説明

層形成装置

【課題】安価で、かつ、適切に反射層を形成できる層形成装置を提供すること。
【解決手段】スプレー塗布装置は、互いに交差する傾斜面14および直交面15が所定方向に沿って交互に形成された被投影面12を有するスクリーン素材11の前記傾斜面14に反射層16を形成する装置であって、被投影面12を送り用ローラ32の外周面323に沿って湾曲させた状態でスクリーン素材11を保持する保持装置3と、スプレー方向N1が傾斜面14に対して斜め方向となるようにノズル本体41を支持するノズル傾斜装置42とを備える。このため、スプレーの際、スプレー材料が湾曲された被投影面12に対して斜め方向にスプレーされるので、傾斜面14に適切に反射層16を形成することができる。また、スプレーによって反射層16を形成できるので、蒸着装置のような高価な装置を使用せずに安価に形成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーン素材に反射層を形成する層形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プロジェクタなどから画像光が投射され、画像を映し出すスクリーンのうち、観察者が位置する側から画像光が投射され、当該画像光を反射する反射層を備えた反射型のスクリーンが知られている。また、このようなスクリーンの被投影面に金属膜を蒸着させて反射層を形成する蒸着装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1に記載の蒸着装置は、真空雰囲気を維持する真空チャンバと、当該真空チャンバの中に設置される蒸発源と、蒸発源に対向する位置にフィルムなどの被蒸着材料を供給する供給ローラなどからなる供給手段とを備えている。そして、当該蒸着装置では、蒸発源を加熱すると、蒸着材料が蒸発し、被蒸着材料に付着する。この蒸着装置を用いて、スクリーン素材の被投影面に反射層を形成する際には、供給手段でスクリーン素材を供給させればよく、蒸発して飛散した蒸着材料の粒子が被投影面に付着して堆積することによって、反射層を形成することができる。
【0003】
ところで、近年、スクリーンと、当該スクリーンに画像光を投射するプロジェクタとの距離を短縮して、設置場所の省スペース化を図ることが要望されている。このため、スクリーンの上方または下方から近距離で画像光を投射することが提案されている。しかしながら、平坦な被投影面を有するスクリーンでは、画像光を適切に観察者が位置する方向に反射することができないという問題がある。このため、互いに交差する第1面および第2面が交互に形成された被投影面を有し、プロジェクタに対向する第1面により観察者側に画像光を反射する近接投射型のスクリーンが提案されている。このようなスクリーンによれば、投射された画像光を観察者側に適切に反射することができる。
【0004】
【特許文献1】特開平5−86469号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述の近接投射型スクリーンのスクリーン素材に反射層を形成する場合に、前述の特許文献1に記載の蒸着装置を用いると、第1面および第2面のそれぞれに蒸着材料が付着してしまう可能性がある。ここで、第2面に反射層が形成されてしまうと、当該第2面に入射した蛍光灯等の外光が、第1面を介するなどして観察者側に反射してしまい、画像のコントラストが低下してしまうという問題がある。一方、特許文献1に記載の蒸着装置は、前述のように、真空チャンバが必要になるなど高価であり、また、反射層形成に際して第2面をマスキングすると、作業工程が煩雑となるという問題がある。このため、適切に反射層を形成することができる安価な装置が要望されてきた。
【0006】
本発明の目的は、安価で、かつ、適切に反射層を形成できる層形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の層形成装置は、互いに交差する第1面および第2面が所定方向に沿って交互に形成された被投影面を有するスクリーン素材の前記第1面および前記第2面のいずれか一方の面を被形成面とし、当該被形成面に反射層を形成する層形成装置であって、所定の中心軸周りに湾曲する湾曲面を有し、前記湾曲面に沿って前記被投影面を湾曲させた状態で前記スクリーン素材を保持する保持装置と、前記反射層を形成するスプレー材料をスプレーするノズルと、前記ノズルによるスプレー方向を前記湾曲面上の前記被形成面に向けた状態で支持する支持部材と、前記支持部材を湾曲された前記被投影面に沿って移動させる移動装置とを備えることを特徴とする。
ここで、第1面および第2面としては、例えば、交互に形成される所定方向に対して直交する方向に長い領域をそれぞれ有する構成を挙げることができる。このような長い領域としては、これらの領域が直線状に延びている構成または円弧状などに湾曲して延びている構成を挙げることができる。
【0008】
本発明によれば、保持装置により、被投影面を湾曲面に沿って湾曲させた姿勢で保持されたスクリーン素材の被形成面に対して、ノズルがスプレー材料をスプレーするので、第1面および第2面の交差角が広がって、第1面および第2面のいずれか一方の面である被形成面にスプレー材料を容易にスプレーすることができ、被形成面に適切に反射層を形成することができる。ここで、所定方向とは、第1面および第2面が交互に形成する方向である。また、スプレーによって被形成面に反射層を形成できるので、蒸着装置のような高価な装置を使用せずに、安価に反射層を形成することができる。
