説明

帯電器及びこれを搭載した画像形成装置

【課題】 簡便な構造により、像担持体表面の損傷を防止し、像担持体表面近傍に設けられた放電部材を容易に清掃することが可能な帯電器を提供する。
【解決手段】 帯電器40は、本体であるシールドケース41、放電部材であるチャージワイヤ42、及びグリッド43を備える。シールドケース41は像担持体である感光体ドラム21の軸線方向と略平行になるように設けられ、この両端間にチャージワイヤ42、及びグリッド43が架設される。また、帯電器40は、グリッド43の架設方向に移動してこれを清掃する清掃部材46、およびその移動手段80を備える。帯電器40は、シールドケース41が支持部材11の角孔13に挿入されて支持され、感光体ドラム21に対して接近、退避両様の位置をとり得る。このシールドケース41の位置変更は、清掃部材46の移動手段80を駆動することによってなされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やプリンタに代表される電子写真方式の画像形成装置において用いられる帯電器に関する。また、この帯電器を搭載した画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタに代表される電子写真方式の画像形成装置では、帯電器によって像担持体表面を帯電させ、光照射により部分的に電位を光減衰させて原稿画像の静電潜像を形成して、この静電潜像をトナーで現像した可視トナー像を用紙に転写する。トナー像転写後、像担持体表面においては、残留したトナーがクリーニング装置によりクリーニングされ、新たな静電潜像の形成に備えて除電される。
【0003】
像担持体表面を帯電させる帯電器には、コロナ放電を利用した非接触方式のものや、ブラシ、ローラ等を接触させる接触方式のものがある。なかでも広く知られているのが、コロナ放電を利用したスコロトロン方式の帯電器である。スコロトロン方式の帯電器は、放電部材であるチャージワイヤと、放電状態をコントロールするグリッドとを備えている。この帯電器は、グリッドが像担持体表面近傍に位置するように配置され、これらの放電部材に所定電圧を印加することにより、像担持体表面を帯電させる。
【0004】
像担持体表面の帯電電位を好適な状態に維持するためには、チャージワイヤやグリッド等の放電部材の清掃を行う必要がある。これらの部材がトナーや放電生成物等により汚れてしまうと、コロナ放電に悪影響を及ぼし、像担持体の表面電位に乱れが生じる。例えば、表面電位にムラが生じると、画像濃度にもムラが生じる。さらに、放電部材の汚れは帯電器自体にも悪影響を及ぼし、帯電器の低寿命化を招く恐れもある。このような問題を解決すべく、チャージワイヤやグリッドを清掃する清掃部材を備えた帯電器が提案され、その例を特許文献1及び2に見ることができる。
【特許文献1】特開平8−62950号公報(第4−7頁、図2)
【特許文献2】特開平9−73214号公報(第3−5頁、図1、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、帯電器のグリッドと像担持体表面との間隔は、一般的に約0.5mm程度と極めて狭くなっている。これにより、グリッドを清掃する時、清掃部材が像担持体に接触し、その表面が損傷してしまう可能性が高い。したがって、グリッド等の放電部材を清掃する清掃部材を備えた帯電器としては、清掃部材が像担持体表面に接触しないような配慮を施した設計がなされたものが望まれている。
【0006】
特許文献1に記載のスコロトロン方式の帯電器は、グリッドの架設方向に移動してグリッドを清掃するグリッド清掃部材を備え、グリッドと像担持体との間に清掃部材を通すためにグリッドの張力調整手段が設けられ、清掃部材の移動とともにグリッドの張力を緩和してグリッドを像担持体から離れる方向に押すことができるようになっている。しかしながら、清掃部材の移動に伴ってグリッドの張力を緩和できるという張力調整手段は、構成部材の形状や配置に十分な配慮が必要となり構造が非常に複雑になるので、コストアップの原因となる。また、清掃する度にグリッドの張力を弱めたり、強めたりするので、そのような張力の強弱の繰り返しによりグリッドが変形し、放電時にグリッドに必要な張力が保持できなくなるといった不具合が発生する恐れもある。
【0007】
特許文献2に記載の画像形成装置は、ソレノイドを用いて、帯電手段(帯電器)を像担持体から離したり、近づけたりできるようにしている。しかしながら、ソレノイドを用いた、帯電手段の移動機構をあらためて設ける必要があるので、上記特許文献1同様、構造が非常に複雑になりコストアップが懸念される。さらに、移動機構の制御手段を画像形成装置に組み込む必要があるので、大幅なコストアップとなる可能性がある。
【0008】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、放電部材を清掃する清掃部材を備えた帯電器において、複雑な構造を用いることなく簡便な構造により、像担持体表面の損傷を防止して容易に放電部材を清掃することが可能な帯電器を提供することを目的とする。また、このような帯電器を搭載した画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明は、放電部材を用いて像担持体表面を帯電させるものであって、本体と、この本体に設けられ、前記放電部材の架設方向に移動して放電部材を清掃する清掃部材とを備えた帯電器において、前記本体は、前記像担持体に対して接近、退避両様の位置をとり得るものであって、この位置変更が、前記清掃部材を移動させる移動手段によってなされることとした。
【0010】
また、前記本体の位置変更は、前記清掃部材の移動と同時に行われることとした。
【0011】
また、前記清掃部材の移動とともに回転するカムを設けたカム機構を備えるとともに、このカムが前記本体を支持する支持部材に係合することにより、本体が前記退避位置へと移動せしめられることとした。
【0012】
