説明

希土類イオンドープしたケイ酸塩発光ガラスおよびその調製方法

希土類イオンドープしたケイ酸塩発光ガラスおよびその調製方法に関する。発光ガラスは、以下の一般式の物質aMO・bM’・cSiO・dREである。そのうち、MはNa、K、Liのうちの少なくとも1種であり、M’はY、Gd、La、Sc、Luのうちの少なくとも1種であり、REはCe、Tm、Tb、Ho、Dy、Er、Nd、Sm、Eu、Prのうちの少なくとも1種である。調製方法は、原料を細かく砕いた後、1200〜1500℃で1〜5h焙焼し、室温まで冷却する。その後、600〜1100℃で0.5〜24h焼きなまし処理を行ってから、室温まで冷却し、成型して製品が得られる。製品の性能は安定しており、均一性および発光性能も良好で、透過率が高い。この種の調製方法は、工程が簡単で、コストが低い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光材料の技術分野に属し、発光ガラスおよびその調製方法に関し、特に希土類イオンドープしたケイ酸塩発光ガラスおよびその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体照明技術(LED)の発展に伴い、新しい光源がしだいに私たちの日常生活に浸透してきている。第3世代の半導体材料である窒化ガリウムを半導体照明の光源として用いると、同等輝度での電気消費量は、普通の白熱灯の10分の1に抑えられ、寿命は10万時間以上に達する。新型の照明技術としてのLEDは、省エネルギー、エコによる環境保護、柔軟な応用、など多くの長所を有し、各種の指示、表示、装飾、バックライト光源、および普通照明などの分野に広く応用することができる。これは、照明分野の革命を引き起こすであろう。
【0003】
現在商品化されている白色光LED照明装置の多くは、青色光LEDチップと、青色光励起を受けて黄色光または緑色光、橙色光を発光することができる蛍光体材料を組み合わせたものが採用されている。この種の蛍光体材料は比較的高い発光効率を有しており、さらに調製方法も確立されている。しかし、この種の方法で製造された光源装置は以下のような欠点を有する。(1)実装に用いるエポキシ樹脂が劣化しやすく、装置寿命が低下する。(2)工程が複雑で、コストが比較的高い。(3)色度座標が不安定で、白色光がドリフトしやすい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明で解決しようとする技術的問題は、既存技術において発光蛍光体材料を実装するのに用いるエポキシ樹脂が、容易に劣化することによって引き起こされる、装置寿命が低下する、実装工程が複雑である、コストが比較的高い、色度座標が不安定である、白色光がドリフトしやすい、などの欠陥に対して、安定性がよく、均一性がよく、透過率が高く、発光性能がよい、希土類イオンドープしたケイ酸塩発光ガラスを提供することである。
【0005】
本発明でさらに解決しようとする技術的問題は、工程が簡単で、低コストである希土類イオンドープしたケイ酸塩発光ガラスの調製方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明において、その技術的問題を解決するために採用した技術案は、以下の通りである。希土類イオンドープしたケイ酸塩発光ガラスは、以下の構造の物質aMO・bM’・cSiO・dREである。そのうち、MはNa、K、Liのうちの少なくとも1種であり、M’はY、Gd、La、Sc、Luのうちの少なくとも1種であり、REはCe、Tm、Tb、Ho、Dy、Er、Nd、Sm、Eu、Prのうちの少なくとも1種である。a、b、c、dはモル分率であり、これらの数値はそれぞれ、aが25〜50、bが0〜40、cが30〜70、dが0.001〜20である。
【0007】
前記a、b、c、dの数値は、好ましくはそれぞれaが30〜45、bが5〜30、cが30〜60、dが0.1〜20である。
【0008】
