説明

巻取装置及び巻回素子の製造方法

【課題】機構の複雑化、コストの増大を招くことなく、安定した均質な巻回を実現することのできる巻取装置及び巻回素子の製造方法を提供する。
【解決手段】2枚のセパレータ3,4に所定の張力が付与された状態でヒータブロック43aが移動させられることでセパレータ3,4が巻芯コア2に対し押し付けられ、固着される。固着完了後、回転手段20(巻芯21)が所定角度進角側に回動させられる。これにより固着部KTと非固着部UKとのなす角θが鋭角となるよう巻芯コア2が位置決めされる。この状態から切断手段44(刃部44a)が作動させられ、セパレータ3,4が2枚一度に切断され、それ以降回転手段20の回転が行われる。今回の巻取りとは無関係の側においてセパレータ3,4の非溶着部分がほとんど発生せず、非溶着部分が折れ曲がったまま巻取られてしまうといった事態を回避できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば二次電池等に内蔵される巻回素子を得るための巻取装置、及び、巻回素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、リチウムイオン電池等の二次電池として用いられる電池素子は、プラス電極箔及びマイナス電極箔と、2枚のセパレータとからなる帯状体が巻回されることで構成されている。
【0003】
従来、帯状体を巻取るための巻取装置として、回転可能な巻芯(回転軸)に対して前記電極箔やセパレータを巻取り、巻取後において巻回された帯状体(巻回体)を前記回転軸から取り外す方法が知られている。ところが、巻回体の巻き圧力によって、回転軸から巻回体を取り外すことが比較的困難となってしまったり、また、取り外しに際して、セパレータや電極箔の破損等を招いてしまったりするおそれがある。さらに、巻き圧力によって巻回体の中心部分に位置する電極箔やセパレータの端部に位置ずれが生じてしまうおそれがある。このような位置ずれが生じてしまうと、電極箔間の距離が開きすぎてしまい、結果として、巻回体の中心部分が電池としての機能を十分に発揮できなくなってしまうおそれがある。
【0004】
そこで、このような不具合を解消すべく、回転軸に筒状の巻芯コアを装着し、当該巻芯コアに対して帯状体を巻取り、帯状体の巻取後においては、巻芯コアごと巻回素子を取り外す、つまり、巻芯コアと帯状体とからなる巻回素子を電池素子として用いる技術が提案されている(例えば、特許文献1等参照)。
【0005】
ところで、上記のような技術においては、先ずは巻芯コアの表面にセパレータを固着し、その上で、セパレータ及び電極箔を巻き取る必要がある。巻芯コアの表面にセパレータを固着する手法としては、第1に、接着テープを用いてセパレータの端縁部分を固着する方法が考えられる(例えば、特許文献2等参照)。第2に、前記接着テープの代わりに、両面接着テープを予め巻芯コアに貼り付け、そして、剥離紙を剥がしたのち、セパレータの端縁部分を両面接着テープに貼り付けるという方法も考えられる。
【0006】
さらに、第3の方法として、樹脂材料からなるセパレータの端縁部分を、樹脂材料からなる巻芯コアに熱溶着する方法も考えられる(例えば、特許文献3等参照)。
【特許文献1】特開平10−144339号公報
【特許文献2】特開平8−288287号公報
【特許文献3】特開2001−185220号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、実際には、2枚のセパレータを巻芯コアに固着する必要があるのだが、上記第1の方法、つまり接着テープを用いてセパレータの端縁部分を固着する方法では、2枚のセパレータの端縁を揃えた状態で一遍に固着させることができない。内層側のセパレータがうまく接着されないためである。そのため、第1の方法を採用するにあたり、2枚のセパレータをより確実に固着させるためには、各セパレータの端縁位置を互いにずらした状態で固着させる必要がある。従って、この場合には、2枚のセパレータの端縁を毎回正確にずらした状態で貼り付けたり、長さ調節を行う等複雑な機構が必要となる。また、この場合には、正確な位置合わせに支障を来したりするおそれがあるばかりか、セパレータの蛇行を招いてしまうことも懸念されるため、かかる懸念を払拭するためのより一層複雑な機構が必要となってしまう。
【0008】
また、第2の方法、つまり、両面接着テープを予め巻芯コアに貼り付け、そこにセパレータの端縁部分を貼り付ける場合においても、上記同様、各セパレータの端縁位置を互いにずらした状態で固着させる必要がある。しかも、第2の方法では、両面接着テープを用いる必要性があることから、コストの増大を招き、また剥離紙を除去する機構も別途必要となる。
【0009】
一方、第3の方法、つまり、樹脂材料からなるセパレータの端縁部分を、樹脂材料からなる巻芯コアに熱溶着する方法においては、2枚のセパレータの端縁を揃えて固着することはできなくはない。例えば、上記特許文献3に記載された技術では、セパレータの端縁を揃えて互いに熱溶着しておき、当該熱溶着部分を巻芯コアに熱溶着する旨が記載されている。ところが、第3の方法では、セパレータの端縁を揃えて熱溶着する作業と、当該熱溶着部分(端縁部分)を巻芯コアに熱溶着する作業とが必要になり、かかる意味で機構の複雑化を招いてしまう。