また、前記本体の位置変更は、前記放電部材の架設方向の一端を中心とした回転移動によってなされることとした。
【0013】
また、前記本体の前記カム機構が備えられた箇所を、前記像担持体に接近させる方向に付勢する付勢手段を備えることとした。
【0014】
また、前記本体の位置変更は、前記放電部材の架設方向の一端を中心とした回転移動と、この回転移動の中心となる本体端部を前記像担持体に対して接近、退避させる移動とによってなされることとした。
【0015】
また、前記移動手段は、前記清掃部材が係合し、清掃部材が前記回転移動の中心となる本体端部から遠ざかるに従ってこの本体端部を前記像担持体から退避させるガイドレールを備えることとした。
【0016】
また、前記回転移動の中心となる本体端部を、前記像担持体から退避させる方向に付勢する付勢手段を備えることとした。
【0017】
また本発明では、上記帯電器を画像形成装置に搭載することとした。
【発明の効果】
【0018】
本発明の構成によれば、帯電器の本体は、像担持体に対して接近、退避両様の位置をとり得るものであって、この位置変更が、清掃部材を移動させる移動手段によってなされることとしたので、本体を像担持体からから離したり、近づけたりする手段を別途設ける必要がない。これにより、複雑な構造を用いることなく、低コスト化が図られた簡便な構造により、帯電器を像担持体から退避させることができる。したがって、像担持体表面の損傷を防止して容易に放電部材を清掃することが可能となる。放電部材の清掃を確実に行うことで、高画質の画像形成と、帯電器の長寿命化とを実現することができる。
【0019】
また、上記構成の帯電器において、本体の位置変更は、清掃部材の移動と同時に行われることとしたので、清掃時間の短縮を図ることが可能となる。また、本体の位置変更と、清掃部材の移動とを別々に行わせるための機構を必要としないので、さらに構造を簡素化でき、帯電器のコストアップを抑制することができる。
【0020】
また、上記構成の帯電器において、清掃部材の移動とともに回転するカムを設けたカム機構を備えるとともに、このカムが本体を支持する支持部材に係合することにより、本体が退避位置へと移動せしめられることとしたので、カム機構を用いることにより、清掃部材を放電部材の架設方向に移動させる力を、帯電器を像担持体から退避させることに利用することが可能となる。したがって、容易に帯電器を像担持体から退避させることができる。
【0021】
また、上記構成の帯電器において、本体の位置変更は、放電部材の架設方向の一端を中心とした回転移動によってなされることとしたので、例えばソレノイドのような機能部材を用いて、像担持体の軸線と直角をなす方向に帯電器本体をスライド移動させるような複雑な構造を必要としない。したがって、所定の支点を中心として回転させるという簡便な機構により、一層容易に帯電器を像担持体に対して接近、退避させることができる。
【0022】
また、上記構成の帯電器において、本体のカム機構が備えられた箇所を、像担持体に接近させる方向に付勢する付勢手段を備えることとしたので、像担持体から退避させた帯電器を、接近位置へ移動させ易くするとともに、放電時に位置すべき所定の場所に正確に移動させることができる。これにより、放電部材の清掃のために帯電器本体を移動させたとしても、画像形成動作において像担持体を帯電させる時には、本体は所定の場所に位置しているので、像担持体表面の帯電特性に悪影響を及ぼすことがない。
【0023】
また、上記構成の帯電器において、本体の位置変更は、放電部材の架設方向の一端を中心とした回転移動と、この回転移動の中心となる本体端部を像担持体に対して接近、退避させる移動とによってなされることとしたので、帯電器の本体全体を像担持体から退避させることが可能となる。これにより、回転移動の中心となる箇所も、放電部材の清掃時における像担持体表面の損傷を防止することができるのとともに、放電部材全体を確実に清掃することが可能となる。
【0024】
また、上記構成の帯電器において、清掃部材の移動手段は、清掃部材が係合し、清掃部材が前記回転移動の中心となる本体端部から遠ざかるに従ってこの本体端部を像担持体から退避させるガイドレールを備えることとしたので、回転移動の中心となる本体端部を像担持体からから離したり、近づけたりする手段を別途設ける必要がない。これにより、複雑な構造を用いることなく、低コスト化が図られた簡便な構造により、帯電器全体を像担持体から退避させることができる。
【0025】
また、上記構成の帯電器において、前記回転移動の中心となる本体端部を、像担持体から退避させる方向に付勢する付勢手段を備えることとしたので、清掃部材の移動とともに、帯電器の本体端部を像担持体から退避させ易くすることができる。これにより、帯電器全体を確実に像担持体から退避させることができるので、放電部材の清掃時における像担持体表面の損傷防止に対する安全性がさらに高められる。
【0026】
また本発明では、上記帯電器を画像形成装置に搭載することとしたので、複雑な構造を用いることなく簡便な構造により、像担持体表面の損傷を防止して容易に放電部材を清掃することが可能な高性能な画像形成装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図1〜図17に基づき説明する。
【0028】
最初に、本発明の実施形態に係る帯電器を搭載した画像形成装置について、図1を用いてその構造の概略を説明しつつ、画像出力動作を説明する。図1は、画像形成装置を示す模型的垂直断面正面図である。なお、図中の実線矢印は用紙の搬送経路、及び搬送方向を示し、一点鎖線矢印はレーザ光Lを示す。
【0029】
図1に示すように、画像形成装置1の下部には、給紙部2が配置されている。給紙部2の内部には、印刷前のカットペーパー等の用紙Pが積載して収容され、ここから1枚ずつ分離して用紙Pが送り出される。
【0030】
画像形成装置1の内部であって、給紙部2の左方には、用紙搬送部3が備えられている。給紙部2から送り出された用紙Pは、用紙搬送部3により画像形成装置1の側面に沿って垂直上方に搬送され、後述する転写部30に至る。
