説明

帯状シートの貼り付け装置および貼り付け方法

【課題】ハンドレールの上面中央から裏面側に沿って帯状の粘着シートを無理なく連続的に貼り付けることができ、小型軽量化が実現できる自走式の貼り付け装置を提供する。
【解決手段】装置は搬送用ローラ45,46によってハンドレール5上に搭載されると共に、前レールガイド43と後レールガイド75によってハンドレールのセンターに位置規制されつつハンドレール上を移動するように動作する。巻き出しローラ1より繰り出される帯状の粘着シート2は、貼着用第1ローラ48、第2ローラ49、植毛60aを備えたブラシ60の作用により、ハンドレールの上面中央から裏面側に沿って順に貼り付けられる。そして、最後に円柱部と円錐部を有する対をなす後レールガイド75によって、粘着シート2の幅方向の両端がハンドレールの裏面側に対して強固に貼り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばエスカレータや動く歩道等に付設されたハンドレール(移動手すり)の表面に、広告または案内情報等を印刷したシート、もしくは化粧用のシートを貼り付ける帯状シートの貼り付け装置および貼り付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エスカレータや動く歩道におけるステップの両側に付設されたハンドレールを、広告表示や案内表示のために利用することが提案されており、前記した広告または案内情報等を印刷した帯状の粘着シートを前記ハンドレール上に連続的に貼り付けるための貼り付け装置も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3645893号公報
【0003】
前記特許文献1に示された貼り付け装置によると、当該貼り付け装置をハンドレール上に固定し、ハンドレールを移送状態(エスカレータや動く歩道を運転状態)にすることで、帯状の粘着シートを貼り付け装置から繰り出してハンドレール上に貼り付けることができるように構成されている。
【0004】
このために、特許文献1に示された貼り付け装置には、剥離シートを貼り合わせた帯状の粘着シートの巻回体を保持する巻き出しローラと、粘着シートを繰り出す際に分離される剥離シート(セパレートフィルム)を巻き取る巻き取りローラが具備されると共に、繰り出された粘着シートをハンドレールの長手方向に直交する湾曲面上に沿って貼り付けるための多数のローラ群が具備されている。
【0005】
ハンドレールを移送状態にして粘着シートをハンドレール上に連続的に貼り付ける特許文献1に示されたような固定式の貼り付け装置においては、欄干部分の滑らかなパネル面に真空の作用で装置を固定する吸着盤や、欄干の上部に装置をクランプするクランプ手段等による固定装置を設けた構成が必要となる。
【0006】
これに加えて、比較的高速度で駆動されるハンドレールに対応して前記粘着シートを繰り出し、また剥離紙を弛まずに巻き取るように作用させるためには、シートの巻き出しローラと巻き取りローラ、およびこれらを支持するフレーム構造体などを機械的に強固に構成させる必要が生ずる。したがって、前記した吸着盤やクランプ手段による固定装置が加わった貼り付け装置は、その全体が大型化し大重量となることは避けられない。
【0007】
それ故、前記したような固定式の装置によると、実際にハンドレールに対する粘着シートの貼り付け作業に要する時間に比較して、前記した貼り付け装置をハンドレールの上部に搬送して装着し、粘着シートの繰り出し位置を調整するなどの前工程の作業に多大の時間を費やすことになり、作業効率を向上させることができないという課題を抱えている。
【0008】
加えて、ハンドレールの移送速度(エスカレータ等の運転速度)は、その大多数は実用上において使用可能な2段階程度の速度切り替えの機能を持つものである。したがって、たとえ低速運転の状態であっても、ハンドレール上に粘着シートを貼り付ける作業条件に対しては過剰に速い速度であり、例えば粘着シートの貼り付けに乱れが生じそうな場合において、これを修正しつつ貼着させるなどの余裕はなく、相当の距離(長さ)にわたって貼着作業の失敗を余儀なくさせるなどの問題も発生し得る。
【0009】
そこで、固定式の貼り付け装置における前記した問題点を解消すべく、ハンドレールの移送を停止させた状態でハンドレール上を移動する自走式の貼り付け装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。これによると、例えばエスカレータのハンドレール上を、上から下に向かって貼り付け装置を移動(転送)させることで、装置から繰り出される粘着シートを連続的に前記ハンドレール上に貼り付けるように作用する。したがって、特許文献2に開示された自走式の貼り付け装置によると、固定式の貼り付け装置における先に述べた代表的な問題点を解消させることができる。
【特許文献2】特開2005−60004号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、前記したハンドレール上に帯状の粘着シートを貼り付けた場合には、多数の利用者によるハンドレールの把持の繰り返しにより、粘着シートに剥がれが生じ易く、ハンドレールの一部において剥がれが生じた場合には、貼着面を把持した利用者に不快感を与えるという問題が生ずる。そこで、粘着シートが利用者の爪先などで容易に剥がされるのを阻止するために、断面が鞍状に形成されたハンドレールの上面から両側面に沿い、さらに裏面側に包み込むようにして帯状の粘着シートを連続的に貼り付ける必要がある。