【0010】
これに対し、図8(a)に示すように、所定の張力が付与されている2枚のセパレータ103,104を、巻芯コア102に対し同時に熱溶着した後、セパレータ103,104の非溶着部分のうち、今回の巻取りとは無関係の側(図では左側)をカッタ105で切断することで、結果的に端縁部を揃えるという方法も考えられる。
【0011】
しかしながら、当該方法においては、巻芯コア102の損傷を防止する必要があることから、カッタ105を巻芯コア102に当接させる訳にはいかない。そのため、同図に示すように、カッタ105を巻芯コア102に対し非接触で動作させなければならず、この場合には、図8(b)に示すように、セパレータ103.104の非溶着部分が発生してしまう。従って、その後において巻回を行うと、前記非溶着部分が折れ曲がり、ひいては図8(c)に示すように、非溶着部分が折れ曲がったまま巻き取られてしまうおそれがある。その結果、部分的に厚みが相違する箇所が生じてしまい、均一な安定した巻取りに支障が生じてしまうおそれがある。また、当該折れ曲がった非溶着部分に起因して、セパレータ103,104の破損を招いたり、蛇行が生じてしまったりするおそれもある。
【0012】
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、機構の複雑化、コストの増大を招くことなく、安定した均質な巻回を実現することのできる巻取装置及び巻回素子の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0014】
手段1.筒状をなす巻芯コアをその軸線を中心に回転可能とする回転手段と、
前記巻芯コアに対し、2枚の帯状の熱可塑性樹脂製のセパレータを固着させるセパレータ固着手段と、
プラス電極箔及びマイナス電極箔をそれぞれ前記巻芯コアの方に向けて供給する電極箔供給手段と、
前記巻芯コアに対し、前記2枚のセパレータを固着させた状態とした上で、前記回転手段の作動に基づき前記巻芯コアを回転させつつ、前記プラス電極箔及びマイナス電極箔を、それぞれ前記各セパレータを介して互いに絶縁状態で巻き取るよう構成してなる巻取装置であって、
前記セパレータ固着手段は、
熱溶着に基づき前記2枚のセパレータを、所定の張力を付与した状態で前記巻芯コアに対し熱溶着可能な熱溶着手段と、
前記熱溶着後、前記セパレータを2枚一度に切断可能で、前記巻芯コアに対し非接触で動作する刃部を有する切断手段とを備え、
前記セパレータの切断に際しては、前記熱溶着時よりも前記巻芯コアを所定角度進角側に回動させた状態で、前記刃部を、前記セパレータの固着部と非固着部との境界部分又はその近傍に当接させることで、前記セパレータが2枚一度に切断されるよう構成されてなる巻取装置。
【0015】
上記手段1によれば、セパレータ固着手段により、巻芯コアに対し、2枚の帯状のセパレータが固着される。その上で、回転手段の作動に基づき巻芯コアが回転されつつ、電極箔供給手段によりプラス電極箔及びマイナス電極箔が巻芯コアの方に向けて供給され、それぞれ各セパレータを介して互いに絶縁状態で巻き取られる。そして、最終的には、巻芯コアごと取り外されることで、巻回素子が得られる。
【0016】
さて、手段1では、2枚のセパレータが、所定の張力が付与された状態で、セパレータ固着手段の熱溶着手段によって、熱溶着に基づき、巻芯コアに対し固着される。また、熱溶着後、巻芯コアに対し非接触で動作する切断手段の刃部によって、セパレータが2枚一度に切断される。このため、従来の第1、第2の方法のようにセパレータの端縁部分をずらして固着する必要がなく、また従来の第3の方法のように端縁を揃えて溶着する必要がない。そのため、機構の煩雑化を抑制でき、コストの増大を抑制することができる。また特に、手段1では、セパレータの切断に際しては、前記熱溶着時よりも巻芯コアを所定角度進角側に回動させた状態で、セパレータの固着部と非固着部との境界部分又はその近傍に刃部を当接させる(例えば押さえ付ける)ことで、セパレータが2枚一度に切断される。従って、今回の巻取りとは無関係の側において余分なセパレータの非溶着部分がほとんど発生しない。そのため、その後の巻回に際し、非溶着部分が折れ曲がったまま巻取られてしまうといった事態を回避できる。その結果、非溶着部分が折れ曲がったまま巻取られることに起因する不具合を防止でき、安定した均質な巻回を実現することができる。
【0017】
尚、「巻芯コアを所定角度進角側に回動させ」の「進角側」とあるのは、セパレータを巻取る側を意味するものである。
【0018】
手段2.前記回転手段は、前記巻芯コアに形成された挿通孔に差込可能であり、かつ、回転可能に支持された回転軸を備えており、
当該回転軸は、前記セパレータ及び前記両電極箔を巻回する巻取ポジションと、前記巻芯コアを着脱する着脱ポジションとに対応して複数設けられているとともに、両ポジション間を移動可能に構成されており、
前記セパレータ固着手段は、前記巻取ポジションに対応して設けられていることを特徴とする手段1に記載の巻取装置。
【0019】
