殆どまれにしか振動しないが、そうした振動は、例えば、スクリードの締固め装置によって生じるものである。これは、舗装走行中にスクリードに又は支承用牽引アームに作用する振動や加速が、慣性の、重い牽引機のために伝搬できないので、直接測定装置に伝達されないという技術的な利点となる。その結果、測定装置は、測定に関して、比較的静かな支持位置を有することになる。更にまた、測定装置は、スクリードの設置又は取外しとは無関係で、設置又は取外し中に、道路舗装機、つまり牽引機に取付けたままにできる。
【0018】
測定装置を緩衝ユニットを介して牽引機に取付けると、測定結果を更に向上できる。特に、道路舗装機を貨物自動車から降ろす、又は道路舗装機を貨物自動車に載せる際に、場合によっては突然の衝撃が舗装機に作用することがあるが、そうした衝撃は、緩衝ユニットで吸収できる。
【0019】
本発明の更なる実施形態では、測定装置を着脱可能に牽引機に取付ける。そのために、迅速且つ容易に測定システムを牽引機から外す、又は測定システムを牽引機に取付けるために、例えば、ネジ連結又はクイックカップリング方式が考えられる。そうすることで結果的に、測定装置を柔軟に使用でき、起こり得るメンテナンスのために、測定装置を道路舗装機から取外せるという利点を提供できる。そのようにして、測定装置を別の道路舗装機に付け替えることもできる。
【0020】
取付要素によって、測定装置を牽引機に特に安定且つ頑丈に取付けることができる。好ましくは、取付要素を、進行方向に見て、牽引機の左側及び/又は右側に取着できる剛性のバーとして形成する。また、測定装置の一部として、牽引機を囲む閉フレームを、そのように形成するために、取付要素を、バー状要素から組立てることも考えられる。当然、取付要素の設計に関して設定する測定手段の堅さやアライメントについては、全く制限はない。取付要素により、測定装置に対して安定した、剛性のベースを提供でき、その結果、該測定装置は、舗装走行中の振動によって振動しなくなる。更に、取付要素により、オペレータが容易に取付要素を観察できるため、適当に注意して測定装置を操作するので、測定装置に一定の保護を提供できる。最後に、有利には、測定装置を牽引機と位置合わせでき、又は、牽引機に配置できることが、取付要素により確実にされる。
【0021】
好ましくは、取付要素を長さについて進行方向に関して、及び/又は幅に関して進行方向を横断して調節可能である。このように長さ及び/又は幅について調節可能にした結果、取付要素、つまり測定装置を、様々な大きさの道路舗装機の種類に取着できる。特に、取付要素の長さが調節可能なことで、層厚を、スクリードの後ろの様々に離間した場所で測定可能になる。一方で、特に幅が調節可能なために、実際の層厚測定のために設ける取付要素の大部分に加えて、取付要素の一部分も、その隣に既に敷設した舗道幅を超えて突出させ、それにより測定装置が、基準として、側方に敷設した層の層厚を記録し、該層厚を塗布したばかりの層厚と比較することが、考えられる。それによって、舗装厚が極端に偏ると、オペレータに対して音声又は視覚による警告を発するようにしてもよい。
【0022】
それに代わる手段として、取付要素を長さ及び/又は幅について調節可能にする他に、取付要素を進行方向に又は進行方向を横断して摺動でき、また道路舗装機の牽引機に対して傾けられるように、取付要素の支持体を牽引機に形成することもできる。その結果、測定装置を異なる配置にでき、異なるスクリードに使用可能にできる。最後に、このようにして、例えば、保留中のスクリード取替があった場合に、変更中に測定装置との衝突を防ぐために、測定装置を危険領域の外に移動できる。
【0023】
スクリード後縁部の後ろの意図した場所において層厚を正確に決定するために、測定装置は、好ましくは、意図した場所に指向し、測定装置自体から意図した場所まで、つまり新たに敷設した道路舗装面までの距離を測定するように構成された少なくとも第1センサを、含む。好ましくは、少なくとも1個の第1センサを、取付要素によって支持し、層まで所望する距離でセンサを離隔するために、少なくとも1個の第1センサを支持する更なるホルダを、取付要素に取着できる。それによって、取付要素を、第1センサだけでなく、複数のセンサもスクリードの後ろで進行方向を横断して配設するように形成できるが、該配設を、それぞれがセンサ自体と新たに敷設した道路舗装との間の距離を測定するために、スクリードの後ろのセンサが直線構成を取る、例えば、互いに等距離になるように行う。それに代わる手段として、敷設した層までの距離を測定するために、スクリードの後ろに配設した複数のセンサを、進行方向で相互にオフセットするように配設することが、好都合なこともある。これには、層厚に関する正確な測定を行うために、スクリードの後ろに配設したセンサで、一定の領域を、該センサの距離測定でカバーできるという、技術的な利点がある。
