説明

山留め壁の構築方法、杭の構築方法、山留め壁、杭

【課題】地下水位が高い敷地において、低コストで手間がかからない杭を構築する方法を提供する。
【解決手段】場所打ち杭30の外周に相当する位置に、複数のソイルセメント柱11が環状に連結されてなるソイルセメント壁10を構築し、ソイルセメント壁10の内部を通して場所打ち杭30の下端に相当する深さまで地盤1を掘削して掘削孔を形成し、掘削孔内に鉄筋かごを配置し、掘削孔内にコンクリート15を打設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、狭隘な敷地において杭を構築する方法及び杭を構築する際に用いられる山留め壁の構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、狭隘な敷地において場所打ち杭を構築する場合には、深礎工法が用いられている。深礎工法では、人力又は小型の掘削装置により地盤を円筒状に掘削するとともに、掘削の進行に合わせて孔壁面に沿うように円弧状のライナープレートを周方向及び上下方向に接続していく。このライナープレートにより周囲の地盤が支持され、地盤の崩壊を防止できる(例えば、特許文献1、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−33682号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】建築施工法編集研究会 編集、「最新建築施工法事典」初版、産業調査会 事典出版センター、2004年7月15日、p.153−155
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ライナープレートを用いた方法では、ライナープレートの背面側に地盤との隙間を塞ぐために、グラウト等を注入する必要があり、施工に手間がかかるという問題がある。また、地下水位が高い場所では、予め、地盤に薬液注入を行って地盤改良をする必要があるため、手間とコストがかかる。
【0006】
本発明は、上記の問題に鑑みなされたものであり、その目的は、狭隘な敷地において、手間やコストをかけずに杭を構築する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の山留め壁の構築方法は、杭を構築するべく地盤を掘削するための山留め壁の構築方法であって、前記杭の外周に相当する位置に、複数のソイルセメント柱を環状に連結することによりソイルセメント壁を構築することを特徴とする。
上記の山留め壁の構築方法において、隣接する前記ソイルセメント柱同士を互いに重なり合うように構築することで、前記複数のソイルセメント柱を連結してもよい。
【0008】
また、隣接する前記ソイルセメント柱のうち一方を構築する第1のステップと、地盤の他方のソイルセメント柱に相当する部分を削孔攪拌し、地盤の前記一方のソイルセメント柱との間の部分を削孔攪拌又は噴射攪拌し、地盤の前記他方のソイルセメント柱に相当する部分及び地盤の前記一方のソイルセメント柱との間の部分にソイルセメントを形成する第2のステップを行うことで前記ソイルセメント壁を形成してもよい。
【0009】
また、前記第2のステップでは、ロッドの先端に地盤を掘削するための回転掘削翼と、前記回転掘削翼から側方に向かって水、安定液又はセメントミルクからなる液体を噴射する噴射機能とを備え、前記ロッドを全周回転させる機能及び所定の角度範囲を揺動させる機能を備えた掘削機を用い、前記回転掘削翼を全周回転させながら下降させることで、他方のソイルセメント柱に相当する部分を掘削し、前記噴射機能により側方に向かって前記液体を噴射しながら、前記ロッドを所定の角度範囲で揺動させることにより、地盤の前記隣接するソイルセメント柱の間の部分を掘削してもよい。
【0010】
また、本発明の杭の構築方法は、上記の山留め壁の構築方法によりソイルセメント壁を構築するソイルセメント壁構築ステップと、前記ソイルセメント壁の内部を通して前記場所打ち杭の下端に相当する深さまで地盤を掘削して掘削孔を形成する地盤掘削ステップと、前記掘削孔内に鉄筋かごを配置する鉄筋かご配置ステップと、前記掘削孔内にコンクリートを打設するコンクリート打設ステップと、を備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の山留め壁は、杭を構築するべく地盤を掘削するための山留め壁であって、 前記杭の外周に相当する位置に構築された、複数のソイルセメント柱が環状に連結されてなるソイルセメント壁からなることを特徴とする。
また、本発明の杭は、上記の構築方法により構築されたことを特徴とする。