希土類イオンドープしたケイ酸塩発光ガラスの調製方法は、成分A、B、C、Dを原料とする。そのうち、成分AはNa、K、Liの炭酸塩のうちの少なくとも1種であり、成分BはY、Gd、La、Sc、Luの酸化物、シュウ酸塩または炭酸塩のうちの少なくとも1種であり、成分CはSiOであり、成分DはCe、Tm、Tb、Ho、Dy、Er、Nd、Sm、Eu、Prの酸化物、シュウ酸塩または炭酸塩のうちの少なくとも1種である。前記原料を細かく砕いて均一に混合し、1200〜1650℃に昇温して、0.5〜5h焙焼を行う。溶融したガラス材料を室温まで冷却した後、600〜1100℃に昇温し、0.5〜24h焼きなましを行う。得られた産物を室温まで冷却して成型し、希土類イオンドープしたケイ酸塩発光ガラスが得られる。
【0009】
希土類イオンドープしたケイ酸塩発光ガラスの調製方法において、原料を乳鉢に入れ、細かく砕いて均一に混合した後、るつぼに入れて1300〜1600℃で1〜3h溶融する。溶融したガラス材料を注ぎ出して室温まで冷却した後、管状炉または低温焼きなまし炉に入れ、650〜900℃まで昇温して2〜15h焼きなましを行う。得られた産物を室温まで冷却して成型し、希土類イオンドープしたケイ酸塩発光ガラスが得られる。
【0010】
希土類イオンドープしたケイ酸塩発光ガラスの調製方法において、前記各種原料の比率は、以下の構造の物質aMO・bM’・cSiO・dREの各元素のモル分率に基づいて算出されたものである。そのうち、MはNa、K、Liのうちの少なくとも1種であり、M’はY、Gd、La、Sc、Luのうちの少なくとも1種であり、REはCe、Tm、Tb、Ho、Dy、Er、Nd、Sm、Eu、Prのうちの少なくとも1種である。a、b、c、dはモル分率であり、これらの数値はそれぞれ、aが25〜50、bが0〜40、cが30〜70、dが0.001〜20である。
【0011】
希土類イオンドープしたケイ酸塩発光ガラスの調製方法において、前記a、b、c、dの数値は、好ましくはそれぞれaが30〜45、bが5〜30、cが30〜60、dが0.1〜20である。
【0012】
前記原料のうち、成分B、Dの酸化物、シュウ酸塩、炭酸塩およびその他の原料の純度は、分析用グレード以上である。
【0013】
前記原料のうち、成分Dは好ましくはTm、Tb、Dy、Sm、Euの酸化物、シュウ酸塩または炭酸塩のうちの少なくとも1種である。
【0014】
本発明は、ケイ酸塩ガラスに特殊な希土類イオンを添加することを採用して、新型の発光ガラスを製造する。粉体材料と比較すると、青紫色光励起において、本発明の発光ガラスは以下の顕著な長所を有する。(1)良好な光透過性、(2)良好な化学安定性および熱安定性、(3)調製工程が簡単で、コストが低い、(4)大きいブロックおよび異なる形状の製造が容易である、(5)エポキシ樹脂を代替することができる。これらの特徴により、高性能発光を実現することができるガラスは、LED照明分野の発光媒体材料として、非常に適している。
【発明の効果】
【0015】
本発明の調製方法は、工程が簡単で、低コストである。また、特殊な希土類イオンドープを選択し、発光ガラスのガラス調製条件およびガラス構造による制限のため、発光活性イオンの多くがガラス中において、発光強度が弱くなり、さらには発光しなくなる問題を解決した。
【図面の簡単な説明】
【0016】
以下に図および実施例を組み合わせ、本発明についてさらに説明を行う。
【0017】
【図1】図1は、実施例1で調製された発光ガラスの359nm励起による発光スペクトルである。
【図2】図2は、実施例9で調製された発光ガラスの378nm励起による発光スペクトルである。
【図3】図3は、実施例10で調製された発光ガラスの395nm励起による発光スペクトルである。
【図4】図4は、実施例12で調製された発光ガラスの350nm励起による発光スペクトルである。
【図5】図5は、実施例16で調製された発光ガラスの404nm励起による発光スペクトルである。
【図6】図6は、実施例17で調製された発光ガラスの378nm励起による発光スペクトルである。
【図7】図7は、実施例20で調製された発光ガラスの353nm励起による発光スペクトルである。
【0018】
サンプルの発光スペクトルは、Shimadzu RF−5301蛍光分光計を採用し、測定を行った。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に実施例を通して、本発明についてさらに説明を行う。各実施例において使用される原料は、化学工業分野で常用される原料または市販の原料である。