【0024】
また、層厚を、スクリードの後ろに配設したセンサの複数の記録した距離値の平均値として、記録できることも考えられる。このようにして、例えば、センサ機能の欠陥が原因で、誤って記録された層厚値は、層厚の実結果から除外することができる。
【0025】
本発明の更なる有利な実施形態では、測定装置は、まだ新たな道路舗装も敷設されていない平面までの距離を測定するために、少なくとも2個の更なるセンサを、含む。これらのセンサを、スクリード前に配置するように、進行方向に第1センサに対して配設する。センサを、好ましくは、取付要素に等距離で配設するか、又は取付要素に取付け、互いに等距離にしたホルダで支持し、センサを平面まで一定の距離に離間するように、ホルダを調節できる。調節可能なホルダにより、センサを、センサの特定の、特に測定感度についての特性に従い、平面上方の様々な高さで保持可能になる。
【0026】
また、新たに敷設した道路舗装層までの距離を測定するセンサか、平面までの距離を測定するセンサかに関わらず、センサを、連続的にそれぞれの距離測定を行うように形成すると、有利である。このように、層厚を決定する際に遅延を防ぐことができ、より迅速に測定結果を出せる。しかしながら、これに代わる手段として、道路舗装機が規定した距離を走行した際に、全センサを周期的に起動できるように、全センサを動作させることもできる。好ましくは、規定する距離を、少なくとも2個の更なるセンサの間の距離に基づくものとする。
【0027】
少なくとも2個の更なるセンサを、スクリードの後ろに配置する少なくとも1個の第1センサからの距離の整数倍だけ離間することによって、正確で、計算し易い層厚の測定結果を、得られる。
【0028】
層厚を計算するために、測定装置は、舗装走行中の測定装置の傾斜に関する変化を記録する少なくとも1個の傾斜センサを含むこともできる。傾斜センサは、取付要素の任意の場所にも配設できるが、好ましくは、発生する振動で生じる測定装置の垂直方向の加速度を低下させるように、測定装置を支持するために設けた場所のすぐ傍に取付ける。このようにして、路盤の凹凸箇所を検出して、層厚の測定結果においてこれを考慮に入れることができる。
【0029】
信頼できる方法で進行方向における牽引機の移動を記録するために、測定装置は、経路測定ユニットを含む。舗装走行中に牽引機によって踏破される経路を、経路測定ユニットで正確に決定できる。また、牽引機のアンダーキャリッジを介して走行経路を記録することも考えられる。
【0030】
好ましくは、スクリードの後ろの意図した場所で層厚を決定するために、層厚測定用に設けた全距離センサと、少なくとも1個の傾斜センサと、経路測定ユニットとに接続された評価ユニットを設ける。それによって、センサの個々の測定結果を、ケーブル接続によって、又はケーブルを使用せずに、評価ユニットに送信できる。個々のセンサを評価ユニットにケーブル接続して、測定結果を送信すれば、天候には影響されないが、無ケーブル接続では重さを軽減できる。好ましくは、測定装置、特に評価ユニットを、光学手段又は音響手段によってオペレータに層厚を提示する操作ユニットに接続する。そうした提示を、例えば、正確な数値によって行うことができ、又は、規定した層レベルに達したことを、色の区別によってオペレータに示すために、「信号機」表示によって行うことができる。また、評価ユニットを、層厚が認定された極限値、つまり層厚の最小値若しくは最大値にいつ達するかを操作ユニットに知らせるように形成することも考えられる。それを、操作ユニットによる警告信号の出力によってオペレータに伝えてもよい。
【0031】
好ましくは、層厚を、特にスクリードの前にある少なくとも2個の更なるセンサ間の距離又は多数の更なるセンサに関して、間隔を置いて決定するように、測定装置を構成する。それによって、道路舗装機が規定した間隔を通過すると、スクリードの前及び後ろの各センサの測定値が、層厚を計算するための評価ユニットに常に伝えられる。それと同時に、任意には、僅かな経路距離毎にオフセットされる、更なる測定値を記録することができ、該測定値を同じく層厚計算に使用できる。同時に多くの測定数列を記録するほど、層厚決定がより連続したものになる。
【0032】
本発明の更なる実施形態では、平面に対する測定装置の高さを調節できる。これにより、測定装置に配設されるセンサを、センサの測定感度に応じて、平面上方の様々な高さで配設することができる。
【0033】
また、新たに敷設した道路舗装の層厚を計算するために、以下の装置及び方法も使用できる。
【0034】
