説明

巻線とその製造方法

【課題】層構造の絶縁被膜を具備する巻線に関し、これら2層の絶縁被膜が相互に分離することなく、高い密着性を備えていることによって放熱性に優れた巻線と、この巻線の製造方法を提供する。
【解決手段】導線1と、導線1の周りに形成された絶縁被膜4と、からなり、この絶縁被膜4は、導線1側に配された内被膜2と、その周りに配された外被膜3とからなり、内被膜2に比して外被膜3が相対的に高耐熱性を有し、かつ、内被膜2と外被膜3が相互に係合する係合部2a,3bや2b、3aを介して密着している巻線10である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえばモータのコイルに用いられる巻線とその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
モータを構成するステータは、円環状のヨークと、ヨークから径方向内側に突出する複数のティースと、隣接するティース間に形成されるスロットを備えた鋼板が積層されてなるステータコアから形成されており、コイルがこのスロット内に挿入されながら、ティース間に巻装されることによってステータが製造される。コイル用の巻線は、導線周りに絶縁被膜が形成されてコイル内における導線間の絶縁が図られるとともに、ティースとコイルの間には絶縁性のボビンや絶縁紙等のインシュレータが配設されてコア−コイル間の絶縁が図られている。さらに、たとえば分布巻き方式の巻装形態においては、絶縁紙等のインシュレータで異相コイル間の相間絶縁が図られている。
【0003】
従来のコイル形成用の巻線は、たとえば銅素材の導線の周りに、熱硬化性のエナメル樹脂を溶剤に溶かして数μmの厚みで塗布し、熱処理して塗布層を固め、この処理を複数回繰り返して所望厚のエナメル被膜を形成して巻線を製造するものであり、加工手間がかかるとともに加工費も高いものとなっている。
【0004】
そこで、塗布後の熱処理を必要としない熱可塑性樹脂を使用して、たとえば一度の押出成形にて導線周りに絶縁被膜を形成して巻線を製造する方法が適用されようとしている。
【0005】
この熱可塑性樹脂はその種類が多様に存在しているが、一般に耐熱性が高い素材は材料コストが高く、したがって、絶縁被膜に熱可塑性樹脂を使用してもその材料コストが高くなってしまっては加工費の低減が相殺されてしまう。
【0006】
そこで、耐熱性に優れ、材料コストの廉価な熱可塑性樹脂の開発が望まれるものの、材料開発には多大な時間を要することから、材料開発以外のアプローチとして、材料コストと耐熱性という相反する性能の最適値を与える絶縁被膜を、現有の熱可塑性樹脂を使用してその構造に改良を加えることで達成しようとする技術開発が模索されている。
【0007】
上記する材料コストと耐熱性の最適値を与え得る巻線構造に関し、導線周りに異なる素材種の熱可塑性樹脂からなる2層構造の絶縁被膜を形成し、たとえば、酸素共存下におけるラジカル分解が盛んな外側の層が相対的に耐熱性の高い熱可塑性樹脂から形成された構造の巻線を提案することができる。
【0008】
また、この2層構造の絶縁被膜の変形例として、予め導線の外周に形成されたエナメル被膜等の絶縁被膜のさらに外周に、樹脂素材の自己融着層を備えた導線を巻装する方法が特許文献1に開示されている。自己融着層を備えた導線をティース外周に巻装した後に高温雰囲気にてこの自己融着層を融解させることで、ステータコアとコイルの間のエアギャップを埋めることができる。
【0009】