【0031】
一方、画像形成装置1の上面には原稿送り部4が、その下方には原稿画像読み取り部5が備えられている。使用者が原稿の複写を行う場合には、原稿送り部4に、文字や図形、模様等の画像が描かれた原稿を積載する。原稿送り部4では1枚ずつ分離して原稿が送り出され、原稿画像読み取り部5によってその画像データが読み取られる。この画像データの情報は、給紙部2の上方であって、画像形成装置1の中央部に配置されたレーザ照射部6に送られる。レーザ照射部6により、画像データに基づいて制御されたレーザ光Lが、後述する画像形成部20に向かって照射される。
【0032】
用紙搬送部3の上方であって、レーザ照射部6の左方には、画像形成部20、及び転写部30が備えられている。画像形成部20では、レーザ照射部6によって照射されたレーザ光Lにより原稿画像の静電潜像が作られる。この静電潜像からトナー像が形成され、トナー像は、前記用紙搬送部3によって同期をとって送られてきた印刷前の用紙Pに、転写部30にて転写される。
【0033】
転写部30の上方には、定着部7が備えられている。転写部30にて未定着トナー像を担持した用紙Pは、定着部7へと送られ、熱ローラによりトナー像が加熱、溶融されて定着される。
【0034】
定着部7の上方には、分岐部8が備えられている。定着部7から排出された用紙Pは、両面印刷を行わない場合には、分岐部8から画像形成装置1の胴内に設けられた用紙排出トレイ9に排出される。
【0035】
分岐部8から用紙排出トレイ9に向かって用紙Pが排出されるその排出口部分は、スイッチバック部10としての機能を果たす。両面印刷を行う場合には、このスイッチバック部10において、定着部7から排出された用紙Pの搬送方向が切り替えられる。そして、用紙Pは、定着部7の左方、及び転写部30の左方を通って下方に送られ、再度用紙搬送部3を経て転写部30へと送られる。
【0036】
次に、画像形成装置1の画像形成部20周辺の詳細な構成について、図2を用いて説明する。図2は、画像形成部周辺を示す模型的垂直断面部分拡大図である。なお、図2に描いた画像形成部20周辺の構造は、図1に記載のそれを、用紙搬送方向が水平となるように描き直したものであって、発明の内容を説明するにあたって、省略可能な部品については描画を省略している。
【0037】
図2に示すように、画像形成部20には、その中心に像担持体である感光体ドラム21が備えられている。そして、感光体ドラム21の近傍には、その回転方向に沿って順に、帯電器40、現像装置50、クリーニング装置60、及び除電装置70が配置されている。転写部30は、感光体ドラム21の回転方向に沿って、現像装置50とクリーニング装置60との間に設けられている。
【0038】
感光体ドラム21は、アルミニウム等により構成される導電性ローラ状基体22と、その外側に設けられた感光層23とを備えている。感光層23には、真空蒸着等によって無機光導電性材料であるアモルファスシリコンを設けている。感光体ドラム21は、図示しない駆動装置によって、その周速度が用紙搬送速度(例えば175mm/sec)と同じになるように回転せしめられている。
【0039】
帯電器40は、コロナ放電帯電器を用いたスコロトロン帯電装置である。帯電器40は、帯電器本体である金属製のシールドケース41を備えている。シールドケース41は、開口部が感光体ドラム21の方を向く樋状をなしている。このシールドケース41には、タングステンやステンレス等で構成される放電部材であるチャージワイヤ42、及びグリッド43が設けられている。チャージワイヤ42はシールドケース41の内部に、グリッド43はシールドケース41の開口した一面の箇所に、感光体ドラム21の軸線方向に沿う形で架設されている。この帯電器40により、感光体ドラム21の表面が所定の極性及び電位で一様に帯電せしめられる。帯電器40の詳細な構成については、後述する。
【0040】
現像装置50には、感光体ドラム21の近傍に、感光体非接触型の現像ローラ51が設けられている。現像ローラ51には、感光体ドラム21の帯電極性と同極性のバイアスが印加される。この現像ローラ51により、現像剤であるトナーが帯電せしめられるとともに、感光体ドラム21の表面の静電潜像に飛翔せしめられ、静電潜像が現像される。トナーとしては、磁性或いは非磁性の一成分系トナーや、磁性キャリアと絶縁性トナーとを混合してなる二成分系トナーを使用する。なお、現像ローラは感光体接触型のものであっても構わない。
【0041】
転写部30には、感光体ドラム21に接触する転写ローラ31が設けられている。転写ローラ31は、芯金32と、その外側に設けられた導電性弾性層33とを備えている。導電性弾性層33は、カーボン等の導電性材料を分散させたポリウレタンゴム等で形成されている。この転写ローラ31が感光体ドラム21に圧接し、用紙Pを挿通させる転写ニップ部を形成する。転写ローラ31は、図示しない駆動装置によって、その周速度が感光体ドラム21の周速度と同じになるように回転せしめられている。また、転写ローラ31には、必要に応じて転写バイアスが印加される。
【0042】
クリーニング装置60は、感光体ドラム21の回転方向に沿って、転写ニップ部のさらに下流側に配置されている。クリーニング装置60は、クリーニング部材であるクリーニングブレード61、ハウジング62、及びスクリュー(図示せず)を備えている。クリーニングブレード61は、感光体ドラム21とほぼ同じ軸線方向長さを有し、感光体ドラム21に接触するように設けられている。このクリーニングブレード61によって、転写後、感光体ドラム21表面に残留したトナーを除去してクリーニングする。感光体ドラム21表面から除去されたトナーは、ハウジング62内に回収され、スクリュー(図示せず)によりクリーニング装置60の外部へと搬送される。
【0043】
除電装置70は、LED(発光ダイオード)71で構成され、感光体ドラム21に光を照射することによりその表面の除電を行う。LED71の代わりに、EL(エレクトロルミネッセンス)光源、蛍光灯等を用いることもできる。