上記手段2によれば、巻取ポジションに位置する回転軸においては、セパレータ及び両電極箔が巻回される。一方、着脱ポジションに位置する回転軸においては、巻芯コアが着脱される。すなわち、巻回が完了した巻回素子が取り外され、新たに巻芯コアが装着される。各回転軸は、両ポジション間を移動し得る。さらに、セパレータ固着手段は、巻取ポジションに対応して設けられている。そして、その熱溶着手段では、前記着脱ポジション(の巻回素子)から延びる2枚のセパレータが、所定の張力が付与された状態で熱溶着される。さらに、当該熱溶着後、切断手段により、セパレータが2枚一度に切断される。
【0020】
このように、手段2では、着脱ポジションに移動した前回の巻回素子から延びる2枚のセパレータが未だ切断されることなく繋がったままの状態で、巻回ポジションに位置する巻芯コアに対し熱溶着され、その後、セパレータが2枚一度に切断される。そのため、逐一セパレータの先端縁同士を位置合わせすることなく先端が揃った状態で巻芯コアに固着されることとなる。そのため、構成面での飛躍的な簡素化を図ることができる。また、所定の張力が付与された状態で熱溶着されるため、セパレータの蛇行等を懸念する必要もなくなる。
【0021】
手段3.前記刃部は、前記巻芯コアに対して前記セパレータが押さえ付けられる方向に移動可能に構成されていることを特徴とする手段1又は2に記載の巻取装置。
【0022】
上記手段3によれば、巻芯コアに対してセパレータが押さえ付けられる方向に刃部が移動することで切断が行われる。このため、刃部の接触に起因して固着部が剥離してしまうといった事態を防止でき、より確実な切断が実現できる。
【0023】
手段4.前記セパレータの切断に際しては、前記セパレータの側面視において、前記固着部と非固着部とのなす角が鋭角となるよう前記巻芯コアを位置決めさせることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載の巻取装置。
【0024】
上記手段4によれば、固着部と非固着部とのなす角が鋭角となるよう巻芯コアが位置決めされた状態で、セパレータの切断が行われる。このため、固着部と非固着部との境界部分により近い位置に刃部を及ばせることができ、ひいては、非溶着部分がほとんど生じないようにすることができる。また、より円滑な切断を実現することができる。
【0025】
手段5.回転可能に設置された巻芯コアに対し、プラス電極箔及びマイナス電極箔を、帯状をなす熱可塑性樹脂製の2枚のセパレータを介して互いに絶縁状態で巻回することにより、前記巻芯コア、前記両電極箔及び前記セパレータからなる巻回素子を製造するための巻回素子の製造方法であって、
前記巻芯コアに対し、前記セパレータを2枚重ね、所定の張力を付与した状態で、熱溶着する熱溶着工程と、
前記熱溶着後、前記巻芯コアに対し非接触で刃部を動作させることで、前記セパレータを2枚一度に切断する切断工程とを備え、
前記セパレータの切断に際しては、前記熱溶着時よりも前記巻芯コアを所定角度進角側に回動させた状態で、前記刃部を、前記セパレータの固着部と非固着部との境界部分又はその近傍に当接させることで、前記セパレータを2枚一度に切断することを特徴とする巻回素子の製造方法。
【0026】
上記手段5によれば、基本的には、上記手段1と同様の作用効果が奏される。
【0027】
手段6.前記熱溶着工程に際しては、前回巻き取られた巻回素子から延びる2枚のセパレータを、所定の張力を付与した状態で熱溶着し、その後前記切断工程において、前記セパレータを2枚一度に切断することを特徴とする手段5に記載の巻回素子の製造方法。
【0028】
上記手段6によれば、基本的には、上記手段2と同様の作用効果が奏される。
【0029】
手段7.前記切断工程に際しては、前記刃部は、前記巻芯コアに対して前記セパレータが押さえ付けられる方向に移動させられることを特徴とする手段5又は6に記載の巻取装置。
【0030】
上記手段7によれば、基本的には、上記手段3と同様の作用効果が奏される。
【0031】
手段8.前記セパレータの切断に際しては、前記セパレータの側面視において、前記固着部と非固着部とのなす角が鋭角となるよう前記巻芯コアを位置決めさせることを特徴とする手段5乃至7のいずれかに記載の巻回素子の製造方法。
【0032】
手段8によれば、基本的には上記手段4と同様の作用効果が奏される。
【0033】
尚、「前記巻芯コアの表面の少なくとも一部に対し、熱可塑性樹脂製の被覆体又は接着テープからなる被覆層を設ける被覆層付与工程を具備し、前記熱溶着工程に際しては、は、前記被覆層に対し前記セパレータを2枚重ねた状態で、同時に熱溶着すること」としてもよい。この場合、直接巻芯コアにセパレータを熱溶着する必要がないため、巻芯コアの素材としては何ら限定されることがないという作用効果が奏される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0035】
まず、本実施形態の巻取装置によって得られる巻回素子としてのリチウムイオン電池素子の構成について説明する。図1に示すように、リチウムイオン電池素子(以下、「電池素子」と称す)1は、筒状の巻芯コア2に対して、2枚のセパレータ3,4とプラス電極箔5とマイナス電極箔6とによって構成される帯状体7が巻回されることで構成されている。尚、図1においては、説明の便宜上、セパレータ3,4、プラス電極箔5、及び、マイナス電極箔6の相互の間隔をあけて示している箇所がある。