また、特許文献1では、断面視が円形の導線に比してコイルの占積率が高い断面視が略矩形の導線である平角線を使用しており、平角線からなる導線の周りに絶縁層が形成され、その周りに上記する自己融着層が形成された絶縁構造を有するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−100039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1に開示の自己融着層を備えた平角線によれば、断面視円形の導線を使用する場合に比して導線占積率を高めることができ、さらには、自己融着層が融解して巻線とコアの間を満たすことから絶縁紙等のインシュレータが不要となる。しかし、このように単に2層構造としただけでは、巻線を巻装した際に導線周りの絶縁層と自己融着層が分離し易く、双方が分離した領域ではエアギャップが生じてしまい、自己融着層の融解によってこのエアギャップが完全に閉塞されない場合には、形成されたエアギャップによって巻線の放熱性が阻害されることになる。
【0012】
このことは、異なる素材種の熱可塑性樹脂からなる2層構造の絶縁被膜を具備する巻線の全般に言えることである。すなわち、図4aで示すように、導線dの周りに異なる素材種の熱可塑性樹脂からなる内被膜uhと外被膜shからなる2層構造の絶縁被膜が形成されてなる巻線において、この巻線が曲げ加工された箇所においては、そのb−b矢視図である図4bで示すように、内被膜uhに対して外被膜shの一部が剥がれてしまい、双方の間にエアギャップGが形成される。
【0013】
また、本発明者等によれば、2層構造の絶縁被膜を導線周りに形成し、特にその外被膜shを耐熱性が低く、安価な熱可塑性樹脂から形成したものを適用した場合では、巻線を折り曲げた際に生じる残留応力と熱劣化による樹脂の伸び低下によって図5で示すような亀裂Kや破れが外被膜shに生じ易いことも指摘されている。
【0014】
本発明は上記する問題に鑑みてなされたものであり、2層構造の絶縁被膜を具備する巻線に関し、これら2層の絶縁被膜が相互に分離することなく、高い密着性を備えていることによって放熱性に優れ、外被膜の破れも生じ難い巻線と、この巻線の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記目的を達成すべく、本発明による巻線は、導線と、導線の周りに形成された絶縁被膜からなり、前記絶縁被膜は、導線側に配された内被膜と、その周りに配された外被膜からなり、内被膜に比して外被膜が相対的に高耐熱性を有し、かつ、内被膜と外被膜が相互に係合する係合部を介して密着しているものである。
【0016】
本発明の巻線は、耐熱性の異なる異種素材の熱可塑性樹脂からなる2層構造の絶縁被膜を導線周りに具備するものにおいて、その内被膜と外被膜が相互に係合する係合部を介して双方の膜が密着することで、双方の膜の密着性に優れ、巻線を曲げ加工した際に双方の膜の間にエアギャップが形成され難く、しかも外被膜に亀裂等が生じ難い巻線である。
【0017】
この巻線においては、酸素共存下において酸化の盛んな外被膜が、内被膜に対して相対的に耐熱性の高い熱可塑性樹脂から形成されており、したがって、外被膜の材料コストは一般に相対的に高いものである。しかし、従来の絶縁被膜と同程度の厚みを2層に分割することにより、耐熱性に優れた熱可塑性樹脂からなる1層構造の絶縁被膜の場合に比して材料コストを低減することができる。そして、従来一般のエナメル被膜のように熱硬化性樹脂を使用して絶縁被膜を形成することに対して製造簡素化と製造時間の短縮を図ることができ、材料コスト低減を含めて加工費を大幅に削減できる。また、外被膜が耐熱性の高い熱可塑性樹脂、したがって熱劣化後の伸び性が担保された熱可塑性樹脂から形成されていることで、曲げ加工後の熱劣化による外被膜での亀裂は生じ難い。さらに、内被膜と外被膜が相互に係合した構造となっていることで、導線周りの絶縁被膜は曲げ加工等に対する耐加工性に優れたものとなっており、既述するエアギャップの発生も解消されて巻線の放熱性が低下することもない。
【0018】
ここで、内被膜と外被膜双方の係合部の形態は特に限定されるものでなく、たとえば内被膜に係合部を構成する雄が設けられ、この雄が外被膜に設けられた雌から抜けないような態様で双方の雄雌が係合していればよい。
【0019】