【0011】
この場合、ハンドレールと粘着シートとの間に気泡を残すことなく、またハンドレールの上面から裏面側にわたって皺が発生することがないように体裁よく貼着することが望まれる。このような要請に応えるために前記特許文献1および2に示された貼り付け装置においては、ハンドレールの上面から両側面に向かい、さらに裏面側に包み込むようにして帯状の粘着シートを順に貼り付けるローラ群を配置した構成(特許文献1に記載の装置)、前記と同様の順序で粘着シートをハンドレールに順次押しつける複数のへらを備えた構成(特許文献2に記載の装置)にされている。
【0012】
しかしながら、前記したローラ群、もしくは複数のへらを配備することで、ハンドレールの上面から裏面側に包み込むようにして粘着シートを体裁よく貼着させようとした場合、特許文献1および2に示された実施の形態に比較して、現実的にはより多数のローラもしくはへらを配備する必要が生ずる。したがって、これら多数のローラもしくはへらを配備するために装置の大型化は避けられず、これにより貼り付け装置の取り扱いを困難にして作業効率を低下させる結果を招来させる。
【0013】
この発明は前記した現実的な問題点に着目してなされたものであり、ハンドレールに沿って移動させることにより帯状の粘着シートを繰り出してハンドレールに貼着する自走式の貼り付け装置を対象とし、合理的な粘着シートの貼着作用を実現させることで、より小型軽量化することが可能な貼り付け装置および貼り付け方法を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記した課題を解決するためになされたこの発明にかかる貼り付け装置は、ハンドレール上に沿って移動させることにより、帯状の粘着シートを繰り出して当該粘着シートをハンドレール上に連続的に貼着する自走式のシート貼り付け装置であって、前記粘着シートを巻回状態にして保持する巻き出しローラと、前記巻き出しローラから繰り出されて前記ハンドレール上に貼り付けられる粘着シートに対して、バックテンションを付与するテンション付与機構が具備され、前記テンション付与機構により粘着シートに対してバックテンションを付与することで、ハンドレール上に貼り付けられる直前の粘着シートの幅方向両端を、それぞれ湾曲状態に変形させるように構成した点に特徴を有する。
【0015】
この場合、好ましくは前記巻き出しローラから繰り出された粘着シートを、前記ハンドレール上に接合する貼着用の第1および第2ローラが具備され、前記第1ローラは装置の進行方向の前方に位置して、前記ハンドレール上面における幅方向の中央部を含む位置に対して前記粘着シートを転動作用により接合させると共に、前記第2ローラは前記第1ローラの後方に位置して、前記ハンドレール上面における幅方向の中央部を避けたハンドレール上面の両側部に対して前記粘着シートを転動作用により接合させるように構成される。
【0016】
加えて、前記第1ローラを構成する表面素材の硬度よりも、前記第2ローラを構成する表面素材の硬度が、より高い関係となるように構成されていることが望ましい。
【0017】
また、前記第1ローラの幅は、前記前記ハンドレールを上面から視た状態の幅に対して、65±5%の範囲に設定されていることが望ましい。さらに、前記第2ローラのそれぞれ内側の端部は、前記第1ローラの外側の端部のさらに外側にそれぞれ2mmを加えた範囲内に位置するように構成されていることが望ましい。
【0018】
また、前記ハンドレールに対する粘着シートの貼着状態において、前記第2ローラの両外側の端部は、前記粘着シートの幅方向の各端部よりもそれぞれ外側に位置するように構成されていることが望ましい。
【0019】
そして、好ましくは装置の進行方向における前記第2ローラの後方に、前記ハンドレールの両外側より、前記ハンドレールの両側面に向かって植毛されたブラシが具備され、前記ブラシの植毛材により前記ハンドレールの少なくとも両側面に対して前記粘着シートを貼着させるように構成される。
【0020】
また、好ましい実施の形態においては、装置の進行方向における最後部に、前記ハンドレールにおける幅方向の両側面にそれぞれ接して転動する対をなすレールガイドが具備され、前記各レールガイドは、ハンドレールにおける幅方向の側面に接する円柱部と、ハンドレールにおける前記両側面に連なる裏面側の一部に接する円錐部とにより構成される。
【0021】
これに加えて、装置の進行方向における最前部に、前記ハンドレールにおける幅方向の両側面にそれぞれ接して転動する対をなすレールガイドがさらに具備され、装置の進行方向における最後部に具備された前記レールガイドと共に、ハンドレールに対する装置の移動位置をガイドするように構成することが望ましい。
【0022】
そして好ましい実施の形態においては、前記巻き出しローラから繰り出された粘着シートより剥離される剥離シートを巻き取る巻き取りローラがさらに具備され、前記粘着シートの繰り出しに伴って前記巻き出しローラに与えられる回転力を、プーリとベルトによる伝達手段により前記巻き取りローラに伝達するように構成される。
【0023】
一方、前記した課題を解決するためになされたこの発明にかかるハンドレール上への粘着シートの貼り付け方法は、ハンドレール上に沿って移動させることにより、巻き出しローラから帯状の粘着シートを繰り出して当該粘着シートをハンドレール上に連続的に貼着する自走式のシート貼り付け装置を用いた粘着シートの貼り付け方法であって、前記巻き出しローラから繰り出されて前記ハンドレール上に貼り付けられる粘着シートに対してバックテンションを付与し、前記バックテンションの付与により、前記粘着シートの長手方向に対して4±1%の伸びを与えた状態で、前記ハンドレール上に貼着する点に特徴を有する。
