説明

差込み式管継手

【課題】接続管の挿入途上の状況、とくに挿入後の状態を目視で容易に確認でき信頼性の高い差込み式管継手を提供する。
【解決手段】透明若しくは半透明の外筒3の内周と内筒2の外周との間に接続管Pの一端部を受け入れる接続管差込間隙8を形成する。外筒3の基端部と内筒2の外周との間に挿入ガイドリング進入空間部15を形成する。継手本体1内には挿入ガイドリング14が接続管Pの一端部で押されるまま接続管差込間隙8の内奥へ向けて移動するよう組み込まれる。ガイドリング進入空間部15に面する内筒2の外周には確認用の目印Mをつけている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯・給水配管等に用いられ、接続管の一端部を挿入するだけでシール状に接続できる差込み式管継手に係り、より詳しくは接続管の挿入途上の状況、とくに接続管の挿入後の状態を目視で容易に確認できるようにした差込み式管継手に関する。
【0002】
この種の差込み式管継手として、たとえば、図7、図8に示すようなものが公知である(例えば、特許文献1参照。)。その差込み式管継手は、接続管Pが外嵌される内筒(案内筒)30を形成した継手本体31と、内筒30を覆うように継手本体31に螺着される外筒(抜止めリング保持筒)32と、内筒30の外周の溝33に嵌合したシールリング34と、内筒30と外筒32の間に配設された抜止めリング35及び挿入ガイドリング36とを備えており、接続管Pの接続に際し、接続管Pの一端部を外筒32の挿入口37から挿入すると、挿入ガイドリング36は接続管Pで押し動かされ、接続管Pの内周面と内筒30の外周面に挟圧された状態で、シールリング36の外周面を押圧しながら内筒30をスライドし、抜止めリング35は接続管Pの外周面を押圧する。そして、接続管Pの接続状態が正常か否かを外部から目視で確認できるように外筒32を透明又は半透明に形成している。
【0003】
【特許文献1】特開2002−156080号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかるに、上記差込み式管継手の挿入ガイドリング36は一般にステンレス鋼製で銀白色を帯びており、接続管Pも乳白色又はこれに似た色を帯びた樹脂材からなり、両者は類似の白色系であるため、識別しにくい。このため、接続管Pの挿入時に管継手の内部全体を外部から透視できても、接続管Pの挿入途上における状態、即ち接続管Pの一端部で挿入ガイドリング36が正常に押し動かされているか否か等を明瞭に確認することが困難であり、特に暗い場所の施工現場では困難極まりないため、その良否の判定に誤認を生じ易く、信頼性に欠ける憂いがあった。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、上記のような、透明若しくは半透明な外筒及び挿入ガイドリングの組み込まれた差込み式管継手において、接続管の挿入途上の状況、とくに接続管の挿入後の状態を目視で明瞭かつ誤認なく確認でき信頼性の高い施工を可能にする差込み式管継手を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の差込み式管継手は、請求項1に記載のように、その発明の内容を理解し易くするために図1〜図6に付した符号を参照して説明すると、内部に流体通路7を軸心方向に貫通状に形成した継手本体1の軸心方向一端部に、前記流体通路7と連通する流体連通路を有する内筒2と、継手本体1とは別体に形成され、内筒2の外周面との間で接続管Pの端部を受け入れる接続管差込間隙8を形成する透明若しくは半透明な外筒3とを備えており、内筒2又は外筒3に、接続管Pの端部と内筒2又は外筒3との間をシールするためのシールリング4を嵌め込み、外筒3内には、接続管差込間隙8に挿入される接続管Pの一端部で押されるに伴いシールリング4を圧縮しながら接続管差込間隙8の内奥方向へ向けて移動する挿入ガイドリング14を備えている差込み式管継手において、外筒3の軸心方向内方の基端部側と内筒2の外周との間に、挿入ガイドリング14が入り込むガイドリング進入空間部15を接続管差込間隙8の内奥部と連通状に形成しており、該ガイドリング進入空間部15の軸心方向深さは、挿入ガイドリング14の軸心方向長さと同一か、それよりも少し深く形成しており、ガイドリング進入空間部15に面する内筒2の外周に、確認用の目印Mをつけていることに特徴を有するものである。