【実施例1】
【0020】
実施例1は分析用グレードのNaCO、SiOおよび99.99%のY、Tmを採用して、主要原料とした。NaCOを10.24g、Yを7.13g、SiOを11.62g、Tmを0.24g秤取し、均一に混合した後、1400℃で2h溶融した。ガラス原料を注ぎ出して室温まで冷却した後、低温焼きなまし炉の空気雰囲気において700℃まで昇温し、温度を保って5h焼きなましを行った。成型して、30NaO・9.8Y・60SiO・0.2Tm(そのうち各成分の前の係数はmol分率である。以下同じ)である青色光を発光するガラスが得られた。図1に示すのは、本実施例で製造された発光ガラスの、359nmの紫外線励起による発光スペクトルである。図中、359nm励起において、本実施例で調製された発光ガラスが455nmの青色光を発光することを示す。
【実施例2】
【0021】
実施例2は分析用グレードのLiCO、SiOおよび99.99%のY、Tmを採用して、主要原料とした。LiCOを8.15g、Yを8.14g、SiOを13.27g、Tmを0.28g秤取し、均一に混合した後1350℃で2h溶融した。ガラス材料を注ぎ出して室温まで冷却した後、低温焼きなまし炉の空気雰囲気において600℃まで昇温し、温度を保って8h焼きなましを行った。成型して、30LiO・9.8Y・60SiO・0.2Tmである青色光を発光するガラスが得られた。
【実施例3】
【0022】
実施例3は分析用グレードのKCO、SiOおよび99.99%のY、Tmを採用して、主要原料とした。KCOを11.88g、Yを6.34g、SiOを10.33g、Tmを0.22g秤取し、均一に混合した後1450℃で2h溶融した。ガラス材料を注ぎ出して室温まで冷却した後、低温焼きなまし炉の空気雰囲気において800℃まで昇温し、温度を保って4h焼きなましを行った。成型して、30KO・9.8Y・60SiO・0.2Tmである青色光を発光するガラスが得られた。
【実施例4】
【0023】
実施例4は分析用グレードのKCO、SiOおよび99.99%のLu、Tmを採用して、主要原料とした。KCOを9.95g、Luを9.36g、SiOを8.65g、Tmを0.18g秤取し、均一に混合した後1500℃で1h溶融した。ガラス材料を注ぎ出して室温まで冷却した後、低温焼きなまし炉の空気雰囲気において1100℃まで昇温し、温度を保って0.5h焼きなましを行った。成型して、30KO・9.8Lu・60SiO・0.2Tmである青色光を発光するガラスが得られた。
【実施例5】
【0024】
実施例5は分析用グレードのLiCO、SiOおよび99.99%のGd、Tmを採用して、主要原料とした。LiCOを6.81g、Gdを10.92g、SiOを11.08g、Tmを0.23g秤取し、均一に混合した後1400℃で2h溶融した。ガラス材料を注ぎ出して室温まで冷却した後、低温焼きなまし炉の空気雰囲気において650℃まで昇温し、温度を保って15h焼きなましを行った。成型して、30LiO・9.8Gd・60SiO・0.2Tmである青色光を発光するガラスが得られた。
【実施例6】
【0025】
実施例6は分析用グレードのNaCO、SiOおよび99.99%のLa、Tmを採用して、主要原料とした。NaCOを9.09g、Laを9.13g、SiOを10.31g、Tmを0.22g秤取し、均一に混合した後1400℃で2h溶融した。ガラス材料を注ぎ出して室温まで冷却した後、低温焼きなまし炉の空気雰囲気において700℃まで昇温し、温度を保って5h焼きなましを行った。成型して、30NaO・9.8La・60SiO・0.2Tmである青色光を発光するガラスが得られた。
【実施例7】
【0026】
実施例7は分析用グレードのNaCO、SiOおよび99.99%のSc、Tmを採用して、主要原料とした。NaCOを11.52g、Scを4.9g、SiOを13.07g、Tmを0.27g秤取し、均一に混合した後1450℃で2h溶融した。ガラス材料を注ぎ出して室温まで冷却した後、低温焼きなまし炉の空気雰囲気において700℃まで昇温し、温度を保って5h焼きなましを行った。成型して、30NaO・9.8Sc・60SiO・0.2Tmである青色光を発光するガラスが得られた。