【発明の効果】
【0024】
前記した構成の貼り付け装置によると、作業者に支持されて装置自身がハンドレール上に沿って移動することで、連続して粘着シートがハンドレールに上に貼着されるように動作する。この時、巻き出しローラから繰り出されて前記ハンドレール上に貼り付けられる粘着シートに対してバックテンションが付与されるように作用するので、粘着シートの長手方向に対して一定の伸びが与えられる。これにより、ハンドレール上に貼り付けられる直前の粘着シートの幅方向の両端を、ハンドレールの曲面に沿って湾曲状態に変形させることができる。
【0025】
すなわち、粘着シートは断面が鞍形になされたハンドレールの外形になじむようにして湾曲状態に変形され、装置の移動に伴って前記した第1ローラ、第2ローラ、ならびに植毛ブラシの作用を受け、ハンドレールの上面中央から両側面に沿い、さらに裏面側に包み込むようにして帯状の粘着シートを無理なく連続的に貼り付けることができる。
【0026】
そして、最後にハンドレールにおける両側面に連なる裏面側の一部に、前記レールガイドの円錐部が接合するように作用するので、これにより帯状になされた粘着シートの幅方向の両端部をレールガイドに対して強固に貼着させることができる。
【0027】
これにより、ハンドレールと粘着シートとの間に気泡を封じ込める度合いを低減させることができると共に、ハンドレールの上面から裏面側にわたって大きな皺などを発生させることなく粘着シートを貼着することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、この発明にかかる帯状シートの貼り付け装置について、図に示す実施の形態に基づいて説明する。なお、この発明にかかる貼り付け装置は、前記したとおり例えばエスカレータのハンドレールの移送を停止させた状態で、ハンドレール上を移動する自走式の貼り付け装置を構成するものである。
【0029】
図1はその貼り付け装置の基本構成を説明するものであり、剥離シート(セパレートフィルム)を貼り合わせた帯状の粘着シートの巻回体を保持する巻き出しローラ1と、粘着シート2を繰り出す際に分離される剥離シート3を巻き取る巻き取りローラ4、および巻き出しローラ1から繰り出される粘着シート2をハンドレール5側に誘導する巻き掛けローラ6の基本構成が示されている。
【0030】
そして、巻き出しローラ1、巻き取りローラ4、巻き掛けローラ6は貼り付け装置の主要部を構成しており、この貼り付け装置は矢印Aに示すようにハンドレール5上を、上から下に向かって移動することで、巻き出しローラ1から繰り出された帯状の粘着シート2を前記ハンドレール5上に連続的に貼り付けるように作用する。なお、ハンドレール5上に貼り付けられる前記粘着シート2には、符号2aで示すように広告や案内情報等が印刷されている。
【0031】
図2〜図4は前記した基本構成を具備する貼り付け装置の全体構成を示したものであり、図2は装置の上面図、図3は一部を透視状態で示した装置の正面図、図4は装置の左側面図を示している。なお、図2および図3に示すように装置は、矢印A方向に移動することで前記したハンドレール上に帯状の粘着シートを貼り付けるように動作する。したがって、図4は装置の進行方向側から視た側面図を示している。また、図5および図6は図3におけるB−B線、C−C線よりそれぞれ矢印方向に視た状態を示す図であり、先ずは前記図2〜図6に基づいて、装置の全体構成について説明する。
【0032】
装置は左右のフレーム部材11,12が、両者にまたがる複数のシャフト13〜23によって平行状態となるように組み立てられている。図に示す装置は、ハンドレール上を上から下に向かって矢印A方向に移動させる場合に、移動方向の右側のハンドレール上に粘着シート2を貼り付ける場合に利用される構成を示している。したがって、図2に示すように進行方向の左側に対応するフレーム部材12の外側に一対のグリップ25a,25bが、着脱可能に取り付けられ、また、進行方向の右側に対応するフレーム部材11の外側に、図示せぬ複数のビスによりプレート部材27が着脱可能に取り付けられている。
【0033】
なお、移動方向の左側のハンドレール上に粘着シートを貼り付ける場合においては、前記一対のグリップ25a,25bと、プレート部材27を左右に入れ替えることで対応することができる。すなわち、作業者は一対のグリップ25a,25bを把持して装置を前記ハンドレール5上に載置し、停止状態のエスカレータのステップを降りながらハンドレール5上を移動させることで、帯状の粘着シートをハンドレール上に貼り付けるようなされる。
【0034】
図2に示すように前記プレート部材27には、このプレート部材27に対して回転可能に取り付けられたシャフト28,29が具備されており、そのうちの一方のシャフト28には、前記した巻き出しローラ1が取り付けられている。なお、符号1aは前記巻き出しローラ1の端面に、蝶ボルトにより取り付けられた円盤状のローラカバーを示している。そして、前記シャフト28にはプレート部材27の外側面において、テンション付与機構として機能するトルクコントローラ30が取り付けられている。
【0035】
前記トルクコントローラ30は、その詳細は図示していないが、前記シャフト28に取り付けられて回転する円盤と、この円盤に対してバネ部材を介して押し当てられる固定円盤からなる摩擦クラッチ機構が内蔵されており、巻き出しローラ1から前記した粘着シート2が繰り出される際に、粘着シートに対して一定のバックテンションを付与するように作用する。
