説明

帯状緯糸供給装置および方法

【課題】 複数巻のリールから開繊糸などの帯状の緯糸を連続的に供給することができる帯状緯糸供給装置および方法を提供する。
【解決手段】 チェンジャ架台3の各位置に装着するリール10から引出す開繊糸14は、先端付近を末端クランプ11で把持しておく。開繊糸14の先端は、末端クランプ11よりも突出させ、突出部分に両面粘着テープ15を貼付けておく。リール10が空に近くなっているかを検知するために、リール空センサ16が設けられる。開繊糸13を製織機に送り出す経路の途中には、クランプ6、スタンプ7およびカッタ8が設けられる。チェンジャ架台3は、たとえば60°ずつ角変位させることで、6つの位置をとり得る。この6つの位置は、位置センサ9で検知することができる。複数のリール10から開繊糸14を順次供給し、リール10間では、自動的に接合して、連続的な供給を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維束を開繊処理して得られる開繊糸などの帯状の緯糸を製織機に供給して織物を製造するための帯状緯糸供給装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、繊維強化複合材料での強化材として使用される炭素繊維、アラミド繊維、ガラス繊維などは、直径数μmの単繊維が数千〜数万本の束となっている状態で提供される。繊維の強度は長さ方向に発揮されるので、面状の強化を行うためには、単繊維を異なる方向に配置する必要があり、織物の形状で強化材としての利用がなされている。織物では、緯糸と経糸とが交差するので、緯糸および経糸はそれぞれ扁平な方が好ましいと考えられる(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
繊維束を扁平な形状とする処理としては、厚さを1〜数本分として数mm〜数十mmの幅に並べる開繊処理がある。開繊処理を施した開繊糸を経糸や緯糸に用い、織物を製造する装置や方法も開示されている(たとえば、特許文献2、3参照)。開繊処理を施した帯状繊維束を製織機に一定の長さ分ずつ緯糸として供給する装置も提案されている(たとえば、特許文献4参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平7−300739号公報
【特許文献2】特許第2983531号公報
【特許文献3】特開2003−253547号公報
【特許文献4】特開2003−82564号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
製織の際には、予め複数本を並べてある経糸に対して、緯糸を1本ずつ順次交差させる必要がある。糸を巻いてリール状の状態で供給するとしても、経糸は複数本を同時に供給すればよいのに対して、緯糸は1本ずつ順次供給する必要がある。一般の自動織機には緯糸を自動的に補充する機構が設けられている。
【0006】
しかしながら、開繊処理した帯状の繊維束のような扁平な形状の緯糸に対しては、自動織機などに使用されているような機構を使用することはできない。特許文献4に開示されているような緯糸供給装置を使用すれば、1巻のリールの範囲では安定に緯糸を供給することができるけれども、リールの交換は人手で行わなければならず、製織を自動化することはできない。
【0007】
本発明の目的は、複数巻のリールから開繊糸などの帯状の緯糸を連続的に供給することができる帯状緯糸供給装置および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、製織機に帯状の緯糸を供給する帯状緯糸供給装置であって、
リールに巻かれている状態の緯糸を、複数巻、保持可能で、1巻ずつ緯糸の引出し位置に移動させることが可能な保持手段と、
保持手段の引出し位置にあるリールから、製織機に予め定める一定の長さ分ずつ送り出す送出手段と、
引出し位置にあるリールで緯糸の残量を検知する検知手段と、
検知手段によって検知される緯糸の残量が予め設定される条件以下になると、リールから引出される緯糸を間隔をあけて把持する把持手段と、
把持手段によって把持される緯糸を切断する切断手段と、