また、本発明の層形成装置を用いれば、例えば、画像光を反射する反射層が、前述の近接投射型のスクリーンにおける被形成面に適切に形成された反射型のスクリーンを製造することができる。このようなスクリーンを用いれば、投射された画像光を観察者側に適切に反射させることができ、スクリーンから近距離で画像光を投射することが可能となる。
【0009】
本発明では、前記支持部材は、前記スプレー方向を前記湾曲面の略接線方向に向けた状態で前記ノズルを支持することが好ましい。
本発明によれば、支持部材により、湾曲された被投影面に対して略接線方向からスプレー材料がスプレーされるので、第1面および第2面のうち被形成面ではない他方の面にスプレー材料が直接当たりづらくなって、被形成面ではない他方の面への付着を抑制することができる。このため、被形成面に適切に反射層を形成できる。
【0010】
本発明では、前記中心軸は、略水平方向に沿って延出し、前記保持装置は、前記被形成面の法線方向が上向きとなるように前記被投影面を湾曲させた状態で前記スクリーン素材を保持することが好ましい。
本発明によれば、保持装置が、略水平な中心軸周りに形成された湾曲面を有し、かつ、湾曲された被形成面の法線方向が上向きとなるように、スクリーン素材を保持するので、スプレーの際、支持部材により、被投影面に対して斜め上方向からノズルがスプレー材料をスプレーできる。このため、スプレー材料が被形成面ではない他方の面に直接当たりづらくなって、他方の面への付着を更に抑制することができる。また、仮に、被形成面から他方の面に向かってスプレー材料が跳ね返ったとしても、その跳ね返る方向が、重力に逆らった方向となるので、これによってもスプレー材料の他方の面への付着を抑制することができる。
また、本発明の層形成装置により、例えば、第1面にのみ反射層が形成されたスクリーンを用いれば、当該第2面に入射した蛍光灯等の外光が第1面を介するなどして観察者側に反射することを防止することができる。従って、高いコントラストを実現できるスクリーンを製造できる。
【0011】
本発明では、前記スクリーン素材を前記湾曲面に沿って湾曲させる方向に移動させる搬送装置を備え、前記移動装置は、前記支持部材を前記中心軸に沿って移動自在に支持することが好ましい。
例えば、支持部材およびスクリーン素材のいずれか一方を移動させる装置によって、支持部材をスクリーン素材に対して被投影面に沿って移動させようとする場合には、当該一方を縦横に移動させる必要がある。本発明によれば、前述のような被投影面に沿って支持部材を移動させる装置を単一の装置で構成する場合に比べて、比較的簡単な動作を行う搬送装置および移動装置を組み合せるだけで、支持部材をスクリーン素材に対して被投影面に沿って相対的に移動させることができる。このため、搬送装置および移動装置の動作を簡略化でき、ひいては、支持部材に支持されたノズルによって反射層を被形成面に沿って容易に形成することができる。
【0012】
本発明では、前記搬送装置による前記スクリーン素材を送る動作に応じて、前記移動装置により前記支持部材を移動させることで、前記支持部材を前記スクリーン素材に対して前記被形成面に沿って移動させる制御装置を備えることが好ましい。
本発明によれば、予め制御装置がスクリーン素材における第1面および第2面に関する情報を保持していれば、当該情報に応じて、制御装置が搬送装置および移動装置の動作を制御するので、当該スクリーン素材の被形成面にさらに簡易に反射層を形成することができる。
【0013】
本発明では、前記保持装置は、前記湾曲面を有し、この湾曲面に沿って前記スクリーン素材を案内する案内部と、前記案内部に供給される前記スクリーン素材を保持する供給側保持部と、前記案内部から回収される前記スクリーン素材を保持する回収側保持部とを備えることが好ましい。
【0014】
本発明によれば、保持装置に、湾曲面に沿ってスクリーン素材を案内する案内部と、案内部にスクリーン素材を供給する供給側保持部と、案内部からスクリーン素材を回収する回収側保持部とを設けたので、搬送装置によって保持装置を駆動させることにより、スクリーン素材を湾曲面に沿って円滑に湾曲させることができる。また、スクリーン素材を連続させたロール状のスクリーン素材を用いて、スクリーン素材を供給側保持部から案内部を経由させて回収側保持部まで連続的に送ることにより、スクリーン素材に反射層を効率よく形成することができ、スクリーンの生産性の向上を図ることができる。
【0015】
本発明では、前記第1面および前記第2面は、平坦に伸ばされた状態の前記スクリーン素材の前記被投影面を含む平面上で、かつ、当該被投影面の領域外の仮想点を中心とする同心円状に、当該同心円の直径方向に沿って交互に形成されていることが好ましい。
本発明によれば、同心円状の第1面および第2面を有するスクリーン素材の第1面および第2面のいずれか一方の面である被形成面に反射層を形成することにより、例えば、画像の投射環境下にある照明光等の不要な光によるコントラストの低減を抑制できるスクリーンを製造することができる。また、近接投射された画像光を観察者側に効率よく反射させることができるスクリーンを製造することができる。
【0016】
本発明では、前記ノズルによるスプレー対象となる前記被形成面を挟んで、前記ノズルに対向配置され、スプレーされた前記スプレー材料を吸引する吸引装置を備え、前記吸引装置は、前記支持部材により前記ノズルとともに支持されていることが好ましい。