【0036】
この場合、前記トルクコントローラ30によって粘着シート2に対して与えるバックテンションの量は、粘着シートの長手方向に対して4±1%の範囲の伸びを与えるように設定されていることが望ましい。なお、前記バックテンションの作用により粘着シートに伸びを与える場合の前記した望ましい範囲については、後で詳細に説明する。
【0037】
一方、前記プレート部材27に対して回転可能に取り付けられた他方のシャフト29には、前記した巻き取りローラ4が取り付けられている。そして、図2に示すように前記巻き出しローラ1が取り付けられたシャフト28と巻き取りローラ4が取り付けられたシャフト29には、それぞれプーリ31,32が取り付けられ、このプーリ31,32の間にはベルト33が掛け渡されている。これにより、粘着シート2の繰り出しに伴って前記巻き出しローラ1に与えられる回転力が、前記プーリとベルトによる伝達手段により巻き取りローラ4に伝達されるように作用する。
【0038】
なお、前記したプーリ31,32のうち、巻き出しローラ1側のプーリ31は巻き取りローラ4側のプーリ32に対して大径になされており、したがって粘着シートを繰り出す際に分離される剥離シート(セパレートフィルム)3に弛みを発生させることなく、巻き取りローラ4によって巻き取ることができる。
【0039】
図4に示すように装置の進行方向の前方に配置された上下に平行状態のシャフト15,16を利用して、一対のホルダ35,36が取り付けられており、一方のホルダ35は前記したフレーム部材11との間でその位置が固定され、他方のホルダ36は前記シャフト15,16の長手方向に沿ってスライドできるように取り付けられている。そして、前記一対のホルダ35,36の間には、引っ張りバネ37が張架されている。したがって、スライド可能な前記ホルダ36は、前記引っ張りバネ37の作用を受けてホルダ35側に付勢されるように構成されている。
【0040】
図4に示すように、前記ホルダ35,36には、それぞれリンクプレート38,39の一端が取り付けられており、このプレート38,39の他端は、操作部材40を介して互いに回動できるように連結されている。そして、一方のプレート38には係止ピン38aが立設され、他方のプレート39には前記係止ピン38aが入り込む切欠部39aが形成されている。
【0041】
すなわち、前記プレート38,39は、オーバセンタの機能を備えており、前記操作部材40を押し下げることにより、係止ピン38aが切欠部39aに入り込んで、オーバセンタの状態となり、ホルダ35,36が拡開された状態にロックされる。そして、前記操作部材40を押し上げることにより、前記ロック状態が外され、前記したホルダ36はバネ37の作用を受けてホルダ35側に移動し、図4に示すようにハンドレール5を挟んだ状態になされる。
【0042】
前記各ホルダ35,36のそれぞれには、その下側面に対をなすレールガイド(これを前レールガイドとも言う。)42,43が鉛直軸方向で回転可能となるように取り付けられている。前記各前レールガイド42,43は、その一方のレールガイド43において符号で示したように、ハンドレール5における幅方向の側面に接する円柱部43aと、ハンドレール5における前記側面に連なる裏面側の一部に接する円錐部43bとが形成されている。この構成により、対をなすレールガイド42,43は、ハンドレールの両側からハンドレールをオーバハングするようにして回動し、装置をハンドレール5の長手方向に沿って円滑に移動させるように作用する。
【0043】
一方、図3に示すように左右のフレーム部材11,12を連結するシャフト17および21にはそれぞれ搬送用ローラ45,46が取り付けられている。図5には前側の搬送用ローラ45の構成が詳しく示されており、この搬送用ローラ45にはその中央部に僅かな凹み45aが形成され、ハンドレール5の上面を転動する時、比較的大きな円弧をもって形成されたハンドレール5の上面に無理なく接するように作用する。
【0044】
なお、シャフト21に取り付けられた後側の搬送用ローラ46においても、前記した前側の搬送用ローラ45と同一の構成にされている。したがって、前記した前後の搬送用ローラ45,46によって装置の重量を支え、装置を前記した矢印A方向に円滑に搬送するように機能する。
【0045】
また、図3に示すように前側の搬送用ローラ45の若干後方には前記した巻き掛けローラ6が、左右のフレーム部材11,12を連結するシャフト18に対して回転可能に取り付けられている。これにより巻き出しローラ1より繰り出された帯状の粘着シート2は、その繰り出し方向からほぼ直交する角度をもってハンドレール5の上面に沿った方向に転換される。
【0046】
そして、装置の進行方向における前記巻き掛けローラ6の直後には、粘着シート2を前記ハンドレール5上に接合する貼着用の第1ローラ48および第2ローラ49が具備されている。前記第1ローラ48は装置の進行方向の前方に位置して、前記ハンドレール上面における幅方向の中央部を含む位置に対して粘着シート2を転動作用により接合させると共に、前記第2ローラ49は前記第1ローラ48の後方に位置して、前記ハンドレールの上面における幅方向の中央部を避けた主にハンドレール上面の両側部に対して前記粘着シート2を転動作用により接合させるように作用する。
【0047】