【0036】
本実施形態において、巻芯コア2は、十分な剛性を有する材料(例えば、アルミニウム等)により形成されている。また、当該巻芯コア2は、断面非円形状(本実施形態では、断面正方形状)の挿通孔8を有している。(図3等参照)。
【0037】
セパレータ3,4は、巻芯コア2の長手方向に沿った長さと同一の幅を有するものであり、異なる電極箔5,6同士が互いに接触して短絡を起こしてしまうのを防止すべく絶縁体、特に本実施形態では熱可塑性樹脂素材たるポリプロピレン(PP)により構成されている。
【0038】
プラス電極箔5及びマイナス電極箔6もまた、セパレータ3,4と同様、巻芯コア2の長手方向に沿った長さとほぼ同一の幅を有するものである。さらに、プラス電極箔5及びマイナス電極箔6の表裏両面には図示しない活物質が塗布されており、当該活物質を介して、プラス電極箔5及びマイナス電極箔6間におけるイオン交換ができるようになっている。より詳しくは、充電時には、プラス電極箔5側からマイナス電極箔6側へイオンが移動し、反対に、放電時には、マイナス電極箔6側からプラス電極箔5側へとイオンが移動する。また、プラス電極箔5の幅方向一端縁からは図示しない複数の正極リードが延出するとともに、マイナス電極箔6の幅方向他端縁からは図示しない複数の負極リードが延出している。
【0039】
リチウムイオン電池を得るに際しては、前記電池素子1が金属製で筒状をなす電池容器(図示せず)内に配設されるとともに、前記正極リード及び負極リードがそれぞれまとめられる。そして、まとめられた正極リードを正極端子部品(図示せず)に接続するとともに、同じくまとめられた負極リードを負極端子部品(図示せず)に接続し、両端子部品を前記電気容器の両端開口に設けることで、リチウムイオン電池を得ることができる。
【0040】
次に、前記電池素子1を製造するための巻取装置11について説明する。図2に示すように、巻取装置11は、回転可能に設けられたターレット12を備えている。該ターレット12は、2枚の円盤状のテーブル14,15が相対向するようにして構成されており、両テーブル14,15間に跨って、回転手段20が、テーブル14,15の中心を対称中心として2つ設けられている。尚、両テーブル14,15(ターレット12)は時計回りに回転可能に構成されているとともに、両テーブル14,15が同期回転するように設定されている。これにより、各回転手段20が着脱ポジションP1及び巻取ポジションP2間を移動することができるようになっている。尚、両テーブル14,15は、180°ずつ反転可能となっていてもよい。
【0041】
図3にしたがって回転手段20の一例について説明すると、回転手段20は、軸線C方向に延び、軸線C方向一端側のテーブル14から他端側のテーブル15に向けて突出する回転軸としての巻芯21と、前記軸線C方向に延び、軸線C方向他端側のテーブル15から一端側のテーブル14に向けて突出する巻芯受け31とから構成されている。
【0042】
前記巻芯21は、全体として棒状をなしており、軸線C方向他端側に延びる基部22と、当該基部22から軸線C方向他端側に延びる装着部23と、前記基部22及び装着部23間に形成されたテーパ段差部24とから構成されている。また、基部22、装着部23、及び、テーパ段差部24の中心軸はそれぞれ前記軸線Cと一致している。
【0043】
前記基部22は、円柱状をなし、図示しない駆動手段によって、前記テーブル14に対し軸線C方向に沿って相対移動可能(出没可能)に構成されている。これにより、前記巻芯受け31に対して巻芯21が接離可能となっている。加えて、基部22は、図示しない回転駆動手段(例えば、モータ)によって、軸線Cを回転軸としてテーブル14に対して相対回転可能となっており、ひいては巻芯21全体が軸線Cを回転軸として相対回転可能となっている。すなわち、回転駆動手段は帯状体7を巻取る際の巻取動力として機能する。
【0044】
前記装着部23は、電池素子1の製造時において、前記巻芯コア2がその外周部分に装着されるものである。当該装着部23は、棒状をなすとともに、前記巻芯コア2の挿通孔8の断面形状に対応すべく断面非円形状(本実施形態では、断面正方形状)に形成されている。さらに、装着部23は、前記基部22よりも細化されており、また、装着部23の先端側面部には、軸線C方向へと延びる一対の先割れ部25が形成されている。加えて、当該先割れ部25の内周部分には、後述する受けピン33を嵌合可能な図示しない嵌合凹部が形成されている。
【0045】
一方、前記巻芯受け31は、円柱状をなす支持部32と、当該支持部32に一体形成され、軸線C方向一端側に向けて突出する受けピン33と、当該受けピン33の外周側に設けられ、先端筒状の受け部34とを備えている。尚、支持部32、受けピン33、及び、受け部34のそれぞれの中心軸は、前記軸線Cと一致している。
【0046】
前記支持部32は、前記テーブル15に対して軸線Cを回転軸として相対回転(本実施形態では、自由回転)可能、かつ、軸線C方向に相対移動不能に支持されている。
【0047】