【実施例8】
【0027】
実施例8は分析用グレードのNaCO、SiOおよび99.99%のY、CeOを採用して、主要原料とした。NaCOを10.22g、Yを6.89g、SiOを11.59g、CeOを0.55g秤取し、均一に混合した後1450℃で5h溶融した。ガラス材料を注ぎ出して室温まで冷却した後、管状炉の95%N+5%H(体積パーセント、以下同じ)の還元雰囲気において750℃まで昇温し、温度を保って15h焼きなましを行った。成型して、30NaO・9.5Y・60SiO・0.5Ceである発光ガラスが得られた。
【実施例9】
【0028】
実施例9は分析用グレードのNaCO、SiOおよび99.99%のY、Tbを採用して、主要原料とした。NaCOを9.59g、Yを4.08g、SiOを10.88g、Tbを4.51g秤取し、均一に混合した後1400℃で2h溶融した。ガラス材料を注ぎ出して室温まで冷却した後、管状炉の95%N+5%H(体積パーセント)の還元雰囲気において700℃まで昇温し、温度を保って5h焼きなましを行った。成型して、30NaO・6Y・60SiO・4Tbである緑色光を発光するガラスが得られた。図2に示すのは、本実施例で製造された発光ガラスの、378nmの紫外線励起による発光スペクトルである。図中、378nm励起において、本実施例で調製された発光ガラスが544nmの緑色光を発光することを示す。
【実施例10】
【0029】
実施例10は分析用グレードのNaCO、SiOおよび99.99%のY、Euを採用して、主要原料とした。NaCOを9.81g、Yを4.87g、SiOを11.12g、Euを3.25g秤取し、均一に混合した後1400℃で2h溶融した。ガラス材料を注ぎ出して室温まで冷却した後、低温焼きなまし炉の空気雰囲気において700℃まで昇温し、温度を保って5h焼きなましを行った。成型して、30NaO・7Y・60SiO・3Euである緑色光を発光するガラスが得られた。図3に示すのは、本実施例で製造された発光ガラスの、395nmの紫外線励起による発光スペクトルである。図中、395nm励起において、本実施例で調製された発光ガラスが612nmの赤色光を発光することを示す。
【実施例11】
【0030】
実施例11は分析用グレードのNaCO、SiOおよび99.99%のY、Hoを採用して、主要原料とした。NaCOを10.25g、Yを7.13g、SiOを11.62g、Hoを0.24g秤取し、均一に混合した後1400℃で2h溶融した。ガラス材料を注ぎ出して室温まで冷却した後、低温焼きなまし炉の空気雰囲気において600℃まで昇温し、温度を保って24h焼きなましを行った。成型して、30NaO・9.8Y・60SiO・0.2Hoである緑色光を発光するガラスが得られた。
【実施例12】
【0031】
実施例12は分析用グレードのNaCO、SiOおよび99.99%のY、Dyを採用して、主要原料とした。NaCOを10.24g、Yを7.13g、SiOを11.62g、Dyを0.24g秤取し、均一に混合した後1400℃で2h溶融した。ガラス材料を注ぎ出して室温まで冷却した後、低温焼きなまし炉の空気雰囲気において700℃まで昇温し、温度を保って5h焼きなましを行った。成型して、30NaO・9.8Y・60SiO・0.2Dyである白色光を発光するガラスが得られた。図4に示すのは、本実施例で製造された発光ガラスの、350nmの紫外線励起による発光スペクトルである。図中、350nm励起において、本実施例で調製された発光ガラスが、485nmの青色光および578nmの黄色光を発光し、組み合わさって白色発光が得られることを示す。
【実施例13】
【0032】
実施例13は分析用グレードのNaCO、SiOおよび99.99%のY、Erを採用して、主要原料とした。NaCOを10.24g、Yを7.13g、SiOを11.62g、Erを0.24g秤取し、均一に混合した後1400℃で2h溶融した。ガラス材料を注ぎ出して室温まで冷却した後、低温焼きなまし炉の空気雰囲気において700℃まで昇温し、温度を保って5h焼きなましを行った。成型して、30NaO・9.8Y・60SiO・0.2Erである緑色光を発光するガラスが得られた。