把持手段を制御して、切断された緯糸のリール側を解放させ、保持手段を制御して該リールを引出し位置から移動させ、他のリールを該引出し位置に移動させるように制御する制御手段と、
該他のリールから引出す緯糸の先端を、切断手段によって切断されている緯糸の末端に接合する接合手段とを含むことを特徴とする帯状緯糸供給装置である。
【0009】
本発明に従えば、製織機に帯状の緯糸を供給する帯状緯糸供給装置は、保持手段と、送出手段と、検知手段と、把持手段と、切断手段と、制御手段と、接合手段とを含む。保持手段は、リールに巻かれている状態の緯糸を、複数巻、保持可能で、1巻ずつ緯糸の引出し位置に移動させることが可能であるので、複数のリールに巻かれた帯状緯糸を順次引出し位置に移動させることができる。送出手段は、保持手段の引出し位置にあるリールから、製織機に予め定める一定の長さ分ずつ送り出すので、製織機で必要になる緯糸を送り出すことができる。検知手段は、引出し位置にあるリールで緯糸の残量を検知するので、引出し位置にあるリールが空になっているか否かを検知することができる。把持手段は、検知手段によって検知される緯糸の残量が予め設定される条件以下になると、リールから引出される緯糸を間隔をあけて把持するので、切断手段が緯糸を容易に切断することができる。制御手段は、把持手段を制御して、切断された緯糸のリール側を解放させ、保持手段を制御してそのリールを引出し位置から移動させ、他のリールを引出し位置に移動させるように制御するので、引出し位置のリールを、空になったリールから緯糸を未だ引出していないリールに交換することができる。接合手段は、他のリールから引出す緯糸の先端を、切断手段によって切断されている緯糸の末端に接合するので、リール間でも緯糸の供給が中断することなく、連続的に緯糸を供給することができる。
【0010】
また本発明で、前記把持手段の前記緯糸のリール側は、各リール毎に設けられ、前記制御手段の制御による前記保持手段の移動で、前記引出し位置にあるリールに対して設けられる把持手段が前記切断手段による切断を行う際に、前記緯糸のリール側を把持することを特徴とする。
【0011】
本発明に従えば、把持手段のリール側は、リール毎に設けられるので、保持手段で引出し位置にないリールからの先端を把持しておいたり、ほとんど空になったリールで、切断された緯糸の末端を把持することができる。
【0012】
また本発明で、前記保持手段は、円板状であり、中心軸まわりの予め定める径の周上に、予め定める角度をあけて前記複数のリールを着脱可能に保持し、前記制御手段の制御で、該予め定める角度ずつ該中心軸まわりに角変位することを特徴とする。
【0013】
本発明に従えば、円盤状の保持手段に複数のリールを装着しておいて、予め定める角度ずつ中心軸まわりに角変位することで順次引出し位置に移動させ、複数のリールからの緯糸を連続的に供給することができる。
【0014】
さらに本発明は、製織機に繊維の束を扁平な帯状とした開繊糸を緯糸として供給する方法であって、
リールに巻かれている状態の開繊糸を、複数巻用意しておき、
該複数巻の開繊糸のリールを、緯糸の引出し位置に1巻ずつ移動させて、開繊糸をリールから引出して予め定める一定の長さ分ずつ製織機に供給し、
リールに残る開繊糸の残量が予め定める条件以下になると、リールから引出される開繊糸を間隔をあけて把持しながら、把持の中間を切断し、
切断された開繊糸のリール側を解放させ、解放された開繊糸の末端側のリールを引出し位置から移動させ、他のリールを該引出し位置に移動させて、
該他のリールから引出す開繊糸の先端を、切断されている緯糸の末端に接合して、製織機への供給を続けることを特徴とする帯状緯糸供給方法である。
【0015】