それらの1つとして、スクリードに可動に取付けられ、スクリードから、新たに塗布された混合物を通って平面まで延伸するキャリッジがある。キャリッジに対するスクリードの高さを得るために、スクリードに対するキャリッジの変位を、並進センサによって記録する。更に、スクリードに対するキャリッジの傾斜に関する変化を記録するために、角度センサをキャリッジに配設する。角度センサと並進センサとを組合せることで、キャリッジの後縁部とスクリードの後縁部との間において、敷設した層の厚さを計算できるような幾何学的関係を成すことができる。更に、キャリッジを混合物中で良好に移動可能にするために、キャリッジを加熱できる。
【0035】
また、スクリードの前に、あるいは道路舗装機の牽引機に、加熱したフックを取付けることによっても、層厚を決定できるが、ここで加熱したフックは、フックの端部が、平面上且つスクリード後縁部の下において、敷設した層の中に位置するように形成される。層厚を決定するために、スクリードに取付けたセンサによって、フックの端部をスクリード後縁部の下で記録できる。
【0036】
並んで引かれ、かつ互いに流体的に接続されている3測定要素を含むことが好ましい管水位手段によって、層厚計算を行うことも可能である。それによって、2つの第1測定要素を平面上でガイドする一方で、第3の、最終測定要素を、新たに敷設した道路舗装面上で引かれる。前2つの測定要素は基準を表しており、第1測定要素が以前位置した場所に中央管水位が位置すると直ぐに、後ろ2つの測定要素、つまり管水位によって、層厚を決定するために使用される。傾斜に関する変化が測定結果で無視されないように、傾斜センサを管水位に対して設けることができる。別の変更例では、傾斜センサを用いず、管水位について記録した高さの差を基に傾斜に関する変化を計算し、該差を、層厚を決定する際に考慮に入れることも可能である。
【0037】
また、簡単な方法で層厚を決定する傾斜基準を生成するために、ピボットジョイントによって互いに接続した2つのフレームを牽引機に備え、該フレームの前フレームを2点で平面と接触させ、後フレームをジョイント全体で平面と接触させると共に、新たに敷設した層と後部ポイントで接触させることもできる。2フレームはそれぞれ、傾斜センサを有する。その結果、前フレームにより、後フレームが前フレームの以前の位置に位置すると直ぐに、層厚を決定するのに使用する基準を記録する。また、代わりとして、前フレームに配設され、前フレームに関節連結された後フレームの高さ変化を記録する赤外線センサによって、層厚を記録することもできる。
【0038】
層厚決定のための別の任意の方法では、ブリッジ構造をスクリード上方に配設し、第1可動アームを平面上で角度記録手段によって牽引し、第2可動アームを、新たに敷設した道路層上で、走行方向に沿って、同じく角度記録手段によって牽引するようにする。同じく、角度について調節可能な複数の牽引要素を、スクリードの後ろで引くことも可能であり、該牽引要素によって、層厚を、平面上に位置する基準点に対して記録できる。 同じく、スクリード上の2つの傾けたブリッジを、ピボットベアリングに取付け可能である。
【0039】
本発明の実施形態について、図面を使用して提示する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】一定の間隔、つまり異なる時点T、T−1、T−2で層厚を決定する測定装置。
【図2】本発明による測定装置を有する道路舗装機。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1では、異なる時点T、T−1、T−2において進行方向Vに沿って表した測定装置60を示している。測定装置は、道路舗装機100、特にその牽引機50に、強固に配設される。道路舗装機100は、図1では示唆しただけだが、図2には示している。道路舗装機100は、新たな道路舗装層用材料を敷設する路盤7上を、進行方向Vに沿って移動する。図1で示したように、路盤7には波状面があり、これによって、強固に取付けられた測定装置60を含む牽引機50は、舗装部分に沿って前後に傾く。走行したばかりの道路舗装6は、道路舗装機100の舗装走行中に測定装置60によって層厚9を測定できる新たな走行面を形成する。
【0042】
測定装置60は、取付要素3を含み、該要素は路盤7に対して略水平に整列される。取付要素3は、道路舗装機100の左及び/又は右側に進行方向Vに取付けられたロッド又はバーの形で存在させることができる。取付要素3は、道路舗装機100に強固に取付ける他にも、取外し可能に、及び傾斜又は摺動可能に、道路舗装機100に取付けることができる。
【0043】