また、本発明の杭は、杭本体と、前記杭本体の外周に相当する位置に構築された、複数のソイルセメント柱が環状に連結されてなるソイルセメント壁とが一体化されてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ソイルセメント柱が環状に連結されてなるソイルセメント壁を設け、このソイルセメント壁の内部を掘削して掘削孔を形成するため、グラウト等の注入作業が不要となり、手間やコストを削減できる。また、ソイルセメント壁は止水性を有するため、掘削孔内に地下水が内部に浸透するのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】場所打ち杭の構築方法を説明するための図(その1)であり、(A)は鉛直断面図、(B)は同図(A)におけるI−I断面図である。
【図2】場所打ち杭の構築方法を説明するための図(その2)であり、鉛直断面図である。
【図3】場所打ち杭の構築方法を説明するための図(その3)であり、鉛直断面図である。
【図4】場所打ち杭の構築方法を説明するための図(その4)であり、鉛直断面図である。
【図5】ソイルセメント壁を構築する方法を説明するための図である。
【図6】ソイルセメント壁を構築する際に用いられる掘削機の回転掘削翼を示す図である。
【図7】ソイルセメント壁を構築する方法を説明するための図であり、(A1)、(B1)は平面図、(A2)、(B2)は鉛直断面を拡大して示す図である。
【図8】別の実施形態の方法により構築された場所打ち杭を構築するためのソイルセメント壁を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の場所打ち杭の構築方法の一実施形態を、既存の鉄道の駅の狭隘な敷地において場所打ち杭を構築する場合を例として説明する。なお、本実施形態では、地下水位が場所打ち杭の下端よりも高い位置に位置しているものとする。
【0015】
図1〜図4は、本実施形態の場所打ち杭の構築方法を説明するための図である。なお、図1(A)及び図2〜図4は鉛直断面図、図1(B)は同図(A)におけるI−I断面図である。
まず、図1に示すように、場所打ち杭の構築位置の周囲に円筒状のソイルセメント壁10を構築する。ソイルセメント壁10は、複数の円柱状のソイルセメント柱11が環状に連結されてなる。これらソイルセメント柱11は、隣接するソイルセメント柱11の中心間の距離がソイルセメント柱11の直径よりも小さく、各ソイルセメント柱の両側部が隣接するソイルセメント柱11と部分的に重なり合うように構築されている。また、ソイルセメント壁10は、下端が地下水位よりも低い深さまで到達している。
【0016】
なお、ソイルセメント柱11としては、例えば、直径2500mm程度の場所打ち杭を構築する場合には、直径600mm程度とすればよい。また、後述するように、ソイルセメント壁10に周囲の地盤から圧縮荷重が作用した際に、ソイルセメント柱11同士の間でこの圧縮荷重を伝達することができるように、隣接するソイルセメント柱11の互いに重なり合う部分の幅(図5(B)におけるD)を、例えば、150mm程度としてもよい。ただし、ソイルセメント柱11の直径や重なり合う部分の幅はこれらに限定されるものではない。
【0017】
以下、ソイルセメント壁10の構築方法を説明する。
図5は、ソイルセメント壁10を構築する方法を説明するための図である。まず、図5(A)に示すように、ソイルセメント壁10を構成するソイルセメント柱11を一つおきに構築していく。ソイルセメント柱11は、例えば、先端に地盤を掘削するための掘削翼が接続されたロッドを備え、このロッドの先端からセメントミルクを排出可能なボーリングマシーンを用い、ボーリングマシーンにより地盤を掘削して円柱状の掘削孔を形成した後、ロッドを回転したまま引き上げながら、ロッド先端からセメントミルクを掘削土内に排出し、掘削土とセメントミルクを混合攪拌することで構築できる。
なお、本実施形態では、掘削翼を回転させて地盤を回転攪拌することにより地盤を削孔攪拌するものとしたが、これに限らず、掘削翼を回転させるとともに掘削翼を上下に振動させることで地盤を削孔攪拌してもよいし、下方に向かって水又はセメントミルクを噴射することにより地盤を攪拌してもよい。さらに、これらの方法を組み合わせてもよく、地盤を削孔攪拌する方法については地盤の状況に応じて適宜選択すればよい。
【0018】
次に、図5(B)に示すように、間を空けて構築されたソイルセメント柱11Aの間に新たにソイルセメント柱11Bを構築する。なお、新たにソイルセメント柱11Bを構築すべく地盤を掘削する際に、既に構築が完了した隣接するソイルセメント柱11Aの側部を切削する。そして、掘削孔内においてセメントミルクを掘削土と混合攪拌することで、隣接するソイルセメント柱11同士が連結される。なお、ソイルセメント柱11Aの側部を切削する際に、ソイルセメントが硬く掘削翼を回転させる方法を適用することが困難な場合には、上記説明した掘削翼を上下に振動させる方法や、下方に向かって水又はセメントミルクを噴射する方法を組み合わせて用いればよい。