本発明によれば、吸引装置をノズルに対向配置させたので、被形成面に付着しないでこの被形成面から飛散したスプレー材料を吸引することができ、スプレー材料の余剰分を除去することができる。従って、飛散したスプレー材料が被形成面とは反対側の他方の面に付着することを抑制できる。また、他方の面への付着が生じない程度までノズルのスプレー量を大きくすることで反射層の形成効率を高め、スクリーンの生産性を向上させることができる。
また、吸引装置をノズルとともに支持部材に支持させたので、ノズルと一体で吸引装置を移動させることができる。このため、別途、吸引装置を移動させる装置を設ける必要がなく、吸引装置を移動させる装置構成を省略あるいは簡略化させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る一実施形態を図面に基づいて説明する。
[スプレー塗布装置の全体構成]
図1は、本実施形態に係るスプレー塗布装置1の縦断面図であり、図2は、スプレー塗布装置1の横断面図である。
スプレー塗布装置1は、布状のスクリーン素材に対してスプレー材料をスプレーして、例えば、主にアルミニウムからなる金属層である反射層をスクリーン素材の被投影面に形成する層形成装置である。なお、本実施形態では、スクリーン素材の高さ方向(スクリーンの縦寸法の方向)に複数のスクリーン素材11が連続的に巻かれたロール状のロール材10として、スクリーン素材がスプレー塗布装置1に取り付けられる。スプレーの際には、巻かれた状態のスクリーン素材11が、一度伸ばされ、スプレー部において湾曲された状態でスプレーされるようになっている。
【0018】
このスプレー塗布装置1は、図1および図2に示すように、内部にロール材10を設置する装置本体2、ロール材10を保持する保持装置3、スプレー材料をスプレーするスプレー部4、スプレー部4を被投影面12に沿って移動させる移動装置5と、保持装置3を駆動してロール材10を移動させる搬送装置8(図2参照)と、これら各装置を制御する制御装置7(図5参照)とを備える。
【0019】
装置本体2は、4本の支柱211によって略水平に支持された略長方形の支持板21と、支持板21に互いに対向して立設された一対の側板22,23と、側板22,23の上部同士を連結する一対の梁部材24とを有し、略直方体状に形成されている。側板22,23間には、保持装置3および移動装置5が支持されており、一方の側板23の外側には、搬送装置8を構成する2つの供給用モータ81および回収用モータ82が支持されている。
【0020】
[保持装置および搬送装置の構成]
保持装置3は、ロール材10を略水平に保持するものであり、供給用ローラ31、送り用ローラ32および回収用ローラ33を有する。これら3本のローラは、それぞれ略水平な回転中心軸を有し、一対の側板22,23によって回転自在に軸支されている。供給用ローラ31および回収用ローラ33は、送り用ローラ32の設置位置から水平方向に所定寸法の位置に設置される。供給用ローラ31は送り用ローラ32よりも下方に位置し、回収用ローラ33は送り用ローラ32よりも上方に位置する。
【0021】
供給用ローラ31は、ロール材10の供給側ロール部10Aを回転自在に支持するとともに、供給側ロール部10Aの外周からスクリーン素材11を平坦状に伸ばして送り用ローラ32へ送るためのものであり、保持装置3の供給側保持部を構成する。供給用ローラ31は、供給側ロール部10Aの芯部となるローラ本体311と、ローラ本体311の両端に設けられた被軸受部312とを有する。
送り用ローラ32は、スクリーン素材11にスプレーするため、ロール材10の被スプレー部10Bを湾曲させた状態で案内するためのものであり、保持装置の案内部を構成する。この送り用ローラ32は、外周面323にてスクリーン素材11を案内するローラ本体321と、ローラ本体321の両端に設けられた被軸受部322をそれぞれ有する。このローラ本体321の外周面323は、送り用ローラ32の中心軸P1周りに湾曲する湾曲面を構成し、本発明の湾曲面に相当する。そして、送り用ローラ32は、供給用ローラ31から送られるスクリーン素材11を回収用ローラ33に向かって案内する。
【0022】
回収用ローラ33は、送り用ローラ32から送られるスクリーン素材11を再びロール状に巻き取りながらロール材10の回収側ロール部10Cを回転自在に支持するためのものであり、保持装置の回収側保持部を構成する。この回収用ローラ33は、巻き取られた回収側ロール部10Cの芯部となるローラ本体331と、ローラ本体331の両端に設けられた被軸受部332とを有する。
このように、保持装置3は、ロール状のロール材10から伸ばされたスクリーン素材11(ひいては被投影面12)を、送り用ローラ32にてスクリーン素材11の縦寸法の方向に沿って湾曲させた状態にして保持する。
なお、ロール材10は、送り用ローラ32の外周面323上をスクリーン素材11が下方から上方に湾曲された状態で案内される際に、後述する傾斜面14(図4参照)の法線方向が水平方向よりも上向きとなるように、ロール材10が配置されている。
【0023】
搬送装置8は、ロール材10を保持装置3に保持させた状態で、送り用ローラ32の外周面323に沿って移動させる装置であり、供給用ローラ31を回転駆動する供給用モータ81と、回収用ローラ33を回転駆動する回収用モータ82とを有し、供給用ローラ31および回収用ローラ33をそれぞれ正転および逆転の両方向に回転させる。搬送装置8は、供給用ローラ31および回収用ローラ33を回転駆動させることにより、スクリーン素材11を送り用ローラ32にて湾曲させながら移動させることができるようになっている。この際、スクリーン素材11の移動方向は、供給用ローラ31から回収用ローラ33へ向かって前進させる方向と、回収用ローラ33から供給用ローラ31に向かって後退させる方向との2方向となっている。