【0044】
ここで、上記画像形成部20、及び転写部30の一連の動作について説明する。
【0045】
まず、帯電器40において、チャージワイヤ42に所定の電圧を印加して、コロナ放電を発生させる。コロナ放電により生じた電子は空気中を浮遊して感光体ドラム21に向かうが、この時グリッド43に電圧を印加して電子の量をコントロールする。このようにして、帯電器40により、感光体ドラム21の表面が所定の極性及び電位で一様に帯電せしめられる。このときの帯電電位は、通常は200〜1000V程度である。
【0046】
続いて、原稿画像読み取り部5(図1参照)で読み取られた画像データに基づいて、レーザ照射部6(図1参照)により制御されるレーザ光Lが感光体ドラム21に照射され、照射部分の電位が光減衰して原稿画像の静電潜像が作られる。そして、現像装置50にて帯電せしめられたトナーが、現像ローラ51によって感光体ドラム21の表面に供給され、静電潜像からトナー像が形成される。
【0047】
一方、用紙Pは、用紙搬送部3(図1参照)によって感光体ドラム21表面のトナー像形成と同期がとられ、感光体ドラム21と転写ローラ31が接触して形成される転写ニップ部に挿通される。このとき、転写ローラ31には、感光体ドラム21やトナーとは逆極性である負極の転写バイアスが印加される。これにより、トナーが感光体ドラム21から転写ローラ31へと移動し、トナー像が用紙Pに接触転写される。
【0048】
トナー像転写後、感光体ドラム21表面に残留したトナーは、クリーニング装置60に設けられたクリーニングブレード61により掻き取るように除去される。ハウジング62内に回収されたトナーは、スクリュー(図示せず)によりクリーニング装置60の外部へと搬送される。
【0049】
感光体ドラム21表面のトナーがクリーニングされた後、除電装置70で感光体ドラム21表面の除電が行われることにより、次の画像形成動作のための準備が整えられる。
【0050】
次に、本発明の第1の実施形態に係る帯電器40の詳細な構成について、図3〜図8を用いて説明する。図3は、帯電器と感光体ドラムとを組み立てた状態を示す左側面図である。図4は帯電器の斜視図、図5は同じく部分拡大斜視図、図6はシールドケースを取り外した状態の帯電器を示す左側面図である。図7は帯電器の支持部材の正面図、図8は同じく斜視図である。なお、図3、及び図6において、右方が画像形成装置1の前面側、左方が背面側である。
【0051】
図3に示すように、帯電器40には、その本体であるシールドケース41が、感光体ドラム21の軸線方向と略平行になるように設けられている。帯電器40は、画像形成装置1に備えられた2個の支持部材11により支持されている。なお、図3においては、画像形成装置1の前面側の支持部材11のみ描画し、背面側の支持部材11は描画を省略して二点鎖線で示している。帯電器40と感光体ドラム21との組み立て状態において、帯電器40のギアケース44と、画像形成装置1の前面側の支持部材11とは、互いに近接した状態で配置されている(図3参照)。支持部材11における帯電器40の収容箇所には、シールドケース41を感光体ドラム21に接近する方向に付勢する付勢手段であるばね12が設けられている。ばね12は、圧縮コイルばねで構成されているが、板ばねやゴム、スポンジ等の弾性部材であっても構わない。帯電器40は、メンテナンス等のために、支持部材11に対して前面側、すなわち図3において右方に引き出すことが可能である。
【0052】
図4、及び図5に示すように、樋状のシールドケース41の両端部には、合成樹脂製の絶縁部材45が設けられている。シールドケース41の内部にはチャージワイヤ42(図2参照)が、開口部にはグリッド43が、2個の絶縁部材45の間に架設されている。図3に示す帯電器40と感光体ドラム21との組み立て状態において、グリッド43と感光体ドラム21表面との間隔が0.5mmになるように、感光体ドラム21に対して帯電器40が配置されている。
【0053】
図6に示すように、シールドケース41の内部には、チャージワイヤ42、及びグリッド43の清掃部材46、及びネジ棒81が備えられている。ネジ棒81は、シールドケース41両端の絶縁部材45の間に渡され、清掃部材46の支持体46aを貫通している。支持体46aのネジ棒81貫通部にはネジ溝が設けられ、支持体46aとネジ棒81とがネジにより互いに係合している。清掃部材46の先端には、チャージワイヤ42、及びグリッド43に接触するクリーニングパッド46bが設けられている。したがって、ネジ棒81を回転させることにより、清掃部材46がチャージワイヤ42、及びグリッド43の架設方向で前面側、及び背面側にスライド移動して、これらを清掃することができる。なお、清掃部材46は、ネジ棒81が回転する時、ネジ棒81の軸線を中心として回転しないようになっている。
【0054】
図4に示すように、シールドケース41の前面側の端部には、ギアケース44が備えられている。このギアケース44の内部には、ネジ棒81(図6参照)を回転させるモータ82と、減速ギア83とが備えられている。減速ギア83は、複数のギア群で構成され、モータ82の回転を所定の回転に減速してネジ棒81に伝達するものである。このようなネジ棒81、モータ82、及び減速ギア83により、清掃部材46の移動手段80を構成している。
【0055】
帯電器40は、図7、及び図8に示す支持部材11により、画像形成装置1に支持されている。なお、図7、及び図8では、帯電器40と感光体ドラム21との位置関係を把握するために、感光体ドラム21の位置を二点鎖線で示している。支持部材11には、帯電器40のシールドケース41が挿入される角孔13が設けられている。この角孔13は、感光体ドラム21の半径方向、すなわち感光体ドラム21に対して接近したり、退避したりする方向に、シールドケース41の長さよりも長い。これにより、シールドケース41は、角孔13内で感光体ドラムに対して退避する方向に移動可能であるが、前述のように付勢手段であるばね12(図3参照)により感光体ドラム21に接近する方向に付勢されている。