前記受けピン33は、円柱状をなすとともに、その外周面の大部分が軸線Cと略平行となるように構成されている。当該受けピン33は、前記受け部34の内側に配設されており、また、その外径は、前記嵌合凹部の内径と同径或いは若干大径となるように構成されている。尚、受けピン33は、前記嵌合凹部への嵌合をより容易なものとすべく、その先端部分が先細り形状となっている。
【0048】
前記受け部34は、前記巻芯コア2の外径と略等しい外径を有しており、その先端面が前記巻芯コア2の一端面と当接可能な被当接面35となっている。また、受け部34と受けピン33との間の環状空間は、装着部23の先端部を収容可能な収容凹部36となっており、前記受けピン33が、前記嵌合凹部に嵌合された際には、装着部23の先端部が前記収容凹部36に収容されるようになっている。
【0049】
上記のように構成されている回転手段20にあっては、後記する着脱装置13によって、装着部23に巻芯コア2が取付けられる。そして、基部22を軸線C方向に沿って他端側(テーブル15側)へと相対移動させることで、受けピン33が前記嵌合凹部に嵌合されるとともに、受け部34の収容凹部36に対して装着部23の先端部が挿入される。このとき、装着部23の先端部が受けピン33によって外周側へ広げられることとなり、ひいては巻芯コア2の他端部が前記装着部23によって内周側から保持されることとなる。併せて、巻芯コア2の一端部が、前記テーパ段差部24に当接・保持されることとなる。さらに、巻芯コア2の他端の当接面が、受け部34の被当接面35に当接する。このようにして巻芯コア2が、回転手段20に装着される。
【0050】
説明を図2の巻取装置11に戻す。前記2つの回転手段20が、前記ターレット12の回動により、着脱ポジションP1(図の右側位置)と、巻取ポジションP2(図の左側位置)との間を移動可能である点については上述したが、本実施形態では、着脱ポジションP1に対応して、後述する巻芯コア2の取付及び電池素子1の取外を行うための着脱装置13が設けられている。
【0051】
また、巻取ポジションP2は、前記巻芯コア2に対し帯状体7を巻回するポジションであって、当該巻取ポジションP2に対応して、帯状体7を供給するための帯状体供給機構が設けられている。尚、図2では、説明の便宜上、帯状体供給機構のうちプラス電極箔供給手段16及びマイナス電極箔供給手段17が図示されている。
【0052】
さらに、本実施形態では、前記巻取ポジションP2に対応して、セパレータ固着手段41が設けられている。セパレータ固着手段41は、接着テープ貼付手段42と、熱溶着手段43と、前記セパレータ3,4を切断可能な切断手段44とを備えている。接着テープ貼付手段42は、前記セパレータ3,4と同一素材(本実施形態ではPP)よりなる接着テープ51を巻芯コア2の表面に対し貼付けるべく、テープ供給手段と、貼付用のローラと、テープをカットするテープカッタとを備えている(いずれも図示せず)。本実施形態では、前記接着テープ貼付手段42により、巻芯コア2の長手方向両端縁に、丁度1周分の長さの接着テープ51を貼付可能に構成されている(図6(a)における散点模様参照)。
【0053】
また、熱溶着手段43は、ヒータブロック43a(図5(c)参照)を具備している。そして、前記着脱ポジションP1に位置する前回巻回された電池素子1から延びる2枚のセパレータ3,4に所定の張力を付与した状態で、ヒータブロック43aは当該セパレータ3,4を巻芯コア2に押し付け可能に構成されている。さらに、切断手段44は、前記熱溶着後、前記セパレータ3,4を2枚一度に切断することができるように構成され、巻芯コア2に対し非接触で動作する刃部44aを有している。刃部44aは、セパレータ3,4の溶着面とは反対面側における、図5(e)に示す退避位置と、図5(f)に示す切断位置との間を往復移動可能となっている。
【0054】
次に、上述した巻取装置11を用いて、電池素子1を製造するための方法について説明する。
【0055】
まず、ターレット12を時計回りに半回転させることで、一方の回転手段20を着脱ポジションP1へと移動させる。このとき、他方の回転手段20は巻取ポジションP2に位置することとなる。例えば、図4に示す例では、それまで巻取ポジションP2に位置しており帯状体7の巻回がほぼ完了した回転手段20が、着脱ポジションP1へと移動させられる。一方、それまで着脱ポジションP1に位置しており新たな巻芯コア2の装着された回転手段20が巻取ポジションP2へと移動させられる。
【0056】
かかる巻取ポジションP2に位置する回転手段20においては、巻芯コア2が装着されているのであるが、当初、当該巻芯コア2には何も巻き付けられていない。この状態において、先ず接着テープ貼付手段42により、図5(a),(b)に示すように、PP製の接着テープ51が巻芯コア2の表面に対し貼付けられる。上記のとおり、本実施形態では巻芯コア2の長手方向両端縁に、丁度1周分の長さの接着テープ51が貼付される。
【0057】