更に、図1では、取付要素3に配設された傾斜センサ2を示している。傾斜センサ2は、取付要素3に沿って異なる場所に配設できる。更に、取付要素3は本質的にロッド状のホルダ3a、3b、3cを含み、該ホルダは取付要素から垂直に突出し、取付要素3から路盤7の方向に下方に指向する。ホルダ3a、3b、3cを用いて、路盤7又は新たに敷設した道路舗装6に対して、距離センサ1a、1b、1cをある高さに保持する。距離センサ1cを、スクリード4の後ろに位置する第1センサとする。スクリード4は後縁部10を含み、後縁部の位置決めを通して、新たに敷設した道路舗装6の層厚9を規定する。スクリードの後ろの所定距離で層厚9を測定するために、第1センサ1cを、後縁部10の後ろに配設する。層の作製と層厚測定との間で短い応答時間を保証するために、この距離は、出来るだけ短く形成すべきである。
【0044】
スクリード4の高さは可動牽引アーム5によって調節可能で、牽引アーム5の移動によって測定装置60が移動することはない。進行方向Vに見て、スクリード4の左側に、距離センサ1aと1bを、距離L1だけ互いから離間させる。進行方向Vに見て、スクリード4の右側に、距離センサ1bと第1センサ1cを、距離L2を取り配設する。距離L2を、距離L1と等しくする、又は整数倍にする。
【0045】
以下では、図1を、間隔を置いた測定について説明するための基礎として使用する。時点T−2で、2つのセンサ1a、1bにより、それぞれ路盤7にあるポイントP3、P4までの距離を決定する。それと同時に、第1センサ1cは、新たに敷設した舗道6の表面までの、つまり意図した場所8までの距離を記録する。測定装置60が牽引機50と共に進行方向Vに移動する場合、時点T−1において、つまり距離L1を踏破した後で、距離測定を再びセンサ1a、1b、1cで実行し、その結果センサ1bで、それ自体と、時点T−2でセンサ1aによって記録したポイントP3との間の距離を決定できる。また、距離測定を長さL1前に既に行っているが、距離L1を踏破した後で、平面7又は道路舗装6の所までの距離を測定する他のセンサも、同様である。その結果、舗装走行中、距離L1が踏破される毎に高差を生成でき、該高差は、層厚9を計算する基準として使用できる。例えば時点Tでは、第1センサ1cは、センサ1bにより時点T−2で平面6までの距離を既に測定してあるポイントP4を介して、規定した場所8までの距離を記録する。距離L2を踏破した後に記録した距離値と距離L2に亘り傾斜センサ2によって記録した傾斜変化と間の差を、層厚9を計算するのに使用できる。時点Tの後、距離L1を踏破した後の場所P3等における層厚9は既に計算できている。
【0046】
また、図1から、間隔を置いた測定について、以下のようにも説明できる。図1では、距離L2をちょうど距離L1の2倍にした場合を示している。まず、ポイントP4について考えると、ポイントP4を時点T−2でセンサ1bによって測定し、ポイントP4は、時点Tでは平面上のポイントを示し、そこで層厚9を決定できるはずである。そのために、センサ1aとポイントP3との間の距離だけでなく、センサ1bとポイントP4との間の距離も、傾斜センサ2によって記録された傾斜と共に、時点T−2で測定する。その結果、ポイントP4がポイントP3に対してどこに位置するかが分かる。時点T−1では、舗装機は距離L1だけ更に走行している。センサ1aとポイントP2との距離、及びセンサ1bとポイントP3との距離の2つの距離の他、傾斜センサ2の値によって、ポイントP3を、ポイントP2で規定できる。次に、ポイントP4の位置も、ポイントP2に基づいて計算できる。時点Tでは、ここでもまた、舗装機は距離L1だけ更に走行している。次に、前のステップと同様に、ポイントP4の位置を、ポイントP1で表現できる。また、ポイント8も、センサ1cを介してポイントP1を参照して分かり、それにより層厚9を、ポイント8とポイントP4によって計算できる。
【0047】
図2では、牽引機50と、可動スクリード4と、層厚9を決定するために備えられた測定装置60とを有する道路舗装機100を示している。測定装置60では、どのように取付要素3を牽引機50の支持体35に取付けるかを示している。支持体35を緩衝ユニットとして形成できる。また、図2では、測定装置60の取付要素3に配設される評価ユニット25を示している。評価ユニット25を傾斜センサ2に接続すると共に、距離センサ1a、1b、1cにも接続し、進行方向Vに沿って舗装走行中に、層厚9を決定するように構成する。層厚9は、好ましくは道路舗装機100の運転室に配設され、評価ユニット25に接続される操作ユニット30によって、オペレータに伝えられる。しかしながら、操作ユニット30を、舗装部分の隣に沿って歩行して目視により新たに敷設した層の品質を検査するオペレータが持ち運ぶこともできる。最後に、図2では、取付要素3に取付けられ、評価ユニット25に接続される経路測定ユニット70を示している。経路測定ユニット70は、層厚9を計算するために、所定の間隔、つまり距離L1を牽引機50によって踏破すると直ぐに評価ユニット25をトリガするように形成される。