【0056】
近接する帯電器40のギアケース44と支持部材11との間には、図3、図4、図7、及び図8に示すように、カム機構90が設けられている。カム機構90は、カム91、カムギア92、及びカム係合突起93を備えている。
【0057】
カム91、及びカムギア92は、図3、図4及び図5に示すように、帯電器40のギアケース44に備えられている。カム91は、支持部材11側のギアケース44の表面に露出して、ネジ棒81(図6参照)の軸線と平行なその軸線を中心として回転自在に取り付けられている。カム91は、カムギア92に結合され、カムギア92に連結する減速ギア83を介してモータ82により回転せしめられる。これにより、モータ82が回転し、清掃部材46の移動と同時にカム91も回転することになる。カム係合突起93は、図7、及び図8に示すように、ギアケース44側の支持部材11の表面に設けられている。帯電器40が支持部材11の角孔13に挿入され、感光体ドラム21に対する所定の位置に取り付けられると、カム91は、その側面91aがカム係合突起93の頂部93aに係合することになる。カム91は、感光体ドラム21の軸線と直角をなす方向の断面形状が、所定角度まで回転する度に、帯電器40のシールドケース41を、感光体ドラム21に対して接近する位置と退避する位置との間で移動せしめる形状をなしている。
【0058】
続いて、上記構成の帯電器40の清掃時の動作について、図3、及び図6に加えて、図9〜図11を用いて説明する。図9は帯電器と感光体ドラムとの位置関係を示す模型的背面図にして、帯電器が感光体ドラムに対して接近位置にある状態を示すもの、図10は同じく帯電器が感光体ドラムに対して退避位置にある状態を示すものである。図11は、図3と同様の帯電器と感光体ドラムとを組み立てた状態を示す左側面図にして、帯電器が感光体ドラムに対して退避位置にある状態を示すものである。なお、図9、及び図10においては、構成を把握し易いように、感光体ドラム21、及び支持部材11を二点鎖線で描画している。
【0059】
図3、及び図9に示すように、画像形成部20の通常の画像形成動作時において、帯電器40の本体であるシールドケース41は、感光体ドラム21に対して接近位置にある。この時、グリッド43と感光体ドラム21表面との間隔は0.5mmである。そして、図6に示す清掃部材46は、シールドケース41の背面側、すなわち図6において左方の端部に位置している。
【0060】
この状態から、清掃部材46によるチャージワイヤ42、及びグリッド43の清掃を開始すると、ネジ棒81がモータ82により回転せしめられ、清掃部材46がシールドケース41の前面側に向かって移動する。モータ82を清掃のために駆動すると、減速ギア83、及びカムギア92を介してカム91も同時に回転する。そして、カム91は、その側面91aをカム係合突起93の頂部93aに係合させながら回転する。これにより、シールドケース41は、支持部材11の角孔13内を、ばね12の弾発力に抗して感光体ドラム21に対する退避方向に移動し始める。
【0061】
モータ82の駆動により、清掃部材46がチャージワイヤ42、及びグリッド43を清掃しながら移動するのとともに、カム91が所定角度まで回転すると、シールドケース41は、図10、及び図11に示すように、感光体ドラム21に対して退避位置に移動する。シールドケース41を退避位置に移動せしめるカム機構90は、図11に示すようにシールドケース41の前面側に設けられているので、シールドケース41の位置変更は、背面側の端部Aを中心とした回転移動(図11矢印B)によってなされる。
【0062】
なお、感光体ドラム21に対するシールドケース41の接近位置から退避位置への位置変更は、清掃部材46がシールドケース41の背面側端部から前面側端部に向かって1/4程度進んだ時に終了する。カムギア92、または減速ギア83のいずれか一方に、局部的に歯を欠損させたギアやトルクリミッタ等の過負荷防止装置を用いることにより、シールドケース41の位置変更が終了した後も清掃のためにモータ82が回転したとしても、カム機構90に負荷を掛けることなく清掃部材46を移動させることができる。
【0063】
清掃部材46をシールドケース41の前面側から背面側に戻す時、清掃部材46がシールドケース41の背面側端部から前面側端部に向かって1/4程度の箇所まで戻った時から、シールドケース41を接近位置に付勢するばね12(図3参照)とカム機構90の作用により、シールドケース41は徐々に接近位置方向に移動する。
【0064】
このようにして、帯電器40の本体であるシールドケース41は、像担持体である感光体ドラム21に対して接近、退避両様の位置をとり得るものであって、この位置変更が、清掃部材46を移動させる移動手段80によってなされるので、シールドケース41を感光体ドラム21からから離したり、近づけたりする手段を別途設ける必要がない。これにより、複雑な構造を用いることなく、低コスト化が図られた簡便な構造により、帯電器40を感光体ドラム21から退避させることができる。したがって、感光体ドラム21表面の損傷を防止して容易に放電部材であるチャージワイヤ42やグリッド43を清掃することが可能となる。チャージワイヤ42やグリッド43の清掃を確実に行うことで、高画質の画像形成と、帯電器40の長寿命化とを実現することができる。
【0065】
また、本体であるシールドケース41の位置変更は、清掃部材46の移動と同時に行われるので、清掃時間の短縮を図ることが可能となる。また、シールドケース41の位置変更と、清掃部材46の移動とを別々に行わせるための機構を必要としないので、さらに構造を簡素化でき、帯電器40のコストアップを抑制することができる。
【0066】
さらに、シールドケース41は、清掃部材46の移動とともに回転するカム91を設けたカム機構90を備えるとともに、このカム91がシールドケース41を支持する支持部材11に係合することにより、シールドケース41が退避位置へと移動せしめられるので、カム機構90を用いることにより、清掃部材46をチャージワイヤ42やグリッド43の架設方向に移動させる力を、帯電器40を感光体ドラム21から退避させることに利用することが可能となる。したがって、容易に帯電器40を感光体ドラム21から退避させることができる。