次に、熱溶着手段43が作動させられる。このとき、現時点で着脱ポジションP1に位置する前回巻回された電池素子1から延びる2枚のセパレータ3,4には所定の張力が付与させられており、この状態で、図5(c),(d)に示すように、ヒータブロック43aが移動させられることでセパレータ3,4が巻芯コア2に対し押し付けられる。このとき、巻芯コア2の表面には接着テープ51が貼付けられており、接着テープ51、セパレータ3,4は相互に同一素材により構成されていることから、相互に溶け合い、同時に熱溶着が施されることとなる。この例においては、接着テープ51と下層のセパレータ3とが溶着するとともに、上層のセパレータ4と下層のセパレータ4とが溶着する。これにより、2枚のセパレータ3,4が巻芯コア2に対し同時に固着されることとなる。
【0058】
固着完了後、図5(e)に示すように、回転手段20(巻芯21)が所定角度進角側に(巻取側に)回動させられる。これにより、セパレータ3,4が鋭角状に屈曲することとなる。すなわち、セパレータ3,4の側面視において、固着された部分(固着部KT)と固着されていない部分(非固着部UK)とのなす角θが鋭角となるよう巻芯コア2を位置決めさせる(この場合において、固着部KTに関しては、非固着部UKとの境界部分の接線に基づき角θが決定される)。そして、この状態から図5(f)に示すように、切断手段44(刃部44a)が作動させられることで、セパレータ3,4が2枚一度に切断されることとなる。このとき、刃部44aが前記鋭角状の部分、つまり、固着部KTと非固着部UKとの境界部分又はその近傍を切断することで、丁度熱溶着部分が先端に位置するような切断が実現できる。つまり、セパレータ3,4の先端がきれいに揃った状態で、セパレータ3,4を巻芯コア2に固着させることができる。
【0059】
それ以降巻取ポジションP2においては、回転手段20(巻芯21)の回転が行われる。そして、所定タイミングが到来したならば、プラス電極箔供給手段16及びマイナス電極箔供給手段17が作動させられ、各電極箔5,6が巻芯コア2の方に向けて供給される。これにより、プラス電極箔5及びマイナス電極箔6が、それぞれ各セパレータ3,4を介して互いに絶縁状態で巻き取られることとなる。帯状体7の巻回がほぼ完了したならば、ターレット12を時計回りに半回転させることで、先ほどの回転手段20が着脱ポジションP1へと移動させられる。そして、前述した切断手段44により切断された残りのセパレータ3,4が完全に巻き取られ、テープ止めが施されることで巻取が完了する。その後、巻芯21を巻芯受け31から離間する方向へと相対移動させ、前記受けピン33を嵌合凹部から抜き外すことで、装着部23による巻芯コア2の保持力が解除されることとなる。その上で、帯状体7の巻回された巻芯コア2を、巻芯コア2ごと装着部23から取り外すことで電池素子1が得られる。
【0060】
尚、上記例においては、既に着脱ポジションP1に前回巻回された電池素子1が存在する場合において、そこから延びる2枚のセパレータ3,4に所定の張力を付与させた状態で、熱溶着が施される場合について具体的な説明を行うこととした。これに対し、着脱ポジションP1に前回巻回された電池素子1が存在しない場合においても、図示しないセパレータ供給手段により供給されたセパレータ3,4に所定の張力を付与し、熱溶着及び余剰セパレータ3,4の切断を行うことで、上記と同様の固着を実現することができる。
【0061】
以上詳述したように、本実施形態によれば、所定の張力が付与された状態で、2枚のセパレータ3,4が、熱溶着手段43によって、熱溶着に基づき、巻芯コア2に対し固着される。また、熱溶着後、巻芯コア2に対し非接触で動作する切断手段44の刃部44aによって、セパレータ3,4が2枚一度に切断される。このため、従来技術で記した第1、第2の方法のようにセパレータの端縁部分をずらして固着する必要がなく、また従来の第3の方法のように端縁を揃えて溶着する必要がない。そのため、機構の煩雑化を抑制でき、コストの増大を抑制することができる。また特に、本実施形態ではセパレータ3,4の切断に際しては、熱溶着時よりも巻芯コア2を所定角度進角側に回動させた状態で、セパレータ3,4の固着部KTと非固着部UKとの境界部分又はその近傍に刃部44aを当接させることで、セパレータ3,4が2枚一度に切断される。従って、今回の巻取りとは無関係の側においてセパレータ3,4の非溶着部分がほとんど発生しない。そのため、その後の巻回に際し、非溶着部分が折れ曲がったまま巻取られてしまうといった事態を回避できる。その結果、非溶着部分が折れ曲がったまま巻取られることに起因する不具合を防止でき、安定した均質な巻回を実現することができる。
【0062】
また、本実施形態では、着脱ポジションP1に移動した前回の巻回素子から延びる2枚のセパレータ3,4が未だ切断されることなく繋がったままの状態で、巻回ポジションP2に位置する巻芯コア2に対し熱溶着され、その後、セパレータ3,4が2枚一度に切断される。そのため、逐一セパレータ3,4の先端縁同士を位置合わせすることなく先端が揃った状態で巻芯コアに固着されることとなる。そのため、構成面での飛躍的な簡素化を図ることができる。また、所定の張力が付与された状態で熱溶着されるため、セパレータ3,4の蛇行等を懸念する必要もなくなる。
【0063】
また、本実施形態では巻芯コア2に対してセパレータ3,4が押さえ付けられる方向に刃部44aが移動することで切断が行われる。このため、刃部44aの接触に起因して固着部KTが剥離してしまうといった事態を防止でき、より確実な切断が実現できる。