本発明に従えば、繊維の束を扁平な帯状とした開繊糸を製織機に緯糸として供給するために、リールに巻かれている状態の開繊糸を、複数巻用意しておく。複数巻の開繊糸のリールを、緯糸の引出し位置に1巻ずつ移動させて、開繊糸をリールから引出して予め定める一定の長さ分ずつ製織機に供給して、リールに残る開繊糸の残量が予め定める条件以下になると、リールから引出される開繊糸を間隔をあけて把持しながら、把持の中間を切断する。切断された開繊糸のリール側を解放させ、解放された開繊糸の末端側のリールを引出し位置から移動させ、他のリールを引出し位置に移動させて、他のリールから引出す開繊糸の先端を、切断されている緯糸の末端に接合して、製織機への供給を続けるので、複数巻のリールから開繊糸を連続的に供給することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、複数のリールに巻かれた帯状緯糸を順次引出し位置に移動させて、製織機で必要になる緯糸を送り出し、引出し位置にあるリールが空になると、切断して、引出し位置に次のリールを移動させ、緯糸の先端を切断された緯糸の末端に接合して、リール間でも緯糸の供給が中断することなく、連続的に緯糸を供給することができる。
【0017】
また本発明によれば、リール毎に設けられる把持手段のリール側の部分で、保持手段で引出し位置にないリールからの先端を把持しておいたり、ほとんど空になったリールで、切断された緯糸の末端を把持することができる。
【0018】
また本発明によれば、円板状の把持手段を、予め定める角度ずつ中心軸まわりに角変位させて、複数のリールを順次引出し位置に移動させることができ、空になったリールを、引出し位置とは異なる位置で容易に交換することができる。
【0019】
さらに本発明によれば、繊維の束を扁平な帯状とした開繊糸をリールに巻かれている状態で、緯糸の引出し位置に1巻ずつ移動させて、連続的に開繊糸を緯糸として製織機に供給することができる。リールに残る開繊糸の残量が予め定める条件以下になると、リールから引出される開繊糸を間隔をあけて把持しながら、把持の中間を切断し、切断された開繊糸のリール側を解放させ、解放された開繊糸の末端側のリールを引出し位置から移動させ、他のリールを引出し位置に移動させて、他のリールから引出す開繊糸の先端を、切断されている緯糸の末端に接合して、製織機への供給を続けるので、複数巻のリールから開繊糸を連続的に供給することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1、図2および図3は、本発明の実施の一形態である帯状緯糸供給装置1の概略的な構成を示す。図1は正面視した状態、図2は平面視した状態、図3は図1のIII−III方向を見た状態を、それぞれ示す。帯状緯糸供給装置1は、フレーム2に各部が支持され、円盤状のチェンジャ架台3が中心軸まわりに回転する。チェンジャ架台3は、チェンジャモータ4によって回転駆動され、軸受5で回転可能に支持される。緯糸を製織機に送り出す経路の途中には、クランプ6、スタンプ7およびカッタ8が設けられる。チェンジャ架台3は、たとえば60°ずつ角変位させることで、6つの位置をとり得る。この6つの位置は、たとえば位置センサ9で検知することができる。各位置は、たとえば3ビットのコードで識別可能であり、6つのうちの1つの位置が引出し位置になる状態で、その位置の識別コードを位置センサ9で検知する。各位置には、リール10を装着可能であり、各リール10毎に、末端クランプ11、末端固定シリンダ12およびプーリ13が設けられる。各リール10には、開繊糸14を巻付けることができる。
【0021】
開繊糸14は、たとえば径が数μm程度の炭素繊維の単繊維を数千〜数万本束ね、さらに扁平に押し広げる開繊処理が施され、さらに開繊されている形態を維持するようなサイズ処理もなされている。チェンジャ架台3の各位置に装着するリール10から引出す開繊糸14は、先端付近を末端クランプ11で把持しておく。開繊糸14の先端は、末端クランプ11よりも突出させ、突出部分に両面粘着テープ15を貼付けておく。開繊糸14としては、炭素繊維ばかりではなく、アラミド繊維やガラス繊維など、繊維強化複合材料で強化材として使用可能な繊維であれば同様に使用することができる。また、開繊糸14ばかりではなく、スリット加工で帯状に切断した合成樹脂フィルムや、リボン状の織物に対しても、同様に連続的な供給を行うことができる。リール10に開繊糸14が充分に残っているか、空に近くなっているかを検知するために、リール空センサ16が設けられる。リール10から開繊糸14を引出さない状態や位置では、リール10にリールピン17を挿入し、自由回転しないようにしておく。