【0007】
上記構成によると、接続管Pの一端部を接続管差込間隙8内に挿入するに伴い、挿入ガイドリング14が接続管差込間隙8の内奥へ向けて押し込まれることによりシールリング4を圧縮するため、予め接続管Pの一端部の内周を面取り加工していなくても該接続管Pはシールリング4に突っ掛かることなくスムーズに挿入される。かかる挿入ガイドリング14が接続管Pの一端部で押し動かされている状況は、外筒3が透明若しくは半透明に形成されているため、外部から目視で容易に確認することができる。したがって、たとえば、接続管Pの一端部により挿入ガイドリング14が正常に押されているか否かを容易に確認でき、正常でない場合は逸速く発見でき、直ぐに接続管Pの挿入を止めて挿入し直しを促すことができる。
【0008】
接続管Pの一端部が接続管差込間隙8の内奥まで完全に挿入されると、挿入ガイドリング14は挿入ガイドリング進入空間部15に入り込んで目印Mを覆うため、外筒3から目印Mが見えなくなり、これにより接続管Pの一端部が接続管差込間隙8の内奥まで完全に挿入されたことを容易に確認することができる。したがって、漏水の原因となる接続管Pの挿入不良や挿入不足等を防止できる。
【0009】
請求項1記載の差込み式管継手は、目印Mが塗装、印刷、又は貼付されたシール、テープ、ステッカーによって平面的に形成された構成を採用することができる。これによると、目印Mを容易に形成することができる。
【0010】
請求項1記載の差込み式管継手は、目印Mが内筒2の外周に嵌め込まれ、挿入ガイドリング14に内嵌可能な目印用Oリング22によって立体的に形成された構成を採用することができる。これによると、目印用Oリング22は目印の機能以外に、内筒2と挿入ガイドリング14との間のシール機能をも発揮することができる。
この場合、目印用Oリング22には、請求項4に記載のように、内筒2の色彩とは異なる着色を施して明視性を高めることができる。
【0011】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の差込み式管継手は、請求項5に記載のように、挿入ガイドリング14には接続管Pの外表面および目印Mの色彩とは異なる着色を施した構成を採用することができる。この構成によると、挿入ガイドリング14は接続管Pと識別しやすいため、外部から目視で一段と確認し易くなる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、透明若しくは半透明な外筒の基端部側と内筒の外周との間にガイドリング進入空間部を接続管差込間隙の内奥部と連通状に形成し、ガイドリング進入空間部に面する内筒の外周に目印をつけるという簡単な手段で、接続管の挿入途上の状況や挿入後の状態、また接続管の一端部で挿入ガイドリングが押し動かされている状況などを目視で明瞭かつ誤認なく確認でき、信頼性の高い施工を可能にするという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の好適な実施形態を図面に基づき説明する。図1は本発明の一実施例の差込み式管継手を接続管差込み前の状態で示す半欠截断面図、図2は図1の差込み式管継手を接続管差込み途中の状態で示す半欠截断面図、図3は図1の差込み式管継手を接続管差込み完了後の状態で示す半欠截断面図である。
【0014】
図1において、本発明の一実施例を示す差込み式管継手は、継手本体1に、内筒2、外筒3、シールリング4、抜止めリング5、及びプラグ6等を備える。
【0015】