すなわち、図6には貼着用の第1および第2ローラ48,49の構成が示されている。なお、図6においては、第2ローラ49は装置から外された状態で、第1ローラ48の直下に置いた状態で示している。図6に示すように第1ローラ48は、ローラの有効幅が狭く形成されており、これにより前記したとおりハンドレール上面における幅方向の中央部を含む位置に対して前記粘着シート2を転動作用により接合させるように機能する。
【0048】
この貼着用の第1ローラ48は、図6に示されているようにシャフト51に対して回転可能に支持され、またシャフト51は左右一対のホルダ52a,52bと、これらを上部で連結する連結部材52cによって支持されている。さらに前記連結部材52cは、左右のフレーム部材11,12に跨がって取り付けられた支持プレート54の直下において、一対のバネ部材55によって鉛直方向の下方に付勢されるようにして取り付けられている。
【0049】
したがって、前記第1ローラ48は前記バネ部材55の付勢力を受けて、ハンドレールの上面に当接して転動し、前記粘着シートの主に中央部をハンドレールの上面に接合させるように作用する。一方、貼着用の第2ローラ49は、図6に示されたようにそのローラが左右に別れて形成されており、これにより前記した第1ローラ48によって接合作用を受けた粘着シートの主に中央部を避けたその両側部分において、前記粘着シートに対して接合作用を与えるように作用する。
【0050】
この貼着用の第2ローラ49は、図6に示されているようにシャフト57に対して回転可能に支持され、このシャフト57は第1ローラ48の支持構造と同様の構成(ホルダ52a,52b、連結部材52c等の構成)によって支持され、同様にバネ部材55の付勢力を受けて、ハンドレールの上面に当接されるように構成されている。
【0051】
なお、前記第1ローラ48および第2ローラ49を構成する各表面素材は、好ましくは発泡ゴム(スポンジ)が用いられ、第1ローラ48を構成する表面素材の硬度よりも、前記第2ローラ49を構成する表面素材の硬度が、より高い関係となるように構成されていることが望ましい。このような硬度差を持たせることにより、ハンドレールと粘着シートとの間に気泡を残すことなく、また粘着シートに皺を発生させる度合いも低減させることができる。
【0052】
因みに前記した第1ローラ48を構成するゴムの硬度(JISA)は10程度とし、第2ローラ49を構成するゴム硬度(JISA)は15程度とすることが望ましい。なお、条件に応じて前記第1ローラ48を構成するゴムの硬度(JISA)は、5〜10の範囲で選択し、第2ローラ49を構成するゴムの硬度(JISA)は、10〜20の範囲で選択することができる。この場合においても、前記と同様に第1ローラ48を構成するゴムの硬度よりも、第2ローラ49を構成するゴムの硬度が、より高い関係となるように組み合わせを選択することが望まれる。
【0053】
図7は、前記した第1ローラ48と第2ローラ49におけるさらに好ましい関係を説明するものであり、図7においてはハンドレール5の上面に粘着シート2を挟んで、ハンドレール5の上を転動する第1ローラ48および第2ローラ49の構成が模式的に示されている。すなわち、第1および第2ローラ48,49は、矢印で示す方向に転動することで移動するようになされ、これにより粘着シート2をハンドレール5の上面に沿って貼り付けるように作用する。
【0054】
ここで、前記第1ローラ48は、ハンドレール5の上面に便宜的に付した中央の線Dに、ローラの中央部が一致するようにして、矢印方向に転動される。そして、前記第1ローラ48の幅(W1)は、前記ハンドレール5を上面から視た状態の幅(W2)に対して、65±5%の範囲に設定されていることが望ましい。これは前記幅W2に対するW1の割合が60%未満である場合には、ハンドレール5に対する粘着シート2の押さえの面積が不足するため、前記第2ローラ以降のローラ対を複数組備える必要が発生し、装置の大型化を招くことになる。
【0055】
これは、ハンドレール5の長手方向に直交する断面形状は、一般的にハンドレール5の上面中央付近が僅かに凸状になされ、両外側が円弧状に構成されているためである。一方、前記幅W2に対するW1の割合が70%を超えると、ハンドレール5の中央部付近において粘着シート2との間に気泡を閉じ込める度合いが大きくなる。
【0056】
さらに、前記第2ローラ49のそれぞれ内側の端部aは、前記第1ローラ48の外側の端部bのさらに外側にそれぞれ2mmを加えた範囲内に位置するように構成されていることが望ましい。図7に示す形態においては、便宜的に鎖線で結んで示したように、前記端部aと端部bは進行方向で一致しているが、要するに端部aと端部bとの間に発生する隙間が最大で2mm以内となるように、第1と第2ローラ48,49の寸法の関係が構成されていることが望ましい。
【0057】
これは前記端部aと端部bとの間に発生する隙間が2mmを超える場合においては、ハンドレール5の長手方向において、前記隙間により粘着シート2の不十分な貼着部分が発生し、ハンドレール5上に二条の筋を発生させるという問題を招来させることになるためである。なお、前記端部aと端部bとの間に隙間が発生しないように、第1と第2ローラ48,49が進行方向でオーバラップされるように構成されていてもよい。
【0058】
また、ハンドレール5に対する粘着シート2の貼着状態において、前記第2ローラ49の両外側の端部cは、前記粘着シート2の幅方向の各端部よりもそれぞれ外側に位置するような寸法関係になされていることが望ましい。この構成により、粘着シート2の幅方向の両端部が上側に捲り上がるのを前記第2ローラ49が効果的に抑制し、粘着シート2の幅方向の両端部を、ハンドレール5の両側面と後述するブラシの植毛との間に、円滑に引き込ませるように誘導させることができる。