【0022】
また、帯状の緯糸を切断した後の末端と新たなリール10から引出される先端との接合は、予め先端側に貼付けておく両面粘着テープ15を用いて行うようにしているけれども、スタンプ7の部分で接着剤を供給するようにしてもよい。また、熱可塑性の繊維であれば、加熱や超音波を利用して溶着させることもできる。なお、接合部分は、製織される織物の内部には入らず、幅方向の外部で、耳として切り落される部分となるように、長さが調整される。
【0023】
リール10から開繊糸14を連続的に供給するために、リール駆動モータ20が設けられ、リール10を図1で時計回り方向に回転駆動する。リール駆動モータ20は、リール駆動モータ移動シリンダ21で、リール10に接近する方向とリール10から離隔する方向とに往復移動可能である。チェンジャ架台3で、引出し位置にない位置のリール10には、リールピン17が挿入され、自由回転が阻止される。引出し位置には、リールピン17の挿入と引抜きのために、リールピンクランプシリンダ22およびリールピン移動シリンダ23が設けられる。
【0024】
引出し位置のリール10から引出される開繊糸14に対するクランプ6は、クランプシリンダ26によって開閉される。スタンプ7は、スタンプシリンダ27によって開閉される。カッタ8は、カッタアクチュエータ28によって作動させられる。
【0025】
図4は、リール10の構成を示す。(a)は正面視、(b)は平面断面視した状態をそれぞれ示す。センターシャフト30は、図1のチェンジャ架台3の表面に立設される。センタシャフト30の軸線方向に間隔をあけて、2枚の側板31,32を配置し、側板31,32の中心に配置する中心部材33をセンターシャフト30が貫通するようにしておく。側板31,32の間隔は、スペーサ34によって設定する。スペーサ34の厚みを巻付ける開繊糸14の開繊幅に対応させる。なお、スペーサ34は、複数の板材を組合わせるようにしてもよい。板材の組合わせで、複数の開繊幅に対応させることができる。側板31,32およびスペーサ34には、ピン挿入孔35も設けられる。このピン挿入孔35には、図2に示すようなリールピン17を挿入することができる。
【0026】
図5は、図1の帯状緯糸供給装置1を制御する電気的構成を示す。制御部40は、マイクロコンピュータなどを含んで形成され、予め作成されるプログラムに従って、帯状緯糸供給装置1の動作を制御する。制御部40には、位置センサ9およびリール空センサ16からの検知信号が入力される。また、制御部40からは、チェンジャモータ4、末端固定シリンダ12、リール駆動モータ20、リール駆動モータ移動シリンダ21、リールピンクランプシリンダ22、リールピン移動シリンダ23、クランプシリンダ26、スタンプシリンダ27およびカッタアクチュエータ28をそれぞれ制御する信号が出力される。さらに制御部40は、通信インタフェース41を介して、製織機などと情報通信を行い、緯糸の需要に合わせてリール駆動モータ20を駆動するなどの動作を行う。
【0027】
図6は、図5の制御部40によって、図1〜図3に示す帯状緯糸供給装置1から開繊糸14を連続的に供給する制御手順を示す。ステップs0から帯状緯糸供給装置1の稼働を開始する。図1に示すように、開繊糸14の引出し位置には、1つのリール10が手動でセットされ、さらに他の位置にも開繊糸14を巻付けたリール10がセットされているものとする。リール10のセット時には、他の位置の末端固定シリンダ12は手動で制御可能であり、末端クランプ11を手動で開閉させて、開繊糸14のクランプまでを行っておく。
【0028】
ステップs1では、リール空センサ16が引出し位置のリール10に残存する開繊糸14の残量が少なくなる空の状態を検知しているか否かを判断する。空にならなければ、開繊糸14の緯糸としての供給を継続する。ステップs1でリール10が空と判断するときは、ステップs2で、図5の通信インタフェース41を介して、製織機などに、緯糸の供給を中断する通知を行う。ステップs3では、クランプ6および末端クランプ11で開繊糸14をクランプする。クランプ6と末端クランプ11とは間隔がある。クランプ6は、クランプシリンダ26を作動させて開繊糸14をクランプする。末端クランプ11は、末端固定シリンダ12を作動させて開繊糸14の末端を固定する。ステップs4では、カッタアクチュエータ28を作動させ、カッタ8で開繊糸14をカットする。カッタ8は、把持手段であるクランプ6と末端クランプ11とで把持する開繊糸14を剪断するので、確実にカットすることができる。カットによって切離される開繊糸14の後尾側はクランプ6で把持を続け、末端側は末端クランプ11で把持を続ける。