【0067】
そして、シールドケース41の位置変更は、チャージワイヤ42やグリッド43の架設方向の一端を中心とした回転移動によってなされるので、例えばソレノイドのような機能部材を用いて、感光体ドラム21の軸線と直角をなす方向にシールドケース41をスライド移動させるような複雑な構造を必要としない。したがって、所定の支点を中心として回転させるという簡便な機構により、一層容易に帯電器40を感光体ドラム21に対して接近、退避させることができる。
【0068】
また、シールドケース41のカム機構90が備えられた箇所を、感光体ドラム21に接近させる方向に付勢する付勢手段であるばね12を備えるので、感光体ドラム21から退避させた帯電器40を、接近位置へ移動させ易くするとともに、放電時に位置すべき所定の場所に正確に移動させることができる。これにより、チャージワイヤ42やグリッド43の清掃のためにシールドケース41を移動させたとしても、画像形成動作において感光体ドラム21を帯電させる時には、シールドケース41は所定の場所に位置しているので、感光体ドラム21表面の帯電特性に悪影響を及ぼすことがない。
【0069】
また本発明では、上記帯電器40を画像形成装置1に搭載することとしたので、複雑な構造を用いることなく簡便な構造により、感光体ドラム21表面の損傷を防止して容易にチャージワイヤ42やグリッド43を清掃することが可能な高性能な画像形成装置1を得ることができる。
【0070】
次に、本発明の第2の実施形態に係る帯電器40を、図12〜図14を用いて説明する。図12は帯電器と感光体ドラムとを組み立てた状態を示す左側面図、図13は図12の垂直断面左側面図、図14は図13と同様の垂直断面左側面図にして、帯電器が感光体ドラムに対して退避位置にある状態を示すものである。なお、この実施形態の基本的な構成は、前記第1の実施形態と同じであるので、第1の実施形態と共通する構成要素については図面の記載、及びその説明を省略するものとする。
【0071】
図12、及び図13に示すように、第2の実施形態に係る帯電器40は、清掃部材46の移動手段80にガイドレール84を備えている。ガイドレール84は、シールドケース41の、感光体ドラム21と対向するグリッド43が備えられた面に対して背面方向であって、シールドケース41の外側に配置されている。ガイドレール84は、シールドケース41とは独立して設けられている。ガイドレール84は、その主たる部分が感光体ドラム21、チャージワイヤ42、グリッド43、及びネジ棒81と略平行になるように設けられている。シールドケース41の背面側端部A近傍の箇所において、ガイドレール84は、その背面側端部Aから遠ざかる、すなわち前面側に近づくに従ってシールドケース41から離れる方向に傾斜する傾斜部84aを備えている。この傾斜部84aは、ガイドレール84における清掃部材46の移動範囲全体の1/8程度の長さである。
【0072】
清掃部材46は、その支持体46aにガイドレール84との係合部46cを備えている。この係合部46cは、支持体46aの、ネジ棒81に対してクリーニングパッド46bが設けられた箇所の反対側の箇所に設けられている。そして、係合部46cの先端は、シールドケース41の外側に突出している。この係合部46cの先端には、ガイドピン46dが設けられている。ガイドピン46dは、帯電器40の前後方向に延びるガイドレール84の溝85に係合している。
【0073】
続いて、上記構成の帯電器40の清掃時の動作について説明する。
【0074】
図12、及び図13に示すように、画像形成部20の通常の画像形成動作時において、帯電器40の本体であるシールドケース41は、感光体ドラム21に対して接近位置にある。清掃部材46は、シールドケース41の背面側端部A、すなわち図12、及び図13において左方の端部に位置している。この状態から、清掃部材46によるチャージワイヤ42、及びグリッド43の清掃を開始すると、ネジ棒81が移動手段80(図4参照)により回転せしめられ、清掃部材46がシールドケース41の前面側に向かって移動する。
【0075】
この時、清掃部材46がチャージワイヤ42、及びグリッド43を清掃しながら移動するのとともに、シールドケース41の前面側は、カム機構90の作用により、感光体ドラム21に対して退避方向に移動し始める。このようにして、シールドケース41の前面側は、背面側端部Aを中心とした回転移動(図14矢印C)によって位置変更する。
【0076】
一方、シールドケース41の背面側端部A近傍においては、この箇所から移動を始めた清掃部材46が、ネジ棒81の回転に従ってシールドケース41前面側に移動するのともに、ガイドレール84の傾斜部84aの形状に沿って感光体ドラム21から退避する方向に移動せしめられる。これにより、シールドケース41の背面側端部Aは、感光体ドラム21に対する退避位置方向に移動せしめられる。そして、清掃部材46が所定に位置に到達すると、ガイドレール84は感光体ドラム21の軸線と略平行になり、シールドケース41の背面側端部Aは、図14に示すように、感光体ドラム21に対する退避位置に位置変更する。
【0077】
上記のようなシールドケース41の前面側、及び背面側の移動は、清掃部材46の移動に従って同時に行われる。これにより、清掃部材46が所定量移動すると、図14に示すように、シールドケース41は、感光体ドラム21の軸線と略平行な状態の退避位置へと位置変更を終了する。
【0078】
なお、清掃部材46がシールドケース41の背面側端部Aから前面側端部に向かって1/8程度進んだ時、シールドケース41の背面側の接近位置から退避位置への位置変更が終了する。そして、清掃部材46が1/4程度進んだ時、シールドケース41の前面側の位置変更が終了する。
【0079】