図1に示すように、継手本体1は青銅鋳物等の金属あるいはプラスチック等で筒状に形成されて流体通路7を軸心方向に貫通状に形成しており、継手本体1の軸心方向一端部から内筒2を軸心方向外方へ流体通路7の中心軸Oと平行に一体に突出形成してあり、内筒2の内部に流体通路7が連通形成されている。また継手本体1の軸心方向一端部には、継手本体1とは別体に透明もしくは半透明な樹脂で筒状に形成された外筒3を、内筒2の外周面との間にポリブテンや架橋ポリエチレン等樹脂製又は金属製の接続管P(図2、図3参照)の端部を受け入れる接続管差込間隙8を形成すべく内筒2と同心状に取り付けている。その取り付けに際しては、外筒3の軸心方向内方側の基端部の開口部内周にリップ9を内向きに設け、このリップ9を継手本体1の内筒2の付け根部の外周に形成した凹溝10に圧入嵌合して係合固定する。
【0016】
継手本体1の軸心方向他端部には図示しない水栓やエルボ等にねじ込み接続される雄ねじ部11を設けている。継手本体1の軸心方向中央部、すなわち内筒2と雄ねじ部11との間の中間部の外周にはスパナやパイプレンチ等の工具が係合される断面多角形状の工具係合部12を設けている。
【0017】
抜止めリング5はステンレス製品であって、環状の外径リング部5aと、この外径リング部5aの内周に一体に折曲形成した弾性を有する拡縮径変形自在な複数枚の食込み歯5bとを有する形に形成している。各食込み歯5bは外径リング部5aの内周から接続管Pの差込み方向へ傾斜して延びる形に一体に形成している。
【0018】
外筒3は、これの軸心方向内方の基端部側3aの外径を継手本体1の工具係合部12の外径よりも細い径に形成して、工具係合部12に掛けられるパイプレンチ(図示せず)の上顎と植歯の歯が基端部側3aの外周面に接当干渉して傷付けるのを回避する。また外筒3はこれの軸心方向外方の先端部側3bを径方向外方へ膨出してこの先端部の内部に軸心方向外方へ向けて開放する形の開放口13を形成する。外筒3の基端部側3aの内周と内筒2の外周との間に、後述する挿入ガイドリング14が入り込むガイドリング進入空間部15を接続管差込間隙8の内奥部と連通状に形成している。ガイドリング進入空間部15の軸心方向長さは、後述する挿入ガイドリング14の軸心方向長さと同一か、それよりも少し深く形成している。
【0019】
ガイドリング進入空間部15に面する内筒2の外周には、接続管Pの挿入後の状態を目視で容易に確認できるようにするために、目印Mをつけている。目印Mは、例えば、目立つ色、すなわち明視性の高い色や図柄等の塗装、印刷をガイドリング進入空間部15に面する内筒2の外周に施すか、又はシール、テープ、ステッカー等をガイドリング進入空間部15に面する内筒2の外周に貼付することによって平面的に形成される。
【0020】
外筒3の開放口13の内周面は、軸心方外方に向かった次第に広がるテーパーに形成された第1テーパー口13aと、この第1テーパー口13aの軸心方向外方側端に抜止め段部16を介して連続し軸心方向外方に向かって次第に広がるテーパー状に開放する形に形成された第2テーパー口13bにより断面鋸歯状波形に形成されている。外筒3の先端部内の第1テーパー口13aの内奥端側には、軸心方向内方に向かって次第に狭まる食込み歯逃がし用テーパー13cが抜止めリング保持段部17を介して形成されている。
【0021】
外筒3の開放口13の内部には抜止めリング5をプラグ6をもって組み込む。プラグ6は接続管Pが挿通可能な接続管挿通孔18を有するリング状に形成され、プラグ6の外周面は開放口13の内周面の第1,2テーパー口13a,13bおよび抜止め段部16にそれぞれ対応する第1,2テーパー外周面6a,6bおよび抜止め段部19による断面鋸歯状波形に形成される。このプラグ6の内端面の接続管挿通孔18の周辺から(接続管Pに加わる引き抜き力による食込み歯5bの傾斜を制限する)断面円錐形状の食込み規制突起20を軸心方向内方へ一体に突設している。
【0022】
かくして、抜止めリング5は開放口13内に嵌め込まれ、その外径リング部5aが抜止めリング保持段部17と開放口13に嵌められるプラグ6の内端面との間に介在されて食込み歯5bの先端が接続管差込間隙8内に突出するように保持される。