【0064】
さらに、本実施形態では固着部KTと非固着部UKとのなす角θが鋭角となるよう巻芯コア2が位置決めされた状態で、セパレータ3,4の切断が行われる。このため、固着部KTと非固着部UKとの境界部分により近い位置に刃部44aを及ばせることができ、ひいては、余分な非溶着部分がほとんど生じないようにすることができる。また、より円滑な切断を実現することができる。
【0065】
併せて、本実施形態では、巻芯コア2の表面の少なくとも一部に対し、PP製の接着テープ51が貼付けられる。そして、熱溶着手段43により、接着テープ51に対しセパレータ3,4が2枚重ねられた状態で、同時に熱溶着される。つまり、直接巻芯コア2にセパレータ3,4を熱溶着する必要がない。そのため、巻芯コア2の素材は何ら限定されることなく、例えば本実施形態のようなアルミニウム等の金属素材等をも用いることができる。かかる意味で、巻芯コア2の素材に自由度をもたせることができる。
【0066】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0067】
(a)上記実施形態では、巻芯コア2の長手方向両端部分に接着テープ51を貼付ける構成を採用しているが、必ずしもこのような構成に限定されるものではない。例えば、図6(b)に示すように、巻芯コア2の長手方向全域に接着テープ51を貼付けることとしてもよい。また、図6(c)に示すように、巻芯コア2の長手方向中央部分にも接着テープ51を貼付けることとしてもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、巻芯コア2の表面に対し、丁度1周分の長さの接着テープ51を貼付けることとしているが、1周分以上の接着テープ51を貼付けることとしてもよいし、図6(d)に示すように、全周に至らない範囲で部分的に接着テープ51を貼付けることとしてもよい。
【0069】
(c)上記実施形態では、巻芯コア2の素材としてアルミニウムを例示したが、他の素材、例えばPP等の樹脂素材により構成してもよい。このように、巻芯コア2を熱可塑性樹脂材料により構成した場合、上記実施形態における接着テープ51を貼付ける工程を省略することができる。すなわち、図7(a)〜(d)に示すように、ヒータブロック43aが移動させられることでセパレータ3,4が巻芯コア2に対し押し付けられる。このとき、巻芯コア2がPPよりなる場合、巻芯コア2及びセパレータ3,4は相互に同一素材により構成されていることから、相互に溶け合い、2枚のセパレータ3,4が巻芯コア2に対し直接的に固着されることとなる。そして、固着完了後、上記実施形態と同様、回転手段20(巻芯21)が所定角度進角側に(巻取側に)回動させられ、この状態から切断手段44(刃部44a)が作動させられることで、セパレータ3,4が2枚一度に切断されることとなる。
【0070】
(d)上記実施形態では、巻芯コア2の挿通孔8が断面正方形状とされるとともに、装着部23が断面正方形状とされることによって、巻芯21(装着部23)に対する巻芯コア2の相対回転が規制されているが、巻芯コア2の挿通孔8及び装着部23の断面形状については、断面正方形状に限定されるものではなく、例えば、断面六角形状等の多角形状や断面小判状等としてもよい。
【0071】
(e)上記実施形態における回転手段20はあくまでも一例であって、他の構成を採用してもよいことは言うまでもない。例えば、上記例では受けピン33は支持部32と一体化して形成されているが、受けピン33を支持部32とは別体で設け、受けピン33を支持部32に対して軸線C方向に沿って移動(出没)可能に構成することとしてもよい。
【0072】
(f)上記実施形態では、セパレータ3,4の素材(及び接着テープ51の素材)としてPPを例示したが、他の熱可塑性樹脂素材であってもよい。例えば、ポリエチレンに代表される他のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリアミド樹脂等であってもよい。また、必ずしも両者が同一素材でなくてもよい。
【0073】
(g)上記実施形態では、巻取装置11によって、リチウムイオン電池の電池素子1が製造されているが、巻取装置11によって製造される巻回素子はこれに限定されるものではなく、例えば、電解コンデンサの巻回素子等を製造することとしてもよい。
【0074】
(h)上記実施形態では、接着テープ51を被覆層の1態様として説明しているが、例えば軟化若しくは溶融した、或いは所定の溶媒にて溶解された熱可塑性樹脂材料を巻芯コアの表面に付着、固化させることで設けられた樹脂コーティング層を被覆層として具体化してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】一実施形態における電池素子の構成を示すための断面模式図である。
【図2】巻取装置を示す正面模式図である。
【図3】回転手段等を示す斜視図である。
【図4】ターレットを半回転させた状態における巻取装置を示す正面模式図である。
【図5】(a)〜(f)はセパレータの固着、切断過程を示す断面模式図である。