【0024】
[スクリーン素材の形状]
ここで、本実施形態のスプレー対象であるスクリーン素材11の形状を説明する。
図3には、1面分のスクリーン素材11の正面図を示す。
スクリーン素材11は、図3に示すように、縦寸法(高さ寸法)より大きい横寸法(幅寸法)を有する被投影面12を有し、この被投影面12の全面に複数の突条部13が形成されている。この突条部13は、詳細について後述するが、傾斜面14および直交面15により形成されている。これらの傾斜面14および直交面15は、仮想点C1を中心とする同心円状に当該同心円の直径方向に沿って交互に連続して配列されている。この仮想点C1は、被投影面12を含む平面上、かつ、被投影面12の領域外に設定された設計上の点である。被投影面12は、実際には、傾斜面14および直交面15により形成される凹凸を有する面であるが、仮想点C1の説明上、被投影面12を含む平面とは、スクリーン素材11の縦寸法の方向および横寸法の方向で構成される仮想の平面のことを示す。
【0025】
図4は、図3のスクリーン素材11を送り用ローラ32の外周面323に沿って湾曲させた状態にして、スクリーン素材11の幅寸法の方向の略中央位置にて切断した場合のスクリーン素材11の断面図である。ここで、スクリーン素材11は、このスクリーン素材11の縦寸法の方向が外周面323の円周方向に沿うようにして湾曲させた状態となっている。このため、外周面323上において、スクリーン素材11の傾斜面14と直交面15との交差角が広がった状態となっている。
傾斜面14は、図4に示すように、スクリーン素材11の基準面17に対して傾斜しており、スクリーン素材11が平坦な状態において基準面17に対して第1傾斜角θ1で交差している。また、直交面15は、平坦な状態において基準面17に直交しており、基準面17に対して第2傾斜角θ2(θ2=90°)で交差している。そして、これらの傾斜面14および直交面15によって突条部13が形成されている。なお、基準面17とは、平坦な状態において傾斜面14および直交面15が交互に形成される同心円の直径方向に沿った面を示す。
このように、スクリーン素材11の縦断面は、複数の突条部13が同心円の直径方向に沿って並んだ鋸歯状となっている。また、傾斜面14については、仮想点C1から遠ざかる方向に、第1傾斜角θ1が所定の比率で大きくなるように形成されている。すなわち、スクリーン素材11の一方の端部から他方の端部に向かうに従って、第1傾斜角θ1が大きくなっている。具体的に、仮想点C1から最も離間した傾斜面14の第1傾斜角θ1は、仮想点C1に最も近い傾斜面14の第1傾斜角θ1より大きくなっている。
【0026】
以上のようなスクリーン素材11の傾斜面14および直交面15は、それぞれ本発明の第1面および第2面に相当し、第1傾斜角θ1は、本発明の傾斜角に相当する角度である。なお、直交面15と基準面17とがなす第2傾斜角θ2は、本実施形態では90°としたが、これに限らず、少なくとも傾斜面14と基準面17とがなす第1傾斜角θ1よりも大きく設定されていればよい。
そして、傾斜面14および直交面15のいずれか一方の面が反射層16の被形成面とされる。本実施形態では、傾斜面14を被形成面とし、傾斜面14に反射層16が形成され、いずれか他方の面である直交面15には反射層16が形成されないようになっている。
本実施形態では、このようなスクリーン素材11を縦寸法の方向に複数連続させた状態で製造されたロール材10を使用する。ロール材10において、各スクリーン素材11の間には、切断代(図示省略)が設けられている。
【0027】
以降、スプレー塗布装置1のスプレー部4および吸引装置6について説明する。
[スプレー部の構成]
図4は、図1の部分拡大図であり、具体的には、スプレー部4およびこのスプレー部4に支持された吸引装置6を拡大して示す側面図である。
スプレー部4は、スプレー材料をスプレーするノズル本体41のスプレー方向を調整可能なノズル傾斜角調整機能を備える。すなわち、スプレー部4は、スプレー方向N1に向けられたノズル本体41と、ノズル本体41を支持するとともに後述する移動装置5に連結されたノズル傾斜装置42と、内部にスプレー材料を充填する容器43とを有する。ノズル本体41は、容器43内のスプレー材料をスプレーして反射層を形成するもので、本発明のノズルに相当する。
【0028】
ノズル傾斜装置42は、ノズル本体41のスプレー方向N1を変化させて、送り用ローラ32の外周面323に対してスプレー方向N1を略接線方向に向ける装置であり、本発明の支持部材に相当する。この略接線方向とは、外周面323が有する湾曲形状の略接線方向を示す。
ノズル傾斜装置42は、旋回ロッド53の先端部に着脱自在に連結された把持具44と、下面に所定の曲率の凹面424が形成された固定部421と、凹面424と同じ曲率の凸面425を有する可動部422と、固定部421に対して可動部422を回動させる傾斜用サーボモータ(図中、一点鎖線で示す)423とを備える。固定部421は、凹面424を凸面425に沿って摺動させることで、可動部422を曲率半径R1の中心点C2周りに回動可能に支持している。なお、中心点C2は、旋回軸P2上に設定されている。