【0059】
前記した貼着用の第1および第2ローラ48,49の後方には、図3に示すように左右のフレーム部材11,12を連結する上下のシャフト19,20を利用して一対のブラシ60が取り付けられている。この一対のブラシ60には、ハンドレール5の幅方向の両外側より、ハンドレールの両側面に向かうようにしてそれぞれ植毛60aが施されている。その様子は図8に詳しく示されており、これら一対のブラシ60は、前記した上下のシャフト19,20に取り付けられた図2に示す一対のブラケット62によって、それぞれ三次元方向に位置および姿勢が調整できるように取り付けられている。
【0060】
なお、図に示した形態においては、ハンドレール上における装置の進行に対応して、一対のブラシ60における各植毛60aが、ハンドレールの両側面から裏面側に向かって順に当接するような姿勢に設定されている。したがって、前記した貼着用の第1および第2ローラ48,49によってハンドレールの上面に貼着された粘着シート2の両側辺部は、前記一対のブラシ60(植毛60a)の作用を受けて、ハンドレールの両側面から裏面側に向かって順に回り込むようにして貼り付けられる。
【0061】
図2および図3に示すように装置の進行方向の後端部側に配置された上下に平行状態のシャフト22,23を利用して、一対のホルダ65,66が取り付けられており、一方のホルダ65は前記したフレーム部材11との間でその位置が固定され、他方のホルダ66は前記シャフト22,23の長手方向に沿ってスライドできるように取り付けられている。そして、前記一対のホルダ65,66の間には、引っ張りバネ68が張架されている。したがって、スライド可能な前記ホルダ66は、前記引っ張りバネ68の作用を受けてホルダ65側に付勢されるように構成されている。
【0062】
前記ホルダ65,66には、それぞれリンクプレート70,71の一端が取り付けられており、このプレート70,71の他端は、操作部材72を介して互いに回動できるように連結されている。そして、一方のプレート70には係止ピン70aが立設され、他方のプレート71には前記係止ピン70aが入り込む切欠部71aが形成されている。
【0063】
すなわち、前記プレート70,71は、オーバセンタの機能を備えており、前記操作部材72を装置の後方に引くことにより、係止ピン70aが切欠部71aに入り込んで、オーバセンタの状態となり、ホルダ65,66が拡開された状態にロックされる。そして、前記操作部材72を装置の前方側に向かって押し出すことにより、前記ロック状態が外され、前記したホルダ66はバネ68の作用を受けてホルダ65側に移動するように作用する。
【0064】
前記各ホルダ65,66のそれぞれには、その下側面に対をなすレールガイド(これを後レールガイドとも言う。)74,75が鉛直軸方向で回転可能となるように取り付けられている。この状態は図8に詳しく示されている。前記各後レールガイド74,75は、その一方のレールガイド75に示したように、ハンドレールにおける幅方向の側面に接する円柱部75aと、ハンドレールにおける前記側面に連なる裏面側の一部に接する円錐部75bとが形成されている。
【0065】
この構成により、対をなす後レールガイド74,75は、ハンドレール5の両側からハンドレールをオーバハングするようにして回動する。すなわち、前記した対をなす後レールガイド74,75は、すでに説明した対をなす前レールガイド42,43と協同して、装置をハンドレール5の長手方向に沿って円滑に移動させるガイド作用を実現する。
【0066】
この場合、特に後レールガイド74,75においては、これに形成された円錐部75bがハンドレールにおける両側面に連なる裏面側に接合するように作用するので、これにより帯状になされた粘着シート2の幅方向の両端部をレールガイドに対して強固に貼着させることができる。
【0067】
以上説明した貼り付け装置を用いて、例えばエスカレータのハンドレール上に帯状の粘着テープを貼着するには、エスカレータの上段(上階)部において、ハンドレール上にこの貼り付け装置を載置する。この場合、前記した前側の操作部材40を押し下げて、対をなす前レールガイド42,43をオーバセンタの機能を利用して拡開状態にロックし、同様に後側の操作部材72を後方に引くことにより、対をなす後レールガイド74,75をオーバセンタの機能を利用して拡開状態にロックする。
【0068】
この状態で、前側および後側の搬送用ローラ45,46を利用して装置をハンドレール5上に載せる。この時、粘着シート2の端部を巻き出しローラ1より繰り出して、ハンドレール5上に、そのセンターが一致するようにして仮に貼り付け、前記した前側の操作部材40および後側の操作部材72を操作してオーバセンタのロック状態を解除する。これにより、前レールガイド42,43および後レールガイド74,75の作用により、装置はハンドレール5上に沿って、そのセンターに位置規制されつつ移動できる体制になされる。
【0069】
この状態で一対のグリップ25a,25bを把持し、ハンドレール5上を上階から下に向かって装置を移動させる操作を実行することで、粘着シート2は巻き出しローラ1より順に繰り出され、すでに説明した第1ローラ、第2ローラ、ならびに植毛ブラシの作用によりハンドレール5に対して粘着シート2が貼着される。
【0070】
この場合、巻き出しローラ1より繰り出される粘着シート2にはテンション付与機構によってバックテンションが付与されるように作用し、前記したとおり粘着シートの長手方向に対して4±1%の範囲の伸びが与えられる。これにより、ハンドレール上に貼り付けられる直前の粘着シートの幅方向の両端を、ハンドレールの曲面に沿って効果的に湾曲状態に変形(カーリング)させることができ、帯状の粘着シートを無理なく連続的にハンドレール上に貼り付けることが可能となる。