また、本発明の巻線は、たとえば銅素材の導線がコイルの占積率の高い平角導線から形成され、したがって、この平角導線の周囲に上記する2層構造の絶縁被膜が形成された平角線から形成されるのが好ましい。
【0020】
また、上記する巻線は内被膜と外被膜の2層構造の絶縁被膜を具備するものであるが、内被膜と中間被膜と外被膜からなる3層構造の絶縁被膜を具備するものを排除するものではない。すなわち、この3層構造の絶縁被膜においては、たとえば、内被膜、中間被膜、外被膜がこの順で除々に耐熱性の高い熱可塑性樹脂から形成され、内被膜と中間被膜および中間被膜と外被膜がそれぞれ係合するものである。
【0021】
さらに、本発明は巻線の製造方法にも及ぶものであり、この巻線の製造方法は、導線をダイスに通し、ダイスを通過する過程で導線周りに2層構造の絶縁被膜を構成する内被膜が形成された中間体を製造する第1の工程、前記中間体をダイスに通し、ダイスを通過する過程で内被膜の周りに、2層構造の絶縁被膜を構成するとともに内被膜に比して相対的に高耐熱性を有する外被膜を形成し、内被膜と外被膜からなる2層構造の絶縁被膜を具備する巻線を製造する第2の工程、からなり、前記第1の工程では、中間体を形成する内被膜の表面に係合部が形成され、前記第2の工程では、外被膜の一部が内被膜の係合部と係合しながら相互に密着して巻線が製造されるものである。
【0022】
導線周りに相互に係合するように内被膜と外被膜を形成する方法として、本発明の製造方法のように、使用するダイスのキャビティを内被膜と外被膜のそれぞれに対応する形状および寸法のものを使い分けるのが効率的かつ高い歩留まりの加工を実現できる。
【0023】
すなわち、第1の工程では、ダイスのキャビティを導線が通過する過程で、導線とキャビティ面の間の空間に内被膜用の熱可塑性樹脂が注入され、ダイスを通過した導線の周りに内被膜が形成される(中間体)。すなわち、第1の工程では、内被膜形成用のダイスが適用される。
【0024】
次に、第2の工程に当たって外被膜形成用のダイスを使用し、このキャビティを中間体が通過する過程で、内被膜とキャビティ面の間の空間に外被膜用の熱可塑性樹脂が注入され、ダイスを通過した中間体の周りに外被膜が形成され、導線の周りに内被膜と外被膜が相互に係合してなる絶縁被膜が形成された巻線が製造される。
【発明の効果】
【0025】
以上の説明から理解できるように、本発明の巻線によれば、耐熱性の異なる異種素材の熱可塑性樹脂からなる2層構造の絶縁被膜を導線周りに具備するものにおいて、外被膜が相対的に高耐熱性の樹脂から形成され、内被膜と外被膜が相互に係合する係合部を介して密着されることで、材料コスト低減を含めて加工費を大幅に削減でき、絶縁被膜は曲げ加工等に対する耐加工性に優れたものとなり、曲げ加工等の際に双方の膜の間に生じ得るエアギャップも解消される。また、本発明の巻線の製造方法によれば、相互に係合する内被膜と外被膜を導線周りに効率的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の巻線の一実施の形態を説明した斜視図である。
【図2】(a)、(b)はともに係合部の実施の形態を示した縦断面図である。
【図3】(a)は本発明の巻線の製造方法を説明した図であり、(b)は第1の工程で使用されるダイスの断面を示した図であり、(c)は第2の工程で使用されるダイスの断面を示した図である。
【図4】(a)は、異なる素材種の熱可塑性樹脂からなる2層構造の絶縁被膜を具備する従来の巻線を説明した図であり、(b)は、(a)のb−b矢視図であって層間にエアギャップが生じていることを説明した図である。
【図5】2層構造の絶縁被膜を具備する従来の巻線において、外被膜に亀裂が生じていることを説明した図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。なお、図示例の巻線は平角線からなるものであるが、本発明の巻線は平角線以外にも断面円形や楕円形の一般の導線からなるものを含んでいることは勿論のことである。
【0028】