【0029】
可動部422には、可動側金具426が固定されている。また、ノズル本体41には、可動側金具426にねじ止めされたノズル側金具427が取り付けられている。ノズル側金具427のねじ孔428が、スプレー方向N1に沿った長孔に形成されているため、ノズル本体41をスプレー方向N1に移動可能とし、噴霧口411からスプレー方向N1に配置されるスクリーン素材11の傾斜面14までの間隔(スプレー距離)を調整可能としている。
【0030】
スプレー方向N1は、傾斜用サーボモータ423による可動部422の回動に応じて変化する。すなわち、旋回軸P2とスプレー方向N1とがなす角度(以降、ノズル傾斜角度と呼ぶ)θNが変化して、ノズル本体41が被投影面12に対して斜め下向きとなる。このθNの範囲は、45°〜85°となっている。また、ノズル本体41は、そのスプレー方向N1を中心点C2に向けて支持されているため、可動部422の姿勢に関わらず、常に中心点C2を向いて斜め下向きとなるようになっている。このような構成によって、ノズル傾斜装置42は、湾曲したスクリーン素材11表面の傾斜面14に反射層16を形成する際に、傾斜面14の第1傾斜角θ1に応じてノズル傾斜角度θNを調整可能に、ノズル本体41を支持するようになっている。
【0031】
[吸引装置の構成]
吸引装置6は、スプレーされたスプレー材料Mの余剰分を吸引する装置であり、ノズル本体41によるスプレー対象となる傾斜面14を挟んで、ノズル本体41に対向配置され、固定部421に取り付けられた吸引ダクト61と、吸引ダクト61に接続される図示しない真空ポンプとを有する。吸引ダクト61は、旋回軸P2と平行に延設され、その下端部に、ノズル本体41の噴霧口411に対向して開口された吸引口62を有する。このように吸引装置6は、ノズル本体41とともにノズル傾斜装置42に支持され、移動装置5によりノズル本体41と一体で移動可能に支持されている。
【0032】
[移動装置の構成]
移動装置5は、図1および図2に示すように、略水平方向に配置されたレール51と、レール51に支持され送り用ローラ32の中心軸P1に沿って案内されるスライダ52と、スライダ52に回転自在に支持される旋回ロッド53とを有し、旋回ロッド53に取り付けられたスプレー部4を被投影面12に沿って略水平方向に移動させる装置である。
レール51は、送り用ローラ32の中心軸P1と略平行に、かつ、スクリーン素材11に対向する位置に設けられ、両端部を一対の側板22,23によって支持されている。レール51には、スライダ52を略水平方向に移動させるアクチュエータ54(図5参照)が内蔵されている。
【0033】
旋回ロッド53は、この旋回ロッド53に対向する被投影面12に対して略直交する前述の旋回軸P2を中心として旋回自在に設けられている。スライダ52は、旋回ロッド53を駆動させる旋回用サーボモータ(図5参照)55を内蔵している。この旋回用サーボモータ55の駆動力によって旋回ロッド53が回転されると、スプレー部4が旋回軸P2周りに旋回するようになっている。
【0034】
[制御装置の構成]
図5は、スプレー塗布装置1の制御装置7の構成を説明するブロック図である。
制御装置7は、スプレー部4、移動装置5、吸引装置6および搬送装置8の駆動を制御するもので、主制御手段70と、スクリーン素材11の形状データを主制御手段70に入力する入力手段71と、その形状データを記憶する記憶手段72と、主制御手段70によって統括制御される移動制御手段73、傾斜角制御手段74、スプレー制御手段75、吸引制御手段76および搬送制御手段77とを有する。
【0035】
移動制御手段73は、形状データに基づいて、移動装置5(具体的にはアクチュエータ54および旋回用サーボモータ55)を制御する。同様に、傾斜角制御手段74は、ノズル傾斜装置42の傾斜用サーボモータ423を制御する。スプレー制御手段75は、スクリーン素材11に対するノズル本体41の位置に応じて、ノズル本体41のスプレー動作の始動および停止を制御する。吸引制御手段76は、スプレー制御手段75に連動して吸引装置6(真空ポンプ)の吸引動作の始動、停止を制御する。
【0036】
搬送制御手段77は、搬送装置8に、供給用ローラ31および回収用ローラ33を駆動させる。すなわち、搬送制御手段77は、搬送装置8に、ロール材10として巻かれたスクリーン素材11を連続的に送り用ローラ32に供給させ、送り用ローラ32からスクリーン素材11を連続的に回収させる。
また、搬送制御手段77は、スプレーする際に、スクリーン素材11を、形状データに基づいて、供給用ローラ31および回収用ローラ33間で前進および後退させるようになっている。
【0037】
[スプレー塗布装置の動作]
まず、スプレー方向N1(ノズル傾斜角度θN)の調整方法について説明する。
傾斜角制御手段74(図5参照)は、記憶手段72の形状データを参照して第1傾斜角θ1に対応するノズル傾斜角度θNを演算し、ノズル傾斜装置42を駆動させて、ノズル本体41のスプレー方向N1(ノズル傾斜角度θN)を傾斜面14の第1傾斜角θ1に応じて調整する。
【0038】
次に、図6および図7に基づいて、ノズル本体41を被投影面12に対して同心円状の傾斜面14に沿って相対移動させて、被投影面12に反射層を形成する方法について説明する。