【0071】
図9および図10は、前記した巻き出しローラ1より繰り出される粘着シート2にバックテンションを付与し、粘着シートの長手方向に対して伸びを与える場合の適切な範囲の考察について説明するものである。ハンドレールに貼り付ける直前における粘着シートに伸びを与えることによる主要な目的は、前記したように粘着シートに対してカーリングを起こさせると共に、ハンドレールへの粘着シートの側面から裏面側への貼り付け部分において、粘着シート皺が発生しないようにするものである。
【0072】
図9はハンドレール5の長手方向に直交する断面図であり、すでに説明したとおりハンドレール5の上面から裏面側に回り込むようにして粘着シート2が貼着される。前記ハンドレール5は標準的な製品においては、その上下方向の寸法hは26mm程度である。
【0073】
図10は、エスカレータにおける前記ハンドレール5の配置状況を示すものであり、周知のとおりハンドレール5はエンドレス状に形成され、上下の階においてそれぞれ半円を描きながら搬送方向が反転されて循環されるように構成されている。このようなエスカレータにおけるハンドレール5は、その反転位置の直径dは標準的な製品においては、780mm程度になされる。
【0074】
図10に、前記反転位置におけるハンドレール5の様子を拡大して示したように、反転位置におけるハンドレールの回転中心と、ハンドレールの表面(e)との半径をR1とし、同じく反転位置における前記回転中心とハンドレール5の裏面(f)との半径をR2とした場合、前記したh=26mm、d=780mmとして、前記反転位置におけるハンドレールの表面eにおける周長と、裏面fにおける周長の比を考察すると、次のように示すことができる。
【0075】
すなわち、前記各周長は図10に示すようにハンドレールの反転位置における符号jからkに至る半周の距離Lで示すことができる。したがって、ハンドレールの表面eにおける周長を(Lej→k)として表わした場合、(Lej→k)=πR1であり、ハンドレールの裏面fにおける周長を(Lfj→k)として表わした場合、(Lfj→k)=πR2である。したがって、前記両者の比は結果として次のように示すことができる。
(Lej→k)/(Lfj→k)=1.072=107.2%
【0076】
すなわち、前記した反転位置におけるハンドレール5の表面eと裏面fとにおいては、前記周長差に基づいて、約7%の伸縮差が発生することになる。したがってハンドレール5に貼着された状態における前記粘着シート2においても同様に約7%の伸縮差の影響を受けることになる。
【0077】
前記した伸縮差は、ハンドレール5の両側から裏側にかけて回り込んで貼着された粘着シート2に浮きを発生させることになり、ハンドレール5の循環に伴い前記した上下階の反転位置に来る度に、前記した浮きの発生作用が繰り返されることになる。これにより、ハンドレール5から粘着シート2に剥がれを発生させることになる。
【0078】
前記した問題を解消するために、ハンドレール5に対して粘着シート2を貼り付けるに際して前記したバックテンションを与えて粘着シート2を伸長し、この状態でハンドレール5に貼着することで、効果的に前記した浮きの発生を低減させることができる。
【0079】
この場合、前記した約7%の伸縮差を吸収するためには、ハンドレールに対して粘着シートを貼り付けるに際して、3〜5%の伸びを与えつつ貼着することで、ハンドレールの両側から裏側にかけて回り込んで貼着される粘着シートに発生しようとする浮きを効果的に抑え込むことができる。
【0080】
すなわち、前記伸びが3%未満では前記した浮きの発生を抑える効果を発揮することはできない。また、前記伸びが5%を超えた場合においても前記した浮きの発生を抑える効果を発揮することはできるが、その効果が向上するものでもない。また、前記伸びが5%を超える場合においては粘着シート2に印刷された画像等に歪みが生じていることが認識され易い。したがって、前記した理由からバックテンションを与えることにより粘着シートに伸びを与える最適値は、4±1%の範囲であるということができる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】この発明にかかる貼り付け装置の基本構成図である。
【図2】貼り付け装置の全体構成を示した上面図である。
【図3】一部を透視状態で示した装置の正面図である。
【図4】装置の左側面図である。
【図5】図3におけるB−B線より矢印方向に視た状態を示す断面図である。
【図6】図3におけるC−C線より矢印方向に視た状態を示す断面図である。
【図7】粘着用第1ローラと第2ローラの好ましい寸法関係を説明する模式図である。
【図8】ハンドレールに搭載された状態における装置の後端部付近を、斜め下方から視た状態の斜視図である。
【図9】ハンドレールに粘着シートを貼り付ける様子を説明する断面図である。
【図10】ハンドレールに貼り付けられる粘着シートに伸びを与える最適な例を説明する模式図である。
【符号の説明】
【0082】
1 巻き出しローラ
2 粘着シート
3 剥離シート(セパレートフィルム)
4 巻き取りローラ
5 ハンドレール
6 巻き掛けローラ
30 トルクコントローラ(テンション付与機構)
42,43 前レールガイド
43a 円柱部
43b 円錐部
45,46 搬送用ローラ
48 貼着用第1ローラ
49 貼着用第2ローラ