その際、外筒3の開放口13の内周面は軸心方向外方に向かった次第に広がる第1,2テーパー口13a,13bにより断面鋸歯状波形に形成される一方、プラグ6の外周面がそれら第1,2テーパー口13a,13bに対応する第1,2テーパー外周面6a、6bにより断面鋸歯状波形に形成されているので、プラグ6を開放口13に軸方向外方から差込み嵌合し易い。その差込み後は抜止め段部16,19同士が係合することによりプラグ6は開放口13から抜け出ることがなく、接続管引抜方向に大きな力が掛かった時にプラグ6の食込み規制突起20は食込み歯5bに重なり合って該食込み歯5bの接続管引抜方向への反り返りを拘束する状態に抜止めリング5が確実に保持される。しかも、そのように開放口13に差込み嵌合されたプラグ6の外端面6cは開放口13の外方に露出して外部からよく見えるので、そのプラグ6の差込み忘れの場合はこれを容易に確認することができる。
【0023】
図1に示すように、内筒2の外周面にはシールリング嵌合溝21が設けられ、このシールリング嵌合溝21に、接続管Pの端部の内周と内筒2の外周との間をシールするための合成ゴム、天然ゴム、合成樹脂等よりなるシールリング4が嵌め込まれる。
【0024】
プラグ6の接続管挿通孔18の内周と内筒2の開口端部外周との間には挿入ガイドリング14が嵌入される。挿入ガイドリング14はナイロン等の樹脂成形品であって、接続管Pおよび目印Mと明瞭に識別し易いように接続管Pの外表面および目印Mの色彩とは異なる着色を施してある。例えば、接続管Pの色彩が白色系である場合、挿入ガイドリング14、目印Mには青色、赤色、又は緑色等を施す。そして、挿入ガイドリング14の内径部には前端部から後方に向かって漸次拡開する後方拡開状のテーパー14aを、外径部には内径部とは逆に後端部から前方に向かって漸次拡開する前方拡開状のテーパー14bをそれぞれ設けて断面V形状に形成している。また挿入ガイドリング14は、さらに暗所でも挿入確認し易いように、蛍光体・リン光体を用いた夜光塗料を塗るか、夜光顔料入りの合成樹脂等で成形するなどして蛍光・リン光を発するよう形成することができる。挿入ガイドリング14は前端部をプラグ6の接続管挿通孔18の入口側に向けて接続管挿通孔18の内周と内筒2の開口端部外周との間に組み込まれる。
【0025】
次に、上記構成の差込み式管継手の使用態様を説明する。現場施工において、接続管Pは所要長さに切断される。この切断された接続管Pの端部は、図2に示すように、プラグ6の接続管挿通孔18内に挿入され、この接続管Pの端部で挿入ガイドリング14がこれの前方から押されて接続管差込間隙8の内奥方向へ押し込まれる。この押し込まれる挿入ガイドリング14は、外径部のテーパー14bで抜止めリング5の食込み歯5bを押し開いて拡径させるとともに、内径部のテーパー14aで内筒2の外周面からそれぞれ突出しているシールリング4の突出部4aを径方向内方へ圧縮させながら通過する。このように挿入ガイドリング14のテーパー14aが内筒2の外周面から突出しているシールリング4の突出部4aを圧縮させながら通過することにより、予め接続管Pの端部の内周を面取り加工していなくても該接続管Pはシールリング4に突っ掛かることなくスムーズに挿入することができる。
【0026】
接続管Pが挿入ガイドリング14を正常に押しているか否か、また挿入ガイドリング14及び接続管Pが抜止めリング5の内部を正常に通過しているか否か等の状況は、外筒3が透明若しくは半透明であり、しかも挿入ガイドリング14が接続管Pとは異なる色彩を施されて接続管Pと識別しやすいため、外部から目視で容易に確認することができる。したがって、たとえば、接続管Pが斜めに誤挿入されて挿入ガイドリング14が正常に押されていなかったり、挿入ガイドリング14が抜止めリング5の内部を正常に通過しなかったりする等の不具合が生じていると、これを逸速く発見できるため、直ぐに接続管Pの挿入を止めて挿入し直すことができる。