図6および図7は、例えば、60インチ型のスクリーン素材11に反射層を形成する際の、スクリーン素材11に対するノズル本体41の位置およびスプレー方向N1について説明する概念図である。なお、図中のスクリーン素材11は、便宜上、平坦な状態で示されているが、実際には、送り用ローラ32の外周面323に沿って湾曲された状態でスプレーされる。この際、傾斜面14と直交面15とが交互に形成される所定方向であるスクリーン素材11の縦寸法の方向が、外周面323の円周方向に沿うようになっている。
スクリーン素材11に対して、ノズル本体41を同心円状の傾斜面14に沿って相対移動させる際には、搬送制御手段77および移動制御手段73(図5参照)が、記憶手段72の形状データから必要な情報(スクリーン素材11の縦横寸法、仮想点C1の座標、同心円の半径寸法Rなど)を参照して、同心円に沿ったノズル本体41の位置座標を演算し、搬送装置8および移動装置5を駆動させる。
【0039】
例えば、図6で示した状態から、スクリーン素材11を送りつつ、ノズル本体41を右方向に移動させ、図7に示すように、傾斜面14とノズル本体41とを常に対向させた状態でスプレーする。この際、ノズル傾斜装置42の旋回軸P2(図1参照)は、スプレー対象となる同じ傾斜面14上に常に位置する。このようにして、ノズル本体41を同じ傾斜面14の同心円に沿って移動させながらスプレーすることができる。
【0040】
一方、図6に示すように、傾斜面14の中央部をスプレーする場合、ノズル本体41のスプレー方向N1を被投影面12に対する平面視で略下向きにしている。これに対して、図7に示すように、同じ傾斜面14の中央部よりも端部側をスプレーする場合、ノズル傾斜装置42によりノズル本体41を旋回軸P2周りに回転させて、スプレー方向N1を変化させている。このように、ノズル傾斜装置42が、ノズル本体41を旋回軸P2回りに適宜回転させ、被投影面12に対する平面視で常にスプレー方向N1を仮想点C1から同心円の外側へ向けている。このため、傾斜面14が同心円状に形成されていても、ノズル本体41を第1面に適切に対向させることができる。
【0041】
また、被投影面12に反射層を形成する際には、複数の傾斜面14に対して、上方に配置され、かつ、仮想点C1に近い傾斜面14から、仮想点C1から遠くなる下側の傾斜面14へと一面ごとに順番に、傾斜面14に沿ってノズル本体41を被投影面12に対して相対移動させながらスプレーする。
【0042】
以上のように、搬送装置8によるスクリーン素材11を送る動作と、移動装置5によるノズル傾斜装置42を略水平方向に移動させる動作とを組み合せることにより、ノズル傾斜装置42をスクリーン素材11に対して同じ傾斜面14に沿って相対的に移動させることができる。このため、ノズル本体41は、被投影面12に対して、その噴霧口411を傾斜面14に向けた姿勢で支持された状態で、突条部13の傾斜面14の同心円の円弧に沿った方向(図4では紙面に対する直交方向)に相対的に移動される。また、ノズル傾斜装置42によって、そのノズル傾斜角度θNを第1傾斜角θ1に応じて変化させることができる。
このようにして、スプレー材料による反射層16(図4参照)を傾斜面14に形成することができる。
【0043】
以上の本実施形態のスプレー塗布装置1によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)送り用ローラ32の外周面323に沿って被投影面12を湾曲させるので、傾斜面14および直交面15の交差角θ3が広がって、傾斜面14にスプレー材料をスプレーし易くなり、傾斜面14に適切に反射層16を形成することができる。また、スプレーによって反射層16を形成できるので、蒸着装置のような高価な装置を使用せずに、安価な装置とすることができる。
さらに、このスプレー塗布装置1によって反射層16を形成したスクリーンを用いれば、投射された画像光を観察者側に適切に反射させることができ、スクリーンから近距離で画像光を投射することが可能となる。
【0044】
(2)スプレー方向N1が外周面323に対して略接線方向となるように、ノズル本体41をノズル傾斜装置42に支持させるので、スプレーの際、スプレー材料が直交面15に直接当たりづらくなるようにすることができ、直交面15への付着を抑制できる。このため、傾斜面14に適切に反射層16を形成することができる。
【0045】
(3)送り用ローラ32の中心軸P1が略水平方向に設けられているので、外周面323に沿って湾曲される被投影面12の傾斜面14の法線方向が上向きとなる。このため、スプレーの際、傾斜面14に対するスプレー方向N1を斜め下向きにすることができる。従って、傾斜面14から直交面15に向かってスプレー材料が跳ね返ったとしても、その跳ね返る方向が、重力に逆らった方向となり、スプレー材料の直交面15への付着を抑制でき、一層適切に反射層16を形成することができる。
さらに、このスプレー塗布装置1によって反射層16を形成したスクリーンを用いれば、直交面15に外光が入射しても傾斜面14や観察者に向かって反射するおそれがなく、画像のコントラストの低下を防止できる。
【0046】
(4)保持装置3を、供給用ローラ31と、供給用ローラ31から供給されるスクリーン素材11を案内する送り用ローラ32と、送り用ローラ32からスクリーン素材11を回収する回収用ローラ33とによって構成したので、スクリーン素材11を外周面323に沿って円滑に湾曲させることができる。また、ロール状のロール材10を用いて、スクリーン素材11を供給用ローラ31から送り用ローラ32に連続供給することにより、スクリーン素材11に反射層16を形成する作業を効率よく行うことができる。このため、スプレー塗布装置1をスクリーンの製造ライン上に配置して、スクリーンを効率よく製造することができ、スクリーンの生産性の向上を図ることができる。