清掃部材46をシールドケース41の前面側から背面側に戻す時、清掃部材46がシールドケース41の背面側端部Aから前面側端部に向かって1/4程度の箇所まで戻った時から、シールドケース41を接近位置に付勢するばね12(図3参照)とカム機構90の作用により、シールドケース41の前面側は徐々に接近位置方向に移動する。そして、清掃部材46がシールドケース41の背面側端部から前面側端部に向かって1/8程度の箇所まで戻った時から、ガイドレール84の傾斜部84aの作用により、清掃部材46が感光体ドラム21に接近する方向に移動せしめられ、シールドケース41の背面側は徐々に接近位置方向に移動する。
【0080】
このようにして、帯電器40の本体であるシールドケース41の位置変更は、チャージワイヤ42やグリッド43の架設方向の一端を中心とした回転移動と、この回転移動の中心となるシールドケース41の背面側端部Aを感光体ドラム21に対して接近、退避させる移動とによってなされるので、シールドケース41全体を感光体ドラム21から退避させることが可能となる。これにより、回転移動の中心となる箇所であるシールドケース41の背面側端部Aも、チャージワイヤ42やグリッド43の清掃時における感光体ドラム21表面の損傷を防止することができるのとともに、チャージワイヤ42やグリッド43の全体を確実に清掃することが可能となる。
【0081】
また、清掃部材46の移動手段80は、清掃部材46が係合し、清掃部材46がシールドケース41の回転移動の中心となる背面側端部Aから遠ざかるに従ってこの端部を感光体ドラム21から退避させるガイドレール84を備えるので、シールドケース41の背面側端部Aを感光体ドラム21から離したり、近づけたりする手段を別途設ける必要がない。これにより、複雑な構造を用いることなく、低コスト化が図られた簡便な構造により、帯電器40全体を感光体ドラム21から退避させることができる。
【0082】
次に、本発明の第3の実施形態に係る帯電器40を、図15〜図17を用いて説明する。図15は帯電器と感光体ドラムとを組み立てた状態を示す左側面図、図16は図15の垂直断面左側面図、図17は図16と同様の垂直断面左側面図にして、帯電器が感光体ドラムに対して退避位置にある状態を示すものである。なお、この実施形態の基本的な構成は、前記第1、及び第2の実施形態と同じであるので、第1、及び第2の実施形態と共通する構成要素については図面の記載、及びその説明を省略するものとする。
【0083】
図15、及び図16に示すように、第3の実施形態に係る帯電器40は、清掃部材46の移動手段80にガイドレール84を備えている。ガイドレール84の背面側には、ばね86が備えられたハウジング87が設けられている。ばね86は、その一方の端部がハウジング87に、他方の端部がシールドケース41の背面側の絶縁部材45に取り付けられている。このばね86は、シールドケース41の背面側端部Aを感光体ドラム21から退避させる方向、すなわち図15、及び図16において上方に付勢する付勢手段である。ばね86は、引張コイルばねで構成されているが、板ばねやゴム、スポンジ等の弾性部材であっても構わない。ハウジング87は、ガイドレール84と一体として形成され、ガイドレール84同様、シールドケース41とは独立している。
【0084】
続いて、上記構成の帯電器40の清掃時の動作について説明する。
【0085】
図15、及び図16に示すように、画像形成部20の通常の画像形成動作時において、帯電器40の本体であるシールドケース41は、感光体ドラム21に対して接近位置にある。清掃部材46は、シールドケース41の背面側端部A、すなわち図15、及び図16において左方の端部に位置している。この状態から、清掃部材46によるチャージワイヤ42、及びグリッド43の清掃を開始すると、ネジ棒81が移動手段80(図4参照)により回転せしめられ、清掃部材46がシールドケース41の前面側に向かって移動する。
【0086】
この時、清掃部材46がチャージワイヤ42、及びグリッド43を清掃しながら移動するのとともに、シールドケース41の前面側は、カム機構90の作用で、背面側端部Aを中心とした回転移動(図17矢印D)によって位置変更する。
【0087】
一方、シールドケース41の背面側端部A近傍においては、この箇所から移動を始めた清掃部材46が、シールドケース41前面側に移動するのともに、ガイドレール84の傾斜部84aの形状に沿って感光体ドラム21から退避する方向に移動せしめられる。これに加えて、シールドケース41の背面側端部Aは、この箇所に設けられたばね86の作用により、感光体ドラム21に対する退避位置方向に移動せしめられる。そして、清掃部材46が所定に位置に到達すると、ガイドレール84は感光体ドラム21の軸線と略平行になり、シールドケース41の背面側端部Aは、図17に示すように、感光体ドラム21に対する退避位置に位置変更する。
【0088】
上記のようなシールドケース41の前面側、及び背面側の移動は、清掃部材46の移動に従って同時に行われる。これにより、清掃部材46が所定量移動すると、図17に示すように、シールドケース41は、感光体ドラム21の軸線と略平行な状態の退避位置へと位置変更を終了する。
【0089】
なお、清掃部材46をシールドケース41の前面側から背面側に戻す時、清掃部材46がシールドケース41の背面側端部Aから前面側端部に向かって1/4程度の箇所まで戻った時から、シールドケース41を接近位置に付勢するばね12(図3参照)とカム機構90の作用により、シールドケース41の前面側は徐々に接近位置方向に移動する。そして、清掃部材46がシールドケース41の背面側端部から前面側端部に向かって1/8程度の箇所まで戻った時から、ガイドレール84の傾斜部84aの作用により、ばね86の弾発力に抗して清掃部材46が感光体ドラム21に接近する方向に移動せしめられ、シールドケース41の背面側は徐々に接近位置方向に移動する。
【0090】