図1は本発明の巻線の一実施の形態を説明した斜視図であり、図2a、bはともに、係合部の実施の形態を示した縦断面図である。
【0029】
図示する巻線10は、銅素材の平角導線1の周りに、耐熱性の異なる熱可塑性樹脂からなる内被膜2と外被膜3から構成された絶縁被膜4を具備するものであり、たとえばこの巻線10がモータを構成するステータのティース周りにボビン等を介して巻装されてコイルを形成する。
【0030】
耐熱性の異なる内被膜2と外被膜3においては、酸素共存下において酸化の盛んな外被膜3が内被膜2に対して相対的に耐熱性の高い熱可塑性樹脂から形成されている。
【0031】
ここで、外被膜3と内被膜2の形成素材となる熱可塑性樹脂を耐熱性の高い順で以下の表1に記載する。
【0032】
【表1】

【0033】
なお、材料メーカーや、同一素材の中でのグレードの相違などによって表1で記載する耐熱性の序列は入れ替わることがある。
【0034】
表1に基づいて相対的に高耐熱な外被膜3と低耐熱な内被膜2を形成する熱可塑性樹脂を選定することができる。たとえば、外被膜3と内被膜2の組み合わせとして、PEEKとPA、PAIとPPSなどを挙げることができる。
【0035】
また、表1において、耐熱性の高低と材料コストの高低はほぼ相関していることから、外被膜3を相対的に高耐熱な熱可塑性樹脂から形成するとともに、絶縁被膜全体として可及的に低コストな材料費となる組み合わせを決定するのが好ましい。
【0036】
尤も、材料コストの最も低い組み合わせとなり得るPPAとPAを選定し、外被膜がPPAから形成される絶縁被膜形態では、外被膜が十分な耐熱性を有しているとは言い難い。したがって、外被膜3の形成素材としては、PI,PAI,PEEK、PPSU,PEI,PESUのうちのいずれか一種から選定されるのが望ましい。
【0037】
外被膜3が高耐熱な熱可塑性樹脂から形成されることで、外被膜3が熱劣化した後の伸び性が担保され、外被膜3における曲げ加工後の熱劣化による亀裂は生じ難くなっている。
【0038】
また、内被膜2と外被膜3は相互に係合する係合部を介して双方の界面が密着している。
【0039】
図1で示す係合部は、内被膜2が略台形状の雄2aと雌2bが交互に形成された構造を呈し、外被膜3も同様に略台形状の雄3aと雌3bが交互に形成された構造を呈するものであって、双方の雄雌が係合することで構成されている。
【0040】
そして、外被膜3が内被膜2との係合状態から抜けないように、内被膜2の略台形状の雄2aのうち、辺長の長い端辺が外被膜3側に配設されている。
【0041】
また、内被膜2と外被膜3の係合部は、図1で示す実施の形態以外にも、図2aで示すように、内被膜2Aが略円形の雄2a’を有し、これが外被膜3Aの略円形の雌3b’に係合して絶縁被膜4Aが形成される実施の形態であってもよい。
【0042】
また、図2bで示すように、内被膜2BがTの字状の雄2a”を有し、これが外被膜3BのTの字状の雌3b”に係合して絶縁被膜4Bが形成される実施の形態であってもよい。
【0043】
次に、図3を参照して巻線の製造方法を概説する。
【0044】
図3aで示す製造装置は、平角導線1を提供する供給部Sと、平角導線1の周囲に内被膜2が形成された中間体やさらに外被膜3が形成された巻線を巻き取る巻取部Mと、これらの間に介在する、導線を加熱する加熱炉HTと、導線周りに熱可塑性樹脂を提供して所望形状の内被膜2や外被膜3を形成するダイスDと、内被膜2や外被膜3が導線周囲に形成された中間体や巻線をクーリングする冷却炉Cから大略構成されている。
【0045】
ダイスDへの熱可塑性樹脂の提供は、その上流側にある押出機Eに熱可塑性樹脂材料が投入されるホッパーHから材料提供が成され、押出機E内のスクリューで混連された熱可塑性樹脂材料がダイスDに開設されたキャビティ内に提供されるようになっている。
【0046】