【0047】
(5)被投影面12に沿ってノズル傾斜装置42を移動させる装置を単一の装置で構成する場合に比べて、比較的簡単な動作を行う搬送装置8および移動装置5を組み合せるだけで、ノズル傾斜装置42をスクリーン素材11に対して傾斜面14に沿って相対的に移動させることができる。このため、搬送装置8および移動装置5の動作を簡略化でき、ひいては、ノズル本体41によって反射層16を傾斜面14に沿って容易に形成することができる。
【0048】
(6)予め制御装置7がスクリーン素材11における傾斜面14および直交面15に関する情報を保持していれば、当該情報に応じて、制御装置7が搬送装置8および移動装置5の動作を制御するので、当該スクリーン素材11の傾斜面14にさらに簡易に反射層16を形成することができる。
【0049】
(7)同心円状の傾斜面14および直交面15を有するスクリーン素材11の傾斜面14に反射層16を形成することにより、例えば、画像の投射環境下にある照明光等の不要な光によるコントラストの低減を抑制できるスクリーンを製造することができる。また、近接投射された画像光を観察者側に効率よく反射させることができるスクリーンを製造することができる。
【0050】
(8)ノズル本体41に対向する吸引装置6をノズル傾斜装置42に支持させて、移動装置5によって吸引装置6をノズル本体41と一体で移動するようにしたので、傾斜面14に付着しないで傾斜面14から飛散したスプレー材料が吸引装置6で除去される。従って、飛散したスプレー材料が直交面15に付着することを防止できるとともに、直交面15への付着が生じない程度までノズル本体41のスプレー量を大きくすることで反射層16の形成効率を高め、ひいてはスクリーンの生産性を向上させることができる。
【0051】
(9)スプレー部4にノズル傾斜装置42を具備させて、スプレー方向N1を第1傾斜角θ1に応じて可変としたので、突条部13の並設方向に沿って第1傾斜角θ1が変化するように傾斜面14が形成されたスクリーンに対して、反射層16をむらなく形成することができる。
【0052】
さらに、第1傾斜角θ1が画像光の光源に近い側から遠い側に向かって大きくなるように傾斜面14が形成されたスクリーンを生産することにより、近接投影された画像光が反射層16によって被投影面12に直交する方向に効率良く反射されるので、画像をさらに高輝度で映し出すことができる。
【0053】
[実施形態の変形]
本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、第1面としての傾斜面が同心円状に形成された場合を説明したが、本発明の層形成装置は、少なくとも互いに交差する第1面および第2面が所定方向に沿って交互に形成された被投影面を有するスクリーン素材の第1面に反射層を形成する際に、その効果を発揮できるので、第1面および第2面としては、同心円状のものに限らず、平行な縞状に形成されていてもよい。
また、前記実施形態では、第1面を傾斜面とし、第2面を直交面として説明したが、第1面および第2面については前記実施形態の傾斜面および直行面に限られるものではない。また、第1面を被形成面として第1面に反射層を形成し、第2面には反射層を形成しない場合を説明したが、これに限られず、第2面に反射層を形成し、第1面には反射層を形成しない場合であってもよい。
【0054】
前記実施形態では、湾曲面として送り用ローラの外周面を用いる場合を説明したが、本発明の湾曲面としては、少なくともスクリーン素材を湾曲できる形状であればよい。例えば、断面半楕円形の部材を固定させて、半楕円の表面である曲面に沿ってスクリーン素材を湾曲させるような構成としてもよい。また、断面略三角形の部材のいずれかの頂部に湾曲面を形成して、この湾曲面に沿ってスクリーン素材を湾曲させる構成でもよい。
【0055】
また、前記実施形態では、スプレー方向を湾曲面の略接線方向に向けてスプレーする場合を説明したが、スプレー方向としては、少なくとも、湾曲された第1面に向けられていれば、本発明の効果を奏することができる。
前記実施形態における送り用ロールの中心軸は、略水平方向となるように設けられているが、これに限らない。
【0056】
また、前記実施形態では、支持部材としてノズル傾斜装置の場合について説明したが、支持部材としてはノズル本体を傾斜させる機能を有するものに限られず、少なくともノズル本体を支持できるものであればよい。
また、前記実施形態では、スプレー塗布装置は、吸引装置を備える構成を例示したが、吸引装置がない構成としてもよい。
前記実施形態では、第1面の傾斜角が大きくなるように形成されたスクリーン素材について説明したが、傾斜角が一定の第1面を有するスクリーン素材であってもよい。
【0057】
また、前記実施形態では、ノズル本体を被投影面に沿って移動させる装置の構成として、搬送装置と移動装置とを組み合せた構成について説明したが、これに限らず、本発明の移動装置としては、少なくともノズル本体を湾曲させた被投影面に沿って移動させるものであればよい。
例えば、円筒状のロールに巻回された一面分のスクリーン素材における傾斜面に対してノズル本体が対向するように、当該ノズル本体を移動装置が移動させて、当該傾斜面に反射層を形成する構成であってもよい。