【0029】
ステップs5では、リール駆動モータ20でリール10を基準角度まで角変位させる。基準角度は、リールピンクランプシリンダ21およびリールピン移動シリンダ23でリール10にリールピン17を挿入または抜取りが可能となる角度である。ステップs6では、リール10のピン挿入口35に、リールピンクランプシリンダ21による駆動でクランプしているリールピン17を、リールピン移動シリンダ23で押込んで挿入する。ステップs7では、リール駆動モータ20をリール駆動モータ移動シリンダ21でリール10から離隔させるように後退させる。ステップs8では、チェンジャモータ4を駆動してチェンジャ架台3を図1の時計回り方向に60°角変位させる。引出し位置には、次のリール10が移動する。リール10が移動すると、末端クランプ11によって把持されている開繊糸14の先端部に貼付けられている両面粘着テープ15は、クランプ6で把持されている切断された開繊糸14の末端に重なる。ステップs9でスタンプシリンダ27を作動させてスタンプ7を閉じると、両面粘着テープ15によって、引出し位置のリール10から引出される開繊糸14の先端とクランプ6で把持している開繊糸14の末端とが接合される。また、新たに引出し位置に移動したリール10から、リールピンクランプシリンダ22およびリールピン移動シリンダ23を作動させてリールピン17を抜取る。さらに、リール駆動モータ20をリール駆動モータ移動シリンダ21で前進させて、リール駆動モータ20の回転軸の先端部に取り付けた治具60のピン61,62を、リール10のピン挿入孔35に挿入し、駆動させる。
【0030】
ステップs10では、クランプシリンダ26および引出し位置の末端固定シリンダ12を制御して、クランプ6および引出し位置の末端クランプ11をそれぞれ開放させる。ステップs11では、通信インタフェース41を介して、製織機などに緯糸の供給再開を通知し、ステップs12でリール駆動モータ20を制御しながら、緯糸の供給を開始し、ステップs1に戻る。
【0031】
図7は、チェンジャ架台3に6つのリール10を装着している状態を示す。時計回り方向の角変位に対して、引出し位置よりも上流側の3つの位置には、まだ開繊糸14が引出されていないリール10aが保持されているものとする。引出し位置には、開繊糸14が一部引出されたリール10bが保持されているものとする。引出し位置よりも下流側には、空と判断されたリール10cが保持されているものとする。引出し位置から引出される開繊糸14は、ダンサー装置50などを介して製織機に緯糸として供給される。
【0032】
図8は、図7の状態から、次のリールに交換する概略的な手順を示す。Aは図7の状態であり、引出し位置のリールが空になると、Bの状態となる。そこで、クランプ6および末端クランプ11による把持が行われて、Cの状態となる。末端クランプ11は、リール10aをチェンジャ架台3に装着した時点から閉じている。次にカッタ8によるカットが行われてDの状態となる。カッタ8が開くと、Eの状態となる。チェンジャ架台3が時計回り方向に角変位を開始すると、Fの状態となる。次のリール10aが引出し位置に移動するとGの状態となる。Hは、スタンプ7が両面粘着テープ15を利用した接合を行う状態を示す。Iは、接合が終了し、スタンプ7が開く状態を示す。次に、スタンプ6および末端クランプ11が開くと、Jに示す状態となる。Kは、緯糸の供給を開始した状態を示す。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施の一形態である帯状緯糸供給装置1の概略的な構成を示す正面図である。
【図2】本発明の実施の一形態である帯状緯糸供給装置1の概略的な構成を示す平面図である。