60 ブラシ
60a 植毛
74,75 後レールガイド
75a 円柱部
75b 円錐部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドレール上に沿って移動させることにより、帯状の粘着シートを繰り出して当該粘着シートをハンドレール上に連続的に貼着する自走式のシート貼り付け装置であって、
前記粘着シートを巻回状態にして保持する巻き出しローラと、前記巻き出しローラから繰り出されて前記ハンドレール上に貼り付けられる粘着シートに対して、バックテンションを付与するテンション付与機構が具備され、
前記テンション付与機構により粘着シートに対してバックテンションを付与することで、ハンドレール上に貼り付けられる直前の粘着シートの幅方向両端を、それぞれ湾曲状態に変形させるように構成したことを特徴とする帯状シートの貼り付け装置。
【請求項2】
前記巻き出しローラから繰り出された粘着シートを、前記ハンドレール上に接合する貼着用の第1および第2ローラが具備され、
前記第1ローラは装置の進行方向の前方に位置して、前記ハンドレール上面における幅方向の中央部を含む位置に対して前記粘着シートを転動作用により接合させると共に、前記第2ローラは前記第1ローラの後方に位置して、前記ハンドレール上面における幅方向の中央部を避けたハンドレール上面の両側部に対して前記粘着シートを転動作用により接合させるように構成したことを特徴とする請求項1に記載された帯状シートの貼り付け装置。
【請求項3】
前記第1ローラを構成する表面素材の硬度よりも、前記第2ローラを構成する表面素材の硬度が、より高い関係となるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載された帯状シートの貼り付け装置。
【請求項4】
前記第1ローラの幅は、前記ハンドレールを上面から視た状態の幅に対して、65±5%の範囲に設定されていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載された帯状シートの貼り付け装置。
【請求項5】
前記第2ローラのそれぞれ内側の端部は、前記第1ローラの外側の端部のさらに外側にそれぞれ2mmを加えた範囲内に位置するように構成されていることを特徴とする請求項2ないし請求項4のいずれが1項に記載された帯状シートの貼り付け装置。
【請求項6】
前記ハンドレールに対する粘着シートの貼着状態において、前記第2ローラの両外側の端部は、前記粘着シートの幅方向の各端部よりもそれぞれ外側に位置するように構成されていることを特徴とする請求項2ないし請求項5のいずれか1項に記載された帯状シートの貼り付け装置。
【請求項7】
装置の進行方向における前記第2ローラの後方に、前記ハンドレールの幅方向の両外側より、前記ハンドレールの両側面に向かって植毛されたブラシが具備され、前記ブラシの植毛材により前記ハンドレールの少なくとも両側面に対して前記粘着シートを貼着させるように構成したことを特徴とする請求項2ないし請求項6のいずれか1項に記載された帯状シートの貼り付け装置。
【請求項8】
装置の進行方向における最後部に、前記ハンドレールにおける幅方向の両側面にそれぞれ接して転動する対をなすレールガイドが具備され、前記各レールガイドは、ハンドレールにおける幅方向の側面に接する円柱部と、ハンドレールにおける前記両側面に連なる裏面側の一部に接する円錐部とにより構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載された帯状シートの貼り付け装置。
【請求項9】
装置の進行方向における最前部に、前記ハンドレールにおける幅方向の両側面にそれぞれ接して転動する対をなすレールガイドがさらに具備され、装置の進行方向における最後部に具備された前記レールガイドと共に、ハンドレールに対する装置の移動位置をガイドするように構成したことを特徴とする請求項8に記載された帯状シートの貼り付け装置。
【請求項10】
前記巻き出しローラから繰り出された粘着シートより剥離される剥離シートを巻き取る巻き取りローラがさらに具備され、前記粘着シートの繰り出しに伴って前記巻き出しローラに与えられる回転力を、プーリとベルトによる伝達手段により前記巻き取りローラに伝達するように構成したことを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載された帯状シートの貼り付け装置。
【請求項11】
ハンドレール上に沿って移動させることにより、巻き出しローラから帯状の粘着シートを繰り出して当該粘着シートをハンドレール上に連続的に貼着する自走式のシート貼り付け装置を用いた粘着シートの貼り付け方法であって、
前記巻き出しローラから繰り出される粘着シートに対してバックテンションを付与し、前記バックテンションの付与により、前記粘着シートの長手方向に対して4±1%の伸びを与えた状態で、前記粘着シートを前記ハンドレール上に貼着することを特徴とするハンドレール上への粘着シートの貼り付け方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−76817(P2007−76817A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−266951(P2005−266951)
【出願日】平成17年9月14日(2005.9.14)
【出願人】(000005957)三菱鉛筆株式会社 (692)
【出願人】(505348201)有限会社ヤゲタ精器 (2)
【Fターム(参考)】