【実施例14】
【0033】
実施例14は分析用グレードのNaCO、SiOおよび99.99%のY、Ndを採用して、主要原料とした。NaCOを10.25g、Yを7.14g、SiOを11.63g、Ndを0.21g秤取し、均一に混合した後1400℃で2h溶融した。ガラス材料を注ぎ出して室温まで冷却した後、低温焼きなまし炉の空気雰囲気において700℃まで昇温し、温度を保って5h焼きなましを行った。成型して、30NaO・9.8Y・60SiO・0.2Ndである黄緑色光を発光するガラスが得られた。
【実施例15】
【0034】
実施例15は分析用グレードのNaCO、SiOおよび99.99%のY、Pr11を採用して、主要原料とした。NaCOを10.26g、Yを7.14g、SiOを11.63g、Pr11を0.21g秤取し、均一に混合した後1400℃で2h溶融した。ガラス材料を注ぎ出して室温まで冷却した後、低温焼きなまし炉の空気雰囲気において700℃まで昇温し、温度を保って5h焼きなましを行った。成型して、30NaO・9.8Y・60SiO・0.2Prである赤色光を発光するガラスが得られた。
【実施例16】
【0035】
実施例16は分析用グレードのNaCO、SiOおよび99.99%のY、Smを採用して、主要原料とした。NaCOを10.25g、Yを7.14g、SiOを11.63g、Smを0.22g秤取し、均一に混合した後1400℃で2h溶融した。ガラス材料を注ぎ出して室温まで冷却した後、低温焼きなまし炉の空気雰囲気において700℃まで昇温し、温度を保って5h焼きなましを行った。成型して、30NaO・9.8Y・60SiO・0.2Smである赤色光を発光するガラスが得られた。図5に示すのは、本実施例で製造された発光ガラスの、404nmの紫外線励起による発光スペクトルである。図中、404nm励起において、本実施例で調製された発光ガラスが、565nmの黄色光および601nmの赤色光を発光することを示す。
【実施例17】
【0036】
実施例17は分析用グレードのNaCO、SiOおよび99.99%のY、Tbを採用して、主要原料とした。NaCOを9.28g、Yを2.63g、SiOを10.52g、Tbを6.54g秤取し、均一に混合した後1400℃で2h溶融した。ガラス材料を注ぎ出して室温まで冷却した後、管状炉の95%N+5%Hの還元雰囲気において700℃まで昇温し、温度を保って5h焼きなましを行った。成型して、30NaO・4Y・60SiO・6Tbである緑色光を発光するガラスが得られた。図6に示すのは、本実施例で製造された発光ガラスの、378nmの紫外線励起による発光スペクトルである。図中、378nm励起において、本実施例で調製された発光ガラスが、544nmの緑色光を発光することを示す。
【実施例18】
【0037】
実施例18は分析用グレードのNaCO、SiOおよび99.99%のY、Euを採用して、主要原料とした。NaCOを6.11g、Yを10.42g、SiOを6.93g、Eu(Cを6.55g秤取し、均一に混合した後1500℃で1h溶融した。ガラス材料を注ぎ出して室温まで冷却した後、低温焼きなまし炉の空気雰囲気において800℃まで昇温し、温度を保って5h焼きなましを行った。成型して、25NaO・20Y・50SiO・5Euである赤色光を発光するガラスが得られた。
【実施例19】
【0038】
実施例19は分析用グレードのNaCO、SiOおよび99.99%のY、Euを採用して、主要原料とした。NaCOを12.53g、Y(COを5.68g、SiOを11.39g、Eu(COを3.68g秤取し、均一に混合した後1400℃で2h溶融した。ガラス材料を注ぎ出して室温まで冷却した後、低温焼きなまし炉の空気雰囲気において700℃まで昇温し、温度を保って5h焼きなましを行った。成型して、35.7NaO・4.8Y・57.2SiO・2.3Euである赤色光を発光するガラスが得られた。
【実施例20】
【0039】