このようにして、シールドケース41の回転移動の中心となる背面側端部Aを、感光体ドラム21から退避させる方向に付勢する付勢手段であるばね86を備えるので、清掃部材46の移動とともに、シールドケース41の背面側端部Aを感光体ドラム21から退避させ易くすることができる。これにより、帯電器40全体を確実に感光体ドラム21から退避させることができるので、チャージワイヤ42やグリッド43の清掃時における感光体ドラム21表面の損傷防止に対する安全性がさらに高められる。
【0091】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明は、放電部材の架設方向に移動して放電部材を清掃する帯電器において利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の実施形態に係る帯電器を搭載した画像形成装置の模型的垂直断面正面図である。
【図2】画像形成部周辺を示す模型的垂直断面部分拡大図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る帯電器と感光体ドラムとを組み立てた状態を示す左側面図である。
【図4】帯電器の斜視図である。
【図5】帯電器の部分拡大斜視図である。
【図6】シールドケースを取り外した状態の帯電器を示す左側面図である。
【図7】帯電器の支持部材の正面図である。
【図8】帯電器の支持部材の斜視図である。
【図9】帯電器と感光体ドラムとの位置関係を示す模型的背面図にして、帯電器が感光体ドラムに対して接近位置にある状態を示すものである。
【図10】帯電器と感光体ドラムとの位置関係を示す模型的背面図にして、帯電器が感光体ドラムに対して退避位置にある状態を示すものである。
【図11】図3と同様の帯電器と感光体ドラムとを組み立てた状態を示す左側面図にして、帯電器が感光体ドラムに対して退避位置にある状態を示すものである。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る帯電器と感光体ドラムとを組み立てた状態を示す左側面図である。
【図13】図12の帯電器と感光体ドラムとを組み立てた状態の垂直断面左側面図である。
【図14】図13と同様の帯電器と感光体ドラムとを組み立てた状態を示す垂直断面左側面図にして、帯電器が感光体ドラムに対して退避位置にある状態を示すものである。
【図15】本発明の第3の実施形態に係る帯電器と感光体ドラムとを組み立てた状態を示す左側面図である。
【図16】図15の帯電器と感光体ドラムとを組み立てた状態の垂直断面左側面図である。
【図17】図16と同様の帯電器と感光体ドラムとを組み立てた状態を示す垂直断面左側面図にして、帯電器が感光体ドラムに対して退避位置にある状態を示すものである。
【符号の説明】
【0094】
1 画像形成装置
12 支持部材
13 ばね(付勢手段)
14 角孔
20 画像形成部
21 感光体ドラム
40 帯電器
41 シールドケース
42 チャージワイヤ
43 グリッド
44 ギアケース
45 絶縁部材
46 清掃部材
46c 係合部
80 移動手段
81 ネジ棒
82 モータ
83 減速ギア
84 ガイドレール
84a 傾斜部
86 ばね(付勢手段)
90 カム機構
91 カム
92 カムギア
93 カム係合突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電部材を用いて像担持体表面を帯電させるものであって、本体と、この本体に設けられ、前記放電部材の架設方向に移動して放電部材を清掃する清掃部材とを備えた帯電器において、
前記本体は、前記像担持体に対して接近、退避両様の位置をとり得るものであって、この位置変更が、前記清掃部材を移動させる移動手段によってなされることを特徴とする帯電器。
【請求項2】
前記本体の位置変更は、前記清掃部材の移動と同時に行われることを特徴とする請求項1に記載の帯電器。
【請求項3】
前記清掃部材の移動とともに回転するカムを設けたカム機構を備えるとともに、このカムが前記本体を支持する支持部材に係合することにより、本体が前記退避位置へと移動せしめられることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の帯電器。
【請求項4】
前記本体の位置変更は、前記放電部材の架設方向の一端を中心とした回転移動によってなされることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の帯電器。
【請求項5】
前記本体の前記カム機構が備えられた箇所を、前記像担持体に接近させる方向に付勢する付勢手段を備えることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の帯電器。
【請求項6】
前記本体の位置変更は、前記放電部材の架設方向の一端を中心とした回転移動と、この回転移動の中心となる本体端部を前記像担持体に対して接近、退避させる移動とによってなされることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の帯電器。
【請求項7】
前記移動手段は、前記清掃部材が係合し、清掃部材が前記回転移動の中心となる本体端部から遠ざかるに従ってこの本体端部を前記像担持体から退避させるガイドレールを備えることを特徴とする請求項6に記載の帯電器。
【請求項8】
前記回転移動の中心となる本体端部を、前記像担持体から退避させる方向に付勢する付勢手段を備えることを特徴とする請求項7に記載の帯電器。
【請求項9】
請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の帯電器を搭載したことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−184838(P2006−184838A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−48541(P2005−48541)
【出願日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】