なお、図1に示すように、ソイルセメント柱11の上端部が地表面よりも低い場合には、孔壁面を保護するため、ソイルセメント柱11の上部に環状のライナープレート12を取り付けてもよい。
【0019】
このようにして環状のソイルセメント壁10を構築した後、図2に示すように、ソイルセメント壁10の内側を、掘削機20により所定深さまで地盤を掘削して掘削孔13を形成する。掘削機20としては、狭隘な敷地でも掘削可能な、例えば、TBH工法に用いられる掘削機などが適している。この際、内部に掘削孔13内に安定液を満たすこととなるが、ソイルセメント壁10が掘削孔13の周囲を囲繞しており、ソイルセメント壁10が止水性を有するため、安定液が周囲に漏れ出すのを防止できる。すなわち、場所打ち杭30の構築の対象となる敷地の周囲に地下構造物などがある場合には、掘削孔13から安定液が漏れ出すと地下構造物内に安定液が侵入してしまい問題となるが、本実施形態ではこれを防止できる。また、ソイルセメント壁10が止水性を有するため、地下水が内部へ染み出すのも防止することができる。
【0020】
地盤1を掘削すると、ソイルセメント壁10には周囲の地盤1から土水圧が作用するが、ソイルセメント壁10が環状に形成されているため、リングコンプレッション効果によりこの土水圧に対して抵抗することができる。また、ソイルセメント壁10は止水性を有するため、地下水が内部へ染み出すのを防止できる。
【0021】
次に、図3に示すように、掘削孔13内に鉄筋かご14を建て込む。なお、鉄筋かご14は、予め、長さ方向に複数に分割されたものを、建て込みながら連結するとよい。
次に、図4に示すように、掘削孔13内にトレミー管21を挿入し、トレミー管21を通して掘削孔13内にコンクリート15を打設する。打設したコンクリート15が硬化することで場所打ち杭の構築が完了する。
【0022】
本実施形態によれば、ソイルセメント柱11を環状に連結することで、リングコンプレッション効果により土水圧に抵抗することで地盤を支持することができ、また、ソイルセメント柱11を下端が地下水位よりも深い位置まで到達するようにしたため、周囲の地盤1から掘削孔13内に地下水が内部に浸透するのを防止できるとともに、掘削孔13内に安定液を満たす場合には、安定液が周囲に染み出すのを防止できる。
【0023】
また、従来のように、ライナープレートを連結して地盤を支持する方法では、地盤への薬液注入作業、ライナープレートの設置作業、及びグラウトの注入作業を行わなければならず、手間とコストがかかっていたが、本実施形態ではソイルセメント柱11を環状に構築するのみでよいので、施工にかかる手間とコストを削減できる。
【0024】
また、ソイルセメント壁10も鉛直荷重を負担することができるのでソイルセメント壁10も杭として機能させることができ、ソイルセメント壁10が場所打ち杭30と一体となることで、場所打ち杭10の鉛直方向支持力を向上することができる。さらに、ソイルセメント壁10を構成する全ての又は一部のソイルセメント柱11の内部にH型鋼や鋼管などの芯材を埋設することとすれば、ソイルセメント壁10の強度が向上され、場所打ち杭30の支持力がさらに向上される。
【0025】
なお、本実施形態では、各ソイルセメント柱11を、その端部が隣接するソイルセメント柱11と重なるように構築することで、ソイルセメント柱11同士を連結したが、ソイルセメント柱11の連結方法はこれに限られない。
【0026】
以下、ソイルセメント柱11の連結方法が異なる別の実施形態について説明する。
本実施形態では、図6に示すように、ロッド110の先端に回転掘削翼100が取り付けられた掘削機200を用いる。この掘削機200は、地上から圧送されたセメントミルクを回転掘削翼100の下部から下方へ噴射する状態と、回転掘削翼100の先端から側方へ噴射する状態とを切換可能に構成されている。また、掘削機200はロッド110の回転角度を所定の角度範囲に限定することにより、回転掘削翼100の先端から側方へセメントミルクを噴射する範囲を限定することができる。
【0027】
図7はかかる掘削機を用いてソイルセメント壁を構築する方法を説明するための図であり、(A1)、(B1)は平面図、(A2)、(B2)は鉛直断面を拡大して示す図である。まず、図7(A1)及び(A2)に示すように、水平方向に環状に所定の間隔をあけて、回転掘削翼100から下方に向けてセメントミルクを噴射した状態で回転掘削翼100を全周回転させて円柱状の掘削孔120を形成する。これにより、掘削孔120内の掘削土とセメントミルクとが混合攪拌され、ソイルセメント柱130を構築することができる。なお、掘削孔120の間隔は、掘削孔120の間に後述する掘削孔140と掘削孔120とをつなげる接続部141を掘削できる間隔とする。
【0028】