実施例20は分析用グレードのNaCO、SiOおよび99.99%のY、Tm、Dyを採用して、主要原料とした。NaCOを10.22g、Yを7.04g、SiOを11.6g、Tmを0.12g、Dyを0.24g秤取し、均一に混合した後1400℃で2h溶融した。ガラス材料を注ぎ出して室温まで冷却した後、低温焼きなまし炉の空気雰囲気において700℃まで昇温し、温度を保って5h焼きなましを行った。成型して、30NaO・9.7Y・60SiO・0.1Tm・0.2Dyである白色光を発光するガラスが得られた。図7に示すのは、本実施例で製造された発光ガラスの、353nmの紫外線励起による発光スペクトルである。図中、353nm励起において、本実施例で調製された発光ガラスが460nm、490nm、578nmの光を発光し、組み合わさって白色光が得られることを示す。
【実施例21】
【0040】
実施例21は分析用グレードのNaCO、KCO、LiCO、SiOおよび99.99%のY、Gd、Tbを採用して、主要原料とした。NaCOを2.86g、KCOを3.49g、LiCOを2.37g、Y(Cを9.6g、Gd(Cを13.08g、SiOを5.33g、Tbを1.57g秤取し、均一に混合した後1300℃で3h溶融した。ガラス材料を注ぎ出して室温まで冷却した後、窒素ガスおよび水素ガスの体積比が95:5である還元雰囲気において、1050℃に温度を保ち2.5時間焼きなましを行った。成型して、12.2NaO・11.4KO・14.5LiO・9.8Y・10.2Gd・40SiO・1.9Tbである緑色光を発光するガラスが得られた。
【実施例22】
【0041】
実施例22は分析用グレードのNaCO、SiOおよび99.99%のGd、Pr(Cを採用して、主要原料とした。NaCOを6.72g、Gdを17.23g、SiOを6.67g、Pr(Cを0.01g秤取し、均一に混合した後1420℃で10h溶融した。ガラス材料を注ぎ出して室温まで冷却した後、低温焼きなまし炉の空気雰囲気において900℃まで昇温し、温度を保って8h焼きなましを行った。成型して、40NaO・30Gd・70SiO・0.001Prである赤色光を発光するガラスが得られた。
【実施例23】
【0042】
実施例23は分析用グレードのNaCO、SiOおよび99.99%のLa(CO、Sc(CO、Eu(CO、Sm(COを採用して、主要原料とした。NaCOを8.80g、SiOを6.1g、La(COを1.69g、Sc(COを1.49g、Eu(COを4.47g、Sm(COを17.74g秤取し、均一に混合した後1650℃で0.5h溶融した。ガラス材料を注ぎ出して室温まで冷却した後、低温焼きなまし炉の空気雰囲気において880℃まで昇温し、温度を保って7h焼きなましを行った。成型して、45NaO・2La・3Sc・5Eu・55SiO・20Smである赤色光を発光するガラスが得られた。
【実施例24】
【0043】
実施例24は分析用グレードのKCO、SiOおよび99.99%のLu、Pr11を採用して、主要原料とした。KCOを12.36g、Lu(Cを8.58g、SiOを10.91g、Pr11を0.09g秤取し、均一に混合した後1200℃で5h溶融した。ガラス材料を注ぎ出して室温まで冷却した後、低温焼きなまし炉の空気雰囲気において700℃まで昇温し、温度を保って5h焼きなましを行った。成型して、32KO・5Lu・65SiO・0.1Prである赤色光を発光するガラスが得られた。
【実施例25】
【0044】
実施例25は分析用グレードのNaCO、SiOおよび99.99%のTbを採用して、主要原料とした。NaCOを7.04g、SiOを7.84g、Tbを13.31g秤取し、均一に混合した後1300℃で4h溶融した。ガラス材料を注ぎ出して室温まで冷却した後、低温焼きなまし炉の空気雰囲気において700℃まで昇温し、温度を保って5h焼きなましを行った。成型して、28NaO・55SiO・15Tbである緑色光を発光するガラスが得られた。
【実施例26】
【0045】