【0027】
図3に示すように、接続管Pの端部が接続管差込間隙8の内奥まで完全に挿入されると、シールリング4の突出部4aが接続管Pの内周面に圧縮状に密着して接続管Pの内周面と内筒2の外周面との間をシールする状態が得られるとともに、抜止めリング5の食込み歯5bが縮径し接続管Pの外周面に係合して接続管Pの抜止め状態が得られる。
また、接続管Pの端部が、図3に示すように、接続管差込間隙8の内奥まで完全に挿入されると、挿入ガイドリング14がガイドリング進入空間部15にまで入り込んで目印Mを覆うため、外筒3から目印Mが見えなくなり、これにより接続管Pの端部が接続管差込間隙8の内奥まで完全に挿入されたことを容易に確認できる。これに対し、接続管Pが挿入不足の場合は挿入ガイドリング14がガイドリング進入空間部15内に完全に入り込まずに目印Mが外筒3から見えることになる。したがって、接続管Pの端部が接続管差込間隙8の内奥まで完全に挿入されたか否かを容易に確認することができる。したがって、漏水の原因となる接続管Pの挿入不良や挿入不足等を防止できる。
【0028】
次に、継手本体1に接続された接続管Pに引き抜き力が加わったときには、抜止めリング5の食込み歯5bが縮径して接続管Pの外周面に食い込み、その軸線方向に対する食込み歯5bの傾斜角度が大きくなる。そのとき、抜止めリング5の食込み歯5bがプラグ6と一体の食込み規制突起20に当るため、その食込み歯5bの傾斜による力が食込み規制突起20に受け止められることにより、その食込み規制突起20により接続管Pへの食込み歯5bの過度の食い込みが抑制され、また食込み歯5bの反り返りが拘束される。したがって、接続管Pの抜け出しを効果的に抑制することができる。
【0029】
図4は他の実施例の差込み式管継手を接続管差込み前の状態で示す半欠截断面図、図5は図4の差込み式管継手を接続管差込み途中の状態で示す半欠截断面図、図6は図4の差込み式管継手を接続管差込み完了後の状態で示す半欠截断面図である。
この実施例では、上記実施例のように目印Mを塗装、印刷又は貼付されたシール、テープ、ステッカーによって平面的に形成するに代えて、目印Mをガイドリング進入空間部15に面する内筒2の外周に目印用Oリング22を嵌め込んで立体的に形成したものであり、その他の構成は上記実施例のものと同様である。
目印用Oリング22は内筒2の外周に設けた環状の凹溝23に嵌め込まれ、挿入ガイドリング14が外嵌可能に形成される。この場合、目印用Oリング22には、内筒2の色彩とは異なる着色を施して明視性の高いものとすることが好ましい。
【0030】
このように目印Mを形成した場合は、接続管Pの端部が、図6に示すように、接続管差込間隙8の内奥まで完全に挿入されると、挿入ガイドリング14がガイドリング進入空間部15にまで入り込んで目印用Oリング22に外嵌して該目印用Oリング22を覆うため、外筒3から目印用Oリング22が見えなくなり、これにより接続管Pの端部が接続管差込間隙8の内奥まで完全に挿入されたことを容易に確認できる。これに対し、接続管Pが挿入不足の場合は挿入ガイドリング14がガイドリング進入空間部15内に完全に入り込まずに目印用Oリング22が外筒3から見えることになる。したがって、接続管Pの端部が接続管差込間隙8の内奥まで完全に挿入されたか否かを容易に確認することができる。したがって、漏水の原因となる接続管Pの挿入不良や挿入不足等を防止できる。
また、この目印用Oリング22は内筒2の外周と挿入ガイドリング14との間をシールする機能を兼備する。
【0031】
上記各実施例では、シールリング4が内筒2の外周に嵌め込まれているが、これに代えてシールリング4は外筒3の内周に嵌め込んで接続管Pの端部と外筒3との間をシールするようにすることもできる。
【0032】