次に、図7(B1)に示すように、上記の工程で形成したソイルセメント柱130の間に、掘削孔140を形成する。この際、まず、図7(A2)を参照して説明した掘削孔120の場合と同様に、回転掘削翼100から下方に向けてセメントミルクを噴射した状態で回転掘削翼100を全周回転させて、所定の深さまで地盤を掘削する。
【0029】
次に、図7(B2)に示すように、セメントミルクを回転掘削翼100の先端から側方へ噴射する状態に切り換えて、ロッド110を所定の角度範囲で繰り返し往復回転させることにより回転掘削翼100を揺動させながら、回転掘削翼100を引き上げる。これにより、図7(B1)に示すように、隣接するソイルセメント柱130との間のセメントミルクが噴射された部分の地盤が回転掘削翼100の揺動範囲に対応した扇状に掘削され(以下、この扇状の部分を接続部141という)、隣接するソイルセメント柱130の外周面の一部が露出する。なお、回転掘削翼100を揺動させる角度範囲(つまり、ロッド110の回転範囲)は、後述するよう接続部141に構築されたソイルセメント132が、隣接するソイルセメント柱130、131間に作用する圧縮荷重を伝達可能となるような幅を有するように設置すればよい。
【0030】
また、上記のようにセメントミルクを噴射して接続部141を掘削することで、接続部141内の掘削土とセメントミルクとが混合攪拌されて、接続部141内にソイルセメント132が形成される。これにより、図8に示すように、掘削孔140内にソイルセメント柱131が構築されるとともに、隣接するソイルセメント柱130、131の間が接続部141のソイルセメント132により連結されることとなり、ソイルセメント柱130、131が環状に接続されたソイルセメント壁150が構築される。このように円柱状のソイルセメント柱130、131が環状に接続されることで、上記の実施形態と同様に周囲の地盤から作用する土水圧に対して、リングコンプレッション効果により抵抗することができる。また、ソイルセメント柱130、131が接続部141のソイルセメント132により連結されているため、周囲の地盤からの地下水の内部へ流れこむことや、場所打ち杭に相当する部分を掘削する際に安定液が周囲の地盤に染み出すことを防止できる。
そして、上記第1実施形態と同様にこのソイルセメント壁150の内部を掘削して、場所打ち杭を構築することができる。
本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様に、従来のライナープレートを連結して地盤を支持する方法に比べて、施工にかかる手間とコストを削減できる。
【0031】
なお、第2実施形態では、掘削孔140を掘削する際には、回転掘削翼100から下方へセメントミルクを噴射し、接続部141を掘削する際には、回転掘削翼100の先端から側方へセメントミルクを噴射することとしたが、これに限らず、回転掘削翼100から水や安定液を噴射することとしてもよい。このような場合には、掘削孔140及び接続部141を掘削した後、掘削孔内にセメントミルクを注入するとともにセメントミルクと掘削土とを混合攪拌可能な装置を用いて、これら掘削孔140及び接続部141内にソイルセメントを構築してもよい。
【0032】
また、第2実施形態では、掘削機として回転掘削翼100から下方へセメントミルクを噴射した状態と、回転掘削翼100の先端から側方へセメントミルクを噴射した状態とを切換可能な装置を用いたが、これに限らず、少なくとも側方へセメントミルクを噴射可能であればよい。また、本実施形態では、回転掘削翼100の全体から下方へセメントミルクを噴射しているが、中心のみ又は周辺のみとしてもよい。
【0033】
また、第2実施形態では、回転掘削翼100を回転させるとともに回転掘削翼100から下方へセメントミルクを噴射することで掘削孔140を削孔するものとしたが、これに限らず、掘削孔140を削孔する方法としては、回転掘削翼100を回転させる方法、回転掘削翼100を上下方向に振動を加える方法、下方へセメントミルクを噴射する方法を適宜組み合わせて行ってもよい。
【0034】
また、第2実施形態では、まず、回転掘削翼100を回転させながら下方へ降下させることで掘削孔120を形成し、回転掘削翼100の先端から側方へセメントミルクを噴射させるとともに揺動させながら上方へ引き上げることで地盤の接続部141相当摺る部分を掘削することとしたが、これに限らず、回転掘削翼100を揺動させるとともに先端から側方へセメントミルクを噴射しながら、下方へ降下させることで、掘削孔120及び接続部141を掘削してもよい。
【0035】
また、第2実施形態では、回転掘削翼100の先端から側方へセメントミルクを噴射しながら回転掘削翼100を揺動させることで、接続部141を掘削するとともにセメントミルクを形成して、ソイルセメント柱130、131を連結することとしたが、ソイルセメント柱130、131を連結する方法はこれに限らない。例えば、ソイルセメント130、131の間に、これらソイルセメント130、131と側部が重なり合うように地表から小径のソイルセメント柱を構築し、この小径のソイルセメント柱によりソイルセメント柱130、131を連結してもよい。