実施例26は分析用グレードのLiCO、SiOおよび99.99%のY、Tbを採用して、主要原料とした。LiCOを11.01g、SiOを5.37g、Yを26.91g、Tbを0.11g秤取し、均一に混合した後1600℃で1h溶融した。ガラス材料を注ぎ出して室温まで冷却した後、低温焼きなまし炉に入れ、空気雰囲気において800℃まで昇温し、温度を保って5h焼きなましを行った。成型して、50LiO・40Y・30SiO・0.1Tbである緑色光を発光するガラスが得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造の物質aMO・bM’・cSiO・dREであり、そのうち、MがNa、K、Liのうちの少なくとも1種であり、M’がY、Gd、La、Sc、Luのうちの少なくとも1種であり、REがCe、Tm、Tb、Ho、Dy、Er、Nd、Sm、Eu、Prのうちの少なくとも1種であり、a、b、c、dがモル分率であり、それらの数値はそれぞれ、aが25〜50、bが0〜40、cが30〜70、dが0.001〜20である、希土類イオンドープしたケイ酸塩発光ガラス。
【請求項2】
前記a、b、c、dの数値は、それぞれaが30〜45、bが5〜30、cが30〜60、dが0.1〜20である、請求項1に記載の希土類イオンドープしたケイ酸塩発光ガラス。
【請求項3】
成分A、B、C、Dを原料とし、そのうち成分AがNa、K、Liの炭酸塩のうちの少なくとも1種であり、成分BがY、Gd、La、Sc、Luの酸化物、シュウ酸塩または炭酸塩のうちの少なくとも1種であり、成分CがSiOであり、成分DがCe、Tm、Tb、Ho、Dy、Er、Nd、Sm、Eu、Prの酸化物、シュウ酸塩または炭酸塩のうちの少なくとも1種であり、前記原料を細かく砕いて均一に混合し、1200〜1650℃に昇温して、0.5〜5h焙焼を行い、溶融したガラス材料を室温まで冷却した後、600〜1100℃に昇温して、0.5〜24h焼きなましを行い、得られた産物を室温まで冷却して成型し、希土類イオンドープしたケイ酸塩発光ガラスが得られる、希土類イオンドープしたケイ酸塩発光ガラスの調製方法。
【請求項4】
原料を乳鉢に入れ、細かく砕いて均一に混合した後、るつぼに入れ、1300〜1600℃で1〜3h溶融し、溶融したガラス材料を注ぎ出して室温まで冷却し、管状炉または低温焼きなまし炉に入れて、650〜900℃まで昇温し、2〜15h焼きなましを行い、得られた産物を室温まで冷却して成型し、希土類イオンドープしたケイ酸塩発光ガラスが得られる、請求項3に記載の希土類イオンドープしたケイ酸塩発光ガラスの調製方法。
【請求項5】
前記各種原料の比率が、以下の構造の物質aMO・bM’・cSiO・dREの各元素のモル分率に基づいて算出され、そのうち、MがNa、K、Liのうちの少なくとも1種であり、M’がY、Gd、La、Sc、Luのうちの少なくとも1種であり、REがCe、Tm、Tb、Ho、Dy、Er、Nd、Sm、Eu、Prのうちの少なくとも1種であり、a、b、c、dがモル分率であり、これらの数値はそれぞれ、aが25〜50、bが0〜40、cが30〜70、dが0.001〜20である、請求項3または4に記載の希土類イオンドープしたケイ酸塩発光ガラスの調製方法。
【請求項6】
前記a、b、c、dの数値は、それぞれaが30〜45、bが5〜30、cが30〜60、dが0.1〜20である、請求項5に記載の希土類イオンドープしたケイ酸塩発光ガラスの調製方法。
【請求項7】
前記原料のうち、成分B、Dの酸化物、シュウ酸塩、炭酸塩およびその他の原料の純度が、分析用グレード以上である、請求項6に記載の希土類イオンドープしたケイ酸塩発光ガラスの調製方法。
【請求項8】
前記原料のうち、成分DがTm、Tb、Dy、Sm、Euの酸化物、シュウ酸塩または炭酸塩のうちの少なくとも1種である、請求項7に記載の希土類イオンドープしたケイ酸塩発光ガラスの調製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−527390(P2012−527390A)
【公表日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−511113(P2012−511113)
【出願日】平成21年5月19日(2009.5.19)
【国際出願番号】PCT/CN2009/071852
【国際公開番号】WO2010/133025
【国際公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(511210109)海洋王照明科技股▲ふん▼有限公司 (21)
【Fターム(参考)】