なお、前記実施形態では、反射層を形成する場合の説明をしたが、本発明の層形成装置は、スクリーン素材の第1面に、例えば、表面を保護する保護層や、色彩を付する目的でコーティングされる層など、各種の層を形成する場合に適用できる。
【0058】
また、前記実施形態では、スプレー後のスクリーン素材を回収する構成を説明したが、層形成装置内で回収しない構成でもよい。すなわち、層形成が済んだスクリーン素材を適宜剪断するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、スクリーンに反射層を形成する層形成装置に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の一実施形態に係る層形成装置の縦断面図。
【図2】前記実施形態における層形成装置の横断面図。
【図3】前記実施形態におけるスクリーン素材の正面図。
【図4】前記実施形態における層形成装置のノズルの拡大側面図。
【図5】前記実施形態における層形成装置の制御装置のブロック図。
【図6】前記実施形態における層形成装置のスプレー時の状態を説明する概念図。
【図7】前記実施形態における層形成装置のスプレー時の状態を説明する概念図。
【符号の説明】
【0061】
1…スプレー塗布装置(層形成装置)、3…保持装置、5…移動装置、6…吸引装置、7…制御装置、8…搬送装置、11…スクリーン素材、12…被投影面、14…傾斜面(第1面)、15…直交面(第2面)、16…反射層、31…供給用ローラ(供給側保持部)、32…送り用ローラ(案内部)、33…回収用ローラ(回収側保持部)、41…ノズル本体(ノズル)、42…ノズル傾斜装置(支持部材)、323…外周面(湾曲面)、θ1…第1傾斜角(傾斜角)、C1…仮想点、P1…中心軸。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに交差する第1面および第2面が所定方向に沿って交互に形成された被投影面を有するスクリーン素材の前記第1面および前記第2面のいずれか一方の面を被形成面とし、当該被形成面に反射層を形成する層形成装置であって、
所定の中心軸周りに湾曲する湾曲面を有し、前記湾曲面に沿って前記被投影面を湾曲させた状態で前記スクリーン素材を保持する保持装置と、
前記反射層を形成するスプレー材料をスプレーするノズルと、
前記ノズルによるスプレー方向を前記湾曲面上の前記被形成面に向けた状態で支持する支持部材と、
前記支持部材を湾曲された前記被投影面に沿って移動させる移動装置とを備えることを特徴とする層形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の層形成装置において、
前記支持部材は、前記スプレー方向を前記湾曲面の略接線方向に向けた状態で前記ノズルを支持することを特徴とする層形成装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の層形成装置において、
前記中心軸は、略水平方向に沿って延出し、
前記保持装置は、前記被形成面の法線方向が上向きとなるように前記被投影面を湾曲させた状態で前記スクリーン素材を保持することを特徴とする層形成装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の層形成装置において、
前記スクリーン素材を前記湾曲面に沿って湾曲させる方向に移動させる搬送装置を備え、
前記移動装置は、前記支持部材を前記中心軸に沿って移動自在に支持することを特徴とする層形成装置。
【請求項5】
請求項4に記載の層形成装置において、
前記搬送装置による前記スクリーン素材を送る動作に応じて、前記移動装置により前記支持部材を移動させることで、前記支持部材を前記スクリーン素材に対して前記被形成面に沿って移動させる制御装置を備えることを特徴とする層形成装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の層形成装置において、
前記保持装置は、
前記湾曲面を有し、この湾曲面に沿って前記スクリーン素材を案内する案内部と、
前記案内部に供給される前記スクリーン素材を保持する供給側保持部と、
前記案内部から回収される前記スクリーン素材を保持する回収側保持部とを備えることを特徴とする層形成装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の層形成装置において、
前記第1面および前記第2面は、平坦に伸ばされた状態の前記スクリーン素材の前記被投影面を含む平面上で、かつ、当該被投影面の領域外の仮想点を中心とする同心円状に、当該同心円の直径方向に沿って交互に形成されていることを特徴とする層形成装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載の層形成装置において、
前記ノズルによるスプレー対象となる前記被形成面を挟んで、前記ノズルに対向配置され、スプレーされた前記スプレー材料を吸引する吸引装置を備え、
前記吸引装置は、前記支持部材により前記ノズルとともに支持されていることを特徴とする層形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2010−85927(P2010−85927A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−257737(P2008−257737)
【出願日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】