【図6】(a)は本実施形態における巻芯コア及び接着テープを示す斜視図であり、(b)〜(d)は別の実施形態における巻芯コア及び接着テープを示す斜視図である。
【図7】(a)〜(d)は別の実施形態におけるセパレータの固着、切断過程を示す断面模式図である。
【図8】(a)〜(c)は従来技術の不具合を説明するセパレータ等の断面模式図である。
【符号の説明】
【0076】
1…巻回素子としての電池素子、2…巻芯コア、3,4…セパレータ、5…プラス電極箔、6…マイナス電極箔、7…帯状体、11…巻取装置、16…プラス電極箔供給手段、17…マイナス電極箔供給手段、20…回転手段、21…巻芯、41…セパレータ固着手段、43…熱溶着手段、44…切断手段、44a…刃部、P1…着脱ポジション、P2…巻取ポジション。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状をなす巻芯コアをその軸線を中心に回転可能とする回転手段と、
前記巻芯コアに対し、2枚の帯状の熱可塑性樹脂製のセパレータを固着させるセパレータ固着手段と、
プラス電極箔及びマイナス電極箔をそれぞれ前記巻芯コアの方に向けて供給する電極箔供給手段と、
前記巻芯コアに対し、前記2枚のセパレータを固着させた状態とした上で、前記回転手段の作動に基づき前記巻芯コアを回転させつつ、前記プラス電極箔及びマイナス電極箔を、それぞれ前記各セパレータを介して互いに絶縁状態で巻き取るよう構成してなる巻取装置であって、
前記セパレータ固着手段は、
熱溶着に基づき前記2枚のセパレータを、所定の張力を付与した状態で前記巻芯コアに対し熱溶着可能な熱溶着手段と、
前記熱溶着後、前記セパレータを2枚一度に切断可能で、前記巻芯コアに対し非接触で動作する刃部を有する切断手段とを備え、
前記セパレータの切断に際しては、前記熱溶着時よりも前記巻芯コアを所定角度進角側に回動させた状態で、前記刃部を、前記セパレータの固着部と非固着部との境界部分又はその近傍に当接させることで、前記セパレータが2枚一度に切断されるよう構成されてなる巻取装置。
【請求項2】
前記回転手段は、前記巻芯コアに形成された挿通孔に差込可能であり、かつ、回転可能に支持された回転軸を備えており、
当該回転軸は、前記セパレータ及び前記両電極箔を巻回する巻取ポジションと、前記巻芯コアを着脱する着脱ポジションとに対応して複数設けられているとともに、両ポジション間を移動可能に構成されており、
前記セパレータ固着手段は、前記巻取ポジションに対応して設けられていることを特徴とする請求項1に記載の巻取装置。
【請求項3】
前記刃部は、前記巻芯コアに対して前記セパレータが押さえ付けられる方向に移動可能に構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の巻取装置。
【請求項4】
前記セパレータの切断に際しては、前記セパレータの側面視において、前記固着部と非固着部とのなす角が鋭角となるよう前記巻芯コアを位置決めさせることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の巻取装置。
【請求項5】
回転可能に設置された巻芯コアに対し、プラス電極箔及びマイナス電極箔を、帯状をなす熱可塑性樹脂製の2枚のセパレータを介して互いに絶縁状態で巻回することにより、前記巻芯コア、前記両電極箔及び前記セパレータからなる巻回素子を製造するための巻回素子の製造方法であって、
前記巻芯コアに対し、前記セパレータを2枚重ね、所定の張力を付与した状態で、熱溶着する熱溶着工程と、
前記熱溶着後、前記巻芯コアに対し非接触で刃部を動作させることで、前記セパレータを2枚一度に切断する切断工程とを備え、
前記セパレータの切断に際しては、前記熱溶着時よりも前記巻芯コアを所定角度進角側に回動させた状態で、前記刃部を、前記セパレータの固着部と非固着部との境界部分又はその近傍に当接させることで、前記セパレータを2枚一度に切断することを特徴とする巻回素子の製造方法。
【請求項6】
前記熱溶着工程に際しては、前回巻き取られた巻回素子から延びる2枚のセパレータを、所定の張力を付与した状態で熱溶着し、その後前記切断工程において、前記セパレータを2枚一度に切断することを特徴とする請求項5に記載の巻回素子の製造方法。
【請求項7】
前記切断工程に際しては、前記刃部は、前記巻芯コアに対して前記セパレータが押さえ付けられる方向に移動させられることを特徴とする請求項5又は6に記載の巻取装置。
【請求項8】
前記セパレータの切断に際しては、前記セパレータの側面視において、前記固着部と非固着部とのなす角が鋭角となるよう前記巻芯コアを位置決めさせることを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載の巻回素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−259747(P2009−259747A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−110474(P2008−110474)
【出願日】平成20年4月21日(2008.4.21)
【出願人】(000106760)シーケーディ株式会社 (627)
【Fターム(参考)】