また、上記各実施例では、プラグ6を外筒3の開放口13内に嵌める手段は、プラグ6の外周に軸心方向外方に向かって次第に広がるテーパーに形成されたテーパー外周面6a,6bと、外筒3の開放口13の内周に軸心方向外方に向かって次第に広がるテーパーに形成されテーパー外周面6a、6bに抜止め状にテーパー嵌合されるテーパー口13a,13bからなる構成を採用しているが、これに限られるものではない。それに代えて、図4に示すように、外筒3の開放口13の内周に形成した雌ねじ13dと、プラグ6の外周に形成され雌ねじ13dに螺合される雄ねじ6dとからなる構成を採用することもできる。
【0033】
本発明は継手本体1が図示例のソケットタイプのものに限られず、エルボあるいはT型等のいずれの場合にも同様に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施例の差込み式管継手を接続管差込み前の状態で示す半欠截断面図である。
【図2】図1の差込み式管継手を接続管差込み途中の状態で示す半欠截断面図である。
【図3】図1の差込み式管継手を接続管差込み完了後の状態で示す半欠截断面図である。
【図4】他の実施例の差込み式管継手を接続管差込み前の状態で示す半欠截断面図である。
【図5】図4の差込み式管継手を接続管差込み途中の状態で示す半欠截断面図である。
【図6】図4の差込み式管継手を接続管差込み完了後の状態で示す半欠截断面図である。
【図7】従来例の差込み式管継手の分解斜視図である。
【図8】図7の差込み式管継手を接続管挿入前の状態で示す半欠截断面図である。
【符号の説明】
【0035】
P 接続管
1 継手本体
2 内筒
3 外筒
4 シールリング
7 流体通路
8 接続管差込間隙
14 挿入ガイドリング
15 ガイドリング進入空間部
21 シールリング嵌合溝
M 目印
22 目印用Oリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に流体通路を軸心方向に貫通状に形成した継手本体の軸心方向一端部に、前記流体通路と連通する流体連通路を有する内筒と、前記継手本体とは別体に形成され、前記内筒の外周面との間で接続管の端部を受け入れる接続管差込間隙を形成する透明若しくは半透明な外筒とを備えており、前記内筒又は外筒に、前記接続管の端部と前記内筒又は外筒との間をシールするためのシールリングを嵌め込み、前記外筒内には、前記接続管差込間隙に挿入される接続管の一端部で押されるに伴い前記シールリングを圧縮しながら前記接続管差込間隙の内奥方向へ向けて移動する挿入ガイドリングを備えている差込み式管継手において、
前記外筒の軸心方向内方の基端部側と前記内筒の外周との間に、前記挿入ガイドリングが入り込むガイドリング進入空間部を前記接続管差込間隙の内奥部と連通状に形成しており、該ガイドリング進入空間部の軸心方向深さは、前記挿入ガイドリングの軸心方向長さと同一か、それよりも少し深く形成しており、
前記ガイドリング進入空間部に面する前記内筒の外周に、確認用の目印をつけていることを特徴とする、差込み式管継手。
【請求項2】
前記目印が塗装、印刷、又は貼付されたシール、テープ、ステッカーによって形成されている、請求項1記載の差込み式管継手。
【請求項3】
前記目印が前記内筒の外周に嵌め込まれ、前記挿入ガイドリングが外嵌可能な目印用Oリングによって形成されている、請求項1記載の差込み式管継手。
【請求項4】
前記目印用Oリングには、前記内筒の色彩とは異なる着色を施している、請求項3記載の差込み式管継手。
【請求項5】
前記挿入ガイドリングには前記接続管の外表面および前記目印の色彩とは異なる着色を施している、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の差込み式管継手。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−299863(P2009−299863A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−157475(P2008−157475)
【出願日】平成20年6月17日(2008.6.17)
【出願人】(000231121)JFE継手株式会社 (140)
【Fターム(参考)】