【図3】図1のIII−III方向から見た側面図である。
【図4】図1〜図3のリール10の構成を示す正面図および平面断面図である。
【図5】図1の帯状緯糸供給装置1を制御する電気的構成を示すブロック図である。
【図6】図5の制御部40によって、図1〜図3に示す帯状緯糸供給装置1から開繊糸14を連続的に供給する制御手順を示すフローチャートである。
【図7】図1のチェンジャ架台3に6つのリール10を装着している状態を示す正面図である。
【図8】図7の状態から、次のリールに交換する概略的な手順を示す正面図である。
【符号の説明】
【0034】
1 帯状緯糸供給装置
3 チェンジャ架台
4 チェンジャモータ
6 クランプ
7 スタンプ
8 カッタ
9 位置センサ
10,10a,10b,10c リール
11 末端クランプ
12 末端固定シリンダ
14 開繊糸
16 リール空センサ
17 リールピン
20 リール駆動モータ
21 リール駆動モータ移動シリンダ
22 リールピンクランプシリンダ
23 リールピン移動シリンダ
26 クランプシリンダ
27 スタンプシリンダ
28 カッタアクチュエータ
40 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製織機に帯状の緯糸を供給する帯状緯糸供給装置であって、
リールに巻かれている状態の緯糸を、複数巻、保持可能で、1巻ずつ緯糸の引出し位置に移動させることが可能な保持手段と、
保持手段の引出し位置にあるリールから、製織機に予め定める一定の長さ分ずつ送り出す送出手段と、
引出し位置にあるリールで緯糸の残量を検知する検知手段と、
検知手段によって検知される緯糸の残量が予め設定される条件以下になると、リールから引出される緯糸を間隔をあけて把持する把持手段と、
把持手段によって把持される緯糸を切断する切断手段と、
把持手段を制御して、切断された緯糸のリール側を解放させ、保持手段を制御して該リールを引出し位置から移動させ、他のリールを該引出し位置に移動させるように制御する制御手段と、
該他のリールから引出す緯糸の先端を、切断手段によって切断されている緯糸の末端に接合する接合手段とを含むことを特徴とする帯状緯糸供給装置。
【請求項2】
前記把持手段の前記緯糸のリール側は、各リール毎に設けられ、前記制御手段の制御による前記保持手段の移動で、前記引出し位置にあるリールに対して設けられる把持手段が前記切断手段による切断を行う際に、前記緯糸のリール側を把持することを特徴とする請求項1記載の帯状緯糸供給装置。
【請求項3】
前記保持手段は、円板状であり、中心軸まわりの予め定める径の周上に、予め定める角度をあけて前記複数のリールを着脱可能に保持し、前記制御手段の制御で、該予め定める角度ずつ該中心軸まわりに角変位することを特徴とする請求項1または2記載の帯状緯糸供給装置。
【請求項4】
製織機に繊維の束を扁平な帯状とした開繊糸を緯糸として供給する方法であって、
リールに巻かれている状態の開繊糸を、複数巻用意しておき、
該複数巻の開繊糸のリールを、緯糸の引出し位置に1巻ずつ移動させて、開繊糸をリールから引出して予め定める一定の長さ分ずつ製織機に供給し、
リールに残る開繊糸の残量が予め定める条件以下になると、リールから引出される開繊糸を間隔をあけて把持しながら、把持の中間を切断し、
切断された開繊糸のリール側を解放させ、解放された開繊糸の末端側のリールを引出し位置から移動させ、他のリールを該引出し位置に移動させて、
該他のリールから引出す開繊糸の先端を、切断されている緯糸の末端に接合して、製織機への供給を続けることを特徴とする帯状緯糸供給方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2006−16732(P2006−16732A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−196570(P2004−196570)
【出願日】平成16年7月2日(2004.7.2)
【出願人】(000182247)サカイオーベックス株式会社 (35)
【出願人】(592029256)福井県 (122)
【Fターム(参考)】