【0036】
また、上記の各実施形態では既存の駅において場所打ち杭を構築する場合について説明したが、これに限らず、本発明は狭隘な敷地で場所打ち杭を構築する場合であれば好適である。
【0037】
また、上記の実施形態では、地盤の場所打ち杭に相当する部分を掘削する作業は、掘削機20を用いて行ったが、これに限らず、作業員が掘削孔13内に入って行ってもよい。この際、周囲に環状のソイルセメント壁30が構築されており、ソイルセメント壁30が止水性を有するため、掘削孔13内への地下水の侵入を防止できる。
【0038】
また、本発明は、必ずしも、地下水位が構築すべき場所打ち杭の下端よりも高い場所に限らず、地下水位が場所打ち杭の下端よりも低い場所での施工においても適用可能であり、施工の手間と費用を削減できる。
【符号の説明】
【0039】
10 ソイルセメント柱 11 ソイルセメント壁
12 ライナープレート 13 掘削孔
15 コンクリート 20 掘削機
21 トレミー管 30 場所打ち杭
40 アンカーボルト 41 鉄骨柱
100 回転掘削翼 110 ロッド
120、140 掘削孔 130、131 ソイルセメント柱
132 ソイルセメント 141 扇形部
150 ソイルセメント壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
杭を構築するべく地盤を掘削するための山留め壁の構築方法であって、
前記杭の外周に相当する位置に、複数のソイルセメント柱を環状に連結することによりソイルセメント壁を構築することを特徴とする山留め壁の構築方法。
【請求項2】
請求項1記載の山留め壁の構築方法であって、
隣接する前記ソイルセメント柱同士を互いに重なり合うように構築することで、前記複数のソイルセメント柱を連結することを特徴とする山留め壁の構築方法。
【請求項3】
請求項1記載の山留め壁の構築方法であって、
隣接する前記ソイルセメント柱のうち一方を構築する第1のステップと、
地盤の他方のソイルセメント柱に相当する部分を削孔攪拌し、地盤の前記一方のソイルセメント柱との間の部分を削孔攪拌又は噴射攪拌し、地盤の前記他方のソイルセメント柱に相当する部分及び地盤の前記一方のソイルセメント柱との間の部分にソイルセメントを形成する第2のステップを行うことで前記ソイルセメント壁を形成することを特徴とする山留め壁の構築方法。
【請求項4】
請求項3記載の山留め壁の構築方法であって、
前記第2のステップでは、
ロッドの先端に地盤を掘削するための回転掘削翼と、前記回転掘削翼から側方に向かって水、安定液又はセメントミルクからなる液体を噴射する噴射機能とを備え、前記ロッドを全周回転させる機能及び所定の角度範囲を揺動させる機能を備えた掘削機を用い、
前記回転掘削翼を全周回転させながら下降させることで、他方のソイルセメント柱に相当する部分を掘削し、
前記噴射機能により側方に向かって前記液体を噴射しながら、前記ロッドを所定の角度範囲で揺動させることにより、地盤の前記隣接するソイルセメント柱の間の部分を掘削することを特徴とする山留め壁の構築方法。
【請求項5】
杭の構築方法であって、
請求項1から4のうち何れか1項に記載の山留め壁の構築方法によりソイルセメント壁を構築するソイルセメント壁構築ステップと、
前記ソイルセメント壁の内部を通して前記場所打ち杭の下端に相当する深さまで地盤を掘削して掘削孔を形成する地盤掘削ステップと、
前記掘削孔内に鉄筋かごを配置する鉄筋かご配置ステップと、
前記掘削孔内にコンクリートを打設するコンクリート打設ステップと、を備えることを特徴とする杭の構築方法。
【請求項6】
杭を構築するべく地盤を掘削するための山留め壁であって、
前記杭の外周に相当する位置に構築された、複数のソイルセメント柱が環状に連結されてなるソイルセメント壁からなることを特徴とする山留め壁。
【請求項7】
請求項5記載の構築方法により構築されたことを特徴とする杭。
【請求項8】
杭本体と、前記杭本体の外周に相当する位置に構築された、複数のソイルセメント柱が環状に連結されてなるソイルセメント壁とが一体化されてなることを特徴とする杭。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−281084(P2010−281084A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−134408(P2009−134408)
【出願日】平成21年6月3日(2009.6.3)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【出願人】(504365799)株式会社特殊構工法計画研究所 (26)
【Fターム(参考)】