図3aで示す装置を使用して、製造方法の第1の工程では、図3bの断面図(図3aのb−b矢視図)で示すように、平角導線1をダイスDのキャビティCA1に通し、キャビティCA1を平角導線1が通過する過程で平角導線1とキャビティCA1の壁面で画成される空間に熱可塑性樹脂が提供される。そして、平角導線1とその周りの未硬化の熱可塑性樹脂がダイスDを通過した後に冷却炉Cでクーリングされることによって、平角導線1の周りに図1で示す雄2a,雌2bを具備する内被膜2が形成された中間体が製造される。
【0047】
すなわち、この第1の工程で使用されるダイスDは、内被膜2形成用のキャビティCA1を具備するダイスである。
【0048】
次に、第2の工程で内被膜2の周りに外被膜3を形成するに当たり、図3cで示すように、外被膜3形成用のキャビティCA2を具備する別途のダイスD’を図2bで示すダイスDと置き換える。なお、この置き換え以外に、ダイスD’を備えた図3aで示す装置と同様の別途の装置が用意されていてもよい。
【0049】
第2の工程では、中間体をダイスD’のキャビティCA2に通し、キャビティCA2を中間体が通過する過程で内被膜2とキャビティCA2の壁面で画成される空間に熱可塑性樹脂が提供される。そして、中間体とその周りの未硬化の熱可塑性樹脂がダイスD’を通過した後に冷却炉Cでクーリングされることによって、内被膜2の周りにこれと係合する外被膜3が形成された巻線10が製造される。
【0050】
なお、内被膜2に比して外被膜3を形成する熱可塑性樹脂が相対的に耐熱性の高い素材からなることは既述の通りである。
【0051】
図示する装置を使用してなる製造方法によれば、内被膜2と外被膜3が相互に係合してなる絶縁被膜4を導線1の周りに効率よく、高い歩留まりの下で製造することができる。
【0052】
また、製造された巻線10は、その構成部材である絶縁被膜を形成する外被膜3に高耐熱な熱可塑性樹脂を使用し、内被膜2に低耐熱な熱可塑性樹脂を使用することから、材料コストが可及的に廉価で、しかも内被膜2と外被膜3の密着性が良好で耐加工性も高く、双方の膜間にエアギャップが生じ難い構造の巻線となっている。
【0053】
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0054】
1…平角導線、2…内被膜、2a,3a…雄、2b、3b…雌、3…外被膜、4…絶縁被膜、10…巻線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導線と、導線の周りに形成された絶縁被膜からなり、
前記絶縁被膜は、導線側に配された内被膜とその周りに配された外被膜からなり、
内被膜に比して外被膜が相対的に高耐熱性を有し、かつ、内被膜と外被膜が相互に係合する係合部を介して密着している巻線。
【請求項2】
前記導線が断面視略矩形の平角導線からなり、前記巻線が平角線である請求項1に記載の巻線。
【請求項3】
導線をダイスに通し、ダイスを通過する過程で導線周りに2層構造の絶縁被膜を構成する内被膜が形成された中間体を製造する第1の工程、
前記中間体をダイスに通し、ダイスを通過する過程で内被膜の周りに、2層構造の絶縁被膜を構成するとともに内被膜に比して相対的に高耐熱性を有する外被膜を形成し、内被膜と外被膜からなる2層構造の絶縁被膜を具備する巻線を製造する第2の工程、からなり、
前記第1の工程では、中間体を形成する内被膜の表面に係合部が形成され、
前記第2の工程では、外被膜の一部が内被膜の係合部と係合しながら相互に密着して巻線が製造される巻線の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−22838(P2012−22838A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−158626(P2010−158626)
【出願日】平成22年7月13日(2010.7.13)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】