【符号の説明】
【0048】
L1又はL2 距離
P1−P6 ポイント
T−1又はT−2 時点
V 進行方向
1a−1c 距離センサ
2 傾斜センサ
3 取付要素
3a−3c ロッド状ホルダ
4 スクリード
5 牽引アーム
6 道路舗装
7 路盤
8 意図した場所又はポイント
9 層厚
10 後縁部
25 評価ユニット
30 操作ユニット
35 支持体
50 牽引機
60 測定装置
70 経路測定ユニット
100 道路舗装機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
牽引機(50)と、可動スクリード(4)と、前記スクリード(4)によって新たに敷設した道路舗装(6)の層厚(9)を決定するために設けられた測定装置(60)とを有し、前記測定装置(60)を、進行方向(V)に関して見て前記スクリード(4)の後縁部(10)の後ろの意図する場所(8)で前記層厚(9)を決定するように構成された、道路舗装機(100)であって、
前記層厚(9)を前記スクリード(4)の幾何学形状及び/又は移動と無関係に決定できるように、前記測定装置(60)を前記道路舗装機(100)に設けることを特徴とする、道路舗装機。
【請求項2】
前記測定装置(60)を、前記道路舗装機(100)の牽引機(50)に配設することを特徴とする、請求項1に記載の道路舗装機。
【請求項3】
前記測定装置(60)を、牽引機(50)に着脱可能に取付けることを特徴とする、請求項2に記載の道路舗装機。
【請求項4】
前記測定装置(60)を、取付要素(3)によって牽引機(50)に取付けることを特徴とする、請求項2又は3に記載の道路舗装機。
【請求項5】
前記取付要素(3)を、前記進行方向(V)に関して長さを調節可能にすることを特徴とする、請求項4に記載の道路舗装機。
【請求項6】
前記測定装置(60)は、前記意図する場所(8)に指向し、前記意図する場所(8)までの距離を測定するように構成された少なくとも1個の第1センサ(1c)を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の道路舗装機。
【請求項7】
前記測定装置(60)は、平面(7)までの距離を測定するために、前記第1センサ(1c)に関して前記進行方向(V)に配設される少なくとも2個の更なるセンサ(1a、b)を含むことを特徴とする、請求項6に記載の道路舗装機。
【請求項8】
前記少なくとも2個の更なるセンサ(1a、b)を、前記進行方向(V)に距離(L1)だけ互いから離隔することを特徴とする、請求項7に記載の道路舗装機。
【請求項9】
前記少なくとも2個の更なるセンサ(1a、b)をそれぞれ、前記距離(L1)の整数倍だけ前記第1センサ(1c)から離隔することを特徴とする、請求項8に記載の道路舗装機。
【請求項10】
前記測定装置(60)は、少なくとも1個の傾斜センサ(2)を含むことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の道路舗装機。
【請求項11】
前記測定装置(60)は、経路測定ユニット(70)を含むことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の道路舗装機。
【請求項12】
前記測定装置(60)は、評価ユニット(25)を含むことを特徴とする、請求項10又は11に記載の道路舗装機。
【請求項13】
前記スクリード(4)の後ろの前記意図する場所(8)で前記層厚(9)を決定するために、前記評価ユニット(25)を、前記距離センサ(1a、b、c)、前記少なくとも1個の傾斜センサ(2)の他、前記経路測定ユニット(70)にも接続することを特徴とする、請求項12に記載の道路舗装機。
【請求項14】
前記測定装置(60)を、間隔を置いて前記層厚(9)を決定するために構成することを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項に記載の道路舗装機。
【請求項15】
前記測定装置(60)の高さを、平面(7)に対して調節可能にすることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか1項に記載の道路舗装機。

【図1】
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【図2】
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